1月 082016

あまりにも暖かく湿度のある穏やかな正月の三日間が終わると、波乱の幕開けとなった2016年であった。株式市場は中国株の影響を受けて暴落し、サウジアラビアはイランと断交を発表、人騒がせな北朝鮮の金 正恩は、小型水爆の祝砲を響かせ、自身の誕生日のお祝いとした。

考えてみれば、ローマ法王フランシスコは、昨年クリスマス前に下記のような恐ろしい、人を脅かすような説教をしている。以下。 

While the world starves, burns, and descends further into chaos, we should realise that this year’s Christmas celebrations for those who choose to celebrate it may be their last.”

http://catholictruthblog.com/2015/12/22/pope-francis-last-christmas-warning/

法皇は2015年のクリスマスが最後になるかもしれないと述べたのである。

要するにヴァチカンは現在、グローバル社会全体が既に「第三次世界大戦」に巻き込まれているという情勢分析をしていて、これから状況は益々ひどくなっていくという認識を持っているということである。三年前のレポートで紹介した「金融ワンワールド」落合莞爾氏と全く同じ認識(「テロとの戦争」というものは形を変えた世界大戦であるという認識)である。もう少し、付け足すと、この世界大戦が終わったら、世界は激変しているのでは、と考えることがとても重要なのである。

 ところで、国立研究開発法人情報通信研究機構が開設している公開サイト「宇宙天気情報」によると太陽の黒点数がこれから急速に減少していくようである。

太陽黒点数予想201512月に「60」である太陽黒点数が、来年(2016年)11月には驚くべきことに「30」、すなわち半減してしまう。要するに太陽活動は著しく減退していくと予想されているのである。そして、そのことによる影響こそ、今、人類が真剣に考えなければならない大きな問題となっている。太陽黒点数が著しく減っている時期は、気候が温暖化するのではなく「寒冷化」してきたということは、歴史的事実である。     以下。

 

The Huffington Post

「太陽に元気がない」地球寒冷化の予兆?太陽の磁場に異変       2013年11月18日

太陽に異変が

2013年は太陽の活動が強くなったり弱くなったりする11年周期の中で、活動がピークになる「極大期」に当たり、太陽の北極と南極の磁場が入れ替わる「極域磁場転換」が起きるはずが、いまだに起きていないという。MSN産経ニュースが報じた。

活動ピーク年には増えるはずの太陽の元気のバロメーターとされる「黒点」も今年は異常に少ない。今後、太陽は活動の低調期に入り、併せて地球も寒冷化すると指摘する専門家もいる。
MSN産経ニュース「太陽元気なし 寒冷化予兆 11年周期の磁場転換起きず、黒点も最少」より 2013/11/18http://www.sankei.com/life/news/131118/lif1311180022-n1.html

ガリレオがおよそ400年前に黒点を初めて観測して以来、科学者たちによって太陽の黒点の観測が行われて来たが、太陽は11年ごとに北極と南極の磁場が入れ替わることが分かっている。その詳しいメカニズムは解明されていないが、「極域磁場転換」が起こる年は太陽の活動が最も活発になり、高緯度の地帯に多数の黒点ができるという。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、極大期に近づいているにしては「全くぱっとしない」と米航空宇宙局(NASA)の科学者ジョナサン・サーテイン氏は話したという。通常、太陽の活動がピークの年には、常時150200の黒点が観測される。また、大量の電磁や粒子を放出することによって起こる太陽嵐によって地球上の電信施設が損傷を受けることもしばしば起きていたが、今年はこれまで観測された黒点は概ね50100ぐらいにとどまっており、ここ200年で最も少ないという。

さらに、今回の極域磁場転換では、北極の磁場はマイナスからプラスに反転しているが、南極の磁場はマイナスのままの状態が続く「異常現象」が起こっているという。2012年に太陽観測衛星「ひので」が、北極の磁場がマイナスからプラスに転じている様子を観測したが、南極は安定してプラスを維持を維持していると、国立天文台は発表していた。

JAXAによると、りくべつ宇宙地球科学館の上出洋介館長がインタビューで以下のように解説している。

昨年1月、「ひので」は、北極の磁場が、マイナス極からプラス極へ反転するのに向かってゼロ状態になっていることを見つけました。また、南極がプラス極のままほとんど変化していないことも確認しました。その結果、北極と南極がともにプラス極となって、赤道付近にマイナス極ができるような、太陽の磁場が4重極磁場構造になったわけです。人によっては、この状態を「異変」が起きていると言います。
(宇宙航空研究開発機構(JAXA)「太陽のオーロラが地球のオーロラをつくるりくべつ宇宙地球科学館館長上出洋介」より 2013/8/29

太陽磁場の変化

従来の太陽の磁場(左)と2012年5月以降の太陽の磁場(右)(提供:国立天文台/JAXA)

今年と似たような状況はおよそ、300年前にも起こっていた。NHK解説員室の「解説アーカイブ」では以下のように説明している。

最近観測された黒点の変化(周期ののび)に似たことが、かつて起きたとされている。それは300年前の「マウンダー極小期」と呼ばれる時期で、黒点がほとんどない状況が70-80年続いた。当時の資料によると、寒冷化した地域が出現し、テムズ川も凍った。北半球平均気温は、現在より-0.6度。マウンダー極小期の前後からみると-0.1~-0.2度寒くなったのではないかとされている。北半球の平均では、大したことないように見えるが、局所的に気温のでこぼこがあり、中には非常に低温になったところもあったとされている。

NHK解説員室解説アーカイブ「くらし☆解説 『太陽異変 地球が寒くなる?』」より 2012/05/08

300年前の「マウンダー極小期」のような現象が今後、地球で再び起こることはあるのだろうか。「地球は間違いなく寒冷化に転じる」(大気海洋地球物理学者の中村元隆氏)と断言する専門家もいるというが、上出洋介氏は、前出のインタビューで次のように語っている。 


だいだい100年ごとに1回はこのような低活動期があり、それに応じて地球が寒冷化している記録が残っていますので、太陽にしてみれば、当たり前のことが起きているのかもしれません。人間の寿命がそれより短いからあたふたとしているだけで、太陽は今頃「何に驚いてるの?」と笑っているかもしれませんね
(宇宙航空研究開発機構(JAXA)「太陽のオーロラが地球のオーロラをつくるりくべつ宇宙地球科学館館長上出洋介」より 2013/8/29(引用終わり)

しかしながら、現在、日本の冬は暖かく湿っている。なぜだろうか。 

世界の天気を見てもソウルもパリもロンドンもパリもニューヨークも日本ほど顕著に気温が高いわけではない。

下記の富士山は本年1月5日の撮影ということだが、ゴールデンウイーク並みに雪が少ない。

雪の少ない富士山 2016年正月

これは、フクシマ第一から、メルトダウン、メルトスルーして溶け落ちた核燃料(デブリ)が大量の放射性水蒸気と熱を日本上空に拡散させていると考えれば、すんなり理解できる話である。要するに現在、トリチウム水水蒸気が日本上空を覆っているのである。

トリチウムとは

フクシマ第一の汚染水の中には、放射性セシウムと放射性ストロンチウムと共に、トリチウムという放射性物質が汚染水に大量に流れこんでいる。トリチウムという放射性物質は、元素としては水素である。しかし通常の水素は原子核が陽子1個でできているが、トリチウムの原子核は、そこに中性子が2個くっついている。重い水素なので、「三重水素」とも呼ばれる。この放射性物質トリチウムがなぜおそろしいかというと、化学的には水素なので、水素のように振る舞うからだ。つまり人間の体は、大部分が水でできている。水は、水素と酸素の化合物H2Oである。血液であれリンパ液であれ、細胞をつくっている中心部分の染色体であれ、その遺伝情報を伝えるデオキシリボ核酸(DNA)の分子であれ、水素なしには存在しない。DNAを構成する究極の原子は水素H、炭素C、酸素O、窒素N、リンPである。その水素が、放射線を出す水素になってしまえば、体内で、どれほどおそろしいことが起こるかは、誰でも想像できるだろう。それがわれわれの体内に入って、自由に移動している。そしてトリチウムの原子核についていた中性子が、“マイナスの電荷を持った電子”を放出して、“プラスの電荷を持った陽子”に変化し、水素がヘリウムHeになる。その時に出される電子が、ベータ線と呼ばれる放射線なのである。

この放射能が半分に減るまでの期間、半減期は12.3年なので、安全な1000分の1になるのに123年かかるから、この影響はほぼ一世紀続くことになる。

多くの国民には知らされていないが、私たち日本人は「風の谷のナウシカ」のような日本列島に知らないうちに2011年3月11日以降、住まわされているのである

今回は、本当の日本史に詳しい新井信介氏の悲壮な決意を紹介したい。ここまで考えている人もいるのである。以下。(*読みやすいように大幅に編集加筆) 

<国家(政府)は私的暴力機関と言う側面を持ちます。だから暴走する政府の政策には、本当の対策が必要になります。生存を暴走する国家に預けるのは愚かの極みです>2015年 12月

新井信介 

中国と日本。皇帝と天皇の違い。ここから、現在の日本社会と日本人を考えてみましょう。

中華皇帝は「易姓革命」ですね。それに対し、天皇は「万世一系」と言われますが、これは、明治維新後に創作された物語ですから当然フイクションです。皇室典範も男系男子も明治の元老伊藤博文が勝手に決めたものです。いわゆるこれが、「田布施システム」の根幹となっています。 

 長州藩の下忍であった伊藤博文を筆頭とする維新の立役者たちは、戦国時代から日本に入り込んだバチカンのイエズス会(=欧米植民地支配の先兵の役割を果たしてきた)の手法を取り入れ、<人のいい日本人>を徹底的に洗脳してきました。明治という近代国家を英国勢と共にでっち上げ、天皇からの「恩寵」をありがたがり、現在、放映中の「あさが来た」というNHKの朝ドラ(ドラマの中では、加野屋が十万両の提供を出来たばかりの維新政府に求められていました。)を見ていてもわかるように、日本列島にある経営資源を強制的に全部、自分たちが作った明治政府に集中させました。そして、「天皇の赤子」と言う言葉を創りだし、新政府支配下の臣民は、統治機能の良きパーツになろうと努力するように徹底的に臣民を教育し、訓練しました。その上、近代の思想、科学も、「お上」=東京大学の権威が選び出したものだけを、盲目的に学ぶことだけに専念させました。つまり、日本のエリートとは、極論すれば、人間コピー機や人間演算器にされてしまった人材と、言っても過言ではないのです。 

そのため、明治以降のごく普通の日本人の関心や興味が、森羅万象=(自然(じねん))に向かわないようになってしまいました。目に見える国家の枠組みだけを見上げるようにされてしまったのです。

特に、「自分が、何をどう考えているか、その考えている自分を、きちんと知る」と、いう哲学がすっぽり抜け落ちたままになってしまいました。権力と権威が一致し、しかも、この権威が太古の昔からずっと、この日本列島に存在したと、為政者に都合がいいフイクションを私たちは真実だと思い込まされてきたのです。 

少し勉強すればわかることですが、日本史において「天皇」の存在は、持統天皇が皇祖神「アマテラス」をつくりだして、696年に退位した後からは、ごく一部を除いてずっと、名誉職=権威で、権力=政体ではありませんでした。天皇は、天武の時にその呼称が生まれましたが、大王(おおきみ)として皇帝並みの権限を振るったのは、崇神、垂仁、応神、仁徳、雄略、継体、欽明、天武ぐらいでしょう。 

ところで、昨秋(2015年 秋)、日本の評論家に経済破綻間近と言われていた中国の人民元が、SDR(特別引き出し権)をもつ国際通貨になりました。逆にわが日本国では、どんどん貧困層が増えていても、放射能がまき散らされていても、まだ一般の日本人は国家(仕組み、制度)を信頼し切っています。この両国の違いはどこから来るのでしょうか。

それは、一言で言ってしまえば、近代国家になってから後の、地下経済の厚さの違いにあります。一般の日本人にはこのことを全く認識していませんが、大陸に言ったことのある日本人はこのことを知っているはずです。中国大陸は、始皇帝による統一以後、国家(統治体)が壊れても、通貨は、それ自体は存続し、時に、新しい国家、新政権、新政府で、自分の命を、守る、大切な道具として機能しました。中国人は要するに政府を盲目的に信用しません。国家権力の本質が暴力であり、それが、出来上がると、国家それ自体が存続するために、さらなる詐欺と暴力を、使い続けることを知りつくしているからです。一時代に三つの国家があったことも、ひどい時には、華北全域が戦乱状態の五胡十六国の時代という時代もありました。こうした政治権力事情の国柄だから、一つの国家(統治体)にとてもじゃないが、全面的に自分の生存を預けるわけにはいかなかったのです。

仲間や同志を生存次元で支え合うために、血縁、地縁で、彼らは結社を築いていきました。それが、幇(ぱん)ですね。幇は様々な次元で広がり、掟を作り、地上に、どんな国家ができようとも、お互いが生存できるように支え合ってきました。そして政権とは、いつの時代も、対等の関係で取引してきたのが中国の歴史です。  

中国では皇帝になるのは天に選ばれた一族ですが、その一族がつくりだした国家は、私的暴力機構だと、中国人は知り尽くしています。だから、常に、幇(ぱん)を生存の基礎に置いてきました。政府は一時的。しかし、幇(ぱん)は、政府を超えて存在する。地理的にも、時間的にも。これがいわゆる「華人ネットワーク」というものです。 

あの毛沢東が政権を取る時、彼を支持したのが、青幇(チンパン)ではなく、紅幇(ホンパン)でした。そこに清朝打倒を目指す明の貴族層の洪門(こうもん)と、客家(ハッカ)が加わりました。(宋三姉妹も客家ですね。)だから共産党政権ができても、それを心底から信用することは決してありません。彼らに取って国家も、政権も、一時的なものに過ぎません。だから、中国人は自分たちで、様々な、独自のネットワークをつくるのです。そして、そのネットワークの中に、仲間で使える金融資産まで、潜りこませていきます。それを、国家の指導者も、省レベルの役人も、実業家も、学校の先生も、道路工事の作業員も、売春婦も、みんなが、独自に、自分なりの、生存のための、パンを作っています。これらが彼らの互助組織であり、生存保障につながっていきます。

これらのネットワークが、1984年の改革開放の後、海外の中華の人間とで、縦横無尽に個々の人間の力量に応じて、広がっていきました。1994年に、外貨兌換券がなくなり、2001年以後、米ドルの資本が大量に大陸に入り、しかも人民元でも、債権が発行され、地方政府にも認められると人民元マネーは、共産党政府に管理されないところで、どんどん、貸し借り、融資や信用保証が、広がっていきました。これが、現在、中国経済の地下経済になっています。  

さらに、胡錦濤時代に、外貨準備が、世界一になり、さらに、「走出去」と、海外への資本進出を政府が、国家方針として打ち出すと、自分の幇(パン)を伸ばして、海外に住む新たな仲間と、すぐに新たなパンを作っていきました。政府が損しても、パンの構成員は、その政策の裏で儲ける。これは、中国の外でも、大陸内でも、同じで、ここに政府が赤字でも、中国社会全体では、マネーで十分に潤う、地下経済構造が完成しているのです。

政府の人間は表では、それを、いけない、まずいという建前ですが、個人になると、みんな、パンの構成員に成っているのです。要するに完全なダブルスタンダードです。

「上に政策あれば、下に対策有り」は、権力者自身も行っているのです。(要するに日本を見るのと同じ感覚で中国を判断すれば、完全に間違えるということです。)

しかもこの「対策」が、巨大です。かといってどこかに、統一管理する司令塔があるわけではありません。民族を構成する、個々人が、自分自身の生存するために、巨大なサブシステムを、いつも確保しているのです。

そしておそらく、この地下経済の規模が現在、国家経済の、数倍から、十倍以上にもなっています。これが、さらに、IMFがみとめるSDRの対象通貨になることで、海外でも、より大きなパンができて、人民元と米ドルとで、相互に信用状態が生まれ、それを、さらに、国家を超えたパンが利用する状況が生まれます。

もうそこでは、表の「外国為替管理法」という国際的な政策をらくらく飛び越えた「マネー」での融通が、これまで以上に、簡単にできるようになります。これでFRBが発行した米ドル建ての資産まで十分に延命する可能性が出てきました。 

つまり、習近平政権の国家税収がどうなろうと株式が暴落しようが、巨大化した中国地下経済が、米ドル資産の流通と結びつけば、中国社会それ自体も、十分に安泰だということです。そして本当の「朋友」のみを助け合うのが、「パン」だと言われています。 

それに対し、我が日本人は、明治以来、お上に気に入られようと、言われるままに真面目に努力し、「滅私奉公」の果てに1945年の敗戦に導かれましたが、戦後は、米国が意図的に天皇の「権威」が残したために国家権力に対する盲目的服従が治らず、自分自身の生存の基盤を、江戸時代に築かれていた地域の「結(ゆい)」のようなつながり(地縁)をことごとく壊して、政府の行政のマネーと表の企業社会の収入だけに頼るように馴致されてしまいました。 

 現在、日本の国家が消費税や資産課税という増税路線を明確にし、命に関わる「放射能汚染」の嘘情報を広めて、完全に暴力装置という、その本質がむき出しになって醜い姿をさらしているにもかかわらず、それでも、自分の生存をこの政府と表の正しい稼ぎだけに預けている真面目な日本人がほとんどです。

 完全に人間としての余裕を失っている姿ですね。真面目に勉強し、お上のいうことを真に受け、マスコミ報道を鵜呑みにし、生存を国家に預けたことの報いというものでしょう。

 人間の生存は、天地自然の純粋な恵みと、相互扶助の人間関係のみが保証してくれるものです。本来、マネーは、生活を豊かにする道具ですが、同時に国家の暴力から逃れる手段だったはずです。今、多くの日本人にはこれが枯渇しています。 

 「苛政は、虎よりも猛し」これが、中国人が、政治と向かい合う時の姿勢です。 

しかし、今の日本人は、その政府の政策がすでに苛政であるのに、それを、未だに美しいもの、立派なもの、自分を大切にしてくれるものと、信じています。

悲しいが、「自分が、何を考えているか?どうして、自分は、こう考えているか?他の考え方もあるのではないか?自分が、信じている世界は、まやかしではないか?常に、こう考えていない」と、現実は、生きていけないのですが、現在、日本人は進んで「檻の中」に入ったまま、「茹でかえる」になって死んでいこうとしています。 

私はどんなことがあっても生き抜いて、それでも、この日本列島で生まれ、演じられてきた様々な日本文化の核心を伝えられる存在でいたいと思います。

それには、若者たちを、どうしても救わねばなりません。微力ゆえに、わずかであってもできる範囲で。

健康な肉体で、生き残ってくれれば、まだまだ、希望はあります。みんな。死ぬな!

生き残れ!

 「豚になってでも、生きよ。」・・・これは文化大革命の時代を描いた、名画『芙蓉鎮』の中の言葉です。

 マネーなんか殆ど無くたって、愛される人間になって人間関係を築いて、とにかく、「放射能」のないところに、這ってでも移住して、とにかく、生き残る。ここから未来は始まります。(終わり)

 

<新井信介プロフィール>長野県中野市で昭和32年(1957年)にリンゴ問屋の息子として生まれる。日本の歴史に圧倒的影響を与え、しかも、世界でもっとも多くの人間の住む国、中国と商売しないのはおかしいと東京外国語大学の中国語学科に進んだ後、今度は、世の中の現実と構造を知りたい思い、商社に入り、北京駐在員として自動車・電気機関車などの輸出、さらに、本社では経済協力案件を担当。しかし、88年秋、プラザ合意に始まったバブル経済が過熱していく中、昭和天皇が倒れ、「金儲けどころじゃない、日本がおかしくなる」と、世直しを決意して退社。日本の政策転換とバブルの早期処理を訴えるが、結果は、「失われた20年」に。98年から、「世紀末の大転換」を確信し、著作と講演を進めてきた。 

兎に角、有意な日本人は大きな時代の節目に備えることである。1989年にベルリンの壁が崩壊したが、1~2年前に現地を訪れた人であのような形で壁がなくなることを予想した人は一人もいない。変わる時には、社会は一気に変わる。その時に社会を支えるのは有意な本来の日本の心を持った人たちである。それまでかけがえのない生命(イノチ)を大切にすることである。

終わりに青い眼の日本人ビル・トッテン氏が正論を書いているので、紹介させていただく。もっとも大統領選の民主党有力候補であるヒラリー・クリントン女史ですら、TPPには反対しているので、この協定が本当に成立するかどうかは、疑問だが、以下の文書を読んでいただければ、TPPが如何に日本人を馬鹿にしたものかよくわかるはずである。以下。

 

「英語版TPP条文」     201614 

環太平洋連携協定(TPP)交渉参加国が10月初めに大筋合意したという条項を、115日、ニュージーランド政府が公開した。 

秘密で行われていた交渉の内容がようやく英語の世界では明らかにされたが、30章からなる文書は細かい取り決めまで含むと55554ページにも及ぶ。政府は概要を掲載するだけで、条文はニュージーランド政府のホームページへ、となっている。

協定は英語、スペイン語、フランス語を正文とする、とあるが、経済の規模からみてなぜ日本語が正文になっていないのか。日本の制度や法律を変えるほどの効力を持つ協定を、英語版しか国民に提供せず、日本政府が交渉の場で日本語版を要求しないこと自体が、TPPが一方的な押し付けであると考えざるを得ない。これだけでも、TPPの本質が「日本の主権喪失」にあるといえるだろう。 

しかしTPPによってマイナスの影響を受けるのは日本国民だけでない。条文の公開以来、各国の研究者や市民グループ、NGOなどから多国籍企業の利益を優先するものだという強い批判が出ており、TPP協定の原型ともいえる北米自由貿易協定(NAFTA)の施行で雇用が海外に流出し、国内賃金の低下をはじめとする多くの悪影響がもたされたアメリカでは、強い反対運動が起きている。 

もちろん全ての国民が6千ページ近くの文書を読み、理解することは容易ではないが、わずかな概要だけで、TPPを検討し、承認すべきではない。オバマ大統領がTPPを「新しいタイプの貿易協定」と呼んだことからわかるようにそれは単なる製品やサービス、投資や資本に関する文書ではなく、政治的な協定だからだ。つまり、多国籍企業が国や国民の主権、民主主義そのもののあり方を変えようとしている。 

公開された条文の27章(運用および制度に関する規定章)と28章(紛争解決章)だけを見ても明らかだ。27章には、TPP締約国は大臣または上級職員のレベルで会合するTPP委員会を設置し、協定に基づく義務の実施に向けて進捗(しんちょく)状況を報告しなければならないとある。TPPは「生きている協定」と呼ばれ、常に見直しが入るとされるが、では一度政府が批准した後で変更がなされれば、あらためて批准の必要はないのだろうか。また委員会メンバーをどのように選出するのか、そこでの議論が公開されるのか、さらには、この委員会で決定されたことを政府や国民が覆すことができるのか。その内容次第ではTPPは、国の法律の上位にくる機関となってしまう。

そして28章には、企業と政府の紛争解決は当事国の国内法にかかわらず、TPPの「裁判所」に提訴されることが明記されている。自民党が反対したISDS条項がしっかりとそこにあるのだ。政府が特定秘密保護法を持ち出せば、このTPPの人民裁判の内容を国民に秘密にすることすら考えられる。 

カナダでは新政権が発足したため、前政権が交渉したTPPの合意内容について議会で討議を行うだけでなく、国民が内容を理解し意見を表明できるようパブリックコメントを募集するという。当然であろう。しかし日本では条文を知りたければ英文を読めと、国民に説明すらない。(引用終わり)

 

サンフランシスコ講和条約の日本文も正文ではないことは知る人ぞ知る話だが、戦後70年経っても日本という国は、国際社会でこのような扱いを受けていることをもっと多くの人が知るべきだろう。この条約の批准を検討する国会議員で、まともにTPP条約案を読む人間は一人もいないと思われるのも、この国の機能不全に陥っている戦後民主主義の悲しい姿を物語っている。


12月 242015

恒例のフォーブス誌の世界での影響力ある人物のランキングが発表された。三年連続でロシアのプーチン大統領が一位である。わが国の安倍首相は、ランキングが上昇したとは言え、41位に低迷している。ちなみに大トヨタの豊田章男社長が28位である。

パワーリスト フォッブス

考えてみれば、世界最大の債権国であり、最後の貸し手とも、世界のATMとも言われるわが国の首相の影響力がこれ程、低い評価であることは、おかしな話である。

資本主義社会においては、通常ならば、大口の出資者の意向が一番大きな力を持つはずである。ところが、現実はそうはなっていない。以前も何回か、指摘させていただいたが、日本という国は国際政治・経済の舞台で実際には、主権を持っていない。1945年の敗戦後、私たちの国、日本はその主権すべてを米国のジャパンハンドラーの手に委ねてきたのである。言葉を変えていうなら、奪われてきたのである。

 

 そう考えると自民党が2012年の総選挙でTPP反対を公約に選挙戦を戦っていたにもかかわらず、現在はTPPに積極的になっていることも、安倍首相自ら、トルコやベトナムに原発を売り込んでいることも、安倍首相が今秋、中東を訪問してイスラエルの意向通りの円借款を約束してきたことも、また、現在話題になっている「マイナンバー制度」のシステムをNATO諸国のなかで一番タカ派のエストニアから導入することになったことも、日本の原発54基すべてをイスラエルのマグナBSP社が管理しているのも、まだまだ、例を上げればきりがないがすべては日本人自身が自ら決めたことではなく、米国のジャパンハンドラーの意向に従ったものだということが見えてくる。 

 つまり、このランキングの意味するところは、世界のエリートは1945年以降、日本という国には国際政治上の主権がないと言うことを熟知しているということである。

そして、このことを知らないのは、いや、知らされていないのは、私たち日本人だけなのである。だから、多くの日本人は米国の特別行政自冶区に過ぎないこの国を勝手に立派な独立国だと勘違いしていろいろな妄想に耽ることができるのであろう。 

少々、前置きが長くなったが、今回はロシアのプーチン大統領の話である。彼が現在、どういう歴史的役割を果たしているのかを考えることで、明日の日本のあるべき姿が見えてくる

 

一言で言うなら、現在、プーチンは、ロシアの国益を守るために、2001年の911以降、テロ国家を勝手に自由気ままに特定することによって、世界情勢をいいようにコントロールしてきたネオコン(戦争屋)≒シオニストの勢力と戦っている。小生の知る限り、このことを日本人で一番早く、一般に向けて発信したのは経済アナリストの藤原直哉氏であった。彼は20153月に公共放送であるNHK第一ラジオでこのことを発言し、その後すぐに米国のジャンハンドラーによって番組を降板させられている。以下のアドレスで現在でも、彼の911以降の国際情勢と現在のロシアの動きの解説を聞くことができるので、時間のある方は聞いていただきたい。

http://fujiwaranaoya.main.jp/150401cd.mp3 

 ところで、一年前のレポートで下記のように書いたが、現在では米国のウオールストリート紙の編集者までこの事実を公言するようになっている。 


アルカイーダや今回の「イスラム国」は、グローバル・マクロを動かし、世界史を廻し、非公然活動(covert action)(=戦争を創り出す)をするために欧米のエリートが創った組織(=仕掛け)である。具体的には、今回の「イスラム国」は、イスラエルのモサド(イスラエル諜報特務庁)と米国のCIA(:Central Intelligence Agency)、英国のMI6(イギリスの情報機関。国外での情報活動をおもな任務とする。冷戦終焉の状況下で,開かれた政府を目指すイギリスのメージャー首相は,19935月,MI6の実在を初めて公式に認めた。)が「戦争経済」への布石としてつくった組織である。このことは、欧米のエリートの間では常識のようである。


 

最近では元総理鳩山由紀夫氏まで、「ISISCIAによって作られ、部分的にはワシントンからのサポートを得ている」という、WSJ編集者の談話を紹介し、黒幕は米国であるという可能性を明言している。最近、小生の知人から聞いた話では、日銀出身の若手参議院議員もイスラム国ついて、同様の話を地元の支援者にしていたようである。プーチンの世界情報戦略によって、たった一年で、世界の情報認識は様変わりしたのである。 

 だからプーチンは、昨年の秋から下記のような発信を始めているわけだ。以下。

 


プーチン「テロリスト達のスポンサーを引き受け、世界を混乱に貶めているのはアメリカです。」リア・ノーボスチ(2014 10/24 


http://en.ria.ru/world/20141024/194548545/Putin-US-Incites-Spread-of-Terrorism-by-Funding-Militants.html

 

米国は、世界を結束へ働きかけるどころか、世界の国々でテロリスト達への資金を渡し、テロリズム拡散させ、世界を対立させている、とロシア大統領ウラジミール・プーチンは発言しました。 

「昔(アフガン戦争)も同様のことが行われましたが、シリアにおいても米国とその同盟国は、異なる国々から金目当ての傭兵を集める為に、直接資金と兵器の提供を始めました。」とプーチンは、ソチで開催された11回目のバルダイ国際討論会の席上で発言した。

 

ロシア大統領は、現在イラクとシリアで活動している(元々単なる金目当ての)傭兵の集まりであった「イスラム国(IS)」が、事実上の軍隊組織に変わったのは、上に述べたような米国とその同盟国によって支援されてきたことが、その原因であると強調した。

 

「彼らイスラム国は軍事的に非常に組織的に洗練された形で活動しています。彼らは事実上のプロ集団です。」とプーチンは述べた。そしてイラクではISIL、シリアではISISとして報道され知られているイスラム国がそのように勢力を伸ばしてしまった背景には、イスラム国殲滅の為にこの度結成されたアメリカ主導の(サウジ、カタールなどからなる)反IS連合国が自ら地域勢力を分断しようとしていることにある、と付け加えた。

 

プーチンによると、分断線を引いて、仮想敵国を作って、それにやっつける連合国を形成し、その指導者となろうとするのがアメリカの試みであり、それは冷戦時代に行われた手法そのものである。

 

ロシア大統領は、そのような一方的な覇権主義はテロとの戦いにおいて役には立たないどころか、リビアで行われたように平和な国に混乱をもたらすだけである。リビアは欧米により崩壊の瀬戸際まで破壊され、テロリスト養成の地と化してしまった、と強調した。エジプトの現在の指導者の決意と英知が、混乱の広がりと過激主義者達に対する唯一の防波堤となっている、とプーチンは述べた。 

ロシア大統領によると、アメリカは民主主義を広めると宣伝していたが、実はやっていることはイスラム過激派への支援であった。プーチンは、この間、テロリスト達の資金源は拡大してきたと説明した。「テロリストへの資金源については、アフガニスタンへ軍が派遣されている時期に何十倍にも増加した生産量の麻薬の密売から得られる利益だけでなく、現在は原油の販売による利益にまで広がっている。」とプーチンは述べた。 

原油の生産はテロリスト達の支配地域で行われている。彼らはそれを破格の安値で売っている。そして、それを買い取り、転売している者がいる。そうすることによって、いつの日か自らの国を破滅に導くかもしれないテロリストに資金を供給しているということに、彼らは気づいていないのです、とロシア大統領は強調した。

プーチンによると、欧米のパートナー達は、傭兵たちに、資金を供給することによって同じ過ちを繰り返している。結果、中近東におけるテロの連鎖は止まないということである。

「かつて、欧米のパートナー達は(アフガン戦争で)ソビエトと戦ったイスラム過激派達のスポンサーだった。そのような欧米による過激派への活動が現在のタリバンやアルカイーダを誕生させたのです。」とロシア大統領は述べた。(引用終わり)

そして現在、プーチンが真実を述べていたことが徐々に明らかになりつつある。

 

ところで、最近以下のニュースを見て日本人の活躍を喜んだ方も多いのではないだろうか。以下。

 

<油井宇宙飛行士が国際宇宙ステーションから地球へ無事に帰還> 20151212日(土)

「ただいま。体調は大丈夫です。重力を感じます。宇宙も素晴らしいですけど、地球もいいですね。冷たい風が心地いいです。」 (帰還直後の油井さんのコメント)

1211()142日間に渡って国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在していた第44次/45次長期滞在クルー(油井亀美也、セルゲイ・コルネンコ、チェル・リングリン)を乗せたロシアのソユーズ宇宙船(TMA-11M/43Sが、カザフスタン共和国の雪原に無事着陸しました。ソユーズ宇宙船は、午後649分、ISSから分離した後、高度140キロ付近で、帰還カプセルが切り離されました。大気圏に突入したソユーズ宇宙船は、最後はパラシュートを開いて地上に降下し、午後1012分ごろ(日本時間)に着陸しました。この後、油井宇宙飛行士ら3名のクルーは、着陸地からカザフスタン共和国のジェズカズガン空港に向け移動しました。

油井宇宙飛行士

ここで重要なことは、日本人を国際宇宙ステーションに運んで行ったのがロシアのソユーズ宇宙船であることである。以下の記事を見ても現在ではロシアの方がアメリカより宇宙船技術で上をいっていると考えても間違いないだろう。以下。

<新しいクルーを乗せバイコヌールからISSに向け「ソユーズ」打上げ> 20151215

http://jp.sputniknews.com/science/20151215/1324365.html#ixzz3uXe8wEZV 

宇宙船「ソユーズTMA19M」を乗せた運搬ロケット「ソユーズFG」が、バイコヌール基地の第一発射場から、打上げられた。現地から、リア-ノーヴォスチ通信が伝えた。ロスコスモスのスポークスマンによれば、宇宙船は軌道上へ、ロシアのユーリイ・マレンチェンコ、米国のティモシー・コプラ、英国のティモシー・ピークの3飛行士からなる第46次及び第47次クルーを送り届ける。 

宇宙船「ソユーズ」と国際宇宙ステーション(ISS)との接近は「短い」6時間.方式により行われる。新しいクルーは、ISSで7カ月、つまり通常よりひと月長く過ごすが、これは、飛行プログラムの変更によるものだ。ロ米英の飛行士らは、新しい宇宙貨物船「プログレスMS」の受け入れ作業の他、米国の宇宙貨物船Dragon 及び Cygnusも受け入れる事になる。また今回の滞在計画では、ロシアと米国のセグメントの装備補充作業も実施される。(引用終わり)

 

上記のことにも関係するが、昨年の下記の記事当たりから一部の人が、電子戦の分野でロシアがアメリカより優位に立ったとの指摘をしていたが、現在のシリア情勢を見る限り、事実だと考えてもいいと思われる。以下。

<ロシア戦闘機スホイ24米国のイージス艦「ドナルド・クック」の「鼻をあかす」> 2014.04.20

米国のイージス艦

http://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2014_04_20/271416946/

 

ロシアの戦闘爆撃機スホイ24が、黒海で米国の最も近代的な戦闘システム「イージス」を搭載した駆逐艦「ドナルド・クック」を麻痺させた。ロシア科学アカデミー米国カナダ研究所のパーヴェル・ゾロタリョフ副所長は、ロシアのマスコミおよびブロガーたちが盛んに議論しているこの出来事について見解を表した。

 

 巡航ミサイル「トマホーク」を搭載したイージス艦「ドナルド・クック」が4月10日、黒海の中立水域に入った。その目的は、ウクライナとクリミアに関するロシアの立場に関連した威嚇行為と軍事力の誇示だ。同水域への米軍艦の進入は、軍艦の艦種ならびに滞在期間に関しても、モントルー条約に違反している。 これを受けロシアは、「ドナルド・クック」の周辺を飛行するために非武装のスホイ24を派遣した。専門家たちによると、スホイ24には最新のロシア製電波妨害システムが搭載されている。伝えられているところによると、「イージスシステム」は、遠距離から接近するスホイ24を探知し、戦闘警報を鳴らした。全てが通常通りに行われ、米国のレーダーは飛行コースを計算した。だが突然、画面がフリーズした。「イージスステム」は機能せず、ミサイルは目標指示を受け取ることができない。だがすでにその時、スホイ24は「ドナルド・クック」の上空を通過し、空中戦闘機動を行い、目標に対して仮想のミサイル攻撃を実施した。そして旋回し、再び演習を繰り返した。それは12回に及んだ。「イージスシステム」を復活させ、対空システムに目標指示を与える試みは、全て失敗したようだった。ロシアの政治学者パーヴェル・ゾロタリョフ氏は、米国側からの軍事圧力に対するロシアの反応は極めて穏やかなものだったとの考えを表し、次のように語っている。

 

 「デモンストレーションは、十分にオリジナリティーに溢れたものだった。非武装だが電波妨害装置を搭載した戦闘機が駆逐艦に対して十分な働きを行った。その駆逐艦は最も近代的な対空システムとミサイル防衛システムを搭載したイージス艦だった。だが、この船艇にモバイル配備されたシステムには、重大な欠点がある。それは目標物の追跡機能だ。この機能は船艇が複数あり、調整役がいる場合には上手く作動する。だが今回の場合は駆逐艦1隻だった。そのためスホイ24の電波妨害システムが稼働した際に、駆逐艦に搭載されているイージスシステムの電波探知装置のアルゴリズムが作動しなかった。」

 

 外国のマスコミの報道によると、この出来事があったあと、「ドナルド・クック」はルーマニアへ緊急寄港した。そこでは乗組員27人が退職願を提出した。退職願には、自分の生命を危険にさらしたくないと書かれていたという。これは米国防総省の声明の中でも間接的に確認されている。なお声明では、この行為が「ドナルド・クック」の乗組員の士気を下げたと主張されている。米国が扇動した黒海の出来事によって、今後どんなことが起こる可能性があるのだろうか?ゾロタリョフ氏は、次のように予測している。

 「私は、米国がイージスシステムの改良について検討するのではないかと考えている。これは純粋に軍事的なものだ。政治的な面では、米国あるいはロシアが何らかの示威行為をすることは恐らくないだろう。一方で米国にとって今回の出来事は極めて不愉快だ。米国が展開しているミサイル防衛システムには莫大な費用がかかっている。その資金を予算から拠出する必要があることを毎回証明しなくてはならない。同時に、ミサイル防衛システムの地上配備迎撃体の実験は、理想的な条件で行われたものの、効果の低さを露呈した。米国防総省はこれを注意深く隠している。最も近代的な海上配備型『イージスシステム』も今回、その欠点を提示した。」

 

米国の「ドナルド・クック」をショックに陥れたロシアの戦闘機スホイ24に搭載されているシステムのコードネームは、「ヒビヌィ」。これは、ロシアのコラ半島にある山脈の名称だ。「ヒビヌィ」は、最新の電波妨害システム。最近ブリヤートの試射場で行われた演習で、「ヒビヌィ」の定期テストが実施された。テストは成功したようだ。そのため、近いうちにも限りなく現実に近い条件で、システムの実験が行われることが決まった。(引用終わり)

如何だろうか。いまだにアメリカの軍事技術が世界で一番だと思っている多くの日本人は吃驚するのではないか。おそらく、現時点でロシアのプーチンの方がアメリカより軍事的に優位に立っている。そう見なければ、現在の世界情勢を理解することはできない。

 

ここで、今秋、見かけた興味深い記事を紹介する。米国のブレンジスキー元大統領補佐官が本当の事を思わず喋ってしまったものである。以下。 

「本当の事を言ってしまったブレンジスキー」

 

 「Former US national security adviser Zbigniew Brzezinski’s assertion that Washington should retaliate against Moscow for Russian airstrikes against US assets in Syria is a “stunning admission” of the role America has played in the Syrian crisis, an American scholar in Wisconsin says.

プレスTV:http://www.presstv.ir/Detail/2015/10/06/432288/US-Syria-assets- 

元米国家安全保障顧問ズビグニュー・ブレジンスキーの「ワシントンはシリアにおける米資産に対するロシアの空爆に対してモスクワに報復すべきである」と言う主張は、シリア危機においてアメリカが実行した役割の「驚くべき告白」であると、ウィスコンシン州のアメリカの学者は語る。

イスラム-ユダヤ-キリスト教同盟の創設メンバーであるケビン・バレット博士は、火曜日プレスTVのインタビュでファイナンシャルタイム紙のロシアに関するブレジンスキーの最新の記事についてコメントする中で、語った。

ブレジンスキーはバラク・オバマ大統領に、ロシアがシリアのCIAが訓練した民兵を攻撃し続けるならば、ロシアを、武装解除をするよう助言した。

「シリアにおけるロシアの海軍と空軍の存在は脆弱で、本土からは地理的に孤立している」とブレジンスキーは日曜日に書いた。「彼らが米国の挑発に固執するならば、彼らは武装解除されるべきである」

バレット博士は、これは、米国が事実、アルカイーダ或いはイスラム国(Daesh/ISILテログループ)を同様に資産として使っていたと、ここ米国の上級高等政策顧問からの衝撃の告白であると語った。

シリアのアルカイーダ、ヌスラ戦線が実際は米国の同盟者であると言うことは、ワシントンDCの職員によって通常認められるようなことではないと彼は語った。

モスクワの最良策としてCIAの民兵を攻撃すると明確な決定は、ロシアの軍の無能を反映しており、最悪でありアメリカの政治的無能を強調する危険な欲望の証拠であるとブレジンスキーは書いた。

 

プレステレビのコメントとして、バレット博士は、その当時においても一部の人たちによって、ソ連に対するアフガンの聖戦において米国と関係があった”CIAの別働隊”と呼ばれていたアルカイーダを公式に糾弾していた、2001年9月11日の攻撃から14年たって、3000人のアメリカ人を殺した責任があるといわれている、おそらく悪魔化した敵グループが今シリアでは同盟者であり、我々はロシアとの戦争を起こし、アルカイーダに対する戦いに対してロシアを罰するために核戦争の危険を冒すべきだということを聞くことはアメリカ人にとって興味あることであると述べた。

誰もがロシアのアルカイーダの攻撃に対して、ロシアへの報復を想像することができる、びっくりするような話であるが、それはまさしくブレジンスキーが言ったことだと、彼は述べた。

そして、ブレジンスキーは良くも悪くも、彼以上に狂った彼の周りのネオコンについて伝える、ワシントンDCではより懸命で分別のある一人であると実際に思われていると「テロとの戦争」の著者バレット博士は述べた。

 

これを説明しようとするとき、我々はブレジンスキーの背景に注意しなければならない。彼はロシアを非常に嫌う理由を説明する家族的背景をもつポーランドの貴族の出身であり、彼は生涯に掛けてロシアに対抗する積極的政策を押し続けていると、彼は指摘した。

シリアが状況を安定化させ、平和的解決の類の基礎を築くためにアルヌスラやイスラム国のようなテログループに対して政府を強化する目的で、ロシアが、国際法上完全に合法なシリア政府の要請で介入した時、ブレジンスキーの応答はロシアを攻撃すべきであったのは、非常に衝撃的であり恥ずかしいことであると、バレット博士は見ている。(引用終わり)

今から4年前に「アメリカニズムの終焉」~幻想の大国アメリカ~というレポートを書いたことがあったが、プーチンという男が着々とパックスアメリカーナの幕引きに向かって動いている。その意味でしばらく、この男の動きから目が離せない。やはり、世界で最もパワフルな人物ということになるのだろう。

プーチンと柔道の心

COP21が開かれたパリでは現在、こんなポスターが張り出されはじめている!

安倍首相頭から水蒸気ポスター

先日、NHK衛星放送「フランケンシュタインの誘惑~科学史闇の事件簿~」では、キュリー夫人を特集していた。夫ピエールと共に放射能に魅せられた彼女は、その放射能による被曝(番組の中でこのように紹介されていた:マウスを入れたガラスの入れ物に、ラジウムを一緒に入れたら、9時間で全てのマウスが死んだ。肺から放射能が検出された。マウスは骨髄がやられていた。キュリー夫人は白内障になり、再生不良性貧血で亡くなった)で結局、死に神を招き寄せていたのだった。当時は放射線による人体への影響がよくわかっていなかったこともあるが、現在では、プルトニウムを使った人体実験のデータすら本当は存在する(これを題材にしたアイリーンウェルサム著「プルトニウムファイル」という本もある)のに巨大な原子力産業をつくるために数々の真実が隠蔽されてきた。そのために21世紀になっても多くの人が放射線の人体への影響について無知な状態に意図的に放置されている。

 そもそもあのキュリー夫人が発見したラジウムの製造所を建設するスポンサーは誰であったか、ご存じだろうか。

金融王ネイサン・ロスチャイルドの曾孫アンリ・ロスチャイルドである。 

原子力産業の歴史とは、ダークサイドから見れば、彼らロスチャイルド財閥の金儲けの犠牲になった人類の歴史でもある。多くの日本人は、原子爆弾ができる前から原爆が日本に投下されることが決まっていたことも未だに知らないのが実情だろう。そして、本土決戦によるアメリカ兵の犠牲を減らすために原爆が投下されたというプロパガンダをほとんどの日本人が未だに信じているのではないだろうか。戦争に負けた日本が現在でも彼らの核実験場であり続けていることにもおそらく、ほとんどの日本人が、気が付いていない。現在のフクシマ第一は放射能被曝データを提供する恰好の実験場となっているのも悲しく、厳しい現実である。

 

現在でも、福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍を超えている。

201136月の放射性セシウムの月間降下物総量は「新宿が盛岡の6倍」、甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の月間降下物総量は「新宿が盛岡の100倍超」(文科省20111125日公表値)という驚くべき数値になっている。世界経済、日本経済を回すために騒がないだけで、東京を含む東日本地域住民の内部被曝は極めて深刻状況になっている。 195157年に計97回行われたアメリカのネバダ大気中核実験では、核実験場から220キロ離れたセント・ジョージで大規模な癌発生事件が続出している。220キロといえば、福島第一原発~東京駅、福島第一原発~釜石と同じ距離である。

核実験と原発事故は違うのではと思われがちだが、中身は同じ200種以上の放射性物質である。福島第一原発の場合、3号機から猛毒物プルトニウムを含む放射性ガスが放出されている。これらはセシウムよりはるかに危険度が高い。3.11で地上に降った放射能総量は、ネバダ核実験場で大気中に放出されたそれより「2割」以上も多い。

また、日本の原発からできるプルトニウムで欧米の核兵器がつくられ、彼らの核武装体系が維持されている敗戦国の不合理な現実をもっと多くの日本人は知るべきだろう。

 

 ところで、国際的な原子力専門メディア、Nuclear Engineering Internationalが、26日付けで3号機から蒸気が噴出しているのを作業員が目撃しているとの報道している。以下。

More problems for Fukushima

 

Tokyo Electric Power Co (Tepco) has admitted that radioactive ground water from the Fukushima Daiichi nuclear power plant has probably been leaking into the Pacific Ocean. It is the first time Tepco has officially acknowledged that contaminated water from the plant may have reached the sea, despite several studies and findings from the Nuclear Regulation Authority (NRA) which confirmed leakages.

 

Now we believe that contaminated water has flown out to the sea,” Masayuki Ono, Tepco’s general manager, told a news conference in comments broadcast on Japan’s public NHK television. “We would like to offer our deep apology for causing grave worries for many people, especially for people in Fukushima.”

 

Tepco’s admission has underlined concerns raised by NRA, which earlier in November said its experts had found high levels of caesium in samples taken from coastal seawater and the pit water near the facility. NRA had ordered Tepco to investigate the possibility of a leak, but Tepco said there was insufficient evidence to link the high levels of caesium to a leakage from the plant.

*NRA: Nuclear Regulation Authority

While Tepco acknowledged that contaminated water from the reactors is seeping through ground water channels before flowing into the sea, it said water sample tests showed that the impact of the leakage appeared to be controlled by silt fences built around the reactors, as there was no significant rise in the levels of radioactivity in the sea water.

 

However, Tepco admitted in April, that around 120t of radioactive water may have leaked into the surrounding ground from a storage tank, and earlier this month, tests on ground water samples showed that levels of caesium-134 had increased more than 110 times in a few days. To prevent further seepage of ground water to the ocean, Tepco is injecting chemical sodium silicate into part of the seawall separating the sea and nuclear plant, which will solidify a larger part of the seawall with the chemical, Reuters reported.

 

Tepco is also struggling to contain radioactivity at the plant. Workers on 24November reported steam from inside the unit 3 reactor building for the second time in a week. Tepco is investigating the cause after initially suggesting rainwater could have been the source.

 

We think it’s possible that rain made its way through the reactor building and, having fallen on the primary containment vessel, which is hot, evaporated [and created] steam,” Tepco spokeswoman Mami Yoshida said, according to Reuters.

 

The steam rising from unit 3 was noticed by repair crew who were removing contaminated debris from the facility. “All work to remove debris in and around unit 3 was stopped,” a spokesperson for Tepco told The Daily Telegraph. “We have confirmed that radiation levels around the pressure chamber have not changed, and we were able to confirm that the reactor has not reached criticality.”

 

The incident underscores the concerns and challenges involved in decommissioning the Fukushima plant, including how to dispose of the water used to cool its melting reactors. Tepco has poured thousands of gallons of water over the reactors since the 2011 incident, and disposing of the water with radioactive content is a major problem.(引用終わり)

 以下の映像を見ていただければ、核燃料のメルト・スルーによって人類史上未曽有の事態を引き起こしてしまっている福島第一原子力発電所の現在の状況を垣間見ることができる。是非、見ていただきたい。

フクシマ トリチウウム水蒸気

https://www.youtube.com/watch?v=-f10qxt0C8I

臨界を想像させるような異様な光とトリチウム水蒸気が出ているのが確認できるはずである。

20151127日の東京の濃霧も太平洋側が乾燥する季節に何処から水蒸気が来たかを考えるとあまりにも恐ろしい連想を誘うものである。

東京濃霧 2015年11月27日

また、以下の湿度もあまりに不可思議である。

石巻 湿度 2015年11月26日

日本のマスコミは黙りを決め込んでいるが、放射性水蒸気(トリチウム水蒸気)が滞留していると考えるのがどう考えても一番自然である。

以前も紹介したが、今秋、福島県宅地建物取引業協会が東京電力を訪れ、約25億円の損害補償を申し入れている。来年以降、不動産への原発被害がいよいよ顕在化し、今後は周辺地域、都市圏への波及が警戒される事態となっている。このことを以下の数字がよく物語っている:現在、東京23区の賃貸マンション空室率の上昇が止まらない。既に千代田区36%、中央区28%、目黒区27%となっている。日本政府が放射能汚染を頑なに隠蔽する一番大きな理由は、首都圏の不動産価格を下げたくないからである。都市圏の地価は10%の毀損で100兆円近い評価損失となる。これだけで信用創造機能は不全に陥ってしまう。農林水産業や事業損失に加え不動産の賠償が加わるとなれば、脆弱な日本の財政など一瞬で破綻することは明らかだろう。そのために官民上げて情報統制に狂奔し、被害実態を隠蔽し、富裕層が資産処分の時間を稼ぎ、クライシスを先送りしている。

 

また、下記の避難基準を見ていただきたい。以前のレポートでも指摘したが、民主党の菅直人政権時代、福島県という地方自冶体を残すために採用されたのが下記の基準である。

この背景は船橋洋一氏の「カウントダウン・メルトダウン」に詳細に描かれている。

チェルノブイリより4倍も高いフクシマの避難基準

「ブッラクアジア」という著書がある人気ブロガー鈴木傾城氏が少々古いが適確な指摘をしているので紹介する。以下。

 

「放射能に汚染される首都圏で暮らして、人々が騒がない理由」 2013-10-29

 

東京はまったく福島の原発事故の影響がないと言われているが、これは完全なるデマだ。

日本政府は全国の環境放射能水準調査を発表しているが、東京は全国で3番目に放射能が高い地域となっている。放射性セシウムは、これを見ると東京で6.6メガベクレルも検出されているのが見て取れる。(http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/9000/8041/24/195_Jul_0830_0905.pdf

日本政府は往々にして調査結果を低めに測定するが、それでも東京が汚染されているのは隠せない。放射能は流行と違って、人が存在を忘れたからと言って無力になるわけではない。知らないうちに首都圏の人間はどんどん内部被曝していくことになるのだ。そもそも、首都圏の人間は2011年3月の中旬から後半にかけて、3600ベクレルもの内部被曝をしたのだ。

よく分からないのであれば、このように言えば分かるだろうか。東京は、チェルノブイリの数百倍、数千倍もの放射能がそのときに舞っていた。このとき、東京を脱出していた人は正しいことをしていたのである。

 

放射能のせいであることは徹底して無視される

日本では、2011年3月に福島第一原発が爆発してからというもの、行政もメディアも、まったくアテにならないことが明るみになった。政府も当てにならない。民主党は史上最悪の政権だったが、この政権が倒れて自民党政権に戻っても、原発の扱いについてはいまだ現状は変わっていない。小泉元首相のように、脱原発に動き出す政治家も見られるようになったが、安倍首相はそうではない。

もう日本では原発が存在できないことは状況的に見れば明らかなのだが、それが普通の人に理解できるようになるのは、実際に内部被曝を起因とする夥しい病人や死者が顕在化してからだ。

 

それはまず、統計として現れる

2011年以降から癌による死者が20万人30万人の単位で増え始めたのが隠せなくなってから、やっと日本政府は内部被曝が深刻であることを認めることになる。それまでは、情報封鎖・隠蔽・矮小・安全デマを繰り広げて、あなたの体調不良や健康被害が放射能のせいであることは徹底して無視されるのは言うまでもない。つまり、私たちが楽観的になって暮らしていたら、内部被曝させられるがままになるということだ。

危機感を感じて、状況を注視しておかなければならない。特に子供を持つ母親は、用心に用心を重ねて情報を収集していないと、子供が悲劇に遭う。母親に危機感がなければ、子供が不幸になる。

 

基本的に、日本の組織は誰も責任を取らない

20121225日、茨城県取手市の小中学校の心臓検診で、「要精密検査」と診断された児童が急増しているケースが東京新聞によって報道された。「QT延長症候群」の疑いがあるというものだったが、この「QT延長症候群」とは、突然死を招くものである。

子供の突然死を引き起こすような「危険な診断結果」が原発爆発後に増えているのだが、それがなぜかほとんど問題視されていない。この記事はすでに消されているので、「73人が要精密検査、取手市内24校心臓検診」と検索してみてほしい。いくつかのサイトで記事が読めるはずだ。

日本の水面下で起きている危険な出来事を、日本人はまるで他人事のように「知らないふり」で乗り切ろうとしている。放射性物質は体内に蓄積する。セシウムは筋肉に蓄積し、ストロンチウムは骨に蓄積するのだ。

だから、これから白血病も、甲状腺障害も、心臓障害も、ありとあらゆる病気が激増していくことになり、やがてはそれが統計となって私たちの目に触れることになる。

しかし、当事者として重要なのは統計ではない。私たち自身の健康であり、家族の健康であり、子供たちの健康である。

親はもう公的機関もマスコミも信用できないことは、肝に命じておくべきだ。

なにしろ、日本の組織は誰も責任を取らないのだ。福島第一原発が爆発してから、どうなったのか調べてみればいい。

「プルトニウムは飲んでも大丈夫」の東大教授も、「ただちに影響がない」の政治家も、「飛び散った放射能は東電の所有物ではない」の東京電力も、誰ひとりとして刑務所に行っていない。数千万人に巨大な影響を与えた大惨事だというのに、当事者は誰ひとり罪にならない。あまりにも信じがたいが、これは事実である。私たちは今、誰も責任を取らない国で暮らしている。

 

負債は企業にも個人にも致命傷になり得る

だから、私たちは、常に危機感を常に持っていなければ大変なことになる。首都圏は現在、日本で3番目に放射能汚染のひどい場所であることを自覚しなければならない。

このままでは、自分が犠牲になるか、自分の家族が犠牲になるか、子供たちが犠牲になる。何しろ、今でも放射能は静かに堆積しているのだ。

東日本や首都圏は、今後は放射性物質の累積で人間が住めない地域になる可能性もあると考えた方がいい。長期的に見ると「棄てられる地」なのだ。

それなのに、なぜ騒ぎにならないのか。

それは、誰もが東日本に「関わり」を持っているからだ。

人々はそこで暮らし、生活し、仕事をして、不動産を持っている。放射能汚染で騒げば、不動産の資産価値が下がるのは分かりきっている。この世の中で、誰が進んで損することをするだろうか。

放射能は中国の大気汚染とは違い、目に見えず、臭いもしない。だから、騒がなければ資産価値は守られる。必死の思いで不動産ローンを返し終わったら放射能汚染地帯になっていて人が暮らせなくなっていたとなると、何のための人生だったのかということになる。放射能に汚染されていく土地で暮らして人々が騒がない理由は、まさにここにある。巻き込まれている人は誰もが絶対に放射能の問題など認めない。資産価値を守るためには、「放射能は人体に良い」とさえ言い出すだろう。それが人間なのだ。

逆に言えば、自分の身を守り、家族の身を守るためには、何が隠されようとしているのかを把握し、自分がしっかりと防衛に努めるしかないのだ。

子供たちを内部被曝から守ろうとする母親は、孤独な戦いを強いられることになる。(引用終わり)

最後に元スイス大使村田光平氏のホームページから川上直哉氏の「原子力災害の第二段階を前にして」という驚くべき情報満載の文章を紹介するので、是非、読んでいただきたい。

 

「原子力災害の第二段階」を前にして   20151111日  東北ヘルプ事務局長 川上直哉(牧師・神学博士)

<川上直哉 略歴>

1973年、北海道に牧師の息子として生まれる。神学博士(立教大学)・日本基督教団正教師。宮城県教誨師(日本基督教団東北教区から派遣)、宮城県宗教法人連絡協議会常任幹事(日本基督教団東北教区宮城中地区から派遣)、仙台白百合カトリック研究所研究員、仙台キリスト教連合被災支援ネットワーク (NPO法人「東北ヘルプ」)事務局長、食品放射能計測プロジェクト運営委員長、東北大学「実践宗教学」寄附講座運営員長、世界食料デー仙台大会実行委員長(20154月現在)

 

【要 旨】 

1.定義

 2011 3 11 日に起こった地震と津波によって、東京電力福島第一原子力発電所が爆発事故を起こした。この際起こった被害は、徐々に明らかになった。避難時の不手際などによる悲劇を含めて、これを「原子力災害の第一段階」と呼ぶ。

「原子力災害の第一段階」において、たとえば予防原則に基づいて適切な措置が取られていれば起り得なかった災害が、今、起りつつある。それを「原子力災害の第二段階」と呼ぶ。

2.転機

 「原子力災害の第二段階」が始まる転機は、2015 年秋に認められる。

3.社会的状況

 この 2015 年秋には、「福島安全宣言」に類する動きが活発化してきている。これは、震災以後続いた体制の行き詰まりを示すものとも見える。

4.見通し

 2016 年中には、内外の惨状がある種の「閾値」に達し、原発事故直後に起こったと同様の社会的変動が起こると見通せる。

5.結論

  キリスト教支援団体である我々は、上記の見通しの中で、自らの役割を果たす努力を更に具体的に進める。それは、宗教の領域において可能な努力を尽くすことで、政治・経済・法・報道・学問の各領域で同様の努力が進められることへの刺激となることを志してのことである。そのように各自が「持ち分」を誠実に引き受け始めることによってのみ、未曽有の事態に茫然自失しているこの国の再生が始まると信じている。

 

【本 文】 

 2015年秋は、大量の情報が流れ出た記念すべき時として記録されることだろう。それは「原子力災害の第二段階」の始まりを画するものとしてまとめられる。以下、その報告をまとめ、今後の流れを予測し、支援活動の方針を考える資料とする。

 

1.「原子力災害の第二段階」とは

 2011311日に起こった東日本大震災により、東京電力福島第一原子力発電所1~4号機は爆発事故を起こした。(国会での証言資料によると)セシウム137だけでもヒロシマ型原爆の160倍程度の汚染が引き起こされ、(ある英語文論文によると)セシウム134だけでもチェルノブイリ原発事故の3倍程度の汚染が引き起こされ、(報道された限りにおいて)プルトニウム239だけでも32億ベクレルの汚染が引き起こされた、とされる。(201411月のドイツにおける日本人の研究によると)ヒロシマ型原爆の7万倍のプルトニウムが降下した。避難時の不手際も続発し、多くの悲劇が起こった。また、(NHKの報道によると)東京電力福島第二原発と東北電力女川原発においても、270億~6200億ベクレルの放射性ヨウ素が放出された。これを「原子力災害の第一段階」と呼ぶ。

 その際、ほとんどの地域で安定ヨウ素剤が配布されなかったことに始まり、諸々の「不作為」が続いて現在に至る。たとえば、1986年の原子力災害において、特にその5年目(1990年)の9月に開催された「第一回チェルノブイリ事故の生物学的、放射線医学的観点にかかる国際会議」以降順次定められた「チェルノブイリ基準」に従えば、「移住の義務」を課せられる土壌汚染が無数確認される福島県中通地区においてすら、公的な除染の際に土壌の汚染状況を計測することは、2015年現在、全く検討されていない。その不作為の結果起こってくる悲劇を、「原子力災害の第二段階」と呼ぶ。

 現在、この「第二段階」の始まりが見えていると思われる。

 

2.転機

 「第一段階」から「第二段階」の転機は、小児甲状腺癌の多発が確認されたところに認められる。それは、108日の外国人特派員協会における津田俊秀氏の会見が具体的な契機となる(この会見内容については、既に英語でも報道されている)

 この秋には関東地方での小児甲状腺の異常が報道され、茨木県北茨木市での甲状腺異常が報道された。その後、2011年時点で未成年であった千葉県柏市民173名の内11名が甲状腺癌およびその疑いであることが発表された。柏市の未成年者数はおよそ7万人程度と推定されるので、「11人」という数字は、極めて高い値を示している。

 上記は、2011年の原子力災害が1986年のチェルノブイリ原発による原子力災害の後を追いかけていることを示している。1986年の原子力災害の場合、6年目・7年目にかけて、各種の疾患数が爆発的に増加している。来年6年目を迎えるのが2011年の原子力災害である。各種の疾患数はどうなっているのかを確認することは、意味あることだと思う。

 実際、日本においては、例えば急性白血病の診療実績が右肩上がりに増えている。ただし、福井県、大阪府、和歌山県、鳥取県、香川県も大幅に上昇していることは注意が必要である。このことは、二つの可能性を示している。一つは、がれきや土砂等の移動による被ばくの拡散という可能性、もう一つは、そもそも2011年の原子力災害の被害は本州全域に影響を与える規模であったという可能性である。201314年のお茶とキノコから行政が確認した放射能の数値を整理すると、静岡県や長野県における汚染の高さがわかる。各地の行政が発表した空間線量の報告を集めてみると、愛知県県境の西側付近で震災前の二倍以上の放射線量を確認している場所があることがわかる。

 1986年の原子力災害の後、甲状腺癌については、子どもよりもむしろ大人の発症数が爆発的に増え、その発生率も永続的に右肩上がりとなることが報告されている。例えば甲状腺単科の専門病院である伊藤病院の外来件数の推移(現在は2014年まで公開・2010年比は微増)に、今後注目することが有益と思われる。

 

3.社会的状態

 しかし、上記のような事態にもかかわらず、社会は反応していない。むしろ、515日には「『福島安全宣言』実行委員会」が組織され、923日には6号線を中高生に清掃させるイベントが行われ、1012日には南相馬市でサーフィンの全国大会が開かれた。他方で、東北ヘルプの「短期保養」支援プロジェクトは2013年から201510月までに560回を超える面談を東北・関東で行い、子どもの健康被害を訴える親たちの声を拾ってきた(報告書「東北ヘルプ「短期保養支援」の面談結果について」および「保養面談報告書」を参照)。この声と、上記の動きと、両者の間にある乖離は激しいものとなっている。

 ただし、上記の「『福島安全宣言』実行委員会」の代表である矢内筆勝氏は「幸福実現党」の総務会長兼出版局長であり、会の事務局所在地は「幸福実現党福島後援会」の住所と同一である。またこの会の顧問には田母神俊雄氏が就任している。予断を敢えて記せば、この運動はむしろ、今後健康被害が隠し切れなくなった時の「トカゲのしっぽ切り」のために、憎悪の対象を明示する作業が行われている、とも見える。

 沖縄・辺野古における基地建設を巡る政府の動きも、また、所謂「アベノミクス」の現状も、現体制の行き詰まりを如実に示しつつある。そうした中で「原子力災害の第二段階」が現在進行している。

 

4.見通し

 以上を踏まえて、今後、大きな社会変動が起こることが予想される。具体的には、数千万人の規模での人々の移動が起こるだろう。その混乱はどのようにして起こるか。上記の情報と、現在東北ヘルプが担っている支援活動、とりわけ562回の面談を行い126世帯(大人299人、子ども307人)の状況を定期的に聞いて得られた情報とを総合すると、以下のような見通しが示され得る。

 

(1)2015年度中に政治的状況が激変する。

 2011年の原子力災害の結果、ある昆虫(ヤマトシジミ)においては、「骨格」に相当する部分の異常が5世代目をピークに増加することが、既に実証されている。2013325日には、福島県飯館村では馬の不審死が相次いでいると、フォトジャーナリストが報道している。また、放射能の強い地域のモミの木に異変が起こっていることを報告する論文(英文)も20152月にされた(なお、この報道においては、2011年の原子力災害の方が1986年の原子力災害よりも深刻な状況にあることが示唆されている)。

 元外務官僚である原田武夫氏は、2015111日公開の「安倍晋三総理大臣への公開書簡」において、同年12月には日本経済に行き詰まりが起こり、そして「福島第一原子力発電所を巡る健康被害の実態」が明らかにされる、としている。この書簡は実名で公開されていることから、注目に値する。経営学の専門家(大学教授)と外交の専門家(元大使)にこの内容についての評価をお願いしたところ、以下のように回答を得た。

 

「興味深い内容であり、出鱈目を述べていると断ずることはできない。外交関係についての記述については、確かな情報源をもっていることがうかがわれる。経済的な記述については、6割方、正しい記述である。ただし、中小企業と組んだビジネスに絡んで議論がなされていることが気になる。また、日銀の量的緩和についての理解については、根拠が示されずに私見が前面に出てきている。中小企業に対する大手銀行員の理解・態度については、現在のトレンドを提示していない。これらの点が、説得力を減じている。」

 

 20151026日の報道によると、事故当時、事故現場から20キロ圏内で避難誘導を担当した自衛官など、約三千人の内、38パーセントが、作業中に「1ミリ㏜」以上の被ばくをした。この人々の健康被害が明らかになるというのが、上記原田氏の議論であった。

 川上の周辺に、癌および脳・心臓の血栓を患う人が増えてきている。保養相談においでになった方のお一人のご友人は、都内の幼稚園の経営者の立場で、奇形・体調不良の入園者が増加していることに恐怖を感じ東京を去って九州へ転居した、という。こうした動きが、どこまで広がるか。その流れ次第で、比較的早い段階(年度内)で大きな変化が訪れることになるかもしれない。

 

(2)20163月に社会的状況が反転する。

 「真実を探すブログ」といった個人のブログは、これまで、多くの情報を整理してきた。しかしそこには編集の作業や反証の検討において、不足が多々見られる。これをもって「移住」といった大きな決断ができる人は、決して多くないものと思われる。

 現在、内外から数多くのジャーナリストが原子力被災地を取材している。「国境なき記者団」の某記者から直接聞いたところによると、ジャーナリストにとっては「日付・年数」の数字が重要であるとのこと。つまり、「5年経過したフクシマの3月」といったキャッチコピーを付すことができるまで、今調べていることを発表することをしない(できない)のが、ジャーナリストである。それは経済的な理由による動かしがたい現実である、とのことだった。

 1020日に白血病を発症した廃炉作業員に労災が認定された、というニュースが報道されながらも、116日の共同通信は汚染地帯を中高生に清掃させたことへの批判を「誹謗中傷」と報道した。このように、現状は、各ニュースが突き合わされることなく陳列されている状況にある。これはジャーナリストの作業が顕在化していないことを端的に示していると言えるだろう。

 ということは、現在進められている内外のジャーナリストの調査が世界中で一斉に報道される可能性があるのが、20163月、ということになる。それは、日本の空気を一変させる可能性がある。

 川上は支援の現場で「5年が限度」と感じている母親たちの多くいることを見聞きしている(報告書「東北ヘルプ「短期保養支援」の面談結果について」および「保養面談報告書」を参照)。今年になってから、「離婚してでも」子どもを移住させようという思いが、母親たちの間に強くなっている。夫への絶望がそこに見られる。そうした中で、現在曖昧とされている事柄が整理され提示されたなら、2011311日以降の数週間の間に起こったように、母親たちが一斉に行動を起こすかもしれない。

 

(3)2016年中に国際的環境が厳しさを増す。

 1025日の新聞において、除染で使用した道具が、2012年以来、「一般のごみ」としてコンビニなどに廃棄されていることが報道された。

 20141231日の新聞で、東京電力が、福島第一原子力発電所の解体作業に際し使用していた放射性瓦礫飛散防止剤を10倍に希釈していたことが報じられた。この年の夏までの間、南相馬市の農家から「放射性物質が飛散している」との指摘を受けた日本国政府と東京電力は、一年がかりの調査の結果「三号機から大規模な放射性物質の拡散がなされた」といったん発表したが、すぐにそれは「再計算」によって訂正・撤回され、結局この問題は「飛散の原因は不明」とされていた(経緯のまとめはこちら)。

 20151029日、東京電力は記者会見を開き、格納容器外の場所で最大9.4㏜毎時を計測したと発表した。それは45分で人が死ぬ空間放射線量であるという。つまり、20141231日の報道は、そうした現場の粉塵飛散防止がなされないままに原発周辺のがれき撤去作業が行われた、ということを伝えていることになる。

 上記は、放射性物質による環境被害が継続して拡散している可能性をうかがわせる。国内では、このことへの批判は弱い。しかしこれが国際社会を相手にした場合、どのようになるか。

 米国のFM局のサイトは、20151031日、福島第一原子力発電所事故現場から毎日300トンの汚染水が流出していることを伝え、その影響について詳細に報道した。

 2015925日のNHK国際放送は、2号機の核燃料のほとんどは格納容器の中に残されていないことを、名古屋大学の森島邦弘教授が結論付けたと報じた。また、環境中に核燃料が露出している危険性を、20157月の英語版の日本の新聞は、はっきり指摘している。2011年の事故後、放射性物質の排出量は当初の想定よりもはるかに多く、また、はるかに長期間にわたっていることが、東京大学や九州大学の調査で明らかにされたと、英語で2014年に報じられている。しかし日本でこのような報道は、ほとんどなされない。

 2014 年、米国では、原子力災害に携わる日本の高級官僚が「平気で」放射性物質を拡散させていることを告発する番組が放映され、また、フランスでは、海洋および大気における汚染を検証する番組が放映された。福島県のある地域に住む女性の証言によると、カナダへ書籍その他一般的なものを郵送する際でも、送り元にFukushima の文字を入れると、徹底的な検査を受けて送付先には届かず、それではと、Fukushima を書かずに送ると、そのまま届く、という。これは、世界の危機感を伝える一つの証言である。

 キログラム当たり5万ベクレルを超えるマッシュルームの画像情報が、20151029日に英語のサイトにおいてアップロードされた。1020日には、廃炉作業員の白血病発症に労災が認定されたことも英語で報道された。915日にはポーランド語と英語で福島県内の状況が詳細に報道されている。以前にも、たとえば20124月に、米国で流通する日本産の海苔の放射線量が高いことが米国の環境団体のサイトで報告されていた。今後、こうした情報が五月雨式に出、噂レベルでの関心は強まるだろう。

 日本は海洋法に関する国際連合条約の締結国である。締結国各国は自国の排他的経済水域の環境について管理する権利を有している(56条)。原発事故現場から排出される汚染水についての評価は、各国が主体的に判断するものであって、日本国政府の指示に従うものではない。

 従って次のように結論付けることができる。仮に、2015年度中に健康被害の顕在化が政治的影響をもたらさず、20163月の報道によって社会が変化しなくとも、その両者は国際的な影響(外圧)となって日本に押し寄せることになるだろう。2015115日の Japan Times 紙は、「2020 年オリンピックからの名誉ある撤退」を求める記事を掲載し、すぐ、英語でそれに続く報道がなされている。こうした動きは今後強くなり、2016 年には大きな影響を日本全体に与えるものと思われる。

 

5.結論

 我々はキリスト教に基づく支援団体である。以上の見通しは、我々の支援のためにあえて獲得するものである。

 以上のような見通しの中で痛む魂への配慮こそ、我々の課題である。我々の課題は、政治的変革でも、経済的利益の追求でも、法的正義の確保でも、情報の公開でも、真理の追究でも、治療・衛生でもない。

「魂」の語をもって、「精神(霊)」と「肉体」の総合を指す。全人的な支援を担うために、上記の見通しに従って、以下の支援を行う。

a. 原子力被災者の尊厳を守る。そのために、被災者各位の自己決定のそれぞれを尊重する。あらゆる宗教的立場(キリスト教を含む)・政治的立場(反原発を含む)については、常に中立を旨とする。以上を理解し賛同するチャプレンを派遣し、絶望から人々を保護する。

b. 原子力被災地に留まりたい、留まろう、と志す人に対しては、「減災」のために必要な情報を提供する。具体的には、内部被ばくを避けるための食事レシピや短期保養のための情報や資源を提供し、土壌と食品の放射能計測を行う。

 

c. 原子力被災地から避難したいと志す人に対しては、その避難を支援する。そのために、 

c-1. キリスト教のネットワーク(YMCAYWCA、「友の会(羽仁もと子の系統)」等)に、避難者を保護するための各地の市民活動を、つなげる。このネットワークを活用し、米国黒人奴隷解放運動のために作られた「地下鉄道」の故事に倣い、避難したくてもできない人々のために可能な奉仕を行う。

c-2. 非難希望者が避難のイメージを具体的に描けるように、避難した体験談を提供する。

c-3. 避難希望者が避難の契機をつかめるように、今後の見通しを日々更新しつつ提供する。

 

 以上を実行するために、以下のような体制で支援活動を展開する。

 

(1)本部事務局の維持管理:年額約600万円

 (事務局長1名・職員2名・事務所家賃・自動車維持費・通信費・その他雑費)

 

(2)放射能計測所の維持管理:年額400万円

 (職員2名・計測機器維持管理)

 

(3)支援活動費:年額1000万円

 (チャプレンによる訪問傾聴・チャプレンの連絡協議・集約された情報の発信)

 

(4)短期保養支援費:年額500万円

(年間250回の短期保養を支援) 

 現在、国内の献金でおよそ1500万円が確保できる体制にある。今後、上記(3)(4)を獲得するために、国内外の諸団体に、合計1000万円の資金申請を行うこととする。(引用終わり)

丸山環境相 フクシマ視察


*この姿を見れば、フクシマ第一が如何に危険な状態にあるかがわかる。こんな恰好して風評払拭と言っても海外の人は誰も信用しないだろう。


戦後の国民作家である司馬遼太郎氏が創り上げた<明治維新の夢>から目を覚ます時を日本人は迎えている。(もっとも十代、二十代、小生もその夢を事実だと思っていたのだが、)元スタンフォード大学の西 悦夫氏が「誰も知らない明治維新の真実」という講演で明治維新の真実を暴露したり、原田伊織氏の「明治維新の過ち~日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト~」という本が出版され、結構売れているのもおそらく、そんな時代の大きな変化の現れである。

そう言えば小栗上野介忠順の甥である蜷川 新氏の「維新正観」という名著も本年、再刊されたようである。知ろうと思えば、本当の事を知ることのできる環境が整ってきたということであろう。まだ、一方でNHK大河ドラマ「花燃ゆ」のような明治維新勝利者側の官製プロパガンダドラマも相変わらず放映されているが、間違いなく日本の長い歴史から考えても現在、日本は大きな節目を迎えていると考えていいだろう。私たちは、平安時代の藤原氏の摂関政治でも150年ちょっとしか続かなかったことを思い浮かべるべきなのだ。明治維新以降の現在まで続く藩閥政治もちょうど150年、そろそろ幕引きの時を迎えている。明治維新の時はイギリスと、戦後はアメリカと取引しているわけだが、現在、長州閥の安倍氏が総理をしているのも何かの因縁だろう。

 

ここで大切なことは純粋にお金の流れから日本の近代史を見直すことである。

ポイントはヨーロッパが200年にわたる略奪、殺戮をほしいままにしていた1820年においても、まだ、アジアの方が豊かだったことを知ることである。

 

1820年において中国、インド、東南アジア、朝鮮、日本からなるアジアの所得は、世界の58%を占めていた。その後、19世紀におけるヨーロッパの産業革命、20世紀に入ってアメリカの工業化が進むことによって、1950年には、ヨーロッパとイギリスとイギリスの4つの旧植民地(アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)が世界所得の56%を占める一方、アジアのシェアは、19%までに落ち込んだ。ところが、この頃からアジアは成長し始め、1992年の段階で、39%までに回復。2025年には、57%に達し、200年ぶりにかつての地位を取り戻すことが予想されている。(「アジア経済論」原洋之介編NTT出版、「近代中国の国際的契機」東京大学出版会

 

私たち日本人は、米国が行った戦後の教育改革によって東大卒のエリートであっても、国際銀行家とお金の存在がそっくり丸ごと抜け落ちている近代史しか意図的に教えられていないのが現実である。年表を見ればすぐわかるように近代における歴史は戦争が主役である。そして戦争がどのように作られるのかといえば、その原動力はお金である。そしてそのお金がどこから誰によってもたらされたのかという金融の仕組みを知ることなしに、近代の歴史を本当に理解することはできない。

大英帝国を基盤とする国際銀行家のお金が日本に影響を与え始めるのは、幕末からである。伊藤博文や坂本龍馬も、ロスチャイルド一族とつながっていた人物であることを絶対に私たちは忘れてはならない。このことは「一外交官の見た明治維新」(アーネスト・サトウ)等の本を行間まで読むとはっきりと浮かび上がってくる。

周知のことだが、明治維新を成し遂げたのは、薩摩藩や長州藩、それに土佐藩など地方の下級武士であったとされている。代表的な人物には、西郷隆盛大久保利通木戸孝允(桂小五郎)などがいる。ほかにも、テレビドラマに再三登場する坂本龍馬などがいる。彼らの背後にいたのが、ロスチャイルド一族の使用人であるイギリス人の、トーマス・グラバーという武器商人であった。実はこの人物こそが、明治維新のキーマンである。グラバーは、イギリスのロスチャイルド一族の貿易会社マセソン商会の社員として中国の上海に来た後、日本の長崎にやって来た。そこでマセソン商会の日本支社であるグラバー商会を立ち上げ、幕末の混乱を利用して薩摩藩や土佐藩などの倒幕側に武器や弾薬、その資金まで提供している。そして坂本竜馬もグラバーから約7000丁のライフルを売ってもらい、それを薩摩藩名義で長州藩へ横流しすることで、薩長同盟を成功させたのである。つまり龍馬も、幕府を倒したいグラバーの計画通りに動かされていたということである。

このようにグラバーがイギリスのロスチャイルド家のために働く一方で、フランスのロスチャイルド一族は、江戸幕府を支援していた。このように日本の幕末から明治初期の動乱の間、ロスチャイルド一族は、幕府側と倒幕側の両方に武器を提供して大儲けを狙っていた。つまりどちらが勝っても彼らが利益を手にし、支配権を握る分断統治の仕組みであった。これこそがヨーロッパで彼らが実践し、今もなお世界各地で活用している常套手段である。表向きにはイギリスとフランスは、日本の支配権争いで対立しているように見えていたが、これがロスチャイルド一族一流のやり方であって、彼らは国を超えてつながっている。しかしそのことは、当時の幕府側も倒幕側も知る由もなかった。 

ご存じのように日本の初代内閣総理大臣の伊藤博文は若いとき(明治維新前)に、長州藩の仲間と一緒にイギリスに留学している。そしてイギリスのロスチャイルド家当主やそれにつながる人たちのお世話になっているのである。この若者たちは5人いたので「長州ファイブ」と呼ばれたが、イギリス側からは「マセソン・ボーイズ」と呼ばれていた。それは彼らの世話をしていたのが、ロスチャイルド一族に仕え、グラバーのボスでもあったマセソン商会社長のヒュー・マセソンだったからである。

 伊藤博文をはじめとする5人の長州藩の若者は、いずれも後に明治新政府で要職に就くことになる。ほかにも15名の薩摩藩士の若者たちがイギリスに留学している。これが偶然のはずがない。彼らは政治家や経営者になった後に、恩を受けたロスチャイルド一族の要求に沿った制度改革を実行に移していくことになるのは当然のことだろう。

 このようにイギリス人の存在も含めて明治維新を見直すと、明治維新がロスチャイルド一族とその配下のイギリス人たちが、日本の下級武士たちに起こさせたテロ、クーデター(倒幕)であった性格を持つことがはっきりと見えてくるのである。

このようにして、イギリス勢は下級武士と協力し、明治維新と呼ばれる数々の構造改革を行ない、日本の近代を間接的にコントロールしていくことになる。その事が戦争ばかりをする日本近代史に繋がっていることをそろそろ私たち日本人は、気が付くべきなのである。 

ところで、戦後保守論壇を代表する江藤淳氏は、自殺する前に書いた「南洲残影」で<明治維新という近代化>について、西郷隆盛に下記のように語らせてその欺瞞を鋭く指摘している。

 

「それでは何故に、「天子」と皇族と政府の輩とが、相集うて、国を亡ぼそうとしているといえるのか。彼等こそは兵力と小銃大砲と弾薬と、軍資と糧食と運輸機関と、軍艦と通信電線との力によって、この国を西洋に変えようとしている者たちである。黒船を撃ち攘(はら)い、国を守ることこそ、維新回天の大業の目的だったではないか。しかるに今や、「天子」と皇族と政府の「姦謀」は、自らの手でこの日本の津々浦々に黒船を導き入れ、国土を売り渡そうとしているではないか。西郷はそれが赦せない、しかるが故に立ったのだと。(58ページ)」

 そして、妻に先立たれた江藤淳氏は、西郷隆盛のように欧米主導の日本近代史の真実に気が付き、日本の近代に絶望して自裁したのであったと思われる。

また、「明治維新」と言う言葉は、昭和になってから226事件、515事件等に見られるファシズム運動によって一般化した言葉で幕末の御一新の時には全く使われていなかったものであることも私たち現代人は理解しておく必要がある。維新と言う言葉は水戸学の藤田幽谷が生み出した言葉、攘夷という言葉も彼の造語である。一番大きなポイントは、薩摩、長州の倒幕をした下級武士には、討幕後の体制の展望が何もなかったことである。すべて、その後始末をしたのが、幕府の老中、阿部正弘等が育てた能吏たちであったことも大きな声で語られない日本の近代史である。

それでは、「明治維新の過ち~日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト~」原田伊織著には何が書かれているのか。以下、簡単に紹介する。

明治維新という過ち

敗戦後の占領を自覚しなかった日本人

 

原田氏が生まれた年に米軍の占領が始まり、小学校に上がる前年日本は独立を回復する。ところが日本人自身に、自国が外国に占領されていたという自覚がほとんどないと著者は指摘している。また日本が歩いた敗戦に至る過ちを「総括」することもなかった。ただ単純に、昨日までは軍国主義、今日からは民主主義と囃し立て、軸を大きくぶらしたにすぎなかったと。そして明治維新の時も同じだったと著者は主張している。それまでの時代を全否定し、ひたすら欧化主義に没頭した。没頭したあげく、吉田松陰の主張した対外政策を忠実に従って、大陸進出に乗り出していったのだという。日本に近代化をもたらしたとされる「明治維新」と称するものを一度も総括することがなく、ただ極端から極端へとぶれることを繰り返しただけなのだ、と著者は言っている。

 

私たちが知っている明治維新は、官軍の創作にすぎない

 

歴史というものは勝者が作り上げるものであり、そこには多かれ少なかれ嘘や捏造が紛れ込んでいるという考え方がある。しかもその多くが、薩長政権による創作であるとしたらどうだろう。NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」が描くような吉田松陰や門下生による幕末・明治維新は、本当に存在したのだろうか。松陰や門下生の活躍を描いた司馬遼太郎「世に棲む日々」を読むと、吉田松陰、久坂玄瑞、高杉晋作たちがやったことは、現在でいうならテロである。異国船での密航、英国公使の暗殺未遂、英国公使官の焼き討ち、幕府老中の暗殺計画などは間違いなくテロである。司馬遼太郎は、それらを「革命」という言葉で誤魔化しているが、果たしてそれは正しい歴史認識なのだろうか?

 

官軍教育が教える明治維新とは

原田氏はまず、薩長政権が作り上げた「明治維新」とは何かを提示する。長く鎖国が続き、封建体制のまま停滞していた日本を、欧米の列強による植民地化から防ぎ、大いなる近代化をもたらした革命。その立役者が薩長土肥の下級武士を中心とした「志士」たちだった。長州の桂小五郎、吉田松陰、久坂玄瑞、高杉晋作、山県有朋、伊藤博文、井上馨、薩摩の西郷隆盛、大久保利通、土佐の坂本龍馬、板垣退助、後藤象二郎、肥前の大隈重信、江藤新平などである。彼らは幕府や佐幕派の勢力の弾圧に屈せず、「戊辰戦争」に勝利して、討幕を成し遂げ、日本はようやく近代化への道を進み、今日の繁栄があるのだ。それが、著者が教えられた「官軍の歴史」である。しかも学校での教育だけではなく、エンターティンメントの分野でも「新撰組など悪の勢力と戦い、勤皇の志士を助ける正義の味方、鞍馬天狗」などの作品が偽りの「明治維新」を国民に刷り込んでいったのだ。「竜馬がゆく」を書いた司馬遼太郎にも、その責任の一端はあるという。著者は、この「官軍による明治維新」をほぼすべて否定している。そして勝者ではない側の視点から幕末史をもう一度見つめ直そうとしている。

 

テロリスト集団、長州藩

 

原田氏がまず注目するのは、薩長土肥の勤皇の志士の人物像である。彼らは、今でいうなら「暗殺者集団」、つまりテロリストであると著者はいう。我が国の初代総理大臣は「暗殺者集団」の構成員だったのである。また維新の精神的支柱と言われた吉田松陰が、事あるごとに、どれだけ暗殺を主張したか…。著者は、本書で多くのページを費やして、長州、そして薩摩のテロリストぶりを紹介している。高杉晋作による英国公使の暗殺未遂や英国公館の焼き討ち、久坂玄瑞らによる京での残虐なテロの数々。そして天皇の拉致、御所への砲撃も辞さなかった長州のクーデター計画。幕府を挑発するために、江戸において火付け、強盗、強姦、殺人など暴力の限りをつくした薩摩の赤報隊。「大政奉還」や「王政復古」をめぐる薩長勢力と幕府や佐幕派の熾烈な暗闘。そこで薩長が仕組んだ、天をも恐れぬ策略の数々…。そして著者は、テロリストたちの元凶とも言える吉田松陰の実像に迫っていく。

 

吉田松陰像の嘘

 

長州の志士たちの中でも、最も嘘で固められているのが、吉田松陰であると著者はいう。松陰は、乱暴者が多い長州人の中でも、特に過激な若者に過ぎず、いわば地方都市の悪ガキであると著者は決めつけている。松陰が開いたとされる松下村塾は、実は松陰の叔父の玉木文之進が開いたものであった松陰が神格化されるのは、維新後しばらく経ってから、自らの出自を権威づけたかった山県有朋の手によってである。松陰の思想というのも稚拙なもので、北海道の開拓、北方の占拠、琉球の日本領化、朝鮮の属国化、満州、台湾、フィリッピンの領有などを主張している。奇妙なことに、長州閥が支配する帝国陸軍を中心とした勢力は、松陰が主張した通りにアジアを侵略し、そのあげく日本を敗戦に導いていくのだ。

 

松陰の思想のルーツは水戸学

 

原田氏は、さらに松陰や長州の志士たちを駆り立てた思想のルーツは「水戸学」にあると指摘する。吉田松陰は、水戸学の中心人物である藤田東湖を崇拝したという。著者によると「水戸学は学問といえるような代物ではなく、空虚な観念論を積み重ね、それに反する生身の人間の史実を否定し、己の気分を高揚させて自己満足に浸るためだけの〝檄文〟程度のものと考えて差し支えない。この気分によって水戸藩自身が、四分五裂し、幕末には互いに粛清を繰り返すという悲惨な状況に陥った。」という。水戸で生まれた浅薄な狂気の思想が長州を狂気に駆り立て、幕府を滅ぼし、その後も水戸藩ゆかりの人物たちによって日本ファシズム運動として受け継がれていく。この流れが昭和初期に5.15事件や2.26事件を惹き起こし、日本を大東亜戦争へと導いていく。この水戸学を生み出した張本人が2代目藩主である水戸光圀(水戸黄門)と9代目の徳川斉昭であると著者はいう。水戸の攘夷論の特徴は「誇大妄想、自己陶酔。論理性の欠如」につきると著者はいう。大言壮語しているうちに、自己陶酔に陥っていく。この傾向は長州軍閥にそのまま継承され、昭和陸軍が、結局、軍事という最も論理性を求められる領域で論理性を放棄し、自己陶酔と膨張本能だけで中国戦線を拡大していったことにつながっていったという。以上である。


<原田伊織氏は昭和21年京都伏見生まれで、幼少時代を近江、佐和山、彦根で過ごし、司馬遼太郎と同じ大阪外国語大学を卒業、広告・編集の世界に。マーケティングプランナー、コピーライター、クリエイティブ・ディレクター、として活動している。

「維新正観─秘められた日本史・明治篇」蜷川 新著については、批評社の紹介文をそのまま紹介する。幕府側から見た明治維新を知る事のできる貴重な本である。以下。

維新正観

「維新」の名は美しく世人には響くけれども、事実は極めて醜悪に満ちている。われわれが国定教科書で教えられたことの大部分は、偽瞞の歴史である。その真実の究明から、新日本の「民主」を推進したい。(「序文」より)

 

尊皇攘夷の旗の下、幕府の開国政策に無謀な異議を唱え、孝明天皇の毒殺をはじめとする奸策と狡知によって、倒幕・権力詐取に成功したのが、薩長の奸賊集団であった。幕末維新史の実相を、史実に即して、大胆にしてかつ独自の視点から「正観」した明治維新論。類まれなる名著の翻刻版である。

 

 幕末・維新史に関する文献は、さまざまにあり、さまざまな視点から分析されているが、この本ほど当時の事実に即して書かれた本は珍しい。なぜなら著者は明治6年生まれで幕臣小栗上野介の縁戚(甥)にあたる人物だからである。

 徳川幕府の開国政策は、ペリーが東インド艦隊を率いて、1853(嘉永6)年63日(78日)浦賀沖に来航し、開国を求めるアメリカ大統領国書を提出したことによって大きく進展するが、老中阿部正弘らを中心に、諸大名から庶民まで幅広く意見を求めて、開国への準備を進めていた。翌1853(嘉永7)年1月(18542月)、ペリーは再び浦賀へ来航し、33日(331日)に、日米和親条約が結ばれ、下田と箱館を開港したのに続けて、8月には日英和親条約が、12月には日露和親条約がそれぞれ締結されて幕府の開国政策は大きく進展したのであった。また、幕府は日米修好通商条約の批准書交換のために、万延元年(1860年)1月、大老井伊直弼の発案により、正使新見正興、副使村垣範正、監察小栗忠順(上野介)をアメリカから回送されたポータハン号と幕府の軍艦咸臨丸の2隻の軍艦に乗ってアメリカに向けて品川沖から出帆した。使節団一行は、アメリカの地で大歓迎を受け、さらにヨーロッパに向けて見聞を広めて帰国したのだが、その間に、大老井伊直弼は、桜田門外で暗殺されてしまった。

このように幕府の開国政策に無謀な異議を唱え、「尊皇攘夷」という時代錯誤も甚だしいこの攘夷運動に決起したのが薩長土肥の勤王志士と言われる謀略集団であった。

孝明天皇は頑な攘夷論者であったが、孝明天皇の妹和宮と第14代将軍家茂の結婚によって、公武合体を推進し、攘夷派の無謀を譴責して倒幕の愚挙を排撃し、長州藩と公家の7卿の処分を宸筆の勅許をもって公式に伝えたのである。これに憤激したのが薩摩の西郷吉之助、大久保利通、長州の木戸孝允(桂小五郎)、井上馨と公家の三条実美、幽閉されていた岩倉具視ら下級公家の陰謀集団である。彼らは薩摩藩や長州藩とは関係ない中で、倒幕へ向けてさまざまな陰謀、奸策をめぐらし、暴力や毒殺による暗殺などあらゆる策謀を図ったのである。

こうした動きがある中で、大老井伊直弼は、安政の大獄といわれる粛正を断固として敢行し、尊皇攘夷派を抑え込みながら開国へ向けて大きく舵を切って行ったが、その反動とも言える事件が勃発し、さらにその後に孝明天皇の毒殺という一大事件が勃発した。まさに暴虐の連鎖による内乱へと突き進んで行ったのである。

安政733日(1860324日)、桜田門外で大老井伊直弼が水戸徳川家の家臣によって斬殺され、慶応2年7月20日(1866年)、大阪城内で第14代将軍家茂が毒殺されたが(同年8月20日まで伏せられた)、著者の父親、蜷川左衛門尉親賢は当時小姓組頭で将軍家茂に近侍していたため極秘事をよく知っていたのである。

さらに宮中においては岩倉具視が妹を女官として宮中に潜り込ませ、孝明天皇の毒殺を試みたが、一度目は失敗し、二度目に孝明天皇を毒殺したが、岩倉の妹女官は薩摩に連れて行かれ斬殺されたという。

一般に、孝明天皇は1866年1225日に天然痘で亡くなったことにされているが、一度目の毒殺は失敗に帰し、1211日頃から症状が出始めていたが、17日から便通もあり、食欲も回復し、熱も順調に下がり始めていた。二度目の毒殺で、21日から膿が出始め、23日には膿の吹き出しも収まって、全快に向かっていた。病状が急変したのは、25日。激しい下痢と嘔吐、最後には体中の穴等穴から出血という激しい死に様だったという。

「風評では(孝明天皇)崩御の原因は天然痘といわれたけれども、幾年かのちに、私は裏面の消息に精通する日本人から、帝は毒殺されたのだと教えられた」(遠山茂樹著『明治維新』211頁)。当時の武士には武士道の矜恃がまだ残っていたが、薩長の反幕集団には、武士ではなく郷士という武士階級(士分)の下層に属した人々が多く、「尊皇」の志もないまま、損得利害だけで天皇毒殺という大それた犯罪もそれほどの抵抗なく行われた。

その端的な事例は、西郷吉之助らが江戸市中に放った500人近い組織的強盗団である。無頼の徒と化した強盗団は、放火、掠奪を恣にして50万両にのぼる江戸市民の財物を強奪したという(この記録は残っている)。この強盗団による謀略を誘い水に幕府を挑発し、江戸薩摩藩邸への攻撃を誘い出した。西郷は谷干城(たにたてき)に「戦端開けたり。速に乾君(板垣退助)に報ぜよ」と放言したという。西郷は幕府を内戦に引き込むための策謀をめぐらし、そのためだけに無頼の徒と化した強盗団を放ってあらん限りの掠奪を繰り返したのである。西郷という人は、謀略、奸策長けた人で根が陰湿なせいか、江戸無血開城をめぐって幕臣の勝海舟と密談した際に、奥羽越列藩同盟諸藩への武力攻撃を江戸無血開城と引き替えに断行する脅しをかけた節がある。勝は優柔不断な人で幕臣であるにもかかわらず、西郷の脅しに屈服してしまったらしい。

江戸無血開城は、いかることがあっても慶喜の首を取るまでは、と言い張った西郷がイギリス公使パークスに脅されて中止させられたのである。徳川慶喜が恭順の意を示し、謹慎、平伏しているのに、江戸武力総攻撃とは何事か、とヨーロッパ社会の掟(倫理)を楯に抵抗され、もし総攻撃するならイギリスも黙ってはいないと脅されたからである。

 

その後に続く混乱のなかで、西郷、大久保、木戸、岩倉等、薩長の無頼の徒が偽造した私文書でしかない「王政復古の大号令」「倒幕の密勅」「会津、桑名の藩主誅殺」の勅や鳥羽伏見の乱で幕府方を驚かせた錦旗の偽造(京都の染物屋が作った)によって、「尊皇攘夷」という時代錯誤の王政復古運動を倒幕、権力奪取へとすり替えて行ったのである。したがって、権力掌握後の薩長は、恥も外聞もなく、舌の根も乾かぬうちに「尊皇攘夷」の衣を脱ぎ捨てて開国・欧化を一挙に推し進め、幕末・維新史を捏造していったのである。

 

15代将軍慶喜は、世に言う「大政奉還」によって徳川幕府の政治統治に終止符を打ち、新たな国内体制を構築するための上奏文を認めている(書いたのは三河の幕臣永井玄蕃頭と言われている)。

「前略、当今外国の交際日に盛なるにより、愈朝権一途に出不申候ては、綱紀難立候間、従来之旧習を改め、政権を朝廷に奉帰、広く天下之公議を尽くし、聖断を仰ぎ、同心協力、共に皇国を保護仕候得ば、必ず海外万国と可並立候、云々」

慶喜は、幕府権力を朝廷に帰一して広く天下の公議を尽くして合議制の下で協力し、皇国を保護すれば必ず諸外国と並び立つことができることを宣言しているのである。この上奏文は、五箇条の御誓文と基本的な枠組みは同じである。

慶喜の上奏に対し朝廷は、「祖宗以来、御信任厚く、御依頼在らせられ候えども方今宇内の形勢を考察し、建白の趣旨、尤に思し召され候間、聞こし召され候。猶天下と共に、同心尽力致し、皇国を維持、宸禁を安んじ奉るべき御沙汰に候事。大事件外夷一条は、衆議を尽し、其余諸大名同じく仰出され等は、朝廷 両役(伝奏、議奏)に於て取扱い、自余の儀は、召しの諸侯上京の上、御沙汰これあるべく、それまでの処、徳川支配地、市中取締等は、是れまでの通りにて、追て御沙汰に及ぶべく候事。」として10万石以上の諸侯に直ちに上京すべきことを命じたのである。

 

徳川親藩の諸侯や有力諸侯は、朝廷の意向に賛意をもっていたが、掠奪無頼の徒と化した集団の薩長には倒幕・権力奪取の野望しかない。

事前に行われた小御所会議でまたも岩倉具視の背後に控える薩長の陰謀と暴力によって会議は制圧されてしまうのである。尾張藩主徳川慶勝、越前藩主松平慶永、広島藩主浅野長勲、土佐藩主山内容堂、薩摩藩主島津忠義、岩倉具視、三条実美が列席していたが、薩長・岩倉側の旗色が悪くなるや否や、薩摩の岩下万平が西郷に相談すると、西郷は、「岩倉に向かい、貴殿の懐剣は利れるものなりや否やと問うてみよ」と脅しをかけるように伝えたという。西郷は天皇の面前でも構わずに山内容堂を刺せと示唆したのである。

慶喜は、こうした薩長の陰謀を阻止するだけの胆力も先見の明も持ち合わせていなかった。幕府軍と長州軍が戦った蛤御門の変で、幕府軍は長州軍を敗退させるが、二度にわたる長州征討に失敗し、慶喜は数十万の兵を見捨てて松平容保と共に江戸に帰還してしまった。

勘定方奉行の小栗上野介は、帰還した慶喜に薩長軍を打ち破る秘策を奉じるが、慶喜にはもはや戦意もなく、小栗上野介に胸ぐらを掴まれてもただ黙っているだけであった。将軍の器でない慶喜はひたすら命乞いのために恭順の意を示すため上野寛永寺に引きこもって謹慎してしまった。

小栗上野介は、仕方なく故郷の上野国権田村へ引きこもるために帰郷し、東善寺に寓居するが、そこへ西郷の指図で江戸市中であらん限りの暴虐を繰り返した無頼の盗賊団が押しかけ、小栗上野介には、「7000人の暴徒が潜んでいる」「7千余人を撃退する武力がある」「朝廷に反逆する企図がある」と喧伝し、発砲、放火、掠奪を繰り返した。さらに薩長軍に命令された高崎藩、安中藩、吉井藩の3藩の藩士1000人が東善寺を囲み、捕縛される理由もないまま烏川畔の河原で斬首され、挙げ句、鮮血に塗れた首を武竿の先端に突き刺し路傍に立て梟首の辱めを与えたのである。

こうしてあらゆる権謀術策を弄して権力を詐取した薩長は、血塗られた明治維新政府(藩閥政府)を樹立し、五箇条の御誓文とは似て非なる近代国家をつくりだして行ったのである。ネジレにネジレた明治維新政府は、日清・日露戦争に勝利を収め、さらなる海外侵略を目論み、朝鮮・中国への侵略を現実化してアジア・太平洋戦争へと突入し、崩壊してしまうが、近代日本の保守思想には、こうした忌まわしい歴史が底流となって流れているのではないかと思う。(引用終わり)

いろいろなご意見はあるだろうが、これほど貴重な歴史の証言はないだろう。小栗忠順の甥が書いているのだから。時間のある方には一読を勧めたい。


<蜷川 新 略歴>1873(明治6)年5月生まれ(19598月没)。東京大学法学部卒、同大学院国際法専攻、法学博士。ベルサイユ講和会議、ワシントン軍縮会議など、政治、外交、赤十字国際会議に列席。第1次世界大戦後、「平和時の赤十字」を提唱し、5大国代表と協議し1919年赤十字社連盟を創立した。歴史の専門家ではないが、法学的視点から幕末・維新史の特異な分析を試みる。

◎注目すべき江戸時代の人口

注目すべき江戸時代の人口

日本は弥生時代推計59万人、世界は3億人からスタートしたのが、上の一覧とグラフ。西にローマ帝国、東は漢王朝の時代ですから本当に比べものにならないシェア0.2%、それから1200年、律令制国家から鎌倉時代の684万人への成長は、世界人口の伸びを大きく上回って進み、シェア1.5%。そして江戸時代に入った初期は1227万人なのに、八代将軍吉宗のころに3000万人台に達し、世界人口シェア3.9%のピークとなる。同時代史的にはその時代が、如何にいい時代だったかを意味している。

日本のマスコミが報道しない本当のシリア情勢

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10月 242015

先日、日曜日に放送されているNHKの「週刊こどもニュース」のシリア情勢の解説を聞いていて目が点になってしまった。アメリカのネオコン派が世界に流布しようと思っているプロパガンダ以上に「アメリカ=正義の味方」という中立には、ほど遠い偏向した解説をしていたからだ。

 アフガン・イラク戦争は、2001年の911テロ捏造によって始まったネオコン、いわゆる戦争屋によって計画された一連の世界戦略であることは今日では、かなり明らかになってきている。経済アナリストの藤原直哉氏がこのことをNHK第一ラジオの放送でこの春(327日)に解説したことがあった。もちろん、彼はその後、ジャパンハンドラー等から圧力がかかってその番組から降板させられたことは言うまでもないが、その放送がまだ、インターネットで聞くことができるようである。以下。

https://www.youtube.com/watch?v=Hc0ObKlXvKY

 それをいまだに当時大統領だったブッシュにスーパーマンの格好をさせたイラストで解説しているようでは、話にもならないだろう。また、今回のシリア政権転覆の動きを正義の戦いに見せるべくオバマにまた、同様にスーパーマンスーツを着せている図を用いての解説、アメリカのネオコン派(=ジャパンハンドラー)に媚びている意図はよくわかるが、あまりにも幼稚な、単純な図式化であった。

しかしながら、このような幼稚な嘘のプロパガンダを公共放送であるNHKが日本の将来を担う子供たちに押し付ける権利が何処にあるのだろうか。こんな放送を平気でしている日本人は、自分の胸に手を押し当てて日本人としての誇りと良心を呼び起こすべきであろう。

 

 それでは、より真実に近いと思われるシリア情勢を知っていただきたい。

今起きている事は、米国覇権の衰退である。そのためにこれから中東情勢が大きく変わろうとしている。主役はロシアのプーチンである911以降、世界情勢をいいように混乱させてきたネオコン=戦争屋=シオニスト勢力の時代が終わろうとしているのである。このことをジャパンハンドラーに支配される日本の大手メディアは報道することができない。それは、日本を支配している日本の官僚が以前のレポートでも指摘したように「従米戦略というオプション」しか持っていないためでもある。今回は、このことがよくわかる記事を紹介したい。

以下、行政調査新聞20151010日号より

http://www.gyouseinews.com/p4_naigaijousei%20kokunaitenbou/p4_2_naigaijousei_kaigaijousei.html

 

中東の地図が塗り替えられる!―米国が中東を手放すときが迫っている―

 

昨年(2014年)6月、中東の地に突如出現した「イスラム国(ISISIL、ダーイシュ)」はその後猛威を振るい、多くの地域を破壊し人びとを殺戮した。米国を中心とする多国籍軍の空爆など物ともせず、活動拠点をイラクからシリアに移し、シリア全土を滅茶苦茶に荒らした。「イスラム国」の破壊活動により、大量の難民がヨーロッパに押し寄せることとなった。このまま中東全域は戦乱に呑み込まれ、全世界を恐怖のハルマゲドンに巻き込む可能性すら考えられたが、9月になって、状況は激変し始めている。中東はこの先どうなるのだろうか。 

 

ヨーロッパに流れ込んだイスラム国戦士

 

9月2日にシリア難民の3歳児アイラン君の遺体がトルコの海岸に打ち上げられ、この映像や写真を見た世界中の人びとが涙を流し、それをきっかけにヨーロッパで難民受け入れの気運が高まった。

シリアを中心とする中東やアフリカから欧州に殺到した難民の数は、第二次大戦後最大となり、9月末には16万人を大きく越えたと報じられている。その難民の中に「イスラム国」の工作員、戦闘員が紛れ込んでいるという疑惑は、かなり早い段階から浮上していた。しかし陸路あるいは海路、続々とやってくる膨大な難民について、その素性や身元を確認することなど、まったく不可能だ。英紙『デイリー・エクスプレス』はこの問題を大きく報じている。その報道によると、難民に紛れ込んで「イスラム国」の戦闘員が4000人以上も欧州に潜入したという。

中東情勢に詳しい専門家たちも「イスラム国戦闘員4000人が欧州に潜入」という情報を精度の高い情報と受け止めている。潜入した戦闘員が武器を入手する手段はいくらでも考えられ、欧州各地でテロが引き起こされる可能性が高まっている。

 

「イスラム国」潰しに動いた諸勢力

 

9月中旬に国際テロ組織であるアルカイダの最高指導者ザワヒリは、「イスラム国」の指導者バグダディを「偽物のカリフ」であると発表した。カリフとは預言者ムハンマド(マホメット)の後継者のこと。バグダディは「イスラム国はカリフ制国家」であり、「自分がカリフだ」と宣言していたのだが、同じイスラム教徒であるアルカイダNO.1のザワヒリが明確にこれを否定し、「バグダディのイスラム国はパレスチナ自治区などイスラム国の支配地以外ではイスラム教徒を支援していない」と厳しく批判している。アルカイダも「イスラム国」を敵と見なし、その殲滅を求めている。アルカイダに限らず「イスラム国」を敵視する国や組織は多く、物理的な攻撃も行っているが、その成果は現れていない。

昨年(2014年)9月以降、オバマ大統領は「イスラム国根絶」を目標に掲げ戦闘を開始した。米空軍機を中心に湾岸各国の爆撃機、戦闘機、あるいは無人機が「イスラム国」の拠点を空爆し、これまでにイラクとシリアで5万3000回の出動と6700回の空爆が行われたとされる。この作戦には合計37億ドル(約4440億円)が投入され、大規模な軍事攻撃が繰り返されたのだが、「イスラム国」に甚大な被害を与えたという実績は、残念ながらほとんどなかった。いっぽうで、米国と同盟国による「イスラム国」攻撃の結果、民間に大きな被害が出ており、一般人の死者数も600人に達している。

シリア政府軍と敵対し、同時に「イスラム国」とも敵対しているシリア反政府軍の装備と訓練に、米政府は5億ドルを投入することを決定。さらに「イスラム国」と地上戦を戦う兵士をトルコ、ヨルダン、サウジ、カタールで集め、今年中に5000人規模の軍隊を準備する予定があるとされる。しかし米政府が肩入れしている軍団だが、最初に作られたグループ54人は「イスラム国」の攻撃を受けて壊滅。現在は200人しか集められておらず、先行きが危ぶまれている。

米国も同盟国も、昨年から1年以上にわたって「イスラム国」を壊滅させようと努力してきたように見えるが、膨大な戦費を使ったものの、成果はゼロに等しい。

 

「イスラム国」を支える米国軍産複合体

 

本紙は以前から「イスラム国」の背後に米国とイスラエルが存在していると書いてきた。バグダディが重傷を負ったときにはイスラエルの病院に逃げ込んでおり、イラク軍はそれを確認し公表もしてきた。米軍は「イスラム国」と戦う相手に武器弾薬を支援するといいながら、(意図的に)間違えて「イスラム国」に武器弾薬を空から投下していた。

こう記すと「米国の背後にはユダヤ国際金融機関が存在し、彼らが米国を操っているのだ」と納得する人がいるかもしれない。あるいは「米国という『会社』の社長はオバマだが、実権を持つオーナーは軍産複合体だ」と、したり顔で解説する人もいるだろう。だが実際はそれほど単純ではなく、米国内部もいくつかに分裂している(とはいっても滅茶苦茶に複雑なわけでもない)。

イスラム国を支援し、彼らに武器弾薬を与え、中東を混乱に導いているのは米国の軍産複合体である。そして軍産複合体とは目標が多少異なっているが、とりあえず同一歩調をとっているのがイスラエルだと考えるとわかりやすい。

この状況打開に、軍産複合体と対立するオバマ大統領はイラクと核協約で妥協し、さらにシリア問題の処理をロシアに投げかけた。オバマにとっては米国内部での政争に勝つためには、何としても軍産複合体を叩く必要があり、「肉を切らせて骨を断つ」覚悟でロシアとの協調を選んだのだ。この一事だけを見ても、米国が一枚岩ではないことが理解できる。

 

プーチン大統領がアサド政権を支援

 

9月28日の国連総会で、ロシアのプーチン大統領は演説の大半の時間を中東情勢に回し、「極めて危険な組織である『IS(イスラム国)』と戦う国際戦線の設立」を呼びかけている。その演説の中でプーチンは「アサド敵視をやめてシリアを安定させないと、欧州への難民の流れも止められない」とも語っている。

プーチンのこの演説より1週間ほど前には、米国のケリー国務長官がロンドンでハモンド英外相と会談し、「シリア内戦の解決には政治的な安定が必要」との認識を示し、「国民から支持されていないアサド大統領の退陣」を求めている。

米英政府がアサド退陣を求め、ロシアがアサド支援にシリア内戦に介入することで、米露両軍が偶発的に衝突する可能性が出てきている。これを見越して米カーター国防長官と露ショイグ国防相は電話で会談している。米露両国のハイレベル接触は昨年3月のウクライナ危機で凍結され、今回はそれ以来の接触となった。しかし両国の駆け引きは、まだ始まったばかりだ。じつのところ、米露両国を最終戦争の舞台に引きずり出したいと考えている勢力は、シリア内戦にロシア軍が出張ってくることを期待している雰囲気がある。欧州に流入したに違いない「イスラム国」戦闘員の問題も含め、中東情勢は綱渡り状態が続き、いつ何が起きても不思議ではない。

 

ロシアがシリアの「イスラム国」を空爆

 

プーチンの国連総会演説の2日後となった9月30日から、ロシア軍機はシリア国内の「イスラム国」拠点やアルカイダ系のアルヌスラ戦線などを空爆した。どちらの組織もアサド政権と敵対するもので、空爆は3日連続で行われ、ロシア軍の発表では60カ所が爆撃されたという。60カ所のうち50カ所が「イスラム国」の拠点で、とくにラッカにある「イスラム国総司令部」の爆撃にはバンカーバスター弾が使用され、総司令部は完全に破壊され、同時に近くにあった武器弾薬庫も大爆発により消失したと発表されている。

米国や同盟国の執拗で大規模な1年余の攻撃にビクともしなかった「イスラム国」だが、わずか3日間のロシアの空爆で致命的なダメージを受けてしまった。「イスラム国」の兵士たちは家族を安全な地方や隣国に避難させ、また欧州各国から戦場にやってきていた600人の兵士は、自分の故国に戻ってしまったという。ロシア政府は今後もしばらくの間、同様の空爆を継続させると発表しており、あれほど頑健だった「イスラム国」が崩れ始めている。ロシアはさらに、イラクだけではなくイラン政府にも働きかけ、イラクの首都バグダッドに「対イスラム国戦情報収集センター」を設立した。この結果、ロシアとシリア、イラク、イランは完全に歩調を揃え、「イスラム国」殲滅に邁進することは間違いないだろう。この4カ国の強固な結びつきは、これまでの中東には見られなかった形式だ。そしてここにはさらにクルド系武装組織も加わりそうなのだ。

 

ロシアによる「イスラム国潰し」を演出したオバマ

 

これまでの1年余、米軍中心の対「イスラム国」掃討戦は効果がなかった。軍産複合体の支配下にある米軍本流は「イスラム国」を本気で潰そうとは考えず、むしろ支援しようとしてきた。同盟国のサウジやヨルダンなどは、米軍の情報を元に「イスラム国」の拠点を空爆してきたが、ほとんどのところで無人の砂漠を爆撃するだけに終わっていた。

シリアにおけるアメリカとロシアの空の衝突

ロシアの空爆は米軍とは違って、本気で「イスラム国」を潰しにかかったものだ。問題はこの先、シリア政府軍を支援するロシアと、反政府軍やこっそり「イスラム国」を支援している米軍が正面衝突する可能性があるか否かだ。じつのところイスラエルは本気でその演出をしたがっているし、軍産複合体が待ち望んでいる大戦争でもある。しかし米露両軍の激突の可能性は恐ろしく低い。ゼロに近いか、または完全にゼロだろう。なぜか。ロシア軍による「イスラム国」空爆の3日前、プーチンの国連総会演説の日にプーチンとオバマが会談しているからだ。

もともとシリア内戦を早期に収束させようと、ロシアを引っ張り出したのはオバマ大統領である。オバマは軍産複合体との政争に勝つためにロシアを引きずり出し、そして勝利した。黒人大統領オバマの見事な勝利の結果が「イスラム国」の落日に繋がっているのだ。

 

米国隷属情報しか流さない日本の大マスコミ

 

米欧だけではなく、日本のマスコミは軒並み、中東とくにシリアの内戦に関しては米国を評価し、ロシアを悪者扱いしてきた。米国を高評価しロシアを叩くことは、米ソ東西冷戦時代から続けられてきた「正義」だと勘違いしているマスコミや評論家たちが、いまだ日本では圧倒的なのだ。しかしシリア内戦、対「イスラム国」戦に関しては、ロシアの手法は理にかなったもので、米国のやり方は間違っている。

米国や同盟国は、国連安保理の決議など得ずに、しかもシリア政府を無視して、シリア国内を空爆していた。これは国際法上、完全に違法である。いっぽう今回のロシアによるシリア国内の空爆は、シリア政府の要請に従ったもので、国際法上は合法である。米国が「国民の支持のないアサド政権を守るために空爆することは許されない」とロシアに怒りをぶつけているが、これは法を守らない側の言いがかりである。日本の国際ジャーナリストとか大マスコミの解説者のほぼ全員が米国べったりの評論を繰り返しているために、中東情勢が見えなくなっている。そうした意味ではネット上の情報には正しい評価が多い。(たとえば最近では『MAG2NEWS』で「右翼よりも重症…日本人ジャーナリストたちの『米国への属国根性』http://www.mag2.com/p/news/118965」といった記事などがある。)

 

中東はロシアの手によって安定する

 

露外務次官ミハイル・ボグダノフはシリア問題解決のための会議を10月中に開催すると発表した。この会議は「コンタクト・グループ会議(連絡先集団会議)」と名づけられ、ロシア以外に米国、エジプト、イラン、トルコ、サウジアラビアの計6カ国で構成されるという。

当初、アサド大統領潰しのために米国と歩調を合わせていたトルコとサウジは、プーチンの説得に応じ、米国はもはやアサド政権継続もやむなしの状況に陥っている。

難民が押し寄せて治安の悪化に悩む欧州各国は、プーチンの「シリアが安定しなければ難民危機は解消できない」という言葉に乗り、アサド政権を容認する方向に向かっている。とくにドイツのメルケル首相はプーチン案に好意的で、シリアでロシア軍が主導する多国籍軍(国連軍)が活躍する可能性も多分に出てきている。シリアでのこの方策が成功すれば、南スーダンでもマリ、ダルフール、コンゴでも同じ手法で問題が解決すると考えられる。中東やアフリカ各国の安定は、もはやロシア主体でしか考えられないのだ。

さらにシリアでのコンタクト・グループが成功すれば、ウクライナは間違いなく安定の方向に向かうだろう。とはいえ、安定を望まない強力な勢力が消えたわけではないので、世界が安定安寧に向かっているとは言い難いが。

 

世界の全体像を大雑把に理解すべき

 

日本の大マスコミ、有名評論家、ジャーナリストたちは「親米」あるいは「米国隷属」であって、中立的な判断が出来ない。「安保法制」では半世紀も前の反米闘争のような雰囲気を見せながら、全体的な国際情勢判断では完全に米国隷属の愚かな提灯持ちと化している。ヨーロッパで、ウクライナで、中東で、そしてアフリカで何がどのように進んでいるのか、大雑把に全体像を把握する必要がある。

とはいえ、それをここで開示するには紙幅もない。いきなり結論を言うなら、米国従属路線を直ちに放棄すべきだということだ。お断りしておくが、だからといって中国と手を組めなどとはいわない。日本の独自外交を切り拓くか、それが出来ないのであれば全方位外交を展開しろということだ。そしてわれわれ庶民大衆は声を大にしてその方向を支持することだ。

今回の対「イスラム国」戦に関して、中国はまったく関与しようとはしていない。しかしじつのところ、ロシアがシリアで力強く動くことが可能なのは、ウクライナ危機で欧州にエネルギーを売ることが出来なくなったとき、欧州に代わって中国が石油やガスを買って経済的に支援したからである。また中国は国連平和維持軍への参加の拡大を表明し、新たな兵力を南スーダンなどアフリカに派兵することを表明している。これまで米英主導で展開されていた世界平和の枠組み、行動に、ロシアと中国が大きく関与するようになるはずだ。安保法制の確立により、日本の自衛隊の海外派兵の道筋が作られたが、それは自衛隊がロシア軍や中国軍と行動を共にする可能性が強まったことを意味している。

経済的苦境のため、米国が世界の指導者の座を降りることは百パーセント間違いのない話である。ロシアや中国、あるいはEUが、米国に代わるわけではない。世界は集団指導体制のようになる。米国隷属を続ける限り、日本に未来はない。一刻も早く米国とのしがらみを断ち切り、真の独立国家にならなければならない。そのために庶民が声をあげるべきなのだ。(引用終わり)

もう一本、海外の記事を紹介させていただく。以下。

 

「力の均衡が決定的に変化した」 Paul Craig Roberts  20151010

 

928日、ロシアのプーチン大統領が国連演説で、ロシアはもはや耐えることができないと述べて世界情勢の大転換が起きたことを世界は認識し始めているワシントンの卑劣で愚劣で破綻した政策が解き放った混乱は、中東、そして今やヨーロッパを席巻している。二日後、ロシアはシリアの軍事情勢を支配して「イスラム国」勢力の破壊を開始した。

おそらくオバマ顧問の中にも、傲慢さに溺れておらず、この大転換を理解できるごく少数の人々はいる。スプートニック・ニュースは、オバマの安全保障担当幹部顧問の何人かが、アメリカ軍勢力をシリアから撤退させ、アサド打倒計画をあきらめるよう助言したと報道した。彼らは、ワシントン傀儡のヨーロッパ諸国を圧倒している難民の波を止めるため、ロシアと協力するようオバマに助言した。望んではいなかった人々の殺到で、アメリカの外交政策を可能にしておくことによる大きな犠牲に、ヨーロッパ人は気がつきつつある。顧問たちは、ネオコンの愚かな政策がワシントンのヨーロッパの帝国を脅かしているとオバマに言ったのだ。

マイク・ホィットニーや、スティーヴン・レンドマンなど、何人かの評論家たちが、「イスラム国」に対するロシアの行動について、ワシントンができることは何もないと正しく結論している。ロシアを追い出すための、ネオコンによるシリア上空の国連飛行禁止空域計画は夢物語だ。そのような決議が国連で行われるはずがない。実際、ロシアが既に事実上の飛行禁止空域を設定してしまったのだ。

プーチンは、言葉で脅したり、中傷したり一切することなく、力の均衡を決定的に変え、世界はそれを理解している。

ワシントンの対応は、罵倒、大言壮語や、更なるウソしかなく、しかもその一部を、更にいかがわしいワシントン傀儡がおうむ返しする。唯一の効果は、ワシントンの無能さの実証だ。

もしオバマに、多少の思慮分別があれば、政権からワシントンの力を浪費したネオコンの能なし連中を追放し、ヨーロッパやロシアと協力して、ヨーロッパを難民で困らせている、中東におけるテロの支援ではなく、破壊に注力するはずだ。

もしオバマが過ちを認めることができなければ、アメリカ合州国は、世界中で信頼性と威信を失い続けるだろう。(終わり)

 

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。

彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTが購入可能。

記事原文:http://www.paulcraigroberts.org/2015/10/10/decisive-shift-power-balance-occurred-paul-craig-roberts/ (引用終わり)

 

 

 1945年の敗戦以来、日本の国家戦略は、一貫して「対米依存、従米」である。この70年の間に冷戦の終了を含めて国際情勢は大きく変化している。そして今、シリアから大きく国際情勢が変わろうとしている。考えてみれば、周囲の状況が変わっても変わらない戦略などが国家戦略と呼べるものではないことは明らかである。戦後、米国によって奪われてしまった戦略思考能力を日本人一人、一人が取り戻さないと21世紀の日本の未来は見えて来ない。

 

 

<藤原直哉プロフィール>

1960年東京都生まれ。

1983年東京大学経済学部卒業。住友電気工業株式会社入社。電線ケーブルの海外輸出業務および企画部門に従事。

1985年経済企画庁経済研究所出向。世界経済モデルを使ったイタリア、日本および米国の短期経済予測、講造分析、計量経済分析の信頼性向上のための研究に従事。

1987年ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社入社。投資戦略調査部で債券・株式の数理分析に従事。特にオプション、スワップなどの金融デリバティブ商品、市場のベンチマークとしてのインデックス、および米国のモーゲージ担保証券に関する広範囲な研究・業務に従事。

1996年シンクタンク藤原事務所(株式会社あえるばの前身)設立。

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