スマホがないと暮らせない人も増えているのではないでしょうか。

現在では端末機がなくなれば、仕事自体ができない人もいるでしょうし、多くの人が愛用しているグーグルのような検索エンジンがなくなれば、情報のインプット量は圧倒的に減ってしまうことも間違いないでしょう。また、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)がなくなれば、集客力が落ちて仕事ができない人も多くいるのではないでしょうか。多くの人が使うこれら(FacebookTwitterLINEiPhoneInstagramMacAmazonGoogleYou Tube)のサービスサーバーは、ほとんど米国にあります。つまり、私たちが上記サービスで使う個人データは、すべて米国にあるサーバーで管理されています。つまり、ITツールを持っている時点で、どういう人と仲が良くて、何に興味があって、どんな情報を収集して、どんな情報を発信し、何を買っていて、どんな評価を下しているのかなど、全てが完全に管理されている状態になっているということです。このIT時代の影の部分を「プラートン」でアカデミー監督賞を受賞したオリバー・ストーン監督が最新映画「スノーデン」で、実話に基づいてわかりやすく描いています。この映画を見れば、テロ対策、安全のためにという美名の下にメール、チャット、ビデオ通話、ネット検索履歴、携帯電話などの通話など、世界中のあらゆる通信経路を通過する情報のすべてを米国のNSA(国家安全保障局)が掌握しようとしていることが、具体的な仕組みとともに映像で理解することができます。この映画の主人公スノーデンは、2009年から2年間、日本にも滞在し、米空軍横田基地内にあるNSAで、コンピュータ会社デルの社員として信号諜報と防諜の仕事をしていました。彼の証言を裏付けるように2015年夏には、内部告発メディアのウィキーリークスは、NSAが少なくとも第一次安倍内閣時から内閣府、経済産業省、財務省、日銀、同職員の自宅、三菱商事の天然ガス部門、三井物産の石油部門などの計35回線の電話を盗聴していた「ターゲット・トウキョウ」という内部文書を暴露しています。元々、米国では1980年代からコンピュータへの侵入で軍の指揮システムや電力、交通、金融、工場の制御などに混乱が起きる危険が指摘される一方で、それを攻撃に使うことが論議されていました。2015年には「サイバー軍」が誕生し、MSA(国家安全保障局)本部と同じフォート・ミードに置かれ、現在、NSAは情報能力とサイバー攻撃力を備えるまでになっています。

問題は、日本は米国の監視システムの対象、被害者でありながら、米国に要請された特定秘密保護法等によって、米国の世界監視体制の協力者として、多くの国民が知らないうちに日本人の通信データを無自覚なまま米国に提供していることにあります。普通に考えれば、多くの国民は、「自分も監視されている、どこで何を見られているかわからない、丸裸にされている」状況を望んでいるとはとても思えません。現在、自動車や家電などすべてのモノがインターネットにつながる「IoT」の時代が喧伝されていますが、ネットに接続する機器が増えれば、サイバー攻撃の標的も増えることになります。

強い光の反対側には強い影ができるのは自然の摂理ですが、私たちは便利さを得る代わりに知らないうちに個人情報を提供し、あまりに便利な生活が突然遮断されるリスクの上で、仕事をし、暮らしています。IT時代の光と影をしっかり、認識することが求められています。

*東愛知新聞に投稿したものです。

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