5月 182010

*今回は本の紹介です。

昨年10月のレポートでは、日本はダメだ、ダメだと言われながら、円という通貨が市場で一番評価されている理由の一つかもしれないということで、「天皇の金塊」(高橋五郎著)という、人によっては、トンデモ本に分類するかもしれない大変興味深い本を紹介させていただいた。ところで、小生がレポートでも時々紹介・引用する元外交官原田武夫氏がこの5月に高橋五郎氏の本の内容を補強するような本を出版した。

小生は、東大出の元外交官がこのような本を敢えて出版したことに正直、驚愕している。真贋は兎も角、あまりに興味深い分析のおもしろい本である。

推理小説の一つとして楽しんでいただきたい。

その本は、「狙われた日華の金塊」原田武夫著(小学館)である。

ところで、あなたは、戦前、日本銀行の大株主だけでなく、日本の主だった会社の大株主であった天皇の資産が戦後どうなったのか、知っているだろうか。また、明治維新から現在に至る日本の本当の歴史を教科書以外で学ぶ機会があっただろうか。

金塊の有無はともかく、勉強になる本である。



以前のレポートから引用させていただく。

(引用始め)

~日本の「円」が市場で一番評価されている(円高)本当の理由とは?~

~中略~

そして、もう一つ、全く一般の方々が想像もしない要因が隠されているとも言われている。

~表向きは禁じられた「金保有」~

ニクソン・ショック(1970年)後、一国の通貨の価値は、基軸通貨ドルとの相対価値となった。金本位制に準じた金の裏付けが、それ以降、全くなくなったのである。

一国の経済は、通貨の価値により大きく左右される。有事の際は、その国の通貨が暴落し、価値が0になる=紙クズになる恐れがある。実際、ロシアやアルゼンチンなどは国家破産により通貨は暴落した。第2次大戦後、日本の”軍票”と呼ばれた戦時紙幣などは、まさに紙クズとなった。であるから、各国はニクソン・ショック後も、金(ゴールド)を保有し続けた。それがその国の最悪の場合の通貨の保証となるからである。

ところが、下記の数字を見ていただきたい。

1997年当時のデーターで恐縮だが、日本は圧倒的に外貨準備高で群を抜いているにも係わらず、その内訳に占める金の保有量は1%にしかすぎないのである。内訳のほとんどは、外国為替である。

<各国の外貨準備高(1997年12月現在/単位:100万米ドル)>

国名 合計 外国為替 その他 金の割合

フランス 55,929 25,002   27,097  3,830   45%

イタリア 77,545 21,806   55,431    308   28%

米 国  69,960 11,050   30,810 28,100   16%

イギリス 38,250  4,810   30,800  2,640   13%

ドイツ  85,349  7,762   69,853  7,734    9%

カナダ  17,969    146   15,122  2,701    1%

日 本 220,792  1,144  207,866 11,782    1%

これはどういうことなのか? 日本政府は国を守ろうとする気はないのだろうか?

実は、日本は金の保有量を国際的に制限されてきたのである。あまり公にはなっていないが、1975年の第1回サミットに先だって行われた10カ国蔵相会議で、当時の大平大蔵大臣は「日本は現在保有している金の総量を一切増加させない」と同意した(させられた。)さらに、1985年のプラザ会議でも「日本の金準備は外貨準備の1%に凍結する」と決定されたのである。 

このような同意や決定が、なぜ、なされたのか?

その後の日本経済を見ればわかってくるだろう。日本をアメリカの”属国状態”にするためである。すなわち、米国の借金のツケを日本に押しつけるために米国債しか買わせないように仕向けたのである! むろん、その米国債も勝手に売ってはいけない、売ったら日本が所有するアメリカの資産をすべて凍結する、と脅されたのは言うまでもない。

そして、ブラザ合意後、円高を進行させ、日本のバブル経済を生み出し、一気に破裂させ、暴落した日本株を外資が買い漁っていったのである。

しかし、もし金が本当に756㌧しかないなら、とうの昔に日本経済は壊滅状態になっていたのではないか。日本を生かさず殺さずの欧米の日本戦略の基盤となり、なおかつ、こんなひどい仕打ちにも、耐え難きを耐え、忍び難きを忍んできた日本の生命線が、どこかに隠されているのではないか。

~日本の隠された力~

日本が、米国にこれほどのお金(一説には官民併せて800兆円)を貢ぎながら国家を運営できるのは、なぜなのか?

金(ゴールド)の保有を制限された日本の”弱者”ぶりは明らかだ。

表向きは、欧米の言うがまま為すがままにせざるを得ないのは、”敗戦国”としての十字架を背負わされているからだろう。

たしかに、欧米の立場に立てば、戦後これだけの経済的発展を遂げさせたのは、GHQ政策から日米安保体制など米国をはじめ西側諸国の意図的に支えてきたからだという側面も否定できない。

「誰のお陰で飯が食えているんだ?」と女房に悪態をつく暴力夫の米国に、せっせと貢ぐ日本。まるで被虐と加虐の趣味があるかのような日米関係。

しかし、そろそろ、そんな関係も終わりに近づいているのかもしれない。

日本が保有している金は、756㌧。これは政府が公表している数字だが、時価に換算すると約2.2兆円分しかない。しかも、その金塊は、ほとんど日本にない。日銀の金庫には保管されていないのだ。どこに保管されているかと言えば、これがまたアメリカ。ケンタッキー州・フォートノックスにあるFRBの地下金庫だ。(『007・ゴールドフィンガー』のラストシーンで使われた舞台)そこには、日本だけでなく、世界中から集められてきた金塊がそこにあるという。

IMFや世銀(世界銀行)が発展途上国(属国)から担保や準備金として集めてきた金塊だ。金取引の際には、その国のブロックにある金塊を台車に乗せて取引先の国のブロックへ移動させるだけである。勿論、何かあれば、すぐに没収できるわけであるから、いわば”人質”のようなものである。

ニクソン・ショックは、表向きの”ドル・石油本位制”へもっていくための口実であって、実は、世界経済を裏側で支配している”覇権通貨”は、今でも本当は金だと認識すべきだという意見がある。

だから、人質にもなりうるし、脅しも効くのである。

金を奪われた国は滅びるのである。(かつての帝政ロシアロマノフ王朝もそうだった!)

逆に金を多くが持つ国が、経済覇権を握るのである。

その金争奪戦こそが、真の経済戦争であり、そのために政治も国家も戦争もテロも利用するのである。(であるから、現在、表向き米国の覇権が揺らいでいるのも、米国から金が流出しているというのが、真相ではないか。米国が発表している金保有高は本当なのか。)

したがって、日本がこれだけ痛めつけられても世界一の債権大国だということは、なにを隠そう、莫大な”覇権通貨=金”を隠しているからだと考えるべきなのかもしれない。そうでなければ、たった756㌧の金で日本経済がもつわけがない。

そのように考えていくと、日本には、1万トン以上にも及ぶ「天皇の金塊」が隠されているという話が俄に信憑性を帯びてくるのである!

「円高で大変だ!」というマスコミ報道を聞きながら、また、格差社会、授業料を払えない子どもたち、派遣切り、そう言った日本経済社会の状況を見ながら、何故、世界で日本の「円」という通貨が一番強いのか=評価されているのか、あなたは素直に考えてみたことがあるだろうか?

また、自国の通貨が強くなることを大変だと騒いでいる日本のマスコミの不思議さに気がついたことがあるだろうか?

自国の通貨が強くなって滅びた国は歴史上、存在しないのだ。

そう、考えていくと初めは荒唐無稽だと思われた「天皇の金塊」という本に書かれたことが、案外、本当かもしれないと思えてくるはずだ。

ところで、「天皇の金塊」という本には、次のようなことが書かれている。

・明治政府以降、日本という国が世界的金融財閥(ロスチャイルド)の政策によって 動かされてきた、日本の天皇家とイギリス王室との密接な関係。(隠された主従関係)

・第二次世界大戦のときまで日本がアジア各国から略奪してきた大量の金塊(『黄金 の百合』と呼ばれる)が、日本の戦後復興の担保となりファイナンスに使われてきたこと。

ちなみにそれはフィリピンの山中などに今でも存在しており、かつて小野田少尉(陸 軍中野学校卒)が、フィリピン山中から出てきて世間を驚かせたが、それは彼が金 庫番をしていたからだということも書かれている。そして、小野田氏は口封じのためすぐにブラジルに事情をよく知る笹川良一氏によって移住させられた。

・第二次世界大戦をはじめとする戦争が世界的金融財閥の企画立案によって起こされたものであり、その資金の出し手として日本が大きな役割を果たしてきたこと。

つまり、日本は大きなダメージを負った「敗戦国」という表向きの結果と裏腹に、 金融においては驚異的な戦後復興を遂げた「戦勝国」としての裏の顔を持つことなどが、この本に書かれている。                (引用終わり)

原田氏が「狙われた日華の金塊」で書いていることを一言で言うと、

「アメリカ勢が、『計画倒産』までして奪おうとしているのは、日本勢と華僑・華人ネットワークが退蔵する『簿外資産』=金塊である」ということである。

そして、以下のようなことが述べられる。

予測分析シナリオ「ネオ・ヘイブン」

◎今、目の前で起きているのは単なる景気循環の一シーンではない。

無限に富みをためることを良しとする欧米流の資本主義が行き詰まるなか、「新たなる資本主義」(エマニュエル・トッド氏が言うゆるやかな保護主義、ブロック経済圏)へと移行するプロセスである。

◎金融メルトダウンの結果、景気回復の後の巨額の財政赤字に耐えきれなくなった国民国家が続々と破産(デフォルト)するのが起爆剤となる。

◎その後に起きることの方向生は二つある。

国民国家より大きなマーケットをつくるべく、新しく「地域統合」が始まるのが一つ

(PLAN A)。

もう一つが国民国家より小さなマーケットで満足できる体制をつくるという「地域分割」である。(PLAN B)

(ジャック・アタリ氏が「21世紀の歴史」で述べている国家の枠がゆるくなること。)

◎米欧勢が続々とデフォルト、あるいはそれに類似した展開を見せていく中、よりマシなマーケットとして選ばれるのが日本。

世界中からマネーが殺到することで「日本の時代」が少なくとも2011年までには訪れる。

原田氏は、欧米勢が恐れているのは、「アジアの退蔵性向」だと書いている。

集めた富を、とにもかくにも貯め込んでしまうという性癖のことを「富の退蔵性向」と呼び、この「退蔵性向」は日本勢だけでなく、実はアジア全体について当てはまることが知られている。

打ちのめしても、打ちのめしても必ず這い上がってくるアジア勢。だからといって打ちのめす手をやめてしまっては、今度は欧米勢自身が衰退するしか道がなくなってしまう。だからこそ、欧米勢はあらゆる手段を使って、「アジアの退蔵性向」を打ち壊そうと躍起になってきた。

「アメリカ勢が全面に出る形で、アジアに広められた金融資本主義と、それにまつわるあらゆる道具立てが、この目的のためにだけ費やされてきたといっても過言ではない。」と氏は指摘している。また、欧米は、途轍もない先進国だと日本人は勝手に思い込んでいるが、1820年の時点で、世界の富の57%がアジアにあったという指摘も大変興味深い。そして、再び、2020年には、アジアの富が欧米を凌ぐことになるらしい。

では、デフォルト劇の後の、アメリカ勢が描く、『その次の時代における復活劇のシナリオ』とは何か?

その鍵を握るのは、ヒラリー・クリントンであり、その際の足がかりは「知的財産権」と「原子力」の二つ。

この種子ビジネスで悪名高いのは、アメリカ系GMO関連企業最大手の「モンサント社」だが、欧州勢の中には、「モンサント社をヨーロッパに入れるな!」という声が高まっている。

彼らの手口は、「麻薬Gメン」ならぬ、「遺伝子組み換え作物Gメン」が、何の予告もなくスーツに身を固めて農場を訪れ、種子の利用料を払わないで大量のGMOを栽培していたことを確認された農家を待っているのは、多額の賠償金請求なのだ。

この悪名高い、モンサント社の子会社である、”デルタ・アンド・パイン・ランド社”が、開発したGMO技術によって、1回の収穫しか出来ない作物のタネが、すでに完成している。(ターミネーター技術)

しかも恐ろしいことに、一度この種のタネに浸食されたら最後、そこでの耕作を続けるためには、それを永遠に続けなければならないという、まさに食糧兵器。

食糧安全保障という美名の下、穀物を用いた知的財産権ビジネスの拡大を狙うアメリカ勢。これに対し、「待った」の声を、かけ始めたのが欧州勢。

それは、パンの原料である小麦にまでアメリカ勢がGMOの触手を伸ばし始めたからだ。

そして、この「種子ビジネス」と共に、もう一つ、アメリカが目論んでいるシナリオが、ゴア元副大統領が広告塔を務めた「地球温暖化、CO2削減」という環境ビジネスとセットになった「原子力ビジネス」だ。

そのために米国は、核兵器の原料となる”トリウム”や”モナザイト”の宝庫である、「インド」や「北朝鮮」の利権争奪に躍起になっており、拉致問題によって日本を埒外におく戦略を北朝鮮と共にしているのだ。そのため、日本は「知的財産権による覇権」という新しいビジネスから、大きく取り残されていることを原田氏は、この本で憂慮している。

発覚した「ニセ金塊」事件

20101月、アメリカから送られてきた金塊を船便で受け取った中国政府は、念のため、3本の金塊を取り出し、穴をあけ、調べたら、金塊は偽物であり、中はタングステンであり、周りに金メッキが施されていたという事件があった。このことは、ベンジャミン・フルフォードのブログにも書いてあったがどうも事実だったようだ。

これらの金塊は、打刻が付されたアメリカ製であり、数年間はアメリカ財務省管理課において管理されていたものだった。

これを知った中国勢は直ちに調査を開始し、その結果、約十五年前にアメリカ国内にある精巧な精錬施設を用いて、合計64万本のタングステン塊が金メッキを施されたことが判明したという。それだけではない。

こうして選ばれた金塊の少なからぬ部分は不法に売却され、世界中に広まっているのだと言う。その金額、約6000億ドル。まさに、これは「金融テロ」である。

もちろん、日本の大手メディアは、この事件について一切報じなかった。

2010年1月、原田氏のネットワークから、重要な非公開情報が飛び込んできたと言う。ここからがこの本の核心である。

ミンダナオに眠る「黄金の百合」

日本勢と中国勢は、実のところ共同で金塊を管理している。その莫大な量の金塊はフィリピン、ミンダナオ島にある地下金庫に置かれている。現場で直接管理しているのはヴァチカン銀行。この島を跋扈しているいわゆる「反政府ゲリラ」は金庫の見張りをする傭兵であるとのこと。金塊の量はまさに「莫大」の一言に尽きる。

中国勢においては華僑・華人ネットワークの最高幹部たち、日本勢においては、旧華族や旧軍人たちの間の緩やかなネットワーク。そしてこのネットワークが支配している金塊はこの数十年で集められたものではない。大航海時代より始まる東西交易の中で、東アジアへ徐々に集まったもの。もちろんその流れのなかで、旧日本軍による東南アジア、とりわけインドネシアにおける金(ゴールド)の簒奪があった。

アメリカは、この「黄金の百合」のことを知っていて、戦中、戦後、あらゆる手段を講じて探した。その一部はアメリカの手に渡り、天皇同意の上で、敗戦後の日本復興の資金に充てられたと、高橋五郎著書の「天皇のスパイ」では書かれている。

けれども、それを除いても、まだ隠匿されている金塊の量は莫大。そのカギを握る人物の話が原田氏の本に書いてあるがもちろん、事実を明かすことはできず読者には謎のままである。

原田氏は、最終章では、日本人らしく、宗教の話に踏入り、安田喜憲氏の本を引用しながら、自然への畏敬の念を基本とし、現世のあるがままの美しさを肯定し、その叡智に学ぶ、日本勢やインド勢の「慈悲の心」や「利他の行」こそが、世界の新たなモデルであると言っている。そして、日本は、日本人らしくその莫大な金塊で世界を救うべきと原田氏は主張しているのである。

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相手が天皇陛下とはいえ、天下の米国大統領ともあろう人物が、いったい何故ここまで深々と腰を曲げてお辞儀をしようものなのか?

その答えが、原田氏の著書に記されている。

もし、この本に書かれていることが、真実なら、米国にとって本当はどうでもよい普天間基地問題さえ、なかなか解決できない弱腰の国、世界の中で自己主張しない存在感の希薄な国、日本が今までとは違う形での世界の覇権国になる可能性を秘めていることになる。

その意味では、増田悦佐氏の「内向の世界帝国 日本の時代がやってくる」NTT出版という本も興味深い本である。

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