2月 212012

植草氏の「日本の独立」(飛鳥新社)という本を以前、紹介したことがあった。以下。

「日本の政治経済の大きな動きを間違いなく読み取る一つの法則・秘訣が存在することをご存じだろうか。 

 戦後の政治経済の動きは、善悪を超えて、この視点で眺めることによってすべてのマクロの政治・経済の動きが整合性をもって読むことができるのである。

 今までのレポートでも時々紹介してきたが、その秘訣は、すべての幻想、思い込みを捨てて、日本が戦争に負けた国であり、現在も米国の実質上、植民地(属国)であると冷徹に眺めることである。おそらく、今までは、この視点を貫徹することによって、日本の政治経済の大きな動きは間違いなく読み取ることができたのである。

  今回、紹介する本、植草一秀著「日本の独立」(飛鳥新社)は、そのことを逆証明するような本である。植草氏と言えば、「シャルウイ・ダンス」の周防正行監督が「それでもボクはやっていない」という映画に取り上げた痴漢冤罪事件で有名になってしまったエコノミストである。

 彼は、米国の後ろ盾を得て日本の権力の頂点にいた小泉・竹中氏の経済政策を強烈に批判していたので、当然のように不可思議な事件に巻き込まれて一時、完全に表舞台から追放された人間である。 そのために彼は、米(アメリカ)、官(官僚組織)、業(財界)政(議員を中心にした政界)、電(マスメディア)に対して「悪徳ペンタゴン」という過激な言葉を使うので、もしかするとアレルギーを起こす方がいるかもしれない。

 しかし、このことを大阪大学の教授松田 武氏はもっと上品に、学術的に「『戦後日本におけるアメリカのソフト・パワー――半永久的依存の起源』(岩波書店, 2008年)で解説しているので、松田教授の本を読めば、植草氏の言っていることが大旨理解できるはずである。

  一言で言ってしまえば、日本という国では、米国の都合と日本のエリートと言われる人々のある意味、私的利益のために、「戦後」がかくも長く続いているのである。」

 その植草氏が「日本の再生」という本を出されたので少し、遅くなったが紹介させていただく。

  

「日本の再生」 植草一秀

第一章 東日本大震災・東電福島第一原発事故で日本は沈没してしまうのか

「未曽有の大震災」を強調する隠れた意図

原発震災がもたらした半永久的な影響

インフラ資産・サプライチェーンの破壊による日本経済崩壊

「旧政復古」の菅直人政権時に大震災が起きたという悲劇

事態を悪化させた菅政権の三つの「大罪」

「Be on the safe side」を果たせなかった菅政権の不始末

崩壊しゆく日本経済に追い打ちをかける大増税の愚策

インフラ資産整備の財源としては増税よりも建設国債発行に合理性がある

増税によって経済が危機に陥るという「繰り返される歴史」

震災復興のどさくさまぎれに盛り込まれた「市場原理主義」

日本が法治国家であれば東京電力を法的整理すべし

日本はでたらめな国家に成り下がった

第二章 日本の財政は本当に危機にあるのか

財政危機を煽る政府のアピールは真実なのか

霞が関の権力にひれ伏すマスメディア

財政赤字の規模を正確に把握するために必要な「正しい尺度」

子や孫の世代に借金を残すことは財政上特段の問題なし

財政赤字のリスクをはるかに上回る緊縮財政のリスク

「日本の財政は危機に直面している」は明らかな嘘

財政再建目標を達成した中曽根政権

大増税政策強行実施で財政赤字を激増させた橋本政権

小泉政権の超緊縮財政政策がまたしても日本経済を撃墜した

世論操作を企図する財務省の大増税推進大キャンペーン

財務省は財務省の利権・権限維持のために財政健全化の主張を展開する

「利権官庁」と「政策官庁」財務省はなぜ社会保障費削減にこだわるのか

「天下り根絶」という政権公約を捨て去った野田民主党

ポピュリズムに責任転嫁する官僚の傲慢さ

日本経済浮上のチャンスを二度も潰した近視眼的な財政再建原理主義

的確な「経済病状診断」がなされていない恐ろしさ

経済情勢暗転下での超緊縮財政政策発動は究極の誤り

経常収支黒字国日本の財政問題と経常収支赤字国の本質的な相違

財政収支の改善は日本の経常収支が黒字の間に実現せよ

日本財政の何が問題で、何が問題でないのか

第三章 市場原理主義の亡霊

緊縮財政政策強行の末路

財務省の言いなりになる御用経済学者

経済学は現実の経済政策運営に生かされているのか

ケインズ経済学の「功」と「罪」

市場原理信奉主義の復活

冷戦の終焉とともに始まった大競争の嵐

BPRへと突き進んだ世界経済

「根拠なき熱狂」の崩壊

日本に持ち込まれた弱肉強食の市場原理主義

セーフティネット強化が必要なときにセーフティネットを破壊する政策対応の倒錯

「デフレ」という新たな脅威

完全雇用こそ究極の経済政策目標

大規模な経済政策発動で、まずは経済活動水準を引き上げよ

円高にどう立ち向かえばいいのか

成長を促進していく四つの産業分野

「分配問題」が二一世紀の最重要経済政策課題

所得税・住民税の最高税率引き上げを実施すべし

「同一価値労働・同一賃金制度」を早期に導入せよ

国が経済成長に関与するウェイトは大きくない

地方への人口分散が、国民に豊かさをもたらす

官僚利権の根絶なくして増税論議なし

第四章 エネルギーと日本経済の未来

予測されていた福島原発の重大事故

否定されていた原子力安全神話

福島第一原発の津波対策不備は警告されていた

原発という選択肢はなくしてしかるべき

核廃絶こそ日本が追求すべきテーマ

市場メカニズムに則った原発からの撤退方法

原子力マフィアが推進した日本の原子力事業

法治国家の根本原則をゆがめた東電救済

強欲資本主義が支配する日本

第五章 対米隷属の経済政策からの脱却

外国為替資金特別会計の改革を進めよ

外貨準備で衝撃の超巨大損失がもたらされるプロセス

母屋でおかゆを食っているときに、放蕩息子が賭場で巨大損失

「良い為替介入」と「悪い為替介入」

外貨準備は米国に対する「上納金」

TPPは現代版マンハッタン計画における核爆弾級の経済兵器だ

TPPによって農林水産業と金融が狙い撃ちされる

一七・六%のために八二・四%を犠牲にすることが正しい選択であるのか

日本の美しい田園風景と相互信頼の共同体社会が破壊される

米国の隷属国である現状を修正せよ

一〇〇年の計をもって必要不可欠なインフラを集中整備すべし

官僚利権を排除する財政運営透明化が求められている

日本には、再生できる力がある

<参考資料>

ところで、彼はこんな内容の講演をしている。http://www.ustream.tv/recorded/18569180

「財務省と財務官僚の犯罪」

1.財務省は戦前の「関東軍」と同じ非常に危険な「独立王国」

財務省は「省益最優先」の「国家の中の国家」であり、戦前の「関東軍」が中国侵略から太平洋戦争へと日本を滅亡の淵に立たせたのと同じく、対米従属、増税、セーフテイーネット解体、不況、失業、貧困、格差、戦争へと導く非常に危険な存在であること。

2.財務官僚は「説明責任」を果たさない

財務官僚が何かの政策決定する際、責任者による国民への経過報告はない。記者クラブを通して決定事項を流すだけですある

3.財務省は「最強の権力機関」

財務省は10の権力を持つ法務省以上の最強の権力機関。

予算案作成権、予算執行権、徴税権、国有財産管理権、国税庁査察権、金融庁を通しての金融業界支配、金融政策立案件、法律起案権、為替介入権、権力の一点集中を法律で禁止し省庁再編をしなければならない。

4.財務省は「大嘘つき」

財務省は日本の借金は2011年度末には1000兆円となりこのまま放置すればギリシャと同じ財政破綻は避けられないと宣伝している。

実際政府債務は391兆円の赤字国債残高でしかなく、しかも国家資産が647兆円あるので財政危機どころではない。財務 省は国民に危機感を煽って国民に増税を飲ませるために「大嘘」をついている。

5.財務官僚は「失敗の責任」をとらない

*橋本内閣は1996年当時の大蔵省官僚の「消費税増税」と「緊縮財政」に騙されて「増税と緊縮財政」を強行したため、せっかく上向き始めた景気 の腰を折り大不況に落とし込めた。1997年には山一證券や北海道拓殖銀行、三洋証券など大企業の倒産が相次いだ。

*小渕内閣は1998年「積極財政」と」金融緩和」政策を実行して「消費税増税」で落ちこんだ景気を回復させたが、小渕首相の急死の後を継いだ森 内閣と小泉内閣は再び財務省主導の「財政緊縮政策」を強行した結果「失われた10年」と呼ばれデフレ不況に陥った。

*財務官僚は「消費税増税」と「緊縮財政」の失敗による「不況」の責任を政治家にとらせて自分たちは責任を一切取らないできた。

*2007年から2011年までの4年間にドル安・円高によって、日本が所有する米国債1.2兆ドルは50兆円の為替差損をだしたが、為替介入と 米国債購入の権限を持つ財務省は誰一人として責任をとっていない。

6.財務省は「買収工作」を平然と行っている

*財務省は影響力のある政治家、財界、マスコミ、学者、評論家など3000人をリストアップし、「消費税増税」や「緊縮財政」など自分たちの「省益確保」のための政策に賛成させるための「買収工作」を平然と行っている。

*財務官僚は8月30日の民主党代表選挙で野田財務相(当時)を民主党代表に選出するために民主党中間派に対する猛烈な働きかけを行った。野田氏 に投票すれば予算をつけるなど露骨な「買収作戦」を行い対抗馬の海江田経産相(当時)に圧勝した。

7.財務官僚は「売国奴」

財務官僚はTPP参加を積極的に推進し、日本国民の命と財産と独立を米国に差出、日本を米国の「完全な植民地」にしようとしている。彼らにとって「国益」や「国民の利益」よりも「省益」と「自己益」が大事であり宗主国米国の手先となった「売国奴」になりはてている。

<参考資料> *日本人であることを思い出して下さい。

http://www.youtube.com/watch?v=L6HXwT6fPtk&feature=player_embedded

*青い眼の日本人がいい指摘をしています。

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