以前、下記のように書いたことがある。 

「これからこの日本で生まれ、日本で、世界で何事かを成し遂げようという大志を秘かに抱いている日本人は、「この国が1945年以降、米国の特別行政自冶区でしかない」ということをしっかり肝に銘じてすべての行動を決め、戦略を練っていく必要があるだろう。もちろん、日本の学校もマスコミも本当の事など教えてくれるはずもない。壮大な嘘とその嘘が創り出す日本社会の空気から自由になり、独立自尊の道を一人でも多くの日本人が歩むことを求められている時代を迎えている。そう言った意味で、残念なことだが、米国の支配層の利益を最大にするために運営されている現在の日本の政治に期待を抱くだけ無駄だということだろう。はっきり言ってしまえば、特別行政自冶区の米国に許容された範囲内の利益配分巡る権力闘争が日本の政治である。国家主権を奪われ、大きな国益が毀損されたなかで、せせこましい利権獲得競争が行われているのである。国政がそのレベルにあるのだから、地方政治は「推して知るべし」ということだろう。

 これからの日本人は、欧米のエリート、特に米国のエリートが日本という国をどういうふうに動かそうとしているかを読み切り、逆にそれを利用して投資、仕事をし、地道に力を蓄えていく努力を積み重ねていくしかないのだろう。また、マスコミに流れない本物情報を得て、健康、体を守るのも一人一人の自助努力にかかっている時代だ。国やマスコミや医者が私たちを守ってくれるという、創られた甘い幻想から少しでも早く目を覚ますことも肝要である。」 

 おそらく、今回の解散劇も米国のジャパンハンドラーの意向が一番強く働いているはずである。戦後から現在まで米国の利益を尊重することによって延命するしか方法がなかった自民党という政党に安定過半数を取らせ、健康問題やタカ派的発言で中国と無用の摩擦を起こして退陣していくことになる安倍政権がやり残すだろう課題:「 TPPの日米合意の実現」「ガイドラインの見直しによる日本の安保負担強化」そして「原発再稼働」という3点セットを着実に実行させるための体制を維持させるための解散総選挙ということなのである。そのために「消費税引き上げを延期することが争点」という訳のわからない衆議院選挙が年末に行われることになったのである。

 

 おそらく、ジャパンハンドラーが集う、この場ですべての流れが決まったのであろう。

以下、日本経済新聞より 

「首相「TPP、激論通じ友情を」 日米政財界交流会」2014/10/31(日本経済新聞)

 

安倍晋三首相は31日、都内で開いた日本経済研究センターと日本国際問題研究所が主催する日米政財界の交流会「富士山会合」の開会記念レセプションであいさつした。日米関係について「今ほど両国間の交わりが求められている時代はない」と強調。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に触れつつ「激しい議論を通じ真の友情は確かなものになる」と述べた。 

 米側からはケネディ駐日大使があいさつに立ち「私たちの課題は日米の同盟関係を力強く後世に引き継ぐことだ」と語った。富士山会合は11月1~2日に神奈川県箱根町で開く。

安倍首相 富士山会合

 「ケネディ大使、関係強化に意欲 日米対話「富士山会合」式典」2014/11/1(日本経済新聞)

 

日本経済研究センターと日本国際問題研究所は31日夜、国際関係や安全保障に関し日米の政府関係者や専門家らが対話する第1回年次大会「富士山会合」の開会記念レセプションを東京都内のホテルで開いた。安倍晋三首相やキャロライン・ケネディ駐日米大使らが出席した。年次大会は11月1~2日の日程で神奈川県箱根町で開催する。 

 レセプションであいさつした安倍首相は「富士山は裾野が広いから美しい。日米関係も裾野を広げることが重要だ」と述べ、政府関係者に加えて学識者や企業経営者らも一堂に会し、安保や経済などを議論する富士山会合へ期待感を示した。 

 ケネディ大使も「日米の協力関係は比類なく広いが、当然と見なし何もしないわけにはいかない」として、関係強化への意欲を示した。 

 レセプションには、自民党から福田康夫元首相や麻生太郎副総理ら、民主党からは玄葉光一郎前外相らが出席した。

 

「日米の輪つなぎ直す」 富士山会合始まる三井住友FG会長2014/11/1(日本経済新聞)

 

国際関係や安全保障について日米の政府関係者、経営者、専門家らが対話する第1回年次大会「富士山会合」(日本経済研究センター、日本国際問題研究所共催)が1日、神奈川県箱根町のホテルで始まった。 

 開会宣言では奥正之・三井住友フィナンシャルグループ会長が「日米の人の輪をつなぎ直し、相互理解を深める」と会合の目的を説明した。そのうえで「戦後70年の節目を迎えるにあたって、両国の望ましい関係を深く考えていきたい」と語った。 

 リチャード・アーミテージ元米国務副長官は「日米同盟を維持し、繁栄させ、(協力の)領域を広げていくための自由でオープンな議論をしたい」と抱負を語った。国分良成防衛大学校長は台頭する中国への対処を巡り「習近平政権がどういう方向に向かうのか、日米や国際社会は中国とどう向き合うべきかなどを話し合いたい」と述べた。 

 日米の経済連携について米国務省経済局のカート・トン筆頭副次官補は「日米が一丸となって、一部の国への富の集中など世界経済が直面する課題に取り組むことができるのかを議論したい」と語った。

 

 会合は2日まで。「日米中関係」「サイバー・セキュリティー問題」「アベノミクス」をテーマとするパネル討論やジョセフ・ナイ・ハーバード大学特別功労教授の講演なども行い、政策提言「富士山宣言」を取りまとめて閉会する。 

 日本経済研究センター(岩田一政理事長)と日本国際問題研究所(野上義二理事長)は2014年度から会員制の新事業「日米知的交流・共同研究プログラム」を立ち上げた。米戦略国際問題研究所(CSIS)など外部のシンクタンクとも協力し、日本の考え方を対外発信する広報外交にも取り組んでいる。 

 富士山会合はこのプログラムの年次大会にあたる。都心から離れ、くつろいだ雰囲気の中で率直かつ真剣な議論を促す狙いがある。

 

元米国家情報長官「中国をTPPに」 富士山会合始まる2014/11/1(日本経済新聞)

 

 国際関係や安全保障について日米の政府関係者、経営者、専門家らが対話する第1回年次大会「富士山会合」(日本経済研究センター、日本国際問題研究所共催)が1日、2日までの日程で神奈川県箱根町のホテルで始まった。 

 デニス・ブレア元米国家情報長官は「日米同盟のビジョン」をテーマに基調講演した。経済、軍事の両面で台頭する中国への対処について「日米は国際的な枠組みに中国を迎え、影響力と責任を共有しなければならない」と協調を促した。 

 具体的には交渉妥結後の環太平洋経済連携協定(TPP)に中国を加えるよう提案し、中国主導で設立をめざすアジアインフラ投資銀行(AIIB)についても「反対すべきではない。不安があるなら中から変えるべきだ」と述べた。

 基調講演に先立ち、奥正之・三井住友フィナンシャルグループ会長が「日米の人の輪をつなぎ直し、相互理解を深める。戦後70年の節目を迎えるにあたって、両国の望ましい関係を考えていきたい」と開会宣言した。 

 リチャード・アーミテージ元米国務副長官は「日米同盟を維持し、繁栄させ、(協力の)領域を広げていくための自由でオープンな議論をしたい」と抱負を語った。 

 日本経済研究センター(岩田一政理事長)と日本国際問題研究所(野上義二理事長)は2014年度から会員制の新事業「日米知的交流・共同研究プログラム」を立ち上げた。富士山会合はこのプログラムの年次大会にあたる。米戦略国際問題研究所(CSIS)など外部のシンクタンクとも協力し、日本の考え方を対外発信する広報外交にも取り組んでいる。 

 会合では「日米中関係」「サイバー・セキュリティー問題」「アベノミクス」をテーマとするパネル討論やジョセフ・ナイ・ハーバード大学特別功労教授の講演なども行い、政策提言「富士山宣言」を取りまとめて閉会する。

 

 都心から離れ、くつろいだ雰囲気の中で率直かつ真剣な議論を促す狙いがある。

(引用終わり)

ところで、このような米国のジャパンハンドラーに対抗するような動きがこれから日本で出てくる可能性はあるのだろうか。元外交官の原田武夫氏が日銀の追加金融緩和について大変興味深い言及をしているので、読んでいただきたい。以下。

 

「日銀が追加緩和を決定:黒田東彦総裁は何も知らない!」            原田武夫

 

先月(10月)31日、日本銀行は金融政策決定会合において「追加緩和」を決定。即日公表され、公式ウェブサイト上でも同日午後144分にプレスリリースが公開された。http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k141031a.pdf

これを受けて東京株式市場は一時、平均株価が800円以上も高騰。他方で円ドル・レートも1ドル=112円台にまで到達し、正に「黒田バズーカ」をマーケットに対して見せつけた結果となった。

日本銀行が今回の施策によって目論んでいる(表向きの)「絵柄」は極めて単純だ。それを描くとこうなる: 

●まずは日本銀行が大量の国債を年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)より買い取る 

GPIFはそれによって得た日本円をもって株式マーケットから日本株を購入する。大半が「外国人」によって保有されているため、この日本円は「外国人」に大半が流れることになる 

●こうして「外国人」らの支持を取り付けつつ、政府サイドでは補正予算の編成とそれをベースとした追加的な景気刺激策を策定。それと合わせ技で「消費増税第2弾」が年内に決定されるように世論形成を行う

 

こうした「追加緩和」の意義と効用については、表向き多くの「アナリスト」「専門家」たちがコメントしているのでここではこれ以上言及するのを差し控えることにしたい。一点だけ言うならば外生的なリスク要因、とりわけ「地政学的リスク」が炸裂するような事態に陥った場合、いかに効果的であることを装った金融政策も無効化するということである。そして米欧勢における本当の問題が「公的債務残高の加速度的な蓄積」であり、その解消手段として「ハイパーインフレへの誘導」が少なくとも米国勢によってさしあたり断念されたことは米連邦準備制度理事会公開市場委員会(FRB FOMC)の量的緩和第3弾(QE3.0)の終了決定http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20141029a.htm

によって明らかになった以上、米欧勢は今後、もう一つの手段である「戦争経済への突入」に速やかに本格突入すると考えるべきなのである。

すなわち「世界カレンダー」を見る限り、早ければ今月(11月)内にもそうした重大な展開が中東地域において見られることになる以上、「あの黒田バズーカ2.0は一体何だったのか」ということに程なくしてなることが想定されるというわけなのだ。

 

無論、ここで述べたいのは「日銀マン」たちがそうした米欧勢の目論見を全く知らず、無邪気にも追加緩和などという手段に手を伸ばしたという批判ではないのである。日本銀行は「認可法人」(財務省所管)であり、株式会社であれば資本にあたるものを集めるべく「出資証券」を発行している。そしてこの出資証券は下記に示すとおり、実にその39.6パーセントが「個人」によって保有されており、更にそれを調べていくと多数の外国人、とりわけ「英国人」の氏名を保有者として見つけることが出来るのである。そうしたルートを辿って日本銀行が米欧の統治エリートらの真意をくみ取った上で対応していることは容易に想像出来るわけであり、日本銀行の決断・行動を分析するにあたってはまずその点がポイントになって来る。

日銀出資金

 それでは今回の決断にあたっても「記者会見」を行った黒田東彦・日銀総裁はこうした全てのストーリーを熟知した上で動いているのであろうか。―――答えは「NO」である。

 

なぜならば我が国の金融通貨当局の「真意」を分析したいのであれば「財務省」「日本銀行」といったハコモノで判断してはならないからである。確かに表向きはそれぞれに意思決定がなされているようにも見え、それらが相互にいがみ合いを演じ、「縦割り構造」があるかのように見える。しかし実際のところそれは完全なるフェイクであり、両者を貫き、更には我が国の「本当の権力の中心」に至る人的ネットワークが存在するのである。そしてそうした人的ネットワークを何が律しているのかといえば、日本国憲法が平等権を定めるべく第14条第1項で排した「門地」である。そして残念ながら黒田東彦総裁はいかに能吏であったとしても、そうした人的ネットワークには登録されていない。

したがってその発言は全て「筋書どおり」と考えるべきなのであって、問題はその「筋書」は一体誰が書いており、しかもこれからの「筋書」には何が書かれているのかという点に絞られて来るのだ(ちなみにこの文脈で注目すべきであった(過去形!)人物の例をあえて挙げるならばこの人物である)。

http://web.archive.org/web/20120326150838/http:/www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/dg_yamaguchi.htm

 

この様に述べるとすぐさま「そうした人的ネットワークは国際金融資本と手を組み、悪さをしているに違いない。陰謀は暴かれるべき」などといった議論を大声で展開する向きがいる。しかし私の目から見ると全くもってそうした議論は幼稚過ぎ、もっといえば我が国のことを考えているように見えて、その実、我が国の真の国益を損ねているものなのである。

なぜならば米欧勢の「真意」が閉鎖的な人的ネットワークにある以上、それに対抗するためには我が方にもそうした人的ネットワークがあって然るべきだからである。それはおよそ民主主義的なコントロールとは無縁の世界なのであって(民主主義においては国民の一人一人がかつてで言うと「君主」:主権者であり、したがってその要求にも「君主」においてそうであるべきとされたように自ずから制限があって然るべきなのである。

しかし国民はそうは思わず、統治者でありながら、いつまでも被統治者のふりをしようとし、傍若無人に限りを尽くす。その結果、「民主主義の破産は、民の無制限の要求にはじまることは、プラトンの指導したのデイオンの民主主義革命が失敗して以来、常に起こってきたこと」(山本七平「帝王学 『貞観政要』の読み方」)といった事態に陥ってしまうのだ)、海の向こうの閉鎖的な人的ネットワークとの間で密やかに丁々発止のやり取りを続けながら、かろうじて「我が国」の存立を守っているというのが実情なのである。 

一つだけヒントを申し上げるならば「我が国が抱える本当の問題」とは、先の大戦における「敗戦」の結果、放っておくと今後かなりの長期にわたって我が国が持っている国富(*隠匿している財産も含む)を米国勢の思うがままにしなければならないという点にある。それ以上でも、またそれ以下でもないのである。 

そして上述の閉鎖的な人的ネットワークはといえば、今や手足を縛られてしまった我が国の「本当の権力の中心=天皇家」に成り替わってこの国富収奪のネットワークにおいて我が国の門番の役割をつとめているというわけなのである。「敗戦」から70年近くが経ち、私たち国民はややもすると、「敗戦した」という事実を忘れてしまいがちである。だがそのことは列記とした事実なのであって、私たち国民の意識がどうであろうと、そのことに何ら変わりはないのである。

 

つまり、私たち国民が普段享受している幸せな?生活は結局のところ、そうした根源的な国富の収奪システムの上に立った「砂上の楼閣」に過ぎないのである。そのことを忘れてはならない。

米欧勢、とりわけ我が国から国富を収奪する役割を担わされている米国勢の側からすれば、こうした血族に基づく我が国の人的ネットワークこそ邪魔なものはないのである。なぜならばこれこそ我が国が抱える問題としての「構造(structure)」であり、入り込むことが出来ない高い壁だからだ。そこで米国勢はこうした我が国の人的ネットワークとの関係がうまくいかなくなると、その一部をピックアップし、血祭りにあげていく。何も知らない私たち国民はマスメディアがセットするそうした者へのバッシングに野次馬根性から加担し、人格攻撃を繰り広げる。特に激しく語られることになるのが「売国奴」「対米協力者」といった烙印である。

 

だがこの人的ネットワークからすればそうした「烙印」など全くもって笑止なのである。なぜならば彼らが志していること(無論それは我が国の「本当の権力の中心」の意思に基づいているわけだが)はより高次元であり、かつより根源的な目標だからである。

それはズバリ、1945815日の屈辱的な「敗戦」という厳しい現実を前にしながら始まった「米国への絶対的な隷属」という構造からの脱却である。そしてそれを実現するためにまずは米国の利用できるものは利用すべく、その中に徹底して入り込み、その内奥、とりわけインテリジェンス機関の全てを熟知するところから始めながら、最終的にはそうした相手先すら飲み込んでしまうという高等戦略を着実に、そして何よりも静かに実行してきているのである。それはあたかも「蛇に飲み込まれたはずの小動物がその腹をかき切り、逆に蛇が破裂してしまう」ようなものなのだ。 

我が国の「本当の権力の中心」とそれにつらなり、「門番」としての役割を、体を張って果たしている人的ネットワークが目指しているのはこのことなのである。そして日銀による今回の突然の決定も、そうした文脈から解釈されるべきなのである。つまりそれは表向き極めて愚鈍な様に見えつつも、その実、向う側において本当の獲物をとらえて離さない高等手段なのだ。ただしその最終的な目標が達成される段階において我が国は救われることになるが、そこまでの過程において何も知らない私たち国民の「全て」が救われることをそれは全く意味しないのである。つまりこれから2018年までの間に訪れる最終局面までの間、私たち日本人の一人一人に相応の覚悟が必要であり、我が国を巡る真実に直面することへの勇気も必要ということになってくる。

(終わり)

ここで、原田氏が言っているのは、一般人が知らないスターリング・シーグレーヴの「ヤマト王朝―天皇家の隠れた歴史」に書かれているような支配構造が日本には隠然と存在し続けているということである。ただ、小生には、その人たちが、インナーサークルの利益と国家の存続は考えているだろうが、日本国民全体の利益を考えているかと言えば、フクシマ原発事故による放射線汚染を放置している現状を考えても疑問だと思わざるを得ない。兎も角、原田氏は、米国の意向に沿う形に見せかけながら、どんでん返しを日本の真の支配層が狙っていると言っているわけである。

ここで、日銀の異次元金融緩和は、米国の為だとはっきり明言している米国のエリートの言葉を紹介しよう。日本のマスコミではほとんど取り上げられないので貴重である。以下。

 

「世界的な砂上の楼閣」   ポールCraig Roberts

20141114

 

大半のアメリカ国民は、経済マスコミでない限り、量的緩和(紙幣印刷の遠回しな言い方)が、アメリカ経済を復活させることに失敗したことに気がついている。

すると、日本は一体なぜこの政策を採用したのだろう? 2013年に、大量の紙幣印刷が始まって以来、日本円は、アメリカ・ドルに対して、35%下落したが、エネルギー輸入に依存している国にとっては、大変な負担だ。しかも、日本経済は、輸入品価格の上昇を正当化できるような、量的緩和という刺激策に対する成長を示していないのだ。

経済が刺激策に反応していないのに、先月、日本銀行は、年間、50兆円から80兆円へと、量的緩和を60%増やすと発表した。ソシエテ・ジュネラルの専門家、アルバート・エドワーズは、日本の紙幣印刷機が、円を、一ドル、115円から、145円に押し下げるだろうと予測している。 

これは予測だが、一体なぜ危険なことをするのだろう?通貨価値下落から、日本は一体何が得られるのだろう?この政策の背後にある考え方は一体何だろう?

簡単な説明は、日本は、印刷しすぎたアメリカ・ドルを守るために、自国通貨を破壊するよう命じられているということだ。属国として、日本は、アメリカの政治的、金融的な覇権の下で苦しんでおり、ワシントンの圧力に抵抗することが出来ないのだ。

公式説明では、連邦準備金制度理事会と同様、日本銀行は、経済成長と、インフレを関連付けるフィリップス曲線を信じているのだと公言している。レーガン政権によって実施されたサプライ・サイド・エコノミック政策は、フィリップス曲線信仰を反証し、経済成長は、下落、あるいは安定した率のインフレとの一貫性がないことを示した。ところが体制派経済学者連中はそれに気づくのを拒み、自分達にとって快い定説を奉じ続けている。 

アメリカでは、量的緩和は、生み出された大半の流動性が、消費者のポケットではなく、金融市場に流れ込んだ為に、株価と債券価格インフレを引き起こした。公式インフレ報告より、消費者価格インフレは高い。インフレ率は、生計費調整用の資金を削減すべく、インフレを過少報告するよう加工されているが、量的緩和の主要効果は、非現実的な株価と債券価格だ。 

日本銀行が願っているのは、円交換価値が下落するにつれ、原材料とエネルギー輸入価格が上昇し、こうしたより高いコストが消費者価格に転嫁され、インフレを押し上げ、経済成長を刺激することだ。日本は、自国経済を、信ぴょう性のない理論に賭けている。

興味深い質問は、一体なぜ、金融専門家達は、円が量的緩和の下で、崩壊すると予想しながら、ドルが、量的緩和の下で崩壊するとは予想しないのかだ。日本の経済は世界三番目の規模で、およそ10年前までは、円価値が上昇していたのに大成功をおさめていた。一体なぜ、量的緩和の影響が、円とドルで違うのだろう?

 

答えはおそらく、アメリカ政府と銀行/金融部門との間の極めて強力な同盟と、ワシントンが、属国諸国に対し、世界準備通貨としてのドルを支持するよう強要している義務にある。日本は、通常の経済の力を無力化する能力に欠けている。ワシントンに、市場を操作する能力があるおかげで、ワシントンは、トランプで作った家のような砂上の楼閣経済構造を維持できているのだ。

 

量的緩和を終えるという連邦準備金制度理事会の発表で、アメリカ・ドルの見通しは好転した。ところが、ノミ・プリンスが明らかにしている通り、量的緩和は終わっておらず、変身したに過ぎないのだ。http://www.nomiprins.com/thoughts/2014/11/10/qe-isnt-dying-its-morphing.html

連邦準備金制度理事会の中長期国債の買い上げのおかげで、大手銀行には、連邦準備金制度理事会に預金という形で、2.6兆ドルの過剰準備金がある。銀行は、これからこのお金を、連邦準備金制度理事会の購入になり代わり、中長期国債購入に使うのだ。このお金が底を突いたら、連邦準備金制度理事会は、量的緩和を再開する理屈を考え出すだろう。しかも連邦準備金制度理事会は、手持ち不動産担保証券と財務省証券の4.5兆ドルからの利子・利回りを、中長期国債購入を継続する為に再投資すると発表した。金利スワップも、金利を低くしておくべく、操作される可能性がある。だから、量的緩和終了という発表にもかかわらず、購入して、高い債券価格を維持し続け、高い債券価格が、株購入を奨励し続け、かくして、砂上の楼閣経済構造を持続させるのだ。

デイブ・クランツラーと私(そして確実の他の人々も)が指摘した通り、安定、あるいは上昇するドル交換価値は、トランプで作った家のように不安定な経済構造にとって、必要基盤なのだ。三年前まで、金に対し、ドルは急速に軟化していた。その時以来、金先物市場における、膨大なアンカバード・ショート・セリングが、金価格を押し下げる為に利用されてきた。

金と銀の地金価格が操作されているのは明らかだ。需要は高く、供給は制約されている。ところが価格は低下しつつある。アメリカ造幣局は、イーグル銀貨の需要に追いつけず、販売を中止している。カナダ造幣局はメイプルリーフ銀貨供給を制限している。アジアの金需要、特に中国需要は、記録的水準だ。 

2014年第三四半期は、中央銀行による金純仕入れが、連続15度目の四半期だった。デイブ・クランツラーは、過去8カ月間、SPDRゴールド・シェアから、101トンの金が流出しており、現物購入者に対して引き渡す金が不足している兆候があると報じている。契約が、金でなく、現金で決済される市場で設定されている低下しつつある先物価格は、増加する需要と、制約された供給と辻褄があわず、価格が、アメリカ当局によって操作されていることを如実に示している。

巨大銀行と金融当局の間の共謀による金融腐敗の度合いは、途轍もないものだ。欧米の金融制度は、腐敗という土台上の砂上の楼閣だ。 

砂上の楼閣の不安定構造は、私が思ったより長持ちした。永遠に建っていられるのだろうか、それとも、余りに多くの接合箇所が腐朽して、同時に何らかのまとまった失敗が、インチキ操作を圧倒して、大崩壊を引き起こすのだろうか?時間がたてば分かるだろう。

 

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTが購入可能。

記事原文:http://www.paulcraigroberts.org/2014/11/14/global-house-cards-paul-craig-roberts/

(終わり)

私たち日本人は、実際には、このような激動の世界の中で仕事をし、暮らしている。僥倖に恵まれた冷戦時代、欧米に封じ込まれた「失われた20年」のデフレ時代、今から考えれば、与えられた枠組みのなかで従順にしていれば、それなりに暮らせた「思考放棄が得策だった時代」でもあった。しかし、そんな時代は終わってしまったのである。

そのことを多くの国民に知られたくないのが、1945年以降、日本を占領下に置いている米国のエリート(ジャパンハンドラー)と彼らと共に既得権を築き上げた一部の日本人であることは言うまでもないだろう。

 彼らが仕掛けたのが、今回の解散総選挙である。

 

 最後に、「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」(矢部宏治著)という本が集英社から出版されている。現在、ネットでダウンロードして半分、無料で読める。是非、ダウンロードして読んでみていただきたい。

戦後、国家主権を放棄して漂流している日本という国の姿が浮かび上がってくるはずだ。

「戦後の日本という国が現在、どういう状態にあるのか」を理解するにも、必読の書である。わかりやすい本なので、時間のある方は、選挙前に是非、読んでいただきたい!

 

以下、ダウンロードアドレス:http://www.shueisha-int.co.jp/pdfdata/0236/nihonhanaze.pdf 

 日本はなぜ帰途と原発を止められないか

                                                                                                                                                             

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