*「現代産業情報 No.622」(5月15日 現代産業情報研究所刊)より



①日経平均が9,000円を上回ったので「経済は底打ちした」という楽観論が拡が りつつあるが、これは間違いだ。

②危うい均衡が保たれているのは日米欧が、景気刺激策(財政支出)をとり、紙幣を 増刷しているからである。

③現在の政府機関は財政の健全性も金融の規律も無視している。また、そうせざる得ない。

④国(政府や日銀、アメリカではFRB)がなりふりかまわず、非常識なことをして この危機を凌ごうとしている。(ついに日銀は米国債等の外債の購入まで始めた。)

⑤この状態は、すでに資本主義ではない。 米国は次々、企業を実質国有化している。

⑥しかしこのまま放置すれば、日経平均は6,000円を下回る。

(そのためにさらなる、なり振り構わない景気対策が採られることになる。)

⑦いまの経済の実態を一番よく表わしている本が一冊ある。

講談社セオリーブックの『不況の教科書』である。ここにはストレートに経済事情 が書いてある。

⑧有り得ないことだが、仮にいま政府が手を引き、日銀が引きしめに入ったら、すぐに昨年10月以上の金融パニックになる。

*副島隆彦氏のレポートを編集・加筆しました。以下、(現在、米国を本当に支配している「奥の院」の支配層は世界に向かって混乱、戦争を仕掛けてきているようです。北朝鮮の強硬姿勢、イランの核開発、グルジアのNATO合同軍事演習、イランの核兵器問題、パキスタン政権の動揺、今回の豚インフルエンザ騒ぎ、etc、すべて繋がっている出来事だと考えるべきだと思われます。その意味で非常に興味深い指摘です。正 樹)




2009 6/1

「2009年の新型インフルエンザについて」

新型インフルエンザの感染拡大が進んでいる。今年の4月下旬にメキシコで豚からヒトに感染したウィルスがヒトからヒトに感染するようになったこの新型インフルエンザについて考えてみよう。

この新型インフルエンザは当初は「豚インフルエンザ」と呼ばれていた。英語では、スワイン・フルー(swine flu)という。海外では新型インフルエンザとは言わないで、スワイン・フルーのままで報じられている。しかし、日本では、どういうわけか、豚ではなくいつのまにか新型と呼ぶようになった。

すでに発生地であるメキシコ国では死者が出ていたが、実際に世界的な注目を集めるようになったのはアメリカ国内での死者が出てからだ。当初はそれほど注目されていなかったにもかかわらず、急に「パンデミック(世界的大流行pan-demic )」などと騒がれるようになった。

国連の下部機関、WHO(世界保健機関)では新型インフルエンザ対策として「フェーズ1」から「フェーズ6」まで6段階での警戒水域を設定している。WHOはそれまでは「フェーズ3」だったのを同月27日に「フェーズ4」に上げたが、直後の2日後にはさらに「フェーズ5」に引き上げた。

ただ、実質的にパンデミックを宣言することになる最上位の「フェーズ6」への引き上げも時間の問題と言われたが、後述するようにこのインフルエンザは毒性が弱いため、各国から引き上げを見送るように求める声が強まっている。

どういうわけか、南半球ではあまり感染が拡大していないこともあり、その可能性は遠のいている。

そもそも、世界的にまだ感染者が数千人しか確認されておらず、死者もほとんどメキシコ人に限定されているにもかかわらず、どうして大騒ぎするのだろうか。

それ以上に、通常なら北半球ではインフルエンザの感染が拡大するのは真冬であるのだが、どうしてこの時期に拡大したのかも不可解である。

<化学物質を散布することで廃棄物を処理してきた米軍産複合体>

結論からいえば、この新型インフルエンザは生物兵器である。つまり、人工的につくられたものだということだ。新型インフルエンザをもたらすとされる、H1N1(エッチ・ワン・エヌ・ワン)亜型のA型インフルエンザ・ウィルスも、エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)を引き起こすHIVウィルスや、サーズ(SARS、重症急性呼吸器症候群)の病原菌として知られる毒性の強いコロナ・ウィルスも、これと同様に生物兵器である。

これらのウィルスや病原菌は、米メリーランド州フォートデトリックで開発された。そのウィルス兵器が、一定の地域に米軍機によって空中から散布されたのである。こうした空中から撒き散らすことを「ケム・トレイル」(ケミカル=化学の、トレイル=たなびくもの、飛行機雲)という。

この生物兵器が開発されて製造された国立衛生研究所(NIH)は、表面上は米厚生省傘下の“癌(ガン)センター”のような“フリ”をしている。エイズ患者が初めて報告されたのは1981年に米CDC(疾病予防管理センター)だったが、その後1984年4月23日に、この研究所のロバート・ギャロ博士をチームリーダーとする研究班がHIVウィルスを発見、分離し、ワクチンの製造が可能になったと発表している。ところが、実際にはこのチームは70年代前半から血液の癌を研究するフリをして開発を試みていた。

ところが、それに先立つ83年1月に仏パスツール研究所のリュック・モンタニエ博士が米国から来た旅行者をフランスで隔離し、HIVウィルスを検出していたことを5月20日の米誌『サイエンス』に発表していた。この博士は立派な人物であり、エイズが発病しても死亡せずに治癒できる技術の開発をアフリカで賢明に取り組んでいる。84年に米国でギャロ博士がウィルスの発見を発表するとただちに抗議声明を出したが、米ユタ州で行われた国際学会では博士の攻撃的な主張に対し、モンタニエ博士は英語が苦手だったこともあって有効な反論ができなかった。議論が紛糾して収拾がつかなくなってしまい、最終的には米仏両国の最高指導者である米ロナルド・レーガン、仏ジャック・シラク両大統領が直接交渉し、ワクチン製造で利益が出た際の特許料を折半することで決着している。

その後、米国では自分たちがこのウィルスを開発していたことを覆い隠す必要が出てきたことから、92年末に国立衛生研究所がギャロ博士を虚偽の報告をした反倫理的な行為だとしてわざと告発している。

さらにシカゴ・トリビューンをはじめメディアの調査キャンペーンが行われたが、ロシュ社に委託された遺伝子操作が続き、97年に研究所がギャロ博士が発見したHIVウィルスはパスツール研究所で発見されたそれと同じ遺伝子であることを確認したといったことを発表したことで最終的な決着を見ている。

これにより、0810月6日にモンタニエ博士をはじめ同じフランス人のフランソワーズ・バレシヌジ博士、さらにドイツ人のハラルド・ハウゼン博士の仏グループにノーベル医学生理学賞が授与されている。以上のような政治的な決着とノーベル賞授与による「口封じ」が行われた結果、真実が一般市民の前からは隠蔽されたのである。

エイズだけではなく、このフォートデトリックで米国は戦後、様々な生物兵器の開発を行ってきた。旧日本軍の「七三一部隊」に所属していた研究員や資料を取り込んだのもこの施設である。

それにより、最近では特定の人種や民族しか感染や発病をしなかったり、発病しても死亡することがないような生物兵器まで生み出していると言われている。数年前にヒトゲノムのしくみが解明された。それにより人種間、民族間の細かい遺伝子の相違まで明らかにされたのだろうと推定できる。

これは非常に恐ろしいことだが、そうした遺伝子の相違に着目することで新しい生物兵器を作り出したと思われる。02年11月に中国で発生し、翌03年には飛躍的に感染が拡大したサーズでは少数の白人を除いて感染したのは大部分が中国人に限定されていたが、この感染症の病原菌である新種のコロナ・ウィルスもこの研究所で開発されたものだろう。

<新型インフルエンザは普通の季節性と変わらない弱毒性>

今回の新型インフルエンザも多くの人たちの間で感染するとは言え、強毒性のH5N1亜型(鳥インフルエンザのこと)ではなく弱毒性のH1N1亜型であるために致死率は非常に低い。また、発病しても従来から見られるA香港型(H3N2亜型)やAソ連型(1918年から19年にかけて大発生したスペイン風邪や今回の新型と同じH1N1亜型)といった季節性のインフルエンザとほとんど変わらない。

死亡しているのもほとんどがメキシコ人に限定されているのがこのインフルエンザの大きな特徴である。また、日本でも関西で急速に感染が拡大したが、その多くが高校生であり、世界的にも若年層が多く高齢者に少ないのがもう一つの特徴といえる。

それだけに、季節性のインフルエンザでは主に死亡するのは高齢者が圧倒的に多いが、そうした年齢層には感染しにくいため、メキシコ人以外はよけいに致死率が低いともいえる。メキシコ人以外の致死率は0.2%ともいわれるが、サーズが約10%に上るのと比べるとはるかに届かず、麻疹(はしか)ですら2%ほどと約10倍もあるので、いかに今回の新型インフルエンザは通常の季節性のものと同様に致死率が低いかがわかる。

高齢者に感染しにくい理由として最近、注目されているのが、1957年に流行したアジア風邪を引き起こしたH2N2亜型と今回のインフルエンザ・ウィルスの遺伝子構造が似ており、体内に免疫があるからではないかというものだ。このH2N2亜型のウィルスは68年に「ホンコンかぜ」が流行したのを気に姿を消したが、この見解が正しいとすれば、今回の新型ウィルスはH1N1亜型であるAソ連型に研究施設に保存されてあるH2N2亜型の遺伝子を組み込んだことで開発されたと考えられる。

日本では高校生の間で多く流行しているが、こうした若年世代はH2N2亜型の抗体をまったく持っていないだけでなく、77年にソ連風邪が流行した時期にも生まれていないため、H1N1亜型の抗体も薄い人が多いことがあるのだろう。

また、H1N1亜型のインフルエンザは、1918年に大量の死者を出した「スペインかぜ」を引き起こしている。しかし、この種のインフルエンザが、57年にアジア風邪の流行を機に姿を消した。それにもかかわらず、77年にソ連風邪の流行を契機に再び姿を現した。このことが今でも大きな謎とされているということにも注目しなければならない。これも当時、冷戦で敵対していたソ連に米軍が散布した可能性が高いのではないか。

強毒性のH5N1亜型は以前、鳥インフルエンザとして恐れられたものであり、致死率が60~70%に達するため、これがヒトからヒトに感染するように遺伝子構造が変異してパンデミックを引き起こすと恐ろしい状況になるといったことがまことしやかに囁かれた。このインフルエンザ・ウィルスもアメリカのフォート・デトリック研究所で生み出されたと指摘する論者もいる。以前から、鳥から豚に感染してその対内でヒトに感染しやすくなるように変異するシナリオがひそかに提唱されていたのである。

実際は、強毒性の鳥インフルエンザの時も、香港や東南アジアで鳥からヒトに感染する事例が散見されたけれども、近親者を除いてヒトからヒトに感染することはなかった。一方で、豚の遺伝子は、ヒトのそれとほとんど同じであり、豚の肝臓その他の臓器をヒトに移植する実験まである。

そこで鳥を宿主とするウィルスがまず豚に感染し、そこで遺伝子が変異することでヒトからヒトに感染しやすいものになるといった考えが提唱されたのではないか。

おそらく、いずれ、豚の中にアジア風邪を引き起こしたH2N2亜型のウィルスが残っていた場合には、そこにAソ連型のH1N1亜型が入り込み、対内で両者が融合するような形で遺伝子が変異したことで新型ウィルスが誕生したといった説明が用意されているのかもしれない。

要するに、アメリカのインフルエンザ生物兵器を開発するチームは、ヒトに感染しやすくする新型インフルエンザを開発するために、豚、鳥をはじめとする動物を宿主に実験を行っているのだ。

<新型ウィルス散布の目的はヒスパニック対策>

ただ、どうしてこうした死亡者がメキシコ人に限定される新型インフルエンザを散布(ケム・トレイル)して流行させたかというと、そこには米国内でのヒスパニック問題や、それにより米国とメキシコとの関係が険悪化していることにあるのではないか。

いまや、米国とメキシコの国境付近の治安がかなり乱れてしまい、治安部隊の出動すらできなくなっているようであり、まさに“無政府状態”と化している。CNNニュースのようなニュース番組を見ていると、ニューメキシコ州やテキサス州南部の国境付近の町では、マフィア化した麻薬シンジケート勢力間での激しい抗争が頻繁に起こっている。敵対する勢力や身代金目的で有力者の子弟を捕まえて監禁し、チェーンソーで腕や足を切り落とされてしまい、その悲鳴が電話口から聞こえてくる映像が流れていた。そこに米国の突撃部隊の警察が実力行使に出て監禁場所に踏み込み、救出したといった報道がかなり見られる。この麻薬シンジケートの問題は非常に重要で、ここを読み解くと世界経済の本当の姿が見えてくるはずである。

メキシコからこうしたヒスパニック系が国境を越えて米国内に侵入し、その地域の警察機能が麻痺している状況は、さながら古代ローマ帝国末期にゲルマン民族の侵入に悩まされ、ついには帝国の崩壊を導いたのと酷似している。

ローマ帝国は東西に分裂したが、かつての中心であるイタリア半島が存在する西側の地域はゲルマン民族から出たフランク王国に代わってしまい、そこから荘園制と封建制を基盤とする中世世界に移行していく。ローマ帝国崩壊後に世界覇権を握ったサラセン帝国(東ローマ帝国)も、衰退期になるとトルコ民族の侵入に悩まされて主要部分を乗っ取られていった。このようにして、ローマ帝国は崩壊していった。

このように、世界帝国は最盛期を過ぎて衰退期に入ると原住民の恐ろしい破壊行為を抑えられずに崩壊していくのは歴史が証明しているところであり、米国はかつてのローマ帝国やサラセン帝国と同じ道を歩んでいる。歴史は繰り返す。

現在、米国の人口は概算で3億人程度と思われるが、そのうち7,000万人ほどをヒスパニック系が占めている。かつてのマイノリティの代表である黒人の人口は減っていて今では3,000万人程度しかおらず、ヒスパニック系だけがかなりの勢いで増えている。

その中には、メキシコから移民として米国に流入してきた人たちもいるが、多くは以前からそこに居住していた人たちであり、まさに「原住民」といえる人たちだ。こうした人たちは北米インディアンとは異なり、古代マヤ文明やアステカ帝国、インカ帝国の系譜を引き継いでスペイン人と混血したような人たちだ――「インディアン」ではなく「インディオ」と呼ぶべき人たちといえる。

町外れの貧民街で多くの人たちが居住しており、どう見てもメキシコ以南の中南米から流入してきたのではなく、以前からそこに居住していたと思えてならない。米国は先進国でありながら1人当たりの年間所得が低く、4,500万人もの人たちが国民健康保険に加入していないことが社会問題化しているが、その多くはこうした米国籍がありながら貧しい生活を送っているヒスパニック系の人たちによる。

米国内でカネ余りから金融機関が運用難に陥っていたことで、00年代に入ってから、それも特に05年以降、こうした人たちを対象に住宅ローン(サブサプライムローン)を設定して“無理やり”融資をした。それが焦げ付いたことで連鎖的に多くの金融商品が不良資産化して金融危機が引き起こされたのは周知の事実だが、それによりこうした人たちが居住物件を手放さざるを得なくなったことでよけいに社会問題に拍車をかけたといえよう。

こうした以前から米国内に居住していたヒスパニック系の人たちに加えて不法移民の問題も横たわっており、こうした問題が米国にとってはかなり大変な問題になってきている。まさに中南米問題の深刻化が米国の世界覇権を内部から崩すことに繋がり兼ねない状況になっている。中南米の原住民たちが北米に侵入してくるという問題が米国にとっては重大なものになりつつあり、この脅威に米国がさらされ始めたと言えよう。

米国内では右派民族保守派の間で白人による国家を守るため、国境線に鉄条網を敷いたりコンクリートの巨大な壁を建造してヒスパニックの流入を防ぐべきだといった主張が強まりだしている。白人を中心とする右派や保守派は、異民族、蛮族によってローマが滅亡した歴史を知っているので、蛮族であるメキシコ人の進入に強い警戒感を持っている。

これに対し、左派リベラル派が人権擁護の観点から、また金融資本家や多国籍企業の経営者、株主を基盤とするグローバリストも反内向き志向の観点から偏狭なナショナリズムとしてこの動きを批判している。

とはいえ、米国内の白人たちの素朴な実感からは、国家基盤の観点から現実問題としては困難だとしても、移民排斥を求める声が強まりだしている。欧州ではフランスやドイツ、オランダ、ベルギーといった西側の大陸諸国でイスラム教徒の排斥を求める声が根強いことは周知の通り。経済不安とあいまって、このナショナリストたちの実感に基づいた移民排斥運動が結びつき、反政府暴動になることを各国の指導者たちは一番恐れている。しかし、うがった見方をすれば、今回の新型インフルエンザの実験は、経済不安による暴動を押さえ込むための手段の一つかもしれない。

<異民族管理が帝国にとって頭の痛い課題>

米国はこれまで“裏庭”である中南米諸国を管理するにあたり、かつてはジョン・フォスター・ダレス国務長官(ドワイト・アイゼンハワー政権)がドイツから逃れてきたナチスの残党を送り込んでいき、その後ヘンリー・キッシンジャー国務長官(ジェラルド・フォード政権)もその路線を受け継いできた。アメリカは、CIAの実行部隊を送り込んで民主的に選ばれた民族的な社会主義政権を殺害・打倒してファッショ的な米国の傀儡の軍事独裁政権を樹立して管理してきた。

その典型が南米・チリの悪名高きアウグスト・ピノチェト軍事独裁政権である。アメリカはその後、チリを自由主義改革の実験場にした。ミルトン・フリードマン教授(シカゴ大学教授)の思想を支持する学者やエコノミストを教育係として送り込み、アメリカにとって利益になるように、経済の構造改革を実行させた。

しかし、現在ではその反動から、ベネズエラでウーゴ・チャベス大統領が強硬な反米路線を推進している。また、ボリビアでも、エクアドルでも、帝国の支配に抵抗することを旗印にして誕生してきた民族主義的な指導者による政策が支持を集めている。

ただ、南米大陸の最大国ブラジルはルラ・ダ・シルバ政権が労働者党から出ているとはいえ、それほど急進的な政策を推進していない。しかし、それでもBRICsの一角として大国意識に目覚めている。ブラジルは、中国とロシアと対等に交渉しており、アメリカ抜きの世界秩序に向けて動き始めている。このように、いまや、中南米では米国の管理が及ばなくなっており、むしろ反米的な姿勢が目に付くようになっている。

さしあたり、オバマ政権は、早期に移民してきたヒスパニック系の人たちには米国の市民権を与えても、その後に入り込んでくる人たちは市民権を認めないといったことになりそうだ。そうなると、すでに米国籍を得ている元移民たちが、やがて保守化して、既得権を主張するようになる。これ以上の市民権の付与を認めるべきでないと主張するようになるわけだ。だから、同じヒスパニック系の人たちの間でも対立が強まっているのである。

人口が急増したことで、有権者も増えてきたことからヒスパニック系議員が上下両院で存在感を強めており、現バラク・オバマ政権でもケネス・サラザール前上院議員が内務長官に就任、ジャネット・ナポリターノ国土安全保障省長官もヒスパニック系である。

これまで、米国では時折り黒人の暴動が起こっており、最近でも92年4月末から5月初頭にかけてロサンゼルスで起こったものはかなり規模が大きく、記憶に新しい。 ところが今回、黒人大統領が誕生したこともあってそれが再現される可能性は、極めて低くなっているが、代わってヒスパニック系をいかに管理していくかが大きな課題になっている。だから、オバマ政権は、空席になった連邦最高裁判所の判事にヒスパニック系の女性を指命するなどし、ヒスパニック系の不満を抑え込むのである。

いまや、米国とメキシコとの間で戦争が起こることが危惧されるようになっている。ヒスパニック系の居住地域の中でも特に移民の流入が多い地域では、警察機能だけでは、治安を維持することが難しくなっている。だから、連邦軍や州兵も展開するようになっており、暴動が起こればすかさず対処できるように訓練している。

2010年ごろからそうした暴動が頻発するようになると思われ、それに対する「先制攻撃 」として、今回の新型インフルエンザの流行を口実にメキシコから流入してくる移民や治安の悪いヒスパニック系の居住地域を隔離して封じ込めようとしているのだろう。

いうまでもなく、そうした動きを強めればヒスパニック系だけでなく人権擁護重視の左派リベラル派からの批判を受けやすくなる。それに対する世論操作としてメキシコ人やヒスパニックの人たちが近寄るだけで嫌悪されるような雰囲気を醸成しているわけだ。どこの国にも被差別階層は支配者によって作り出される。

<今回の新型インフルエンザは恐ろしい伝染病蔓延の序章か?>

ただ、今回の新型インフルエンザの感染拡大はメキシコ人を除くとほとんど死者が出ていないのに見られるように、それほど大きな問題にならない。そもそも、今回の新型インフルエンザを蔓延させた米軍の狙いは、一つにはこれまで述べてきたようにヒスパニック対策にあるが、もう一つ重大な意図が隠されている。単にヒスパニック系に対する攻撃だけにとどまらず、もっとスケールの大きな話である。

おそらく、米軍には自国の世界覇権を維持するために、1918年に大流行したスペイン風邪では4,000万~5,000万人もの死者が出たが、それと同じ規模の被害をもたらす病原菌を散布する計画があるのではないか。(米軍が1994年に発表したある文書がOSINT(公開情報インテリジェンス)の世界の中で話題になり始めている。この文書のタイトルは「2025年の米空軍(Air Force 2025)」。なぜこの文書が注目されているのかといえば、インフルエンザの世界的な大流行(パンデミック)について、今年(09年)に発生し、合計で3千万人が死亡するとの記述があるからである。)それがいつになるかわからないが、そのような選択肢を用意しているのではないかと思われる。

つまり、今回の豚インフルエンザ騒動は、そのための実験、予行演習だったのだろう。まったく新しい強力な病原体を生み出すのは、鳥インフルエンザの病原菌である、強毒性のH5N1亜型のウィルスをヒトからヒトに感染するものに変異させる必要がある。今回の新型インフルエンザ・ウィルスの散布はその前段階の研究成果をテストするのが目的だったと考えられるのである。

というのは、今回の新型インフルエンザがメキシコで流行しており、死者がかなり出ていることが世界的に注目されるようになると、WHOがごく短期間で「フェーズ3」から「フェーズ5」に引き上げるなど率先して騒ぎ立ててきたからだ。メディアの洪水のような報道にどう反応するのか、これも重要な一般大衆の反応を確かめるための実験の一つである。そうやって不安感を植え付け、予行演習を終えた後で、本番を実施するときに大衆のコントロールをやりやすくするのである。

実際、多数の死者が出ているメキシコを除くと、一般庶民の間では、メディアに踊らされている日本以外の諸外国ではそれほど大騒ぎをしていないようであり、マスクもあまり着用していないという。過去にWTO自身が原住民をコレラのような感染症から防ぐといった名目(ワクチンの接種)でエイズの病原菌であるHIVウィルスをアフリカや南米に散布したという指摘もあるぐらいである。

今回も日本で関西を中心に流行するとWHOはパンデミックを意味する最高位の「フェーズ6」にさらに引き上げようと動いたものの、英国や日本の官僚がこれに反対し、中国も後押ししたことで見送られた。その後、日本政府は大阪府や兵庫県の要望もあって警戒姿勢の緩和に動き、学校も感染者が多い一部を除いて1週間で学級閉鎖を解除している。

メディアが脅威を煽るような報道をしていたのは、日本ではすでに3,000万人分ものタミフルやリレンザといった抗インフルエンザ薬の備蓄があるが、これを消費させようという製薬会社の意図があったのだと考えるとわかりやすい。

そして在庫を一掃したうえで、また新しい抗インフルエンザ薬を開発して増産し、売りつけようとしていたのである。この薬はスイスのエフ・ホフマン・ラ・ロシュという製薬会社が米ギリアド・サイエンシズからタミフルの製造専売特許を96年から16年までの期間で得ていることで独占的に販売している。

の米国の製薬会社にはドナルド・ラムズフェルド前・元国防長官が大株主として、97年から01年初頭にかけて会長兼CEO(最高経営責任者)だったのを見ればわかるように、典型的なデイヴィッド・ロックフェラー直系である。

日本ではタミフルについては、中外製薬が独占的に販売権を握っている。これはロシュが01年に同社と包括的業務関係を築いたことで中外をロシュが実質子会社化したからだ。ただ、実際にはそうした思惑とは裏腹に、新型インフルエンザは弱毒性でそれほど大きな被害をもたらすものではないといった認識が広まり、日本政府が警戒姿勢を緩和したのは、大きな誤算だったのかもしれない。

いずれにせよ、今回の新型インフルエンザはそれほど大きな問題ではないとは言え、生物化学兵器の脅威は現実のものとなりつつある。しかも、核兵器が実際に使われても1発で20万~30万人程度の死者が出る程度で済むことを考えると、その脅威の大きさはそれよりはるかに大きなものだ。近い将来、中東でイスラエルとイランやシリアとの間で、あるいはインドとパキスタンでも核兵器が行使される可能性が高いが、それでも被害は当該地域に限定される。

これに対し、生物兵器は問題地域だけでなく全世界に及ぶものであり、非常に厄介である。今回の新型インフルエンザはそうした世界的に相当な規模の死者を出す恐ろしい伝染病が蔓延する序章と、とらえるべきだろう。我々はとんでもない時代を生きているのである。

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