今回は本の紹介です。

8月は、お盆に終戦記念日を迎える特別な月。

現在の日本の不可思議な状況が、どのような仕組みによってもたらされているのかを知る上でも、是非、読んでいただきたい本です。



<目    次>

◎はじめに

◆第一章 戦後「世界史」の正体

◎冷戦は八百長だった

モスクワの実態/アメリカを支配するイギリス/作られた超大国ソ連の虚像/ グロムイコが高く評価したアメリカ人(ヘンリー・キッシンジャー、アベレル・ハリマン)/ソ連はなぜ崩壊したか

◎中華人民共和国建国の謎

マーシャルをほめるグロムイコ/マッカーシーから見たマーシャル/ アメリカと毛沢東/ベトナム戦争以後の米中関係/日中戦争の後日談

◎朝鮮戦争の謎

なぜアメリカは勝とうとしなかったか/マッカーサー証言の真相/ ソ連はアメリカに協力した/スターリンの死

◎ベトナム戦争の謎

長引かせた戦争/米ソの意図を見抜いていた中国/中ソはなぜ対立したのか/ アメリカとの核戦争を想定していた毛沢東/ベトナム戦争後、アメリカに麻薬禍が蔓延

◎第四次中東戦争と石油危機の謎

キッシンジャーの策略/石油危機を演出

◎湾岸戦争の謎

フセインはなぜクウェートに侵攻したのか/湾岸戦争の隠れた目的/コソボはなぜ独立したのか

◎アフガニスタン戦争の謎

「テロとの戦い」の危険/麻薬生産が増大

◎イラク戦争、東欧のカラー革命、「中東の春」現象の謎

やはり石油が目的だった/アメリカのNGOが関与していた/「中東の春」を恐れる中国・ロシア



◆第二章 超大国「アメリカ」の正体

◎アメリカの世界戦略は誰が決めているか

CFRの創立メンバー/ニクソンの失脚の原因/アメリカの軍事戦略もイギリスの影響下にある/グロムイコもイギリスとアメリカの一体性を認識していた

◎イギリス金融資本家の軍門に下ったアメリカ

独立後すぐ始まった中央銀行設立論争/リンカーン大統領暗殺の真相/アメリカの金融が民間銀行の支配に落ちた日/連邦準備制度の罠/国際銀行家とは何か

◎アメリカの大富豪は「共産主義者」である 国民のチェックが及ばない社会/なぜ国際主義思想が生まれたか/日露戦争と国際銀行家/ナショナリズムは本当に危険なのか/反セム主義とは何か/マイノリティとしてのユダヤ人

◎「アメリカ人」のいないアメリカ

グローバリズムの正体/アメリカのグローバル戦略/もはや「アメリカ人」は存在しない



◆第三章 日本「国難」の正体

◎アメリカは占領時代に日本に何をしたか

日本のナショナリズムを破壊せよ/原爆は破壊の悪魔である/秘密裏に行われた検閲/ 検閲官と非検閲者は共犯関係にあった/田母神事件の教訓/ シビリアンコントロールとは何か/国民が完璧に洗脳された理由/ 分割統治の鉄則が戦後隣国との紛争関係の仕組みを作った(北方領土・竹島・尖閣諸島)

◎冷戦終了後日本がアメリカの「仮想敵国」になった

ブレジンスキーの日本観/ブレジンスキーの世界観

◎現在進行中のアイデンティティ破壊工作

ジェンダーフリーこそ大問題/日本語が危ない/ 構造改革路線の本当の目的/TPPの隠された目的/ 大量移民受け入れによる日本人種の雑種化/韓流ブームはなぜ起ったか/ 人権侵害救済法案は「ヘイト・クライム」の導入を企図したもの/次は麻薬の合法化

◎ウクライナ大飢饉の教訓

民主主義は幻想/選挙で当選しても借金から逃れられない/ マスメディアなどが情報操作によって国民を洗脳している/ False Flag作戦という戦慄すべき情報操作/世界は「金」と「情報」で支配されている



◆第四章 明日の日本の生きる道

◎日本型民主政治の再生

権力と権威のバランス/チェルノブイリ事故の教訓/新しい「国体論」はどうあるべきか

◎日本外交の新境地

市場経済化に失敗したロシア/米露新冷戦の開始/プーチン大統領は本当の親日家/ 新「日露協商」構想/ ロシアが日本の信頼しうるパートナーになりうる理由(・ロシア人と日本人の国土観の類似性 ・ロシア正教と日本人の宗教感情との親和性・国民性の類似)/ ドストエフスキーと芥川龍之介

◎グローバリズムを阻止する方法

◎究極の日本中立化構想



<著者 馬渕睦夫プロフィール(まぶち むつお)>

元駐ウクライナ大使兼モルドバ大使 前防衛大学校教授1946年京都府に生まれる。京都大学法学部3年在学中に外務公務員採用上級試験に合格し、1968年外務省入省。1971年研修先のイギリス・ケンブリッジ大学経済学部卒業。外務本省では、国連連合局社会協力課長、文化交流部文化第一課長等を歴任後、東京外務長、(財)国際開発高等教育機構専務理事を務めた。在外では、イギリス、インド、ソ連、ニューヨーク、EC日本政府代表部、イスラエル、タイに勤務。2000年駐キューバ大使、2005年駐ウクライナ兼モルドバ大使を経て、2008年11月外務省退官。同月防衛大学校教授に就任し、2011年3月定年退職。



元外交官馬淵睦夫氏「国難の正体」はあまりに興味深い本である。

今までレポートで紹介させていただいたユダヤ論、国際金融資本論、ごく一部の人が指摘している、実際には、英国の中枢が米国をコントロールしていることなどを、次々と公開情報を基に指摘している。京都大学を卒業し、外交官だった人間がこういった本を書いた意味は、一般の人に対する信用度という面で非常に大きいと思われる。



ところで、ウクライナ大使と防衛大学教授を務めた馬淵氏の経歴は、以前レポートで何回も紹介した「戦後史の正体」を書いた元外交官、孫崎享氏が、同じ旧ソ連圏のウズベキスタン大使や防衛大学教授を務めたことと酷似している。

特に馬淵氏は、国際金融資本のグローバリズムに対抗するための「日露の連携」という興味深い主張をしており、今後、米国の軍事支配から日本が独立していくためには、ロシアとの対等な軍事・経済同盟に向かう選択肢もあり得ることをはっきり、提示していて興味深い。

ところで、2009年に成立した民主党の鳩山内閣は米国の対日内政干渉である「年次改革要望書」を拒否するという従来の枠組みから外れた無謀な行動に打って出た。

その結果、<グローバリズム:国際金融資本、国際企業グループ>の側から返球がTPPという新たな対日戦略である。

ご存じのようにTPPの交渉内容は日本政府でも数名しか知らされていないが、米国でも上下両院の議員は内容を知らされていない。このような異常な事態が生じていることをもっと、多くの日本人が知るべきだろう。

ところで、TPPの調印は今年末の予定で、FRBのバーナンキ議長の任期は来年1月である。FRB設立後100年の今年12月23日にFRBは廃止されるという密約が設立時にあったとの驚きの指摘も一部に出てきているから、注視が必要だ。

この本の特長は、誰でも入手可能な公開情報をもとにして、それらを繋ぎ合わせ、行間を読むことによって、現代史を解釈し直したところにある。その結果、教科書やマスコミが報道しているのとは、全く違う現代史の相貌が浮かび上がってきたのである。

それを一言で言うと、



「私たちが住む地球には、「世界の政治経済を制覇するために、民間の手による世界金融支配システムを創造することを目指す金融資本家たちの国際金融ネットワーク」が存在する」(米国歴史学者キャロル・キグリー:クリントン大統領の恩師)ということである。

それでは、本書の内容を簡単に紹介しよう。

「人・物・金」の行き来を自由にするグローバリズムの美名のもと、国境を消滅させ各民族を均質化することで、ある特定層だけが世界を支配する計画(ニューワールドオーダー)が現在進行形で行われている。その特定層こそが、国際主義の名を借りた共産主義者であり、TPPのような日本が直面する国難をもたらす外圧を加え続けている勢力のことである。

元外務官の馬渕睦夫氏が、こうした勢力が弄んできた世界構造の変遷に関わる歴史と、今後、日本が国際舞台の中でどう立ち回りどう国益を守っていくべきかの提言を本書でしている。



「冷戦は八百長だった」というセンセーショナルな見出しから始まり、中国はアメリカによって建国された、ベトナム戦争はアメリカの自作自演だった、その他、9.11後テロとの戦いと称して世界で先端を開いた理由などを、当事者の著書を中心としたソースを駆使して克明に分析している。

馬淵氏は、こうした現代史の背景には必ずユダヤ系の国際銀行家が暗躍し、ロスチャイルド家やロックフェラー家をはじめとする大資本家が、自らが儲けるためだけに世界地図を塗り替えようとしているということを明らかにした。歴史的に祖国というものを持たない彼らには、そもそも国家という概念がない。民族それぞれが全世界に散らばっていくうちに社会・共産主義的な思考が醸成されていき、それがいつしか国際主義(グローバリズム)へと変質していったと分析している。

つまり、彼らの目的は全世界を統一した市場とし、そこから生まれる莫大な権益を独占することである。



<参考資料>



「金融ワンワールド」http://www.yamamotomasaki.com/archives/1256

~二十年前だったら、東京大学法学部を卒業して、住友金属に勤め、経済企画庁に出向し、経済白書作成に関わり、その後、野村證券で日本初のM&Aを仕掛けた男が、このような内容の本を出版することは、おそらくあり得なかった。このような知識を一般に公開することはなかったはずだ。その意味で時代が変わったのである。~

「通貨戦争」http://www.yamamotomasaki.com/archives/930

~おそらく、一般にはあまり、知られていないが、ヴィクター・ロスチャイルドは、二十世紀が生んだ天才の中の天才である。一言で言えば、悪魔のように頭の切れる男である。~

「ユダヤがわかると世界が見える?!」http://www.yamamotomasaki.com/archives/1570

~このように西洋の歴史:世界史はある意味、金銭闘争の歴史であり、その金融政策を知らなければ、その歴史はわからないのである。そして、そのことは、ユダヤ人=他者への憎悪と嫉妬に呪縛されている精神で跳梁するとも言える面をもつ人たちの真実を知ることに繋がっていく。~

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