先日、ご紹介させていただいた「戦後史の正体」の著者、孫崎 亨氏の講演会が、私の友人の林さんの尽力で豊橋でも下記の要領で開催されることになりました。「戦後史の真実」を少しでも多くの方に知っていただきたいと思います。元外務省国際情報局長の話を是非、聞いていただけたらと思い、お知らせします。



「孫崎享(まごさきうける)講演会」

 

日米同盟と原発~戦後史の正体を暴く~

激動の昭和が終焉し、平成の世になり既に24年が経過した。暢気なまでに戦後の経済成長を謳歌した普通の人々は先の大震災と原発事故により、白日の下に晒された歴史の真実に驚愕した。

そのキーワードでもある「日米同盟」と「原発」の関係について「戦後史の正体」を解き明かしながら反骨の元外交官・孫崎享氏にお話いただく。

場 所:カリオンビル6階・多目的ホール 〒440-0897 愛知県豊橋市松葉町二丁目63番地 

    豊橋市民センター・カリオンビル 電話(0532)56-5141



 

日 時:9月16日(日)2時~4時半(質疑応答あり)

 

資料代:1000円 

お問い合わせ:090-8556-8301(林) 

 

主催:浜岡原発の危険性を考える会  

 

*(追加分)9月14日の地元紙東愛知新聞に「戦後史の正体」の書評を投稿しました。以下。  

「戦後史の正体=オキュパイドジャパン」

 

 1945年9月2日、日本国が降伏文書に調印するという敗戦の屈辱を味わってから67年の歳月が経ち、二十一世紀もその十分の一時を刻んだ。にもかかわらず、3月11日の東日本大震災と福島原発の事故後の政府、マスコミの動きを眺めていると残念ながら、日本の戦後が永遠といまだに続いていることがよくわかる。

 ところで、何年か前にノリタケのMADE  IN  OCCUPIED  JAPAN というりっぱな洋皿を教養豊かな年配の知人から借用したことがある。戦後直後に製造されたとは思えないりっぱなものであった。ある日、その皿をずっと眺めていて思ったことは、結局、現在も日本は「オキュパイドジャパン」のまま全く変わりがないのではないかということだった。



 

 たしかに私たちは、サンフランシスコ講和条約が1951年(昭和26年)9月8日に調印され、1952年(昭和27年)4月26日に発効し、日本が再び独立国になったと社会科の教科書で教えられてきたし、そう信じてきた。

しかしながら戦後60年以上を経て、改めて冷静に考えてみると明らかに日本は独立国ではない。今までいろいろな方がその状況をそれぞれの言い方をしてきた。半独立国、属国、保護国等いろいろな言い方があるようだ。

子供の頃、歳の離れた父から訳もわからずに聞かされてきた言葉が思い出される。軍医だった父は戦争中、何年も南方の戦地で働いていた。

「情けない。日本は戦争に負けてアメリカの植民地になった!」と彼は何もわからない子供たちにそんなことを夕餉の時に話すことがあった。

 

 そして、今回の3月11日の大震災、原発事故で改めて私たちが認識できたことは、日本はこのような非常事態に対応できるちゃんとした独立国家、主権国家ではなかったということである。

あまりにも残念なことだが、日本には「国民を守るために正しい情報を提供し、国民とともに行動する政府というものがなかったのである。そして私たちは、政府やマスコミによってあまりに無知な状態に戦後半世紀にわたって、隔離されてきたこともはっきりしてきた。

評論家の江藤淳氏が指摘した「閉ざされた言語空間」にずっと閉じこめられてきたのである。

 

 そう言えば、スキャンダルで失脚した防衛省の事務次官だった守屋武昌氏は「普天間交渉秘録」で次のように書いている。

 

「現在でも東京の港区、渋谷区、新宿区、西部地域の上空七千メートルまでは、米軍の上空になっている。朝鮮戦争の際ハワイ、グアムの米軍基地から最短距離で朝鮮半島に至る航空路がそこにあり、東京、神奈川、山梨、長野、そして新潟のそれぞれ一部は、現在でもコリドー(回廊)として米軍が使用しているからだ。西日本や北陸から羽田空港に向かう民間航空機が伊豆大島から高度を下げ、銚子から回り込むように羽田に着陸するのは、この空域を避けて飛ばなければならないからである。日本は占領期のままではないか。」

 

 なぜ、私たち日本人は、そういう戦後史を歩むことになってしまったのか?

戦争を知らない高校生でも理解できるように書かれた本が「戦後史の正体」という本である。今までにも、日本を狂わせたのは戦後、米国から押しつけられた「日本国憲法」であり、ゆえに、憲法が作られた過程、そして日米関係において本来、進むべき道が、吉田茂とマッカーサーによって、著しく歪められたという事実を論証した片岡鉄哉氏の「日本永久占領」のような本も出版されているが、元外務省の国際情報局長という要職にいた人間(=政府内にいた人間)が、この本を書いたということに大きな意味がある。

この本の一番の特色が、日本の戦後史が米国に対する「従米路線」と「自立路線」のせめぎ合いの歴史であり、その視点で見ることで今が見え、今後が見えてくることを解き明かしている点だと思われる。

ただ、ニューヨーク・タイムズの記者ティム・ワイナーが「CIA秘録」という本のなかで、はっきりとCIAのエイジェントだと指摘した「満州の妖怪」と呼ばれた岸 信介氏をどのように捉えるかと言う点について、江藤 淳氏が「忘れたことと忘れさせられたこと」という本で主張している「日本は無条件降伏したわけではない」ということに対してももう少し、論評があってもよかったのではないだろうか。

 

 そうは言っても、戦後アメリカが作り出したソフトパワーによって、日本の大手マスコミが巧みにコントロールされ続け、今も作り出している「閉ざされた言語空間」を思うとき、是非、多くの方に読んでいただきたい本であることは間違いない。

  

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