総務省の発表によれば、日本の人口は昨年101日時点で約12710万人と、5年前と比べ約947000人、率にして0.7%減ったことが分かりました。人口減少による地方の衰退に対応するため、国は2014年には地方経済の再活性化を目指して、「地方創生法」を成立させています。また、予想される人口減に対する施策としてすすめられた平成の大合併も国の大きな支出を得て進められたにもかかわらず、日本創成会議の予想では、消滅可能性自冶体のなかに合併した自冶体が多く含まれているなど、厳しい現実に直面しています。ちなみに日本創成会議が作成した消滅可能性都市一覧のなかに東三河では、新城市(56.5%)、設楽町(76.5%)、東栄町(74.8%)豊根村(60.6%)<*%は、20102040年の若年女性減少率)が含まれています。

今では、議会改革の流れと平成大合併の時代を経て地方議員の数も大幅に減り、随分スリムになりましたが、地方議会が地域の活性化に対して十分にその機能を果たしていないのではないかという見方も、年々大きなものになってきています。本年も複数の辞職者を出した富山市議会のスキャンダルが全国紙でも大きく報道されましたが、その根底には、地方議会が本来の役割を果たしていないのではないか、という大きな不信感があります。いわゆる政務調査費というものは議員の自由研究費ですが、本来は、議会で上程される予算案をはじめとする議案をチェックするため、地域の政策立案のために使われるのが趣旨のはずですが、果たしてすべての経費がそのように使われているでしょうか。

 ところで、昨年行われた「言論NPO」が全国の有識者約6000人を対象にした調査では、「現在の地方議会が地方政治の中で十分な役割を果たしているか」の質問に約6割の58.6%が役割を果たしていないと回答しています。また、「地方議会の果たす役割として重要なことは何か」と、いう質問に対しては、「国会の立法機能に準じる形で地域の課題について条例制定などの政策機能を果たすこと」が、従来から期待されている「予算案や条例案の審議を通じ、首長の提案など自冶体行政を監視すること」の30.3%を大きく上回り、38.2%と最多の回答となっています。地方議会に対する期待の大きさを物語る数字です。しかしながら現実は、東三河の地方議会でも行政側が提出した原案をそのまま通しているのが、ほとんどであり、事実上、議会が持つ予算決定権等を首長に禅譲している状態になっています。ここ数年で、定数削減、本会議のケーブルテレビ中継、委員会質疑の一問一答方式等、表面的な改革は進んできましたが、人口減少のなか、地方の衰退が言われる現在、自冶体が住民の声を反映させる施策を考えていくプロセスを地方議会は、本気で実現し、議会の存在価値を示すことが求められています。

*東愛知新聞に投稿したものです。

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