10月 152015

日本という国の仕組みをそろそろ一般の国民も知るべき時を迎えている。

なぜなら、明治維新以降、薩長藩閥政府が強引に創ってきた日本という国の在り方が完全に限界に来ているからである。戦後、日本の官僚は、戦勝国である米国をバックに据えることによって政治家を完全に押さえ、官僚機構の肥大化とある意味、不労所得の恒久化に邁進することができるような公(おおやけ)優先の構造を創り出すことに成功した。つまり、司法、立法、行政、財政、外交、防衛、おおよそ国家の上部構造、つまり包括的権力がすべて官僚によって掌握され、宗主国である米国の意向は、日米合同委員会等を通じて忠実に反映されるが、日本人の本当の民意がなかなか反映されないのが、現在の日本の国政である。

いまだに3万人近い役人が天下る約4600の特殊・公益法人、そのグループ企業へ投じられる補助金は年間126000億円に達している。つまり、「天下り手当て」として復興財源を上回る予算が毎年注ぎ込まれているわけである。

「補完的社会事業」などと称し、国民の眼を欺いているが、特殊法人が本当の付加価値も創出していないことは言うまでもない。それどころか税金を投じて傘下に系列企業群を設立し、さらに役人が天下り、莫大な役員報酬を得、随意契約で優先的に業務を発注し、民業を圧迫している。これらの官製グループ企業は約3000社にも達している。もっとも、これらの利権のおこぼれに預かっている国民の数もかなりの数になるだろう。一言で表現するなら、戦後の日本システムの特徴は。市場経済において社会主義経済を実践するという二重構造にある。この既得権益層への傾斜的社会資本配分が行き過ぎたために現在、民間が極度の疲弊に陥っているというわけだ。

 何度もレポートで指摘しているようにこの国は、原発事故により現在、国家は存亡の危機にあり、過酷な税負担(この国には税の名前がついてない実質、税金と見なされる不思議な負担金?が特別会計に徴収されている。)により庶民が加速的に疲弊している。それにもかかわらず、何の能力も情報もない国会議員は、この日本の特殊利権構造に手を入れる意欲も手段ももっていないのである。

たとえば、役人の天下りへ投下されている126000億円の価値を考えてみるならば、5000億円で子供手当てを満額に継続し、3兆円で原発を全て廃炉にし、4兆円で福島の児童20万世帯を疎開させ生活保護費を支給し、5兆円で大学を完全無料化することができる。要するに似非エリート層によって利権が独占され、涙ぐましく、そのおこぼれに預かろうと陳情活動をするのが日本政治システムになってしまっているのである。

 たしか、ソビエト連邦崩壊時ノーメンクラツーラが私物化した社会資本は当時のレートで約34兆円以上と推計され、これは統治者による自国民からの収奪行為においては人類史上最高額に達するとされていたが、日本国における特権官僚の実践がそれを桁違いに上回っている可能性もあることを一般の日本人もそろそろ知るべきなのである。

 そういう意味でこの国の社会資本配分はある意味、詐欺もどきのものになっていると、言っても過言ではないだろう。国税と地方税の総計≒70兆円は人事院勧告準拠者700数十万人の給与、福利厚生、償還費、補助金で全額が蕩尽されている。このような無軌道な財政運営を続ければ、おそらく今後数年で公債総額は個人金融資産1500兆円と拮抗し、限界水域に達することになる。言うまでもないことだが、公債とは国民の資産と租税を担保とした借金にすぎない。

いずれにしろ絶対に責任を取らない官僚は、国債の暴落を引き起こし、桁違いの資産課税と年金、医療、公共サービスの切捨てをもってランディングする目論見であることは間違いないだろう。その時に、公務員の人員整理を強く要求するくらいしか、一般国民にはできないのだ。

官製国家である日本では報道されることもないが、1100兆円に達する公的債務のうち推計260兆円は、特殊法人へ貸付けた財投機関債(旧・財政投融資)によるものだ。つまり天下り官僚と準公務員という特権階級への献上金としてこれだけ莫大な金が費やされている。もともと国民の資産である年金、郵貯、簡保の積立金を原資とし、本来、出資者として配当を受け取るべき国民が、不良債権と化した財投債の元本、金利までをも負担し、租税として徴収されているわけであり、事実上の国家による強奪行為に他ならない。要するにわが国のエリートは、頭の悪い一般国民には財政の仕組みは何もわからないだろうと完全に馬鹿にしているのである。

当然のことだが、国債の9割近くは国民が市中銀行に預けた貯蓄で消化されている。国民の預貯金で公債を金に換え、国民が納める税金で元本償還を行い、公債金利を払っているわけだ。その上、宗主国である米国に外為特別会計を通じ米国債の購入を強制され、100何兆円規模で国民資産は米国に収奪されている。また、最近は特別会計の中にまでアメリカが手を突っ込み、活力交付金当たりから州債を買わせるなどしてお金を引き出しているようである。つまり馬鹿な日本人は国内外から二重にも三重にも搾取されているという見事な仕掛けができているのである。苫米地英人氏が「脱洗脳教育論」という本で述べているように日本人は明治維新の時から奴隷育成教育を受けているので、羊のように温和しくしているのであろうか。

 

先日、福島県宅地建物取引業協会が東京電力を訪れ、約25億円の損害補償を申し入れた。不動産への原発被害がいよいよ顕在化し、今後は周辺地域、都市圏への波及が警戒される事態となっている。これまでレポートで何回も指摘したが、日本政府が放射能汚染を頑なに隠蔽する一番大きな理由は、首都圏の不動産価格を下げたくないからである。都市圏の地価は10%の毀損で100兆円ちかい評価損失となる。これだけで信用創造機能は不全に陥いる。農林水産業や事業損失に加え不動産の賠償が加わるとなれば、脆弱なこの国の財政など一瞬で破綻することは明らかだろう。そのために官民上げて情報統制に狂奔し、被害実態を隠蔽し、富裕層が資産処分の時間を稼ぎ、クライシスを先送りしている。

 だから、そんなことに関わりのない人は、自分自身で情報収集し、考え、自分自身、家族、友人を守ることである。

 

しかしながら、日本では「このままの官僚利権構造が続く」と、それによって糊口を拭って来た地方経済の担い手たちがもはや疲弊しているのは、「地方創生」がかつてのような1億円の金の延べ棒をばらまく「ふるさと創生事業」ではなく、要するに利権無しでも適宜自活するようにという一方的な政策の申し渡しになりつつある国の現状を見ても明らかなはずなのに、いまだに勘違いしている人が地方の経営者を中心に多くいる。アベノミクスに本当の成長戦略がないことを見てもわかることだが、これから既得利権の時代が終焉していくのは明らかである。そして次は都市部に暮らす住民、さらには大企業、そしてついには官公庁と立法府(国会)もその渦に巻き込まれるのは当然である。

利権の原資が無く、利権を創ることが出来ない国会議員の先生に誰が投票するのだろうか。利権によって保ってきた似非民主主義:日本版アメリカン・デモクラシーもいよいよ終焉の時を迎えている。大体、不正選挙の疑惑がこれだけネットで囁かれ、明らかにおかしい事例までマスメディアでも一部報道されていることを考えると、すでに選挙の公正性すら現在の日本では担保されていない可能性も高いのだ。

 

兎に角、これからは、下記に紹介するような今まで信じていた「お花畑」を木っ端微塵に壊すような吃驚情報が続々出てくるだろう。そのことによって、徐々に戦後創られたすべての利権構造が壊れていく。この大きな時代の流れは、おそらく、悪名高い特定秘密保護法でも止めることはできないのではないか。

 

それでは、似非愛国者石原慎太郎氏の正体を元外交官原田武夫氏が容赦なく暴いているので、情報操作が大衆を如何に巧みに騙すかをじっくり考えていただきたい。以下。

 

「<泥棒国家>ニッポンを越えて」            原田武夫       2015年10月04日

 

例えばこんな話を聴いたらば、読者の皆さんはどう感じるだろうか。―――ある国の首都で首長を務める政治家がいた。どうしても息子には総理大臣になってもらいたいが、なかなかうまくいかない。かといって今さら自分が総理大臣になる道を志すわけにもいかないのだ。若い頃には「政界の暴れん坊」として鳴らしたものの、もはやその年齢でもないからである。そこで一計を案じた。

 

この国の首都には大きな港湾がある。その丁度入口にあたる部分に巨大な海底トンネルを掘るという計画がある。よくよく考えるならば「誰がそんなトンネルを使うのか」と首をかしげてしまうわけだが、対岸の他の地方行政府からすれば切望してやまない案件ではある。しかもここにきて国家としての経済の停滞は甚だしいものがある。「公共工事による需要創出」という御題目を打ち出すには絶好の機会となっている。

そうした中、国レヴェルでこれを所管する官庁はようやくこれを承認するに至った。無論、「道路族」の国会議員たちと並んで、国会議員ではないが有力政治家であるこの首長が辣腕を振るったのは言うまでもない。何てことはない、要するにこのトンネル建設工事のために組まれる予算の中に、彼ら土木官僚たちの将来的な「食い扶持」が含まれているように話しをつければ良いだけのことなのだ。工事を担当するのはこの港湾に長年特化した子飼いの建設会社だ。そもそもこの港湾の開発計画は、先の世界大戦の結果、この国が大敗北を喫してからというものの、戦勝国でありその後、この国にとって「唯一絶対の同盟国」となった大国の軍部によって事実上牛耳られてきた。無論、この国が名目上の「再独立」を勝ち取ってからはこの同盟国の軍部が港湾工事の細部に対してあからさまに介入してくることはない。ただ、一定の分け前を当然のように求めて来るわけであり、この点でもきっちり手を打つ必要があるのだ。首長はこのことを青年期から感づいていた。そしてこの同盟国からまず注目されるためには、それが敗戦国であるこの国の人々が二度と刃を向けて来ることが無いようエンターテイメント産業の発達による「愚民化」を図っているのに、俳優となった弟と共に、小説家として協力することに決めたのである。そしてテーマは「青年たちの暴走」を一貫して取り上げ、本来ならば国家全体として同盟国に押さえつけられているという現実を全くもって隠蔽し、青年たちの有り余るエネルギーを同盟国への抵抗から、極めて個人的な世界(「3S=スポーツ、セックス、シネマ」)へと向けることとした。

彼ら兄弟のこのやり方は大成功し、マスメディアを席捲する中で政治家へとのし上がる切符を兄である首長は得ることになったのだ。本来ならば「同盟国様様」となるはずだが、そんなことは無論、お首にも出すはずがない。それどころか今度は「NOと言える日本」なる本を打ち出し、この同盟国がいかに我が国を苦しめているのか、真の独立こそ今求められていると切々と訴えることにした。これがまたベストセラーになったわけであり、その勢いの恐懼した同盟国は少壮政治家となった後のこの首長を早速、自らの首都へと呼び寄せ、厚遇したのである。毅然として同盟国との協議へと向かう首長を、マスメディアは拍手喝采した。

港湾トンネル

さて、件の港湾トンネル建設計画についてである。首長がこれを子飼いの土木会社を用いていよいよ着手しようとしたのには訳がある。所管官庁にも言い含めてある国家予算の中から「(邦貨換算すると)600億円」を捻出するためだ。しかもそのやり方は極めて簡単だ。トンネルとその両端につくる橋梁で使うコンクリートを“薄めれば”良いのである。距離をいじったり、トンネルの大きさをいじったのでは後でばれてしまう。ところがコンクリートの「濃度」となるともはや現場を知るものしか分かり得ない世界の出来事なのである。子飼いの土木会社はこの意味できっちりと仕事をしてくれた。首長は「600億円」を捻出した。

 

だが、ここではたと気付いたのである。この600億円を塊として名のある銀行に置いておくのはやや気が引けるのである。無論、首長は有名政治家であり、かつその恫喝力で知られているわけだから、別にやろうとして出来ないことはない。有名銀行の最高幹部たちを縛り上げることなど、そのこれまでの行状、特に反社会的組織とのつながりや、夜の街の女性たちとの深い関係などを辿れば、大したことではないからだ。そのための実力装置との付き合いも首長はこれまで、港湾を取り仕切る荒くれ者たちとのやりとりの中で培ってきた。だが、そうとはいえ、やはり600億円はそれなりの金額なのだ。首長が「ここぞ」と思った瞬間に使える体制を維持しなければ意味がない。

そこで首長は考えついたのである。「そうだ、自分自身で完全にコントロールできる銀行を創ることが出来れば良いのだ」と。首長とは地方行政府のいわば”大統領“だ。その一言で巨大な地方行政組織が動いてくれる。「住民の福利厚生増進のため、独自の銀行を創るべし」といえば良い。ただそれだけで、地方行政官僚たちは整然と動き、「銀行」を創ってくれるのである。もっとも銀行業は彼らとて素人だ。世界的な不況の中でたまさかその国からの撤退を画策していた外国銀行の、おあえつらいむきの首都支店が一つあった。これを「公有化」してしまうのが一番手っ取り早い。―――首長は即決し、官僚たちはまたしても整然と動いてくれた。例の600億円は早々にこの新しい銀行の口座へと振り込まれた。

 

「これでもう大丈夫だ、息子が総理大臣になる道のりが開けた」そう想った首長の前に、突然立ちふさがった男がいた。辣腕ジャーナリストとしてテレビでも有名な小男だ。しかも彼は実に意外なところで首長に対して切りつけてきたのである。世界的な不況はこの国に対しても容赦なく負の波をぶつけてきた。そうした中で大合唱となったのが「行政のムダを徹底して切り落とせ」という主張、すなわち“構造改革”の呼び声である。雄ライオンによく似た髪型をした時の総理大臣が「抵抗勢力を潰せ!」と叫び続ける中、そうした波はいよいよ公共事業にも及び始めたのである。土木官僚たちの抵抗もむなしく、とりわけ「道路建設計画について徹底検証するための有識者会議」なるものを設置せざるを得なくなった。ジャーナリストはその一員、中でも「斬り込み隊長」役として、土木官僚たちが渋々提出した資料を、持前の嗅覚をきかせるべく鼻をひくつかせながら熟読し始めたのである。

そして、ついに見つけたのである。例の「コンクリート・トリック」を、である。もっとも世界で一番の野心家であるジャーナリストはそれを直ちに公表するなどという愚行には走らなかった。その代りに向かった先は、ここでの主人公である首長の下だったのである。

「首長、これ、見つけたのですけれどね」にやつきながら“600億円”が架空計上されている動かぬ証拠を示すジャーナリスト。かつては田舎学生運動の旗頭であったジャーナリストなど、自分とは格が違うのだと首長は怒り心頭だったが、しかしさすがにこの資料を示されて、この首長の内心は大いに動揺した。さて、どうするか―――。

「君、これはともかく、どうだね、首都行政のトップの現場で私を助けてくれはしないかね」

自分の顔がどうしてもひきつってしまうのを何とか隠しながら、首長は起死回生のための切り札をやおら切った。「野心家のこの小男のことだ、絶対に乗って来るはず」老獪な政治家である首長はそう確信していたのである。無論、その読みは当たっていた。「土木行政の切り込み隊長」として名を挙げたジャーナリストは今度は華々しく地方行政、しかも首都行政のトップへと転身。「国家で推し進めた構造改革を、今度は首都行政でも推し進める」と高らかに宣言し、鼻息荒く首都の牙城へと乗り込んだのである。

他方の首長はといえば、子飼いの首都行政組織幹部らに対してはこのジャーナリストへの「面従腹背」を命ずる一方、“その時”をひたすら待ち続けたのであった。その時、彼が胸の中で唱え続けた言葉はただ一つ。

「上げは下げのため、上げは下げのため、上げは下げのため・・・」

 

何人も急上昇すれば、必ず、そう”必ず“急降下するのである。奴を落とすにはまずもって急激な上昇気流に乗せてやるしかない。我が世の春となったジャーナリストは必ず踏み外すはずだ。そこで一撃必打、打ち取ればそれで良いのだ。

そして“その時”がやって来る。首長の「首都」が程なくして行われる夏季五輪の候補地として選定されるに至ったからである。首長自身は「オリンピック?ばかばかしい」と内心思っていたが、例のコンクリート・トリックが山ほど出来ることを思えば、無論そんな内心をお首にも出さなかった。だが同時に、マスメディアにとっては全くもってサプライズなことに「突然の辞任」を打ち出したのである。「老体にこの任はもはやきつすぎる。夏季五輪開催地の座を必ず射止めてくれるのは、これまで首都行政トップをきっちりとサポートしてくれた、このジャーナリスト氏しかいない」そう淡々と語り、首長は君臨していたその座から降りたのであった。

その深謀遠慮など、全く気付くことなく、意気揚々と首長の座に駆け上がった件のジャーナリスト。その後、紆余曲折が無かったわけではないが、「オリンピック利権」をこれまで何度となく味わって来た多くの魑魅魍魎たちの見えない力を借りて、夏季五輪開催というチケットを手にすることが出来たのであった。選定会場において、混血の我が方プレゼンテーターが口にした一言がもてはやされる中、首長であるジャーナリストはその人生の絶頂を迎えることになる。

 

だが、そこで「首長」の本当の計画が動き出したのであった。「夏季五輪開催を勝ち取ったのは自分。その自分こそが、夏季五輪開催時に栄えある首長の座に座っているべき」そう野心を今度は燃やし始めたジャーナリストは、今度こそ自分で潤沢なカネを集め、再選を目指そうと躍起になったのである。その裏側のどす黒い闇の中で「首長」が一撃必打の一手をその脳天めがけて振り落すとは知らずに、である。

ジャーナリストは、その手にまんまと乗り、「受け取ってはならないカネ」を受け取ってしまうのである。医療事故を起こし、もはや普通の病院では受け入れられなくなった「辣腕医師」たちを中心に集め、全国で病院チェーンを創り上げつつあった、自らは半身不随の経営者がいた。そのカネを不正献金と知りながら、ジャーナリストは懐にしまい込んだのである。無論、密室の中において、であない。「仲介役」を務めてくれた活動家の面前において、である。活動家は、かねてより「首長」とは昵懇だった。しかも”観念的な政治論“のレヴェルで「首長」とは相通ずるものがあった。そこで元来、真逆の思考を持っていたジャーナリストとは全くもって相容れないのである。だが、そんなことは全くもってお首にも出すことなく、活動家はいまや首長となったジャーナリストに急接近。「不法な政治献金の授受」の現場にまで立ち会うほどの関係を構築したのである。無論、盟友である「首長」の命を受け、動かぬ証拠をつかむために、である。

やがて「事件」は露呈する。得意の絶頂であったジャーナリストは全くもって脇が甘く、ものの見事に打ち取られた。マスメディアはほうほうの体で表舞台を去ろうとするジャーナリストの袖を引っ張り、そのこれまでの「傲慢さ」を暴き立てた。ジャーナリストは辞任はおろか、自宅謹慎、蟄居を余儀なくされた。「首長」はそのザマを見てほくそ笑んだ。「あの小男がこんな悲劇に襲われるのは当然のことなのだ。なぜならば、我が愛する息子が総理大臣へと駆けあがる道を塞ごうとしたのであるから。『政治生命』だけが奪われ、本当の“命”だけは助けてやったことにむしろ感謝してほしいくらいだ」―――。

 

そして迎えた与党総裁を選ぶ日。「首長」の愛すべき息子は総裁候補として立候補していた。候補は全部で3人。1度は総理になることが成功しながらも、謎の「腹痛」で辞任した男。秘書上がりでそのオタク趣味をテーマにメディア受けはするものの、ここ一番という時には手の震えが止まらなくなる男。そして政治部記者上がりで堂々とした美男子である我が愛すべき息子、である。「勝ったも同然」であった。傷がついていないのは息子だけだったからだ。それに今や、「環境保全」を理由に土木利権を完全掌握するに至った環境政策の所管官庁の大臣すら直前にはつとめていたのである。例の「実弾」を出さずとも、党所属の国会議員たちはついてくるはず、だった。

しかし、である。蓋を開けてみると何と惨敗だったのである。昔から「お坊ちゃま」として育てられ、優柔不断な長男である我が愛すべき息子は、「これがやりたいから総理になるのだ」と明言することが出来なかった。あれほど、そう“あれほど”家で、「首長」の前にて練習させたのに、である。口ごもりがちの息子をマスメディアは冷笑し、選挙戦は一気に前二者の一騎打ちになっていったのである。しかも例の「公衆の面前では震えの止まらない秘書上がりの男」が、インターネット上ではなぜか「総理ならばこの人だ!」と絶賛されている。全国の党員投票ではそうした流れを受けて圧倒的な優位まで獲得すらしていた。

「これはもう、例のブツを出すしかない」

そう思った「首長」は銀行を司っている首都行政組織の幹部へと電話をかけた。ところがそこで思いもよらない返答を耳にしたのである。

 

「申し訳ありません、『銀行』に公安当局が目を付けているという情報が入っており、即座にそれだけの金額を動かすとなると、かえって藪蛇になるかもしれないのです。今は静かにされておく方が良いかと・・・」

この国の国会議員の数と「600億円」。1人あたり割れば1回の選挙で勝ち抜くだけの資金になる計算だった。まずは与党の中でこれをばらまき、次にうるさ型の野党へとばらまく。これによって満場一致の「内閣総理大臣」として我が息子があの壇上で満面の笑みを浮かべるはず、だったのである。ところがそれが今、叶わないのだという。「なぜだ、一体なぜなんだ」―――。

 

事態は「首長」の知らないところで進行していた。そもそも買収される前、外国銀行の支店だった時から、経営不振に苦しむ同行は“この国”では禁じ手とされる「民族系マネー」の溜り場としての役割を果たし始めていたのである。そして「首長」の事実上のマイ・バンクとなってからはなおさら経営不振となり、ついにはこうした「民族系マネー」の温床とまで公安筋から言われるようになっていたのである。その様にして目を光らせ始めていた公安筋の背後には「この国のデモクラシーはこの国の内閣総理大臣によってだけリードさせなければならない」という例の“同盟国”の、敗戦直後からの強い意向が控えていた。だからこそ、600億円はすぐそこにあっても、絶対に引き出すことが出来ないマネーとなってしまっていたというわけなのである。

「大変申し訳ございません、もはや打つべき手は一つしかありません。この銀行の“健全化”を宣言し、他行との合併によって体質の根本的な改善を謳うしか道はないと考えます。そのためには我が地方行政府からの補助も打ち切らなければと―――。言いにくいことではございますが、どうぞお赦し下さい」子飼いであったはずの担当局長は「首長」に電話口でそこまで言い切ったのである。

 

「政界の暴れん坊」とまでかつてもてはやされた「首長」は、ただ一人の“老兵”、いや老人に過ぎなかった。後は、例のコンクリート・トリックでひねり出したマネーで建てた、海辺の豪邸で静かに寄せる波を見ながら余生を過ごすしかないのか。かつて道路を仕切る大臣を務めた時からこのトリックの甘い汁を覚えた自分のこれまでの歩みを懐かしみながら、潰えるしかないのか。

「いや、そんはずはない。まだ打つ手がどこかに、絶対にあるはずだ」―――。そうつぶやく「首長」の声が誰もいない書斎の中で響いていた。(引用終わり)

 

<アメリッポン>への道を突き進む?日本の官僚

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10月 102015

「本当に丁寧に説明すれば、ほとんどの人が賛成しない」というある意味、国民国家主権を放棄する取り決めがTPP(環太平洋経済連携協定)である。 

かつてブレンジスキー元大統領補佐官は今から20年以上前に「アウト・オブ・コントロール」という自著の中で次のようなことを書いている。

アウトオブコントロール

「日本は軍事大国化が世界からの孤立に繋がることを認識している。日本のリーダーたちは、それよりも同盟国で最強の米国と密接に関係を保ち、米国の主導のもとにパートーナー・シップを築くことが望ましい姿だと考えている。その先には太平洋をはさんだ日米コミュニティ=アメリッポンが見える。」 *「アウト・オブ・コントロール」より抜粋

 

この言葉は、もちろん戦後、半世紀にわたって外国軍(米軍)が駐留している国は、君主論で有名なマキャベリーの言葉を引用するまでもなく、政治的にはその属国だが、経済的にもアメリカの完全な属国であるアメリッポンを作ろうとしている大胆不敵な米国の戦略を意味している。戦後、宗主国であるアメリカは、日本の教育をコントロールして日本の優秀な官僚たちを親米、従米に育て上げる見事な仕組みを創り上げてきた。彼らが選挙活動で忙しくて勉強する時間も、その気もない政治家たちを振り付けして、今回の大筋合意に漕ぎ着けたわけである。しかしながら、国民国家のエリート(ベスト・アンド・ブライテスト)を自称する人々が自国の国益(国民全体の利益)より宗主国の利益、自己の権益を優先するようでは、その国の将来は、推して知るべし、であろう。しかしながら、何人もアメリカの覇権衰退という大きな歴史の流れの必然には逆らえないことも忘れてはならない。

 

 それでは、今から4年前TPPについて解説させていただいたレポートから抜粋させていただく。以下。

 

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)は、マスコミ等で宣伝されているような開国政策ではなく、全く逆の現代の集団鎖国政策、米国によるブロック経済、囲い込み政策であり、自由貿易に逆行する政策である。

TPPなどで関税を撤廃すれば参加国内の貿易は促進されるが、他地域との貿易で関税を引き上げなくても相対的に障壁を高める結果となり、逆に保護貿易を招く可能性も高い。

1929年の世界大恐慌後も、特定地域間で経済圏を形成し、その中で貿易を拡大して景気回復を図るブロック経済の動きがみられた。当時の経済協定は宗主国と植民地及び周辺国との間で締結された。代表的な例が当時覇権国のイギリスを中心に1932年に成立したオタワ協定である。これは英連邦国間で特恵関税制度を導入し、連邦外の国との貿易には高関税を課すもので、スターリング・ブロックと呼ばれる閉鎖的な経済圏が形成された。これによりイギリスの対英連邦国の貿易比率は拡大した。米国も関税を大幅に引き上げるスムート・ホーリー法や中南米諸国との経済協定を締結した。一方で植民地の少なかった日本やドイツは、経済圏の拡大を目指して満州や中欧への進出を強め、第二次大戦につながっていった。

tpp 参加国1

TPP参加国?

 *世界最大の債権国である日本にはアメリカだけでなく、中国からのアプローチも当然ある。 

 

(以下引用)

「アジア共同体や海洋協力を 日中友好委で唐氏が提唱2011.10.23 18:17 産経新聞

 

 日中両国の有識者でつくる「新日中友好21世紀委員会」の第3回会合の開幕式が23日、北京の釣魚台迎賓館であった。中国側座長の唐家(=王へんに旋)元国務委員は基調講演で、東アジア共同体の構築を視野に、自由貿易協定(FTA)の推進や海洋上の協力体制の創設を提唱した。

 唐氏は「アジアの大国として協調と協力を深め、多くの利益の接点を探さなければいけない」と日中がアジア一体化に努力すべきだと強調。日中韓FTAや東アジア貿易圏の創設などを提案した。

 また、唐氏は沖縄県・尖閣諸島や東シナ海ガス田の問題などを念頭に、海上危機管理メカニズムの必要性を強調、西太平洋における海洋環境調査やシーレーン(海上交通路)の安全確保も日中合同で実施するように求めた。(共同)(引用終わり)

 

下記にあるように米国のエリート自身がアメリカにすでにリーダーシップがないことを認めている。であるならば、本来、日本は純粋に経済的損得だけを考えてこの問題を考えるべきである。(以下引用)

 

金融危機が出現させたGゼロの世界――主導国なき世界経済は相互依存からゼロサムへ

A G-Zero World

――The New Economic Club Will Produce Conflict, Not Cooperation

イアン・ブレマー ユーラシア・グループ会長 

ノリエル・ルービニニューヨーク大学教授 

フォーリン・アフェアーズ リポート 20113月号

 

市場経済、自由貿易、資本の移動に適した安全な環境を作りだすことを覇権国が担ってきた時代はすでに終わっている。アメリカの国際的影響力が低下し、先進国と途上国、さらにはアメリカとヨーロッパ間の政策をめぐる対立によって、世界が国際的リーダーシップを必要としているまさにそのときに、リーダーシップの空白が生じている。われわれは、Gゼロの時代に足を踏み入れている。金融危機をきっかけに、さまざまな国際問題が噴出し、経済不安が高まっているにもかかわらず、いかなる国や国家ブロックも、問題解決に向けた国際的アプローチを主導する影響力をもはや失ってしまっている。各国の政策担当者は自国の経済成長と国内雇用の創出を最優先にし、グローバル経済の活性化は、遠く離れた二番目のアジェンダに据えられているにすぎない。軍事領域だけでなく、いまや経済もゼロサムの時代へ突入している。

(引用終わり)

経済的な利害だけを考えれば、TPPは日本国民一人一人には、何のメリットもないものである。ただ、世界最大の債権国である日本を参加させなければ米国の戦略にとって何の意味もないことだけは確かである。つまり、TPPは米国の年次改革要望書の仕上げである。

<09年におけるTPP関連諸国のGDP(単位:十億ドル)>

tpp関連諸国のgdp

出典:IMF

上記のグラフを見れば、一目瞭然、TPPとは、日米の問題なのである。

 

*以下、読売新聞より

「TPP大筋合意…交渉5年半、巨大経済圏誕生へ」読売新聞105()

世界経済の4割を占める?

【アトランタ(米ジョージア州)=横堀裕也、辻本貴啓】環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する12か国は5日朝(日本時間5日夜)、共同記者会見を開き、交渉が大筋合意に達したとする声明を発表した。
 2010年3月に始まったTPP交渉は5年半を経て終結し、世界の国内総生産(GDP)の約4割を占める巨大な経済圏が誕生することになった。
 記者会見に先立ち、甘利TPP相は記者団に「TPPは21世紀型のルール、貿易のあり方を示す大きな基本になる。この基本は世界のスタンダードになっていく」と意義を強調した。議長役のフロマン・米通商代表部(USTR)代表は記者会見で、「成功裏に妥結したと発表できることをうれしく思う」と述べた。
 TPPは安倍首相の経済政策「アベノミクス」の柱の一つ。発効すると、域内でのモノや人材、サービスのやりとりが盛んになり、経済が大きく活性化することが期待できる。日本は少子高齢化で国内市場が縮小に向かう中、米国や新興国の需要を取り込み、新たな成長のよりどころとする。(引用終わり)

 

TPP風刺画

ビジネスマン:「さあ、これで、あなたもマレーシアと商売ができますよ!」

派遣労働者: TPPのせいで、失業生活を送っている俺にはカンケーねー」



*参考資料 

20151008日(ロシアの声)

全世界の中央銀行が前代未聞の速さで米国債を売却しようとしている。ウォールストリートジャーナル紙が報じた。」

 

ドイチェバンク(独中央銀行)国際問題部の主任エコノミスト、トーステン・スロク氏の掴んだデーターでは、米国債市場からの資本引き上げは6月も続いており、過去12ヶ月の資金流失額は1230億ドルに達した。この額は1978年以来、最大。

一連のアナリストらは中央銀行側からの大売りの結果として国債の収入増を予測している。これは、世界経済の将来に対するペシミズムが高まる背景で、より信頼性の高い金融ツールに資金を転換せざるを得ない民間企業からの国債への需要は増えているにもかかわらず起きるだろうと予測されている。多くの資本家らは国債市場の方向転換はすでに起きており、今後は収益性はただ増す一方との確信を示している。

SLJ マクロ パートナーズ LLP社のパートナーで元IMFのエコノミストのステファン・イエン氏は「過去10年、世界の中央銀行が米国債を買い続けたために、米国債の収益性は深刻にダウンしたが、今、見られるのはその反対のプロセス」と語る。

1年前の時点では、世界の中央銀行は米国債のポジションを270億ドルも拡大していたことは特筆に価する。(引用終わり)

 

田中 宇氏「多極化とTPP」という記事の中で実に適確な指摘をしているので抜粋して紹介する。

以下。http://tanakanews.com/151007tpp.htm 

米国は、アジア太平洋諸国とのTPPと、欧州(EU)との協定であるTTIPという、2つの似た内容の自由貿易圏を同時並行的に交渉して設置することで、米国中心の新たな経済覇権体制として構築しようとしてきた。だがTTIPは、24の全項目のうち10項目についてしか米欧双方の意見表明がおこなわれておらず、対立点の整理すら未完成で、まだ交渉に入っていない。EUでは、署名活動として史上最多の300万人がTTIPに反対する署名を行った。

 TPPもTTIPも、企業が超国家的な法廷(裁定機関)をあやつって国権を超越できるISDS条項や、交渉中の協定文が機密指定され国会議員でも見ることが許されていない(米議会では数人が見たらしいが、日本の国会議員は誰も見ていない)など、国民国家の主権を否定する傾向が強い。EUの調査では、欧州市民の96%がTTIPに反対だというが、当然だ。

 すでに書いたように、EUは今後、米国との同盟関係を希薄化して露中への接近を加速し、米単独覇権体制を見捨てて多極型世界の「極」の一つをめざすだろう。欧州がTTIPに同意する可能性は今後さらに低くなる。おそらくTTIPは破棄される。TPPだけが残るが、TPPは拡大NAFTAであり、米単独覇権体制の強化でなく、多極型世界における米国周辺地域の統合を強化するものになる。(米国の中枢には、単独覇権体制を声高に希求する人々と、多極型世界をこっそり希求する人々がいる。ベトナム戦争もイラク戦争も、単独覇権を過激に追求してわざと失敗させ、多極型世界を実現する流れだ。単独覇権型の貿易体制が多極型の体制に化けても不思議でない)

 以前、日本はTPPの交渉に入っていなかった。日本がTPP交渉に途中から参加し、今や米国より熱心な推進者になっている理由は、世界の多極化が進む中で、何とかして自国を米国の傘下に置き続けたいからだ。日本の権力者が国際的に自立した野心を持っているなら、対米従属の継続を望まないだろうが、戦後の日本の隠然独裁的な権力者である官僚機構は、日本を対米従属させることで権力を維持してきた。対米従属下では、日本の国会(政治家)よりも米国の方が上位にあり、官僚(外務省など)は米国の意志を解釈する権限を乱用し、官僚が政治家を抑えて権力を持ち続けられる。近年では、08-09年の小沢鳩山の政権が、官僚独裁体制の破壊を画策したが惨敗している。対米従属は、官僚という日本の権力機構にとって何よりも重要なものだ。

  

TPPは、米国の多国籍企業が、ISDS条項などを使って日本政府の政策をねじ曲げて、日本の生産者を壊滅させつつ日本市場に入り込むことに道を開く。日本経済を米企業の餌食にする体制がTPPだが、日本の権力である官僚機構にとっては、米政府に影響力を持つ米企業が日本で経済利権をむさぼり続けられる構図を作った方が、米国に日本を支配し続けたいと思わせられ、官僚が日本の権力を握り続ける対米従属の構図を維持できるので好都合だ。米企業が日本でぼろ儲けし、日本の生産者がひどい目に遭うことが、官僚にとってTPPの成功になる。官僚が、意志表示もほとんどしない国民の生活より、自分たちの権力維持を大事と考えるのは、人間のさがとして自然だ。

 

日本ではここ数年、国民が中国や韓国を嫌うように仕向けるプロパガンダがマスコミによって流布され、それを国民の多くが軽信している。こうした洗脳戦略も、米国が衰退して中国が台頭する多極化の傾向への対策だろう。洗脳戦略がなかったら、国民のしだいに多くが「米国より中国と組んだ方が日本経済のためだ」「TPPでなく日中韓で貿易圏を作れば良い」と思うようになり、民意主導で日本が対米従属から離脱していってしまう。それを防ぐため、国民が中国や韓国を「敵視」するのでなく「嫌悪」するよう仕向ける洗脳戦略が採られ、かなり成功している(敵視を扇動すると、日本が中国に対して攻撃的に関与してしまうことにつながり、どこかの時点で日中が折り合って和解してしまいかねない)。

 

TPPと並んで、自衛隊が米軍と一緒に海外派兵できるようにする日本の集団的自衛権の強化も、対米従属維持のためだ。先に書いた、カナダ軍が米軍の傘下に入って海外派兵する新体制を作ろうとする米加軍事統合を、日本の集団的自衛権の強化と並べてみると、2つが良く似ていることに気づく。カナダは米国から「多極化の中で国家統合を進めたいなら、カナダ軍が米軍の傘下に入って海外派兵できるようにしろ」と言われ、迷いつつ進めている。それを見た日本外務省が「うちも、米軍の傘下に入って海外派兵できるようにしますので、多極型世界における北米圏に入れてもらって良いですか」と申し出た。米国は了承し、日本は集団的自衛権を改訂した。NAFTA(北米経済圏)の拡大版であるTPPに、日本が何とかして入ろうとしたのと同じ構図だ。

  

今回、TPPの交渉が妥結した一因は、乳製品問題で前回の交渉を頓挫させたニュージーランドを、日本が輸入増で譲歩してなだめたからだ。バイオ医薬品の独占期間の5年+3年の解決方法も日本が進めた。TPPは、日本のイニシアチブで妥結した。

安倍政権を動かしている日本の官僚機構は、多極化が進んで日本が米国圏から切り離される前に米国にしがみつこうと、これまでにない積極性で対米従属を強化している。日本が主導してTPPを妥結に持ち込んだのはその一つだし、説明抜きで無理矢理に集団的自衛権を強化したのもそうだ。日本の主導権発揮を受け、オバマはTPPの妥結を容認した。しかし、中東や対露関係から判断してオバマは隠れ多極主義者であると考えられるので、このまますんなりTPPが実現していくとは考えにくい。10月中のカナダの選挙で右派の与党が負けると、カナダ議会がTPPの批准を否決する可能性が強まる。米議会でも超党派でTPPへの反対があり、来年の大統領選挙で勝ちそうな共和党のトランプもTPPに反対だ。TPPをめぐる戦いはまだ終わっていない。(引用終わり)

米国議会図書館議会調査局文書>

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-7c4a.html

 

TPPでのアメリカの狙いは、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策を日本に解除させることにある

 

<市場アクセス>

TPP交渉への日本参加は、アメリカの通商と日本投資における機会を増大する可能性がある。アメリカ合州国の狙いは、米日貿易関係において、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策、ある種の政府規制等を、日本に解除させることにある。現在の9ヶ国によって想定され、交渉されているTPPは、日本が維持しているこうした非関税施策の少なくとも一部を対象にすることになろう。もし日本が TPP交渉に参加すれば、アメリカ合州国と日本は、その中でこれら積年の市場アクセス問題に対処することになる、枠組みを持つようになる。

上記項目は、この文書の大分下の方にでてくるが、お時間とお手間をとらせないよう、一番先に貼り付けておく。

以下は、原文の通りの順序。該当文書の6から11ページの部分訳である。(文章末にある数字は、原文中で、原典を示す注番号。)

 

<残された課題とTPP
米日経済関係をいらだたせ続けてきた問題の多くは、TPPの枠内で対応可能かも知れない。アメリカの議員や他のステークホルダーは、もし解決ができれば、日本をTPPにとりこむことへの、アメリカの支持を強化しうる“信頼構築の施策”と見なすことができるであろう、三つの点を特定している。問題点は以下の通り。アメリカ牛肉に対する日本の制限、デトロイトを本拠とするアメリカ自動車メーカーが製造した自動車の日本での市場アクセス、そして、国営の日本郵政の保険と宅急便子会社の優遇措置だ。

<アメリカ牛肉の市場のアクセス>

200312月、ワシントン州で、牛海綿状脳症(BSE、いわゆる“狂牛病”)のアメリカ最初の事例が発見されたことに対応して、日本は、他の多数の国々と共に、アメリカ牛肉輸入禁止を課した。2006年、多数の交渉後、日本は20カ月以下の牛の牛肉を認めるよう制限を緩和した。(韓国や台湾等、他国の中には、30カ月以下の牛のアメリカ牛肉輸入を許可している) アメリカ牛肉生産業者と一部の議員は、国際的監視機関が牛の年齢とは無関係にアメリカ牛肉は安全だと宣言しているので、日本は制限を完全に解除すべきだと主張している。アメリカと日本の当局者間の交渉は、この問題を解決できていない。

20111112日、ハワイ、ホノルルでのAPEC指導者フォーラム会合前の、オバマ大統領との会談で、野田首相は、日本の牛肉輸入規制を改訂し、アメリカ牛肉の市場アクセスを拡大する取り組みが進行中であることを示した。ホワイト・ハウスによれば、“大統領は、こうした初期対策を歓迎し、科学に基づく、この積年の問題を解決することの重要性に言及した。野田首相によって行われている迅速な対策に励まされる思いであり、こうした構想で彼と密接に仕事をすることを期待している。”14 20111117-18日の東京での日本の当局者との会合で、デメトリオス・マランティス米通商部(USTR)次席代表は、アメリカ牛肉に対する制限解除の問題を話題にした。15 201112月、日本は、日本に輸出するアメリカ牛肉用の牛の最高年齢を20カ月から30カ月に上げるという目的で、BSEに関連する規制を見直していると発表した。2012424日に、アメリカ農務省(USDA)検査官が、中部カリフォルニアのレンダリング施設で、この病気のサンプリングをしたものの中で、牛のBSE症例を発見した。USDAは、この牛は、人間の消費用に屠殺したものではないので“食品供給や、人間の健康にとって、決してリスクにはならない”と述べた。16 日本当局者は、最近BSEが発見されたが、アメリカ牛肉の輸出に対する政策は変えていないと発言した。17

 

<アメリカ製自動車の市場アクセス>

自動車と自動車部品関連の貿易と投資は、米日経済関係の中で、非常に微妙な問題であり続けてきた。問題の根は、1970年代末と、1980年代初期、主としてガソリン価格急速な高騰に対応して、アメリカ消費者の小型車需要が増加した結果、アメリカの日本製自動車輸入が急増したことにある。

一方、アメリカ製の自動車の需要は急落した。日本製の自動車輸入制限という形での、アメリカ自動車業界の圧力と、議会からの圧力に直面して、1981年に、レーガン政権は、自発的輸出制限に合意するよう、日本を説得した。日本の自動車会社は、制限に対応して、アメリカ合州国内に製造工場を建設し、高価値の乗用車を輸出することにした。アメリカのメーカーは、日本国内での外国製自動車販売と、アメリカ合州国で製造された日本車でのアメリカ製部品使用を制限する為、日本は様々な手段を使っていると主張した。これらの問題は、1990年代中、二国間交渉と合意の対象とされた。合意は、概して、政府規制が、日本でのアメリカ製自動車の販売を決して妨げないようにするという日本政府の約束と、アメリカ合州国で製造される自動車で、アメリカ製自動車部品の使用を増やすという日本メーカー側の自発的努力という形のものだった。アメリカ政府は、日本へのアメリカ製自動車の輸出促進プログラムを実施すると約束した。

デトロイトに本拠を置く三社の自動車メーカー-クライスラー、フォードと、ゼネラル・モーターズは、日本がTPPに参加する可能性に対し、日本政府の規制が、日本国内の自動車売り上げ中で、彼等が応分のシェアを得るのを妨げ続けていると非難している。彼等は日本の全自動車売り上げ中の、伝統的に小さな輸入車のシェア、約5%に触れている。対照的に、2010年の輸入は、アメリカでの軽自動車の売り上げの26%を占めている。18アメリカ・メーカーはまた、2010年の総売り上げ中の、アメリカ製自動車の0.2%という小さなシェアを指摘している。

とりわけ、アメリカ自動車メーカーは、安全規制と、車検規制と、そうしたものの進展と実施での透明性の欠如が、アメリカ製の車の輸入を妨げていると主張している。アメリカの自動車メーカーは、日本で、自分達の車を販売するディーラーを設立する障壁にも言及した。19 日本側の業界は、アメリカ・メーカーが、日本で需要がある小型エンジン車両を十分な量、製造していないのだと主張している。対照的に、ヨーロッパ・メーカーは、そうしたモデルを多く製造しており、2010年の日本国内販売中で、彼らのシェアは、2.9%である。20

 

<保険、宅急便と、日本郵便>

日本は、アメリカ合州国に次いで、世界で二番目に大きい保険市場である。アメリカに本社を置く保険会社は、市場参入が困難であることに気がついた、特に、生命保険と年金保険。彼等は、日本の国内の保険市で大きなシェアを有する国営郵便制度の保険子会社、日本郵政保険に政府が与えている有利な規制の扱いを憂慮している。日本郵政は、他の業務からの収入で、保険業務を補助している。また、日本郵政の保険は、他の国内、外国、両方の民間保険会社に対するのと同じ規制を受けずにいる。同様に、アメリカの宅急便会社は、日本郵政の宅急便運送会社は、国有の親会社から補助を得ており、それが、競争上の不公平な優位性を与えていると非難している。

 

<日本の環太平洋連携協定への参加可能性と、その意味あい>

2007101日、当時の小泉純一郎首相政権は、日本郵政の改革と民営化を導入し、彼の政権の主要目標とした。ブッシュ政権と多くのアメリカ企業、特に保険会社は、こうした改革を支持した。しかしながら、民主党が率いる後継政権は、改革を巻き返す措置を講じた。2012312日、政府は規制の要求を緩和する法案を提出し、2012427日、日本の議会が、法案を法律として成立させた。業界報告や他の意見によれば、法案は小泉政権が導入した改革を逆転するものだ。21 法案は、与党の民主党と、二大野党、自由民主党 (自民党)と公明党議員達による妥協パッケージだとされている。22

 

<アメリカの全体的目標>

日本のTPP参加の可能性は、様々なアメリカの貿易、外交政策目標に関わっている。アメリカ合州国は、201111月のTPP参加の可能性を追求するという野田首相の声明を積極的に歓迎した。しかしながら、USTR ロン・カークは下記のように明記している。

交渉に参加するためには、日本は貿易自由化のTPPの高い水準に合致する用意ができていて、農業、サービスと、製造業に対する非関税施策を含む障壁について、アメリカ合州国が関心を持っている特定の問題に対処しなければならない。日本のTPPへの関心は、この構想の、この地域に対する経済的、戦略的重要性を実証している。23

 

<市場アクセス>

TPP交渉への日本参加は、アメリカの通商と日本投資のおける機会を増大する可能性がある。アメリカ合州国の狙いは、米日貿易関係において、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策、ある種の政府規制等を、日本に解除させることにある。現在の9ヶ国によって想定され、交渉されているTPPは、日本が維持しているこうした非関税施策の少なくとも一部を対象にすることになろう。もし日本がTPP交渉に参加すれば、アメリカ合州国と日本は、その中でこれら積年の市場アクセス問題に対処することになる、枠組みを持つようになる。

 

<ルールに基づく貿易の枠組みと、公平な紛争処理>

アメリカ合州国と日本が過去に使ってきた二国間の枠組みの欠点の一つは、そこに正式な紛争処理機構がないことである。例えば、アメリカ製自動車と自動車部品の日本市場アクセス、半導体の日本の貿易慣習や、建設サービスの日本市場アクセスを含む1980年代と、1990年代の、多数の貿易紛争は、アメリカによる一方的な行動の脅しをともなう、全体的な関係をむしばみかねない、深刻な政治問題と化した。

紛争は通常、瀬戸際で解決されたが、日本の貿易慣習の意味ある変化や、対象になっているアメリカの製品輸出の大幅な増加をもたらさないことが多かった。TPPは、WTOを越えるが、問題解決において、11の対決の役割を小さくするよう、WTOで用いられているような、公平な複数メンバーの紛争調停機構を用いる可能性の高い、相互に合意した一連の規則を提供することとなろう。

 

TPPの強化>

アメリカから見て、日本は、TPPの経済的重要性を増すだろう。TPP(オリジナルの9ヶ国プラス、カナダとメキシコ)がカバーするアメリカ商品の貿易額を、2011年データに基づく、34%から、39%に増大するだろう、また、TPP内でのサービス貿易と、外国投資活動も増大するだろう。(1参照) 日本は、TPP加盟国(カナダとメキシコを含む)占める世界経済でのシェアを、約30%から、38%に増大させるだろう。

日本の参加は、TPP内の多くの問題で、アメリカの立場を強化する可能性がある。アメリカ合州国と日本は、以下を含む目標を共有している。知的財産権の強力な保護、外国投資の保護、貿易を促進する明確な原産地規則、サービスの市場アクセス。(終わり) 

 

*基軸通貨ドルベースで見た日本経済:見事なまでに世界経済でのウエイトを下げている。

 アベノミクスの裏面である。


 

ドルベースで見た日本のGDP

*日本はこの10年で500兆円規模もの対外資産を増やしている。

 財務省は毎年、本邦対外資産負債残高の数字を発表している。それによれば、日本の対外資産残高は、平成16年末が433.9兆円、平成26年末が945.3兆円である。その差額は511.4兆円にもなる。日本はこの10年間にて500兆円規模の資産を海外移転している。

 なぜ、こんなにも巨額の国富移転が行われているのか、その主な要因は、円高になったとき、日銀は円売りドル買いオペをやって、そのドルにてせっせと米国債を買っているからだ。政府日銀がやっていることは、結局、米国の財政を日本国民の資産でサポートしているということに他ならない。ここまで対外資産が膨らんでいるのは米国から日本への資産還流、すなわち、日本の持つ米国債の償還が行われていない事も意味している。

 要するに日本は米国に累計945兆円ものおカネを貸しているのだが、それ(元本)が返済されていないということを意味している。

○平成16年末現在本邦対外資産負債残高(財務省資料)

https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/iip/16_g5.htm

○平成26年末現在本邦対外資産負債残高(財務省資料)

https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/iip/2014.htm

 

戦争法案成立後の日本

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9月 292015

「パックスアメリカーナの時代」が黄昏時に入ったとは言え、太平洋戦争に負けた日本が米国の「特別行政自冶区」である現実には何の変わりもない。いまだに多くの日本人が日本をりっぱな独立国だとずっと勘違いしているが、また、米国の支配層はずっと勘違いしていてくれるように願ってはいるが、残念ながら現在の日本は真の独立国ではない。

 

「戦後日本という不思議の国」には、数々の神話が散りばめられ、美しい装飾が施されているが、勝者であるアメリカのマッカーサーと昭和天皇のギリギリの交渉の結果、成立した特別行政自冶区でしかないことは、間違いのないところだろう。それが徹底したリアリストであった昭和天皇が天皇制を残すためにした苦渋の決断であったのだ。そのことを豊下楢彦氏は近著「昭和天皇の戦後~<憲法・安保体制>にいたる道~」できっちりと「天皇実録」に基づいて証明している。

 その視点で見てはじめて日本の戦後史の実態が見えてくる。その意味で、今回の安保法案、いわゆる戦争法案は昭和天皇が創り出した<戦後の米国との均衡点>を明らかに逸脱している政治行為である。米国のジャパンハンドラーも、日本の為政者もおそらく戦後史の原点を忘却の彼方に押しやってしまったのである。

昭和天皇の戦後日本


ところで、「日米相互防衛援助協定(MSA協定)」というものがある。そこにはこう書かれている。

 

「各政府は,経済の安定が国際の平和及び安全保障に欠くことができないという原則と矛盾しない限り,他方の政府に対し,及びこの協定の両署名政府が各場合に合意するその他の政府に対し,援助を供与する政府が承認することがある装備,資材,役務その他の援助を,両署名政府の間で行うべき細目取極に従つて,使用に供するものとする」

 

つまり、戦後の日本は国の財政基盤が許す限り、米国の軍事行動に対して経済的に協力するということなのである。ところが国力の低下により、世界の警察官がもはや維持できなくなりつつある米国は、その取り決めを逸脱した集団自衛権の行使を今回、日本に求めてきたのである。そして、御所、天皇に向かって発砲するという前代未聞の蛮行を「蛤御門の変」で犯した長州卒族の末裔が何を勘違いしたか、米国のジャパンハンドラーの言うことを120%聞き入れてしまったのが、現在の日本である。

これはこの国の暗黙の統治機構に対するある意味、「クーデター」である。その意味でこれからは、反作用の力が大きく働いてくるのは必然である。恐らく、その反作用の動きは昭和天皇の創った均衡点へ振り子を戻すに止まらず、日本が「特別行政自冶区」でなくなる動きに繋がっていくはずである。従米で凝り固まった日本のマスコミは解説しないが、最近、ロシアのプーチンはシリアにISIS(イスラム国)対策とは思えないほどのロシア正規軍を派遣している。最終的な狙いは、ネオコン=戦争屋と表裏一体のイスラエルであろう。1948年にシオニズムに基づいて建国されたイスラエルがその後、世界の兵器需要の増加(戦争経済)にどれだけ貢献したか、冷静に考えてみれば、すぐわかることである。

中東地図 日本語



いよいよ2001年の911以降、世界をいいようにコントロールしてきた戦争屋=ネオコンがメインストリートから退場する時を迎えようとしているのかもしれない。

従米を自らの権力の源泉とする安保利権を守ろうとする日本の官僚は、傲慢にも「天皇制の下におけるアメリカンデモクラシーというこの国の在り方」を都合良く忘れてしまったのだろうか。彼らは敗戦後もこの国に天皇制が残っている理由を忘れてしまったエリート?なのである。米国による戦後教育の成果であろう。

<参考資料>

*週刊現代より

「デモ隊も見逃した「陰の主役」たち」

 

外務省の超エリート

条約局マフィアという言葉を聞かれたことがおありだろうか。外務省の超エリート・旧条約局(現国際法局)の局長経験者を中心に形成された人脈のことだ。

たとえば安保法制懇の柳井俊二座長。国家安全保障局の谷内正太郎局長。外務省一の切れ者とされる兼原信克内閣官房副長官補。安倍首相が法制局長官に起用した小松一郎氏(昨年病死)。みんな条約局長(国際法局長)経験者で、条約局マフィアの代表格と見なされている。安保法制を執拗に画策してきたのは彼らである。彼らこそ官邸の主役だと言っていいだろう。私はこれまで官僚の掌で政治家が踊る姿を何度も見てきたが、今ほど官僚が政治を思うままに動かす局面を見たことがない。先月末、河出書房新社から出た『安倍「壊憲」政権に異議あり 保守からの発言』(佐高信編著)で山崎拓元自民党副総裁がこう語っていた。

〈いまの内閣はまたぞろ官僚支配内閣になっている。自民党支配の内閣ではない。(中略)官僚が好きなようにやっているという状況が出来している〉

安倍壊憲政権に異議あり

ご承知のように山崎さんは自民党タカ派(改憲派)の有力者だった人で、防衛庁長官もつとめた安保政策の専門家だ。

山崎さんは、安倍首相には集団的自衛権の行使を政治的実績にするという目論見があり、それに官僚が従って法制化した――という部分ももちろんあるのだがと断って、こうつづける。

〈むしろこの機会にとにかく自衛隊を海外へ外交のツールとして展開させたいという、外務官僚の宿願が安保法制を推し進めるようになってきた。これは大変危険な事態です。もちろん集団的自衛権の問題ではあるのですが、集団安全保障のほうに官僚たちの宿願があるわけで、積極的平和主義という名のもとにそれをやろうとしている〉

山崎さんの言う外務官僚とは即ち条約局マフィアのことだろう。ちなみに集団安保とは、国連決議に基づいて侵略国を叩く措置だ。同じ武力行使でも「守る」ことを目的とする集団的自衛権とはまるで次元が違う。

 

彼らが集団安保に拘る理由

条約局マフィアが集団安保にそこまで拘る理由は何か。山崎さんによればこういうことだ。日本は今までODA(政府開発援助)で外交をしてきた。だが、1998年に1兆円をはるかに超えていたODA予算が、今はその4割しかない。一方、アフリカや発展途上国へのODA支援では中国の力が強い。人海戦術もあって支援が厚いので日本は対抗できなくなっている。また中国の軍事力膨張に対しASEAN10(東南アジア諸国連合10ヵ国)が怯えてきている状況もある。

そこで我が国も自衛隊という軍事力を外交のツールとして駆使したいということです。これは外務官僚の意志であり、同時にアメリカの要請でもあります。世界の警察官としてふるまってきたアメリカは、軍備が老朽化して、軍事費も減らして足元が弱っている。そこでアメリカは警察犬が欲しいということで、日本という警察犬を引きまわそうとしている

山崎さんの解説には説得力がある。彼は(1)安倍首相の目論見(2)外務官僚の意志(3)米国の要請――という3つの視点から法案を分析している。そのうえで実は「軍事力を外交のツールとして駆使」するための集団安保こそ条約局マフィアの狙いなんだよと重大な警告を発している。では、彼らはどうやって宿願を果たしたのか。その手口の一端を朝日新聞が連載「検証集団的自衛権」で書いている。

 

昨年5月の会見で首相は外務省が求める集団安保への参加を否定し「湾岸戦争やイラクでの戦闘に参加することは、これからも決してない」と明言した。

集団安保まで認めるのは「憲法の論理として無理」との意見が礒崎陽輔首相補佐官(国家安全保障担当・総務省出身)らを中心に政府内で強かったからだ。

ところが外務官僚は諦めなかった。集団的自衛権をめぐる与党協議にこっそり集団安保を潜り込ませようと画策した。たとえば議論の叩き台となる事例集。ホルムズ海峡の機雷除去のケースではイラストに米国旗とともに国連旗を並べた。

二つの旗から自衛艦に矢印がのび「機雷掃海活動への参加要請」と記されていた。米国を守るための機雷除去は集団的自衛権だが、国連から要請されると集団安保になる。それを見て集団安保推進派の「ヒゲの隊長」こと佐藤正久参院議員は外務省の仕掛けに気づき、ニヤリとしたという。事例集作成の中心になったのは条約局マフィアの兼原信克副長官補だった。朝日は外務省の狙いを〈1991年の湾岸戦争で国際社会から「カネだけ出した」と批判されて以来、自衛隊の活動範囲を広げて「外交カード」を増やしたい考えがあった〉と説明している。

画策はさらにつづく。

その後の与党協議で配られた「高村(自民党副総裁)試案」では従来の「自衛権発動の3要件」が「武力行使の3要件」に変わった。自衛権を逸脱する集団安保を加える含みを持たせたのである。それと並行して首相の国会答弁も軌道修正された。

決戦場となったのは616日の自民側と政府側の会議だった。集団安保をめぐって推進派と慎重派の意見が対立した。その議論にじっと耳を傾けていた高村正彦副総裁は最終的に推進派に軍配を上げた。朝日はこう締めくくっている。

〈反発する公明党に配慮し、閣議決定文に「集団安全保障」の文字は書き込まれなかった。しかし、国家安全保障局が作った想定問答には、武力行使の3要件を満たせば、「憲法上許容される」と記された。/密室で繰り広げられた集団安保をめぐる暗闘。外務省の悲願であった武力行使への道が開けた〉

法案採決を目前にして私は自衛隊員の心情を思う。外務官僚の「カード」や「ツール」にされてしまったら、彼らの浮かぶ瀬はどこにあるのだろうかと。(引用終わり)

CNNより

「ロシア、シリアで空爆準備か ISISとは別の標的も」

2015.09.29

ワシントン(CNN)シリアで軍備増強の動きを見せているロシアが、近く空爆に踏み切るとの観測が強まっている。シリアでは米軍率いる有志連合も過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」に対する空爆を行っているが、米当局者によれば、ロシアの空爆ではISIS以外の標的が狙われる可能性もある。

2人の米当局者によると、ロシアは27日にかけ、シリアで空爆開始に向けた動きを見せた。同国は公にはISISを標的に据える。しかしロシア軍の動きを見る限り、空爆の狙いは別の所にある様子がうかがえるという。

米国防当局者は先に、ロシアの動きはシリアのアサド政権崩壊に備えて、その後の影響力確保を狙ったものとの分析を示していた。一方、シリアの同盟国であるロシアが、アサド政権支援に乗り出せるよう態勢を整えているとの見方もある。米国はアサド大統領の退陣を要求している。

米情報当局によると、ロシアの港で多段式ロケット発射システムの発射台と思われる物体が確認された。これがシリア行きの船に積み込まれる可能性もある。さらに、少数の長距離爆撃機がロシア南部の飛行場に移動していることも判明。これでシリアに対する長距離爆撃が可能になるという。

プーチンとオバマ

シリアのハマーには、ロシアとの連携のための拠点が設置されたが、用途は分かっていない。南西部のイドリブやハマー、ラタキアにはロシアの偵察用無人機が送り込まれた。しかしいずれもISISの拠点からは離れている。米政府は、ロシアがいつ空爆に踏み切ってもおかしくない状況と見て警戒を強めている。オバマ米大統領は28日に開かれるロシアのプーチン大統領との首脳会談で、ロシアの意図について説明を求める見通し。(引用終わり)

*田中宇氏の国際ニュース解説より

 

「ロシア主導の国連軍が米国製テロ組織を退治する?」

2015年9月24日  田中 宇

 

 9月28日、国連総会で、ロシアのプーチン大統領の演説が予定されている。この演説でプーチンは、シリアとイラクで拡大している「イスラム国(ISIS)」やアルカイダ系の「アルヌスラ戦線」など、スンニ派イスラム教徒のテロ組織を掃討する国際軍を編成することを提案する予定と報じられている。

 ロシアはすでに、8月末からシリアの地中海岸のラタキア周辺に2千人規模の自国軍を派遣し、ラタキアの飛行場を拡大し、迎撃ミサイルを配備して、ロシアの戦闘機や輸送機が離発着できるようにしている。ラタキアには冷戦時代から、ロシア海軍の基地が置かれている。ロシア軍のシリア派遣は、ISISに負けそうになっているアサド大統領のシリア政府軍をテコ入れするためで、アサド政権はロシアの派兵を歓迎している。

 

国連総会でのプーチンの提案は、シリアに派遣されているロシア軍に国連軍としての資格を付与するとともに、ロシア以外の諸国がロシアと同様の立場(親アサド)でシリアに派兵したり補給支援し、国連の多国籍軍としてISISやアルヌスラを退治する戦争を開始することを、国連安保理で決議しようとするものだ。ロシアは現在、輪番制になっている安保理の議長国であり、根回しがやりやすい。毎年9月に行われている国連総会へのプーチンの出席は10年ぶりで、プーチンがこの提案を重視していることがうかがえる。

 プーチンの提案は、安保理で可決されない可能性も高い。米国は以前から、ISISの掃討を目標として掲げる一方で、アサド政権の転覆も目標としてきた。アサド政権のシリア政府軍によるISISとの戦いを支援することでISISを掃討しようとするプーチン案は、アサド政権を強化することであり、米国にとって受け入れがたい。米国が安保理で拒否権を発動し、プーチンの提案を葬り去る可能性がある。この件を分析した記事の中には、米国が拒否権を発動するため、プーチンは国連総会に3日間出席する予定を1日に短縮し、怒って早々に帰国するだろうと予測するものもある。

 とはいえ、米国がこの件で必ず拒否権を発動するとは限らない。私が見るところ、米国が反対(拒否権発動)でなく棄権し、プーチンの提案が安保理で可決される可能性が日に日に高まっている。米国のケリー国務長官は、数日前まで、ロシアのシリア派兵を、アサドの延命に手を貸していると批判していたが、9月22日に態度を転換し、ロシアのシリア派兵はISISと戦う米軍を支援する意味で歓迎だと言い出した。米国は依然、アサド打倒を目標として掲げるが、当面、ISISが掃討されるまでは、ロシアがアサドを支援してISISを退治することを容認しよう、というのがケリーら米政府の新たな態度になっている。事態は流動的だ。米政府は、プーチン提案への賛否について、まだ何も表明していない。

 ISISは、イラク駐留中の米軍によって涵養されたテロ組織だ。米軍は、ISISを空爆する作戦をやりつつも、ISISの拠点だとわかっている場所への空爆を控えたり、イラク軍と戦うISISに米軍機が武器や食料を投下してやったりして、戦うふりをしてISISを強化してきた。米軍は、露軍の駐留に猛反対しても不思議でない。

 

 しかし最近、露軍駐留に対する米軍内の意見が「歓迎」の方向になっている。露軍が空爆するなら、米軍がISISを空爆する(ふりをする)必要がなくなって良いし、露軍がISISとの戦いで苦戦するほど、ソ連崩壊の一因となった1980年代のソ連軍のアフガニスタン占領と同様の重荷をロシアに背負わせ、プーチンのロシアが自滅していく流れになるので歓迎だ、という理由だ。国務省も国防総省も、ロシアにやらせてみたら良いじゃないかという姿勢で、米国がプーチン提案に反対しない可能性も高いと考えられる。

 国連安保理でプーチンの提案が可決されると、それは戦後の国連の創設以来の大転換となる。国連を創設した米国は、もともと米英仏と露中が安保理常任理事国として並び立つ「多極型」の国際秩序を戦後の覇権体制として考えていたが、国連創設後間もなく冷戦が激化し、米英仏と露中が対決して安保理は何も決められない状態になった。安保理で重要な提案をするのは米国だけで、露中は自分たちの利益に反しない場合だけ賛成し、利益に反するときは反対(拒否権発動)する受動的な態度を続けた。

 冷戦終結後も、この態勢が続いたが、01年の911事件後、米国の世界戦略はどんどん好戦的、過激になり、一線を越えて頓珍漢な水準にまで達している。

たとえばシリアに関して米国は、存在しない架空の「穏健派イスラム教スンニ派武装勢力」を支援してISISとシリア政府軍との2正面内戦を戦わせる策をとっている。昨年来、穏健派勢力が存在せず架空であることが露呈すると、米議会は、5億ドルという巨額資金をかけて穏健派勢力を募集して軍事訓練する法律を作って施行したが、集まった穏健派は数十人しかおらず、彼ら(第30部隊)もシリアに入国したらすぐアルヌスラに武器を奪われてしまった。上記の件は以前の記事に書いたが、その後シリアに入国した第2派の第30部隊は、入国直後にアルヌスラにすすんで投降し、米国からもらったばかりの新しい武器も全部渡してしまった。彼らの中の司令官は「米国製の武器を得るため、最初から寝返るつもりで米国の募集に応じた」と言っている。米国の対シリア戦略は完全に破綻している。

 

 米国がこんな無能ないし茶番な策を延々と続けている以上、中東はいつまでも混乱し、何百万人もの難民が発生し、彼らの一部が欧州に押し寄せる事態が続く。このままだと、ISISがアサド政権を倒してシリア全土を乗っ取り、シリアとイラクの一部が、リビアのような無政府状態の恒久内戦に陥りかねない。米国に任せておけないと考えたプーチンのロシアが、シリア政府軍を支援してISISを倒すため、ラタキアの露軍基地を強化して駐留してきたことは、中東の安定に寄与する「良いこと」である。加えてプーチンが、自国軍だけでなく国連軍を組織してISISと戦うことを国連で提案することは、国連の創設以来初めて、ロシア(というより米国以外の国)が、自国の国益を越えた、世界の安定や平和に寄与する方向で、国連軍の組織を提案したものであり、画期的だ。

 シリアではすでにイランが、アサド政権を支援しつつISISと戦っている。ロシアはイランと協調してシリアに進出した。イランは、イラクの政府軍やシーア派民兵、レバノンのシーア派民兵(ヒズボラ)を支援してISISと戦っているが、その担当責任者であるスレイマニ司令官(Qasem Soleimani)が7月にロシアを訪問してプーチンらと会い、シリアでの露イランの協調について話し合っている。米軍筋は、7月のスレイマニ訪露が、ロシアのラタキア進駐にとってとても大事な会合だったと分析している。

 ロシアはその後、米議会がイランとの核協約を阻止できないことが確定的になった8月下旬まで待って、ラタキア進駐を開始した。米議会がイラン協約を阻止し、米国がイランを許さない状態のまま、ロシアがイランを助けることになるラタキア進駐を挙行すると、米国のタカ派にロシアを攻撃する口実を与えることになるので、ロシアは8月末まで待った。

 露軍のラタキア進駐に関して、イランも米国も、事前に察知していなかったと政府が言っているが、両方とも大ウソだ。シリアの外相は、ロシアとイランは軍事的に密接に協調しつつ、シリアを守っていると述べている。ロシアはラタキアがある地中海岸を中心にISISと戦い、イランはシリアの首都ダマスカスや、傘下のヒズボラが守るレバノン国境沿いに展開して戦っており、地域的な分担もできている。

 また、米国のケリー国務長官は、今春から何度もロシアを訪問してシリア問題について話し合っており、ロシアがシリアの内戦終結やISIS退治に貢献することを前から支持している。米国が露軍の進駐計画を事前に知らなかったはずはない。8月末時点で、ロシアはシリア進駐を事前に米政府に通告したと指摘されている。そもそも、露軍のシリア進駐を先に望んだのは、国内の軍産複合体との暗闘で苦戦していたオバマの方だ。 オバマはISISの掃討を望んだが、彼の命令で動くはずの米軍は勝手にこっそりISISを支援し続けていた。自国軍に頼れないオバマは、ロシアに頼るしかなかった。米国がイラン制裁を解くことが、オバマの要請に対するプーチンの条件だったのだろう。オバマがイランとの核協約を急ぎ、軍産に牛耳られた米議会がそれを阻止しようとしたのも、ロシア主導のシリア(中東)安定策を実現するか阻止するかの米国内の政争だったことになる。オバマのこれまでの動きからみて、米国はプーチン提案に拒否権を発動しないのでないかというのが私の見立てだ。

 

米軍(軍産)は、いまだにISISを支援している。露軍がラタキアに進駐を開始した後、ISISの軍勢が露軍基地を襲撃し、露軍の海兵隊と戦闘になった。ロシアのメディアによると、露軍が殺したISIS兵士の遺体を確認したところ、露軍基地を空撮した精密な衛星写真を持っていたという。このような精密写真をISISに提供しうるのは米軍、NATO軍、もしくはイスラエル軍しかいない。軍産がいまだにISISを支援していることが見てとれる。

 ISISがシリア政府軍の攻撃を事前に把握したり、政府軍の拠点を襲撃しやすいよう、米軍がISISに精密な衛星写真をリアルタイムで供給してきたことを、ロシアは以前から知っていた。これに対抗し、ロシアが衛星写真をリアルタイムでシリア政府軍に供給することが、露軍のシリア進駐の目的の一つだったことは、以前の記事に書いた。

 ISISをめぐる軍産との暗闘で、オバマは最近、自分の政権でISIS掃討の外交面の責任者だった元米軍司令官のジョン・アレン(John Allen)の辞任を決めた。昨年秋、アレンをISIS掃討担当にしたのは表向きオバマ自身だったが、アレンはISISをこっそり支援する米軍の「ペトラウス派」の一員で、シリアの穏健派武装勢力を強化するために安全地帯(飛行禁止区域)をシリア国内に作ること(穏健派などいないので実際はISISを強化する安全地帯になる。もともとトルコの発案)を提案したり、ISISと戦うため米軍の地上軍をシリアに派遣す(イラク侵攻と同様の占領の泥沼にはまる)べきだと提唱したりしてきた。いずれの案も、しつこく提案したがオバマに却下されている。

 ペトラウス派とは、元米軍司令官、元CIA長官のデビッド・ペトラウスを頭目とする派閥で、米軍内でこっそりISISを支援する勢力だ。ペトラウス自身、シリアに(ISISが強くなれる)飛行禁止区域を作るべきだと言い続けている。だが、上記のジョン・アレンの辞任は、オバマ政権に対するペトラウス派の影響力の終わりを意味すると指摘されている。オバマは、ペトラウス派を追い出すことで、軍産がISISを支援できないようにして、ロシアをこっそり支援している。

 ペトラウス派やトルコ政府が飛行禁止区域を作りたがったシリアのトルコ国境沿いの地域では今、クルド軍(YPG)がISISを追い出している。ISISは従来、トルコとシリアを自由に行き来することで、トルコの諜報機関から補給を受けて力を維持していたが、両国間の越境ルートは一つをのぞいてすべてクルド軍が押さえ、クルド軍は最後の一つ(Jarabulus)を攻略しようとしている。事態は、ISISの敗北、トルコの窮地、クルドの勝利に向かっている。クルド人が対トルコ国境に自治区(事実上の独立国)を作ることは、アサド政権も認めている。

 トルコの権力者エルドアン大統領は先日、モスクワを訪問し、シリア問題についてプーチンと会談した。エルドアンの訪露は、シリアに対するロシアの影響力の急伸を意味している。米国が安保理で拒否権を発動してシリアに駐留したロシアが孤立するなら、エルドアンが急いで訪露する必要はない。

 もう一人、エルドアンと前後して急いで訪露した権力者がいた。イスラエルのネタニヤフ首相だ。イスラエルは、以前からゴラン高原越しにシリアを砲撃しており、今後も攻撃を続けるとロシアに伝え、相互の戦闘にならないよう連絡網を設けるためにネタニヤフが9月21日に日帰りで訪露してプーチンと3時間会談したと報じられている。だが、その手の話だけなら、首相と大統領の会談でなく、国防相や実務者の会議でいいはずだ。

 オバマの米国が中東で傍観の姿勢を強め、米国の黙認を受けてロシアがシリアに駐留し、イスラエルの仇敵であるイランに味方してアサドをテコ入れし、軍産が涵養したISISを潰そうとしている。ロシアを後見人として、中東におけるイランの影響力が拡大している。ネタニヤフは、プーチンに「イスラエルの安全を守る気はあるのか」と尋ねたに違いない。プーチンは「イスラエルの懸念は理解できる。シリア(やイラン、ヒズボラ)がイスラエルを攻撃することはない」と答えた。ネタニヤフがアサド政権の継続やISISとアルカイダの掃討を容認するなら、ロシアはイランやヒズボラやアサドがイスラエルを攻撃させないよう監視するという密約が結ばれた(もしくは再確認された)のでないかと考えられる。

 ロシアとイスラエルは、シリアでの活動を相互に報告して協力する協議会を設置した。この協議会には、ロシアと並んでシリアで活動するイラン軍の司令官も出席するかもしれない。ISISなどテロ組織が掃討された後、この協議会は、ロシアがイスラエルとイラン、シリア、ヒズボラとの停戦(和解)を仲裁する機関になりうる。イスラエルにとって、自国の安全を維持してくれる国が、米国からロシアにすり替わりつつある。

 

国連安保理で、プーチンの提案に対して米国が拒否権を発動した場合、ロシアは孤独な闘いを強いられそうだが、実はそうでない。露軍のシリア進駐は、コーカサス、中央アジア諸国から中国(新疆ウイグル自治区)にかけての地域でISISやアルカイダがはびこることを防ぐための「テロ戦争」として行われている。ロシア軍は「CSTO軍」としてシリアに駐留している。CSTOは、ロシア、中央アジア(カザフスタン、キルギス、タジキスタン)、ベラルーシ、アルメニアという旧ソ連諸国で構成される軍事同盟体だ。

 

 CSTOの兄弟組織として、CSTOに中国を加えたような構成になっているSCO(上海協力機構)がある。中国の新疆ウイグル自治区からは、数百人のウイグル人が、タイやトルコを経由してシリアに入り、イスラム戦士(テロリスト)としてISISに参加している。トルコ国境近くのシリア国内で、ISISが占領して村人を追い出した村(Jisr-al Shagour)に、ウイグル人を集めて住まわせる計画をISISが進めていると報じられている。この計画が進展すると、中国の新疆ウイグル自治区で、イスラム戦士をこっそり募集する動きが強まる。中国政府は、シリア政府が望むなら、この計画を潰すためにロシア主導のISIS退治に軍事的に参加することを検討すると表明している。

 

(上記の、シリアにISISのウイグル村を作る計画の黒幕は、以前からウイグルの独立運動をこっそり支援してきたトルコの諜報機関だと、イスラエルのメディアが報じている。トルコの諜報機関は、8月にタイのバンコクで起きたヒンドゥ寺院(廟)の爆破テロの実行犯を支援していた疑いもある。トルコのAKP政権は、ISISとの戦いでクルド人が伸張して与党の座をずり落ちかけているので、政権維持のために意図的に混乱を醸成している)

 ロシアだけでなく中国もISIS掃討戦に参加するとなると、これは上海機構のテロ戦争である(もともと上海機構は911後、中国と中央アジアのテロ対策組織として作られた)。中露はBRICSの主導役でもあるので、BRICS(中露印伯南ア)も、このテロ戦争を支持しそうだ。中国が主導する発展途上国の集団「G77」(134カ国)も賛成だろう。G7以外の多くの国が、プーチン提案を支持することになる。

 

ロシア軍のシリア進駐に対しては、欧州諸国も支持し始めている。ドイツのメルケル首相やショイブレ財務相が賛意を表明したし、オーストリアの外相はイランを訪問し、シリアの内戦終結のための交渉にアサド政権も入れてやるべきだと表明した。これらの発言の背景に、シリアに対するこれまでの米国主導の戦略が、200万人のシリア人が難民となり、その一部が欧州に押し寄せるという失敗の状況を生んでおり、好戦的で非現実的な米国でなく、中東の安定を模索する現実的なロシアと組んで、シリア危機の解決に取り組む方が良いという現実がある。欧州は、ISIS掃討に関するプーチンの提案に賛成だろう。

 ロシアは、シリアに軍事駐留するだけでなく、テロリストをのぞくシリアの各派とアサド政権をモスクワに集め、内戦の終結をめざす外交交渉も以前から仲裁している。プーチンは、シリアの内戦を解決したら、次はリビアの内戦終結も手がけるつもりかもしれない。その布石なのか、プーチンは今年、リビアの隣国であるエジプトの(元)軍事政権と仲良くしている。すでに書いたように、ロシアはイスラエルとイランの和解も仲裁し得る。先日は、パレスチナのアッバース大統領もモスクワを訪問しており、イスラエルがその気なら、パレスチナ問題もロシアに仲裁を頼める。

 

 これらのロシアの動きの脇には、経済面中心の伴侶として中国がいる。シリアをめぐるプーチンの国連での提案は、世界が米国覇権体制から多極型覇権体制へと転換していく大きな一つのきっかけとして重要だ。プーチンの提案に対し、米国が拒否権を発動したら多極型への転換がゆっくり進み、発動しなければ早く進む。どちらの場合でも、米国がロシアと立ち並ぶかたちでシリア内戦の解決やISIS退治を進めていくことはないだろう。米国が入ってくると、流れの全体が米国流の過激で好戦的な、失敗する方向に引っ張られる。国内で軍産と暗闘するオバマは、そんな自国の状況をよく知っているはずだ。オバマは、米国を健全な覇権国に戻すのをあきらめ、世界を多極型に転換させることで、世界を安定させようとしている。

 

露中やBRICSにEUが加わり、イスラエルまでがロシアにすり寄って、中東の問題を解決していこうとしている。米国は傍観している。そんな中で日本は、軍隊(自衛隊)をこれまでより自由に海外派兵できるようにした。安倍政権や官僚機構としては、対米従属を強化するため、米国が望む海外派兵の自由化を進めたつもりだろう。しかし、この日本の動きを、世界を多極型に転換していくプーチンのシリア提案と重ねて見ると、全く違う構図が見えてくる。

 


 プーチンが日本に言いそうなことは「せっかく自由に海外派兵して戦闘できるようにしたのだから、日本の自衛隊もシリアに進駐してISISと戦ってくれよ。南スーダンも良いけど、戦闘でなく建設工事が中心だろ。勧善懲悪のテロリスト退治の方が、自衛隊の国際イメージアップになるぞ。昨年、貴国のジャーナリストが無惨に殺されて大騒ぎしてたよね。仇討ちしたいだろ?。ラタキアの滑走路と港を貸してやるよ。日本に派兵を頼みたいってオバマ君に言ったら、そりゃいいねって賛成してたよ。単独派兵が重荷なら、日本と中国と韓国で合同軍を組むとかどう?」といったところか。

 この手のお招きに対し、以前なら「米国にいただいた平和憲法がございますので、残念ながら海外での戦闘に参加できません」とお断りできたのだが、官僚と安倍の努力の結果、それはもうできなくなった。対米従属を強化するはずの安倍政権の海外派兵策は、米国が傍観する中、ロシアや中国に招かれて多極化に貢献する策になろうとしている。今後、世界が多極化するほど、この傾向が強まる。8月の記事「インド洋を隠然と制する中国」の末尾でも、このことを指摘した。


 

 ISISは、米国が涵養した組織だ。ロシアは、ISISと戦う義理がない。それなのにロシアはISISとの戦いを買って出ている。軍港ラタキアの保持とか、シリアや中東を傘下に入れる地政学的な野心とか、ロシアには国際的な強欲さもあるが、シリアに進軍してISISと戦うリスクは、それらの利得を上回っている。シリア人の多くは今、アサド政権を支持しており、ロシアがアサド政権を支援することを歓迎している。ロシアは世界の平和と安定に貢献している。えらいと思う。

 

 反戦派の人々は「戦争をする人に、えらい人などいない。戦争反対。おまえは好戦派だ」と言うだろう。しかし、中東の多くの人々は、リスクをかけてラタキアに進軍してISISと戦い始めたロシアに感謝している。そもそも日本国憲法は、対米従属の国是を暗黙の前提にしている。米国の覇権が衰退している今、護憲派はこの点をもっと議論しないとダメだ。自衛隊がラタキアに行くべきだとは思わないが、ロシアには敬意を表するべきだ。(引用終わり)


9月 092015

今から5年前の20108月のお盆前、書店で手にしてほとんど立ち読みしてしまった本がある。広瀬 隆氏の「原子炉時限爆弾~大地震におびえる日本列島~」という本である。熱心な広瀬氏の読者ではなかったが、ロスチャイルド家を分析した「赤い楯」、「億万長者はハリウッドを殺す」等の本はもちろん、読んでいた。彼の提供する視点は、大変興味深いものであった。しかし、所詮、私にとってはあまりにも遠い話にしか感じることができなかったのも事実だ。だから、その時も日本という地震列島に設置された原発は時限爆弾のように危険なものだという、広瀬氏の警告を時代の空気に染まり、弛緩しきった私の脳髄は、真剣に受け止めることができなかった。そして、2011311日、東日本大震災が起こり、広瀬氏が警告した通りに日本の原発が大事故を起こしたのであった。

 その意味で、今回、彼が集大成として出版した「東京が壊滅する日~フクシマと日本の運命」という本は真剣に受け止めざるを得ないものだ。2011年以降、数十冊の原発、原子力関係の本を読んだが、政府、東京電力の発表には、あまりにも嘘が多いことは間違いないところだ。おそらく、日本のトップ官僚は、2500年前の論語を読むエリート感覚で「民これに由らしめるべし これ知らしめるべからず。」、と考えているのだろう。

もう一つ、私たちが知ってくべき事は、参考資料を英文で添付しておくが、20113月下旬、首相官邸は「首都圏3千万人避難計画」を本気で検討していたという事実である。そして現在もオリンピック騒ぎに隠されているが、フクシマ第一に関して根本的な対策は実際には、何一つされていないことも私たちは決して忘れてはならないだろう。

 その意味で一人一人が真摯に受け止めるべき本である。

*ダイヤモンドオンラインよりhttp://diamond.jp/articles/-/76417

タイムリミットは1年しかない!
戦後70年の「不都合な真実」とは?
――広瀬隆×坪井賢一(ダイヤモンド社論説委員)対談


『原子炉時限爆弾』で、福島第一原発事故を半年前に予言した、ノンフィクション作家の広瀬隆氏。
このたび、壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が第4刷となった。一般書店だけでなく、Amazon.co.jpの総合ランキングでも上位にランクインし、全国的に大きな話題となっている。新著で「タイムリミットはあと1年しかない」と、身の毛もよだつ予言をした著者が、原発問題に詳しいダイヤモンド社論説委員の坪井賢一と対談。
戦後70年の終戦記念日に緊急警告する!

広瀬 隆

広瀬 隆1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。

 

「戦後70年の不都合な真実」と安倍晋三の系図

 

広瀬 今日は2015815日ですので、みなさんは「終戦記念日」だとしか思っていませんよね。もしかしたら、「終戦記念日」ということすら忘れている人がいるかもしれません。1945814日――日本がこの日にポツダム宣言の受諾を連合国に伝えて無条件降伏し、815日が終戦記念日となりました。でも、これは日本人の記念日です。アメリカ・ヨーロッパの軍需財閥にとって、815日は格別深い意味を持つ日ではなかったのです。

坪井 それはどういうことですか。

 

広瀬 アメリカを中心とする軍需ビジネスは第2次世界大戦によって工場が肥大化した分だけ、戦後もそれを維持しなければならなかったので、一日も休みなく作業を続ける必要がありました。戦前から続いていた「核兵器開発」はここで終わったわけではなく、広島・長崎への原爆投下は、単なるプロローグにすぎなかったのです。歴史を1945815日の終戦で区切ると、われわれが目撃している彼らの事業の正体を見失うことになります。2次世界大戦後こそが、彼らの稼ぎ時だったのです。このあたりはほとんどの読者の方がご存じないでしょう。ですからあえて今回、具体的な固有名詞や実名企業をあげ、原爆開発から原子力発電へと“華麗な転身”をとげ、放射能の安全論を広めてきたIAEA(国際原子力機関)やICRP(国際放射線防護委員会)が戦前から戦後、どういうことをやってきたかを書きました。その本が『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』です。

東京が壊滅する日

坪井 オビには「戦後70年の不都合な真実」とありますね。

 

広瀬 正直個人的にはあまり好きなフレーズではないのですが、事前に原稿を読んでもらった編集者からも「これはまさに不都合な真実ですね」という声があがっていました。確かに、本書の内容は、政治家や役人、実業家にとって「不都合な真実」でしょう。この本を読むと、なぜ安倍晋三が、この2年で1ワットの電力も生んでいない原発をあえて再稼働させるのか。そのカラクリがわかります。ぜひ、本書にある「長州藩の歴代犯罪の系譜」の安倍晋三の系図を見ていただきたいですね。

 

「トリチウム」はなぜ怖いか

 

坪井今日、まずお聞きしたいのは、フクシマ原発から出た放射性物質トリチウム(三重水素)についてです。本連載第4回「フクシマ原発からの放射能漏洩はトテツモナイ量に!全く報道されない『トリチウム』の危険性」が82日(日)だけで45万ページビュー(サイトの閲覧数)を記録したそうです。すごい数字です。

 

広瀬読者の感度が相当鋭く、またテレビと新聞がいかに重大なことを伝えていないかということでしょう。トリチウムの問題は、日本のマスメディアでほとんど触れられていない危険性なので書きました。実は、「トリチウム問題」は現在、日本中の原発から使用済み核燃料を集めてきた青森県の六ヶ所村で最大の問題となっています。

六ヶ所再処理工場では、20062008年におこなわれた試験的な再処理(アクティブ試験)で、海洋放出廃液のトリチウムの最高濃度が、実に「17000万ベクレル/リットル」だったのです。これは、フクシマ原発事故現場のトリチウム放出規制値である「1500ベクレル/リットル以下」の11万倍ですよ。だから下流域の岩手県三陸海岸近くの住民は、「総量規制をしろ。規制できない再処理を断念しろ」と要求しているのです。このトリチウムが、千葉県まで流れてきます。原子力規制委員会委員の田中俊一委員長と田中知(さとる)委員は「トリチウムを海に流してしまえ」という趣旨のことを言っていますが、トンデモナイことです。

 

坪井トリチウムは、水素が中性子を捕えて「トリチウム水」として存在するんですよね。崩壊してヘリウムになるときに放射線(ベータ線)を出します。フクシマ原発を起源とするトリチウムはどのくらいの量になるのでしょうか。

 

広瀬フクシマ原発から出たトリチウムの放出総量はまったく明らかにされていません。しかし、汚染水タンクに大量に入っているのは確かです。特に深刻なのは、福島第一原発4号機の燃料プールです。東京電力は積極的に情報開示すべきですが、こちらについても、まだまったく分らないことだらけで、東電の発表は信用できません。

 

「ホールボディーカウンター」ではベータ線は検出できない

 

坪井フクシマ原発事故直後に、ダイヤモンドオンラインで関連する記事を十数本書きましたが、2011616日付の記事で、IAEA(国際原子力機関)が2006年に発表したレポートを紹介しました。その中にチェルノブイリ原発事故で放出された核種と放出量のリストが掲載されています。この一覧表を見ても、トリチウムは記されていません。つまりIAEAもノーマークでした。水の状態なのでよくわからなかったのでしょうか。

 

広瀬そうでしたか。水として存在するので、実際には化学的に正確な放射能測定は不能です。一般には「トリチウム?初耳だ」という人がほとんどでしょう。トリチウムはヘリウムになるまでに、ベータ線を出します。しかもトリチウム水として、普通の水と同じように体内の細胞や血液に入るので、体内のあらゆる組織にこのベータ線が作用することになります。人体の中に蓄積された放射性物質の量は、現在では「ホールボディーカウンター」と呼ばれる全身測定器で測れます。これは体内の“量の変化”を知るには有効なのですが、セシウム137がバリウム137に安定化するまでに放出する透過性の高いガンマ線しか測定できないので、実量の測定ではありません。ストロンチウム90やトリチウムが出すベータ線はまったく測定できないんです。この点をマスコミはまったく報道していません。

 

坪井この本では、健康被害はこれから出てくる、と書いておられますね。

 

広瀬 「原発事故は収束した、終わった」と思われていますが、トンデモナイ間違いです。原発事故から4年余りが経過した今、東京を含む東日本地域でも、これからガンや心筋梗塞になる人が急増することは間違いありません。過去の史実に照らし合わせると、チェルノブイリ原発事故(1986年)やアメリカのネバダ大気中核実験(195157年で計97回)でも、事故後5年から癌・白血病になる人が急増したからです。その意味で、「タイムリミットはあと1年しかない!」のです。大気中の核実験と原発事故は違うと思われがちですが、まったく同じ200種以上の放射性物質が20113月から6月にかけて首都圏でも大量に降り積もっています。あの事故のとき、私が観察しても、多くの人はほとんど無防備でした。いまがちょうど病気の潜伏期の最後の段階です。これから大変なことが起こります。

 

坪井チェルノブイリ事故のときは、事故発生の翌日、1986427日から軍のヘリコプターでホウ酸40トン、石灰岩800トン、鉛2400トン、ほかに粘土や砂など合計5000トンを原子炉へ投下しました。これは1週間続きます。その結果、10日目に放出量が低下しました。その後、「象の足」と呼ばれる溶岩が固まったような状態になります。フクシマ原発事故では地上と上空から放水しました。フクシマ原発事故でも、チェルノブイリと同じ対応をとるべきだったのではないでしょうか。

 

広瀬事故直後、私もとりあえず大至急、放射能放出をおさえるためにセメントなどを投下するべきではないかと、とっさに考えました。しかし今は、メルトダウンした燃料内部からの汚染水の発生を食い止めるべきだと思います。たとえば鉛を使った汚染水漏洩防止の方法について、立命館大学特任教授の山田廣成氏が、このサイトで提唱しています。今でも、試してみるべきでしょう。ただし、チェルノブイリ原発は黒鉛減速・軽水沸騰冷却・チャンネル型で、フクシマと構造が異なるので、何とも言えません。良心的で、しかも化学・物理・原子力・金属・機械の全分野にわたる優秀な頭脳の専門家を全世界から集めて、フクシマ原発事故現場の対処法を考えるほかありません。東京電力や無知な原子力規制委員会に任せて、これを解決することは不可能です。

 

30km圏内を立入禁止、国際的研究機関の設置を

 

坪井その通りですね。「帰宅困難区域」を含め、福島第一原発から30km圏内の土地を国が買い上げて国有地とする、そこに国際的な廃炉研究、核廃棄物処理の国立研究機関や大学院をつくるべきだと思うのです。東北・関東地方の除染後の放射性廃棄物もここに全部集め、処分するとともに研究対象にすべきです。

大規模な公共投資になりますが、研究成果のノウハウは世界中で購入されるはずですから、長期的にはリターンも期待できる。チェルノブイリでは30km圏内が立入禁止で、除染後の放射性廃棄物もここに集めています。廃炉の作業者や研究者には高額の給料を支払い、あらゆる関連分野の専門家と実務家を結集すべきです。脱原発後に原子力研究者を絶やさないためにも必要だと思います。30キロ圏外には、研究機関や大学院向けのサービス産業が集積するはずです。

 

広瀬放出された放射能の総量から考えて、フクシマ原発事故の後遺症は1000年続くと言っていいでしょう。もう元には戻れません。それなのに、東京電力の事故対応は素人同然ということばかりやっていて、まったく頼りになりません。私も30年以上、この問題を冷静に見続け、海外の文献も多く見てきましたが、科学的・医学的に致命的な間違いを犯した今回の事故は覆せません。「放射能は絶対外に出さない」ということが、原発を動かす者の守るべき原理──世界的な大原則です。だが、それをすべて崩すことしかやっていない。日本の電力会社には、原発を動かす資格はない。

 

坪井福島第一原発3号機ではプルトニウムを混合するMOX燃料を使って運転していました。

 

広瀬あそこから出たプルトニウムはロッキー山脈まで達しました。茨城県つくば市の気象庁気象研究所でプルトニウムよりはるかに沸点の高い4877度のテクネチウムが検出されていたので、沸点が3232度のプルトニウムがガス化していたのは間違いないのです。東京都心の大公園でも、沸点3745度のウランが検出されています。

 

おそるべき「フレコンバッグ」の正体

 

坪井『東京が壊滅する日』のオビ裏に、「おそるべきことが音もなく体内で進行している!次の被害者は、あなただ!」と書かれています。

 

広瀬この意味するところは、この本を読んでいただければ、誰でも分りますが、結論を言うと、東京を含む東日本地域住民の中で、これから癌や心筋梗塞などが必ず激増します。いやもう、その段階に入っています。この事実を大声で言うべきか、本当に迷いました。身も蓋もない話だからです。しかし、本連載第6回でも触れましたが、誰も本当のことを言わずに「体内被曝」が進みながら、安倍晋三が原発再稼働へ猛進しているので、これ以上の被害の拡大を防ぐために筆を執りました。各新聞の世論調査でも明らかですが、安倍晋三は再稼働だけなく、安保法案など国民がまったく望んでいないことをゴリ押ししています。

 

坪井『東京が壊滅する日』に膨大なフレコンバッグの写真が掲載されています。これは福島県内で積み上げられている放射性廃棄物を詰めた袋の山ですね。

 

広瀬私が驚いたのは、2015417日に、福島県富岡町の海岸線にぎっしり並べられたフレコンバッグを外国人がドローンで空撮したネット上の動画でした。

 

坪井上空から見ると、海岸線に黒い塊がびっしりですね。

 

広瀬深刻なのはこのフレコンバッグの耐用年数がわずか3なので、すでにあちこちで破れ始めていることです。本の中では福島県の実例を出しましたが、実はそれだけでなく、関東各地でも放射性廃棄物を入れた汚染物の山が積み上げられています。

 

坪井放射性廃棄物の管理と処分は、「帰宅困難区域」を「除染特別地域」として国が直轄していますが、環境省が指定した岩手県から関東平野にかけての「汚染状況重点調査地域」(8101市町村)では、各自治体が除染と処分を担当しています。除染して袋に詰め、どこかに一時保管しているわけですが、中間処分場はどの自治体もまだ決められていません。

 

広瀬それは、実際には中間貯蔵ではなく、最終処分場になることが明らかだからです。どこでも拒否するのは当たり前です。福島県内のフレコンバッグが積まれた場所は、福島県内だけで20153月までに8万ヵ所を超え、その1ヵ所ずつに何百何千というフレコンバッグが積み上げられています。さらに、削り取った土に入れていた草や木の種が、袋の中で勢いよく芽吹いて、プラスティックの袋を簡単に破って外に顔を出し始めています。それはそれは、身の毛もよだつ光景です。

 

いま、とれる対策はあるか?

 

坪井いま私たちがとれる対応策は何だとお考えでしょうか。

広瀬それをずっと考えているのですが、きわめて難しい問題です。個人的にはいま、「水が一番怖い」と思っています。福島県の阿武隈山地や群馬県・栃木県に大量に降り積もった放射性物質が、分水嶺を越えて日本海側の多くの河川を通じて流れ出ています。

秋山豊寛さん(宇宙飛行士、元TBS記者・ワシントン支局長、現在京都造形芸術大学芸術学部教授)も福島県で自然農法に従事していましたが、原発事故後は京都に避難して大学で教鞭をとられています。まずは放射能が降り積もったところから逃げるしかないのが現状で、それには国が最大の、全面的な資金援助をするべきです。金が与えられないから、多くの人は逃げられないのです。

 

坪井私はこう考えます。少なくとも「汚染状況重点調査地域」(8101市町村)に指定されている地域に住む私たちもDNAが損傷した確率が上がっているわけですから、ガンなどを早期発見する確率を上げることが対応策だと思います。年に一度の健康診断は必ず受ける、再検査の指示があればさぼらない、心配なら年に2回検査する、という方法で早期発見率を上昇させることです。

 

日本最大の活断層の上に立つ川内原発再稼働の恐怖

 

坪井さて、川内原発が811日に再稼働されました。

 

広瀬詳しくは本連載第1回、第2回、第5回で書いてきたので、それを見てください。私も再稼働当日、川内原発に乗り込みましたが、それはそれはひどいものでした。19847月の稼働以来今年で31年。原子炉の耐用年数はとっくにすぎています。

本連載でも指摘したとおり、原子炉の古さだけでなく、この原発の下には日本を縦断する最大の活断層=中央構造線が走っています。活発な地震と火山噴火期に入った日本列島で再稼働は狂気の沙汰といえます。みなさんよく考えてみてください。この2年間、原発に1ワットも頼らずに、この猛暑を乗り切っています。これだけ危険な地域に耐用年数をすぎた原発があること自体危ないのに、それを再稼働第一号とする安倍晋三の頭の中はどうなっているのでしょうか。

 

ドブに捨てた5兆円の内訳

 

坪井『東京が壊滅する日』のカバー右ソデに、「5兆円をドブに捨ててもなお、いつまで日本人は“モルモット”にされるのか?」とあります。

これはどういう意味ですか。

 

広瀬青森県六ケ所村の核燃料サイクル政策に2兆円以上の建設費が投じられ、さらに、まったく使い物にならなかった高速増殖炉もんじゅの開発費にも3兆円近い大金が投じられてきました。しかし、現在まで両方ともまったく稼働できずに、結局5兆円以上をドブに捨てた結果になった。これはおそるべき血税のムダ遣いです。いつまで国民は“モルモット”にされ続けるのか。マスコミがなぜこの問題を真剣に論じないのかまったく理解できません。

 

坪井電気料金は、「総括原価方式」といって、コストを積み上げた上に利益を乗せて決められてきましたからね。いくらでもコストをかけられたわけです。

 

広瀬それが諸悪の根源なんです。でも、来年20164月から実施される電力の完全自由化によって“電力会社が7割の利益を得てきた家庭の消費者”にも選択が可能になります。くわしくは『東京が壊滅する日』に書きました。

坪井電力小売りの完全自由化によって、七十数年ぶりに電力が真の競争市場で取引されるようになります。

 

広瀬そのとおりです。これからの時代、もっともっと競争して、少しでも家計がひっ迫している消費者に安い電気料金を提示すべきなんです。

 

『東京が壊滅する日』誕生秘話

 

坪井今回の本では、原子爆弾(原爆)からクリーンエネルギーとして美化された原子力発電(原発)へと「双子の悪魔」のラインが描かれています。私が20代のころに読んだ広瀬さんの『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』(文春文庫、元本は1982年)では、原爆と原子力発電の関係を初めて教えられました。

 

広瀬いままで私の本を読んでくださった方に加え、20代、30代、40代の働きざかりの人たち、とくにいままで私の本を読んだことがない人が読まないと時代が変わらないので、その人たちにどうしても読んでほしいという想いで書きました。原発問題に反対している人でも「ただ反対」と言っているだけでは、状況はまったく変わりません。51の系図・図版と写真のリストを軸とした史実とデータに基づく本書を思考のスタートラインにして、たくさん議論していただきたい。そして、議論に終わらせずに、ぜひ現実を変える行動に出ていただきたい。

 

坪井どういうふうに本書をつくっていったのですか。

 

広瀬 201411月末に『文明開化は長崎から(上)(下)』(集英社)という本を書いたのですが、その日本史が面白かったので、何度も読んでから書棚に戻そうとしたときに目に入ったのが、『赤い楯――ロスチャイルドの謎』(集英社、1991年)でした。

私は書いた本は読み返さない習慣だったので、いままでそんなことをしたことがないのですが、そのとき、『赤い楯』の菊判上下巻を一気に読んでみた。そして内容に驚いて、次から次へその他の自著も最後まで読み返してみたのですね。そうしたら、どれも面白かった。同時に「自分自身がすごく大切なことを忘れていた」と思ったのです。著者である私自身がそうなら、反原発運動に関わる人やマスコミの人だけでなく、一般の読者の方々はこういう史実やデータはまったく知らないだろう。それを今回のフクシマ原発事故を縦軸に描くことによって、思考の原点に戻る必要がある、と思って一気に書き下ろしたのが本書なのです。

 

「史実と科学的データ」こそが未来を教えてくれる

 

坪井歴史の記述と分析が重要ですね。

 

広瀬よく「核兵器」という言い方をします。でもこれは「攻撃側が使う用語」なのです。被害を受けた側は「核兵器」ではなく「原子爆弾」と呼び、「核兵器禁止運動」と言わずに、「原水爆禁止運動」と言います。「公害」(攻撃者側)と抽象化するのではなく、「水俣病、イタイイタイ病」(被害者側)と言うのと同じです。今回の本は、一面でフクシマ原発事故を扱った本ですが、一面で歴史の本でもあります。史実こそがこれからの未来を予測するうえで有益な示唆をくれると確信しているからです。安倍晋三の目に余る暴走のために、国会議事堂近くに「戦争反対」のシュプレヒコールをあげる大学生や高校生が増えてきました。すばらしいことです。

戦後70年の今こそ、本書にある原爆と原発の「双子の悪魔」の歴史、つまり戦争と原子力の関係を、巨悪の本丸IAEA(国際原子力機関)やICRP(国際放射線防護委員会)の正体から、抽象論ではなく、個別具体的な固有名詞と壮大な史実と科学的データで、若い世代に知ってほしいと強く思っています。

 

坪井広瀬さんとは1980年代後半からのおつき合いです。当時、「BOX」という月刊誌がダイヤモンド社にありました。編集部でアメリカのオンライン・データベースを導入したのですが、広瀬さんをお誘いしてインターネットがない時代に海外のデータベースを大量に検索し、チェルノブイリ事故の実像に迫ろうとしました。

 30年前から広瀬さんの主張は1ミリも変わっていません。

チェルノブイリはあれだけの大事故だったのに、4年後の1990年には「原子力はクリーンエネルギー」と言われるようになりましたよね。

 

広瀬フランスの当時の大統領、ミッテランがそういうふうに宣伝したのですね。そもそも原発事故が最初に起きた1979年のスリーマイル島原発事故の前から、原子力発電ビジネスは衰退期に入っていました。原発ルネッサンスは虚言だったのです。

 

坪井本書にも、2014年に巨額の欠損を抱えたフランスの国営原子力会社、アレヴァの実質経営破綻の事例が出ていますが、先進国で原発ビジネスが低迷するなか、日本は国内で再稼働に走り、新興国への輸出にのめり込んでいます。細川元首相や小泉元首相だってハタと覚醒したわけでしょう、政府が判断すれば原発はやめられると。原発がゼロになっても誰も困りません。電力も十分にある。研究者の欠乏を避け、研究水準を維持するためには、廃炉と放射性廃棄物処理の研究開発に投資すればいいと思うんですよね。

 

広瀬 先日、東芝の不正会計問題でウェスティングハウス・エレクトリックの買収が巨大な損失を生み出した問題で、原子力の末期的状況がクローズアップされましたが、三菱重工が「アメリカのサザンカリフォルニアエジソン社のサンオノフレ原子力発電所」に2009~2010年に納入した蒸気発生器が事故を起こし、原子炉2基が廃炉に追い込まれ、9300億円の損害賠償訴訟を起こされました。原発ビジネスに明日はありません。

 

なぜ、『東京が壊滅する日』を

緊急出版したのか――広瀬隆からのメッセージ


 

このたび、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』を緊急出版した。

現在、福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍超。201136月の放射性セシウムの月間降下物総量は「新宿が盛岡の6倍」、甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の月間降下物総量は「新宿が盛岡の100倍超」(文科省20111125日公表値)という驚くべき数値になっている。東京を含む東日本地域住民の内部被曝は極めて深刻だ。

映画俳優ジョン・ウェインの死を招いたアメリカのネバダ核実験(195157年で計97回)や、チェルノブイリ事故でも「事故後5年」から癌患者が急増。フクシマ原発事故から4年余りが経過した今、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』で描いたおそるべき史実とデータに向き合っておかねばならない。

 195157年に計97回行われたアメリカのネバダ大気中核実験では、核実験場から220キロ離れたセント・ジョージで大規模な癌発生事件が続出した。220キロといえば、福島第一原発~東京駅、福島第一原発~釜石と同じ距離だ。

核実験と原発事故は違うのでは?と思われがちだが、中身は同じ200種以上の放射性物質。福島第一原発の場合、3号機から猛毒物プルトニウムを含む放射性ガスが放出されている。これがセシウムよりはるかに危険度が高い。

3.11で地上に降った放射能総量は、ネバダ核実験場で大気中に放出されたそれより「2割」多いからだ。

 

不気味な火山活動&地震発生の今、「残された時間」が本当にない。子どもたちを見殺しにしたまま、大人たちはこの事態を静観していいはずがない。

 

最大の汚染となった阿武隈川の河口は宮城県にあり、大量の汚染物が流れこんできた河川の終点の1つが、東京オリンピックで「トライアスロン」を予定する東京湾。世界人口の2割を占める中国も、東京を含む10都県の全食品を輸入停止し、数々の身体異常と白血病を含む癌の大量発生が日本人の体内で進んでいる今、オリンピックは本当に開けるのか?

同時に、日本の原発から出るプルトニウムで核兵器がつくられている現実をイラン、イラク、トルコ、イスラエル、パキスタン、印中台韓、北朝鮮の最新事情にはじめて触れた。

 51の【系図・図表と写真のリスト】をはじめとする壮大な史実とデータをぜひご覧いただきたい。(引用終わり)

 

*参考資料

「フクシマ第一原子力発電所不測事態のシナリオ素描」

 http://grnba.com/iiyama/i/img/saiakusinario.pdf

Russia Stunned After Japanese Plan To Evacuate 40 Million Revealed

http://www.eutimes.net/2012/04/russia-stunned-after-japanese-plan-to-evacuate-40-million-revealed/

 

4千万人以上の日本人が放射能の毒性により「極めて危険な」状況下にあり、世界最大の都市東京を含め、東日本の大半の都市から強制的に避難させられる状況に直面している。

中国政府が日本側に提示したとされる、中国国内にある「無人都市(ゴースト・シティーズ)」への数千万人の移住者受け入れの申し出を、日本が「真剣に検討」していることも、ロシア側に通告してきた。

 

A new report circulating in the Kremlin today prepared by the Foreign Ministry on the planned re-opening of talks with Japan over the disputed Kuril Islands during the next fortnight states that Russian diplomats were “stunned” after being told by their Japanese counterparts that upwards of 40 million of their peoples were in “extreme danger” of life threatening radiation poisoning and could very well likely be faced with forced evacuations away from their countries eastern most located cities… including the world’s largest one, Tokyo.

The Kuril Islands are located in Russia’s Sakhalin Oblast region and stretch approximately 1,300 km (810 miles) northeast from Hokkaidō, Japan, to Kamchatka, Russia, separating the Sea of Okhotsk from the North Pacific Ocean. There are 56 islands and many more minor rocks. It consists of Greater Kuril Ridge and Lesser Kuril Ridge, all of which were captured by Soviet Forces in the closing days of World War II from the Japanese.

The “extreme danger” facing tens of millions of the Japanese peoples is the result of the Fukushima Daiichi Nuclear Disaster that was a series of equipment failures, nuclear meltdowns, and releases of radioactive materials at the Fukushima I Nuclear Power Plant, following the Tōhoku earthquake and tsunami on 11 March 2011.

According to this report, Japanese diplomats have signaled to their Russian counterparts that the returning of the Kuril Islands to Japan is “critical” as they have no other place to resettle so many people that would, in essence, become the largest migration of human beings since the 1930’s when Soviet leader Stalin forced tens of millions to resettle Russia’s far eastern regions.

Important to note, this report continues, are that Japanese diplomats told their Russian counterparts that they were, also, “seriously considering” an offer by China to relocate tens of millions of their citizens to the Chinese mainland to inhabit what are called the “ghost cities,” built for reasons still unknown and described, in part, by London’s Daily Mail News Service in their 18 December 2010 article titled: “The Ghost Towns Of China: Amazing Satellite Images Show Cities Meant To Be Home To Millions Lying Deserted” that says:

These amazing satellite images show sprawling cities built in remote parts of China that have been left completely abandoned, sometimes years after their construction. Elaborate public buildings and open spaces are completely unused, with the exception of a few government vehicles near communist authority offices. Some estimates put the number of empty homes at as many as 64 million, with up to 20 new cities being built every year in the country’s vast swathes of free land.”

 

Foreign Ministry experts in this report note that should Japan accept China’s offer, the combined power of these two Asian peoples would make them the largest super-power in human history with an economy larger than that of the United States and European Union combined and able to field a combined military force of over 200 million.

To how dire the situation is in Japan was recently articulated by Japanese diplomat Akio Matsumura who warned that the disaster at the Fukushima nuclear plant may ultimately turn into an event capable of extinguishing all life on Earth.

According to the Prison Planet News Service:

Matsumura posted [this] startling entry on his blog following a statement made by Japan’s former ambassador to Switzerland, Mitsuhei Murata, on the situation at Fukushima.

Speaking at a public hearing of the Budgetary Committee of the House of Councilors on 22 March 2012, Murata warned that “if the crippled building of reactor unit 4 – with 1,535 fuel rods in the spent fuel pool 100 feet (30 meters) above the ground – collapses, not only will it cause a shutdown of all six reactors but will also affect the common spent fuel pool containing 6,375 fuel rods, located some 50 meters from reactor 4,” writes Matsumura.

In both cases the radioactive rods are not protected by a containment vessel; dangerously, they are open to the air. This would certainly cause a global catastrophe like we have never before experienced. He stressed that the responsibility of Japan to the rest of the world is immeasurable. Such a catastrophe would affect us all for centuries. Ambassador Murata informed us that the total numbers of the spent fuel rods at the Fukushima Daiichi site excluding the rods in the pressure vessel is 11,421.”

 

Disturbingly, the desperate situation facing Japan is, also, facing the United States as Russian military observers overflying the US this week as part of the Open Skies Treaty are reporting “unprecedented” amounts of radiation in the Western regions of that country, a finding that was further confirmed by scientists with the Woods Hole Oceanographic Institute who have confirmed that a wave of highly radioactive waste is headed directly for the US west coast.

Important to note is that this new wave of Fukushima radiation headed towards the US is in addition to earlier radiation events that American scientists are now blaming for radioactive particles from Japan being detected in California kelp.

Though the news of this ongoing global catastrophe is still being heavily censored in the US, the same cannot be said about Japan, and as recently reported by the leading Japanese newspaper The Mainichi Daily News that reports:

One of the biggest issues that we face is the possibility that the spent nuclear fuel pool of the No. 4 reactor at the stricken Fukushima No. 1 Nuclear Power Plant will collapse. This is something that experts from both within and outside Japan have pointed out since the massive quake struck. TEPCO, meanwhile, says that the situation is under control. However, not only independent experts, but also sources within the government say that it’s a grave concern.

The storage pool in the No. 4 reactor building has a total of 1,535 fuel rods, or 460 tons of nuclear fuel, in it. The 7-story building itself has suffered great damage, with the storage pool barely intact on the building’s third and fourth floors. The roof has been blown away. If the storage pool breaks and runs dry, the nuclear fuel inside will overheat and explode, causing a massive amount of radioactive substances to spread over a wide area. Both the U.S. Nuclear Regulatory Commission (NRC) and French nuclear energy company Areva have warned about this risk.

A report released in February by the Independent Investigation Commission on the Fukushima Daiichi Nuclear Accident stated that the storage pool of the plant’s No. 4 reactor has clearly been shown to be “the weakest link” in the parallel, chain-reaction crises of the nuclear disaster. The worse-case scenario drawn up by the government includes not only the collapse of the No. 4 reactor pool, but the disintegration of spent fuel rods from all the plant’s other reactors. If this were to happen, residents in the Tokyo metropolitan area would be forced to evacuate.”

Even though this crisis in Japan has been described as “a nuclear war without a war” and the US Military is being reported is now stocking up on massive amounts of anti-radiation pills in preparation for nuclear fallout, there remains no evidence at all the ordinary peoples are being warned about this danger in any way whatsoever.

 

86日、89日はそれぞれ広島(ウラン型)、長崎(プルトニウム型)に原爆が投下された人類にとって、特に日本人にとって忘れてはならない日である。

 

<ところであなたは、日本の中枢は事前に「広島、小倉もしくは長崎に原爆が投下される」ことを知っていたという驚くべき史実が存在することをご存じだろうか。>

 

 201186日には、NHKスペシャルで「原発投下~活かされなかった極秘情報~」という番組が放送されたので、この番組は見た方もいるのではないだろうか。今でもインターネットでは見ることができるので、是非、視聴していただきたい。以下。

http://bww.jp/r/%E7%89%B9%E9%9B%86/%E3%80%90%E7%89%B9%E9%9B%86%E3%80%91-%E7%B5%82%E6%88%A6%E8%A8%98%E5%BF%B5%E2%89%AAnhk%E6%B8%BE%E8%BA%AB%E3%81%AE%E5%BF%85%E8%A6%8B%E6%98%A0%E5%83%8F%E2%89%AB-%E9%9A%A0%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6/

 

また、この番組は、「黙殺された極秘情報 原爆投下」松木秀文、夜久泰裕(NHK出版)という本にもなっている。

広島と長崎の原爆について、私たちは、これまで突然米軍の奇襲攻撃を受けたのだと信じ込まされてきたが、テニアン島を拠点に作戦展開をする米軍特殊航空部隊の原爆投下の動きを日本軍の大本営情報部が事前に察知していたという事実を、NHK広島が1年間がかりの取材で明らかにしている。86日の広島、89日の長崎の爆撃のいずれも日本の大本営は米軍のコールサインを傍受しているにもかかわらず、空襲警報すら出さず、おそらく、故意(終戦工作のために)に傍観していたと考えられるのである。これでは、何も知らされずにただ死んでいった一般国民をこの国の指導者は、生かすも殺すも自由な家畜と見なしていたと思われても仕方がないと思われる。兎に角、国民の生命の安全よりも国の担当者の事情やメンツ、国体維持(天皇制維持)を優先させた結果、無防備な市民の頭上を悪魔たちの核爆弾が容赦なく襲ったということはどうも間違いないようである。

 そして、日本政府は<原子爆弾災害調査特別委員会>を原爆投下直後に組織し、一番米国が欲しがるだろう原発投下直後の人体、環境への影響調査を人命救助より優先し、731部隊の免責の取引材料にしようとしたことまでこの本には書かれている。政治というモノは残酷なものだとは承知しているが、まさに恐るべき日本政府の動きである。

                                                                                                                                                                                                                                                                        

 

黙殺された極秘情報 原発投下
さらに驚くべき事実を「江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた」という本がベストセラーになった古川愛哲という作家、歴史資料収集家が、「原爆投下は予告されていた~帝国陸海軍の「犯罪」」という本の中で指摘している。

古川氏は長らく歴史資料を収集し、それを書籍にまとめることを生業とする中で、自らの中に一つの疑念が生まれてきたと書いている。

それは、「第二次世界大戦において、なぜ日本国内では、政治家や官僚、高級軍人の多くが生き残ったのか」というものであった。その疑念は、次第に「空襲や原爆投下を、一部の人間は事前に知っていたのではないか」というものに変わっていく。とりわけ原爆において、アメリカによる事前の投下予告がなされたのではないかと著者はいろいろな資料をあたり、突き詰めていく。

原発投下は予告されていた

 

「二度にわたる原爆投下は、予告なしになされたとするのが定説だが、私は疑問を持っていた。なぜならば、政治家や官僚、高級軍人の戦災死者が少なく、しかも、原爆投下予告を中国の広東で傍受した1人の日本人兵士が存在したからだ。この兵士、黒木雄司氏は当時伍長、そして自らの体験を書物として残していたのだが、歴史家は認めてこなかった。ところが一本のドキュメンタリー映画が、この人物の証言を補強し、あたかもパズルの最後の一片をはめ込むかのごとく整理してくれた。それがまた、私の原爆投下と終戦工作に対する疑念を、ますます深めることになったのだ」

 

古川氏に原爆投下と終戦工作に対する疑念を深めさせたドキュメンタリー映画は、アメリカで制作された「原爆死」というタイトルの作品である。1994年度の学生アカデミー賞のドキュメンタリー部門で金メダルを獲得している。

この作品によると、長崎への原爆投下直後、それも当日(89日)、連合軍の捕虜救出のために、米軍救出部隊が長崎に上陸したというのである。しかも上陸の手引きを日本海軍が秘かに行っていたというのだから、驚きである。この救出部隊の一人が中心的な登場人物、実はこの映画の制作者の父親である。

この映画を観て大変な衝撃を受けた著者は、真実を隠蔽してきた「この国の偽らざる姿の本質」が浮かび上がるとして、次のように書いている。

 

「思うに、この国は強者が弱者を盾にして利を貪り謳歌し、失敗すると強者が弱者を置き去りにして逃げ打つ――その歴史を繰り返してきたのではないか。たとえば第二次世界大戦では、内地でも戦地でもこれが繰り返されてきた。」(これには勝者によって美化されすぎた明治維新の下克上構造に原因がある。後日、このことをレポートで解説したい。)

 

いわゆる「ノブレス・オブリージュ」が息づくイギリスなどでは、貴族階級出身者が就く高級軍人の死亡率は非常に高いにもかかわらず、日本では、空襲や原爆投下において政治家や官僚、高級軍人の死亡率が異常に低いという摩訶不思議な現象が生じていることを古川氏は指摘している。そして、フクシマ原発事故についても、それは繰り返されたと著者は書いている。福島原発のメルトダウンが確実視されはじめた頃、霞ヶ関ではあるリストが出回っていた。それは、関東よりも西にあたる都市のホテルの空室状況、ガソリンスタンドの営業状況などを詳細に記入したリストだった。小生もこの話は永田町で仕事をする人間から当時聞いている。彼はその時、地方統一選挙も延期の可能性があるともアドバイスしてくれたのであった。

「つまり、官僚たちが考えたことは、自らが西へ西へと逃げることであり、組織を挙げて、ホテルの空室状況とガソリン不足の実態を、把握しようとしたのである。そして事実、多くの職員が名古屋、大阪などのホテルを予約し、家族を『退避』させたという。この話を聞いたとき、私は怒髪天を突く思いに駆られた。」

 

さらに著者は、政府と東京電力が放射能被害の実態を隠し続けて国民を欺いてきたことに関して、次のように書いている。

 

「震災後、政府は放射線予測システムSPEEDI(スピーディ)の情報公開の遅れを詫びているが、何のことはない、実際は福島原発被災直後から、そのデータを知っていたのである。事実、震災翌日、福島原発に向かう際に、管直人首相は、自分自身の生命や健康に影響が出ないことをSPEEDIにより確認したうえで、現地に赴いたというではないか。つまり、政府・高官はSPEEDIのデータを自らのために使いはするが、国民に対しては隠蔽し続けたのである。その結果、本来は被曝する必要がなかった約1万人が放射能を浴びたという・・・・・・」

 

 このように日本という国の本質は、装いが変わっていることに騙されている人があまりにも多いが、現在も中身は何も変わっていないのである。

また、原爆投下については、古川氏も言及している第五航空情報連隊情報室に所属していた黒木雄司氏の「原発投下は予告されていた!」(光人社)も興味深いものである。以下、引用。

原発投下は予告されていた 黒木雄司

~まえがき~

毎年八月六日、広島原爆忌の来るたびに、午前八時に下番してすぐ寝ついた私を、午前八時三十二分に田中候補生が起こしに来て、「班長殿、いま広島に原子爆弾が投下されたとニューディリー放送が放送しました。八時十五分に投下されたそうです」といったのを、いつも思い出す。(二五三頁)このニューディリー放送では原爆に関連して、まず昭和二十年六月一日、スチムソン委員会が全会一致で日本に原子爆弾投下を米国大統領に勧告したこと(一五八頁)。次に七月十五日、世界で初めての原子爆弾核爆発の実験成功のこと(二一四頁)

さらに八月三日、原子爆弾第一号として八月六日広島に投下することが決定し、投下後どうなるか詳しい予告を三日はもちろん、四日も五日も毎日つづけて朝と昼と晩の三回延べ九回の予告放送をし、長崎原爆投下も二日前から同様に毎日三回ずつ原爆投下とその影響などを予告してきた。

この一連のニューディリー放送にもとづいて第五航空情報連隊情報室長芦田大尉は第五航空情報連隊長に六月一日以降そのつど、詳細に報告され、連隊長もさらに上部に上部にと報告されていた模様だったが、どうも大本営まで報告が上申されていなかったのではないだろうか。どこかのところで握りつぶされたのだろう。だれが握りつぶしたのか腹が立ってならぬ。

(中略)

この記録は私が現在の中華人民共和国南部の広東において、昭和二十年三月十一日付で野戦高射砲第五十五大隊第二中隊より転属し、第五航空情報連隊情報室に勤務、情報室解散の昭和二十年八月二十一日までの約五ヵ月間の日々を記録したものである。したがって人物名、場所名などはすべて実名実在のものである。

(中略)

私もようやく今年は数え年でいうと古稀となり、老の仲間に入ってゆくので、惚けないうちにと書くこととした。書いているうちに先ほども書いたように、原爆に関する報告をだれが握りつぶしたのか。なぜもっと早く終戦に持ってゆけなかったかということをいろいろと考えさせられる。とにかく人の殺し合いという戦争は人類の史上にはもうあってはならない。

 

平成四年七月   黒木雄司

(引用終わり)

<そして現在、2011年のフクシマ原発事故以来、継続する放射能汚染について、本当に正確な情報を東電、政府は国民に提供しているのだろうか。> これがあまりにも疑問なのである。

 以下の素朴な疑問に対してまともに反論出来る人はほとんどいないのではないか。

最近の報道から取り上げてみよう。

 

最近の報道(TBS)によればhttp://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2553929.html

「福島第一原発3号機、プールに落下の大型装置を撤去」

 

廃炉に向けた作業が行われている福島第一原発3号機では、2日、使用済み燃料プールに落ちた大型装置の撤去作業が行われました。

 福島第一原発3号機の使用済み燃料プールには今も566本の核燃料が残されていますが、プールの中には爆発で吹き飛んだ大量のがれきが落下していて、燃料取り出しの障害になっています。

 2日は午前中から長さ14メートル、重さおよそ20トンの「燃料交換機」をプールから取り出す作業が行われ、昼ごろには2台のクレーンを使って巨大な装置が吊り上げられました。東京電力によりますと、作業は午後1時すぎに無事に終了し、空気中の放射性物質の濃度にも有意な変化はなかったということです。 東京電力では今後、残りのがれきを撤去した上で、再来年度から3号機の燃料プールにある核燃料566本の取り出しを始める計画です。(8/217:30

 ところで、3号機は2011314日に水蒸気爆発したとされているが、当時から水蒸気爆発と核爆発が起きたのではないかという指摘があった。以下。

フクシマ3号機 爆発

<2012.01.05ニュース>

福島第一原発の事故を受けて、原発の安全性への不安が広がっている。これまで「原発批判」と言えば、もともと反原発の考えを持った人々が中心だった。ところが福島原発の事故以後、これまで原発推進に尽力してきた人々が原発批判をはじめている。元原発検査員、元電力会社社員などが隠されてきた事実を内部にいた彼らが暴き出す!

◆元原発検査員が証言!福島原発3号機の爆発はピカドン(核爆発)だった!!

 

「福島第一原発3号機で3月14日に起きた爆発はピカドン(核爆発)だ!!」

そう語るのは、2010年の春まで日本原子力安全基盤機構(JNES)で原発検査員を務めていた藤原節男氏。原発の施設と運用について隅々まで知る専門家の一人だ。

「3号機の爆発では、一度ピカっと炎が出たあと、ドーンと黒煙がまっすぐ建屋上方へと立ちのぼっています。水素爆発であんな黒い煙は出ません。キノコ雲の形状といい、核爆発の現象に酷似している」

しかし、政府、東電の発表では、原子炉内部は安定を取り戻してきているはずだが?

 

「重要な放射能飛散原因は、使用済み燃料プールです」

彼は、原発を陸側から写した航空写真を取り出した。

「建屋上部フレームは、使用済み燃料プールの場所が吹っ飛んでいます。プール内で爆発が起こり、そこにあった燃料棒は飛び散ってしまったとおもわれます」

だが、たとえ使用済み燃料が溶融して下に溜まっても、果たしてそれで、核爆発は起きるのだろうか。

 

「3号機の燃料プール内では爆発が生じるまでに冷却水が少なくなり、ジルカロイ・水反応で水素が発生。上方の燃料被覆管が溶けて、中のペレットはブロック崩し状態。プール内が原子炉さながら、小出力で臨界状態となって水が沸騰したとおもわれます。そしてプール水面上方で水素爆発。その圧力で沸騰水中のボイド(水蒸気)が圧縮。ボイド反応度係数はマイナスなので一気に核分裂の反応度が高まり、即発臨界の核爆発が起きた。3号機爆発のスローモーションビデオを観ると爆発音が3回聞こえる。これが水素爆発の後に核爆発が生じた証拠です」

続いて彼が指さしたのは、排気筒と3号機を結ぶ配管部分だ。太いパイプはそこで断裂し、短い管が口をあけて転がっている。

 

「東電は定期点検中の4号機で水素爆発が起きたのは、3号機で発生した水素がこの配管を通って、4号機建屋に入ったためだと説明しました。しかし、写真を見ると、この通り配管はつながっていない。4号機でも使用済み燃料プール内で水素が発生して爆発したと言える。3、4号機爆発とも使用済み燃料プールの水素なら、1号機も使用済み燃料プールの水素による爆発ではないか。これら重要な事故シナリオについて、誰もダメ出しをしていない」


<藤原節男氏>

72年4月、三菱原子力工業(現・三菱重工業)入社。2005年原子力安全基盤機構勤務、検査業務部調査役。2009年3月、北海道電力泊原子力発電所3号機の使用前検査を手がけ、組織的なデータ改ざんなどを内部通報。2010年3月退職。

藤原節男

フクシマ原発爆発跡

フクシマ原発爆発跡2

 

これほど、爆発で破壊された様子を見ると、とても3号機の核燃料プールに使い済み核燃料がまだ残っているはとても信じられない。それなら東電や政府は上記のニュースを、映像を創り上げてまで報道させているのだろうか。おそらく、フクシマ第一原発の1号機、2号機、3号機、4号機、この4つの原子炉の核燃料と燃料貯蔵プールにあった核燃料棒。この全てが、地下に、周囲に、そして海に、拡散してしまった最悪の現実をなんとかできるだけ国民の目から隠し続けたい。そのために行っているプロパガンダ=愚行ではないのか。

トリチウム水蒸気拡散 

上記の映像は、フクシマ第一原発からトリチウム水水蒸気が拡散している状況をよく捉えている。

また、以下の映像を見ていただければ、3号機爆発が水蒸気爆発でないことがよくわかるはずだ。https://www.youtube.com/watch?v=Gh1E1-u4CkU

いわき四倉海岸

2015年のフクシマ第一から40㎞の海岸の様子、ガイアカウンターの数字は法的基準の47倍を示している。

 

 以前のレポートでも紹介したが、2015年の3月中旬以降、どうもフクシマ第一は新たな段階に入ったようなのである。以下。(週プレNEWS 427()60分配信)

 


「周辺地域で線量が1000倍に急上昇!“フクイチ”で何かが起きている!?

 

4月6日から8日に突如として高い線量を検出した南相馬市のモニタリングポスト。特に常磐自動車道の鹿島SAでは55μSvという通常の1000倍もの数値を記録、福島県は計器故障と発表し線量測定を即中止した…

このところ福島第一原発の様子が、どうもおかしい。特に気になるのが2号機で、4月3日に格納容器の温度が約20℃から70℃へ急上昇した。

さらに2日後には88℃に達し、4月第3週現在も70℃前後から下がっていない。もちろん熱源は4年前に圧力容器からメルトダウンした最大重量100tとも推定される核燃料である。

その温度は、事故当初は太陽の表面に近い4000℃前後で、不純物が混じって核燃デブリ(ゴミ)と化した今でも塊の内部は1000℃以上を保っているとみられる。つまり、2号機内ではデブリがなんらかの原因で活発化して放熱量が高まっているようなのだ。

 

この点について琉球大学理学部の古川雅英教授(環境放射線学)は次のように説明する。

 

「1~3号機ともに核燃デブリを冷やすために放水作業を続けていますが、その水量調整が実は大変に難しい。少ないと文字通り焼け石に水です。また、極めて稀(まれ)なケースですが、環境条件が整えば、水によって減速された核分裂中性子が連鎖的な核分裂を誘発する可能性もあります」

 

だから東電の事故処理対策では、今のところ1~3号機ひとつにつき、一般の水道蛇口ふたつを全開にしたほどの注水を続けている。これは巨大な原子炉格納容器と比べれば意外にわずかな水量といえる。

 

にもかかわらず、なぜ2号機の温度は急上昇したのか?

 

似た異変は3号機内部でも起きているようで、今年に入って何度か3号機の屋上から大量の蒸気が噴き出す様子がライブ配信映像で目撃された。

そして、もっと見逃せないのが2号機の温度上昇と連動するように4月6日から福島第一原発周辺の「放射線モニタリングポスト」が軒並み高い数値を示し始めたことだ。

中でも原発から北方向の南相馬市では、復旧したての常磐自動車道・南相馬鹿島SA(サービスエリア)ポストで通常線量の1000倍にあたる毎時55μSv(マイクロシーベルト)を最大に、市街地各所で数十倍の上昇が見られた。

 

それぞれの線量上昇時には福島第一原発方向からの風が吹いていた。福島県内各地の放射能汚染を詳しく調べてきた「南相馬・避難勧奨地域の会」の小澤洋一さんはこう語る。

 

「これら福島県が設置したモニターの高線量折れ線グラフは、異様に長い剣のように突き出た1、2本のピークが特徴的で、しかも短時間に限られた場所で現れたため、あいにく私の個人測定ではキャッチしていません。

しかし福島県は、この後すぐに40ヵ所ものモニターを“機器調整中”とし測定を止めました。この対応はあまりにも不自然だと思います。もし本当に高額な精密モニター機器が何十台も同時故障したというなら、それ自体が行政上の大問題でしょう」

 

この福島第一原発2号機の温度急上昇と関係がありそうな異変は、実は福島県以外にも及んでいた。そのひとつが4月7日の東京都内だ。

 

本誌は原発事故から4年間、都内43ヵ所の「定点」で月数回ペースの線量測定を実施してきた。そして北東・北方向から4、5mの風が吹き続けた7日正午から夕方にかけて、港区・新宿区・渋谷区・世田谷区を中心にいつもの2~4倍に達する線量上昇を確認した。

また「原子力規制委員会」が公開した4月中旬までの全国線量グラフにも東北各県や神奈川県などで急激な上昇が見られた。

原発事故以来、東日本地域では地表面に染み込んだ放射性セシウムが1~3月頃の乾燥期に空中へ舞い上がり、線量を高める「2次汚染現象」が続いてきた。ところが今年の春は、まるで様子が違う。今の福島第一原発から直接飛来した強い放射性物質が一部地域の線量をスポット的に引き上げているとしか思えないのだ。

この新しい傾向は、何を意味するのか? 考えられるのは、原発内の核燃デブリが従来の注水冷却工程に対して異なった反応を示す状態に変化した可能性、例えば、デブリが格納容器下のコンクリートを突き抜けて地盤まで到達(メルトアウト)し、地下水と接触するなどだ。(引用終わり)


 

私たち日本人が頭に入れておくべきことは、1945年の広島・長崎と同様、2011年のフクシマ原発事故によって、日本は核による荒廃という新たな未開の分野を引き受ける、人間の能力の限界をテストする「闇の科学実験の中心」となっているという残酷な現実である。

そして、広島と長崎にもたらされた荒廃も、東京のすぐ北の損傷したフクシマ第一原発で現在進行中の大惨事と比較すれば、小さなものだということになる可能性が現在、次第に大きくなっている。そしてその事実を、日本政府は必死になって隠蔽しようとしている。

あまりにも残念なことだが、1945年の原爆投下の時と日本政府は少しも変わっていないのである。自分の立場やメンツしか考えることができない人間の集まりだということである。

最後にフェイスブックの投稿を読んでいただきたい。たぶん真実であろう。以下。

 


松平英丈  81 21:46 ·

 

滅多に更新しないのですが、是非書いてくれというので、ここに書くことにしました。

私の友人が白血病の診断を受けました。身体が怠く、頻繁に鼻出血があるんだけど相談され、病院に受診するよう勧めました。まさかとは思いましたが、そのまさかが的中してしまい、白血病の診断を受けて来ました。本人も覚悟をしていたので取り乱すことなく、淡々と病状、今後の治療法など、病院の先生から聞かされたことをボクに語ってくれました。非常に残念な気持ちでいっぱいです。

問題なのは何故彼が白血病になってしまったかと言う事です。

彼はお寺の住職をしています。そして福島に別院があり、3.11の地震以来週の半分は福島で生活をしながら、避難をされている檀家さんを含めた住民の皆さんの、精神的な支えとして尽力しておりました。ボクには真似のできないことで、頭が下がる思いです。

活動している場所は、当然避難地域外です。しかし、現在その避難地域外で爆発的に白血病患者が増えています。大げさな話、病院の待合室の患者さんの半分は白血病患者ではないかという勢いです。覚悟をしていたというのは、このことだったんですね。

福島の放射線拡散の状況は、継続しています。蓄積している分、酷くなっています。もう既に、チェルノブイリの数倍らしいです。

当然国もマスコミもこの事実を把握しているはずです。何故オモテに出てこないで隠すのでしょう。オリンピックなんてやっている場合ではないと思います。

日本という国は、自分の都合でマスコミをコントロールします。マスコミもそれに従います。それは何故か、国税庁という伝家の宝刀を持っているからです。お金で縛るのが一番効果的だと言う事をよく知っています。

最近の憲法違反の法案といい、マスコミ操作といい、終戦前の状況に似ていませんか?人間の生命より、目先のお金と権力に固執する人たちがこの国のうえに立っています。良いのかなぁ〜〜(引用終わり)


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