<パナマ文書>が告げる新自由主義の終焉

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4月 122016

日本ではおざなりの報道しかされない「パナマ文書」だが、世界は今、大きく震撼し始めている。すでにアイスランドのグンロイグソン首相は、公的資金を注入した銀行株をタックスヘイブンに隠していた道義的責任を追及され、辞任に追い込まれ、英国のキャメロン首相も亡父の資産をタックスヘイブンに隠していた道義的責任を追及され、釈明に追われている。展開によっては辞任もあり得るだろう。恐らく、今回の「パナマ文書」は、アメリカの情報機関が関与した選択的漏洩だとも考えられるが、もし、そうだとすれば、そのターゲットは中国、ロシア、英国、ドイツ、イスラエルであろう。この文書が世間に出てきた経緯を説明している報道を読むと、ブレトンウッズ体制が完全に崩壊し、中国の人民元がSDRの対象通貨になることが決定した昨年10月に、タックスヘイブン情報が世界中に拡散されたようである。

もちろん、偶然ではないはずだ。華僑との取り引きで、中国の人民元が国際通貨になるように強力な後押しをしたのは、ご存じのように英国である。

 しかしながら、このような情報戦にアメリカの情報機関が関与したとすれば、これから飛んでもない暴露合戦が展開される危険性も秘めているのではないか。ロシアも英国もイスラエルも一流の情報機関を持っている国である。ある意味そこまで、覇権国米国は追い詰められているということなのかもしれない。ところで、日本人も400人以上の名前が挙がっているということである。これからどんな吃驚する情報がでてくるのか、戦々恐々としている日本人もかなりいるということである。

 

考えてみれば、一部の超大金持ちや大企業だけが租税回避地に資産を移動させて税負担を逃れている行為は、公的財政の赤字が拡大している原因の一つである。

タックスヘイブン 図式

ところで、このような風潮を世界に広める思想的基盤をつくった男は、ミルトン・フリードマンというユダヤ人経済学者である。彼が、民営化と規制緩和と小さな政府、市場原理主義とマネタリズムで構築された<新自由主義思想という妖怪>を世に送り出したのである。そこから、タックスヘイブンという国民国家を内部崩壊させるシステムが合法化されたのであった。1964年、フリードマンが「資本主義と自由」という著書を発表したのだが、当時の日本の経済学者の多くは、奇矯な論理を弄ぶ経済学者もいるものだ、ぐらいの認識しかなかったようである。しかしながら、英国のサーチャー、米国のレーガンによって採用された新自由主義は、その後、世界を席巻していくことになる。

おそらく、現在の世界経済の状況を見て、一番皮肉なのは、「小さな政府」を標榜する新自由主義の政策を推し進めた結果、世界中の政府は、その財政赤字を巨大化し、その中央銀行は、その財政赤字を支えるために巨額の資産を抱え込むことになったことである。「小さな政府というスローガン」は、とんでもない借金をかかえる巨大な政府を作りだしたのである。

結局、現実に起きたのは、民営化という名目の国有財産の横領であり、金融の自由化という美名のもとで大企業の税金逃れが合法化され、国民国家は慢性的税収不足に悩む事態に陥ったのであった。

消費税は廃止できる?

<日銀のデータを見ると、初めてケイマン諸島が登場するのが2001年で、その額が上のグラフにあるように、186411億円。直近データが2013年で、609280億円で、この12年で422869億円増、3.2倍も増えている。このケイマン諸島で税金逃れした609280億円に、現時点の法人税率23.9%を課すとすると、145617億円の税収が生まれることになる(※実際にはケイマン諸島の大企業の資産には証券等もあるのでそう単純に計算できるものではないが、)増税前の消費税率5%のときは、消費税の税収は10兆円程度。消費税率8%になって直近の2016年度予算で消費税の税収は171850億円。これに対して、大企業のケイマン諸島のみで145617億円の税収が生まれる。これに加えて、ケイマン諸島での富裕層の税逃れと、ケイマン諸島以外での大企業と富裕層のタックスヘイブンでの税逃れ(朝日の報道にあるようにパナマでも日本の400の人・企業が活用している)を加えれば、現在の消費税率8%の税収をも上回ると考えられる。>

これから「パナマ文書」や類似する文書が暴露されることによって、現在の世界の本当の経済構造を否応なく多くの一般大衆が知ることになっていく。その先に待っているものは、大衆の怒りである。その意味で、これから大きく時代を動かす「真の政治の季節」が始まろうとしていると言えるだろう。 

以下は、参考資料 

Trendswatcherより

http://www.trendswatcher.net/03-2016/geoplitics/パナマ文章-の流出に米国の情報戦の疑い/

 

「パナマ文書」流出に米国の情報戦の疑い   20160408

パナマ文書 法律事務所

「パナマ文書」にアメリカ国籍の個人や法人が含まれていないことを、米国マスメディアが騒ぎ出したのは公表から2日後のことである。さまざまな推測のなか、「パナマ文書」の流出は米政府関与により、意図的に公表されたとの疑惑が強まっている。 

米国籍の個人と法人は含まれているのか 

米大手新聞社のマクラッチーによると、データベースには少なくとも200人の米国籍のパスポートがあり、米国に住所を持つオフショア会社の株主は3,500人とされている。政治家はいなく、脱税回避の目的でオフショア法人を設立した個人が多いとされている。特定された数人の個人名は公表されたが、正確な人数や法人名は特定できていない。また情報が今後公表されるかは未定である。 

公表に当たっての4つの視点 

エリスト・ヴァリファ

ドイツのジャーナリストで金融専門家のエリスト・ヴァリファ氏は、「パナマ文書」の流出は米情報機関による特別作戦であると述べている。スキャンダルは米国企業には影響がなく、「パナマ文書」の公表により、個人資産家や法人は今後『パナマから、課税から完全に免除されているタックスヘイブンである、米国のネヴァダ州、サウスダコタ州、ワイオミング州、デラウェア州などに資金を移すことになる。パナマにあるとされる約30~40兆ドルの資金を米国に流入させるのが目的で、このような文章流出事件が行われた』と述べている。 

ウィキリークス

ウィキリークス(WikiLeaks)は、特定ではなく、同形式の完全な情報公開を求めている。この要望に対して、調査ジャーナリストの国際コンソーシアム(ICIJ)は、完全な情報公開はしないとしている。しかし、問題はICIJが公表する情報の選別基準にある。公開されている情報は主に、欧米が批判的である、反欧米勢力のロシア、中国、イラン、イラク、エジプト、シリア、ブラジルなどである。ウィキリークスは、ICIJがフォード、ロックフェラーやソロスから資金提供を受けており、プーチ大統領への攻撃は、USAIDとソロスが資金支援している、ロシアを標的とする、組織犯罪汚職摘発報告会(Organized Crime and Corruption Reporting Project: OCCRP)の攻撃作戦であると指摘している。資金はアメリカ合衆国国際開発庁(USAID)とジョージ・ソロスが提供している。USAIDは、経済支援活動と題してCIAは諜報活動を行っていることはよく知られている。ロシアのプーチン政権の政治不安を引き起こすのが目的とされる。 

ガブリエル・ズックスマン

21世紀の資本」のトマ・ピケティとの共同研究でも知られている、「失われた国家の富:タックスヘイブンの経済学」の著者で、カリフォルニア大学バークレーのガブリエル・ズックスマン氏は、アメリカ国籍の個人や法人が少ないのは、パナマでのオフショア法人の必要性はなく、米国の有数のタックヘイブンを利用していると指摘している。実に米国は近年、「新しいスイス」とも呼ばれるほど、タックヘイブンとして有名になっている。パナマが安全でなくなると、米国のタックスヘイブンに資金を移動する個人や法人もでてくる可能性はあるとしている。 

ラモーン・フォンセカ

モサック・フォンセカ法律事務所の創業者の1人である、ラモーン・フォンセカ氏は6日に、社内調査の結果、「パナマ文書」は内部リークではなく、外部によるハッキングによる情報流出であることを訴え、司法長官にしかるべき調査と対応を依頼したことを明らかにした。外部ハッキングであれば、ますます米国関与の疑いが強まる可能性が高い。(引用終わり)

*『高野孟のTHE JOURNAL』より抜粋

 

「パナマ文書」で噴き出したグローバル資本主義の死臭

 

パナマの法律事務所──と言えば聞こえがいいが、実質はタックスヘイブンを利用した「資金洗浄マネー・ロンダリング)」幇助専門のコンサルタント会社──「モサック・フォンセカ」から流出した膨大な内部文書の衝撃が広がっている。米誌「タイム」の4月4日付電子版は、これが「資本主義の大危機に繋がるかもしれない」という見出しの論説を掲げたが、それを大げさすぎると笑うことは出来ない。

もちろん、世界中の大富豪や大企業・大銀行だけでなく麻薬密輸団やテロリストなどの国際犯罪組織などまでがタックスヘイブンを使って資金を洗浄して脱税したり秘密送金したりして来たのは、今に始まったことではなく、いわゆる「地下経済」の問題の一部としてさんざんに議論されてきた。しかし、今回の一件が特別に深刻なのは……。 

2.6テラバイトの膨大な文書 

第1に、漏出した資料の膨大さである。匿名の告発者から南ドイツ新聞に届けられた文書は、全部で1,150万件、電子データにして2.6テラバイトにのぼる。1977年から2015年末までの40年近くにわたり、モサックの本社及び全世界に35以上もある事務所と20万人/社に及ぶ顧客との間で交わされた480万通の電子メール、100件の画像、210件のPDF文書が含まれていた。2010年にスノーデンが米外交文書などを持ち出してウィキリークスで暴露した時に世界はその膨大さに驚いたのだったが、その量は1.7ギガバイトで、今回の文書はその1,500倍ほどもある。

とても1社では手に負えないと判断した南ドイツ新聞はこれを、ワシントンに本拠を置く「国際調査報道ジャーナリスト連合ICIJ)」に持ち込み、そのコーディネートによって約80カ国の100以上のメディア(日本では朝日新聞と共同通信)から約400人の記者が出て、1年間かけて解析し取材した。ということは、これまでに報じられているのはまだ概略程度にすぎず、今後恐らく1年間かそれ以上にわたってさらなる新事実やディテール他の国際的腐敗事件との関連(例えばスイスと米国の検察当局が捜査中のFIFAの底なし汚職事件でもモサックを通じての資金操作疑惑が浮上して、すでにウルグアイ出身の幹部が辞任した!)などが次から次へと暴かれていくことになろう。 

第2に、モサックの顧客たちの顔ぶれの豪華さ、とりわけ各国の大統領首相閣僚政府高官など政治指導者とその家族・親戚仲間たちの多彩さである。ICIJのウェブサイトではその主だったところを「パワー・プレイヤーズ」というタイトルで似顔絵入りで一覧に供していて「汚職と脱税のための世界首脳サミット」でも開けそうな雰囲気である。……と思っていたら、9日付朝日川柳に一句あり、「サミットはバージン諸島でどうでしょう」と。

パナマ文書 登場人物

似顔絵をクリックすると、それぞれの説明が出て来るので、詳しくは直接参照して頂きたいが、名前と肩書きだけ列挙すると(左上から)

マクリ=アルゼンチン大統領、イヴァニシヴィリ=元ジョージア首相、グンロイグソン=アイスランド首相(すでに辞任)、アラウィ=元イラク副大統領、アリ・アブ・アル・ラゲブ=ヨルダン元首相、ハマド・ビン・ジャーシム・ビン・ジャブル・アル・サーニー=元カタール首相、ハマド・ビン・ハリーファ・アル・サーニー=元カタール首長、サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ=サウジアラビア国王、アフマド・アル・ミルガニ=元スーダン大統領、ハリーファ・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン=アラブ首長国連邦大統領、ラザレンコ=元ウクライナ首相(米国で服役後、財産差し押さえ)、ポロシェンコ=ウクライナ大統領。

アリエフ=アゼルバイジャン大統領の妻・子・妹、習近平=中国国家主席の義兄、李鵬=元中国首相の娘、プーチン=露大統領の仲間、アサド=シリア大統領のいとこ、キャメロン=英首相の亡父、ムバラク=元エジプト大統領の子、モハメッド4世=元モロッコ国王の秘書、シャリフ=パキスタン首相の子たち、クフオル=元ガーナ大統領の長男、ラザク=マレーシア首相の子、キルヒナー=元アルゼンチン大統領の秘書、ニエト=元メキシコ大統領のお仲間ビジネスマン、カルロス1世=元スペイン国王の姉、バグボ=元コートジボアール大統領のお仲間の銀行家、ズマ=南アフリカ大統領の甥、コンテ=元ギニア共和国大統領の未亡人……。

https://panamapapers.icij.org/

こうやって書き写しているだけで気分が悪くなってくるようなリストである。

この似顔絵リストには出てこないが、英紙ガーディアンの報道によると、北朝鮮の大同信用銀行DCB)」もモサックの顧客で、06年にバージン諸島にフロント企業「DCBファイナンス」を設立し、同国の軍需企業のための資金調達など秘密の金融工作に当たっていた。DCB13年以降、米国の制裁対象に指定されている。

ICIJによると、文書に出て来る政治家や政府高官は140人に上る。幸いと言うべきか、これまでのところ日本の政治家の名は出て来ていないが、経済界では、セコムの創業者の飯田亮と故戸田寿一=両最高顧問が大量の自社株をバージン諸島に移して管理する仕組みを作って、個人の持ち株を小さく見せかける操作を行っていた。他に福岡県のトレーダーや兵庫県の男性など400人ほどの名もあるらしい。 

「1%ワールド」への反感 

この一件が尋常なことでは済まないだろうと思わせる第3の要因は、米大統領選でのトランプ&サンダース現象をはじめ世界中で新しい格差と貧困への怒りが広がっている中で勃発したというタイミングの悪さである

上掲「タイム」誌論説の著者ラナ・フォルーハーは、この問題が米大統領選の焦点と直結していると感じている。

有権者は感覚レベルで、グローバル資本主義のシステムは「99%の人々」ではなく主に「1%の人々」の役に立っていただけだと分かっている。それがサンダーズとトランプが健闘を続けてきた大きな理由で、なぜなら彼ら2人は、別々の方法ではあるけれども、その真相をさらけ出しているからである。

パナマ文書は、グローバル化が「1%の人々」(それが個人であれ企業であれ)の資本や資産がどこへでも自由に移動出来るようにしているだけで、「99%の人々」はそんなことは出来ない。その結末は、グローバルな脱税の横行と雇用の海外流出であり、エリートは国民国家とそこで暮らす納税者が抱える様々な問題を3万5,000フィートの上空から見下しながら空を飛ぶ。

どうすればいいのだろうか。私が思うに、市場システムがいかに役に立つのか立たないのかを再評価するという根本まで立ち返らざるを得ない。自由貿易についての議論、脱税に対するグローバルなキャンペーン、金融資本の自由な移動に対する厳しい監視、等々。

行動経済学者のピ-ター・アトウォーターは言う。「金融・企業・政治のエリートの刹那性に有権者はますます怒っている。1%の人々はどこへでも移動することが出来て、その移動から大きな利益が生まれる。しかし99%の人々にそれは出来ない。もっと悪いことに、99%の人々はさびれたデトロイトの空きビルや、ウェスト・ヴァージニアの化学プラントの有毒廃棄物や、プエルトリコの到底持続不能な税負担義務といった廃墟の中に取り残されているのだ」と。 

こうしたことを解決するには「成長」とは何かを問わなければならないが、それは米国はじめ豊かな国々にとってのみの問題なのではない。最近の研究では、モサックのような金融操作によって途上国経済は0413年に7兆8,000億ドルもの損失を被っている。さらに、不法な金融取引は年率6.5%、世界GDPの2倍の勢いで伸びている……。 

世界資本主義は行き詰まった 

トランプ&サンダーズ現象が笑えないのはまさにここである。水野和夫が言うように、資本主義は(少なくとも原理的には)終わった(『資本主義の終焉と歴史の危機』、集英社新書、14年刊)。資本主義の根本原理は利潤率の増大であり、その資本主義が地球上のありとあらゆる辺境を食い尽くして、なお引き続き利潤率を確保しなければならなくなった時に何をしたかと言えば、自国の中間層の食いつぶしである。

辺境があった時代には、そこから得た利潤の一部を国内に環流させて自国の労働者を「中間層」として育て、そこそこ経済的にいい思いをさせながら政治的にも懐柔することが出来た。ところが資本はその本性として凶暴で、外がダメなら内を平気で食い尽くす。それが、米欧日の先進国で共通して「豊かさ」の中の格差と貧困が広がっている根本原因である。

ところがその時に、1%の人々は、自国の中間層以下の99%の人々の苦しみなど歯牙にもかけず、3万5,000フィートの上空をプライベート機かファースト・クラスの座席で高級ワインなど舐めながら、地上の貧民どもをあざ笑っているわけである。

注目すべきことに、ほとんどの場合、これらの政治家や独裁者や大富豪たちは、自分でモサックに電話をかけてトンネル会社の設立を依頼しているわけではない。彼らが隠し財産を預けている巨大銀行や運用を委ねているコンサルティング会社が「顧客サービス」の一環としてモサックを紹介し、脱税や資金洗浄を指南しているのである。パナマ文書には欧州系を中心に500もの金融機関がモサックを通じて1万5,600社のトンネル会社の設立に寄与している様が描かれている。そのうち最も上位の10行とそれが設立を手伝ったトンネル会社の数は次の通りである(ICIJ資料)。

エクスペルタ・コーポレート&トラスト(ルクセンブルク) 1,659
J
・サフラ・サラシン(ルクセンブルク) 963
クレディ・スイス系(英領チャネル諸島) 918
HSBC
系(モナコ) 778
HSBC
系(スイス) 733
UBS
(スイス) 579
クーツ系 (英領チャネル諸島) 487
ソシエテ・ジェネラル系(ルクセンブルク) 465
ランズバンキ(ルクセンブルク) 404
ロスチャイルド系(英領チャネル諸島) 378 

もちろん、タックスヘイヴンを利用すること自体は「今のところ違法ではないし、そこに移される資金のすべてが犯罪がらみという訳でもない。しかし、タックスヘイヴンとは「租税回避地」のことであり、それを利用する全ての人が他人に知られたくない財産を持っていて、自国で税金を払いたくないと思っている「非愛国者」であることは間違いない。各国の最高指導者が率先して脱税もしくは避税したがって、妻や子や親戚や秘書やお仲間を使ってあの手この手でモサックに頼るという餓鬼道地獄に墜ちていく。その手引きをしているのが国際的に名の知れた巨大銀行であり、その意味でグローバル資本主義はすでにその中枢部から腐り始めているのである。

ちなみに、モサックが顧客の依頼に応じて設立したトンネル会社をどこに置いたかを見ると(INSIDER No.832「パナマ文書」のきらびやかな政治家リスト)http://bmimg.nicovideo.jp/image/ch711/372355/4d6b5a36ad85fb2b6d0044d6709ff808a67f7199.jpg

、香港が2,212社で最多で、以下、英国、スイス、米国、パナマ、グアテマラ、ルクセンブルク、ブラジル、エクアドル、ウルグアイがトップ10である。資本主義はブラック・ホールだらけである。 

一服の解毒剤としてのムヒカ 

この資本主義が放つ腐臭で卒倒しないようにするには、解毒剤が必要だろう。この騒動の最中に、たまたま来日したのが「世界で最も貧しい大統領と言われたホセ・ヒムカ=前ウルグアイ大統領で、彼は2012年にブラジルで開催された「国連持続可能な開発会議」で人類がグローバル資本主義を超えて生きるべき道を説いて有名になった。その演説は日本でも書籍や絵本として出版され、とくに絵本は16万部も売れるロングセラーとなった。その絵本の出版社の招きで初来日したもので、各地で講演したりインタビューを受けたりした後、広島を訪れる予定である。

その有名な演説を今更紹介するのも気が引けるが、要旨はこうだ(英語版からの本誌抄訳)。 

質問をさせてください。ドイツ人が1世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てば、この惑星はどうなるのでしょうか。息をするための酸素がどれくらい残るのでしょうか。別の言い方をすると、西洋の豊かな社会と同じ傲慢な消費を世界の70億~80億人の人ができるほどの資源がこの地球にあるのでしょうか。 


市場経済の子供、資本主義の子供である私たちが、この無限の消費と発展を求める社会を作って来たのです。私たちがグローバリゼーションをコントロールしているでしょうか。それともグローバリゼーションが私たちをコントロールしているのでしょうか。このような残酷な競争で成り立つ消費社会で「みんなの世界を良くしていこう」というような共存共栄のための議論はできるのでしょうか。我々の前に立つ巨大な危機の原因は環境危機ではありません、政治的な危機の問題なのです。

私たちは発展するために生まれてきたわけではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。命よりも高価なものは存在しません。にもかかわらず多くの人々が高価な商品やライフスタイルのために人生を放り出しています。消費が社会を駆動する世界では、私たちは消費をひたすら早く多くしなくてはなりません。消費が止まれば経済が麻痺し、経済が麻痺すれば不況のお化けが現れるのです。

このハイパー消費を続けるには商品の寿命を縮め、できるだけ多く売らなければなりません。10万時間保つ電球を作れるのに、1,000時間しか保たない電球しか売ってはいけない社会にいるのです。人々がもっと働いて、もっと売るために「使い捨ての社会」を続けなければならないのです。悪循環の中にいるのにお気づきでしょうか。これはまぎれもなく政治の問題であり、私たち首脳は別の解決の道に世界を導かなければなりません。

昔の賢者たちは言っています。「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」と。これがこの議論の文化的なキーポイントです。根本的な問題は私たち作り出した社会モデルであり生活スタイルなのです。

私の国には300万人ほどの国民しかいません。しかし、世界でもっとも美味しい1,300万頭の牛がいて、羊も1,000万頭ほどいます。私の国は食べ物の輸出国です。私の同志である労働者たちは、8時間労働を獲得するために戦い、そして今では6時間労働を獲得した人もいます。しかしその人たちは別の仕事もしており、結局は以前よりも長時間働いています。なぜかと言えば、バイクや車などのローンの支払いに追われているからです。毎月、2倍も働いてローンを払っているうちに、いつしか私のような老人になっている。幸福な人生が目の前を一瞬で過ぎていくの
です。

これが人類の運命なのでしょうか。私の言っていることはとても単純で、発展は幸福を阻害するものであってはならず、人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません。愛情や人間関係、子どもを育てること、友達に恵まれること、そして必要最低限のものを持つこと。こうしたものをもたらすような発展でなければなりません。幸福が私たちのもっとも大切なものだからです……。 


パナマ文書に名指された首脳たちは、それこそバージン諸島に集まってヒムカの本の読書会でも開いたらどうか。チューターは、そう、バーニー・サンダースでしょう。(引用終わり) 


高野孟(ジャーナリスト)
早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。『インサイダー』編集長。2002年より早稲田大学客員教授。サイバー大学客員教授。東アジア共同体研究所理事。千葉県鴨川市在住。


311から5年、今、日本で何が起きているのか

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3月 152016

マスコミが意図的に無視しているので、もう忘れている方も多いと思うので、改めて、東日本大震災の地震がかなり不思議な地震であったことを指摘しておきたい。

おそらく、真相は長い歴史の中でいずれ明らかになっていくのだろうが、ネットも見てもわかるように大きな嘘が秘められていることを多くの人が何となく感じ取っているようである。当時、行われた計画停電が暗い世相を演出していたが、本当に必要だったのかどうか、甚だ疑問のところである。その後、数年にわたって全原発が止まっていたにも関わらず電気不足は生じなかったのだから、停電させたのは、<原発がなければこうなるんだ>と、いう原子力村の脅しだったと判断すべきであろう。その後、行われた放射能汚染除染には大変な費用がかかったが、これらが大きな利権になっていったことも忘れてはならない。いろいろ勉強してみると、すでに放射能を著しく下げる技術は色々なものが存在し、何も除染というあまりにお金と時間がかかる原始的な方法に固執する必要もないようである。

また、あの地震自体も本当に不思議な地震であった。まず、震度9ということに途中で過大、訂正されたのだが、本当に震度9もあったのか、疑問だと多くの人が指摘している。理由は、当時の生き残られた方が多くの動画を残していて、その動画のどれを見ても、数千年に一度の地震には見えない点にある。たしかに被害は甚大だったが、それは津波の被害であって、地震の揺れそのものではない。どの動画に映っている光景を見ても、建物の被害が本当に少ない。ほとんど破壊されていない町に津波が襲ったように見える。さらに地震学者が声をそろえて言った大変珍しい3連発、もしくは5連発の震源、その後、こうした内容がマスコミ記事から見事に消されているのもあまりに不可思議である。以前レポートでも指摘したが、アメリカのやらせが、ロシアのプーチン大統領によって明らかになりつつある2001年の911事件に似た雰囲気があることも私たちは頭の片隅入れておくべきなのかもしれない。

東日本大地震 五連発


<京都大学の川辺秀憲先生の分析>

川辺氏によれば、この震源域にてM7およびM8クラスの地震が5回連続して起きた、しかも1回目から2回目の間隔が35秒、その後、3回目、4回目、5回目と震源が20秒おきに南方に移動している


「連続して3回の巨大地震だった。極めて稀。少なくとも初めて。気象庁は13日午後に記者会見を開き、11日午後2時46分に発生した三陸沖を震源とする東日本巨大地震の規模を示すマグニチュード(M)を8.8 から9.0に再修正したと発表した。「震源域で地盤の巨大な破壊が3つ連続して発生しており、3つを合わせて規模を再計算した」という。日本の観測史上最大規模。巨大地震の規模マグニチュードを8.8から9.0に再修正したと発表する気象庁の担当者。 同庁は地震の波形を詳細に解析。その結果、最初の巨大な破壊の後に、第2、第3の巨大­な破壊が連続して起こり、特殊な地震波になっていた。こうした複雑な破壊は「極めてまれ」としている。」(下記の気象庁の会見内容)


以下で当時の気象庁の記者会見を見ることができる。

https://www.youtube.com/watch?v=r8j1QGs_2X0東日本大震災 気象庁発表

それでは、海外メディアが311から五年経過したフクシマ原発の事故をどう、報道しているかを紹介したい。

その前に日本のマスコミはほとんど報道しないが、日本は現在も「原子力緊急事態宣言発令中」であり、フクシマ第一の原子炉は炉心溶融、メルトアウトしていて現在も放射性物質を大気に放出している厳然たる事実を頭にいれておいていただきたい。福島県のホームページにもはっきりと1号機・2号機・3号機「炉心溶融」と書いてある。以下。https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16025c/genan10.html

フクシマ原発現状

それではまず、ロイターの記事から

<福島原発の「グラウンド・ゼロ」、廃炉への長い道> 20160311

 

福島第1原発の原子炉で、溶融した高放射能核燃料を発見するべく送り込まれたロボットは「息絶えて」しまった。地下水の汚染防止をめざして、破壊された原発の周囲を囲む地下の「凍土壁」はいまだ完成していない。

そして、原発の敷地の周囲に増え続ける一方のタンクに貯蔵された高濃度汚染水をどう処理すればいいのか、関係当局は依然として途方に暮れている。

5年前、史上最大級の地震による10メートルの津波が福島第1原子力発電所を襲い、複数の原子炉が炉心溶融(メルトダウン)を起こした。東日本大震災による死者・行方不明者は約1万8500人、関連死を含めると犠牲者は2万1000人を超える。16万人が住居と生計の手段を失った。

現在も福島第1原発の放射線は依然として非常に強く、炉内に人間が入って、非常に危険性の高い溶融した燃料棒の塊を発見・除去することは不可能な状態だ。

福島原発を運営する東京電力(9501.T)は、損傷した建屋から数百本の使用済み核燃料を撤去するなど、ある程度の前進を見せている。だが、同発電所内の他の3基の原子炉で溶融した燃料棒の場所を確定するために必要な技術はまだ開発されていない。原発の内部にアクセスすることは非常に難しいと、東電で廃炉事業を指揮する増田尚宏氏は、ロイターとのインタビューで語った。最大の障害は放射線だという。

A Tokyo Electric Power Co. employee measures radiation level of 213 microsievert per hour in front of the No. 2 and No. 3 reactor buildings at TEPCO's tsunami-crippled Fukushima Daiichi nuclear power plant in Okuma town

溶融した燃料棒は原子炉内の格納容器を突き抜け、現在の正確な場所は誰にも分からない。原子炉のこの部分は人間にとって非常に危険である。そこで東電では、溶融した燃料棒を探すために、水中での移動が可能で、損傷したダクトや配管のなかで障害物を乗り越えることのできるロボットの開発に取り組んできた。 

だが、ロボットが原子炉に近づくやいなや放射線によって回路が破壊されて役立たずになってしまい、進捗が大幅に遅れていると増田氏は述べている。

ロボットは各々の建屋に合わせてカスタマイズしなければならない。単機能のロボットを開発するだけでも2年はかかると同氏は語る。 

<増え続ける汚染水> 

事故対応を厳しく批判された東電は、30年前のチェルノブイリ原発(ウクライナ)以来最悪な原発災害現場となった福島第1原発の状況は劇的に改善されていると指摘。敷地内の多くの場所の放射線レベルは、現在では東京都内と変わらないという。

最近の視察に参加した政府当局者によれば、福島第1原発では現在、8000名以上の作業員が働いている。瓦礫の撤去、貯蔵タンクの建設、配管の設置、発電所の部分的撤去の準備など、各所に別れて作業しているため、敷地内では作業員が頻繁に行き交っている。

作業の多くは、損傷し、高レベルの放射線に汚染された原子炉を冷却するための注水に関連している。その後、放射性物質を含む水は原子炉から汲み出され、敷地周辺で増殖しつつあるタンクに貯蔵される。

福島第1原発の小野明所長によれば、100万トン近い汚染水をどう処理するかが、最大の課題の1つだという。

小野所長は、貯蔵タンクから海洋への汚染水漏れに、深い懸念を抱いているという。汚染水の漏えいはこれまでにも数回発生し、政府に対する強い批判を引き起こしている。「ある意味、前回と同じような津波が来るとか、竜巻が起こるとかいうことよりも、確率的には(汚染水漏れは)非常に起こりうること」と小野所長は警戒する。 

東電はこれまでのところ、処理済み汚染水の海洋放出について地元漁業関係者の同意を得られずにいる。小野所長は、東電による事故処理作業は約10%完了したと推定している。廃炉プロセスには30─40年かかる可能性がある。だが専門家によれば、東電が燃料の位置を特定できないあいだは、進捗状況や最終的な廃炉費用を評価することはできないという。

廃炉事業を指揮する増田氏は、少量の放射性物質が海洋に到達した可能性を否定しないものの、原子炉近くの海岸側に海底よりも低い深度に至る遮水壁を築いた後は、汚染水の漏えいは止まっていると話す。 

「絶対にゼロだと言うつもりはないが、この遮水壁によって、漏えいする汚染水の量は劇的に低下した」と彼は言う。Aaron Sheldrick記者、舩越みなみ記者)(翻訳:エァクレーレン)(引用終わり)

要するに廃炉の見通しすら立っていないのである。

次は「ロシアの国営広報スプトーニク」から、以下。

<福島のドキュメンタリー映画監督、「福島の死亡者の数には言葉を失う」>

東日本大震災 津波

http://jp.sputniknews.com/japan/20160311/1762818.html#ixzz42mbpSSef

20160311

5年前の今日、3月11日、日本で過去20年で、最大の原子力災害が起きた。これにより避難を余儀なくされた人の数は16万人を超える。福島原発事故後の状況を撮影したドキュメンタリー映画監督のジェフリー・ジョナサン氏は

RTテレビからの取材に答えた中で、日本政府は地元の女性たちに対し、「何も起こらなかった」と信じ込ませようとしていると語っている。

津波震災者 追悼式典

(日本、地震・津波被災者の追悼式典)

ジェフリー・ジョナサン氏は1990年から日本在住。ドキュメンタリー映画監督で主な作品には「福島の女たち」がある。

ジョナサン氏は「福島の悲劇で亡くなった人の数には言葉を失う。それに福島の状況も未だに危機的で市民は自宅に戻ることもできず、農民は作業を続けることができない。なぜなら誰も福島の生産物を買おうとしないからだ」と語る。

放射能による犠牲者の数は依然として確定されておらず、福島周辺の住民の10%が未だに仮設住宅暮らしを迫られている。

「今、市民はだんだんと元の暮らしを離れ始め、地元共同体もだんだんと縮小しつつある。福島周辺では場所によっては全く人気がなく、生産も学校も全く機能していない。」

(終わり)

短い作品なので、フクシマの女性の悲痛な叫びを是非、聞いていただきたい。

「フクシマの女たち」Paul Johannessen

フクシマの女たち

https://vimeo.com/52808567

次に元スイス大使村田光平氏がスペインの代表的な日刊紙エルムンドの記事をブログに載せているので紹介する。以下。

Las secuelas de Fukushima, cinco años después de la catástrofe07/03/2016

(仮訳)

「フクシマの傷跡、あの災厄から5年」

 

瀬川牧子 郡山(日本)  2016年3月7日 

「あの災害が起こったとき、私はこの町を捨てることができませんでした。いま私は娘の鼻血を心配しています。咽頭にできたのう胞の一種だと診断されています。泣くときに呼吸がうまくできないほど痛がるのです」。マキコは6歳の娘を持つ母親で、福島原発から50キロメートル北にある郡山市に住むが、娘を苦しめ続ける健康上の問題を語るときには絶望的になるのだ。

マキコの証言は、郡山であの核の災厄の後遺症に苦しむ子供を持つ母親たちへの経済的・精神的な援助を行うNGOを立ち上げた日本キリスト教協議会の牧師カワカミ・ナオヤが毎日のように聞いている、多くの証言の一つにすぎない。福島原子力発電所を襲った津波から5年経ち、カワカミは、甲状腺癌、鼻血、頭痛、腫れ物、眼球陥没、血便など、放射能の恐ろしい影響を被り苦しみ続けているおよそ600人の子供たちについてのレポートを公表した。 

去る2月のある朝、記者はカワカミとともに、福島の母親たちと呼ばれるグループの集まりに参加した。10畳敷きほどの小さな部屋は、木のおもちゃにあふれ小さなピアノが置かれてあり、そこにこの40を過ぎたばかりの牧師の柔和な落ち着いた声が響いた。彼の前には、30過ぎや40台やより年上の5、6人の女性たちが座っていたが、カワカミの語る話を聞きながらその表情を緩めていった。彼女たちはみな、5年間の困窮と苦痛の当然の結果として、硬直し緊張しているように見えていたのだ。 

「あの事故が起こったとき、私の息子は放課後のブラスバンドのクラブ活動に参加していました。彼は激しい鼻血に苦しんで、ティッシュペーパーの一箱を使いきるほどでした。いまは学校に歩いていくときに鼻血を出します。その鼻血があまりにひどいので、私はブラスバンド部の退部を願い出ました。」と、郡山で13歳の息子を持つ母親のマキコは嘆く。また一方で、6歳の娘を持つ母親のユキエは「2012年以来、私の娘は奇妙な皮膚の病気に悩み始めました。皮膚が赤くそして黒く変わっていきます。同時にひりひりと痛むのです。それが現われたり消えたりします。」と語る。 

これらの女性たちは子供たちのことを説明するたびに涙がほおを伝う。長い間ずっと我慢したまり続けてきた涙が、この牧師の前に座ることで与えられた安心感のおかげで、静かに、音も無く流れ落ちる。「あの災害の間、夫は私が娘と一緒にこの街から逃げることを許してくれませんでした。いま、娘にはのう胞ができ、私にはのう胞と甲状腺癌を持っています」。8歳の娘を持つ母親のユウコはこのように語る。 

子供の癌の急増

2014年と15年に実施された甲状腺機能に関する第1回と第2回の公式追跡調査の結果によれば、福島県内のすべての都市の中で郡山は、甲状腺癌を持つ、あるいはその疑いのある子どもの人口が最も多い所である。福島県立医科大学は年ごとにそれぞれの地域で甲状腺癌の発生を研究しており、先の12月末に郡山で新たに16件の発生を確認し、それによって癌を患う子供の数が115人にまで増えた。これらの患者たちは、あの災厄が発生したときに6歳から18歳の間の年齢だったのだ。

大学と福島県庁は2月15日に「県民健康調査」検討委員会が最新の分析結果を発表する目的で開催したある会議で、そのように公表した。にもかかわらず、当局者たちは原発事故と癌発生との関係性を否定するのだ。実際に、検討委員会の座長である星北斗は、その情報のデータを示した後で、「今の段階では、放射能と甲状腺癌罹患との間に関係性は認められない」と断言したのである。 

2月15日の会議には約60家族の被災者も出席していたが、しかしここでもまた、当局者たちによって全く無視されたように感じた。「会議の間、福島の母親たちは、ただの1回たりとも医者たちに質問することを許されなかったのです。ただ政府寄りの主要な日本の報道メディアにだけ、その権利が与えられました。日本の政府とメディアは私達を無視し私達を侮辱するのです!」福島に住む5人の子供の母親である64歳のサトウ・サチコは、会議の後で激しい怒りをぶちまけた。

原発事故の後、サチコは25歳の長男を除く子供たちを、福島から160キロメートル離れた山形県に避難させようと決意した。3月11日まで彼女は川俣町で自給自足の自然農園で生活していた。40キロメートル離れた山間地である。しかし、放射能への恐怖のためにその地を捨てて、同じ町の精神障害を持つ人たちのためのNGOを運営している。 

母親たちの孤立無援 

「福島の母親たち」の孤立無援さはすべての面にわたる。権威者たちが彼女らの声を聞いたことはなく、公的にはそれは存在しない、あるいはとるに足らないものと見なされている。「その状況は極端なまでに耐えがたいものです。誰一人助ける者はいないと感じてしまいます。」このように、カワカミ牧師は嘆く。彼はあの災厄の後6か月たってからこれらの女性たちへの援助を始めた。2011年の9月である。 

「私は、県庁のある責任者がこれらの女性の一人に対して激怒し、次のように非難するのを聞いたことがあります。『母親であるお前が放射能をあんまり怖がっているから、お前の息子が放射能に負けたんだ!』と。」 

郡山市はこの地域の重要な商業の中心地であり、現在34万人の人口を持つ。この5年間に化学工業の分野で成長を遂げており、政府が後押しする「福島再建キャンペーン」の公式な呼びかけは、2015年の2月から、約6600人の住民を市に呼びもどすとしている。同時にまた、そこは企業によって東京から派遣される社員を非常に多く抱える都市でもある。そこに日本の代表的な企業の工場と支社が数多くあるからだ。東京の中心にある駅から新幹線でわずか1時間で到着できる。一見したところ、近代的なビル、先進的な商店、大きな街路と、首都圏の地域にある他の都市と異なるところは何もない。市の外見を前にすると、誰でも放射能のことなど忘れてしまう。実際のところは、ここは日本で最も甲状腺癌が多く発生している都市なのだ。 

我々が郡山を訪れた日、地元紙である福島民報の金曜日トップの見出しは次であった。「福島の繁栄に微笑み」。2ページにわたる記事は、何よりもまず、県にある全ての都市の食品とグルメの世界に関連するあらゆるタイプの活動が載せられていた。郡山については「郡山市の美味に満ちた華やかな祭り」と書かれていた。

「この記事は許すことができない!堪忍できません!」ノグチ・トキコは怒りの告発をする。彼女は51歳の母親だが、その長男は現在11歳であり、あの核災害の直後に全ての髪の毛が抜け落ちてしまった。しかし実際のところは、日本の大部分の報道メディアは政府の公式な見解を擁護しているのだ。それによれば、癌の発生の増加とあの核の災厄との間に何の関係も認められない、というのである。  

あるジャーナリストの不可解な自殺 

福島での災害で被害を受ける子供たちについて本気で真実を調査しようと試みた数少ない日本のジャーナリストに、朝日テレビ放送局の岩路真樹がいた。しかしながら彼の仕事は断ち切られてしまった。自宅での練炭の排気の吸引による自殺とされる、彼自身の死によってである。真樹は、甲状腺癌を患う子供たちの母親へのインタビュー・ビデオの放映を決行した日本で初めてのTVジャーナリストだったのだ。トキコのような郡山市の母親たちは、温かく真摯な性格の真樹に対する熱い思いを込めて振り返る。「彼はすばらしい温厚で正直なジャーナリスト、心を開いてくれる人でした。当時6歳だった甲状腺癌を患う男の子の所在を突きとめようとしていたのです。その小学校の管理職と話をつけてその学校を訪問しようとしていました。でも彼は私に、その学校の管理職たちが『生徒の誰一人として扁桃腺の手術すら受けたことなどない』と言い逃れしてその生徒の存在を否定した、と言いました。」 

カワカミ牧師のNGOに集まる母親のほとんどは臨時雇いの仕事をしているか家庭の主婦である。毎日、放射能を恐れて福島県産以外の野菜と水と米を買っており、そして、近所の人々や自分自身の親族からの彼女たちに対して投げかけられる非難に立ち向かうのに、多くのエネルギーを費やしている。福島の学校が「地元の食品を食べよう」というスローガンのもとに地域の野菜や米を給食で使い始めたことに注意を向けなければならない。

しかし、母親たちが自分の子供たちを守るためにどれほど一生懸命になろうとも、巨大な圧力と反発に耐え忍ばねばならない。とりわけ最も身近にいる夫や両親たちからのものだ。実際にこれらの女性たちの大多数は、夫との夫婦関係が悪化したと告白する。その恐れと心配を話せば話すほど、配偶者との摩擦はどんどん激しくなるのだ。 

夫婦間の軋轢 

「夫は全く私を助けてくれません。日本の政府やマスコミが言うことを盲目的に信じて実行するタイプの男なんです。他人が事実を示してどれほど説得に努めても、全く目もくれません。自分自身が目で見て五感で分かったことですら信用しようとしないのです。ものすごく石頭でものすごく頑固です。ご主人と一緒にここを離れることのできた友人がうらやましいです。そのご主人は自分の妻の心配を理解して移住を受け入れました。この市で新しいマンションを買ったばかりだったのですが。」41歳のムロイ・ユウコはこのようにこぼす。

ユウコばかりではなく、他の母親たちのほぼ全員もまた牧師に、夫たちとの関係の悪化を涙ながらに説明する。その原因は、放射能の影響を受ける郡山のような地域でどのように子供たちを育てるのかについての食い違いなのだ。 

「あの災害以来、大変な量の夫婦間の問題を抱えたご夫婦のことを、ものすごい数で耳にしてきました。妻と夫の間に大きな考え方の違いがあるように思います。その中の何組かはついに離婚しました。」こう語るカワカミは悲しみの表情を浮かべた。 

「その最近の例ですが」と牧師は述べる。「ちょっと前にその女性たちの一人が私に言いました。『牧師さん。私、とうとう離婚を決意しました。夫の一言が原因です。』彼女が言うには、その夫は、息子が自分の目の前でひどい鼻血のために気を失って床に倒れたのを見て、こう言ったのです。『何でもない、何でもない。放射能が原因じゃないんだ』と。」 

しかし母親たちの多くは、子供たちの健康を案じながらも、離婚にまで思いきることができないため夫と共に過ごすことを選択している。ユウコには発達障害を抱える8歳の娘がいるが、福島原発の爆発の後で夫に他の町に行って生きたいという希望を語ったときに、夫が彼女に言った言葉を決して忘れないだろう。「行きたいなら行ってしまえ。お前一人で出て行け。娘はここに残る」。目に涙を浮かべながらユウコは、5年経ったいま、住む町を変えるという考えを棄てたことを認めて次のように述べた。「もし離婚することができたのならそうしたでしょう。でも、それはできません。もし私が、小さい体の娘と一緒に私だけで見知らぬ場所に引っ越しするなら、生きていけるとは思えません。」

政府も、福島原発に責任を負う東京電力も、この地域を出ていきたいと望むこれらの女性たちに対して、何一つ補償を与えようとはしない。事故を起こした発電所から半径20キロメートル以内に位置する集落にあるような、放射能による明らかで目に見える被害が無いからなのだ。カワカミのようなボランティアグループが提供するわずかな援助を除いて、「福島の母親たち」は助けになるものを何も持っていない。「いまとなっては」と牧師は嘆く。「これらの哀れな女性たちがどれほど大声を出しても無駄なのです。『私の息子の鼻血が』といくら叫んでも、人々は無視して言うのです。『それがどうした?』と。」 

<編集後記>

私の住むスペインも恐ろしい国なのだが、その凶悪さとデタラメさがあからさまになる。マスコミはそれを書きたて、人々はてんでに公然と大声を上げる。怒りや願望が爆発して、何十万、百万を超えるデモ隊で街があふれる。もちろんこの国にも、311マドリッド列車爆破事件の原因のような、タブーはある。しかし多くの場合、国家を動かす者たちの愚かさや凶暴さや誤魔化しがむき出しにされ、民衆のむき出しの怒りがそれに向けられる。日本のような「みんなの絆」で周囲から包み込まれるような閉塞感は無い。

訳文中に、目の前で起こる明白な事実を見てすら、国や学者たちの言うことを盲目的に信じ込み、その事実と放射能との関係に対する疑いを持とうとしない夫たちの姿が描かれている。かつてドイツの悪党ヒトラーは、その著作「わが闘争」で次のようなことを述べたそうだ。『…素朴なために、人々は、小さな嘘よりも、デマ宣伝の犠牲になりやすいのだ。彼等自身些細なことで、小さな嘘をつくことは多いが、大規模な嘘をつくのは気が引けるのだ。彼等は壮大な嘘をでっちあげることなど決して思いもよらず、他の人々がそれほど厚かましいとは信じられないのだ。たとえそうであることを証明する事実が、自分にとって明らかになっても、彼等は依然、疑い、何か他の説明があるだろうと考え続けるのだ。』

確かに、世界中のどこでも、人々は素朴であるがゆえに愚かで盲目的なのだろう。しかし、この福島、そして日本の場合にはそこにもう一つの要素があるように思えてくる。その夫たちも、心の奥底のどこかに「これは放射能の影響ではないのか」という疑念を持っているのではないか。しかし、それを口や態度に表わすことによって、仕事を失い社会的立場を失い、場合によっては(あのTVリポーターのように)命を失うかもしれない恐怖感がそれを包み込み覆い隠している、というような…。 

そしてその疑念を強める事実を目の前にするとき、一方の恐怖感もますます膨らみ、より強くその疑いを否定する。ビンの中身が溢れそうになればより強く巨大な蓋で抑えつけなければならない。こうして、その否定の態度はますますかたくなになっていく。いま、福島と日本を覆っているウルトラ楽観的な外見は、そのような膨れ上がる恐怖感の、単純な裏返しなのかもしれない。 

こういったタブーと恐怖による心理的な拘束は、昔から日本の全体主義の特徴になっているのだろう。この国では、全体主義は単に上から押し付けられるものではなく、同時に下から、民衆の心の内から現われてくる。自分を規制する精神の乏しいラテンの国に住みなれると、そのような、自分が去った国と国民の特性が改めて感じられてくる。この記事を掲載したエルムンド紙の編集者は、いったいどんな思いでこの国を眺めているのだろうか。 

いま欧州のマスコミでは、政府に批判的なジャーナリズムを弾圧するトルコに対してのキャンペーンが開始されつつある。テロ支援と石油の略奪を続けながら「難民問題」を利用して欧州を脅迫し巻き上げようとするトルコ政府に、ちょっとでも対抗したいと思っているのだろう。日本では、トルコに対してはどうか知らないが、シリアやイランやロシアでのジャーナリズム抑圧に抗議する人々や集団があるようだ。しかしその前に、自分の国のジャーナリズムの実態に対して声を上げることはないのだろうか。

しかし、結局はその人たちも、この訳文の中に登場する夫たちと一緒なのかもしれない。カナリアは死んで、そして人々は何事も無かったかのようににこやかな外見で坑道に降りていく。しかし、その足下にいる妻子たちの苦痛と嘆きを照らす光はあまりに乏しい。内からでは難しいのなら、外からでも良い。もっと光を当ててほしい。その意味で、わずかな分量かもしれないが、このエル・ムンド紙に載せられた記事が、いずれ大きな光源になっていくことを願わざるを得ない。(引用終わり)

311から五年、日本人、一人一人が現実を直視する勇気を持つことを求められている。

*参考資料

地上波のテレビで深夜とは言え、初めて放送された専門医師の「これは静かなる殺人ですよ」の発言の放映。<放射能_科学は放射線の影響にどこまで迫れるのか?>(20160314)しかも放送局はあの原発の父、正力松太郎がつくった日本テレビ、福井地裁の高浜原発再稼働差し止め 仮処分の決定を見てもわかるように確実に少しずつだが、世の中は変わり始めている。 

*お時間のある方は、以下で視聴可能。

http://www.dailymotion.com/video/x3xkpox


2月 142016

戦後、日本人が近現代史を事実上、学ばなくなってから久しい。その結果、「日本が朝鮮半島、台湾、満州で行ったこと」を全く知らない日本人が大量生産されている。

私たち日本人は、朝鮮半島、台湾、満州において欧米の植民地経営と異質の「同化政策」と取り、莫大な予算をその国に投じ、インフラ整備等を行ってきた。その結果、戦後、アメリカが仕掛けた分断統治政策によって恨(ハン)の国、韓国からは恨みを買い、米国がそのような政策をとらなかった台湾からは、それほどの反感を持たれることはなかった。むしろ、現在の台湾は親日国と言っていいだろう。 

 私たち日本人が忘れてならないことは、英米は、ロシアの南下政策への対応、大英帝国の金融支配(金本位制をすすめるために)の上でも日本の朝鮮半島への進出を明らかに承認していたことである。石原莞爾、板垣征四郎による満州国建国ですら、満鉄の経営を米国の鉄道王ハリマンとの共同経営にしておれば、おそらく認められていただろう。

戦前、北朝鮮の工業地帯をつくり、鉱山を開発していたのも、私たち日本人であったことも忘れてはならないことである。なぜなら、その設備は今も生きているのだから。今、北朝鮮の核問題で大騒ぎだが、彼の地で理化学研究所を中心に戦前、核兵器である原子力爆弾開発に邁進していたのも、私たち日本人なのである。 

歴史にイフはないと言われるが、もし、日本が大東亜戦争でアメリカと戦争をしなければ、朝鮮半島は、現在のアメリカにおけるハワイ州のようになっていたことも間違いない。それほど日本の朝鮮半島に対する植民地支配は完璧だったのである。それは朝鮮銀行(中央銀行)による金融支配とメディアコントロール、李王朝の日本の皇室への取り込みにあった。

そのために当時の日本政府は、李王家に150万円も予算をつけたのである。当時、日本の11宮家の総予算が70万円だったことを考えれば、如何に破格の待遇であったか、わかるだろう。この政策によって李王家は、同胞朝鮮民族に対する求心力を急速に失っていくことになる。また、裏では英米にお金儲けをさせることも明治維新以来、英国勢力と共犯関係にある明治の元老の日本は決して忘れていなかったのである。 

米国は戦後、このような日本の朝鮮、満州管理政策を詳細に研究し、戦後の日本管理にその研究尽くした日本の手法を応用していった。そしてそれは、今も現在進行形である。その証拠に米国は日本占領後、「日韓併合条約」の原本を本国に持ち帰り、未だに日本に返還しようともしていないのだ。 

かつて私たち日本人は、宗主国としていい悪いは別にして、朝鮮半島のことを世界で一番知っていた。今もそうであったなら、現在報道されているような米国の戦争屋=ジャパンハンドラーが創作した北朝鮮:悪の枢軸のような幼稚なプロパガンダがこれ程、日本のマスコミで連日、報道されることはないはずである。(NHKは国際放送では、North Korea airs rocket launch video、「北朝鮮がロケット打ち上げビデオを放送」、それに対して私たち日本人には、「北朝鮮の国営テレビ、ミサイル発射の放送」である。明らかに日本国民に対するイメージ操作が行われているのである!)大体、今回官邸が沖縄等に配置した迎撃ミサイル・システム(:海上自衛隊が運用するイージスBMD,航空自衛隊が運用するPAC-3)ではミサイル?の迎撃は不可能に近いのである。日本政府は無知な国民に対してパーフォーマンスをしているに過ぎないのである。 

今回は、北朝鮮を少しでも客観的に見ていただきたいと思い、まとめるレポートである。

まず、はじめにレポートでも時々紹介する元外交官原田武夫氏の「北朝鮮外交の真実」という本のことを知っていただきたい。この本は小泉純一郎氏が北朝鮮外交を展開している時に北朝鮮班長を務めた原田氏の経験から日本外交の問題点を指摘した本である。内容は以下。ただ、北朝鮮外交を巡る内部情報は一つも明かされていないのが物足りないところである。

北朝鮮外交の真実

・1993年4月。桜咲く霞ヶ関に、私(原田武夫)はリクルートスーツに身を包んだ同期たちとともに、外務省に初登庁。東京サミットが過ぎ、在外研修員としてドイツ連邦共和国における研修生活が始まった。 

・そこで大物外交官、有馬龍夫駐独大使から、日々厳しい薫陶を受けることになる。

外交官としての立ち振る舞いのイロハは、ここで学んだ。ハーバード大学で政治思想を教える立場から、一転、外務省へと転職した異色の経歴を持つ有馬大使は、何かというと日本の国内政治か、食か酒の話しかできない日本人幹部外交官とは全く違い、その類い稀なる知性と、レスンリング選手であった頃からの強靭な意志で、どんな大物ドイツ人政治家であっても圧倒するほどの迫力を持つ人物だった。 

・彼の秘書官として、朝の鞄持ちから、深夜にまで及ぶこともある公邸夕食会の裏方に至るまで、24時間、その仕事ぶりを学び、盗み取った。 

・北朝鮮外交だけをとってみても、関係する諸国は皆、それぞれに濃淡はあれど、はっきりとした「経済感覚」をもって、外交の現場に臨んでいる。そうでないのは、悲しいかな日本だけである。北朝鮮問題の本質は、核兵器ではなく、実は鉱山利権を巡る争いである 

・外交とは、近代国家に特有の国家の行動である。

その意味で、外交を論じるということ、あるいは外務省を論じるということは、結局は、その国のあり方について論じるということにも通じていく。 

・安全保障問題だからこそ、相手国の財界関係者が精通していることも多々ある。

なぜなら、彼らにとってある国や地域の安全保障環境は、すなわち投資環境の状態につながるからだ。こうした相手国財界関係者に「お土産」となる情報をもたらすことで、相手国政府が「作った事実」の真偽や経緯を検証することもできるはずだ。 

・企業活動の本当の成否はヒト、モノ、カネといった目に見える資源が決めているのではない。技術開発力、熟練やノウハウ、特許、ブランド、顧客の信頼、顧客情報の蓄積、組織風土といった、目に見えない資源こそが企業の発展のカギを握っている。これらの資源を『見えざる資産』と呼ぶと、それは実はすべてが情報にからんだ資源であることがわかる。

・他者との関係を媒介する力が強い人ほど、そのネットワークで中心的な存在である。

ハブとして強力な媒介中心性を有していれば、そのネットワーク内で流れる情報は、すべて自分を通らなければならない仕組みになっている以上、ハブの人はいわば常に情報の「良いとこ取り」ができる立場にある。 

・情報の競争に勝つためには、ひとことで言えば、「ハブ」としての地位を保つために、あらゆる手段を用いるべしということに尽きる。 

・今の自分に欠けている情報を得るためには、自分と関係が重複していない人々やメディアを情報源としている人々と接触する必要がある、というわけだ。 

・ODAは、武力を持たない丸腰の日本外交が唯一持っている「伝家の宝刀」だ。いかに暴れん坊の国であっても、ODAを供与しない、あるいは減額するといった議論を始めると途端に、日本に対して従順となる。 

・外交に求められる発想法、あるいは論理とは何か。私は、非常に単純な整理をした場合、それは次の六段階の発想法だと考える。 

1.地理的・時間的に研ぎ澄まされた現状認識を持つ。 

2.狙った相手国へ自国に有利な投資条件の整備を飲み込ませる。 

3.あらかじめ安値の間に先行投資を行う。 

4.軍事力を背景とした工作を展開する。 

5.狭義の「外交」によって表面を取り繕う。 

6.そこで実際には絶好のタイミングであらかじめ仕込んでおいた先行投資を回収する。 

・「本当に勝つボクサーは、アッパーなんて打ち込まないよ。勝利のためには、目立つことでなく、相手が体力を消耗するように地道にボディーブローを繰り返す。外交も同じだよ」(ある老練な先輩外交官) 

・日本の「公なるもの」とその延長線上に幸福を描く議論に共感する気持ちは、大方の日本人を大同団結させるものである。この気持ちが後押ししてくれるからこそ、日本外務省の仕事が成り立つのだ。 

・外交はひとり政府が行うものでもなく、外務省がすべてを担えるものではないことを率直に吐露したい。その上で、オールジャパンで国際場裏において、「国富を取りにいく」ことの重要性を説くこと。この率直さと、高潔さが外務省に働く人々に備わったとき、「日本のために」を合言葉に寄り集う人々の団結は、もはや他国からのメディア・アプローチへの免疫を十分兼ね備えたものとなる。 

・「情報力」によって事実を認識し、「政経合体戦略」によってターゲットの選定とそれを獲得するまでのシナリオを描く。そして狙いを定めた先に、まずは圧倒的な「メディア・アプローチ」をもって、世論を形成させていく。 

・外務省に入省した若い省員たちは、古株たちから、「他省庁と話すときには付加価値を付けて話せ」と叩き込まれる。外務省には権限がないため、複数の省庁にまたがる懸案事項について国内調整するとき、郵便屋になってしまうことが多い。しかし、それではナメられてしまうから、何としてでも知恵を出せというわけだ。 

・ドイツには「連邦諜報庁(BND)」という機関がある。日本と同じく敗戦国として再生した西ドイツにおいては、日本と異なり、戦後まもなくから諜報機関が活動してきた。BND自身は1956年に設立されたが、その前身はナチス政権下で東欧・ソ連に対する諜報活動を指揮していた。ゲーレン将軍が率いる「ゲーレン機関」であった。 

・東欧とソ連を自らの生存圏として定義し、そこへの侵略戦争を展開していたナチス・ドイツにとって、これらの地域への諜報・工作活動は死活的な意味合いを持っていた。

そのため、ゲーレン将軍率いる特殊機関は大きな役割を果たしていたが、ナチス・ドイツの敗北とともに、この機関も消滅するかに見えた。しかし、ゲーレンはこの機関の遺産を、そのまま「東側世界への防塁」として役立てていることを米国に提案し、戦後世界における生き残りをはかることになる。 

・日本に本当の「外交」を可能とするために、人的ネットワークを創り上げよ。 

・「トータルな発想」では、個別の地域的問題ではなく、世界中のあらゆる地域・国家を対象とした外交政策がリンクされなければならない。

なぜなら、富は常に世界のどこかに集積しているからだ。すべての地域に目を配り、綿密な計算の下、外交政策の全体のポートフォリオが絶えず更新されなければならない。(終わり)

それでは、過去のものになるが彼のブログから興味深い記事を紹介したい。以下。

 

「北朝鮮は世界最強のファンドビジネス国家?」 2007年 212

 

今頃になって騒ぎ立てる日本のメディア 

28日から中国・北京で行われた北朝鮮を巡る六カ国協議。2003年から延々と行われてきたこの協議も最大の山場を迎えた。いや、日本にとっては山場どころか、最大のピンチといった方がいいのかもしれない。なぜなら、とある重大事がはっきりとしてきたからだ。

「封じ込まれているのは北朝鮮ではなく、日本ではないのか」

あれだけ北朝鮮とはサシで話し合いはしないと言っていた米国が、ドイツ・ベルリンで米朝協議を行い、交渉当事者たちがなにやら怪しげな笑みを浮かべた後に行われたのが今回の六カ国協議である。蚊帳の外に置かれた日本政府は、一体何が起きているのか分からないというのが正直なところだろう。

しかし、今回の六カ国協議の直前になって、日本のメディアがけたたましく騒ぎはじめた話がある。それは、よりによって北朝鮮の豊富な鉱山利権を巡って、英国が深く関与する形でファンドが設定されているというのだ。しかも、それは一般に売られており、インターネットで広告すら出されているのだという。いつもは「核兵器の脅威だ!」「拉致問題だ!」としか騒がない初老のコメンテーターたちが、訳知り顔で付け加える。「要するに安い内に買っておいて、米朝が仲良くなって値上がりしたら売り払うということですよ」。 

今になって「したり顔」でコメントする彼らの似非コメンテーターぶりに、正直、怒りを超えて、呆れてしまった。なぜなら、北朝鮮問題の本質は、核兵器ではなく、実は鉱山利権を巡る争いであることは、一昨年4月に出した拙著『北朝鮮外交の真実』でも既に明らかにしたとおりだからである。そうした真実をこれまで語ることなく、今頃になって「したり顔」で騒ぎ立てる日本のメディアの罪は重い。 

ドイツとスイスの新聞だけが明かす真実

 

豊富な鉱物資源を抱える北朝鮮は、実は世界でも有数の「ファンドビジネス国家」でもあるのだ。英国、そしてスイスといった欧州諸国、あるいは中国を経由して、それに目をつけた資金が既に大量に流れ込み、鉱山開発が着々と進められている。その一方で、これからは資源、とりわけ鉱物資源の時代である。特に、来年の北京オリンピックを控えた中国は、大量の金属、石炭、そしてウランや金を必要としている。隣国でこれだけ巨大な需要が生まれるのだから、北朝鮮は笑いが止まらないだろう。そこにファンドを設定した欧州各国の投資家たちも、北朝鮮と同じ思いに違いない。しかし、どうやら米国はこの利権にありつき損ねたようなのだ。だからこそ、何かというと北朝鮮を悪者扱いし、挙句の果てには経済・金融制裁まで課してきた。そして、「米ドルの偽造疑惑」まで持ち出しては北朝鮮をたたき続けている。 

しかし、今年の1月7日。世界中の北朝鮮ウォッチャーたちを大いに驚かせる報道が、ドイツの最有力紙「フランクフルター・アルゲマイネ」に掲載された。それは何と、「ニセ米ドル」は米国自身がアフリカの独裁政権を維持するために刷ったものであり、これが巡りめぐって北朝鮮に渡されたに過ぎないというのである。同じような内容はスイスでも最有力紙「ノイエ・チューリッヒャー・ツァィトゥング」が昨年1119日付で報じている。 

これらは、日本の「似非コメンテーター」たちが話すのとは訳が違う。なぜなら、米ドルの輪転機をつくっているのはドイツであり、そのインクはスイス製だからである。したがって、北朝鮮に関する米国の主張や政策と真っ向から反対するこれらの記事にはすさまじい重みがある。それなのに、日本の大手メディアは一切このことを報じてはいない。 

世界をウォッチする個人投資家だけが生き残る 

賢明な読者は既にお分かりであろうが、金融資本主義のイロハを知っていれば、ここで一体何が起きているのかを想像するのはそれほど難しいことではない。ドイツやスイスの激し方からいって、要するに彼らが北朝鮮で展開するファンドビジネスの取り分に米国が手を出してきたのであろう。だからこそ、米国と「ガチンコ勝負」に臨んだというわけだ。 

その結果、どうなったのか。―――116日、ドイツのベルリンで米朝協議が行われた。ドイツのお膝元で米国は北朝鮮とあえて話し合いをもったのである。要するにブッシュ大統領は完全に「白旗」をドイツに振ったのである。その後に行われた今回の六カ国協議で話し合われる「本当の問題」が一体何であるのかは、この段階で既に明らかだったといえよう。 

それなのに、日本の大手メディアやそこに巣食う言論人たちは、「北朝鮮問題を経済問題で片付けるのはけしからん」などと訳の分からない主張を繰り返し、無策な安倍晋三総理もその尻馬に乗ってしまっている。拉致問題の解決のためには、それこそ日本の国富で北朝鮮ファンドを買占め、胴元である北朝鮮にいうことを聞かせるべしといった、金融資本主義の鉄則にかなった外交を主張する政治家・外交官はこの国に全く見当たらない。(終わり)

 もう一つ、彼の興味深い指摘を紹介する。

 

「“朝鮮統治”という1つのビジネス・モデル」 

たとえば、過去における朝鮮統治の問題を考える時、次のような質問をされたならば、読者の皆さんはどのように答えるだろうか。 

「日本による植民地統治下にあった朝鮮半島で、石油を売っていたのは誰なのか。そこにも日本人による現地住民に対する“搾取”という絵柄が見て取れるのか」。 

恐らく答えに窮する読者が多いに違いない。「第2次世界大戦へと突入する直前まで、朝鮮半島で石油を独占的に販売していたのは、日本勢ではなく、英米勢だった」というのが、この問いに対する正解なのである。 

朝鮮統治が行われた1910年以降の大部分の時期において、現地での石油販売を独占していたのは米系のスタンダード社、そして英系のライジングサン社(後のシェル)なのであった。

なぜこれら2社が朝鮮マーケットを独占できたのかといえば、これらいわゆる「外油」に対しては、輸入に際して特例関税が課されていたからである。具体的には、当時、日本のいわゆる「内地」に石油を輸入するにあたっては高額の輸入税が課せられていたのに対し、朝鮮という「外地」については消費者に安い石油を使わせるべしという理由で、無税に近い税率が設定されていたからである。そのため、外国から輸入した石油を朝鮮へと転売する日本の石油企業は著しく不利な立場に置かれていたわけなのだ。

満州(現在の中国東北部)における鉄道などについてもいえるのだが、日本の大陸進出を巡るビジネス・モデルには、常にこれと全く同じ1つのパターンが見え隠れする。すなわち、表向き「進出」していくのは紛れもなく日本である。だが、その一方で目立たないが重大なセクター(インフラストラクチャー)で広く、着実に収益を上げていたのは米国勢、そして英国勢なのであった。 

もちろん、第2次世界大戦の足音が響き始めると同時に、これら英米勢は駆逐され、日本勢が代わりに入っていくことにはなる。しかし、だからといって「朝鮮統治」というビジネス・モデルは日本が単独で担ったものではなく、むしろステルス(透明)で、より狡猾な形でそれによって莫大な利益をあげていたのは他ならぬ英米勢だったのである。そして問題なのは、こうした単純な「史実」であっても、私たち=日本人が学校で学ぶ機会はほぼ100パーセント無いという現実なのである。 

確かに、過去の一時期において「不幸な出来事」が日朝間で生じたことは否定できない。しかし、だからといって朝鮮統治というビジネス・モデルの展開によって現地が被った全ての償いを日本に対して求める一方、いわば“本当の黒幕”だった英米に対しては何も問わないという主張は、全く肯んずることはできないのである。そして、こうしたダブルスタンダード(二重の基準)自身に見え隠れする虚構こそ、今の日本、そして東アジア・マーケットを見る私たち日本人の眼を曇らせる最大の要因でもあるのだ。(終わり) 

それでは「行政調査新聞」が今回の核実験を巡る北朝鮮の動きについてなかなか適確な分析をしているので紹介する。

http://www.gyouseinews.com/p4_naigaijousei%20kokunaitenbou/p4_2_naigaijousei_kaigaijousei.html

 

「東アジアの枠組みを激変させる北の核ミサイル発射実験!」~日本が核武装する日~ (201626)

 

今年(2016年)1月6日に北朝鮮は4度目となる核実験を行った。「地球観測衛星」という名目で長距離弾道ミサイルの発射実験を行うと通告しており、早ければ今日明日にでも発射実験が行われるかもしれない。国際世論に逆らう暴挙は、北朝鮮のますますの孤立化を招くと思われる。だがいっぽうでは、北朝鮮の「綱渡り外交」が着々と成果をあげているとの分析もある。この先、北朝鮮がさらに暴れ出せば、東アジアは激変する。それが禁断の「日本核武装論」に火をつける可能性がある。 

「休戦協定」により休戦中の朝鮮戦争 

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は国土面積約12万平方キロで日本の3分の1。ここに日本の5分の1以下の2450万人の人々が住む。建国は1948年(昭和23年)9月9日。(日本の敗戦後約3年間はソ連が占領していた。)

建国2年後の1950年6月25日未明、北朝鮮軍は国境線を突破して大韓民国に侵攻。朝鮮戦争が勃発した。この戦争は「米軍・韓国軍を中心とする国連軍」と「北朝鮮・中国軍(ソ連が物資支援)」との戦争で、朝鮮半島全域が戦場となった。開戦1年後には38度線を挟んで膠着状態となり休戦が模索され始めた。1952年1月には実質的休戦となり、1953年7月に「休戦協定」が締結された。戦死者数は不明だが、一般的に双方の兵戦死者100万人以上、民間人犠牲者も100万人以上200万人に近いとされる。 

国連軍と北朝鮮、中国軍との間に交わされたのは「休戦協定」である。「停戦協定」ではない。協定に明白な違反があれば、通告不要で直ちに攻撃が可能となる。違反はすぐに出現した。協定では、両軍は「新たな武器兵器」を導入しないことになっていたが、米軍の説明によると北朝鮮がこれを破って新規の武器兵器を導入したという。これに対抗して米国は1957年に休戦協定の一部を一方的に破棄すると通告。1958年1月には核武装したロケット弾オネスト・ジョンを韓国に配備した。米軍はその後、ソ連や中国を射程に収める核弾頭ミサイルを配備している。

当初、北朝鮮はこれに対抗して地下要塞の建設を進め、米軍による核攻撃の被害を最小限にとどめようと努めた。その後北朝鮮は、米韓軍事演習を「北朝鮮への侵攻を企図する大規模軍事演習」と断定し、「もはや休戦協定は機能していない」、「失効している」と主張。1994年以降2013年までの間に何度も「北朝鮮は休戦協定に束縛されない」と宣言している。 

北朝鮮は米韓連合軍(国連軍)の攻撃を非常に恐れている。 

「休戦協定」を破棄し、新たに「停戦協定」を結びたい。それが北朝鮮の本音である。「停戦協定」を結ぶためには、戦力対戦力、武力対武力で互角でなければ対等の条約を結べない。その怖れを北朝鮮は感じている。 

北朝鮮の核は世界一流 

昨年(2015年)6月に米国大統領補佐官・国家安全保障担当のスーザン・ライスが極秘裏に韓国を訪問し、韓国軍と協議を行っている。その直後、米国DIA(国防情報局)が以下の情報を発信した。

「北朝鮮の核は非常に高度で、北朝鮮が韓国に対し軍事行動を起こす『根拠ある判断』を所有している」

米国の統合参謀本部偵察作戦を担当する部署の情報である。じつに衝撃的で、一般常識を覆す内容である。「北朝鮮の核は非常に高度」とはどういう意味か。そして「韓国に対し軍事行動を起こす根拠ある判断」とは何を意味するのか。 

大多数の国民が飢え、エネルギー不足、電力不足、灯油すら満足に求められず、科学技術も劣る最貧国が「高度な核技術」など持てる訳がない。これが多くの日本人の本音であり、世界中もそう考えていると勝手に推測している。しかし現実はそうではない。米DIAの分析によると、北朝鮮の核開発物資、開発作業員はソ連崩壊(199112月)直後にウクライナから持ち込まれたという。旧ソ連は米国と肩を並べる核大国だったが、ソ連の核兵器はウクライナで生産され貯蔵されていた。ウクライナはソ連の核開発、核技術の本拠地だった。それがソ連崩壊と同時に北朝鮮に流れたのだ。

さらに北朝鮮にはヨーロッパの最先端核技術が導入されている。

北朝鮮は現在世界の160カ国と国交を樹立しており、豊富な地下資源を輸出している。「貧困な北朝鮮」とは日本のマスコミが作ったイメージで、鉄鉱石、無煙炭、マグネサイトなどの輸出でかなり潤っているのだ。EU諸国では、アイスランドとフランス2国以外とは国交を持ち、イギリス、ドイツとの関係が深く、英・独とも平壌に大使館を置いている。ドイツは北朝鮮の羅先経済特区支援のために1兆9000億円投入を決定したばかり。第二次大戦以前から北朝鮮の医薬品、医療器具はドイツ製のものが使われ、両国の親密な関係が理解できる。そして北朝鮮の最先端核開発にはイギリスとドイツの科学者が深く入り込んでいる。 

「核抑止論」から「実戦核兵器」へ 

これまで核兵器は「使用されない兵器」と考えられてきた。対立する国が核兵器を使用すれば相手も報復攻撃を行い、両者が国土、国民すべてを失う大ダメージを受けるばかりか、全世界が放射能汚染され、地球そのものが破壊されると考えられてきた。だから核兵器とは、「実戦に使用されることのない『抑止兵器』」とされてきた。しかし……。

第二次大戦から70年の歳月が過ぎた。その間、科学は途轍もなく進歩した。第二次大戦時最速の戦闘機は時速700km程度。現在の最速は約5倍のマッハ2.5超。時速3500km近くになる。ビル1棟分も必要だったコンピュータは机の片隅に置けるようになった。科学技術の進歩は想像を絶している。では広島・長崎に落とされた原爆は70年前からどれほど進歩したのか。 

軍事兵器に関して正確なことはわからない。かつて戦略核、戦術核と分類されていたが、1961年に旧ソ連が行った「世界最大の核実験」以降、米ソを含め核保有国は核の小型化を目指した。小型化、超小型化、超々小型化……。それが意味するところは何か。「実戦核兵器」である。北朝鮮が核兵器の小型化に挑戦していることは2006年の最初の核実験から一貫している。米DIA(国防情報局)は2013年4月に「北朝鮮は弾道ミサイルに搭載可能な小型核弾頭を開発した」とのコメントを発表。その後核の小型化はさらに進化し、実戦配備可能な状態になっていると思われるのだ。また、科学者には、作った武器兵器を試してみたくなる心情が存在する。ヨーロッパの科学者にとって極東で超々小型核を実験することを期待する気持ちが働いていることも事実だ。さらに超々小型核による放射能汚染をどうすれば除去できるのか……。 

昨年6月、米DIAは「北朝鮮が韓国に対し軍事行動を起こす『根拠ある判断』を所有している」と発信している。その直前にライス大統領補佐官(国家安全保障担当)が韓国軍中枢と秘密裏に会談した理由は、北が単なる南進(韓国への侵攻)だけでなく、実戦核を使用する可能性に踏み込んだものと推測できる。 

米国の「核の傘」が期待できない韓国 

北朝鮮は2月8日から25日までの間に「地球観測衛星を打ち上げる」と公表している。金正日総書記の誕生日である2月16日直前の発射実験との見通しが強かったが、2月5日には燃料注入を開始した模様で、天候次第では8日、9日にも打ち上げるかもしれない。場合によると不具合の調整などで、実験が月末になる可能性もある。

北朝鮮が超々小型核兵器の開発に成功し、攻撃力をバックに南進を開始したら韓国はひとたまりもない。頼りは米国の「核の傘」だが、今回の北朝鮮の実験で使用されるミサイルは明らかに米本土到達能力を持っている。米国の「核の傘」には頼れない。韓国内では以前から核武装論がくすぶっていたが、今年1月の北朝鮮の核実験以降、与党セヌリ党の元裕哲(ウォン・ユチョル)院内代表や金乙東(キム・ウルドン)最高委員が「核兵器独自開発」を口にするなど、その声が一気に高まってきている。ミサイル発射実験が行われれば、その声はさらに高まるだろう。 

韓国が核武装の検討を真剣に始めれば台湾も動くと考えられる。かつて中国の核実験(1964年)以降、蒋介石が核開発を開始し、米国がこれを制止したという経緯がある。1980年代には蔣経國政権下で本格的な核開発が進み、1987年にプルトニウム抽出まで行っている。この計画は李登輝政権時代に米政府の圧力で施設を閉鎖したが、蔡英文政権下で復活する可能性はある。韓国が核開発をすればその可能性は一気に高まる。そしてそれは中国との激しい摩擦を生む。

韓国、台湾で核武装論、核開発が進めば、当然ながら日本にも影響が出てくる。米国にも日本の核武装を求める声があり、とくにネオコンは日本にNPT(核不拡散条約)からの脱退を奨励している。この場合の日本の核とは、「米国製の核を日本が預かる」というものではあるが。 

2016年、東アジアは大暴風雨を迎えようとしている。予想をはるかに超えた事件が勃発する可能性がある。政治的、経済的、軍事的なすべての面が凋落し、大統領選を迎えて国内論議に終始している米国は頼れる状況にない。安倍晋三政権の改憲議論も念頭に、本気で10年先、20年先の日本を見つめていく時が来た。(引用終わり)

如何だろうか。北朝鮮は、決して日本のマスコミが報道しているような国ではないのである。ただ、朝鮮戦争以来、現在も米国と戦争中であり、日本は北朝鮮が戦っているアメリカの同盟国(属国)であるために極端なネガティブキャンペーンをやらされているというのが現実である。上記の記事では全く指摘していないが、以前のレポートでも解説したように現在、宇宙、軍事技術で圧倒的に優位に立っているのがロシアである。だから、これからのロシアのプーチンの動きによって、韓国、台湾、日本の核武装問題は大きく変わるはずである。現在、ユダヤネットワークと密接に関係していたグローバーリスト、ロシア革命の立役者であるレーニンをプーチンが痛烈に批判し始めていることにも注目すべきだろう。その意味でプーチンが従来のネオコン:戦争屋を利する大きな戦争を望んでいないことだけは間違いないところだ。 

その意味で2016年もロシアのプーチンの動きから目が離さないのである。

*参考資料

「米国人専門家「ロシアの最新鋭対空防衛システムが中国の手に入れば、アジアの状況は変わる」 20160127

http://jp.sputniknews.com/politics/20160127/1499873.html#ixzz3zxeCSdZp

米国のランド(RAND Corporation)研究センターのティモシー・ニース主任分析員は、今後予想されるロシアの最新鋭地対空ミサイル・システムS-400(トリウムフ)の中国への供与、それがアジアの安全保障システムにもたらす影響について自身の見解を述べている。

以下、ニース分析員の見解を、要約して御紹介する。

S 400連隊

<ロシア航空宇宙軍 新たなS-400連隊をモスクワ郊外に配備>

-400(トリウムフ)について、マスコミが取り上げ始めたのは昨年末で、ロシアが、スホイ24戦闘機がトルコ空軍機に撃墜された事に対抗する措置として、シリアにそれを配備した時の事だった。そうした対空防衛システムの出現により、トルコは、空での作戦を一時中止せざるを得なくなり、また米国とその同盟国の作戦に本質的な影響を及ぼした。このエピソードは、S-400(トリウムフ)が持つ幅広い可能性と、軍部隊の配置に対する影響力を示すものである。

そして近い将来、このシステムを入手する中国も、そうした可能性と影響力を持つことになるという事実は、極めて注目される。中国が、このシステムをどこに展開する計画なのか、現在に至るまで明らかではない。

-400は、現在存在する地対空ミサイル・システムの中で最も効果的なもので、その射程は400キロだ。伝えられているところでは、このシステムは、100の標的をとらえ、そのうち6つを同時に攻撃できる能力を持っている。射程400キロと言えば、台湾全島や北朝鮮のほとんど、さらには尖閣諸島のすぐ近くまで網羅できる。そうなれば、中国は、危機的状況になれば、米国及びその同盟国の行動を本質的に抑える事が出来、反応する手段の選択において、彼らを狼狽させることになる。(引用終わり)

1月 222016

正月明けから日経平均がなかなか下げ止まらない。そして安倍政権のスキャンダルが続出しそうな空気が漂い始めている。以下。

衝撃告発「私は甘利大臣に賄賂を渡した!」週刊文春1月20日(水)

 

甘利大臣甘利大臣2

<50万円を甘利氏に渡し終えた後のツーショット。撮影は清島所長が>

甘利明TPP担当大臣(66)と公設秘書に、政治資金規正法とあっせん利得処罰法違反の疑いがあることが週刊文春の取材でわかった。千葉県内の建設会社の総務担当者が週刊文春の取材に応じ、メモや録音を基に金銭の授受を証言した。 この男性によれば、独立行政法人都市再生機構(UR)が行っている道路建設の補償を巡り、甘利事務所に口利きを依頼。過去3年にわたり、甘利大臣や地元の大和事務所所長・清島健一氏(公設第一秘書)や鈴木陵允政策秘書に資金提供や接待を続け、総額は証拠が残るものだけで1200万円に上るという。

20131114日には、大臣室で甘利大臣に面会。桐の箱に入ったとらやの羊羹と一緒に、封筒に入れた現金50万円を「これはお礼です」と渡したという。 面会をセットした清島所長は、週刊文春の取材に「献金という形で持ってきたのではないですか」と回答した。ただ、甘利氏の政治資金収支報告書に記載はない。
元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏は、一連の金銭授受は政治資金規正法違反、あっせん利得処罰法違反の疑いがあると指摘した。TPPが国会承認を控える中、甘利大臣の適格性を問う声が上がりそうだ。

<週刊文春2016128日号『スクープ速報』より>

また、日本の大手マスコミは無視をしているが、「ジャパンタイムズ」に元外交官孫崎 亨氏も紹介しているが、下記の記事が掲載されたようである。IOC probes 2020 Games bribery allegations 

http://www.japantimes.co.jp/news/2016/01/16/national/ioc-probes-2020-games-bribery-allegations/#.VqBosnlf2Un

IOCは2020年オリンピック賄賂疑惑を証明IOC probes 2020 Games bribery allegations)」

 

「国際オリンピック委員会(IOC)は2020年オリンピックへの誘致において賄賂があったのではないかと言う点について調査を行う用意が出来ている。スポーツ団体は金曜日、世界反ドーピング機関(WADA)世界反ドーピング機関(WADA)の独立委員会に、東京オリンピックを確保するために500億ドルの協賛金を支払われた可能性を示した資料の提出を求めた。

世界反ドーピング機関報告書の脚注は国際陸連前会長は国際陸連ラミン・ディアク前会長らが国際陸連(IAAF)行事への協賛との引き換えに、2020年オリンピック投票に彼の投票を売る用意があったことを示唆した。報告書は当時IOCメンバーであったディアクがトルコ側が支払いを拒否し、日本側が支払いした後、イスタンブール支持を取り下げ、東京を支持したことを示唆している。 

IOCは我々が事情を理解するため、既に独立機関に報告書を求めたことを明らかにした。東京主催者たちは疑惑は我々の理解を超えているといい、トルコのオリンピック委員会はディアクの要求はイスタンブールが負けた理由ではないと述べた。 

IOCの声明は、IOCメンバーで世界反ドーピング機関の審査委員会の議長をしたディック・パウンド(Dick Pound)は現在のオリンピック招致過程が組織的腐敗に陥っていないことには十分自信を持っていると述べた。ソルトレイク市招致スキャンダル後の体制に言及し、我々は1999年以降多大な努力をしたと指摘した。

彼は腐敗の個別的ケースがあっても、組織的にはオリンピックには関係しない問題と思っていると述べた。

世界反ドーピング機関報告書の脚注は、ディアクの息子の一人Khalilとトルコ陸連関係者の会話が記載されている。“トルコはダイヤモンドリーグないし国際陸連に4-5百万ドルの協賛金を支払わなかったので国際陸連の支持を失った”“会話記録によれば日本側はそのような金額を支払った”

 “2020年オリンピックは東京に与えられた”“IOCは本件を自分達の管轄外として調査を行わなかった”と記載している。

東京はイスタンブールを2013年ブエノスアイレスでの最終投票で60対36で破った。 小野日子・東京五輪広報官は声明の中で、“東京が最高の提言を行ったので東京に決定した”と言及した。

トルコ・オリンピック委員会委員長Ugur Erdenerはディアクの要請関連で敗れたのではない。彼は個人的な投票を彼の期待にそう別の市のために利用したかもしれない“との声明を出した。セネガル人であるディアクは1999年から2013年までIOCメンバーであった。パウンドは木曜日、2020年オリンピック誘致に関する贈収賄に真摯に調査することを提言した。(終わり)

昨秋11月、「アベマジックの終焉が近づいている」というレポートを書いたことがあったが、いよいよ舞台転換の時が迫ってきたようである。いまだに勘違いしている日本人が多いが、そもそもアベノミクスの主目的は、宗主国であるアメリカを助ける為の政策で日本の為のものではない。すべては、20089月のリーマンショックから始まるものである。

 

ご存じのようにリーマンショックは、米国の巨大金融機関の債務超過問題だった。 

1990年代半ばからの米国ITバブル崩壊の後、2000年代に、2倍の価格に上がった米国の住宅価格は、2007年から下がり始めていた。それが、20089月には、住宅証券(AAA格)の40%の下落が明白になり、この下落のため、住宅証券をもつ金融機関の連鎖的な破産になったのである。米国の住宅ローンは、日本(200兆円)の約5倍(1000兆円)の巨大な証券市場を形成している。このためちょっと前まで米国の債券では、国債市場より、住宅証券市場のほうがはるかに大きかったのである。住宅ローンの回収率で決まる価値(MBS等の市場価格)が40%下がると、金融機関が受ける損害は、400兆円になる。ちなみに、米国の金融機関の総自己資本は200兆円レベルである。

 

そのため、20089月には、米国大手のほぼ全部の金融機関が実質で、債務超過になっていたのである。金融機関の債務超過は、経済の取引に必要な信用量(流通するマネー量)を急減させる。当然、株価も下がり、ドルも下落した。20088月は、1929年に始まり1933年まで続いて、第二次世界大戦にまで至った米国経済の大収縮、つまり信用恐慌になるスケールのものであった。放置しておけば、信用恐慌を招くことが必至の状況であった。米政府は金融機関の連鎖的な倒産を避けるため、銀行に出資し、FRBは銀行が保有する不良化した債券を買い取ってドルを供給した。

その総額は、リーマン・ブラザースの倒産直後に$1兆、その後も$1兆を追加し、129月からのQE3の量的緩和(MBSの買い)も加わって、FRBのバランスシートは、$3.3兆と20089月以前の4倍以上に膨らんでいった。

金額で言えば、FRBは$2.5兆(250兆円)の米ドルを、金融機関に対し、増加供給したままになっている。買ったのは、米国債($1.8兆:180兆円)と、値下がりして不良化した住宅証券(MBS1.1兆:110兆円)である。

 

FRBによる米国債の巨額購入は、米国の金利を下げ、国債の価格は高騰させた。この目的は、国債をもつ金融機関に利益を与え、住宅証券の下落で失った自己資本を回復させることであった。同じ目的で、もっと直接に米国FRBは、40%は下落していたMBS(住宅ローンの回収を担保にした証券)を$1.1兆も、額面で買っている。

FRBが下がっているMBSを、マーケットの時価で買えば、金融機関には$0.550兆円)くらいもの損失が確定してしまう。このため時価ではなく額面でFRBが買って、金融機関に利益を与えることにしたのである。MBSの下落損である50兆円はMBSを買ったFRBに移転していることになる。

恐るべき事だが、資本が$660億(6.7兆円)しかないFRB自体も、これらの保有資産を時価評価すれば、債務超過に陥ってしまう。要するに米国経済は、FRBのマネー増発である$2.5兆(250兆円)の上に成り立つ砂上の楼閣だということだ。

一方、FRBの増発マネー$2.5兆(250兆円)は、米国の金融機関の預かり資産になって、それがファンドに貸されて、国際的な投機資金になっている。201211月から日本円を売り(その結果が円安)、株を買ったのも(その結果が株価上昇)この資金である。

もちろん、この5年間、米ドルを増発し続けてきた米国FRBには、そろそろ「出口政策」を模索している。出口政策とは、FRBが量的緩和のために買ってきた米国債と住宅証券のMBSを市場に売って、金融市場から米ドルを吸収することである。これを行えば、米国の金利は上がって、米ドルは不足するようになる。

出口政策が必要とされる理由は、FRBのバランスシートを$3.3兆(330兆円)に膨らませたままでは、いずれ、金融機関に代わってFRB自体が陥った巨大な穴、つまり債務超過に気がつく人が増えるからある。それがドル価値の減価、つまり、ドルとドル債売りに繋がっていく。ドルの暴落、米国債の暴落である。 

将来のドル価値が下がると見て、海外勢がドル債を売り浴びせれば、対外債務が$22.7兆(2270兆円:GDP1.5倍)と巨大な米国経済は、奈落の底に沈むことは間違いないだろう。海外から毎年$5000億の国債を買ってもらい、その分を増加保有してもらう必要がある対外純債務国である米国にとって、ドル価値の減価を見越したドルとドル債売りが、もっとも怖れていることである。

これが起こると、ドルの暴落、米国の金利の高騰になる。これを防ぐためFRBは、出口政策に転じる必要があると考えているわけだ。出口政策は、FRBが買ってきた米国債やMBSを逆に売って、市場のドルを吸収して減らすことである。これをFRBが行うには、米国債を増やして買ってくれる強力なパートナーがいないと、米国はドル安になって金利が上がり、経済は不況のどん底に沈むことになる。 

要するにFRBが売りたい米国債を買ってくれる、海外の国がなければどうにもならないわけだ。もう、おわかりのようにそんな奇特な国は世界には、日本しかいない。第二次安倍政権とは、そのために作られた政権なのである。

2012年の12月以降のアベノミクスによる円安政策は、実は、米ドルとドル債買いであり、円と円債の売りであることは言うまでもない。つまり、日本が米国債を大量に買って米国の財政を支援しているからこそ、見せかけの危うい安定が取りあえず維持されているのである。いい悪いは別にしてこれが世界経済の現実である。 

そして当然のことだが、異次元金融緩和を進めている日銀の財務内容もFRBのように資産ばかり膨らみ、急速に悪化している。そのために昨年末、中国の人民元が、SDR(特別引き出し権)をもつ国際通貨になることが認められたわけだ。すべてはドルの延命のためである。つまり、今起きている相場の乱高下は、中国人民元が国際通貨になっていくプロセスの中で必然的に起きていることで、逆に言えばただそれだけのことであるということである。上記に書いたようにFRBの増発マネー$2.5兆(250兆円)は、米国の金融機関の預かり資産になって、それがファンドに貸されて、国際的な投機資金になっている。当然、FRBが出口政策に向かえば、これらの資金は縮小し、日本市場、中国市場から引き上げていくことになる。それが現在の世界株安である。日本人が頭にいれておくべきことは、本当は、マスコミに騒がれている中国よりアメリカの方がはるかに経済的には大変な状況にあるということである。昨年末にアメリカが原油を輸出すると言い出したのはその現れである。現在でも日本の経済ニュースでは、中国経済のネガティブな面ばかりが報道されているが、一方、世相のニュースでは、今も中国観光客の爆買いのニュースが報道されている。先日も中部国際空港で仏壇まで買っていくという中国人の驚くべき購買行動が紹介されていた。前回のレポートでも指摘したが、表の経済統計がどうであろうと、中国人は金を持っているということである。 

ここで、今までのレポートで何回も断片的に説明させていただいたが、日本という歴史上、今まで存在したことのない、あまりに不思議な<世界の貢ぐ君>になっている債権大国の現実をしっかり頭にいれていただきたい。 

ちょっと、古い数字で恐縮だが、本質は全く変わっていないので問題ないと考えていただきたい。世界的に見ると、富裕層が最も多いのは米国の522万世帯であり、これに次ぐのが153万世帯の日本である。ちなみに中国は85万世帯、英国は57万世帯、ドイツが40万世帯となっている。日本の富裕層の世帯数は前年比6%増。全世帯に占める富裕層の割合は3.2%であり、全資産の24%を保有しているという。

わが国では家計全体の貯蓄額のパイが小さくなっても、このパイに占める富裕層の貯蓄額の割合はむしろ増えている。なお、世界の家計が保有する金融資産は、2010年末に前年比8.0%増加して121.8兆ドルにも達する。この金融資産には預金や株式、債券などは含まれるが、土地は含まれていない。

さらに、大半の家計が苦しくなり貯蓄をする余裕がなくなる半面、民間企業の貯蓄が増加しており、勤労者の貯蓄が企業の貯蓄にシフトしている現象が起きている。日銀の資金循環統計によると、金融部門を除く民間企業の現金・預金の残高は2011年3月末で211兆円となり、統計開始の1980年以来過去最高を記録した。もっとも、民間企業が手元流動性を厚くするために現預金を増やしている側面もあり、貯蓄増加のすべてが民間企業からのシフトというわけではない。だが、リストラによる人件費削減や内部留保の積み上げ、一部の大企業や優良企業に有利な税制などによる要因も少なからず作用していると思われる。

また、2010年末のわが国の対外純資産残高、つまり国内の民間企業や個人、政府が海外に保有する資産から、海外から国内への投資(負債)を控除した残高は、対前年末比▲5.5%減の251兆4,950億円となったものの、世界一の債権国の地位を20年連続で維持した。(現在はアベノミクにより350兆円を優に超えている)

 

日本は世界一の金持ちの国といわれて久しいが、実生活の中で豊かさを実感することはほとんどない。所得は多くても物価は高く支出は多い。住環境や食生活、教育、社会インフラに至るまで、お世辞にも世界一の債権国の名に相応しい暮らしぶりとは言い難い。確かに日本は対外的に多額の資産を有している。だが、それはあくまでも帳簿上に記されたお金の数字が大きいということに過ぎない。お金はモノを購入したり、サービスを享受するために使って初めて、その豊かさを実感できる。数字という記号に変換されたままでは、将来的にモノを購入したり、サービスを享受することができるという状態を維持しているに過ぎない。 

日本の資産は、外国の債券や株式の購入、ODA(政府開発援助)を通じて外国人の生活水準向上のために使われている。(国連やWHOの活動も日本のお金がなければ、回っていかないのが現実である。)実際にそのお金を帳簿上の記号から実物に換えて使用し、欲しい物やサービスの購入に充てているのは、外国人の方々なのである。 

人のいい私たち日本人は、やがては自分の好きなときに実物のお金に換えて利用できるものと安心しきっているが、それは絶対的に保証されているわけではない。

帳簿上の記号に変換したお金を再び実物の形に戻す請求権を持っていることが、いついかなる場合でも100%実現できることを意味しているのではない。権利は行使したときに自分の目で確かめたり、実感する形で実現する。ところが、それを確実なものと思い込んで安住しているうちに、デフォルト(債務不履行)やインフレ進行の形で権利が消えてしまうリスクがあることには思い至らない。ここに大きな落とし穴がある。 

家計所得額そのものの減少、家計と民間企業双方における経済格差と二極化の拡大は、小泉政権が誕生した約十年前から急速に進行してきた。また、日本全体では債権超過でカネ余りでも、その債権という帳簿上の権利をモノやサービスといった実体のある形に変えて行使するのはわれわれ日本人ではなく、最終的には外国人というのが不思議の国日本の実態だ。(以前、キリギリスとアリのイソップ童話でこのことを説明したレポートを書いたことがある。)要するに私たち日本人は、もっと自分たちのためにお金を使うべきなのだが、今までそういう仕組みを創ることを宗主国であるアメリカに許されていなかったのである。 

ところで、外国人は債務者としてわれわれに対して債務履行の義務を負っているが、その約束を必ず果たすという保証はどこにもない。恐らく、宗主国であるアメリカは日本に元本を返す気などさらさらないだろう。彼らの気持ちを代弁すれば、「金利を払ってやるだけでも十分ありがたいと思え」、だろう。 

このような構造で、国民生活の改善と向上を願って国政を託す国民の期待は常に裏切られてきた。これは歴代政権が無能だからというだけではない。政治家や官僚、財界人やマスコミ人士らが自らを特権階級と位置づけ、その下に位置する国民全般の幸福や安寧などは彼らの眼中にないから当たり前なのである。また、彼らは1945年以降、日本の「真の支配者」である米国をはじめとする外国勢力によってその存在価値と地位を保障されているため、外国勢力の利益を実現して歓心を買うためにはどうしても、これと相反する国民の利益を犠牲にしなければならない立場にいる。(最もこの立場から逸脱すると、東京地検特捜部や税務署、マスコミによるネガティブキャンペーン、不正選挙で木っ端微塵にされてしまうから身動きがとれないのが現実である。) 

要するに人のいい私たち国民は、政治家の空虚な公約やマニフェスト、官僚の言葉巧みな方便、無責任で事実を歪曲するマスコミの偏向報道に騙され続けてきたのである。もういい加減、この辺で目を覚まして、自らの人生を他人に委ねる依存心を捨て、自分の人生は自分で歩むという独立自尊の精神を持たなければならないということだろう。

そして一番重要なことは「アメリカあっての日本」の時代がもうすぐ、終わりそうだということである。ただその段階に進むには、「円安誘導による資産バブル」を唱道していた人間は、表舞台から退場して、「円高による資産バブル」政策を実行する人間に入れ替わる必要がある。おそらく、それを推進するためのスキャンダル等がこれから、目白押しに表に出て来るのではないか。現在、表に出ているのは氷山の一角である。 

そしてその後、数年以内に戦後の既得権者総退場の時を迎えることになれば、その時、1945年以降、初めて日本は独立国になることができるのだろう。

 

 ところで、以下の記事からもスキャンダルの匂いがするのだが、

http://www.newstandard.jp.net/news/world/japan-may-import-oil-from-is/1151

 

「イスラム国の原油を日本が輸入している可能性」  2015/12/21     白石和幸

 

1124日に起きたトルコ空軍によるロシア戦闘機Su-24を撃墜したことが発端になって、1115-16日のトルコで開かれたG20首脳会議終了後プーチン大統領は記者会見の席で「イスラム国(IS)に資金的支援をしている国がG20に参加している国を含めて40ヶ国ある」と述べたのである。これはプーチン大統領のトルコを含めISを背後から支援している国への報復である。この資金的支援とはISが採油する原油を購入している国が相当数あるということである。そして以下に披露する情報から、日本もISの原油を輸入しているということなのだ。 

この事件を切っ掛けに、エルドアン大統領とその家族がISと関係していることと、そしてその原油売買に関与しているという情報がロシアのメディアに広く伝わるようになったという。そのひとつが、「ISが過去8か月間に闇市場で原油をバレル20ドルでトルコに販売し、その総額は8億ドル(960億円)になる」とイラクの国家安全保障の元アドバイザーで現在イラク議会議員のリーダーのひとりアル•ルバイエ氏が『スプートニク』紙に語ったことだ。 

さらに同紙は、シリアのムアレム外相が以前、「エルドアン大統領の息子のビラル•エルドアンがISの原油販売に不法に関与しているようだ」と指摘し、そして「トルコがSu-24を撃墜したのはビラル•エルドアンが所有する石油会社との関心ごとからだ」と述べたことを伝えた。彼が所有するタンクローリがロシア戦闘機によって被害を受けたということで、その報復としてSu-24を撃墜したのではないかということなのである。 

しかし、それが全て真実であると認め難いかのように、在スペインロシア大使のコルチャギン氏がスペイン国営放送TVEの番組の中で〈「(撃墜は)事前に(トルコ側で)熟考された上での行動であると思える多くの徴候がある」〉と述べて、トルコにとって、ロシアは非常に重要な貿易相手国である。しかも現在中断しているとはいえ、ロシアからトルコ経由でヨーロッパに天然ガスを供給するパイプラインの建設構想もある。それを何故犠牲にするほどの行動に出たのか不可解であるという考えなのだ。 

一方、ロシア紙『Rossiyskaya Gazeta』でもエルドアン大統領の息子がISの原油販売に関与していることが報じられたことを英国電子紙『Scott』も他社同様に伝えた。しかし同ロシア紙では、共和人民党のグセル・テキン副党首が「エルドアン大統領の息子のビジネスに違法性はなく、日本の企業と取引しているだけだ」と述べて、ビラル・エルドアンを擁護したという。

しかし、それを否定する情報を流したのが米国で金融関係を主体にその他の情報にも言及するブログ『Zero Hedge』だ。それによると、トルコ政府はイラクでISが不法に所有する油井から採油された原油を購入し、ビラル•エルドアンが所有する複数の石油タンカーを使ってベイルートとセイハンにある彼の船会社専用の特別埠頭から、ISの密輸入された原油を日本に出荷していると言及したのだ。もちろん、その中で、ヨーロッパの船会社と契約して異なったアジア諸国にも原油を送っていることにも触れた。 

更に上述ブログではエルドアン大統領の娘がISの負傷した戦闘員を匿って治療する病院をトルコ国内にもっていることも報じている。 

Su-24の撃墜に伴うロシアからトルコに課したトルコ製品の輸入禁止やロシア人の観光禁止などによりトルコが被る被害は90億ドル(1800億円)にのぼるという。

 

<白石和幸プロフィール>スペイン在住の貿易コンサルタント。1951年生まれ。広島県出身。スペイン・バレンシア大学への留学後、商社勤務を経て、スペイン・バレンシアで家具、食品などを幅広く手がける貿易事業を展開。2008年に貿易コンサルタントに転身した。在バルセロナ日本総領事館のアシストも務めている。日本やスペインで、講演やメディア出演も数多くこなす。

1月 082016

あまりにも暖かく湿度のある穏やかな正月の三日間が終わると、波乱の幕開けとなった2016年であった。株式市場は中国株の影響を受けて暴落し、サウジアラビアはイランと断交を発表、人騒がせな北朝鮮の金 正恩は、小型水爆の祝砲を響かせ、自身の誕生日のお祝いとした。

考えてみれば、ローマ法王フランシスコは、昨年クリスマス前に下記のような恐ろしい、人を脅かすような説教をしている。以下。 

While the world starves, burns, and descends further into chaos, we should realise that this year’s Christmas celebrations for those who choose to celebrate it may be their last.”

http://catholictruthblog.com/2015/12/22/pope-francis-last-christmas-warning/

法皇は2015年のクリスマスが最後になるかもしれないと述べたのである。

要するにヴァチカンは現在、グローバル社会全体が既に「第三次世界大戦」に巻き込まれているという情勢分析をしていて、これから状況は益々ひどくなっていくという認識を持っているということである。三年前のレポートで紹介した「金融ワンワールド」落合莞爾氏と全く同じ認識(「テロとの戦争」というものは形を変えた世界大戦であるという認識)である。もう少し、付け足すと、この世界大戦が終わったら、世界は激変しているのでは、と考えることがとても重要なのである。

 ところで、国立研究開発法人情報通信研究機構が開設している公開サイト「宇宙天気情報」によると太陽の黒点数がこれから急速に減少していくようである。

太陽黒点数予想201512月に「60」である太陽黒点数が、来年(2016年)11月には驚くべきことに「30」、すなわち半減してしまう。要するに太陽活動は著しく減退していくと予想されているのである。そして、そのことによる影響こそ、今、人類が真剣に考えなければならない大きな問題となっている。太陽黒点数が著しく減っている時期は、気候が温暖化するのではなく「寒冷化」してきたということは、歴史的事実である。     以下。

 

The Huffington Post

「太陽に元気がない」地球寒冷化の予兆?太陽の磁場に異変       2013年11月18日

太陽に異変が

2013年は太陽の活動が強くなったり弱くなったりする11年周期の中で、活動がピークになる「極大期」に当たり、太陽の北極と南極の磁場が入れ替わる「極域磁場転換」が起きるはずが、いまだに起きていないという。MSN産経ニュースが報じた。

活動ピーク年には増えるはずの太陽の元気のバロメーターとされる「黒点」も今年は異常に少ない。今後、太陽は活動の低調期に入り、併せて地球も寒冷化すると指摘する専門家もいる。
MSN産経ニュース「太陽元気なし 寒冷化予兆 11年周期の磁場転換起きず、黒点も最少」より 2013/11/18http://www.sankei.com/life/news/131118/lif1311180022-n1.html

ガリレオがおよそ400年前に黒点を初めて観測して以来、科学者たちによって太陽の黒点の観測が行われて来たが、太陽は11年ごとに北極と南極の磁場が入れ替わることが分かっている。その詳しいメカニズムは解明されていないが、「極域磁場転換」が起こる年は太陽の活動が最も活発になり、高緯度の地帯に多数の黒点ができるという。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、極大期に近づいているにしては「全くぱっとしない」と米航空宇宙局(NASA)の科学者ジョナサン・サーテイン氏は話したという。通常、太陽の活動がピークの年には、常時150200の黒点が観測される。また、大量の電磁や粒子を放出することによって起こる太陽嵐によって地球上の電信施設が損傷を受けることもしばしば起きていたが、今年はこれまで観測された黒点は概ね50100ぐらいにとどまっており、ここ200年で最も少ないという。

さらに、今回の極域磁場転換では、北極の磁場はマイナスからプラスに反転しているが、南極の磁場はマイナスのままの状態が続く「異常現象」が起こっているという。2012年に太陽観測衛星「ひので」が、北極の磁場がマイナスからプラスに転じている様子を観測したが、南極は安定してプラスを維持を維持していると、国立天文台は発表していた。

JAXAによると、りくべつ宇宙地球科学館の上出洋介館長がインタビューで以下のように解説している。

昨年1月、「ひので」は、北極の磁場が、マイナス極からプラス極へ反転するのに向かってゼロ状態になっていることを見つけました。また、南極がプラス極のままほとんど変化していないことも確認しました。その結果、北極と南極がともにプラス極となって、赤道付近にマイナス極ができるような、太陽の磁場が4重極磁場構造になったわけです。人によっては、この状態を「異変」が起きていると言います。
(宇宙航空研究開発機構(JAXA)「太陽のオーロラが地球のオーロラをつくるりくべつ宇宙地球科学館館長上出洋介」より 2013/8/29

太陽磁場の変化

従来の太陽の磁場(左)と2012年5月以降の太陽の磁場(右)(提供:国立天文台/JAXA)

今年と似たような状況はおよそ、300年前にも起こっていた。NHK解説員室の「解説アーカイブ」では以下のように説明している。

最近観測された黒点の変化(周期ののび)に似たことが、かつて起きたとされている。それは300年前の「マウンダー極小期」と呼ばれる時期で、黒点がほとんどない状況が70-80年続いた。当時の資料によると、寒冷化した地域が出現し、テムズ川も凍った。北半球平均気温は、現在より-0.6度。マウンダー極小期の前後からみると-0.1~-0.2度寒くなったのではないかとされている。北半球の平均では、大したことないように見えるが、局所的に気温のでこぼこがあり、中には非常に低温になったところもあったとされている。

NHK解説員室解説アーカイブ「くらし☆解説 『太陽異変 地球が寒くなる?』」より 2012/05/08

300年前の「マウンダー極小期」のような現象が今後、地球で再び起こることはあるのだろうか。「地球は間違いなく寒冷化に転じる」(大気海洋地球物理学者の中村元隆氏)と断言する専門家もいるというが、上出洋介氏は、前出のインタビューで次のように語っている。 


だいだい100年ごとに1回はこのような低活動期があり、それに応じて地球が寒冷化している記録が残っていますので、太陽にしてみれば、当たり前のことが起きているのかもしれません。人間の寿命がそれより短いからあたふたとしているだけで、太陽は今頃「何に驚いてるの?」と笑っているかもしれませんね
(宇宙航空研究開発機構(JAXA)「太陽のオーロラが地球のオーロラをつくるりくべつ宇宙地球科学館館長上出洋介」より 2013/8/29(引用終わり)

しかしながら、現在、日本の冬は暖かく湿っている。なぜだろうか。 

世界の天気を見てもソウルもパリもロンドンもパリもニューヨークも日本ほど顕著に気温が高いわけではない。

下記の富士山は本年1月5日の撮影ということだが、ゴールデンウイーク並みに雪が少ない。

雪の少ない富士山 2016年正月

これは、フクシマ第一から、メルトダウン、メルトスルーして溶け落ちた核燃料(デブリ)が大量の放射性水蒸気と熱を日本上空に拡散させていると考えれば、すんなり理解できる話である。要するに現在、トリチウム水水蒸気が日本上空を覆っているのである。

トリチウムとは

フクシマ第一の汚染水の中には、放射性セシウムと放射性ストロンチウムと共に、トリチウムという放射性物質が汚染水に大量に流れこんでいる。トリチウムという放射性物質は、元素としては水素である。しかし通常の水素は原子核が陽子1個でできているが、トリチウムの原子核は、そこに中性子が2個くっついている。重い水素なので、「三重水素」とも呼ばれる。この放射性物質トリチウムがなぜおそろしいかというと、化学的には水素なので、水素のように振る舞うからだ。つまり人間の体は、大部分が水でできている。水は、水素と酸素の化合物H2Oである。血液であれリンパ液であれ、細胞をつくっている中心部分の染色体であれ、その遺伝情報を伝えるデオキシリボ核酸(DNA)の分子であれ、水素なしには存在しない。DNAを構成する究極の原子は水素H、炭素C、酸素O、窒素N、リンPである。その水素が、放射線を出す水素になってしまえば、体内で、どれほどおそろしいことが起こるかは、誰でも想像できるだろう。それがわれわれの体内に入って、自由に移動している。そしてトリチウムの原子核についていた中性子が、“マイナスの電荷を持った電子”を放出して、“プラスの電荷を持った陽子”に変化し、水素がヘリウムHeになる。その時に出される電子が、ベータ線と呼ばれる放射線なのである。

この放射能が半分に減るまでの期間、半減期は12.3年なので、安全な1000分の1になるのに123年かかるから、この影響はほぼ一世紀続くことになる。

多くの国民には知らされていないが、私たち日本人は「風の谷のナウシカ」のような日本列島に知らないうちに2011年3月11日以降、住まわされているのである

今回は、本当の日本史に詳しい新井信介氏の悲壮な決意を紹介したい。ここまで考えている人もいるのである。以下。(*読みやすいように大幅に編集加筆) 

<国家(政府)は私的暴力機関と言う側面を持ちます。だから暴走する政府の政策には、本当の対策が必要になります。生存を暴走する国家に預けるのは愚かの極みです>2015年 12月

新井信介 

中国と日本。皇帝と天皇の違い。ここから、現在の日本社会と日本人を考えてみましょう。

中華皇帝は「易姓革命」ですね。それに対し、天皇は「万世一系」と言われますが、これは、明治維新後に創作された物語ですから当然フイクションです。皇室典範も男系男子も明治の元老伊藤博文が勝手に決めたものです。いわゆるこれが、「田布施システム」の根幹となっています。 

 長州藩の下忍であった伊藤博文を筆頭とする維新の立役者たちは、戦国時代から日本に入り込んだバチカンのイエズス会(=欧米植民地支配の先兵の役割を果たしてきた)の手法を取り入れ、<人のいい日本人>を徹底的に洗脳してきました。明治という近代国家を英国勢と共にでっち上げ、天皇からの「恩寵」をありがたがり、現在、放映中の「あさが来た」というNHKの朝ドラ(ドラマの中では、加野屋が十万両の提供を出来たばかりの維新政府に求められていました。)を見ていてもわかるように、日本列島にある経営資源を強制的に全部、自分たちが作った明治政府に集中させました。そして、「天皇の赤子」と言う言葉を創りだし、新政府支配下の臣民は、統治機能の良きパーツになろうと努力するように徹底的に臣民を教育し、訓練しました。その上、近代の思想、科学も、「お上」=東京大学の権威が選び出したものだけを、盲目的に学ぶことだけに専念させました。つまり、日本のエリートとは、極論すれば、人間コピー機や人間演算器にされてしまった人材と、言っても過言ではないのです。 

そのため、明治以降のごく普通の日本人の関心や興味が、森羅万象=(自然(じねん))に向かわないようになってしまいました。目に見える国家の枠組みだけを見上げるようにされてしまったのです。

特に、「自分が、何をどう考えているか、その考えている自分を、きちんと知る」と、いう哲学がすっぽり抜け落ちたままになってしまいました。権力と権威が一致し、しかも、この権威が太古の昔からずっと、この日本列島に存在したと、為政者に都合がいいフイクションを私たちは真実だと思い込まされてきたのです。 

少し勉強すればわかることですが、日本史において「天皇」の存在は、持統天皇が皇祖神「アマテラス」をつくりだして、696年に退位した後からは、ごく一部を除いてずっと、名誉職=権威で、権力=政体ではありませんでした。天皇は、天武の時にその呼称が生まれましたが、大王(おおきみ)として皇帝並みの権限を振るったのは、崇神、垂仁、応神、仁徳、雄略、継体、欽明、天武ぐらいでしょう。 

ところで、昨秋(2015年 秋)、日本の評論家に経済破綻間近と言われていた中国の人民元が、SDR(特別引き出し権)をもつ国際通貨になりました。逆にわが日本国では、どんどん貧困層が増えていても、放射能がまき散らされていても、まだ一般の日本人は国家(仕組み、制度)を信頼し切っています。この両国の違いはどこから来るのでしょうか。

それは、一言で言ってしまえば、近代国家になってから後の、地下経済の厚さの違いにあります。一般の日本人にはこのことを全く認識していませんが、大陸に言ったことのある日本人はこのことを知っているはずです。中国大陸は、始皇帝による統一以後、国家(統治体)が壊れても、通貨は、それ自体は存続し、時に、新しい国家、新政権、新政府で、自分の命を、守る、大切な道具として機能しました。中国人は要するに政府を盲目的に信用しません。国家権力の本質が暴力であり、それが、出来上がると、国家それ自体が存続するために、さらなる詐欺と暴力を、使い続けることを知りつくしているからです。一時代に三つの国家があったことも、ひどい時には、華北全域が戦乱状態の五胡十六国の時代という時代もありました。こうした政治権力事情の国柄だから、一つの国家(統治体)にとてもじゃないが、全面的に自分の生存を預けるわけにはいかなかったのです。

仲間や同志を生存次元で支え合うために、血縁、地縁で、彼らは結社を築いていきました。それが、幇(ぱん)ですね。幇は様々な次元で広がり、掟を作り、地上に、どんな国家ができようとも、お互いが生存できるように支え合ってきました。そして政権とは、いつの時代も、対等の関係で取引してきたのが中国の歴史です。  

中国では皇帝になるのは天に選ばれた一族ですが、その一族がつくりだした国家は、私的暴力機構だと、中国人は知り尽くしています。だから、常に、幇(ぱん)を生存の基礎に置いてきました。政府は一時的。しかし、幇(ぱん)は、政府を超えて存在する。地理的にも、時間的にも。これがいわゆる「華人ネットワーク」というものです。 

あの毛沢東が政権を取る時、彼を支持したのが、青幇(チンパン)ではなく、紅幇(ホンパン)でした。そこに清朝打倒を目指す明の貴族層の洪門(こうもん)と、客家(ハッカ)が加わりました。(宋三姉妹も客家ですね。)だから共産党政権ができても、それを心底から信用することは決してありません。彼らに取って国家も、政権も、一時的なものに過ぎません。だから、中国人は自分たちで、様々な、独自のネットワークをつくるのです。そして、そのネットワークの中に、仲間で使える金融資産まで、潜りこませていきます。それを、国家の指導者も、省レベルの役人も、実業家も、学校の先生も、道路工事の作業員も、売春婦も、みんなが、独自に、自分なりの、生存のための、パンを作っています。これらが彼らの互助組織であり、生存保障につながっていきます。

これらのネットワークが、1984年の改革開放の後、海外の中華の人間とで、縦横無尽に個々の人間の力量に応じて、広がっていきました。1994年に、外貨兌換券がなくなり、2001年以後、米ドルの資本が大量に大陸に入り、しかも人民元でも、債権が発行され、地方政府にも認められると人民元マネーは、共産党政府に管理されないところで、どんどん、貸し借り、融資や信用保証が、広がっていきました。これが、現在、中国経済の地下経済になっています。  

さらに、胡錦濤時代に、外貨準備が、世界一になり、さらに、「走出去」と、海外への資本進出を政府が、国家方針として打ち出すと、自分の幇(パン)を伸ばして、海外に住む新たな仲間と、すぐに新たなパンを作っていきました。政府が損しても、パンの構成員は、その政策の裏で儲ける。これは、中国の外でも、大陸内でも、同じで、ここに政府が赤字でも、中国社会全体では、マネーで十分に潤う、地下経済構造が完成しているのです。

政府の人間は表では、それを、いけない、まずいという建前ですが、個人になると、みんな、パンの構成員に成っているのです。要するに完全なダブルスタンダードです。

「上に政策あれば、下に対策有り」は、権力者自身も行っているのです。(要するに日本を見るのと同じ感覚で中国を判断すれば、完全に間違えるということです。)

しかもこの「対策」が、巨大です。かといってどこかに、統一管理する司令塔があるわけではありません。民族を構成する、個々人が、自分自身の生存するために、巨大なサブシステムを、いつも確保しているのです。

そしておそらく、この地下経済の規模が現在、国家経済の、数倍から、十倍以上にもなっています。これが、さらに、IMFがみとめるSDRの対象通貨になることで、海外でも、より大きなパンができて、人民元と米ドルとで、相互に信用状態が生まれ、それを、さらに、国家を超えたパンが利用する状況が生まれます。

もうそこでは、表の「外国為替管理法」という国際的な政策をらくらく飛び越えた「マネー」での融通が、これまで以上に、簡単にできるようになります。これでFRBが発行した米ドル建ての資産まで十分に延命する可能性が出てきました。 

つまり、習近平政権の国家税収がどうなろうと株式が暴落しようが、巨大化した中国地下経済が、米ドル資産の流通と結びつけば、中国社会それ自体も、十分に安泰だということです。そして本当の「朋友」のみを助け合うのが、「パン」だと言われています。 

それに対し、我が日本人は、明治以来、お上に気に入られようと、言われるままに真面目に努力し、「滅私奉公」の果てに1945年の敗戦に導かれましたが、戦後は、米国が意図的に天皇の「権威」が残したために国家権力に対する盲目的服従が治らず、自分自身の生存の基盤を、江戸時代に築かれていた地域の「結(ゆい)」のようなつながり(地縁)をことごとく壊して、政府の行政のマネーと表の企業社会の収入だけに頼るように馴致されてしまいました。 

 現在、日本の国家が消費税や資産課税という増税路線を明確にし、命に関わる「放射能汚染」の嘘情報を広めて、完全に暴力装置という、その本質がむき出しになって醜い姿をさらしているにもかかわらず、それでも、自分の生存をこの政府と表の正しい稼ぎだけに預けている真面目な日本人がほとんどです。

 完全に人間としての余裕を失っている姿ですね。真面目に勉強し、お上のいうことを真に受け、マスコミ報道を鵜呑みにし、生存を国家に預けたことの報いというものでしょう。

 人間の生存は、天地自然の純粋な恵みと、相互扶助の人間関係のみが保証してくれるものです。本来、マネーは、生活を豊かにする道具ですが、同時に国家の暴力から逃れる手段だったはずです。今、多くの日本人にはこれが枯渇しています。 

 「苛政は、虎よりも猛し」これが、中国人が、政治と向かい合う時の姿勢です。 

しかし、今の日本人は、その政府の政策がすでに苛政であるのに、それを、未だに美しいもの、立派なもの、自分を大切にしてくれるものと、信じています。

悲しいが、「自分が、何を考えているか?どうして、自分は、こう考えているか?他の考え方もあるのではないか?自分が、信じている世界は、まやかしではないか?常に、こう考えていない」と、現実は、生きていけないのですが、現在、日本人は進んで「檻の中」に入ったまま、「茹でかえる」になって死んでいこうとしています。 

私はどんなことがあっても生き抜いて、それでも、この日本列島で生まれ、演じられてきた様々な日本文化の核心を伝えられる存在でいたいと思います。

それには、若者たちを、どうしても救わねばなりません。微力ゆえに、わずかであってもできる範囲で。

健康な肉体で、生き残ってくれれば、まだまだ、希望はあります。みんな。死ぬな!

生き残れ!

 「豚になってでも、生きよ。」・・・これは文化大革命の時代を描いた、名画『芙蓉鎮』の中の言葉です。

 マネーなんか殆ど無くたって、愛される人間になって人間関係を築いて、とにかく、「放射能」のないところに、這ってでも移住して、とにかく、生き残る。ここから未来は始まります。(終わり)

 

<新井信介プロフィール>長野県中野市で昭和32年(1957年)にリンゴ問屋の息子として生まれる。日本の歴史に圧倒的影響を与え、しかも、世界でもっとも多くの人間の住む国、中国と商売しないのはおかしいと東京外国語大学の中国語学科に進んだ後、今度は、世の中の現実と構造を知りたい思い、商社に入り、北京駐在員として自動車・電気機関車などの輸出、さらに、本社では経済協力案件を担当。しかし、88年秋、プラザ合意に始まったバブル経済が過熱していく中、昭和天皇が倒れ、「金儲けどころじゃない、日本がおかしくなる」と、世直しを決意して退社。日本の政策転換とバブルの早期処理を訴えるが、結果は、「失われた20年」に。98年から、「世紀末の大転換」を確信し、著作と講演を進めてきた。 

兎に角、有意な日本人は大きな時代の節目に備えることである。1989年にベルリンの壁が崩壊したが、1~2年前に現地を訪れた人であのような形で壁がなくなることを予想した人は一人もいない。変わる時には、社会は一気に変わる。その時に社会を支えるのは有意な本来の日本の心を持った人たちである。それまでかけがえのない生命(イノチ)を大切にすることである。

終わりに青い眼の日本人ビル・トッテン氏が正論を書いているので、紹介させていただく。もっとも大統領選の民主党有力候補であるヒラリー・クリントン女史ですら、TPPには反対しているので、この協定が本当に成立するかどうかは、疑問だが、以下の文書を読んでいただければ、TPPが如何に日本人を馬鹿にしたものかよくわかるはずである。以下。

 

「英語版TPP条文」     201614 

環太平洋連携協定(TPP)交渉参加国が10月初めに大筋合意したという条項を、115日、ニュージーランド政府が公開した。 

秘密で行われていた交渉の内容がようやく英語の世界では明らかにされたが、30章からなる文書は細かい取り決めまで含むと55554ページにも及ぶ。政府は概要を掲載するだけで、条文はニュージーランド政府のホームページへ、となっている。

協定は英語、スペイン語、フランス語を正文とする、とあるが、経済の規模からみてなぜ日本語が正文になっていないのか。日本の制度や法律を変えるほどの効力を持つ協定を、英語版しか国民に提供せず、日本政府が交渉の場で日本語版を要求しないこと自体が、TPPが一方的な押し付けであると考えざるを得ない。これだけでも、TPPの本質が「日本の主権喪失」にあるといえるだろう。 

しかしTPPによってマイナスの影響を受けるのは日本国民だけでない。条文の公開以来、各国の研究者や市民グループ、NGOなどから多国籍企業の利益を優先するものだという強い批判が出ており、TPP協定の原型ともいえる北米自由貿易協定(NAFTA)の施行で雇用が海外に流出し、国内賃金の低下をはじめとする多くの悪影響がもたされたアメリカでは、強い反対運動が起きている。 

もちろん全ての国民が6千ページ近くの文書を読み、理解することは容易ではないが、わずかな概要だけで、TPPを検討し、承認すべきではない。オバマ大統領がTPPを「新しいタイプの貿易協定」と呼んだことからわかるようにそれは単なる製品やサービス、投資や資本に関する文書ではなく、政治的な協定だからだ。つまり、多国籍企業が国や国民の主権、民主主義そのもののあり方を変えようとしている。 

公開された条文の27章(運用および制度に関する規定章)と28章(紛争解決章)だけを見ても明らかだ。27章には、TPP締約国は大臣または上級職員のレベルで会合するTPP委員会を設置し、協定に基づく義務の実施に向けて進捗(しんちょく)状況を報告しなければならないとある。TPPは「生きている協定」と呼ばれ、常に見直しが入るとされるが、では一度政府が批准した後で変更がなされれば、あらためて批准の必要はないのだろうか。また委員会メンバーをどのように選出するのか、そこでの議論が公開されるのか、さらには、この委員会で決定されたことを政府や国民が覆すことができるのか。その内容次第ではTPPは、国の法律の上位にくる機関となってしまう。

そして28章には、企業と政府の紛争解決は当事国の国内法にかかわらず、TPPの「裁判所」に提訴されることが明記されている。自民党が反対したISDS条項がしっかりとそこにあるのだ。政府が特定秘密保護法を持ち出せば、このTPPの人民裁判の内容を国民に秘密にすることすら考えられる。 

カナダでは新政権が発足したため、前政権が交渉したTPPの合意内容について議会で討議を行うだけでなく、国民が内容を理解し意見を表明できるようパブリックコメントを募集するという。当然であろう。しかし日本では条文を知りたければ英文を読めと、国民に説明すらない。(引用終わり)

 

サンフランシスコ講和条約の日本文も正文ではないことは知る人ぞ知る話だが、戦後70年経っても日本という国は、国際社会でこのような扱いを受けていることをもっと多くの人が知るべきだろう。この条約の批准を検討する国会議員で、まともにTPP条約案を読む人間は一人もいないと思われるのも、この国の機能不全に陥っている戦後民主主義の悲しい姿を物語っている。


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