m.yamamoto

早くも日本国内で子宮頸がんワクチンの犠牲者が出てしまったようである!?



         

          







国の政策が決まってから、豊橋市の担当者に次のような質問をしたことがある。

以下。



「子宮頚ガンワクチンサーバリックスについては、多くの問題点が指摘されている。

1.HPV(ヒトパピローマウイルス)のうちの「16型及び18型感染」に起因する子宮頚ガン及びその前駆病変の予防となっている。

 ところで、このワクチンの添付書には、①HPV-16型及び18型感染に起因する子宮頚ガン及びその前駆病変の予防効果は確認されていない。

 ②接種時に感染が確認されているHPV排除及び既に生じているHPV関連の病変の進行予防は期待できない。③ワクチンの接種は定期的な子宮頚ガン検診のかわりになるものではない。ワクチン接種に加え、子宮頚ガン検診の受診やHPVへの曝露、性感染症に対して注意することが重要である。④本剤の予防効果の持続期間は確立していない。

  ところで、日本では、欧米と違い、数種類ある高リストの子宮頚ガンを引き起こすHPVのうち、52型と58型も高危険型であって18型は日本では自然治癒することが多いとの報告がある。

  もし、そうであるなら、日本で、サーバリックスを小学生等に集団接種する意味がほとんどないのでないかとも思われる。認識を伺う。



 2.確かにCDC(米国疾病対策センター)がワクチン接種によるベネフィットのほうがリスクを上回るとの見解を示しているが、FDA(米国食品医薬品局)は、問題は持続性の感染であって大半のHPVが子宮頚ガンと関連がないことを認めている。HPVに感染しても多くの場合は、免疫力によってHPVが体内から排除され、HPV感染の大半は2年以内に自然消失するとも言われている。

  ところで、この予防接種は、HPVに全く曝露していない性的活動未経験相当者および、免疫力によってHPVが体内から排除されて者でなければ接種する意味がない。その問診はどのようにするのか。プライバシーの保護等をどのように考えているのか、伺う。

 3.一部の医療機関では、ガーダシルを個人輸入して、使用している。

    国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センターがガーダシルに含まれる「ポリソルベート80」には、一定濃度以上で不妊傾向が見られるという報告をしている。どのように認識しているのか、伺う。」



残念ながら、まともな答えをいただいた記憶がない。 



 

「14歳、子宮頸がんワクチン接種後死亡…国内初」 

読売新聞 9月12日(月)20時49分配信



 子宮頸(けい)がん予防ワクチンの接種を受けた国内在住の14歳の女子中学生が、2日後に死亡していたことが分かり、12日、厚生労働省の専門調査会で報告された。 

 ワクチンは英グラクソ・スミスクラインが製造した「サーバリックス」で、接種後の死亡例は国内では初めて。ワクチン接種との直接的な因果関係は認められないという。

 報告によると、中学生は今年7月28日に接種を受け、30日朝に心肺停止の状態で見つかり、死亡が確認された。中学生には突然不整脈を起こす「心室頻拍」の持病があり、直接の死因は不整脈と推定されている。

 サーバリックスは2007年5月に豪州で初承認され、日本では09年12月に販売が始まり、これまで約238万人が接種を受けたと推定される。同ワクチン接種後の死亡は今回が世界で5例目。因果関係がはっきりした事例はないという。



「子宮頸がんワクチン接種後の少女が死亡、英国」



 2009930 AFP】英国で子宮頸(けい)がんのワクチンを接種した14歳の少女が死亡したことをめぐり、接種プログラムにワクチンを提供する同国医薬品大手グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)は29日、保健当局とともに調査を開始したことを明らかにした。

 英保健省傘下の国民保健機関(National Health ServiceNHS)の共同責任者キャロン・グレンジャー(Caron Grainger)医師とコベントリー市議会(Coventry City Council)によると、コベントリーに住む少女が28日、国が進める子宮頸がん予防接種プログラムの一環として、学校でグラクソ・スミスクラインが製造するワクチン「サーバリックス(Cervarix)」を接種した直後に死亡した。

 その後、検査の結果、少女は「重大な基礎疾患」を抱えており、ワクチン接種が少女の死を引き起こしたと可能性は「非常に低い」との見方が示された。保健当局はこの学校で使われたワクチンを保存する措置をとっている。

 このワクチンは子宮頸がんの主な原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐことができるとされる。

 保健省は、これまでに全国で140万人以上にワクチン接種が行われ、強い安全性が示されてきたと強調、今後も予定通りワクチン接種プログラムを進める方針を示した。

 子宮頸がんに対する関心は、今年3月、同国のリアリティー番組タレント、ジェイド・グッディ(Jade Goody)さんがこの病気で亡くなったことをきっかけに高まり、定期的な検査の必要性に対する認識が強まった。(c)AFP



昨今話題となっているワクチンのひとつに、「子宮頸がんワクチン」がある。

テレビや新聞の情報を見ているだけでは、想像できないが、このワクチンは、予備知識なしで、気軽に接種してよいものではない。しかし、一般には広く、「子宮頸がんを100%予防できるワクチン」のような誤ったイメージで宣伝されている。

当然のことだが、すべてのワクチン接種には、死亡例を含む副反応がある。それは、この子宮頸がんワクチンにおいても、例外ではない。

本来、人の命を守る役目を担うはずの製薬会社、医療機関および政府が、接種を考慮するのに必要な情報をわかりやすく国民に提供せず、良い面ばかりを伝えているおかしな社会の風潮がずっと続いている。(その意味で原子力発電に似ている。)



「子宮頸がん」という言葉を聞いて、この話は自分には関係ないと思われた男性もいるかもしれない。特に最近のアジュバンド(免疫賦活剤または免疫増強剤)を添加した各種の新型ワクチンがもたらす人体への長期的な影響については、いまだ実験段階にあり、不妊症を引き起こす可能性もささやかれている。

もちろん、子宮頸がんワクチンも例外ではない。大げさに言えば人類の存続問題とも関係している。



「子宮頸がん」とは、子宮の出口付近である子宮頸部にできる癌。子宮の中にできる「子宮体がん」と異なる。子宮頸がんは遺伝に関係なく、原因のほぼ100%は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスの感染によって起きるとされている。多くの場合、このウイルスは性交渉によって人から人へ感染するとされ、中でも発がん性のあるHPVには、女性の約80%が一生に一度は感染していると推定されている。このため、性交渉経験のあるすべての女性が子宮頸がんになる可能性を持っているとされている。

子宮頸がんは、近年、20代後半から30代の女性に急増し、発症率が増加傾向にある。現在では、がんによる死亡原因の第3位で、女性特有のがんの中では乳がんに次いで第2位。特に20代から30代の女性においては、発症するすべてのがんの中で第1位となっている。            

     



ドイツ人のウイルス学者であるハラルド・ツアハウゼン氏は、1976年に「HPVが子宮頸がんの原因である」という仮説を発表した。そして、1983年に子宮頸がん腫瘍の中にHPV16型のDNAを発見した。翌年には、HPV18型のDNAも同腫瘍中に発見し、この研究結果を元に2006年には、子宮頸がんワクチンが製造された。

HPV(ヒトパピローマウイルス)は、パピローマウイルス科に属するウイルスの一種で、現在確認されているだけでも約200種類ある。このウイルスは、大きく2種類に分けられる。皮膚に感染する上皮型と粘膜に感染する粘膜型である。

この粘膜型のうち、発がん性の高い15種類が、子宮頸がんの原因とされています。

具体的に示すと、HPV16,18,31,33,35,39,45,51,52,56,58,59,68,73,82,(ときに26,53,66)

型。

実際には、これらの発がん性HPVに感染しても90%以上は、免疫により体内から自然に消失するため、子宮頸がんに進展するのは、約0、1~0、15%とごくわずかだ。

また、子宮頸がんになるまでには通常、数年~十数年かかると推測されている。

そのため、子宮粘膜に異常が見つかったからといって、安易に手術するよりも、観察が大事であるという専門医もいる。

現在、子宮頸がん予防ワクチンとして、米・メルク社の「ガーダシル」と英・グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」がある。2010年3月現在、国内で厚労省に認可されているのは、後者のみ。

 (*9月にカーダシルも公費助成の対象とされた。)

製造元の英・グラクソ・スミスクライン社によれば、「予防効果がどのくらい続くのか」

「追加接種が必要か」については、まだ不明とのことだ。

同社は、「半年に3回の接種で、最長で6.4年間くらいは、HPVの感染を防ぐのに十分な量の抗体ができる」としている。

この子宮頸がんワクチンが予防できるのは、HPV16型と18型。全ての発がん性HPVの感染を防げるものではない。

「ワクチンを接種しても子宮頸がんにかかる可能性がある」と製薬会社もはっきりと述べている。また、特筆すべき点は、日本人の子宮頸がんの原因はHPV 52・58型が比較的多く、HPV16・18型は全体の約60%ということだ。そのためHPV16・18型予防に製造された輸入ワクチンは、日本人には予防効果がさらに限定的であるということになる。(HPV52・58型に対する予防効果は10%程度)

「サーバリックス」の接種対象は、10歳以上の女性となっている。(2010年の時点)また、諸外国における子宮頸がんワクチンの推薦接種対象も、主に9歳から10代前半までの女児

同ワクチンは、HPVにすでに感染している人には、効果がなく、また同ウイルスの増殖を刺激するという報告もある。これらの理由から、諸外国では、性交渉をまだ経験していない、HPV感染前の小中学生の女児を優先接種対象として、早期に接種を済ませる政策がとられている。
 さて、現代の医学の通説上、子宮頸がんの原因とされるHPV(ヒトパピローマウイルス)だが、「実は、このウイルスには子宮頸がんと直接の因果関係がない」と指摘するレポートが存在する。

「子宮頸がんワクチンの大ウソを暴く」-マイク・アダムス著、(原題”The Great HPV Vaccine Hoax Exposed”) の中では、アメリカのFDA(連邦食品医薬品局・日本の厚労省にあたる機関)が、子宮頸がんワクチンを認可する以前の2003年の時点には、「HPVは危険なウイルスではなく、感染しても自然に消滅するものである。健康への長期的な悪影響はなく、子宮頸がんとの関連性はない」と認識していた事実が明らかにされている。

ヒトパピローマウイルス自体は、ごくありふれたウイルスであり、健常者の命を危険にさらすようなものではないということなのである。更に、マイク・アダムス氏は、このレポートの中で、子宮頸がんワクチン「ガーダシル」が、逆に子宮頸がんの発生リスクを44.6%も増加させることを示すFDAの書類を取り上げている。さらに同氏は、「この子宮頸がんワクチンは、無益であるばかりか、有害である。さらにその目的は、大手製薬会社の利益以上に、今後のアメリカ政府による ” 各種ワクチン強制接種政策 ” の実施の先陣を切るものである」可能性を指摘している。



*興味深い証言が信頼すべきブログに掲載されていたので、ご紹介する。



「私は現在、婦人科で働いており、サーバリックスのメーカ(GSK)からの正式な資料も見ており、続々と行政サイドで無料のワクチン接種が決定されていくのに、なんの情報開示も無く、疑問視する報道もない事に非常に危機感を抱いている者です。

しかも、先週には医師会を通じて、サーバリックスについて、だめ押しのような文書が配送され、目を疑いました。そこには、全く危険性がないとでもいわんばかりのいいわけのような、さも安心で、これで癌が防げるという説得調の説明が長々あり、驚く事に海外での死亡例でさえ、それは、「ワクチンと関係のない自殺や、事故が原因だった」とまで書かれ、その上だめ押しで国内では死亡例はないと高らかに歌われています。 (国内では昨年末から認可、発売されたばかりで死亡例が、あったら困るでしょう)ここまで子どもだましの説得には、驚く他なく、まるで必至で「リスク」を隠蔽しようと意図していますといわんばかりです。まさか、自殺や事故死がサーバリックスによる死亡例として報告されるはずがありますか?!

もし入手できたら、サーバリックス開発メーカーのGSKの説明書をよく読んでください。どこにも、サーバリックスが子宮頚癌を防ぐ効果があるとはかかれていません。HPV(子宮経癌の原因といわれているウィルス)のDNAタイプが数十種類あり、その中の16型と18型(欧米では、この2種が癌化の確率が高いという根拠で)のみに効果が期待される、あるかも知れない、と言っているだけです。性交渉前で70%の効果と言っています。30%には期待できません。しかも、この2種類以外のHPVウィルスにはまったく効果ありません。もう一社の4種に効果が期待できるとするワクチン(欧米では既に認可)が、昨年暮れには認可がおりて発売になると言われていたのに、未だに日本では認可されません。これも不思議です。GSKが一人勝ち、独占状態です。

欧米でも、経癌ワクチンが発売されてまだ10年たらず、しっかりとしたエビデンスが無い中、まして、日本人に多いのは「16型18型ではない」のでは、というデータもあります(まだ、母数が少なく、データの蓄積が無いので、これも不明ですが)接種して効果は、5年から7年くらいは期待できるのでは?と言っています。これもデータはありません。

GSKの説明書を読めば読む程、わざわざ危険を犯して接種する必要があるとは思えなくなります。私も10代の娘がある母親として、真剣に検討して、接種はしないという判断をしました。子宮頚癌は、発症するのに5年から10年かかると言われ、発症しても早期発見さえできれば死に至る癌ではありません。子宮頚癌検査をきちんと受けていれば、十分と考えます。

と、ここまで書いておいてなんですが、



実は、それ以前の問題として、子宮経癌ワクチンと検索すれば、誰でも見る事ができるレベルで、なんと米国FDAは、「HPVウィルスは子宮頚癌の原因ではない」と正式に発表しています! 研究結果が出ているのですよ!!つまり、HPVが頚癌の原因であるというのは、既に間違った古い情報のはずなんです。これが、何故表に出てこないのか、とても不思議です。

そもそもHPVウィルスが原因でないなら、このワクチンがまったく無意味です。どうしてそこのところが公表されないのか、とても不思議。やはり、別の意図、巨大な力、お金、が動いているとしか思えません。誰かがとっても儲かるでしょうね。

本当に、真実を知らない、知らされていないと言うことは怖いと思います。

知った上で判断したら、誰でも分る事だと思うのに、どうして、行政で何の問題にもならずに、莫大な税金を投入する事業が採用されてしまうのか、本当に不可解です。



ある、有名なIT企業家(今は引退して、慈善事業に専心している事になっています)が、「地球を救う為に、今できる最善の策は何か?」と世界のトップレベルの頭脳を集めた国際会議で聞かれて応えたそうです。「予防接種を徹底することだ、それも第三国向けに」これの意味するところがわかりますか?

地球を救う為には、人口をこれ以上増加させない事だと言っているのです!

その為に、無知な第三国の子ども達に、高い確率で「不妊になる」予防接種を打つのが最善の方法だというのですよ! しかも、その企業家は、引退したとはいえ、莫大な資産を予防接種のワクチンメーカーに出資しているそうです。ちなみに誰だかわかりますか?そうです、ビルゲイツ氏ですよ。

これを聞いて、心が凍りました。ヒトラーと同じ発想ではありませんか?

信頼できる方からの情報なので、英語が堪能な方なら、この情報を探せると思います。

この緊急提言を拝見して、興奮して、思いつくまま打ち込んだので、読み難いかもしれません。今度、資料を手元においてもう少し正確にデータをアップしたいと思います。新聞に投稿しようかと危機感もっていたところでした。医療関係者で詳しい人が、GSKの開発の中から、もっと声をあげて下さる人が出てきますように祈っています。」





また、精神科医の遠山高史氏の著書『医者が薦める不養生』で下記のように書いている。



「癌の中で取り扱いが容易とされる子宮頸癌は早期の癌と診断されると、通常はことごとく手術となってしまう。取ってなくなってしまうので、早期の癌に自然消滅があるなどと確かめられない。集団検診によって、子宮頸部の上皮内癌(早期の癌)と診断されながら、治療を受けなかった女性を、20年間追跡したニュージーランドの疫学調査がある。このような女性750人のうち、子宮頸癌となった者は、10人(1.3%)しかいなかった。しかも、検診で見つけられた上皮内癌から本当の癌に進展したと認められたのは2例しかなく、他は、当初の上皮内癌とは関係なく起こったものと考えられたという。むろん、ニュージーランドの疫学調査を100%、鵜呑みにはできないにしても、日本の癌学者がこの論文を否定しうる根拠を示し得ないことは確かなのである。従って、日本の癌医学は定量的に未来の予測をなし得ておらず、科学とはまだいえる段階に達していない」



毎年550億円以上の国費を使い、地方自治体にも多くの負担をかける施策である。

もう少し、日本人の命を重く受け止めて慎重に政策を進めるべきではないか。

今日、学校給食制度自体も大きな利権になってしまったが、給食費無料化を進めようとしている健気な地方自冶体に少し、工夫した助成制度でも作ってあげた方がまだ、有効なお金の使い方のような気がしないでもない。



*天皇家の食事に「マクロビオティック」を提唱した桜沢如一氏の理論が取り入れられているという話を聞いたことがある。食育に興味のある方は、一度は聞いたことがあると言葉ではないか。

提唱者である桜沢如一氏は、石塚左玄氏の「食物養生法」を、古代中国で生まれた「易」という概念から再構築し、宇宙万物に通ずる「無双原理」を唱えた。その原理が、マクロビオティックの基礎となっている。

そのため、巷にあふれる「健康法」とは全く異なるものとなっている。

「身土不二」という基本原則により、野菜や穀物を中心とし、アクを抜かず、皮も剥かずに丸ごと食べるという、「一物全体食」が特徴である。

「身土不二」について、サンマーク出版『新編集版 無双原理・易』(桜沢如一著、岡田定三編集・解説)には、”「人間が最も広い意味での環境の産物である」ことを意味する言葉である。その土地、その気候、その自然産物である人間は、それらに適応するとき生を全うし、それに反逆するとき悩み滅ぶということだ。”とある。

さらに”万病の原因は、例外なく陰または陽の過剰である。””動物である人間は陽性だから、その病の治療は、主として陰性である植物の力によるべきである”と記している。

難しく感じるかもしれないが、簡単に言えば、「遠く離れた海外から輸入した食べ物ではなく、今住んでいる場所で取れる旬の野菜を丸ごと食べなさい。そうすることが人間にとって最も理にかなったありかたなのだから。」ということだと考えて、まず間違いはないだろう。現在で言う「地産地消」である。

その土地によって、暑かったり、寒かったり、乾燥していたり、湿っていたりというのは様々で、それによって育つ作物も異なってくる。

日本の場合は四季があるから、時期によって育つものが異なる。現代では、日本のどこにいても、一年中トマトやキュウリが買えるが、冬に食べるより、夏の方が断然美味しい。やはり、「旬」というものが間違いない。

熱帯には、熱帯に適した、身体を冷やす食べ物が取れ、寒帯には、寒帯に適した、身体を温める食べ物が取れる。それと同様、乾燥地帯では、身体を潤す食べ物が取れ、

湿潤地帯には、身体を乾かす食べ物が育つ。

これらは、人間が食を通じて経験的に蓄えてきた先人の知恵。その中でも、特に日本の食文化に大きな影響を与えた人物がいる。

「食養」という言葉の生みの親である、石塚左玄氏である。天皇家の食事は、石塚氏の理論に基づいていると言われている。

石塚氏の大きな功績は、温める性質を持った(陽)元素の代表、冷やす性質を持った(陰)元素の代表が、それぞれ、ナトリウムとカリウムであるという発見をしたことである。 

つまり、身体を温めるものには、ナトリウムが多く含まれていて、身体を冷やすものには、カリウムが多く含まれているというのだ。 

以上の事実から、寒い地域に住む人は、塩気が多い食事となるのは自然なことだといえる。北の住人は、南の住人に比べ、昔から高血圧の割合が 高いと言う事実もある。

今、減塩が叫ばれていますが、時と場所と場合によるはずだ。

「もし北に住む人がナトリウムを減らせば、 高血圧は減るでしょう。 しかし、他の病態が増えるでしょう。」という研究者もいる。

カリウムと聞いてイメージしやすいのは、バナナだ。屋久島などでは夏にバナナが育つのは珍しいことではないが、北海道でバナナができたら少し違和感がある。

つまり、私達は、わざわざサプリメントなどで栄養分を補わなくとも、その土地に、その時期にとれるものを、丸のまま食べることで、深く考えなくとも、必要な栄養分を摂取する事ができ、なおかつ、最もバランスの取れた状態を維持することが出来るという考えなのである。このことを実践している元気な女性の本を今回は紹介させていただく。

 



(以下引用)

 

「日の丸弁当は貧乏ではなく、実は豊かさの証」

~福島原発事故は、日本に伝わる食文化を学び直す好機~

川嶋 諭

<川嶋 Satoshi Kawashima

早稲田大学理工学部卒、同大学院修了。日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。1988年に「日経ビジネス」に異動後20年間在籍した。副編集長、米シリコンバレー支局長、編集部長、日経ビジネスオンライン編集長、発行人を務めた後、2008年に日本ビジネスプレス設立。

最近は「夏痩せ」という言葉が死語になりつつあるようだ。政府と電力会社から過度な節電を強要された今年は例外だったかもしれないが、エアコンの効いた快適な部屋で過ごしていると暑い夏でも食が進み、涼しさを感じるお彼岸の頃、決まってお腹の周りの脂肪が気になり始めダイエットを志す、というのが年中行事のようになってしまっている。

74歳で老眼鏡要らず、縄跳びは100回以上跳ぶ

 さて、今年はどんな方法でダイエットに取り組むか。そう考えていた矢先、とてつもなく元気なスーパーおばあちゃんに出会った。74歳にして豊かな頭髪に白髪はほとんどなく、新聞や本を読む時に老眼鏡のお世話になることもない。

 スクワットは平気で70回以上こなし、縄跳びは100回以上連続して飛ぶことができるという。お年寄りになると会話のスピードが落ちがちだが、早口が“自慢”の私の2倍以上の速さで言葉が飛んでくる。

 医者に全くかからないのでデータで証明はできないものの、「体にはひとつも悪いところがない」と言い切る。健康料理研究家の若杉友子さん。見るからに逞しいおばあちゃんである。

健康の秘訣は食だという。若杉さんが主催する料理教室はいつも満杯。京都駅からクルマで3時間ほど走らないとたどり着けない交通の便の悪い京都府綾部市で開いているにもかかわらず、日本全国から受講者が集まってくる。

連休の狭間の今週は、このおばあちゃんのお話にお付き合いいただきたい。

若杉おばあちゃんは言う。「健康になりたかったら、そして痩せたいんだったら、あなたのお母さんが小さい頃に作ってくれたはずの日の丸弁当を見直しなさい」

日の丸弁当って、アルミ製の弁当箱の真ん中に大きな梅干が1つ。日本の国旗の形と色をしたやつでしょうか。

「そうよ。日本人なんでしょ。有難くそのお弁当をいただきなさい。もったいないからご飯つぶ1つも残しちゃダメよ。日の丸弁当を食べていれば日本人は健康になれるの」

でも、日の丸弁当というのは、小さいときの記憶では貧乏の象徴だったような・・・。「米と梅干とそして漬物だけかよ。お前の家は貧乏だな」。当時の漫画ではそのように揶揄される対象だったと思いますが。

最高の贅沢は銀シャリに梅干

「完全にアメリカのプロパガンダに洗脳され切ってしまっているわね。戦後66年も経っているのにこれだものねぇ。アメリカ人がカロリー、カロリーと叫んで、日本人のカロリー摂取量を上げようとしたのは、農産物を売り込みたいからじゃない」

「2000年以上日本に住んできて、日本の食生活に合った形に体の構造がなっている日本人は肉ばっかりの食生活を送ったら、体に良いことはひとつもないわ。口に極楽、腹地獄というやつね」

そういえば、JBpressで日本の中小企業の強さを連載してくれていた岡野工業の岡野雅行さんは、何よりのご馳走が銀シャリと梅干、そしておいしい緑茶をかけた茶漬けだと言っていました。

お会いすると決まって高級なお肉をご馳走になりましたが、ご自身はほとんど口にされず帰ってから梅干と茶漬けを楽しんでいる。

「あなた、ご馳走という漢字は書けるわね。どういう意味か分かるかしら。馬に乗って三里四方を走り、苦労して食材を集めてお客さまに出す。そのおもてなしの心をご馳走と言ったのね」

地元で採れた食物を食べるように人間の体はできている

「ただ自分たちは普段からご馳走は食べられないから自分の畑なら畑、野山なら野山から採れる範囲の食材を採って食べていました。実はそれが健康の秘訣だったのです」

「身土不二という言葉が日本にはあるでしょう。人間が生まれ育った風土で育った食物は体に順応し、適応してくれるということを表しています。つまり、地元で採れた食べ物を食べているのが健康のためということ」

小さい頃、背が高くなりたくて牛乳をたくさん飲みました。残念ながら並みの高さにしかなりませんでした。でも、やっぱり背を高く体格を良くしようとしたら、地元で採れた食べ物だけでは限界があるのではありませんか。

「日本のお米には栄養素がいっぱい詰まっているのよ。欧米人が食べている麦から作ったパンに比べたらはるかに栄養価が高い。何より昔のお相撲さんはお米を食べて大きくなったじゃないの。それから、お子さんの背を高くしたいなら良い日本の食材があるのよ」

「それは筍。この食材は上に向かって伸びる力が強いでしょう。食材は陰性と陽性の2つに分かれるんだけれども、上に伸びるということは非常に陰性が強いことを表しているの。旬の季節にこれを陽性が強い子供に与えると背を高くする働きがあります」

陰性の強い筍が子供の身長を伸ばす

「ただし、食事の陰陽のバランスを取るために陽性の海草、例えばヒジキやアラメなどと炊き合わせるのがいいわね。ヒジキやアラメは骨の再生にも効くので骨折したときなどにも筍との炊き合わせを食べると効果があります」

食物の陰陽ですか。それを知っているか知らないかで健康に大きく影響がありそうですね。これは古来から研究されていたのでしょうか。

 「江戸時代中期のお医者さんで思想家の安藤昌益は次のように言っています。『一本の草木の中にも陰と陽が完璧にあるように、人間の体の中にも陰陽は完全にある』。そして、この秩序法則を尊敬してこそ幸福があると言っています」

 

 「また、明治時代の人で食養の元祖と言われる石塚左玄という人がいます。明治維新で日本の食文化が大きく崩れ、日本人の健康が害されることを懸念して『食物養生法』という食物と人間の体の関係を深く研究した人です」

「その石塚左玄によると食養には次の5原則があります」

食養の5原則とは

(1)食物が健康と幸福の基礎である

(2)ナトリウムとカリウム、陰と陽の2つの拮抗が基本的要素

(3)穀物が人間の一番正しい主食である

(4)一物全体(食物を丸ごといただくの意)の完全な調和のあるものでなければならない

(5)身土不二、三里四方に採れるものがよい

「石塚左玄は『食育』という言葉を最初に使った人でもあります。また、『食養道歌』というものをつくっています。その中に、春苦味、夏酢の物、秋カラミ、冬は油と合点して食えというのがあります」

「夏の暑いときは陽性の臓器である肝臓がますます強くなる。だから陰性の食物である酢の物を食べて調和を取りなさいという教えです。このように食べ物の陰と陽は常に意識していないと体に良いと思っていたのに、全く逆ということもあるんです」

若林さんはお塩の効用についても強調されています。しかし、日本ではお医者さんの指導で高血圧予防のためにお塩をできるだけ控えるように指導されています。お塩を取って大丈夫なのですか。

体に十分な塩分がないと病気になりやすい

「塩梅(あんばい)という言葉があるでしょう。人の体を気遣うときに使いますね。お体の塩梅はどうですか、と。人間にとって塩気のバランスがとても大事なことを言っています。最近、日本人で腑抜けの人が増えているでしょう。みんな塩気が足りないんですよ」

「お塩をちゃんと取らないと体温が上がらないんです。だから最近の若い人たちには冷え性や貧血、便秘症が増えているんです。そして気持ちも暗くなって覇気がなくなってしまうんですよ」

「昔の人は1日に30グラムほどお塩をとっていました。陰陽で言えば、塩気を持っている陽性の魚にも陽性であるお塩を振って、それを陽性の火で焼いて陽性の醤油をかけて食べていた。みんな陽性だから、それを食べている人は元気だったんですよ」

「貧乏人の子沢山という言葉もあるでしょう。たとえ貧乏でもみんな明るく元気で、今の男性のように精子が少ないなんていうことがなかったから元気な子供がいっぱい生まれた。人間の元気の源がお塩であることを再認識すべきだと思いますよ」

でも、そんなにお塩をとったらやっぱり高血圧が心配でしょう。

高血圧は塩分ではなく肉食に起因する

体温を上げる料理教室』(致知出版、若杉友子著)

「高血圧になるのは、お肉を食べ過ぎるからなのよ。お肉をいっぱい食べるとその副作用として甘いものが欲しくなる。これがいけないんですよ」

「お塩をたっぷり使った味噌や醤油、梅干には体温を上げ、新陳代謝を活発にする作用があります。また造血作用もあるから人間を元気にするんです。高血圧が塩分のせいというのは間違いなのよ」

「それからこれは大切なんだけど、日本で作られている野菜など多くの食物はその種がF1と呼ばれるもので、1代限りの種になっています。こういう種からは非常にたくさんの野菜や果物が取れます」

「例えばピーマンなんか1本の苗から300~400個も採れるの。しかし、日本の在来種のピーマンの種から作った苗からはせいぜい数十個しか採れません。工業化された野菜を食べるのは体に良いわけがありません」

このほかにも、若林さんのお話には今まで常識だと思っていたこととは違うことが多い。例えば小さい頃から体に良いから食べなさいといわれてきたピーマンは決して子供に良いものではないとか・・・。

油断大敵、冬に油をとらないと病気になりやすい

「先ほど、石塚左玄の『食養道歌』で冬は油と合点して食えというのがあったでしょう。体をあまり使わずにいるから陰性になってしまっている。そのときに油を絶ってはいけないという戒めです。油断大敵という言葉があるように冬に油を絶ってはいけません」

京都の山の中で築160年の古民家に住み、一汁一菜にこだわり、日本原種の種から育てた野菜や穀物だけを育てて暮らしている。お風呂は昔ながらの五右衛門風呂だそうだ。私たちはいつの間にか、日本の知恵を忘れていることに気づかされた出会いだった。

福島第一原子力発電所の事故で、日本の食料の健康と安全性が脅かされたが、それは逆に私たちが日本の良さを再認識する好機を与えてくれたと言えるのかもしれない。

吃驚するニュースが飛び込んできている!



Russia Says IMF Chief Jailed For Discovering All US Gold Is Gone

Posted by EU Times on May 31st, 2011

 

A new report prepared for Prime Minister Putin by the Federal Security Service (FSB) says that former International Monetary Fund (IMF) Chief Dominique Strauss-Kahn was charged and jailed in the US for sex crimes on May 14th after his discovery that all of the gold held in the United States Bullion Depository located at Fort Knox was ‘missing and/or unaccounted’ for.

According to this FSB secret report, Strauss-Kahn had become “increasingly concerned” earlier this month after the United States began “stalling” its pledged delivery to the IMF of 191.3 tons of gold agreed to under the Second Amendment of the Articles of Agreement signed by the Executive Board in April 1978 that were to be sold to fund what are called Special Drawing Rights (SDRs) as an alternative to what are called reserve currencies.

This FSB report further states that upon Strauss-Kahn raising his concerns with American government officials close to President Obama he was ‘contacted’ by ‘rogue elements’ within the Central Intelligence Agency (CIA) who provided him ‘firm evidence’ that all of the gold reported to be held by the US ‘was gone’.

Upon Strauss-Kahn receiving the CIA evidence, this report continues, he made immediate arrangements to leave the US for Paris, but when contacted by agents working for France’s General Directorate for External Security (DGSE) that American authorities were seeking his capture he fled to New York City’s JFK airport following these agents directive not to take his cell-phone because US police could track his exact location.



Once Strauss-Kahn was safely boarded on an Air France flight to Paris, however, this FSB report says he made a ‘fatal mistake’ by calling the hotel from a phone on the plane and asking them to forwarded the cell-phone he had been told to leave behind to his French residence, after which US agents were able to track and apprehend him.

Within the past fortnight, this report continues, Strauss-Kahn reached out to his close friend and top Egyptian banker Mahmoud Abdel Salam Omar to retrieve from the US the evidence given to him by the CIA. Omar, however, and exactly like Strauss-Kahn before him, was charged yesterday by the US with a sex crime against a luxury hotel maid, a charge the FSB labels as ‘beyond belief’ due to Omar being 74-years-old and a devout Muslim.

In an astounding move puzzling many in Moscow, Putin after reading this secret FSB report today ordered posted to the Kremlin’s official website a defense of Strauss-Khan becoming the first world leader to state that the former IMF chief was a victim of a US conspiracy. Putin further stated, “It’s hard for me to evaluate the hidden political motives but I cannot believe that it looks the way it was initially introduced. It doesn’t sit right in my head.”

Interesting to note about all of these events is that one of the United States top Congressman, and 2012 Presidential candidate, Ron Paul [photo bottom left] has long stated his belief that the US government has lied about its gold reserves held at Fort Knox. So concerned had Congressman Paul become about the US government and the Federal Reserve hiding the truth about American gold reserves he put forward a bill in late 2010 to force an audit of them, but which was subsequently defeated by Obama regime forces.

When directly asked by reporters if he believed there was no gold in Fort Knox or the Federal Reserve, Congressman Paul gave the incredible reply, “I think it is a possibility.”

Also interesting to note is that barely 3 days after the arrest of Strauss-Kahn, Congressman Paul made a new call for the US to sell its gold reserves by stating, “Given the high price it is now, and the tremendous debt problem we now have, by all means, sell at the peak.”

Bizarre reports emanating from the US for years, however, suggest there is no gold to sell, and as we can read as posted in 2009 on the ViewZone.Com news site:

“In October of 2009 the Chinese received a shipment of gold bars. Gold is regularly exchanges between countries to pay debts and to settle the so-called balance of trade. Most gold is exchanged and stored in vaults under the supervision of a special organization based in London, the London Bullion Market Association (or LBMA). When the shipment was received, the Chinese government asked that special tests be performed to guarantee the purity and weight of the gold bars. In this test, four small holed are drilled into the gold bars and the metal is then analyzed.

Officials were shocked to learn that the bars were fake. They contained cores of tungsten with only a outer coating of real gold. What’s more, these gold bars, containing serial numbers for tracking, originated in the US and had been stored in Fort Knox for years. There were reportedly between 5,600 to 5,700 bars, weighing 400 oz. each, in the shipment!”

To the final fate of Strauss-Kahn it is not in our knowing, but new reports coming from the United States show his determination not to go down without a fight as he has hired what is described as a ‘crack team’ of former CIA spies, private investigators and media advisers to defend him.

To the practical effects on the global economy should it be proved that the US, indeed, has been lying about its gold reserves, Russia’s Central Bank yesterday ordered the interest rate raised from 0.25 to 3.5 percent and Putin ordered the export ban on wheat and grain crops lifted by July 1st in a move designed to fill the Motherlands coffers with money that normally would have flowed to the US.

The American peoples ability to know the truth of these things, and as always, has been shouted out by their propaganda media organs leaving them in danger of not being prepared for the horrific economic collapse of their nation now believed will much sooner than later.



 
 日本のニュースで報道されたように、IMF専務理事のドミニク・ストロスカーン氏は本年5月、米ニューヨーク市のホテルで女性従業員に性的暴行を加えたという容疑で逮捕された。そして今月22日、検察は、被害者の女性の証言が信用できないとして、告訴を取り下げた。

事の顛末を見る限り、フランス大統領候補になる可能性のあったストロスカーン氏は氏のことを快く思わない人たちの罠に嵌ったとしか言いようがない。当然のごとく、ストロスカーン氏は、IMF専務理事の職を追われ、信用を失って来年のフランス大統領選へも出馬できなくなった。アメリカのネオコン派と通じているサルコジ大統領もさぞや喜んだことだろう。このように嘘でもよいからスキャンダルを仕掛けて評判を落とせば、政治生命を断つことは簡単にできる。

 こういうやり方をどうも「人物破壊」キャンペーンと言うらしいが、わが国でも小沢一郎氏が同様の手法で現在、政治活動を封じられている。都合の悪い人物は、こうして抹殺されていくわけだ。一般国民も意に介さなければよいのだが、どうしてもスキャンダルを嫌う人が多いために、情報操作が巧みな人々にいいように操られてしまうことになる。

 ところで、ストロスカーン氏が嵌められた理由は、様々に推測されていたが、上記の英文の記事によれば、世界一の金保有を誇っている米国政府が実際は、金塊を所有していない(偽の金塊を持っている)ことを知ってしまったというのが真相のようである。当然、IMF専務理事であれば、こうした情報を入手しやすかったことは間違いない。金塊が偽物であることは以前から度々、指摘されていたが、IMFの専務理事が確認したとなると事は重大である。

 

おそらく現在、ドルの減価が止まらないのはこのためで、ドルには何の裏付けもないことを玄人の投機筋は感づいているのではないか。それで米国は、この8月にデフォルト寸前にまで行ったのだろうが、もし、この記事にあるように偽金塊が原因だとすると、この先もドルの価値が戻ることはないことになる。

逆に言えば、現在、買われている日本の円には何らかの裏付けがあることを暗示していることになる。

 「金塊の誤魔化し」が暴かれる危険性があったためにストロスカーン氏に米国側がスキャンダルを仕掛けた事件だったというところだろう。

日本のマスコミには、ドルの価値は今後も揺らぐことはないという米国教信者が相変わらず多いようだが、悲しいことだが、真実は全く違うものであることが、もうすぐ、はっきりするのではないだろうか。

 また、この記事の中でも触れられているが、パキスタン・ディリーが2010年1月にこのことを記事にしている。対外決済のために中国が米国から受け取った5600本、400トロイオンスの金塊が偽物であったという記事である。

「役人たちは驚愕した。中はタングステンであり、周りに金メッキが施されていたのである。しかももっと凄いことがある。これらの金塊は打刻されたアメリカ製であり、数年間は米国財務省金管理庫において管理されていたものだったのである。」

このことを調査した中国によれば、こういった金塊がすでに6、000億ドル以上、不法に売買されていることが判明したとのことである。2008年にはエチオピア中央銀行から南アフリカに送金した金塊が同じく偽物であることが判明した事件もあった。この事実関係を世界のBBCが報道している。考えてみれば、2004年4月の時点で世界有数の投資銀行であるロスチャイルド・アンド・サンズ社が金を含む商品取引から撤退しているのも意味深である。ロスチャイルドがロンドンにおいて金の値段を実質上、決めていると言われていたのではないか。何らかの背景があって撤退したとしか考えられないのである。

もちろん、閉ざされた言語空間にある日本のマスコミでこう言ったニュースが報道されることはない。



 英国のBBCで報道されることが、どうして日本では報道されないのだろうか。



私には、それが戦後、日本人がアメリカニズムの催眠術にかかっているためだとしか思えないのである。私の勝手な予想を先に言ってしまえば、これから一、二年の間にアメリカが起こすデフォルト等の出来事により、多くの日本人が1945年以降、より強固になったアメリカニズムの幻想から目を覚ますことになると思われる。

 思えば、GHQの民主化政策で導入された6・3・3制の戦後教育制度の中で、巧みコントロールされたマスコミ報道、ハリウッド映画、アメリカのテレビドラマによって我々はあまりも鮮やかにある意味、騙されてきたのである。たとえば、「日本人は先の大戦において南京虐殺等の大変残虐な行為をしたので、広島や長崎に原爆を落とされても仕方がなかったんだ。」と思わされてきたのである。

 

考えてみれば、私は、日本人なのに能や歌舞伎よりハリウッド映画の方をよっぽどよく知っている。ビビアン・リー主演の「風と共に去りぬ」は20回以上見たし、オードーリー・ヘップバーン主演の「ローマの休日」も10回以上見ている。冷静になって振り返ってみれば、戦後のアメリカ文化の日本への浸透にはすさまじいものがある。フジテレビに対して現在、韓流偏重放送だと抗議している人たちがいるが、アメリカ偏重はその比ではないだろう。

 私たちの世代は、訳もわからず、「トムとジェリー」というアニメを見させられ、「ベン・ケイシー」や「コンバット」、「パパは何でも知っている」、「奥様は魔女」というアメリカのテレビドラマの再放送をずっと見させられ、米国の中流家庭の文化的な生活に憧れを抱くように誘導されてきたのである。小学校でもディズニィーのアニメ映画を何回か見せられた記憶がある。思い出してみよう。「巨人の星」という人気漫画に出てくるスプリングの塊の「大リーグ養成ギブス」、まさにアメリカメジャーリーグに対する憧れそのものである。その流れがあったからこそ、我々は、野茂、イチロー、ゴジラ松井秀喜のメジャーリーグでの活躍に心を躍らせたのではないか。



 ところで、上智大学の渡部昇一氏のような人々が1960年安保、1970年安保は日本にとって正しい選択だったと力説していたが、本当だろうか。

今から考えてみればはなはだ疑問である。そのために日本が独立国に近づく機会をみすみす放棄し、1980年代以降、莫大な国富を米国に貢ぐ道に嵌りこんだだけでないのか。米国の強硬な世界戦略に圧倒されたと言ってしまえばそれまでではあるが、

 最近よくよく考えておかしなことだと思うのだが、私自身が受けてきた学校教育の中で、本当の意味で日本の本質(哲学、思想、宗教、文化)を教えられる機会が全くなかったことに思い当たる。

 もしかして現在の日本の教育は独立国家としての体をなしてないのではないかとも思わないでもない。

かつて岡倉天心は「アジアは一つ」と言った。日本人として、欧米に対する対抗意識をはっきり表明したわけである。もちろん、宗教、哲学の底流に流れるものが同じであるという意味で言った言葉であって、アジアを一つにまとめる哲学・思想が彼によって表明されたわけではない。



私の尊敬する松岡正剛氏が岡倉天心の「茶の心」をたった10項目に要約している。以下。



01. 西洋人は、日本が平和のおだやかな技芸に耽っていたとき、日本を野蛮国とみなしていたものである。だが、日本が満州の戦場で大殺戮を犯しはじめて以来、文明国とよんでいる。



02. いつになったら西洋は東洋を理解するのか。西洋の特徴はいかに理性的に「自慢」するかであり、日本の特徴は「内省」によるものである。



03. 茶は衛生学であって経済学である。茶はもともと「生の術」であって、「変装した道教」である。



04. われわれは生活の中の美を破壊することですべてを破壊する。誰か大魔術師が社会の幹から堂々とした琴をつくる必要がある。



05. 花は星の涙滴である。つまり花は得心であって、世界観なのである。



06. 宗教においては、未来はわれわれのうしろにあり、芸術においては現在が永遠になる。



07. 出会った瞬間にすべてが決まる。そして自己が超越される。それ以外はない。



08. 数寄屋は好き家である。そこにはパセイジ(パッサージュ=通過)だけがある。



09. 茶の湯は即興劇である。そこには無始と無終ばかりが流れている。



10. われわれは「不完全」に対する真摯な瞑想をつづけているものたちなのである。



見事な要約である。



ところで、戦後、我々日本人の頭の中に張り巡らされたアメリカという甘い幻想が、もうすぐ、雲散霧消する時が近づいている。ドルが基軸通貨でなくなり、アメリカが覇権国でなくなる日が迫っているからだ。たしかに戦後ずっとアメリカは日本人にとって特別な国だった!

そのアメリカをもうすぐ、日本人は、中国、韓国、北朝鮮のように客観的に見ることができるようになる。そして、多くの日本人が知ることになる。「本当のアメリカは我々のイメージとは全く違う国だった」と。

おそらく、このことは、1945年 8月15日のような大転換を日本にもたらすことになるだろう。明治維新以降、欧米金融資本によって国民国家としての道を歩まさられた日本が真の独立国になるチャンスがやっと訪れるのだ。

 

そのためには、新しい思想家が日本に出てくる必要がある。言うならば、二十一世紀の岡倉天心の出現が望まれる。日本、東アジア、をゆるやかにまとめていくことのできる哲学・思想を語ることのできる思想家が今、時代の要求なのである。



 ところで、現実的な問題は、アメリカが覇権国から普通の国に転落することによって日本が独立国になるチャンスを手にすることになった場合、日本はどの位の損失を被るかということであろう。



 わかりやすく言えば、アメリカから借金の棒引きをどこまで要求されるのかということだ。



現在、日本は、官民合わせて結局、1,200兆円ほど、アメリカにお金を貸していると言われている。アメリカがデフォルトして北米共通通貨「アメロ」を作るという情報も3,4年前から流れ始め、最近はサンケイ新聞も取り上げたようである。いろいろ言われているが、旧ドルに対する交換比率は3;1とか5:1だとか言われている。もし、3:1なら400兆円位はもしかすると返ってくるかもしれないということである。

 ところで、この1,200兆円という金額は、日本が平成バブルの崩壊(株式と土地の価格の暴落)で失った金額とほぼ同じ金額である。

現在、米国のデフォルトによって日本国が破綻するような事をいう評論家が多数存在するが、本当だろうか。竹中平蔵氏のような極端な人は、米国のデフォルトを避けるために日本は死ぬまで米国にお金を差し出すべきだと主張している。

 日本がバブル崩壊で被った損失額が1,200兆円。米国のデフォルトによって被る損失額は1,000兆円近くだろう。官民合わせて莫大な損失を被るわけだ。日本を米国から独立させるためにはそれだけの犠牲を払う必要があるということを意味しているのだろう。

もっとも、米国に貸したお金の回収は、もともと非常に難しいのだから、帳面に載っていた数字だけど、実際には使えない数字が消えるだけのことだとも言えなくはない。



 さすがに事態がここまで進めば、日本銀行も日本の中央銀行であることを思い出すであろう。米国国際金融資本とつながりのある人も君子豹変して手の平を返すのではないか。つまり、日銀が日本の金融秩序を保つために危機に陥った金融機関に対して米国のFRBが2007年のリーマンショック時にしたように公的資金を注入するはずである。

(*米国は、サブプライム問題に対処するために、公的資金注入を行った。アメリカの場合、救済額は桁違いである。今年7月、アメリカ会計検査院(GAO)がアメリカ連邦準備理事会(FRB)に監査を行った結果、07年12月から10年7月21日までに金融機関に行った融資の総額が16兆1千億ドルであったというのである。よく数字をみてほしい。問題になっているアメリカ政府の赤字は約1兆5千億ドルだ。アメリカのGDPは14兆1200億ドルしかない。しかしFRBが金融機関に融資したのは16兆ドル、アメリカのGDPを上回っている。)

日本の政府や日銀がごく普通の対応をできれば、日本政府が破綻することは有り得ないし、したがって、日本経済が破綻することも有り得ない。

 日本の有名な経済アナリストがこう言っている。「円高は止まらない。大変だ。」「日本は破綻への道を突き進んでいる」そうであるなら、破綻に突き進んでいる国の通貨が最も高く評価されていることの説明をしてもらいたいものである。彼が言っていることが正しいなら、円は暴落しなければならないはずである。

 たしかにこのことによって年金の運用資金、大学の運用資金、農協をはじめとする金融機関の資産運用資金、生命保険、郵便貯金、投資信託、個人の野心的な投資家、多くの方が大損することになるだろう。為替仕組債で資金調達している大阪府のような地方冶自体も大変な事態に陥るだろう。

 しかしながら、そうなって初めて本当の戦後史を国民の多くがようやく知ることになるのだろう。   



おそらく、その時から日本を独立国にする私たちの苦難の道が始まる。



「ひとことで言えば、自他ともに幸せになり、その社会を人間の望みうる理想のものとするには、日本を見習うべきだということなのである。―――もし自然が生活に必要なもの、そのすべてを与えたとしたら、そして、もしその国が国民の勤勉により、世界に例を見ないまでに発展しているとしたら、その国は外国に頼るこなしに存在できるのである。これは大きな利点である。これによって他国より来る邪悪、放蕩,軽薄、戦争、変節などに乱されることなく、国内に大きな問題も起こらず、危急の場合、外国の攻撃から身を守ることができるのである。これこそ日本が他国よりすぐれている点である。」著者の生前は出版されることのなかったケンペル著「日本誌」の一節から岩松睦夫著「緑の大回廊~森が語る日本人へのメッセージ」(1984年 東急エージェンシー)より



(ペリーが黒船で日本を脅す前に読んでいた日本についての情報は、ケンペルの『日本誌』によっていた。シーボルトが日本にくる前に読んでいたのもケンペルの『日本誌』である。ケンペル以降に日本に来た外国人の大半は『日本誌』を読んでいる。世界的なベストセラーだった。江戸時代の日本を西洋人は上記のように理解したのである。)

*今回は本の紹介です。亡くなられた吉川元忠氏の『マネー敗戦』で捉えられている構造~資本輸入国が基軸通貨国となる矛盾を為替ディーラーの女性が現代にあわせて解説しています。投資信託・生命保険、米国との商取引等で意図せず米ドルに投資させられている日本人、法人が多いなか、日本経済の仕組みを考える上でも是非、読んでいただきたい一冊です。

                                    

<吉川元忠氏プロフィール>

1953年都立日比谷高校、1958年東京大学法学部卒業。日本興業銀行に入行。同行産業調査部副部長などを歴任。その後サセックス大学やコロンビア大学で客員教授に就任。聖学院大学政治経済学部教授を経て、1995年より神奈川大学経済学部教授。2005年3月退官。著書『マネー敗戦』でバブル崩壊後の日本経済の低迷を日米マネー戦争の敗北の結果であると論じ、大きな話題となる。

まず、最初に吉川元忠氏の『マネー敗戦』について

この本は、1980年代前半から1990年代後半までの日本経済史そのものである。

プラザ合意から円高、バブルとバブル崩壊、日米構造協議、アジア通貨危機からBIS規制へと「マネー敗戦」の経過が詳細に分析されている。

吉川氏が「マネー敗戦」で捉えられている構造とは

80年代前半、米国のマネー経済はレーガノミックスの下で急速な変貌を遂げ、経常収支が赤字となり、資本を輸入して赤字を埋めるようになる。世界一の債権国だった米国は一転して世界最大の債務国になり、その債務を穴埋めしたのは日本からの海外投資だった。本来、資本輸出国と資本輸入国との関係では、資本を輸出する側が自国の通貨建てで起債し、資本輸入国が発券した債券を輸出国の貯蓄超過分が吸収する。ドイツはそのようにして、ユーロ・マルクによる起債で資本輸入国の債券を発行させ、その債券をフランクフルト市場に上場させることを発券側に求めた。日本は、なぜか円建ての起債ができず、ドル建て債券である米国債の購入のみで資本輸出を続け、対外純資産をドルで貯めこみ、相次ぐ為替切り下げによって膨大な資産減価を余儀なくされた。日本が蓄積した経常黒字と対外純資産は為替変動で常に減価させられ、日本経済のデフレ圧力となり、デフレ圧力は輸出条件の円安ドル高を求め、円資金はドル債券に流れて米国経済に成長と繁栄をもたらした。米国は基軸通貨特権の行使によって、日本から米国へ富の移転を自由自在に実現し、その構造を維持して成長と均衡を達成している。

資本輸出国が為替リスクを負うという本末転倒した不平等・不合理な構造。ドルを支えるために資産減価の自己犠牲をなぜか、身を滅ぼすまで続ける日本のエリートと円。これこそ吉川氏が告発する捻じれた日米経済関係である。80年代前半に原型ができたこの構造を米国はずっと後生大事にし、日本の「マネー敗戦」後の21世紀まで持続、さらにその構造の中に中国をも組み込み、現在まで続いている。

その矛盾に岩本女史は、為替ディーラーの現場で仕事する中で気づき、今回紹介する本の中で告発している。

 

『為替占領』

岩本沙弓著(ヒカルランド)

 

直近の8月4日の日銀による為替介入では、一日で4.5兆円もの資金が投じられたと報道されている。「短期債券という日本国債発行によって作られたこれだけの資金」が、ドル資金に変わり、米国債として米国の財政を国会の承認もなく支えていく。もちろん、米国の天文学的な債務残高に比べれば、雀の涙程度にしか過ぎないが、地位にしがみ付きたい菅 直人総理としてはこれで米国のご機嫌を取っているつもりなのだろう。
 

ところで、為替介入は「円高是正」という名目で行われているが、現在のわが国は本当に円高なのだろうか? 

論理的に考えるとこの説明がウソであることは専門家ならば皆知っている。

では、そのことを説明しよう。
 周知の如く、円とドルを比較して、円の価値が高くなってドルが安くなることを「円高ドル安」と我々は通常呼んでいる。1ドル100円が80円になれば、円高と解釈される。海外旅行をしたときに、100円で買っていたものが80円で買えるわけだから、円で買い物すれば割安になる。外国人が日本へ旅行すれば、逆の現象となる。この辺までは、誰でも少し考えれば理解できるはずだ。ドルを中心に考えているために、1ドル当りの円が少なくなっていくと「円高」になるわけだ。
 以上の見方は我々の社会常識だが、実は間違った考え方なのである。単純に円だけを考えてみてもわかるが、通貨の価値は一定ではない。経済状況や時代によって、価値が変遷していく。明治時代の1円は、今の1円よりも遥かに大きな価値があった。かつて百円札があったが、その時代はお札にするほど100円にも価値があったのだ。この点は、どこの国の通貨でも同じで、米ドルも同様だ。同じ1ドルと言っても、価値は常に変化している。
 当然のことだが、国民生活にとって重要なのは、手持ちの通貨によって生活が成り立つかどうかだ。たとえ1兆円持っていたとしても、第一次世界大戦後のドイツのようにハイパーインフレに見舞われ、パンを買うのにマルクをリヤカーに積んで行かなくてはならない状況でどうしようもないだろう。つまり、通貨の価値とは相対的なものなのである。
 もちろん、このことはほとんどの方が理解しているはずだが、どういうわけか為替の話になると勘違いしてしまう人が多い。表面的な80円とか76円とかの数値に騙されてしまうのである。為替変動に関しても、当然相対的な価値で考えなければならない。

つまり、自国や相手国がインフレなのかデフレなのか考慮する必要がある。仮に日本がデフレで米国がインフレといった違いがあるのならば、物価変動分を是正して比較しないと意味がない。(もちろんこの外に、貿易の比率も考慮に入れる必要がある)
 当然、このことは日本銀行も理解しているから、我々が普段目にする為替レートを「名目為替レート」、各国のインフレ率や貿易の比重を加味したものを「実質実効為替レート」と呼んでいる。重要なのは、後者の「実質実効為替レート」の方であることは言うまでもない。
 ご存知のように現在、わが国がデフレである。デフレでは通貨の価値が相対的に上がるから、他国がそれ以上のデフレでない限り、その国の通貨に対して円は値上がりすることになる。したがって、現在の米ドルとの関係では、円が上がって当然だと言うことになる。
 「名目為替レート」と「実質実効為替レート」については、日本銀行のHPに公表されている。以下のものがそれで、赤線が「名目為替レート」(左目盛り)、青線が「実質実効為替レート」(右目盛り)となっている。(http://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/cgi-bin/famecgi2?cgi=$graphwnd)



 これを見ると、いろいろなことがわかるが、直近の「実質実効為替レート」は103ぐらいになっている。(「実質実効為替レート」は指数で、2005年を100としている) 103なら、2005年当時(小泉政権)と比較して円高とは言えないはずだ。
 大企業には優秀な社員が揃っているから、名目レートと実質実効レートとの違いを知らないはずはない。にもかかわらず、名目レートでの採算割れを強調しているのは、為替介入よる差益を期待しているからに他ならない。本当は円高ではないのに損失が出ているのであれば、それは企業経営に問題があることを意味しているだけなのである。
 為替介入した結果、米国債という形でドルは米国内へ流れ、その資金が米国の景気を刺激する。そのことがわが国の輸出企業の利益にもなっている。ともあれ、円高是正を目的とした為替介入は、輸出企業にとってどうにもうま味のある話であることは間違いない。彼らも利益を追求するビジネスマンであることを忘れてはならないだろう。利益になるのであれば、当然、手段は厭わないはずだ。
 よくよく考えてみればわかることだが、為替介入で割を食うのは、回りまわって税金で最後に負担させられる一般国民の方である。あまりに大きな仕掛けなので、騙されてしまうのであるが、最後に誰かがそのツケを払うわけで、それがサイレントマジョリティーである一般国民なのである。この構図を改めるには、少しでも本当のことを知る日本人が増えるしかない。

ところで、米国の格付け会社スタンダード・アンドブアーズ(S&P)が、米国債の格付けをトリプルAから一段階下げたが、ヨーロッパ諸国の財政も危機的状態なので、わが国の財政も同様の事態あるいはそれ以上として、警鐘を鳴らす不可思議な人たちが後を絶たない。

しかし、本当のことを言えば、これは悪質な便乗商法であって、決してまともな日本国民は真に受けてはならない。経済の専門家と称する人たちの大半は、原発ムラの住人同様、御用学者で、権力者の太鼓持ちを務めている。
 財務省や財務省に踊らされる日本のマスコミが囃し立てるように日本の財政は確かにピンチで、政府債務は天文学的な数字になっている。しかしながら、G7の国々の中で日本政府が持つ政府資産は突出して巨額である。不思議なことにこのことを指摘する人は、ほとんどいない。(日本政府の純債務は、300兆円ほどである。)また、日本の国債は殆どが国内で購入・運用されているので、外国に対する債務が返済不能となるデフォルト(債務不履行)に陥ること不可能なのだ。

残念ながら、日本政府は、現状では、デフォルトしたくともできないのである。

 それでは、日本人は外国の権威筋の発言を盲信する傾向があるので、我国の財政についてIMF(国際通貨基金)が何と言っているか、昨年10月に発表された「国際金融安定報告書(GFSR)」の中から引用してみよう。(「為替占領」から引用)

 短期的に見て、日本の国債市場に問題が起きる可能性は考えにくい。安定的な国内貯蓄と大幅な対外経常収支の黒字のおかげで、国債消化のために国外資金はこれまで必要とされてこなかった。しかし、長期的に見れば、人口が老齢化し労働力人口が縮小するに従って、債券市場を支えてきた民間貯蓄の高さ、投資の国内バイアス、円資産に代わる代替資産の乏しさといった要素は弱まるであろう。

 このように短期的には何の問題もないわけだ。IMFが指摘しているように、デフレ経済が長引いて民間貯蓄が減少すると国債の消化は難しくなるが、逆に言えば、貯蓄が増え続けている限り、国内消化は可能なわけである。(デフレ脱却する経済政策ができれば、中期、長期的にも何の問題もない。このことを「日本封じ込め政策」によって1985年以降、ブロックされてきたのだ。)

 また、わが国の国債は極めて低金利だが、これは国債の価値が高く、買い手に不自由していないことを示している。国債を買っているのは、金融機関を中心とする機関投資家と郵便局の資金だ。要は、国民一人一人の預貯金が国債の購入に当てられているのである。現在は超低金利だから、国債の金利と預金利息の差が銀行の収益となっている。銀行が預金を集めるのに熱心なのは、このためだ。
 したがって、勤勉な日本人が生活を切り詰めて預金してくれる限り、国債を発行しても買い手がいなくなることはあり得ないし、ましてや暴落することもない。預金などの増加ペースに合わせて国債を発行してゆけば、問題が生じることはないはずだ。

政府(財務省)は、この辺の因果関係を熟知しているから、国債が売れ残るという事態には至らない。

 機関投資家は、所有する国債を貸借対照表に掲載しなければならないが、ここで問題が一つ生じる。不良債権は評価減する必要があり、不良債権が多いと経営を圧迫する。国債も債権の一つだが、国債に関しては対象外となっている。これには「時価会計」が絡んでいるが、著者はこう説明している。

 現在の日本でなぜ市中にお金が出回らず、国債の発行額が増え続ける中で、国債の暴落が発生しないのか。そこには国債の時価会計が免除されているという点が大いに関係している。時価会計が免除となれば、購入した債券は毎年安定した運用益を生み出すだけである。利回りが低下して運用益が少なくなれば、その分購入額を増やせばよい。たとえ、債券市場が急落したとしても、評価損は表に出す必要がないのだから、運用益だけが順調に溜まっていく。

 少しテクニカルな話だが、概要はご理解いただけるのではないか。時価会計は、(見かけの)景気がよかった米国で導入された制度で、期末に資産を時価で評価し直す手法です。実態のないカラ景気に湧いていた米国企業にとって、都合のよい制度でした。日本やヨーロッパでも導入が検討されましたが、リーマンショックで自分たちの尻に火がつき始めると、これまでの方針を180度転回して時価会計を反故にしてしまいました。損失がなるべく少なく見えるように、制度を変更したのです。

 米国は真に身勝手な国で、自分たちの都合のよいように制度変更します。それが覇権国の特権だというわけでしょうが、リーマンショックの時にはお仲間の企業に資本注入して、世界中を唖然とさせました。普段は市場原理主義を謳っていたのに、この時は露骨な社会主義政策を推進しました。倒産させると社会的な影響が大きすぎるというのが救済の理由でしたが、当の米国は平気で他国を転覆したり、経済崩壊に導いたりしていますから、勝手なものです。 この制度変更により、我国でも国債の時価評価をしなくてもよいことになり、機関投資家による保有が拡大しました。これまで日本から収奪しまくってきた米国ですが、日本より先に米国が沈没しつつあります。先日、米国の株式市場は暴落しましたが、今後もこうした状況が続き、以前の姿に戻ることはないでしょう。他国を陥れた因果は、巡り巡って自分のところへ戻ってくるのです。我国は、これ以上巻き添えを食わないようにしなければなりません。

 

これまで縷々述べてきたように、日本が財政破綻してデフォルトに陥ることはありません。将来的には判りませんが、少なくとも現状では破綻は有り得ません。にもかかわらず、財政破綻を声高に唱える人が後を絶ちません。彼らは何を考えているのでしょうか?

 こうした日本破綻論者の特徴は、金融資産のリスク管理を奨めていることにある。

具体的には、株式購入や海外預金を勧めるケースが多いようだ。要するに外資のために、投資の勧誘をしているわけで、人の好い日本人の恐怖心を煽って判断能力を失わせようとしているのだから、詐欺に近いと言うべきかもしれない。
 例えば、ポピュラーなのは米ドル預金だが、普通に考えたらドル安傾向に歯止めが掛らない現状では、ドル預金をすると確実に損をするしかない。しかし、「日本が財政破綻して沈没しても、ドルは基軸通貨だから安全」というよくある破綻本のストーリーに乗せられてしまったら、心配になって海外へ資金移動する人が出てくるかも知れない。

 この点に関して、岩本女史は次のように述べている。自らの体験を述べているから、非常に説得力がある。
 仮に日本破綻推進派の言う通り日本が破綻し、日本の経済状況がとんでもないことになっても、外貨預金をしているから円安に振れても大丈夫、などとどうして言い切れるのだろうか。個人でも法人でもよいのだが米ドル預金していたとして、たとえ邦銀にドル口座を持っていたとしても邦銀は日本国内に米ドル勘定を持っているわけではなく、米国のFRBの当座預金で最終的には全て米ドルのコントロールがされる仕組みとなっている。すると、どのようなことが発生するか。日本経済が崩壊しているときにドル預金の引き出しを頼んでも、対日本への送金には決済リスクがあるなどと理由をつけて、つまりこんなに経済が混乱していては資金を動かすことこそが更なる混乱を招くと言ってあっさり停止されるのがおちだ。大々的に宣言しなくても、実質的な対日預金封鎖ということだ。
 まさかと思われるかもしれないが、911同時多発テロの際には動かさないでくれと米銀から言われた日本の米ドル資金が実際に大量にある。送金しても決済がきちんと確認できるのか非常事態ではわからないので、資金は動かしかねるというのだ。銀行側の人間として本店の意向に従い日本の顧客に頼んだ本人が言うのだから間違いない。決済リスクはいかにも正論に聞こえるが、混乱に乗ずると何でもありになってしまうということを個人投資家も肝に銘じておくべきだろう。

 外貨預金するということは、自分の手が届かないところへ資金が移動することを意味する。それが米国のような大国であった場合は特に、実質的に預金封鎖されるリスクが高い。こんなことは、日本の金融マンは、決して教えてくれないが、落ち着いて考えれば容易に想像がつくことである。
 

ドル預金等の外貨預金を奨める人も、ここまで理解しているとは思えないが、結果として外資の手先として働いていることになる。
 

それでは、日本国破綻を強調する人々の動機は様々考えられるが、彼らの裏にいる国際金融資本家たちは何を考えているのだろうか?  つまるところ日本破綻論を展開し、あるときは為替介入によって日本政府を通じて、あるときは内外の金利差や、海外投資商品の高金利をうたって日本国民の資金を海外へと導き出したあとに円以外の通貨価値の減価により、日本国が貸している資金を棒引きにするためのシナリオが動いているのではないかと考えるのが自然である。

 国際金融資本家にとって、ドルの価値を上下させるのは容易だが、円の方はさすがに自由に操れないようだ。そこで円を外貨預金という形で海外流出させ、減価してしまえばよいわけだ。そうすれば、米国の借金を棒引きすることができる。この場合、日本破綻論者は、しっかりと彼らのお先棒を担いでいることになる。

 当り前のことだが、世界一の債権国であるわが国の金融資産は外国から狙われている。こんな状況下で、国際政治・経済のことを知らない人が海外へ投資するのは、カモがネギを背負って行くようなものである。

為替取引の現場からの貴重な指摘を是非、多くの方に知っていただきたい。



また、この本を読んでいただければ、以前レポートで指摘させていただいた日米経済戦争のカラクリがよくわかっていただけるのではないだろうか。

 歴史上、戦争に負けた国=日本が世界一の債権国(金持ち国)になり、戦争に勝った国=米国が債務国になった歴史は、不勉強なので確認はしていないが、おそらく世界史上、初めてのケースではないか。その不可思議な関係が、1980年代以降の日本経済の通常では考えられない軌跡を作り出してきた。

もし、日本が戦争に負けていない普通の国だったら、日本国民は世界一の債権大国の国民として、世界で一番豊かになれたはずである。そして世界中の美術品、文化財が日本に集まってきたはずである。当然、日本の「円」がドルに代わって国際基軸通貨になっているはずである。ところが現実にはそうはならない。日本が戦争に負けた国で、米国の保護国だからそうならないのである。この仕組みをそろそろ、日本国民も理解する必要があるはずだ。



簡単に言えば、1960年代、1970年代の日米貿易摩擦は、日本が債権大国になった時点、冷戦終了間際から、アメリカの一方的な都合で日米経済戦争になったのである。

事実、当時の国防次官補ジョセフ・ナイ氏も「ソ連は崩壊した。今後はアジアでの日本に対しての経済戦争だ!」と明言している。

 

 ご存知のように戦後、日本は経済復興に集中し、アメリカに追いつけ追い越せで一生懸命頑張ってきた。それが1970年代で追いつき、1980年代にはついに逆転した。そのため米国は、冷戦後は「日本経済封じ込め」を世界戦略の第一番として実行してきた。 

ここに日本の思惑とは全く関係なく米国による一方的な日米経済戦争が開始されたのである。 

 米国は冷戦後、ご存知のように日本へ厳しい対応を始める。

日米経済戦の開始は、1985年のプラザ合意である。

 そして一つの時代の終わりを告げた1989年のベルリンの崩壊、日本経済のバブル崩壊、1991年のソビエト連邦崩壊と続いて行く。そして1993年クリントン大統領誕生での「ジャパンパッシング政策」=米国は、冷戦終了間際から、「ジャパンアズナンバーワン」と言われる程の経済大国になった日本を「プラザ合意」、その前後には、中国の「元」の大幅切り下げを認め、「ジャパンパッシング」と称する日本経済封じ込め戦略を着々と実行し、結果、現在の中国経済の成長を演出することとなった。目先の利くユニクロの経営者のような人々はおそらく、米国のその戦略を事前に知っていたはずだ。

 1996年橋本内閣の誕生で金融ビッグバンを始める。もちろん、米国に騙されて押しつけられた政策だ。グローバル化、金融自由化政策とは米国の利益のためのルール変更であり、これで「日本株式会社」の経済成長の道は険しいものとなっていく。

 1998年小渕内閣が誕生し大規模な財政出動による景気浮揚策を始めるが、小渕総理は本当に不可思議な死に方した。これも一説にはCIAによる暗殺だという説がある位だ。たしかに小渕氏が生きていたら、日本はこの時点でデフレから脱却していたかもしれない。

 そして2000年に密室談合で決まった森内閣、2001年小泉内閣の誕生で日本および日本社会はいわゆるワシントンコンセンサス:グローバリズム=米国の国益のための構造改革路線を突き進むことになる。

これらを年表にしてみると

<貿易摩擦から経済戦争へ>

1985年 日米が経済開戦   

    ・日航機123便撃墜事件発生 8月12日 

    ・プラザ合意 9月22日   



1995年 ・阪神淡路大震災 1月17日

     ・地下鉄サリン事件 3月20日

1996年 橋本政権誕生 ・金融ビッグバン

1998年 小渕首相誕生

    ・大規模財政投資で景気浮揚策

    ・突然死で2000年森政権発足   

2001年 小泉竹中政権の誕生

    ・郵政民営化

    ・製造業派遣労働解禁等の政策

2009年 鳩山小沢政権誕生

    ・2010年 管政権に転換:従米路線に変更

2011年 3.11東日本大震災



日本と米国との経済問題は、1985年以前の冷戦時には貿易摩擦で留まっていた。

そして1985年、日本政府は円高容認のプラザ合意に屈し、為替は合意時1ドル240円から1989年には120円まで上昇、日本保有米国債の価値は1/2に、日本は膨大な為替差損を被ることになった。



2000年4月には小渕首相が突然死で森内閣になり、2001年に小泉・竹中政権が発足し、郵政民営化を始めとする数々の日本の改造政策を米国の意向通りに進めていくことになる。



米国の要望による小泉・竹中政権の米国のための政策を列挙すると

・郵政民営化

・製造業派遣労働解禁(1999年から実施)

・残業代ゼロ合法化

・ゼロ金利政策の継続

三角買収の許可(会社法の改正)

・為替介入名目で米国債大量買付

・長銀等の解体による日本金融機関の叩き売り



郵政民営化は、もちろん郵便貯金と簡易保険の資金350兆円を米国が手に入れるための政策だが、まだ成功はしていない。最も普通の国民に影響を与えたのは製造業派遣労働解禁や残業代ゼロ合法化の改革かもしれない。





それでは米国によって一方的に仕掛けられた日米経済戦争の結果はどうなったのか。

1980年~2010年の日米中GDP推移を下図に示す。



 

日本のGDPのピークは1995年でありその後は全く経済成長できない状態に封じ込められている。一方米国は、順調に右肩上がりの上昇を描き、日米経済戦争において米国が勝利したことがよくわかる。軍需産業と農業以外目立った産業がない米国が軍需力を背景に世界からカネを収奪する帝国循環を作り出した結果であり、その筆頭は日本、サウジ及び最近は中国からであると言われる。つまり、日本を中心に合法的にお金を収奪することによって米国は金融立国に成功したのである。



日本を踏みつけにして順調に拡大していた米国経済であったが、最近は当然のごとく大変な状況に落ち入っている。サブプイムローンによる住宅バブルの崩壊で金融恐慌から本格的恐慌へと病は進行中である。世界へ金融工学詐欺技術によって不良債権を売ったことで信用も低下し、米ドルの下落が止まる気配がない。返済不可能な負債(実際には日本円にして6,000兆円以上)を抱えた米国は、「帝国以後」のエマニュエル・トッド氏が言うように覇権国家転落目前である。

そういった事態を少しでも先延ばしするためには現在米国は、手段を選ばない状況まで追い込まれていることを日本人は認識すべきであろう。



上記のGDPのグラフを見ればわかるように、米国がもし1980年代に日本に対して何の手も打たなければ、文字通りジャパンアズナンバーワンになっていたのである。

おそらく、プラザ合意以降、日本から米国にファイナンスされた金額は軽く1,200兆円を超えるのではないかと思われる。そして現在の米国経済の状態からみて残念ながら、その元本が返ってくることはほとんど有り得ないことを日本人は覚悟する必要がある。

かつて英国人の経済アナリストのピーター・タスカ氏がニューズウイークでこんな指摘をしていた。

(引用始め)

(『ニューズウィーク日本版』2004.2.11号「ON JAPAN」)

「日本政府は為替市場でまったく惜しげなく金を使っている。正確にいえば、日本は『使っている』のではなく『貸している』。為替介入は米国債を買う形で行われているからだ。金を使っているのは米政府だ。戦争をしながら減税を行い、政府機能も拡大する『ブッシノミクス』が可能なのは、日本が気前よく金を貸してくれるおかげだ」。 

「日本政府は国内で歳出を抑えているのに、海外では何十兆円もの金を平気で投じている」。

「国の財政が本当に破綻寸前なら、何十兆円もの金がどこから出るのか。日銀が刷っているのだ。その一方で日銀は、市中から金を吸い上げることで、影響を相殺している」。

「ここで浮かんできた疑問に、誰か答えてくれないだろうか。日銀はアメリカの減税を間接的に支えているのに、なぜ日本の減税を直接支えないのか。日本政府はイラクの経済復興を支援しているのに、なぜ破綻寸前の日本の地域経済を立て直そうとしないのか」。

「日本のエリートは……なぜ庶民の生活の質を高めるために力を尽くさないのか」。

(引用終わり)



おわかりだろう。残念なことだが、米国の保護国である日本のエリートは米国の顔色を見て仕事をしているのである。我々国民の方を向いていないのである。そしてそのことをマスコミが資本の論理に従って米国の支配を受け、隠し続けてきたのである。

ところが、3・11が今までの日本の政治経済構造の一部を表に出しつつある。現在は文字通り、1985年に始まった日米経済戦争が覇権国である米国の衰退によって最終局面に入りつつあると考えるべきであろう。

おそらく、ほとんどの日本人は、マスコミが本当のことを報道しないので、日本が米国と経済戦争をしているとは考えていないはずである。現在、米国が一方的に経済戦争を日本に仕掛けてきてすでに四分の一世紀が過ぎようとしている。

今こそ、本当のことを恐れずに語る政治家・ジャーナリストの登場が必要だ。





(引用始め)

『月刊日本』20101月号 羅針盤より

自殺者は日米経済戦争の戦死者だー

 

 朝日新聞の十二月六日朝刊、オピニオン欄の「世界衆論」のところに、「日米安保50周年 日本外交を問う」と題する、丸々一ページを使った座談会が載っている。出席者は、岡田克也・外務大臣、五百旗頭真・防衛大学校長、久保文明という東大教授の政治学者、藤田直央という朝日の記者、以上の四人である。

 

この中で五百旗頭氏が言っていることが、なかなか興味深い。日本の戦後は、「米国の力を日本の安全に活用した日米同盟があったので、軽軍備でやっていけた。米国はGDP(国内総生産)の4%以上を軍事費に投入し、今や平和な欧州も3%の軍事費を費やしている。日本は0・9パーセントで済んでいる。」「もし日米間に信頼が失われ、日米同盟が揺らげば、例えば核とミサイルで北朝鮮から脅かされる際に、日本の中では危機感が過熱し、『核武装が必要だ』とか『自前の完結した軍事能力がいる』となる。そうなれば欧州のように軍事費は3%水準になる。」
 同じようなことは、元外交官も言っている。十月二十一日の産経新聞によれば、松山市で前日行われた、愛媛正論懇話会の講演で、前駐米大使でプロ野球コミッショナーの加藤良三氏が、「日米安保廃棄で日本がGDP(国内総生産)比で防衛費を諸外国並みとすれば、さらに数兆円規模の予算が必要になる」と言ったという。両氏が語っているのは、従来から常々言われてきた、安保条約のおかげで日本の軍事費が少なくて済み、経済的に助かっていると言う話である。それは戦後の経済復興の時期だけでなく、現在においてもそうだから、安保条約を維持すべきと言う論であり、これ自体は極めて陳腐な議論である。
 日本の軍備について殆ど知識のない私が、両氏の話で特に感銘を受けたのは、軍事大国のアメリカはいざ知らず、諸外国並み、欧州並みの軍事費を投入すれば、「自前の完結した軍事能力」も持てるし、核武装もできるという指摘である。すなわちそうなれば、安保条約は廃棄することができるのである。五百旗頭氏は、その言動についていろいろ批判されている人物であるが、防衛大学の校長なのだから、日本の防衛についてデタラメなことを言っているわけはないだろう。高級外務官僚だった加藤氏も同じだろう。この指摘は私にとって、新鮮な驚きであった。
 ただし私は以前から、安保条約のおかげで日本の経済が助かってきた、という説明には本当なのかと疑念を抱いてきた。経済成長期に、安保のおかげで経済に集中できたとされるが、例えば中共では、急速な経済成長と軍備の大拡張とは、立派に両立してきた。更に言えば、通説とは全く逆に、安保条約のために、日本の経済が甚大な被害を受けた側面があるのではないか。それは日本の経済が成長するにつれて、アメリカが警戒するようになったことである。一般にソ連の崩壊によって、アメリカの警戒対象が、ソ連の軍備から日本の経済に移ったとされるが、それ以前から日米経済摩擦は存在した。経済における対日攻撃は、プラザ合意、構造協議、年次改革要望書などと続き、小泉改革にまで至る。
 問題はその攻撃に対して、日本の政治家も官僚も、たいした抵抗もできずに屈服してしまったことである。この戦後の経済的敗戦を、「第二の敗戦」と言っているが、第一の敗戦と大きく違うのは、戦わずして負けたということである。ではなぜだらしなく屈服してしまったかと言えば、それは国防をアメリカに完全に依存した、アメリカの保護国であるからに他ならない。つまり日米安保があったために、日本は甚大な被害を蒙って、経済的に敗北したと言うことになる。それが「失われた十年」どころか二十年であり、この間GDP は殆ど伸びず、一人当たりGDPで見れば、世界三位から一挙に二十位近くに急落した。
  

ところで現在の経済の苦境の原因を、小泉改革のみに求める人がいるが、それは明らかに正しくない。最も簡単に分かるのは、自殺者の数である。自殺者数が、それまでコンスタントに維持していた二万人台から、一挙に八千五百人増えて三万人台になったのが、一九九八年(平成十年)である。それに対し、小泉首相の登場は三年後の二〇〇一年の四月である。以後、自殺者数は現在まで、一貫して三万人台を保ち続けている。自殺の原因はいろいろあるとしても、その根本原因は経済の不況であることは、全く疑いようもない。
 つまり不況の自殺者とは、端的に言って日米経済戦争における戦死者なのである。大雑把に計算すれば、毎年約一万人として、すでに十二万人になっている。これは日露戦争の戦死者、数万人の二倍の数字である。日本の政治家も官僚も、日本の国家権力を握っている人間どもは、日本国民の財産どころか生命すら守っていない。すなわち日本の安全を守るため、日本人の生命を守るための日米安保条約が、実際には日本人の大量の生命を奪っているのである。これほど愚かしい話は、世界の歴史上にも滅多にないであろう。
 

日本は日米安保条約を終了して、軍事的にも自分自身の足で立つべきである。先述したように、その費用は大してかからない。「今や平和な欧州」ですら出している程度の額なのである。民主党政権は、子供手当てに大金を投入しようとしているのであり、日本の真の独立のためなら、なんでもない金額ではないか。
 真の独立ができない内に、アメリカが衰退し、中共が興隆すれば、ハンチントンが言ったように、日本はアメリカの保護国から、中共の保護国に転身するだけである。現に民主党政権は、それを構想しているようだ。鳩山首相の東アジア共同体にしても、小沢幹事長の大型訪中団にしても、その具体的な表れだろう。ただし中共の保護国になることは、アメリカの保護国と違って、その先があることを知っておかなければならない。私が以前から指摘していることだが、そこには日本国家の亡国と、更には日本民族そのものの滅亡とが待ちうけているのである。(引用終わり)

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