m.yamamoto

戦後の国民作家である司馬遼太郎氏が創り上げた<明治維新の夢>から目を覚ます時を日本人は迎えている。(もっとも十代、二十代、小生もその夢を事実だと思っていたのだが、)元スタンフォード大学の西 悦夫氏が「誰も知らない明治維新の真実」という講演で明治維新の真実を暴露したり、原田伊織氏の「明治維新の過ち~日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト~」という本が出版され、結構売れているのもおそらく、そんな時代の大きな変化の現れである。

そう言えば小栗上野介忠順の甥である蜷川 新氏の「維新正観」という名著も本年、再刊されたようである。知ろうと思えば、本当の事を知ることのできる環境が整ってきたということであろう。まだ、一方でNHK大河ドラマ「花燃ゆ」のような明治維新勝利者側の官製プロパガンダドラマも相変わらず放映されているが、間違いなく日本の長い歴史から考えても現在、日本は大きな節目を迎えていると考えていいだろう。私たちは、平安時代の藤原氏の摂関政治でも150年ちょっとしか続かなかったことを思い浮かべるべきなのだ。明治維新以降の現在まで続く藩閥政治もちょうど150年、そろそろ幕引きの時を迎えている。明治維新の時はイギリスと、戦後はアメリカと取引しているわけだが、現在、長州閥の安倍氏が総理をしているのも何かの因縁だろう。

 

ここで大切なことは純粋にお金の流れから日本の近代史を見直すことである。

ポイントはヨーロッパが200年にわたる略奪、殺戮をほしいままにしていた1820年においても、まだ、アジアの方が豊かだったことを知ることである。

 

1820年において中国、インド、東南アジア、朝鮮、日本からなるアジアの所得は、世界の58%を占めていた。その後、19世紀におけるヨーロッパの産業革命、20世紀に入ってアメリカの工業化が進むことによって、1950年には、ヨーロッパとイギリスとイギリスの4つの旧植民地(アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)が世界所得の56%を占める一方、アジアのシェアは、19%までに落ち込んだ。ところが、この頃からアジアは成長し始め、1992年の段階で、39%までに回復。2025年には、57%に達し、200年ぶりにかつての地位を取り戻すことが予想されている。(「アジア経済論」原洋之介編NTT出版、「近代中国の国際的契機」東京大学出版会

 

私たち日本人は、米国が行った戦後の教育改革によって東大卒のエリートであっても、国際銀行家とお金の存在がそっくり丸ごと抜け落ちている近代史しか意図的に教えられていないのが現実である。年表を見ればすぐわかるように近代における歴史は戦争が主役である。そして戦争がどのように作られるのかといえば、その原動力はお金である。そしてそのお金がどこから誰によってもたらされたのかという金融の仕組みを知ることなしに、近代の歴史を本当に理解することはできない。

大英帝国を基盤とする国際銀行家のお金が日本に影響を与え始めるのは、幕末からである。伊藤博文や坂本龍馬も、ロスチャイルド一族とつながっていた人物であることを絶対に私たちは忘れてはならない。このことは「一外交官の見た明治維新」(アーネスト・サトウ)等の本を行間まで読むとはっきりと浮かび上がってくる。

周知のことだが、明治維新を成し遂げたのは、薩摩藩や長州藩、それに土佐藩など地方の下級武士であったとされている。代表的な人物には、西郷隆盛大久保利通木戸孝允(桂小五郎)などがいる。ほかにも、テレビドラマに再三登場する坂本龍馬などがいる。彼らの背後にいたのが、ロスチャイルド一族の使用人であるイギリス人の、トーマス・グラバーという武器商人であった。実はこの人物こそが、明治維新のキーマンである。グラバーは、イギリスのロスチャイルド一族の貿易会社マセソン商会の社員として中国の上海に来た後、日本の長崎にやって来た。そこでマセソン商会の日本支社であるグラバー商会を立ち上げ、幕末の混乱を利用して薩摩藩や土佐藩などの倒幕側に武器や弾薬、その資金まで提供している。そして坂本竜馬もグラバーから約7000丁のライフルを売ってもらい、それを薩摩藩名義で長州藩へ横流しすることで、薩長同盟を成功させたのである。つまり龍馬も、幕府を倒したいグラバーの計画通りに動かされていたということである。

このようにグラバーがイギリスのロスチャイルド家のために働く一方で、フランスのロスチャイルド一族は、江戸幕府を支援していた。このように日本の幕末から明治初期の動乱の間、ロスチャイルド一族は、幕府側と倒幕側の両方に武器を提供して大儲けを狙っていた。つまりどちらが勝っても彼らが利益を手にし、支配権を握る分断統治の仕組みであった。これこそがヨーロッパで彼らが実践し、今もなお世界各地で活用している常套手段である。表向きにはイギリスとフランスは、日本の支配権争いで対立しているように見えていたが、これがロスチャイルド一族一流のやり方であって、彼らは国を超えてつながっている。しかしそのことは、当時の幕府側も倒幕側も知る由もなかった。 

ご存じのように日本の初代内閣総理大臣の伊藤博文は若いとき(明治維新前)に、長州藩の仲間と一緒にイギリスに留学している。そしてイギリスのロスチャイルド家当主やそれにつながる人たちのお世話になっているのである。この若者たちは5人いたので「長州ファイブ」と呼ばれたが、イギリス側からは「マセソン・ボーイズ」と呼ばれていた。それは彼らの世話をしていたのが、ロスチャイルド一族に仕え、グラバーのボスでもあったマセソン商会社長のヒュー・マセソンだったからである。

 伊藤博文をはじめとする5人の長州藩の若者は、いずれも後に明治新政府で要職に就くことになる。ほかにも15名の薩摩藩士の若者たちがイギリスに留学している。これが偶然のはずがない。彼らは政治家や経営者になった後に、恩を受けたロスチャイルド一族の要求に沿った制度改革を実行に移していくことになるのは当然のことだろう。

 このようにイギリス人の存在も含めて明治維新を見直すと、明治維新がロスチャイルド一族とその配下のイギリス人たちが、日本の下級武士たちに起こさせたテロ、クーデター(倒幕)であった性格を持つことがはっきりと見えてくるのである。

このようにして、イギリス勢は下級武士と協力し、明治維新と呼ばれる数々の構造改革を行ない、日本の近代を間接的にコントロールしていくことになる。その事が戦争ばかりをする日本近代史に繋がっていることをそろそろ私たち日本人は、気が付くべきなのである。 

ところで、戦後保守論壇を代表する江藤淳氏は、自殺する前に書いた「南洲残影」で<明治維新という近代化>について、西郷隆盛に下記のように語らせてその欺瞞を鋭く指摘している。

 

「それでは何故に、「天子」と皇族と政府の輩とが、相集うて、国を亡ぼそうとしているといえるのか。彼等こそは兵力と小銃大砲と弾薬と、軍資と糧食と運輸機関と、軍艦と通信電線との力によって、この国を西洋に変えようとしている者たちである。黒船を撃ち攘(はら)い、国を守ることこそ、維新回天の大業の目的だったではないか。しかるに今や、「天子」と皇族と政府の「姦謀」は、自らの手でこの日本の津々浦々に黒船を導き入れ、国土を売り渡そうとしているではないか。西郷はそれが赦せない、しかるが故に立ったのだと。(58ページ)」

 そして、妻に先立たれた江藤淳氏は、西郷隆盛のように欧米主導の日本近代史の真実に気が付き、日本の近代に絶望して自裁したのであったと思われる。

また、「明治維新」と言う言葉は、昭和になってから226事件、515事件等に見られるファシズム運動によって一般化した言葉で幕末の御一新の時には全く使われていなかったものであることも私たち現代人は理解しておく必要がある。維新と言う言葉は水戸学の藤田幽谷が生み出した言葉、攘夷という言葉も彼の造語である。一番大きなポイントは、薩摩、長州の倒幕をした下級武士には、討幕後の体制の展望が何もなかったことである。すべて、その後始末をしたのが、幕府の老中、阿部正弘等が育てた能吏たちであったことも大きな声で語られない日本の近代史である。

それでは、「明治維新の過ち~日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト~」原田伊織著には何が書かれているのか。以下、簡単に紹介する。

明治維新という過ち

敗戦後の占領を自覚しなかった日本人

 

原田氏が生まれた年に米軍の占領が始まり、小学校に上がる前年日本は独立を回復する。ところが日本人自身に、自国が外国に占領されていたという自覚がほとんどないと著者は指摘している。また日本が歩いた敗戦に至る過ちを「総括」することもなかった。ただ単純に、昨日までは軍国主義、今日からは民主主義と囃し立て、軸を大きくぶらしたにすぎなかったと。そして明治維新の時も同じだったと著者は主張している。それまでの時代を全否定し、ひたすら欧化主義に没頭した。没頭したあげく、吉田松陰の主張した対外政策を忠実に従って、大陸進出に乗り出していったのだという。日本に近代化をもたらしたとされる「明治維新」と称するものを一度も総括することがなく、ただ極端から極端へとぶれることを繰り返しただけなのだ、と著者は言っている。

 

私たちが知っている明治維新は、官軍の創作にすぎない

 

歴史というものは勝者が作り上げるものであり、そこには多かれ少なかれ嘘や捏造が紛れ込んでいるという考え方がある。しかもその多くが、薩長政権による創作であるとしたらどうだろう。NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」が描くような吉田松陰や門下生による幕末・明治維新は、本当に存在したのだろうか。松陰や門下生の活躍を描いた司馬遼太郎「世に棲む日々」を読むと、吉田松陰、久坂玄瑞、高杉晋作たちがやったことは、現在でいうならテロである。異国船での密航、英国公使の暗殺未遂、英国公使官の焼き討ち、幕府老中の暗殺計画などは間違いなくテロである。司馬遼太郎は、それらを「革命」という言葉で誤魔化しているが、果たしてそれは正しい歴史認識なのだろうか?

 

官軍教育が教える明治維新とは

原田氏はまず、薩長政権が作り上げた「明治維新」とは何かを提示する。長く鎖国が続き、封建体制のまま停滞していた日本を、欧米の列強による植民地化から防ぎ、大いなる近代化をもたらした革命。その立役者が薩長土肥の下級武士を中心とした「志士」たちだった。長州の桂小五郎、吉田松陰、久坂玄瑞、高杉晋作、山県有朋、伊藤博文、井上馨、薩摩の西郷隆盛、大久保利通、土佐の坂本龍馬、板垣退助、後藤象二郎、肥前の大隈重信、江藤新平などである。彼らは幕府や佐幕派の勢力の弾圧に屈せず、「戊辰戦争」に勝利して、討幕を成し遂げ、日本はようやく近代化への道を進み、今日の繁栄があるのだ。それが、著者が教えられた「官軍の歴史」である。しかも学校での教育だけではなく、エンターティンメントの分野でも「新撰組など悪の勢力と戦い、勤皇の志士を助ける正義の味方、鞍馬天狗」などの作品が偽りの「明治維新」を国民に刷り込んでいったのだ。「竜馬がゆく」を書いた司馬遼太郎にも、その責任の一端はあるという。著者は、この「官軍による明治維新」をほぼすべて否定している。そして勝者ではない側の視点から幕末史をもう一度見つめ直そうとしている。

 

テロリスト集団、長州藩

 

原田氏がまず注目するのは、薩長土肥の勤皇の志士の人物像である。彼らは、今でいうなら「暗殺者集団」、つまりテロリストであると著者はいう。我が国の初代総理大臣は「暗殺者集団」の構成員だったのである。また維新の精神的支柱と言われた吉田松陰が、事あるごとに、どれだけ暗殺を主張したか…。著者は、本書で多くのページを費やして、長州、そして薩摩のテロリストぶりを紹介している。高杉晋作による英国公使の暗殺未遂や英国公館の焼き討ち、久坂玄瑞らによる京での残虐なテロの数々。そして天皇の拉致、御所への砲撃も辞さなかった長州のクーデター計画。幕府を挑発するために、江戸において火付け、強盗、強姦、殺人など暴力の限りをつくした薩摩の赤報隊。「大政奉還」や「王政復古」をめぐる薩長勢力と幕府や佐幕派の熾烈な暗闘。そこで薩長が仕組んだ、天をも恐れぬ策略の数々…。そして著者は、テロリストたちの元凶とも言える吉田松陰の実像に迫っていく。

 

吉田松陰像の嘘

 

長州の志士たちの中でも、最も嘘で固められているのが、吉田松陰であると著者はいう。松陰は、乱暴者が多い長州人の中でも、特に過激な若者に過ぎず、いわば地方都市の悪ガキであると著者は決めつけている。松陰が開いたとされる松下村塾は、実は松陰の叔父の玉木文之進が開いたものであった松陰が神格化されるのは、維新後しばらく経ってから、自らの出自を権威づけたかった山県有朋の手によってである。松陰の思想というのも稚拙なもので、北海道の開拓、北方の占拠、琉球の日本領化、朝鮮の属国化、満州、台湾、フィリッピンの領有などを主張している。奇妙なことに、長州閥が支配する帝国陸軍を中心とした勢力は、松陰が主張した通りにアジアを侵略し、そのあげく日本を敗戦に導いていくのだ。

 

松陰の思想のルーツは水戸学

 

原田氏は、さらに松陰や長州の志士たちを駆り立てた思想のルーツは「水戸学」にあると指摘する。吉田松陰は、水戸学の中心人物である藤田東湖を崇拝したという。著者によると「水戸学は学問といえるような代物ではなく、空虚な観念論を積み重ね、それに反する生身の人間の史実を否定し、己の気分を高揚させて自己満足に浸るためだけの〝檄文〟程度のものと考えて差し支えない。この気分によって水戸藩自身が、四分五裂し、幕末には互いに粛清を繰り返すという悲惨な状況に陥った。」という。水戸で生まれた浅薄な狂気の思想が長州を狂気に駆り立て、幕府を滅ぼし、その後も水戸藩ゆかりの人物たちによって日本ファシズム運動として受け継がれていく。この流れが昭和初期に5.15事件や2.26事件を惹き起こし、日本を大東亜戦争へと導いていく。この水戸学を生み出した張本人が2代目藩主である水戸光圀(水戸黄門)と9代目の徳川斉昭であると著者はいう。水戸の攘夷論の特徴は「誇大妄想、自己陶酔。論理性の欠如」につきると著者はいう。大言壮語しているうちに、自己陶酔に陥っていく。この傾向は長州軍閥にそのまま継承され、昭和陸軍が、結局、軍事という最も論理性を求められる領域で論理性を放棄し、自己陶酔と膨張本能だけで中国戦線を拡大していったことにつながっていったという。以上である。


<原田伊織氏は昭和21年京都伏見生まれで、幼少時代を近江、佐和山、彦根で過ごし、司馬遼太郎と同じ大阪外国語大学を卒業、広告・編集の世界に。マーケティングプランナー、コピーライター、クリエイティブ・ディレクター、として活動している。

「維新正観─秘められた日本史・明治篇」蜷川 新著については、批評社の紹介文をそのまま紹介する。幕府側から見た明治維新を知る事のできる貴重な本である。以下。

維新正観

「維新」の名は美しく世人には響くけれども、事実は極めて醜悪に満ちている。われわれが国定教科書で教えられたことの大部分は、偽瞞の歴史である。その真実の究明から、新日本の「民主」を推進したい。(「序文」より)

 

尊皇攘夷の旗の下、幕府の開国政策に無謀な異議を唱え、孝明天皇の毒殺をはじめとする奸策と狡知によって、倒幕・権力詐取に成功したのが、薩長の奸賊集団であった。幕末維新史の実相を、史実に即して、大胆にしてかつ独自の視点から「正観」した明治維新論。類まれなる名著の翻刻版である。

 

 幕末・維新史に関する文献は、さまざまにあり、さまざまな視点から分析されているが、この本ほど当時の事実に即して書かれた本は珍しい。なぜなら著者は明治6年生まれで幕臣小栗上野介の縁戚(甥)にあたる人物だからである。

 徳川幕府の開国政策は、ペリーが東インド艦隊を率いて、1853(嘉永6)年63日(78日)浦賀沖に来航し、開国を求めるアメリカ大統領国書を提出したことによって大きく進展するが、老中阿部正弘らを中心に、諸大名から庶民まで幅広く意見を求めて、開国への準備を進めていた。翌1853(嘉永7)年1月(18542月)、ペリーは再び浦賀へ来航し、33日(331日)に、日米和親条約が結ばれ、下田と箱館を開港したのに続けて、8月には日英和親条約が、12月には日露和親条約がそれぞれ締結されて幕府の開国政策は大きく進展したのであった。また、幕府は日米修好通商条約の批准書交換のために、万延元年(1860年)1月、大老井伊直弼の発案により、正使新見正興、副使村垣範正、監察小栗忠順(上野介)をアメリカから回送されたポータハン号と幕府の軍艦咸臨丸の2隻の軍艦に乗ってアメリカに向けて品川沖から出帆した。使節団一行は、アメリカの地で大歓迎を受け、さらにヨーロッパに向けて見聞を広めて帰国したのだが、その間に、大老井伊直弼は、桜田門外で暗殺されてしまった。

このように幕府の開国政策に無謀な異議を唱え、「尊皇攘夷」という時代錯誤も甚だしいこの攘夷運動に決起したのが薩長土肥の勤王志士と言われる謀略集団であった。

孝明天皇は頑な攘夷論者であったが、孝明天皇の妹和宮と第14代将軍家茂の結婚によって、公武合体を推進し、攘夷派の無謀を譴責して倒幕の愚挙を排撃し、長州藩と公家の7卿の処分を宸筆の勅許をもって公式に伝えたのである。これに憤激したのが薩摩の西郷吉之助、大久保利通、長州の木戸孝允(桂小五郎)、井上馨と公家の三条実美、幽閉されていた岩倉具視ら下級公家の陰謀集団である。彼らは薩摩藩や長州藩とは関係ない中で、倒幕へ向けてさまざまな陰謀、奸策をめぐらし、暴力や毒殺による暗殺などあらゆる策謀を図ったのである。

こうした動きがある中で、大老井伊直弼は、安政の大獄といわれる粛正を断固として敢行し、尊皇攘夷派を抑え込みながら開国へ向けて大きく舵を切って行ったが、その反動とも言える事件が勃発し、さらにその後に孝明天皇の毒殺という一大事件が勃発した。まさに暴虐の連鎖による内乱へと突き進んで行ったのである。

安政733日(1860324日)、桜田門外で大老井伊直弼が水戸徳川家の家臣によって斬殺され、慶応2年7月20日(1866年)、大阪城内で第14代将軍家茂が毒殺されたが(同年8月20日まで伏せられた)、著者の父親、蜷川左衛門尉親賢は当時小姓組頭で将軍家茂に近侍していたため極秘事をよく知っていたのである。

さらに宮中においては岩倉具視が妹を女官として宮中に潜り込ませ、孝明天皇の毒殺を試みたが、一度目は失敗し、二度目に孝明天皇を毒殺したが、岩倉の妹女官は薩摩に連れて行かれ斬殺されたという。

一般に、孝明天皇は1866年1225日に天然痘で亡くなったことにされているが、一度目の毒殺は失敗に帰し、1211日頃から症状が出始めていたが、17日から便通もあり、食欲も回復し、熱も順調に下がり始めていた。二度目の毒殺で、21日から膿が出始め、23日には膿の吹き出しも収まって、全快に向かっていた。病状が急変したのは、25日。激しい下痢と嘔吐、最後には体中の穴等穴から出血という激しい死に様だったという。

「風評では(孝明天皇)崩御の原因は天然痘といわれたけれども、幾年かのちに、私は裏面の消息に精通する日本人から、帝は毒殺されたのだと教えられた」(遠山茂樹著『明治維新』211頁)。当時の武士には武士道の矜恃がまだ残っていたが、薩長の反幕集団には、武士ではなく郷士という武士階級(士分)の下層に属した人々が多く、「尊皇」の志もないまま、損得利害だけで天皇毒殺という大それた犯罪もそれほどの抵抗なく行われた。

その端的な事例は、西郷吉之助らが江戸市中に放った500人近い組織的強盗団である。無頼の徒と化した強盗団は、放火、掠奪を恣にして50万両にのぼる江戸市民の財物を強奪したという(この記録は残っている)。この強盗団による謀略を誘い水に幕府を挑発し、江戸薩摩藩邸への攻撃を誘い出した。西郷は谷干城(たにたてき)に「戦端開けたり。速に乾君(板垣退助)に報ぜよ」と放言したという。西郷は幕府を内戦に引き込むための策謀をめぐらし、そのためだけに無頼の徒と化した強盗団を放ってあらん限りの掠奪を繰り返したのである。西郷という人は、謀略、奸策長けた人で根が陰湿なせいか、江戸無血開城をめぐって幕臣の勝海舟と密談した際に、奥羽越列藩同盟諸藩への武力攻撃を江戸無血開城と引き替えに断行する脅しをかけた節がある。勝は優柔不断な人で幕臣であるにもかかわらず、西郷の脅しに屈服してしまったらしい。

江戸無血開城は、いかることがあっても慶喜の首を取るまでは、と言い張った西郷がイギリス公使パークスに脅されて中止させられたのである。徳川慶喜が恭順の意を示し、謹慎、平伏しているのに、江戸武力総攻撃とは何事か、とヨーロッパ社会の掟(倫理)を楯に抵抗され、もし総攻撃するならイギリスも黙ってはいないと脅されたからである。

 

その後に続く混乱のなかで、西郷、大久保、木戸、岩倉等、薩長の無頼の徒が偽造した私文書でしかない「王政復古の大号令」「倒幕の密勅」「会津、桑名の藩主誅殺」の勅や鳥羽伏見の乱で幕府方を驚かせた錦旗の偽造(京都の染物屋が作った)によって、「尊皇攘夷」という時代錯誤の王政復古運動を倒幕、権力奪取へとすり替えて行ったのである。したがって、権力掌握後の薩長は、恥も外聞もなく、舌の根も乾かぬうちに「尊皇攘夷」の衣を脱ぎ捨てて開国・欧化を一挙に推し進め、幕末・維新史を捏造していったのである。

 

15代将軍慶喜は、世に言う「大政奉還」によって徳川幕府の政治統治に終止符を打ち、新たな国内体制を構築するための上奏文を認めている(書いたのは三河の幕臣永井玄蕃頭と言われている)。

「前略、当今外国の交際日に盛なるにより、愈朝権一途に出不申候ては、綱紀難立候間、従来之旧習を改め、政権を朝廷に奉帰、広く天下之公議を尽くし、聖断を仰ぎ、同心協力、共に皇国を保護仕候得ば、必ず海外万国と可並立候、云々」

慶喜は、幕府権力を朝廷に帰一して広く天下の公議を尽くして合議制の下で協力し、皇国を保護すれば必ず諸外国と並び立つことができることを宣言しているのである。この上奏文は、五箇条の御誓文と基本的な枠組みは同じである。

慶喜の上奏に対し朝廷は、「祖宗以来、御信任厚く、御依頼在らせられ候えども方今宇内の形勢を考察し、建白の趣旨、尤に思し召され候間、聞こし召され候。猶天下と共に、同心尽力致し、皇国を維持、宸禁を安んじ奉るべき御沙汰に候事。大事件外夷一条は、衆議を尽し、其余諸大名同じく仰出され等は、朝廷 両役(伝奏、議奏)に於て取扱い、自余の儀は、召しの諸侯上京の上、御沙汰これあるべく、それまでの処、徳川支配地、市中取締等は、是れまでの通りにて、追て御沙汰に及ぶべく候事。」として10万石以上の諸侯に直ちに上京すべきことを命じたのである。

 

徳川親藩の諸侯や有力諸侯は、朝廷の意向に賛意をもっていたが、掠奪無頼の徒と化した集団の薩長には倒幕・権力奪取の野望しかない。

事前に行われた小御所会議でまたも岩倉具視の背後に控える薩長の陰謀と暴力によって会議は制圧されてしまうのである。尾張藩主徳川慶勝、越前藩主松平慶永、広島藩主浅野長勲、土佐藩主山内容堂、薩摩藩主島津忠義、岩倉具視、三条実美が列席していたが、薩長・岩倉側の旗色が悪くなるや否や、薩摩の岩下万平が西郷に相談すると、西郷は、「岩倉に向かい、貴殿の懐剣は利れるものなりや否やと問うてみよ」と脅しをかけるように伝えたという。西郷は天皇の面前でも構わずに山内容堂を刺せと示唆したのである。

慶喜は、こうした薩長の陰謀を阻止するだけの胆力も先見の明も持ち合わせていなかった。幕府軍と長州軍が戦った蛤御門の変で、幕府軍は長州軍を敗退させるが、二度にわたる長州征討に失敗し、慶喜は数十万の兵を見捨てて松平容保と共に江戸に帰還してしまった。

勘定方奉行の小栗上野介は、帰還した慶喜に薩長軍を打ち破る秘策を奉じるが、慶喜にはもはや戦意もなく、小栗上野介に胸ぐらを掴まれてもただ黙っているだけであった。将軍の器でない慶喜はひたすら命乞いのために恭順の意を示すため上野寛永寺に引きこもって謹慎してしまった。

小栗上野介は、仕方なく故郷の上野国権田村へ引きこもるために帰郷し、東善寺に寓居するが、そこへ西郷の指図で江戸市中であらん限りの暴虐を繰り返した無頼の盗賊団が押しかけ、小栗上野介には、「7000人の暴徒が潜んでいる」「7千余人を撃退する武力がある」「朝廷に反逆する企図がある」と喧伝し、発砲、放火、掠奪を繰り返した。さらに薩長軍に命令された高崎藩、安中藩、吉井藩の3藩の藩士1000人が東善寺を囲み、捕縛される理由もないまま烏川畔の河原で斬首され、挙げ句、鮮血に塗れた首を武竿の先端に突き刺し路傍に立て梟首の辱めを与えたのである。

こうしてあらゆる権謀術策を弄して権力を詐取した薩長は、血塗られた明治維新政府(藩閥政府)を樹立し、五箇条の御誓文とは似て非なる近代国家をつくりだして行ったのである。ネジレにネジレた明治維新政府は、日清・日露戦争に勝利を収め、さらなる海外侵略を目論み、朝鮮・中国への侵略を現実化してアジア・太平洋戦争へと突入し、崩壊してしまうが、近代日本の保守思想には、こうした忌まわしい歴史が底流となって流れているのではないかと思う。(引用終わり)

いろいろなご意見はあるだろうが、これほど貴重な歴史の証言はないだろう。小栗忠順の甥が書いているのだから。時間のある方には一読を勧めたい。


<蜷川 新 略歴>1873(明治6)年5月生まれ(19598月没)。東京大学法学部卒、同大学院国際法専攻、法学博士。ベルサイユ講和会議、ワシントン軍縮会議など、政治、外交、赤十字国際会議に列席。第1次世界大戦後、「平和時の赤十字」を提唱し、5大国代表と協議し1919年赤十字社連盟を創立した。歴史の専門家ではないが、法学的視点から幕末・維新史の特異な分析を試みる。

◎注目すべき江戸時代の人口

注目すべき江戸時代の人口

日本は弥生時代推計59万人、世界は3億人からスタートしたのが、上の一覧とグラフ。西にローマ帝国、東は漢王朝の時代ですから本当に比べものにならないシェア0.2%、それから1200年、律令制国家から鎌倉時代の684万人への成長は、世界人口の伸びを大きく上回って進み、シェア1.5%。そして江戸時代に入った初期は1227万人なのに、八代将軍吉宗のころに3000万人台に達し、世界人口シェア3.9%のピークとなる。同時代史的にはその時代が、如何にいい時代だったかを意味している。

日本のマスコミが報道しない本当のシリア情勢

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10月 242015

先日、日曜日に放送されているNHKの「週刊こどもニュース」のシリア情勢の解説を聞いていて目が点になってしまった。アメリカのネオコン派が世界に流布しようと思っているプロパガンダ以上に「アメリカ=正義の味方」という中立には、ほど遠い偏向した解説をしていたからだ。

 アフガン・イラク戦争は、2001年の911テロ捏造によって始まったネオコン、いわゆる戦争屋によって計画された一連の世界戦略であることは今日では、かなり明らかになってきている。経済アナリストの藤原直哉氏がこのことをNHK第一ラジオの放送でこの春(327日)に解説したことがあった。もちろん、彼はその後、ジャパンハンドラー等から圧力がかかってその番組から降板させられたことは言うまでもないが、その放送がまだ、インターネットで聞くことができるようである。以下。

https://www.youtube.com/watch?v=Hc0ObKlXvKY

 それをいまだに当時大統領だったブッシュにスーパーマンの格好をさせたイラストで解説しているようでは、話にもならないだろう。また、今回のシリア政権転覆の動きを正義の戦いに見せるべくオバマにまた、同様にスーパーマンスーツを着せている図を用いての解説、アメリカのネオコン派(=ジャパンハンドラー)に媚びている意図はよくわかるが、あまりにも幼稚な、単純な図式化であった。

しかしながら、このような幼稚な嘘のプロパガンダを公共放送であるNHKが日本の将来を担う子供たちに押し付ける権利が何処にあるのだろうか。こんな放送を平気でしている日本人は、自分の胸に手を押し当てて日本人としての誇りと良心を呼び起こすべきであろう。

 

 それでは、より真実に近いと思われるシリア情勢を知っていただきたい。

今起きている事は、米国覇権の衰退である。そのためにこれから中東情勢が大きく変わろうとしている。主役はロシアのプーチンである911以降、世界情勢をいいように混乱させてきたネオコン=戦争屋=シオニスト勢力の時代が終わろうとしているのである。このことをジャパンハンドラーに支配される日本の大手メディアは報道することができない。それは、日本を支配している日本の官僚が以前のレポートでも指摘したように「従米戦略というオプション」しか持っていないためでもある。今回は、このことがよくわかる記事を紹介したい。

以下、行政調査新聞20151010日号より

http://www.gyouseinews.com/p4_naigaijousei%20kokunaitenbou/p4_2_naigaijousei_kaigaijousei.html

 

中東の地図が塗り替えられる!―米国が中東を手放すときが迫っている―

 

昨年(2014年)6月、中東の地に突如出現した「イスラム国(ISISIL、ダーイシュ)」はその後猛威を振るい、多くの地域を破壊し人びとを殺戮した。米国を中心とする多国籍軍の空爆など物ともせず、活動拠点をイラクからシリアに移し、シリア全土を滅茶苦茶に荒らした。「イスラム国」の破壊活動により、大量の難民がヨーロッパに押し寄せることとなった。このまま中東全域は戦乱に呑み込まれ、全世界を恐怖のハルマゲドンに巻き込む可能性すら考えられたが、9月になって、状況は激変し始めている。中東はこの先どうなるのだろうか。 

 

ヨーロッパに流れ込んだイスラム国戦士

 

9月2日にシリア難民の3歳児アイラン君の遺体がトルコの海岸に打ち上げられ、この映像や写真を見た世界中の人びとが涙を流し、それをきっかけにヨーロッパで難民受け入れの気運が高まった。

シリアを中心とする中東やアフリカから欧州に殺到した難民の数は、第二次大戦後最大となり、9月末には16万人を大きく越えたと報じられている。その難民の中に「イスラム国」の工作員、戦闘員が紛れ込んでいるという疑惑は、かなり早い段階から浮上していた。しかし陸路あるいは海路、続々とやってくる膨大な難民について、その素性や身元を確認することなど、まったく不可能だ。英紙『デイリー・エクスプレス』はこの問題を大きく報じている。その報道によると、難民に紛れ込んで「イスラム国」の戦闘員が4000人以上も欧州に潜入したという。

中東情勢に詳しい専門家たちも「イスラム国戦闘員4000人が欧州に潜入」という情報を精度の高い情報と受け止めている。潜入した戦闘員が武器を入手する手段はいくらでも考えられ、欧州各地でテロが引き起こされる可能性が高まっている。

 

「イスラム国」潰しに動いた諸勢力

 

9月中旬に国際テロ組織であるアルカイダの最高指導者ザワヒリは、「イスラム国」の指導者バグダディを「偽物のカリフ」であると発表した。カリフとは預言者ムハンマド(マホメット)の後継者のこと。バグダディは「イスラム国はカリフ制国家」であり、「自分がカリフだ」と宣言していたのだが、同じイスラム教徒であるアルカイダNO.1のザワヒリが明確にこれを否定し、「バグダディのイスラム国はパレスチナ自治区などイスラム国の支配地以外ではイスラム教徒を支援していない」と厳しく批判している。アルカイダも「イスラム国」を敵と見なし、その殲滅を求めている。アルカイダに限らず「イスラム国」を敵視する国や組織は多く、物理的な攻撃も行っているが、その成果は現れていない。

昨年(2014年)9月以降、オバマ大統領は「イスラム国根絶」を目標に掲げ戦闘を開始した。米空軍機を中心に湾岸各国の爆撃機、戦闘機、あるいは無人機が「イスラム国」の拠点を空爆し、これまでにイラクとシリアで5万3000回の出動と6700回の空爆が行われたとされる。この作戦には合計37億ドル(約4440億円)が投入され、大規模な軍事攻撃が繰り返されたのだが、「イスラム国」に甚大な被害を与えたという実績は、残念ながらほとんどなかった。いっぽうで、米国と同盟国による「イスラム国」攻撃の結果、民間に大きな被害が出ており、一般人の死者数も600人に達している。

シリア政府軍と敵対し、同時に「イスラム国」とも敵対しているシリア反政府軍の装備と訓練に、米政府は5億ドルを投入することを決定。さらに「イスラム国」と地上戦を戦う兵士をトルコ、ヨルダン、サウジ、カタールで集め、今年中に5000人規模の軍隊を準備する予定があるとされる。しかし米政府が肩入れしている軍団だが、最初に作られたグループ54人は「イスラム国」の攻撃を受けて壊滅。現在は200人しか集められておらず、先行きが危ぶまれている。

米国も同盟国も、昨年から1年以上にわたって「イスラム国」を壊滅させようと努力してきたように見えるが、膨大な戦費を使ったものの、成果はゼロに等しい。

 

「イスラム国」を支える米国軍産複合体

 

本紙は以前から「イスラム国」の背後に米国とイスラエルが存在していると書いてきた。バグダディが重傷を負ったときにはイスラエルの病院に逃げ込んでおり、イラク軍はそれを確認し公表もしてきた。米軍は「イスラム国」と戦う相手に武器弾薬を支援するといいながら、(意図的に)間違えて「イスラム国」に武器弾薬を空から投下していた。

こう記すと「米国の背後にはユダヤ国際金融機関が存在し、彼らが米国を操っているのだ」と納得する人がいるかもしれない。あるいは「米国という『会社』の社長はオバマだが、実権を持つオーナーは軍産複合体だ」と、したり顔で解説する人もいるだろう。だが実際はそれほど単純ではなく、米国内部もいくつかに分裂している(とはいっても滅茶苦茶に複雑なわけでもない)。

イスラム国を支援し、彼らに武器弾薬を与え、中東を混乱に導いているのは米国の軍産複合体である。そして軍産複合体とは目標が多少異なっているが、とりあえず同一歩調をとっているのがイスラエルだと考えるとわかりやすい。

この状況打開に、軍産複合体と対立するオバマ大統領はイラクと核協約で妥協し、さらにシリア問題の処理をロシアに投げかけた。オバマにとっては米国内部での政争に勝つためには、何としても軍産複合体を叩く必要があり、「肉を切らせて骨を断つ」覚悟でロシアとの協調を選んだのだ。この一事だけを見ても、米国が一枚岩ではないことが理解できる。

 

プーチン大統領がアサド政権を支援

 

9月28日の国連総会で、ロシアのプーチン大統領は演説の大半の時間を中東情勢に回し、「極めて危険な組織である『IS(イスラム国)』と戦う国際戦線の設立」を呼びかけている。その演説の中でプーチンは「アサド敵視をやめてシリアを安定させないと、欧州への難民の流れも止められない」とも語っている。

プーチンのこの演説より1週間ほど前には、米国のケリー国務長官がロンドンでハモンド英外相と会談し、「シリア内戦の解決には政治的な安定が必要」との認識を示し、「国民から支持されていないアサド大統領の退陣」を求めている。

米英政府がアサド退陣を求め、ロシアがアサド支援にシリア内戦に介入することで、米露両軍が偶発的に衝突する可能性が出てきている。これを見越して米カーター国防長官と露ショイグ国防相は電話で会談している。米露両国のハイレベル接触は昨年3月のウクライナ危機で凍結され、今回はそれ以来の接触となった。しかし両国の駆け引きは、まだ始まったばかりだ。じつのところ、米露両国を最終戦争の舞台に引きずり出したいと考えている勢力は、シリア内戦にロシア軍が出張ってくることを期待している雰囲気がある。欧州に流入したに違いない「イスラム国」戦闘員の問題も含め、中東情勢は綱渡り状態が続き、いつ何が起きても不思議ではない。

 

ロシアがシリアの「イスラム国」を空爆

 

プーチンの国連総会演説の2日後となった9月30日から、ロシア軍機はシリア国内の「イスラム国」拠点やアルカイダ系のアルヌスラ戦線などを空爆した。どちらの組織もアサド政権と敵対するもので、空爆は3日連続で行われ、ロシア軍の発表では60カ所が爆撃されたという。60カ所のうち50カ所が「イスラム国」の拠点で、とくにラッカにある「イスラム国総司令部」の爆撃にはバンカーバスター弾が使用され、総司令部は完全に破壊され、同時に近くにあった武器弾薬庫も大爆発により消失したと発表されている。

米国や同盟国の執拗で大規模な1年余の攻撃にビクともしなかった「イスラム国」だが、わずか3日間のロシアの空爆で致命的なダメージを受けてしまった。「イスラム国」の兵士たちは家族を安全な地方や隣国に避難させ、また欧州各国から戦場にやってきていた600人の兵士は、自分の故国に戻ってしまったという。ロシア政府は今後もしばらくの間、同様の空爆を継続させると発表しており、あれほど頑健だった「イスラム国」が崩れ始めている。ロシアはさらに、イラクだけではなくイラン政府にも働きかけ、イラクの首都バグダッドに「対イスラム国戦情報収集センター」を設立した。この結果、ロシアとシリア、イラク、イランは完全に歩調を揃え、「イスラム国」殲滅に邁進することは間違いないだろう。この4カ国の強固な結びつきは、これまでの中東には見られなかった形式だ。そしてここにはさらにクルド系武装組織も加わりそうなのだ。

 

ロシアによる「イスラム国潰し」を演出したオバマ

 

これまでの1年余、米軍中心の対「イスラム国」掃討戦は効果がなかった。軍産複合体の支配下にある米軍本流は「イスラム国」を本気で潰そうとは考えず、むしろ支援しようとしてきた。同盟国のサウジやヨルダンなどは、米軍の情報を元に「イスラム国」の拠点を空爆してきたが、ほとんどのところで無人の砂漠を爆撃するだけに終わっていた。

シリアにおけるアメリカとロシアの空の衝突

ロシアの空爆は米軍とは違って、本気で「イスラム国」を潰しにかかったものだ。問題はこの先、シリア政府軍を支援するロシアと、反政府軍やこっそり「イスラム国」を支援している米軍が正面衝突する可能性があるか否かだ。じつのところイスラエルは本気でその演出をしたがっているし、軍産複合体が待ち望んでいる大戦争でもある。しかし米露両軍の激突の可能性は恐ろしく低い。ゼロに近いか、または完全にゼロだろう。なぜか。ロシア軍による「イスラム国」空爆の3日前、プーチンの国連総会演説の日にプーチンとオバマが会談しているからだ。

もともとシリア内戦を早期に収束させようと、ロシアを引っ張り出したのはオバマ大統領である。オバマは軍産複合体との政争に勝つためにロシアを引きずり出し、そして勝利した。黒人大統領オバマの見事な勝利の結果が「イスラム国」の落日に繋がっているのだ。

 

米国隷属情報しか流さない日本の大マスコミ

 

米欧だけではなく、日本のマスコミは軒並み、中東とくにシリアの内戦に関しては米国を評価し、ロシアを悪者扱いしてきた。米国を高評価しロシアを叩くことは、米ソ東西冷戦時代から続けられてきた「正義」だと勘違いしているマスコミや評論家たちが、いまだ日本では圧倒的なのだ。しかしシリア内戦、対「イスラム国」戦に関しては、ロシアの手法は理にかなったもので、米国のやり方は間違っている。

米国や同盟国は、国連安保理の決議など得ずに、しかもシリア政府を無視して、シリア国内を空爆していた。これは国際法上、完全に違法である。いっぽう今回のロシアによるシリア国内の空爆は、シリア政府の要請に従ったもので、国際法上は合法である。米国が「国民の支持のないアサド政権を守るために空爆することは許されない」とロシアに怒りをぶつけているが、これは法を守らない側の言いがかりである。日本の国際ジャーナリストとか大マスコミの解説者のほぼ全員が米国べったりの評論を繰り返しているために、中東情勢が見えなくなっている。そうした意味ではネット上の情報には正しい評価が多い。(たとえば最近では『MAG2NEWS』で「右翼よりも重症…日本人ジャーナリストたちの『米国への属国根性』http://www.mag2.com/p/news/118965」といった記事などがある。)

 

中東はロシアの手によって安定する

 

露外務次官ミハイル・ボグダノフはシリア問題解決のための会議を10月中に開催すると発表した。この会議は「コンタクト・グループ会議(連絡先集団会議)」と名づけられ、ロシア以外に米国、エジプト、イラン、トルコ、サウジアラビアの計6カ国で構成されるという。

当初、アサド大統領潰しのために米国と歩調を合わせていたトルコとサウジは、プーチンの説得に応じ、米国はもはやアサド政権継続もやむなしの状況に陥っている。

難民が押し寄せて治安の悪化に悩む欧州各国は、プーチンの「シリアが安定しなければ難民危機は解消できない」という言葉に乗り、アサド政権を容認する方向に向かっている。とくにドイツのメルケル首相はプーチン案に好意的で、シリアでロシア軍が主導する多国籍軍(国連軍)が活躍する可能性も多分に出てきている。シリアでのこの方策が成功すれば、南スーダンでもマリ、ダルフール、コンゴでも同じ手法で問題が解決すると考えられる。中東やアフリカ各国の安定は、もはやロシア主体でしか考えられないのだ。

さらにシリアでのコンタクト・グループが成功すれば、ウクライナは間違いなく安定の方向に向かうだろう。とはいえ、安定を望まない強力な勢力が消えたわけではないので、世界が安定安寧に向かっているとは言い難いが。

 

世界の全体像を大雑把に理解すべき

 

日本の大マスコミ、有名評論家、ジャーナリストたちは「親米」あるいは「米国隷属」であって、中立的な判断が出来ない。「安保法制」では半世紀も前の反米闘争のような雰囲気を見せながら、全体的な国際情勢判断では完全に米国隷属の愚かな提灯持ちと化している。ヨーロッパで、ウクライナで、中東で、そしてアフリカで何がどのように進んでいるのか、大雑把に全体像を把握する必要がある。

とはいえ、それをここで開示するには紙幅もない。いきなり結論を言うなら、米国従属路線を直ちに放棄すべきだということだ。お断りしておくが、だからといって中国と手を組めなどとはいわない。日本の独自外交を切り拓くか、それが出来ないのであれば全方位外交を展開しろということだ。そしてわれわれ庶民大衆は声を大にしてその方向を支持することだ。

今回の対「イスラム国」戦に関して、中国はまったく関与しようとはしていない。しかしじつのところ、ロシアがシリアで力強く動くことが可能なのは、ウクライナ危機で欧州にエネルギーを売ることが出来なくなったとき、欧州に代わって中国が石油やガスを買って経済的に支援したからである。また中国は国連平和維持軍への参加の拡大を表明し、新たな兵力を南スーダンなどアフリカに派兵することを表明している。これまで米英主導で展開されていた世界平和の枠組み、行動に、ロシアと中国が大きく関与するようになるはずだ。安保法制の確立により、日本の自衛隊の海外派兵の道筋が作られたが、それは自衛隊がロシア軍や中国軍と行動を共にする可能性が強まったことを意味している。

経済的苦境のため、米国が世界の指導者の座を降りることは百パーセント間違いのない話である。ロシアや中国、あるいはEUが、米国に代わるわけではない。世界は集団指導体制のようになる。米国隷属を続ける限り、日本に未来はない。一刻も早く米国とのしがらみを断ち切り、真の独立国家にならなければならない。そのために庶民が声をあげるべきなのだ。(引用終わり)

もう一本、海外の記事を紹介させていただく。以下。

 

「力の均衡が決定的に変化した」 Paul Craig Roberts  20151010

 

928日、ロシアのプーチン大統領が国連演説で、ロシアはもはや耐えることができないと述べて世界情勢の大転換が起きたことを世界は認識し始めているワシントンの卑劣で愚劣で破綻した政策が解き放った混乱は、中東、そして今やヨーロッパを席巻している。二日後、ロシアはシリアの軍事情勢を支配して「イスラム国」勢力の破壊を開始した。

おそらくオバマ顧問の中にも、傲慢さに溺れておらず、この大転換を理解できるごく少数の人々はいる。スプートニック・ニュースは、オバマの安全保障担当幹部顧問の何人かが、アメリカ軍勢力をシリアから撤退させ、アサド打倒計画をあきらめるよう助言したと報道した。彼らは、ワシントン傀儡のヨーロッパ諸国を圧倒している難民の波を止めるため、ロシアと協力するようオバマに助言した。望んではいなかった人々の殺到で、アメリカの外交政策を可能にしておくことによる大きな犠牲に、ヨーロッパ人は気がつきつつある。顧問たちは、ネオコンの愚かな政策がワシントンのヨーロッパの帝国を脅かしているとオバマに言ったのだ。

マイク・ホィットニーや、スティーヴン・レンドマンなど、何人かの評論家たちが、「イスラム国」に対するロシアの行動について、ワシントンができることは何もないと正しく結論している。ロシアを追い出すための、ネオコンによるシリア上空の国連飛行禁止空域計画は夢物語だ。そのような決議が国連で行われるはずがない。実際、ロシアが既に事実上の飛行禁止空域を設定してしまったのだ。

プーチンは、言葉で脅したり、中傷したり一切することなく、力の均衡を決定的に変え、世界はそれを理解している。

ワシントンの対応は、罵倒、大言壮語や、更なるウソしかなく、しかもその一部を、更にいかがわしいワシントン傀儡がおうむ返しする。唯一の効果は、ワシントンの無能さの実証だ。

もしオバマに、多少の思慮分別があれば、政権からワシントンの力を浪費したネオコンの能なし連中を追放し、ヨーロッパやロシアと協力して、ヨーロッパを難民で困らせている、中東におけるテロの支援ではなく、破壊に注力するはずだ。

もしオバマが過ちを認めることができなければ、アメリカ合州国は、世界中で信頼性と威信を失い続けるだろう。(終わり)

 

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。

彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTが購入可能。

記事原文:http://www.paulcraigroberts.org/2015/10/10/decisive-shift-power-balance-occurred-paul-craig-roberts/ (引用終わり)

 

 

 1945年の敗戦以来、日本の国家戦略は、一貫して「対米依存、従米」である。この70年の間に冷戦の終了を含めて国際情勢は大きく変化している。そして今、シリアから大きく国際情勢が変わろうとしている。考えてみれば、周囲の状況が変わっても変わらない戦略などが国家戦略と呼べるものではないことは明らかである。戦後、米国によって奪われてしまった戦略思考能力を日本人一人、一人が取り戻さないと21世紀の日本の未来は見えて来ない。

 

 

<藤原直哉プロフィール>

1960年東京都生まれ。

1983年東京大学経済学部卒業。住友電気工業株式会社入社。電線ケーブルの海外輸出業務および企画部門に従事。

1985年経済企画庁経済研究所出向。世界経済モデルを使ったイタリア、日本および米国の短期経済予測、講造分析、計量経済分析の信頼性向上のための研究に従事。

1987年ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社入社。投資戦略調査部で債券・株式の数理分析に従事。特にオプション、スワップなどの金融デリバティブ商品、市場のベンチマークとしてのインデックス、および米国のモーゲージ担保証券に関する広範囲な研究・業務に従事。

1996年シンクタンク藤原事務所(株式会社あえるばの前身)設立。

10月 152015

日本という国の仕組みをそろそろ一般の国民も知るべき時を迎えている。

なぜなら、明治維新以降、薩長藩閥政府が強引に創ってきた日本という国の在り方が完全に限界に来ているからである。戦後、日本の官僚は、戦勝国である米国をバックに据えることによって政治家を完全に押さえ、官僚機構の肥大化とある意味、不労所得の恒久化に邁進することができるような公(おおやけ)優先の構造を創り出すことに成功した。つまり、司法、立法、行政、財政、外交、防衛、おおよそ国家の上部構造、つまり包括的権力がすべて官僚によって掌握され、宗主国である米国の意向は、日米合同委員会等を通じて忠実に反映されるが、日本人の本当の民意がなかなか反映されないのが、現在の日本の国政である。

いまだに3万人近い役人が天下る約4600の特殊・公益法人、そのグループ企業へ投じられる補助金は年間126000億円に達している。つまり、「天下り手当て」として復興財源を上回る予算が毎年注ぎ込まれているわけである。

「補完的社会事業」などと称し、国民の眼を欺いているが、特殊法人が本当の付加価値も創出していないことは言うまでもない。それどころか税金を投じて傘下に系列企業群を設立し、さらに役人が天下り、莫大な役員報酬を得、随意契約で優先的に業務を発注し、民業を圧迫している。これらの官製グループ企業は約3000社にも達している。もっとも、これらの利権のおこぼれに預かっている国民の数もかなりの数になるだろう。一言で表現するなら、戦後の日本システムの特徴は。市場経済において社会主義経済を実践するという二重構造にある。この既得権益層への傾斜的社会資本配分が行き過ぎたために現在、民間が極度の疲弊に陥っているというわけだ。

 何度もレポートで指摘しているようにこの国は、原発事故により現在、国家は存亡の危機にあり、過酷な税負担(この国には税の名前がついてない実質、税金と見なされる不思議な負担金?が特別会計に徴収されている。)により庶民が加速的に疲弊している。それにもかかわらず、何の能力も情報もない国会議員は、この日本の特殊利権構造に手を入れる意欲も手段ももっていないのである。

たとえば、役人の天下りへ投下されている126000億円の価値を考えてみるならば、5000億円で子供手当てを満額に継続し、3兆円で原発を全て廃炉にし、4兆円で福島の児童20万世帯を疎開させ生活保護費を支給し、5兆円で大学を完全無料化することができる。要するに似非エリート層によって利権が独占され、涙ぐましく、そのおこぼれに預かろうと陳情活動をするのが日本政治システムになってしまっているのである。

 たしか、ソビエト連邦崩壊時ノーメンクラツーラが私物化した社会資本は当時のレートで約34兆円以上と推計され、これは統治者による自国民からの収奪行為においては人類史上最高額に達するとされていたが、日本国における特権官僚の実践がそれを桁違いに上回っている可能性もあることを一般の日本人もそろそろ知るべきなのである。

 そういう意味でこの国の社会資本配分はある意味、詐欺もどきのものになっていると、言っても過言ではないだろう。国税と地方税の総計≒70兆円は人事院勧告準拠者700数十万人の給与、福利厚生、償還費、補助金で全額が蕩尽されている。このような無軌道な財政運営を続ければ、おそらく今後数年で公債総額は個人金融資産1500兆円と拮抗し、限界水域に達することになる。言うまでもないことだが、公債とは国民の資産と租税を担保とした借金にすぎない。

いずれにしろ絶対に責任を取らない官僚は、国債の暴落を引き起こし、桁違いの資産課税と年金、医療、公共サービスの切捨てをもってランディングする目論見であることは間違いないだろう。その時に、公務員の人員整理を強く要求するくらいしか、一般国民にはできないのだ。

官製国家である日本では報道されることもないが、1100兆円に達する公的債務のうち推計260兆円は、特殊法人へ貸付けた財投機関債(旧・財政投融資)によるものだ。つまり天下り官僚と準公務員という特権階級への献上金としてこれだけ莫大な金が費やされている。もともと国民の資産である年金、郵貯、簡保の積立金を原資とし、本来、出資者として配当を受け取るべき国民が、不良債権と化した財投債の元本、金利までをも負担し、租税として徴収されているわけであり、事実上の国家による強奪行為に他ならない。要するにわが国のエリートは、頭の悪い一般国民には財政の仕組みは何もわからないだろうと完全に馬鹿にしているのである。

当然のことだが、国債の9割近くは国民が市中銀行に預けた貯蓄で消化されている。国民の預貯金で公債を金に換え、国民が納める税金で元本償還を行い、公債金利を払っているわけだ。その上、宗主国である米国に外為特別会計を通じ米国債の購入を強制され、100何兆円規模で国民資産は米国に収奪されている。また、最近は特別会計の中にまでアメリカが手を突っ込み、活力交付金当たりから州債を買わせるなどしてお金を引き出しているようである。つまり馬鹿な日本人は国内外から二重にも三重にも搾取されているという見事な仕掛けができているのである。苫米地英人氏が「脱洗脳教育論」という本で述べているように日本人は明治維新の時から奴隷育成教育を受けているので、羊のように温和しくしているのであろうか。

 

先日、福島県宅地建物取引業協会が東京電力を訪れ、約25億円の損害補償を申し入れた。不動産への原発被害がいよいよ顕在化し、今後は周辺地域、都市圏への波及が警戒される事態となっている。これまでレポートで何回も指摘したが、日本政府が放射能汚染を頑なに隠蔽する一番大きな理由は、首都圏の不動産価格を下げたくないからである。都市圏の地価は10%の毀損で100兆円ちかい評価損失となる。これだけで信用創造機能は不全に陥いる。農林水産業や事業損失に加え不動産の賠償が加わるとなれば、脆弱なこの国の財政など一瞬で破綻することは明らかだろう。そのために官民上げて情報統制に狂奔し、被害実態を隠蔽し、富裕層が資産処分の時間を稼ぎ、クライシスを先送りしている。

 だから、そんなことに関わりのない人は、自分自身で情報収集し、考え、自分自身、家族、友人を守ることである。

 

しかしながら、日本では「このままの官僚利権構造が続く」と、それによって糊口を拭って来た地方経済の担い手たちがもはや疲弊しているのは、「地方創生」がかつてのような1億円の金の延べ棒をばらまく「ふるさと創生事業」ではなく、要するに利権無しでも適宜自活するようにという一方的な政策の申し渡しになりつつある国の現状を見ても明らかなはずなのに、いまだに勘違いしている人が地方の経営者を中心に多くいる。アベノミクスに本当の成長戦略がないことを見てもわかることだが、これから既得利権の時代が終焉していくのは明らかである。そして次は都市部に暮らす住民、さらには大企業、そしてついには官公庁と立法府(国会)もその渦に巻き込まれるのは当然である。

利権の原資が無く、利権を創ることが出来ない国会議員の先生に誰が投票するのだろうか。利権によって保ってきた似非民主主義:日本版アメリカン・デモクラシーもいよいよ終焉の時を迎えている。大体、不正選挙の疑惑がこれだけネットで囁かれ、明らかにおかしい事例までマスメディアでも一部報道されていることを考えると、すでに選挙の公正性すら現在の日本では担保されていない可能性も高いのだ。

 

兎に角、これからは、下記に紹介するような今まで信じていた「お花畑」を木っ端微塵に壊すような吃驚情報が続々出てくるだろう。そのことによって、徐々に戦後創られたすべての利権構造が壊れていく。この大きな時代の流れは、おそらく、悪名高い特定秘密保護法でも止めることはできないのではないか。

 

それでは、似非愛国者石原慎太郎氏の正体を元外交官原田武夫氏が容赦なく暴いているので、情報操作が大衆を如何に巧みに騙すかをじっくり考えていただきたい。以下。

 

「<泥棒国家>ニッポンを越えて」            原田武夫       2015年10月04日

 

例えばこんな話を聴いたらば、読者の皆さんはどう感じるだろうか。―――ある国の首都で首長を務める政治家がいた。どうしても息子には総理大臣になってもらいたいが、なかなかうまくいかない。かといって今さら自分が総理大臣になる道を志すわけにもいかないのだ。若い頃には「政界の暴れん坊」として鳴らしたものの、もはやその年齢でもないからである。そこで一計を案じた。

 

この国の首都には大きな港湾がある。その丁度入口にあたる部分に巨大な海底トンネルを掘るという計画がある。よくよく考えるならば「誰がそんなトンネルを使うのか」と首をかしげてしまうわけだが、対岸の他の地方行政府からすれば切望してやまない案件ではある。しかもここにきて国家としての経済の停滞は甚だしいものがある。「公共工事による需要創出」という御題目を打ち出すには絶好の機会となっている。

そうした中、国レヴェルでこれを所管する官庁はようやくこれを承認するに至った。無論、「道路族」の国会議員たちと並んで、国会議員ではないが有力政治家であるこの首長が辣腕を振るったのは言うまでもない。何てことはない、要するにこのトンネル建設工事のために組まれる予算の中に、彼ら土木官僚たちの将来的な「食い扶持」が含まれているように話しをつければ良いだけのことなのだ。工事を担当するのはこの港湾に長年特化した子飼いの建設会社だ。そもそもこの港湾の開発計画は、先の世界大戦の結果、この国が大敗北を喫してからというものの、戦勝国でありその後、この国にとって「唯一絶対の同盟国」となった大国の軍部によって事実上牛耳られてきた。無論、この国が名目上の「再独立」を勝ち取ってからはこの同盟国の軍部が港湾工事の細部に対してあからさまに介入してくることはない。ただ、一定の分け前を当然のように求めて来るわけであり、この点でもきっちり手を打つ必要があるのだ。首長はこのことを青年期から感づいていた。そしてこの同盟国からまず注目されるためには、それが敗戦国であるこの国の人々が二度と刃を向けて来ることが無いようエンターテイメント産業の発達による「愚民化」を図っているのに、俳優となった弟と共に、小説家として協力することに決めたのである。そしてテーマは「青年たちの暴走」を一貫して取り上げ、本来ならば国家全体として同盟国に押さえつけられているという現実を全くもって隠蔽し、青年たちの有り余るエネルギーを同盟国への抵抗から、極めて個人的な世界(「3S=スポーツ、セックス、シネマ」)へと向けることとした。

彼ら兄弟のこのやり方は大成功し、マスメディアを席捲する中で政治家へとのし上がる切符を兄である首長は得ることになったのだ。本来ならば「同盟国様様」となるはずだが、そんなことは無論、お首にも出すはずがない。それどころか今度は「NOと言える日本」なる本を打ち出し、この同盟国がいかに我が国を苦しめているのか、真の独立こそ今求められていると切々と訴えることにした。これがまたベストセラーになったわけであり、その勢いの恐懼した同盟国は少壮政治家となった後のこの首長を早速、自らの首都へと呼び寄せ、厚遇したのである。毅然として同盟国との協議へと向かう首長を、マスメディアは拍手喝采した。

港湾トンネル

さて、件の港湾トンネル建設計画についてである。首長がこれを子飼いの土木会社を用いていよいよ着手しようとしたのには訳がある。所管官庁にも言い含めてある国家予算の中から「(邦貨換算すると)600億円」を捻出するためだ。しかもそのやり方は極めて簡単だ。トンネルとその両端につくる橋梁で使うコンクリートを“薄めれば”良いのである。距離をいじったり、トンネルの大きさをいじったのでは後でばれてしまう。ところがコンクリートの「濃度」となるともはや現場を知るものしか分かり得ない世界の出来事なのである。子飼いの土木会社はこの意味できっちりと仕事をしてくれた。首長は「600億円」を捻出した。

 

だが、ここではたと気付いたのである。この600億円を塊として名のある銀行に置いておくのはやや気が引けるのである。無論、首長は有名政治家であり、かつその恫喝力で知られているわけだから、別にやろうとして出来ないことはない。有名銀行の最高幹部たちを縛り上げることなど、そのこれまでの行状、特に反社会的組織とのつながりや、夜の街の女性たちとの深い関係などを辿れば、大したことではないからだ。そのための実力装置との付き合いも首長はこれまで、港湾を取り仕切る荒くれ者たちとのやりとりの中で培ってきた。だが、そうとはいえ、やはり600億円はそれなりの金額なのだ。首長が「ここぞ」と思った瞬間に使える体制を維持しなければ意味がない。

そこで首長は考えついたのである。「そうだ、自分自身で完全にコントロールできる銀行を創ることが出来れば良いのだ」と。首長とは地方行政府のいわば”大統領“だ。その一言で巨大な地方行政組織が動いてくれる。「住民の福利厚生増進のため、独自の銀行を創るべし」といえば良い。ただそれだけで、地方行政官僚たちは整然と動き、「銀行」を創ってくれるのである。もっとも銀行業は彼らとて素人だ。世界的な不況の中でたまさかその国からの撤退を画策していた外国銀行の、おあえつらいむきの首都支店が一つあった。これを「公有化」してしまうのが一番手っ取り早い。―――首長は即決し、官僚たちはまたしても整然と動いてくれた。例の600億円は早々にこの新しい銀行の口座へと振り込まれた。

 

「これでもう大丈夫だ、息子が総理大臣になる道のりが開けた」そう想った首長の前に、突然立ちふさがった男がいた。辣腕ジャーナリストとしてテレビでも有名な小男だ。しかも彼は実に意外なところで首長に対して切りつけてきたのである。世界的な不況はこの国に対しても容赦なく負の波をぶつけてきた。そうした中で大合唱となったのが「行政のムダを徹底して切り落とせ」という主張、すなわち“構造改革”の呼び声である。雄ライオンによく似た髪型をした時の総理大臣が「抵抗勢力を潰せ!」と叫び続ける中、そうした波はいよいよ公共事業にも及び始めたのである。土木官僚たちの抵抗もむなしく、とりわけ「道路建設計画について徹底検証するための有識者会議」なるものを設置せざるを得なくなった。ジャーナリストはその一員、中でも「斬り込み隊長」役として、土木官僚たちが渋々提出した資料を、持前の嗅覚をきかせるべく鼻をひくつかせながら熟読し始めたのである。

そして、ついに見つけたのである。例の「コンクリート・トリック」を、である。もっとも世界で一番の野心家であるジャーナリストはそれを直ちに公表するなどという愚行には走らなかった。その代りに向かった先は、ここでの主人公である首長の下だったのである。

「首長、これ、見つけたのですけれどね」にやつきながら“600億円”が架空計上されている動かぬ証拠を示すジャーナリスト。かつては田舎学生運動の旗頭であったジャーナリストなど、自分とは格が違うのだと首長は怒り心頭だったが、しかしさすがにこの資料を示されて、この首長の内心は大いに動揺した。さて、どうするか―――。

「君、これはともかく、どうだね、首都行政のトップの現場で私を助けてくれはしないかね」

自分の顔がどうしてもひきつってしまうのを何とか隠しながら、首長は起死回生のための切り札をやおら切った。「野心家のこの小男のことだ、絶対に乗って来るはず」老獪な政治家である首長はそう確信していたのである。無論、その読みは当たっていた。「土木行政の切り込み隊長」として名を挙げたジャーナリストは今度は華々しく地方行政、しかも首都行政のトップへと転身。「国家で推し進めた構造改革を、今度は首都行政でも推し進める」と高らかに宣言し、鼻息荒く首都の牙城へと乗り込んだのである。

他方の首長はといえば、子飼いの首都行政組織幹部らに対してはこのジャーナリストへの「面従腹背」を命ずる一方、“その時”をひたすら待ち続けたのであった。その時、彼が胸の中で唱え続けた言葉はただ一つ。

「上げは下げのため、上げは下げのため、上げは下げのため・・・」

 

何人も急上昇すれば、必ず、そう”必ず“急降下するのである。奴を落とすにはまずもって急激な上昇気流に乗せてやるしかない。我が世の春となったジャーナリストは必ず踏み外すはずだ。そこで一撃必打、打ち取ればそれで良いのだ。

そして“その時”がやって来る。首長の「首都」が程なくして行われる夏季五輪の候補地として選定されるに至ったからである。首長自身は「オリンピック?ばかばかしい」と内心思っていたが、例のコンクリート・トリックが山ほど出来ることを思えば、無論そんな内心をお首にも出さなかった。だが同時に、マスメディアにとっては全くもってサプライズなことに「突然の辞任」を打ち出したのである。「老体にこの任はもはやきつすぎる。夏季五輪開催地の座を必ず射止めてくれるのは、これまで首都行政トップをきっちりとサポートしてくれた、このジャーナリスト氏しかいない」そう淡々と語り、首長は君臨していたその座から降りたのであった。

その深謀遠慮など、全く気付くことなく、意気揚々と首長の座に駆け上がった件のジャーナリスト。その後、紆余曲折が無かったわけではないが、「オリンピック利権」をこれまで何度となく味わって来た多くの魑魅魍魎たちの見えない力を借りて、夏季五輪開催というチケットを手にすることが出来たのであった。選定会場において、混血の我が方プレゼンテーターが口にした一言がもてはやされる中、首長であるジャーナリストはその人生の絶頂を迎えることになる。

 

だが、そこで「首長」の本当の計画が動き出したのであった。「夏季五輪開催を勝ち取ったのは自分。その自分こそが、夏季五輪開催時に栄えある首長の座に座っているべき」そう野心を今度は燃やし始めたジャーナリストは、今度こそ自分で潤沢なカネを集め、再選を目指そうと躍起になったのである。その裏側のどす黒い闇の中で「首長」が一撃必打の一手をその脳天めがけて振り落すとは知らずに、である。

ジャーナリストは、その手にまんまと乗り、「受け取ってはならないカネ」を受け取ってしまうのである。医療事故を起こし、もはや普通の病院では受け入れられなくなった「辣腕医師」たちを中心に集め、全国で病院チェーンを創り上げつつあった、自らは半身不随の経営者がいた。そのカネを不正献金と知りながら、ジャーナリストは懐にしまい込んだのである。無論、密室の中において、であない。「仲介役」を務めてくれた活動家の面前において、である。活動家は、かねてより「首長」とは昵懇だった。しかも”観念的な政治論“のレヴェルで「首長」とは相通ずるものがあった。そこで元来、真逆の思考を持っていたジャーナリストとは全くもって相容れないのである。だが、そんなことは全くもってお首にも出すことなく、活動家はいまや首長となったジャーナリストに急接近。「不法な政治献金の授受」の現場にまで立ち会うほどの関係を構築したのである。無論、盟友である「首長」の命を受け、動かぬ証拠をつかむために、である。

やがて「事件」は露呈する。得意の絶頂であったジャーナリストは全くもって脇が甘く、ものの見事に打ち取られた。マスメディアはほうほうの体で表舞台を去ろうとするジャーナリストの袖を引っ張り、そのこれまでの「傲慢さ」を暴き立てた。ジャーナリストは辞任はおろか、自宅謹慎、蟄居を余儀なくされた。「首長」はそのザマを見てほくそ笑んだ。「あの小男がこんな悲劇に襲われるのは当然のことなのだ。なぜならば、我が愛する息子が総理大臣へと駆けあがる道を塞ごうとしたのであるから。『政治生命』だけが奪われ、本当の“命”だけは助けてやったことにむしろ感謝してほしいくらいだ」―――。

 

そして迎えた与党総裁を選ぶ日。「首長」の愛すべき息子は総裁候補として立候補していた。候補は全部で3人。1度は総理になることが成功しながらも、謎の「腹痛」で辞任した男。秘書上がりでそのオタク趣味をテーマにメディア受けはするものの、ここ一番という時には手の震えが止まらなくなる男。そして政治部記者上がりで堂々とした美男子である我が愛すべき息子、である。「勝ったも同然」であった。傷がついていないのは息子だけだったからだ。それに今や、「環境保全」を理由に土木利権を完全掌握するに至った環境政策の所管官庁の大臣すら直前にはつとめていたのである。例の「実弾」を出さずとも、党所属の国会議員たちはついてくるはず、だった。

しかし、である。蓋を開けてみると何と惨敗だったのである。昔から「お坊ちゃま」として育てられ、優柔不断な長男である我が愛すべき息子は、「これがやりたいから総理になるのだ」と明言することが出来なかった。あれほど、そう“あれほど”家で、「首長」の前にて練習させたのに、である。口ごもりがちの息子をマスメディアは冷笑し、選挙戦は一気に前二者の一騎打ちになっていったのである。しかも例の「公衆の面前では震えの止まらない秘書上がりの男」が、インターネット上ではなぜか「総理ならばこの人だ!」と絶賛されている。全国の党員投票ではそうした流れを受けて圧倒的な優位まで獲得すらしていた。

「これはもう、例のブツを出すしかない」

そう思った「首長」は銀行を司っている首都行政組織の幹部へと電話をかけた。ところがそこで思いもよらない返答を耳にしたのである。

 

「申し訳ありません、『銀行』に公安当局が目を付けているという情報が入っており、即座にそれだけの金額を動かすとなると、かえって藪蛇になるかもしれないのです。今は静かにされておく方が良いかと・・・」

この国の国会議員の数と「600億円」。1人あたり割れば1回の選挙で勝ち抜くだけの資金になる計算だった。まずは与党の中でこれをばらまき、次にうるさ型の野党へとばらまく。これによって満場一致の「内閣総理大臣」として我が息子があの壇上で満面の笑みを浮かべるはず、だったのである。ところがそれが今、叶わないのだという。「なぜだ、一体なぜなんだ」―――。

 

事態は「首長」の知らないところで進行していた。そもそも買収される前、外国銀行の支店だった時から、経営不振に苦しむ同行は“この国”では禁じ手とされる「民族系マネー」の溜り場としての役割を果たし始めていたのである。そして「首長」の事実上のマイ・バンクとなってからはなおさら経営不振となり、ついにはこうした「民族系マネー」の温床とまで公安筋から言われるようになっていたのである。その様にして目を光らせ始めていた公安筋の背後には「この国のデモクラシーはこの国の内閣総理大臣によってだけリードさせなければならない」という例の“同盟国”の、敗戦直後からの強い意向が控えていた。だからこそ、600億円はすぐそこにあっても、絶対に引き出すことが出来ないマネーとなってしまっていたというわけなのである。

「大変申し訳ございません、もはや打つべき手は一つしかありません。この銀行の“健全化”を宣言し、他行との合併によって体質の根本的な改善を謳うしか道はないと考えます。そのためには我が地方行政府からの補助も打ち切らなければと―――。言いにくいことではございますが、どうぞお赦し下さい」子飼いであったはずの担当局長は「首長」に電話口でそこまで言い切ったのである。

 

「政界の暴れん坊」とまでかつてもてはやされた「首長」は、ただ一人の“老兵”、いや老人に過ぎなかった。後は、例のコンクリート・トリックでひねり出したマネーで建てた、海辺の豪邸で静かに寄せる波を見ながら余生を過ごすしかないのか。かつて道路を仕切る大臣を務めた時からこのトリックの甘い汁を覚えた自分のこれまでの歩みを懐かしみながら、潰えるしかないのか。

「いや、そんはずはない。まだ打つ手がどこかに、絶対にあるはずだ」―――。そうつぶやく「首長」の声が誰もいない書斎の中で響いていた。(引用終わり)

 

<アメリッポン>への道を突き進む?日本の官僚

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10月 102015

「本当に丁寧に説明すれば、ほとんどの人が賛成しない」というある意味、国民国家主権を放棄する取り決めがTPP(環太平洋経済連携協定)である。 

かつてブレンジスキー元大統領補佐官は今から20年以上前に「アウト・オブ・コントロール」という自著の中で次のようなことを書いている。

アウトオブコントロール

「日本は軍事大国化が世界からの孤立に繋がることを認識している。日本のリーダーたちは、それよりも同盟国で最強の米国と密接に関係を保ち、米国の主導のもとにパートーナー・シップを築くことが望ましい姿だと考えている。その先には太平洋をはさんだ日米コミュニティ=アメリッポンが見える。」 *「アウト・オブ・コントロール」より抜粋

 

この言葉は、もちろん戦後、半世紀にわたって外国軍(米軍)が駐留している国は、君主論で有名なマキャベリーの言葉を引用するまでもなく、政治的にはその属国だが、経済的にもアメリカの完全な属国であるアメリッポンを作ろうとしている大胆不敵な米国の戦略を意味している。戦後、宗主国であるアメリカは、日本の教育をコントロールして日本の優秀な官僚たちを親米、従米に育て上げる見事な仕組みを創り上げてきた。彼らが選挙活動で忙しくて勉強する時間も、その気もない政治家たちを振り付けして、今回の大筋合意に漕ぎ着けたわけである。しかしながら、国民国家のエリート(ベスト・アンド・ブライテスト)を自称する人々が自国の国益(国民全体の利益)より宗主国の利益、自己の権益を優先するようでは、その国の将来は、推して知るべし、であろう。しかしながら、何人もアメリカの覇権衰退という大きな歴史の流れの必然には逆らえないことも忘れてはならない。

 

 それでは、今から4年前TPPについて解説させていただいたレポートから抜粋させていただく。以下。

 

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)は、マスコミ等で宣伝されているような開国政策ではなく、全く逆の現代の集団鎖国政策、米国によるブロック経済、囲い込み政策であり、自由貿易に逆行する政策である。

TPPなどで関税を撤廃すれば参加国内の貿易は促進されるが、他地域との貿易で関税を引き上げなくても相対的に障壁を高める結果となり、逆に保護貿易を招く可能性も高い。

1929年の世界大恐慌後も、特定地域間で経済圏を形成し、その中で貿易を拡大して景気回復を図るブロック経済の動きがみられた。当時の経済協定は宗主国と植民地及び周辺国との間で締結された。代表的な例が当時覇権国のイギリスを中心に1932年に成立したオタワ協定である。これは英連邦国間で特恵関税制度を導入し、連邦外の国との貿易には高関税を課すもので、スターリング・ブロックと呼ばれる閉鎖的な経済圏が形成された。これによりイギリスの対英連邦国の貿易比率は拡大した。米国も関税を大幅に引き上げるスムート・ホーリー法や中南米諸国との経済協定を締結した。一方で植民地の少なかった日本やドイツは、経済圏の拡大を目指して満州や中欧への進出を強め、第二次大戦につながっていった。

tpp 参加国1

TPP参加国?

 *世界最大の債権国である日本にはアメリカだけでなく、中国からのアプローチも当然ある。 

 

(以下引用)

「アジア共同体や海洋協力を 日中友好委で唐氏が提唱2011.10.23 18:17 産経新聞

 

 日中両国の有識者でつくる「新日中友好21世紀委員会」の第3回会合の開幕式が23日、北京の釣魚台迎賓館であった。中国側座長の唐家(=王へんに旋)元国務委員は基調講演で、東アジア共同体の構築を視野に、自由貿易協定(FTA)の推進や海洋上の協力体制の創設を提唱した。

 唐氏は「アジアの大国として協調と協力を深め、多くの利益の接点を探さなければいけない」と日中がアジア一体化に努力すべきだと強調。日中韓FTAや東アジア貿易圏の創設などを提案した。

 また、唐氏は沖縄県・尖閣諸島や東シナ海ガス田の問題などを念頭に、海上危機管理メカニズムの必要性を強調、西太平洋における海洋環境調査やシーレーン(海上交通路)の安全確保も日中合同で実施するように求めた。(共同)(引用終わり)

 

下記にあるように米国のエリート自身がアメリカにすでにリーダーシップがないことを認めている。であるならば、本来、日本は純粋に経済的損得だけを考えてこの問題を考えるべきである。(以下引用)

 

金融危機が出現させたGゼロの世界――主導国なき世界経済は相互依存からゼロサムへ

A G-Zero World

――The New Economic Club Will Produce Conflict, Not Cooperation

イアン・ブレマー ユーラシア・グループ会長 

ノリエル・ルービニニューヨーク大学教授 

フォーリン・アフェアーズ リポート 20113月号

 

市場経済、自由貿易、資本の移動に適した安全な環境を作りだすことを覇権国が担ってきた時代はすでに終わっている。アメリカの国際的影響力が低下し、先進国と途上国、さらにはアメリカとヨーロッパ間の政策をめぐる対立によって、世界が国際的リーダーシップを必要としているまさにそのときに、リーダーシップの空白が生じている。われわれは、Gゼロの時代に足を踏み入れている。金融危機をきっかけに、さまざまな国際問題が噴出し、経済不安が高まっているにもかかわらず、いかなる国や国家ブロックも、問題解決に向けた国際的アプローチを主導する影響力をもはや失ってしまっている。各国の政策担当者は自国の経済成長と国内雇用の創出を最優先にし、グローバル経済の活性化は、遠く離れた二番目のアジェンダに据えられているにすぎない。軍事領域だけでなく、いまや経済もゼロサムの時代へ突入している。

(引用終わり)

経済的な利害だけを考えれば、TPPは日本国民一人一人には、何のメリットもないものである。ただ、世界最大の債権国である日本を参加させなければ米国の戦略にとって何の意味もないことだけは確かである。つまり、TPPは米国の年次改革要望書の仕上げである。

<09年におけるTPP関連諸国のGDP(単位:十億ドル)>

tpp関連諸国のgdp

出典:IMF

上記のグラフを見れば、一目瞭然、TPPとは、日米の問題なのである。

 

*以下、読売新聞より

「TPP大筋合意…交渉5年半、巨大経済圏誕生へ」読売新聞105()

世界経済の4割を占める?

【アトランタ(米ジョージア州)=横堀裕也、辻本貴啓】環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する12か国は5日朝(日本時間5日夜)、共同記者会見を開き、交渉が大筋合意に達したとする声明を発表した。
 2010年3月に始まったTPP交渉は5年半を経て終結し、世界の国内総生産(GDP)の約4割を占める巨大な経済圏が誕生することになった。
 記者会見に先立ち、甘利TPP相は記者団に「TPPは21世紀型のルール、貿易のあり方を示す大きな基本になる。この基本は世界のスタンダードになっていく」と意義を強調した。議長役のフロマン・米通商代表部(USTR)代表は記者会見で、「成功裏に妥結したと発表できることをうれしく思う」と述べた。
 TPPは安倍首相の経済政策「アベノミクス」の柱の一つ。発効すると、域内でのモノや人材、サービスのやりとりが盛んになり、経済が大きく活性化することが期待できる。日本は少子高齢化で国内市場が縮小に向かう中、米国や新興国の需要を取り込み、新たな成長のよりどころとする。(引用終わり)

 

TPP風刺画

ビジネスマン:「さあ、これで、あなたもマレーシアと商売ができますよ!」

派遣労働者: TPPのせいで、失業生活を送っている俺にはカンケーねー」



*参考資料 

20151008日(ロシアの声)

全世界の中央銀行が前代未聞の速さで米国債を売却しようとしている。ウォールストリートジャーナル紙が報じた。」

 

ドイチェバンク(独中央銀行)国際問題部の主任エコノミスト、トーステン・スロク氏の掴んだデーターでは、米国債市場からの資本引き上げは6月も続いており、過去12ヶ月の資金流失額は1230億ドルに達した。この額は1978年以来、最大。

一連のアナリストらは中央銀行側からの大売りの結果として国債の収入増を予測している。これは、世界経済の将来に対するペシミズムが高まる背景で、より信頼性の高い金融ツールに資金を転換せざるを得ない民間企業からの国債への需要は増えているにもかかわらず起きるだろうと予測されている。多くの資本家らは国債市場の方向転換はすでに起きており、今後は収益性はただ増す一方との確信を示している。

SLJ マクロ パートナーズ LLP社のパートナーで元IMFのエコノミストのステファン・イエン氏は「過去10年、世界の中央銀行が米国債を買い続けたために、米国債の収益性は深刻にダウンしたが、今、見られるのはその反対のプロセス」と語る。

1年前の時点では、世界の中央銀行は米国債のポジションを270億ドルも拡大していたことは特筆に価する。(引用終わり)

 

田中 宇氏「多極化とTPP」という記事の中で実に適確な指摘をしているので抜粋して紹介する。

以下。http://tanakanews.com/151007tpp.htm 

米国は、アジア太平洋諸国とのTPPと、欧州(EU)との協定であるTTIPという、2つの似た内容の自由貿易圏を同時並行的に交渉して設置することで、米国中心の新たな経済覇権体制として構築しようとしてきた。だがTTIPは、24の全項目のうち10項目についてしか米欧双方の意見表明がおこなわれておらず、対立点の整理すら未完成で、まだ交渉に入っていない。EUでは、署名活動として史上最多の300万人がTTIPに反対する署名を行った。

 TPPもTTIPも、企業が超国家的な法廷(裁定機関)をあやつって国権を超越できるISDS条項や、交渉中の協定文が機密指定され国会議員でも見ることが許されていない(米議会では数人が見たらしいが、日本の国会議員は誰も見ていない)など、国民国家の主権を否定する傾向が強い。EUの調査では、欧州市民の96%がTTIPに反対だというが、当然だ。

 すでに書いたように、EUは今後、米国との同盟関係を希薄化して露中への接近を加速し、米単独覇権体制を見捨てて多極型世界の「極」の一つをめざすだろう。欧州がTTIPに同意する可能性は今後さらに低くなる。おそらくTTIPは破棄される。TPPだけが残るが、TPPは拡大NAFTAであり、米単独覇権体制の強化でなく、多極型世界における米国周辺地域の統合を強化するものになる。(米国の中枢には、単独覇権体制を声高に希求する人々と、多極型世界をこっそり希求する人々がいる。ベトナム戦争もイラク戦争も、単独覇権を過激に追求してわざと失敗させ、多極型世界を実現する流れだ。単独覇権型の貿易体制が多極型の体制に化けても不思議でない)

 以前、日本はTPPの交渉に入っていなかった。日本がTPP交渉に途中から参加し、今や米国より熱心な推進者になっている理由は、世界の多極化が進む中で、何とかして自国を米国の傘下に置き続けたいからだ。日本の権力者が国際的に自立した野心を持っているなら、対米従属の継続を望まないだろうが、戦後の日本の隠然独裁的な権力者である官僚機構は、日本を対米従属させることで権力を維持してきた。対米従属下では、日本の国会(政治家)よりも米国の方が上位にあり、官僚(外務省など)は米国の意志を解釈する権限を乱用し、官僚が政治家を抑えて権力を持ち続けられる。近年では、08-09年の小沢鳩山の政権が、官僚独裁体制の破壊を画策したが惨敗している。対米従属は、官僚という日本の権力機構にとって何よりも重要なものだ。

  

TPPは、米国の多国籍企業が、ISDS条項などを使って日本政府の政策をねじ曲げて、日本の生産者を壊滅させつつ日本市場に入り込むことに道を開く。日本経済を米企業の餌食にする体制がTPPだが、日本の権力である官僚機構にとっては、米政府に影響力を持つ米企業が日本で経済利権をむさぼり続けられる構図を作った方が、米国に日本を支配し続けたいと思わせられ、官僚が日本の権力を握り続ける対米従属の構図を維持できるので好都合だ。米企業が日本でぼろ儲けし、日本の生産者がひどい目に遭うことが、官僚にとってTPPの成功になる。官僚が、意志表示もほとんどしない国民の生活より、自分たちの権力維持を大事と考えるのは、人間のさがとして自然だ。

 

日本ではここ数年、国民が中国や韓国を嫌うように仕向けるプロパガンダがマスコミによって流布され、それを国民の多くが軽信している。こうした洗脳戦略も、米国が衰退して中国が台頭する多極化の傾向への対策だろう。洗脳戦略がなかったら、国民のしだいに多くが「米国より中国と組んだ方が日本経済のためだ」「TPPでなく日中韓で貿易圏を作れば良い」と思うようになり、民意主導で日本が対米従属から離脱していってしまう。それを防ぐため、国民が中国や韓国を「敵視」するのでなく「嫌悪」するよう仕向ける洗脳戦略が採られ、かなり成功している(敵視を扇動すると、日本が中国に対して攻撃的に関与してしまうことにつながり、どこかの時点で日中が折り合って和解してしまいかねない)。

 

TPPと並んで、自衛隊が米軍と一緒に海外派兵できるようにする日本の集団的自衛権の強化も、対米従属維持のためだ。先に書いた、カナダ軍が米軍の傘下に入って海外派兵する新体制を作ろうとする米加軍事統合を、日本の集団的自衛権の強化と並べてみると、2つが良く似ていることに気づく。カナダは米国から「多極化の中で国家統合を進めたいなら、カナダ軍が米軍の傘下に入って海外派兵できるようにしろ」と言われ、迷いつつ進めている。それを見た日本外務省が「うちも、米軍の傘下に入って海外派兵できるようにしますので、多極型世界における北米圏に入れてもらって良いですか」と申し出た。米国は了承し、日本は集団的自衛権を改訂した。NAFTA(北米経済圏)の拡大版であるTPPに、日本が何とかして入ろうとしたのと同じ構図だ。

  

今回、TPPの交渉が妥結した一因は、乳製品問題で前回の交渉を頓挫させたニュージーランドを、日本が輸入増で譲歩してなだめたからだ。バイオ医薬品の独占期間の5年+3年の解決方法も日本が進めた。TPPは、日本のイニシアチブで妥結した。

安倍政権を動かしている日本の官僚機構は、多極化が進んで日本が米国圏から切り離される前に米国にしがみつこうと、これまでにない積極性で対米従属を強化している。日本が主導してTPPを妥結に持ち込んだのはその一つだし、説明抜きで無理矢理に集団的自衛権を強化したのもそうだ。日本の主導権発揮を受け、オバマはTPPの妥結を容認した。しかし、中東や対露関係から判断してオバマは隠れ多極主義者であると考えられるので、このまますんなりTPPが実現していくとは考えにくい。10月中のカナダの選挙で右派の与党が負けると、カナダ議会がTPPの批准を否決する可能性が強まる。米議会でも超党派でTPPへの反対があり、来年の大統領選挙で勝ちそうな共和党のトランプもTPPに反対だ。TPPをめぐる戦いはまだ終わっていない。(引用終わり)

米国議会図書館議会調査局文書>

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-7c4a.html

 

TPPでのアメリカの狙いは、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策を日本に解除させることにある

 

<市場アクセス>

TPP交渉への日本参加は、アメリカの通商と日本投資における機会を増大する可能性がある。アメリカ合州国の狙いは、米日貿易関係において、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策、ある種の政府規制等を、日本に解除させることにある。現在の9ヶ国によって想定され、交渉されているTPPは、日本が維持しているこうした非関税施策の少なくとも一部を対象にすることになろう。もし日本が TPP交渉に参加すれば、アメリカ合州国と日本は、その中でこれら積年の市場アクセス問題に対処することになる、枠組みを持つようになる。

上記項目は、この文書の大分下の方にでてくるが、お時間とお手間をとらせないよう、一番先に貼り付けておく。

以下は、原文の通りの順序。該当文書の6から11ページの部分訳である。(文章末にある数字は、原文中で、原典を示す注番号。)

 

<残された課題とTPP
米日経済関係をいらだたせ続けてきた問題の多くは、TPPの枠内で対応可能かも知れない。アメリカの議員や他のステークホルダーは、もし解決ができれば、日本をTPPにとりこむことへの、アメリカの支持を強化しうる“信頼構築の施策”と見なすことができるであろう、三つの点を特定している。問題点は以下の通り。アメリカ牛肉に対する日本の制限、デトロイトを本拠とするアメリカ自動車メーカーが製造した自動車の日本での市場アクセス、そして、国営の日本郵政の保険と宅急便子会社の優遇措置だ。

<アメリカ牛肉の市場のアクセス>

200312月、ワシントン州で、牛海綿状脳症(BSE、いわゆる“狂牛病”)のアメリカ最初の事例が発見されたことに対応して、日本は、他の多数の国々と共に、アメリカ牛肉輸入禁止を課した。2006年、多数の交渉後、日本は20カ月以下の牛の牛肉を認めるよう制限を緩和した。(韓国や台湾等、他国の中には、30カ月以下の牛のアメリカ牛肉輸入を許可している) アメリカ牛肉生産業者と一部の議員は、国際的監視機関が牛の年齢とは無関係にアメリカ牛肉は安全だと宣言しているので、日本は制限を完全に解除すべきだと主張している。アメリカと日本の当局者間の交渉は、この問題を解決できていない。

20111112日、ハワイ、ホノルルでのAPEC指導者フォーラム会合前の、オバマ大統領との会談で、野田首相は、日本の牛肉輸入規制を改訂し、アメリカ牛肉の市場アクセスを拡大する取り組みが進行中であることを示した。ホワイト・ハウスによれば、“大統領は、こうした初期対策を歓迎し、科学に基づく、この積年の問題を解決することの重要性に言及した。野田首相によって行われている迅速な対策に励まされる思いであり、こうした構想で彼と密接に仕事をすることを期待している。”14 20111117-18日の東京での日本の当局者との会合で、デメトリオス・マランティス米通商部(USTR)次席代表は、アメリカ牛肉に対する制限解除の問題を話題にした。15 201112月、日本は、日本に輸出するアメリカ牛肉用の牛の最高年齢を20カ月から30カ月に上げるという目的で、BSEに関連する規制を見直していると発表した。2012424日に、アメリカ農務省(USDA)検査官が、中部カリフォルニアのレンダリング施設で、この病気のサンプリングをしたものの中で、牛のBSE症例を発見した。USDAは、この牛は、人間の消費用に屠殺したものではないので“食品供給や、人間の健康にとって、決してリスクにはならない”と述べた。16 日本当局者は、最近BSEが発見されたが、アメリカ牛肉の輸出に対する政策は変えていないと発言した。17

 

<アメリカ製自動車の市場アクセス>

自動車と自動車部品関連の貿易と投資は、米日経済関係の中で、非常に微妙な問題であり続けてきた。問題の根は、1970年代末と、1980年代初期、主としてガソリン価格急速な高騰に対応して、アメリカ消費者の小型車需要が増加した結果、アメリカの日本製自動車輸入が急増したことにある。

一方、アメリカ製の自動車の需要は急落した。日本製の自動車輸入制限という形での、アメリカ自動車業界の圧力と、議会からの圧力に直面して、1981年に、レーガン政権は、自発的輸出制限に合意するよう、日本を説得した。日本の自動車会社は、制限に対応して、アメリカ合州国内に製造工場を建設し、高価値の乗用車を輸出することにした。アメリカのメーカーは、日本国内での外国製自動車販売と、アメリカ合州国で製造された日本車でのアメリカ製部品使用を制限する為、日本は様々な手段を使っていると主張した。これらの問題は、1990年代中、二国間交渉と合意の対象とされた。合意は、概して、政府規制が、日本でのアメリカ製自動車の販売を決して妨げないようにするという日本政府の約束と、アメリカ合州国で製造される自動車で、アメリカ製自動車部品の使用を増やすという日本メーカー側の自発的努力という形のものだった。アメリカ政府は、日本へのアメリカ製自動車の輸出促進プログラムを実施すると約束した。

デトロイトに本拠を置く三社の自動車メーカー-クライスラー、フォードと、ゼネラル・モーターズは、日本がTPPに参加する可能性に対し、日本政府の規制が、日本国内の自動車売り上げ中で、彼等が応分のシェアを得るのを妨げ続けていると非難している。彼等は日本の全自動車売り上げ中の、伝統的に小さな輸入車のシェア、約5%に触れている。対照的に、2010年の輸入は、アメリカでの軽自動車の売り上げの26%を占めている。18アメリカ・メーカーはまた、2010年の総売り上げ中の、アメリカ製自動車の0.2%という小さなシェアを指摘している。

とりわけ、アメリカ自動車メーカーは、安全規制と、車検規制と、そうしたものの進展と実施での透明性の欠如が、アメリカ製の車の輸入を妨げていると主張している。アメリカの自動車メーカーは、日本で、自分達の車を販売するディーラーを設立する障壁にも言及した。19 日本側の業界は、アメリカ・メーカーが、日本で需要がある小型エンジン車両を十分な量、製造していないのだと主張している。対照的に、ヨーロッパ・メーカーは、そうしたモデルを多く製造しており、2010年の日本国内販売中で、彼らのシェアは、2.9%である。20

 

<保険、宅急便と、日本郵便>

日本は、アメリカ合州国に次いで、世界で二番目に大きい保険市場である。アメリカに本社を置く保険会社は、市場参入が困難であることに気がついた、特に、生命保険と年金保険。彼等は、日本の国内の保険市で大きなシェアを有する国営郵便制度の保険子会社、日本郵政保険に政府が与えている有利な規制の扱いを憂慮している。日本郵政は、他の業務からの収入で、保険業務を補助している。また、日本郵政の保険は、他の国内、外国、両方の民間保険会社に対するのと同じ規制を受けずにいる。同様に、アメリカの宅急便会社は、日本郵政の宅急便運送会社は、国有の親会社から補助を得ており、それが、競争上の不公平な優位性を与えていると非難している。

 

<日本の環太平洋連携協定への参加可能性と、その意味あい>

2007101日、当時の小泉純一郎首相政権は、日本郵政の改革と民営化を導入し、彼の政権の主要目標とした。ブッシュ政権と多くのアメリカ企業、特に保険会社は、こうした改革を支持した。しかしながら、民主党が率いる後継政権は、改革を巻き返す措置を講じた。2012312日、政府は規制の要求を緩和する法案を提出し、2012427日、日本の議会が、法案を法律として成立させた。業界報告や他の意見によれば、法案は小泉政権が導入した改革を逆転するものだ。21 法案は、与党の民主党と、二大野党、自由民主党 (自民党)と公明党議員達による妥協パッケージだとされている。22

 

<アメリカの全体的目標>

日本のTPP参加の可能性は、様々なアメリカの貿易、外交政策目標に関わっている。アメリカ合州国は、201111月のTPP参加の可能性を追求するという野田首相の声明を積極的に歓迎した。しかしながら、USTR ロン・カークは下記のように明記している。

交渉に参加するためには、日本は貿易自由化のTPPの高い水準に合致する用意ができていて、農業、サービスと、製造業に対する非関税施策を含む障壁について、アメリカ合州国が関心を持っている特定の問題に対処しなければならない。日本のTPPへの関心は、この構想の、この地域に対する経済的、戦略的重要性を実証している。23

 

<市場アクセス>

TPP交渉への日本参加は、アメリカの通商と日本投資のおける機会を増大する可能性がある。アメリカ合州国の狙いは、米日貿易関係において、関税よりずっと重大な邪魔者であり続けている非関税施策、ある種の政府規制等を、日本に解除させることにある。現在の9ヶ国によって想定され、交渉されているTPPは、日本が維持しているこうした非関税施策の少なくとも一部を対象にすることになろう。もし日本がTPP交渉に参加すれば、アメリカ合州国と日本は、その中でこれら積年の市場アクセス問題に対処することになる、枠組みを持つようになる。

 

<ルールに基づく貿易の枠組みと、公平な紛争処理>

アメリカ合州国と日本が過去に使ってきた二国間の枠組みの欠点の一つは、そこに正式な紛争処理機構がないことである。例えば、アメリカ製自動車と自動車部品の日本市場アクセス、半導体の日本の貿易慣習や、建設サービスの日本市場アクセスを含む1980年代と、1990年代の、多数の貿易紛争は、アメリカによる一方的な行動の脅しをともなう、全体的な関係をむしばみかねない、深刻な政治問題と化した。

紛争は通常、瀬戸際で解決されたが、日本の貿易慣習の意味ある変化や、対象になっているアメリカの製品輸出の大幅な増加をもたらさないことが多かった。TPPは、WTOを越えるが、問題解決において、11の対決の役割を小さくするよう、WTOで用いられているような、公平な複数メンバーの紛争調停機構を用いる可能性の高い、相互に合意した一連の規則を提供することとなろう。

 

TPPの強化>

アメリカから見て、日本は、TPPの経済的重要性を増すだろう。TPP(オリジナルの9ヶ国プラス、カナダとメキシコ)がカバーするアメリカ商品の貿易額を、2011年データに基づく、34%から、39%に増大するだろう、また、TPP内でのサービス貿易と、外国投資活動も増大するだろう。(1参照) 日本は、TPP加盟国(カナダとメキシコを含む)占める世界経済でのシェアを、約30%から、38%に増大させるだろう。

日本の参加は、TPP内の多くの問題で、アメリカの立場を強化する可能性がある。アメリカ合州国と日本は、以下を含む目標を共有している。知的財産権の強力な保護、外国投資の保護、貿易を促進する明確な原産地規則、サービスの市場アクセス。(終わり) 

 

*基軸通貨ドルベースで見た日本経済:見事なまでに世界経済でのウエイトを下げている。

 アベノミクスの裏面である。


 

ドルベースで見た日本のGDP

*日本はこの10年で500兆円規模もの対外資産を増やしている。

 財務省は毎年、本邦対外資産負債残高の数字を発表している。それによれば、日本の対外資産残高は、平成16年末が433.9兆円、平成26年末が945.3兆円である。その差額は511.4兆円にもなる。日本はこの10年間にて500兆円規模の資産を海外移転している。

 なぜ、こんなにも巨額の国富移転が行われているのか、その主な要因は、円高になったとき、日銀は円売りドル買いオペをやって、そのドルにてせっせと米国債を買っているからだ。政府日銀がやっていることは、結局、米国の財政を日本国民の資産でサポートしているということに他ならない。ここまで対外資産が膨らんでいるのは米国から日本への資産還流、すなわち、日本の持つ米国債の償還が行われていない事も意味している。

 要するに日本は米国に累計945兆円ものおカネを貸しているのだが、それ(元本)が返済されていないということを意味している。

○平成16年末現在本邦対外資産負債残高(財務省資料)

https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/iip/16_g5.htm

○平成26年末現在本邦対外資産負債残高(財務省資料)

https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/iip/2014.htm

 

戦争法案成立後の日本

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9月 292015

「パックスアメリカーナの時代」が黄昏時に入ったとは言え、太平洋戦争に負けた日本が米国の「特別行政自冶区」である現実には何の変わりもない。いまだに多くの日本人が日本をりっぱな独立国だとずっと勘違いしているが、また、米国の支配層はずっと勘違いしていてくれるように願ってはいるが、残念ながら現在の日本は真の独立国ではない。

 

「戦後日本という不思議の国」には、数々の神話が散りばめられ、美しい装飾が施されているが、勝者であるアメリカのマッカーサーと昭和天皇のギリギリの交渉の結果、成立した特別行政自冶区でしかないことは、間違いのないところだろう。それが徹底したリアリストであった昭和天皇が天皇制を残すためにした苦渋の決断であったのだ。そのことを豊下楢彦氏は近著「昭和天皇の戦後~<憲法・安保体制>にいたる道~」できっちりと「天皇実録」に基づいて証明している。

 その視点で見てはじめて日本の戦後史の実態が見えてくる。その意味で、今回の安保法案、いわゆる戦争法案は昭和天皇が創り出した<戦後の米国との均衡点>を明らかに逸脱している政治行為である。米国のジャパンハンドラーも、日本の為政者もおそらく戦後史の原点を忘却の彼方に押しやってしまったのである。

昭和天皇の戦後日本


ところで、「日米相互防衛援助協定(MSA協定)」というものがある。そこにはこう書かれている。

 

「各政府は,経済の安定が国際の平和及び安全保障に欠くことができないという原則と矛盾しない限り,他方の政府に対し,及びこの協定の両署名政府が各場合に合意するその他の政府に対し,援助を供与する政府が承認することがある装備,資材,役務その他の援助を,両署名政府の間で行うべき細目取極に従つて,使用に供するものとする」

 

つまり、戦後の日本は国の財政基盤が許す限り、米国の軍事行動に対して経済的に協力するということなのである。ところが国力の低下により、世界の警察官がもはや維持できなくなりつつある米国は、その取り決めを逸脱した集団自衛権の行使を今回、日本に求めてきたのである。そして、御所、天皇に向かって発砲するという前代未聞の蛮行を「蛤御門の変」で犯した長州卒族の末裔が何を勘違いしたか、米国のジャパンハンドラーの言うことを120%聞き入れてしまったのが、現在の日本である。

これはこの国の暗黙の統治機構に対するある意味、「クーデター」である。その意味でこれからは、反作用の力が大きく働いてくるのは必然である。恐らく、その反作用の動きは昭和天皇の創った均衡点へ振り子を戻すに止まらず、日本が「特別行政自冶区」でなくなる動きに繋がっていくはずである。従米で凝り固まった日本のマスコミは解説しないが、最近、ロシアのプーチンはシリアにISIS(イスラム国)対策とは思えないほどのロシア正規軍を派遣している。最終的な狙いは、ネオコン=戦争屋と表裏一体のイスラエルであろう。1948年にシオニズムに基づいて建国されたイスラエルがその後、世界の兵器需要の増加(戦争経済)にどれだけ貢献したか、冷静に考えてみれば、すぐわかることである。

中東地図 日本語



いよいよ2001年の911以降、世界をいいようにコントロールしてきた戦争屋=ネオコンがメインストリートから退場する時を迎えようとしているのかもしれない。

従米を自らの権力の源泉とする安保利権を守ろうとする日本の官僚は、傲慢にも「天皇制の下におけるアメリカンデモクラシーというこの国の在り方」を都合良く忘れてしまったのだろうか。彼らは敗戦後もこの国に天皇制が残っている理由を忘れてしまったエリート?なのである。米国による戦後教育の成果であろう。

<参考資料>

*週刊現代より

「デモ隊も見逃した「陰の主役」たち」

 

外務省の超エリート

条約局マフィアという言葉を聞かれたことがおありだろうか。外務省の超エリート・旧条約局(現国際法局)の局長経験者を中心に形成された人脈のことだ。

たとえば安保法制懇の柳井俊二座長。国家安全保障局の谷内正太郎局長。外務省一の切れ者とされる兼原信克内閣官房副長官補。安倍首相が法制局長官に起用した小松一郎氏(昨年病死)。みんな条約局長(国際法局長)経験者で、条約局マフィアの代表格と見なされている。安保法制を執拗に画策してきたのは彼らである。彼らこそ官邸の主役だと言っていいだろう。私はこれまで官僚の掌で政治家が踊る姿を何度も見てきたが、今ほど官僚が政治を思うままに動かす局面を見たことがない。先月末、河出書房新社から出た『安倍「壊憲」政権に異議あり 保守からの発言』(佐高信編著)で山崎拓元自民党副総裁がこう語っていた。

〈いまの内閣はまたぞろ官僚支配内閣になっている。自民党支配の内閣ではない。(中略)官僚が好きなようにやっているという状況が出来している〉

安倍壊憲政権に異議あり

ご承知のように山崎さんは自民党タカ派(改憲派)の有力者だった人で、防衛庁長官もつとめた安保政策の専門家だ。

山崎さんは、安倍首相には集団的自衛権の行使を政治的実績にするという目論見があり、それに官僚が従って法制化した――という部分ももちろんあるのだがと断って、こうつづける。

〈むしろこの機会にとにかく自衛隊を海外へ外交のツールとして展開させたいという、外務官僚の宿願が安保法制を推し進めるようになってきた。これは大変危険な事態です。もちろん集団的自衛権の問題ではあるのですが、集団安全保障のほうに官僚たちの宿願があるわけで、積極的平和主義という名のもとにそれをやろうとしている〉

山崎さんの言う外務官僚とは即ち条約局マフィアのことだろう。ちなみに集団安保とは、国連決議に基づいて侵略国を叩く措置だ。同じ武力行使でも「守る」ことを目的とする集団的自衛権とはまるで次元が違う。

 

彼らが集団安保に拘る理由

条約局マフィアが集団安保にそこまで拘る理由は何か。山崎さんによればこういうことだ。日本は今までODA(政府開発援助)で外交をしてきた。だが、1998年に1兆円をはるかに超えていたODA予算が、今はその4割しかない。一方、アフリカや発展途上国へのODA支援では中国の力が強い。人海戦術もあって支援が厚いので日本は対抗できなくなっている。また中国の軍事力膨張に対しASEAN10(東南アジア諸国連合10ヵ国)が怯えてきている状況もある。

そこで我が国も自衛隊という軍事力を外交のツールとして駆使したいということです。これは外務官僚の意志であり、同時にアメリカの要請でもあります。世界の警察官としてふるまってきたアメリカは、軍備が老朽化して、軍事費も減らして足元が弱っている。そこでアメリカは警察犬が欲しいということで、日本という警察犬を引きまわそうとしている

山崎さんの解説には説得力がある。彼は(1)安倍首相の目論見(2)外務官僚の意志(3)米国の要請――という3つの視点から法案を分析している。そのうえで実は「軍事力を外交のツールとして駆使」するための集団安保こそ条約局マフィアの狙いなんだよと重大な警告を発している。では、彼らはどうやって宿願を果たしたのか。その手口の一端を朝日新聞が連載「検証集団的自衛権」で書いている。

 

昨年5月の会見で首相は外務省が求める集団安保への参加を否定し「湾岸戦争やイラクでの戦闘に参加することは、これからも決してない」と明言した。

集団安保まで認めるのは「憲法の論理として無理」との意見が礒崎陽輔首相補佐官(国家安全保障担当・総務省出身)らを中心に政府内で強かったからだ。

ところが外務官僚は諦めなかった。集団的自衛権をめぐる与党協議にこっそり集団安保を潜り込ませようと画策した。たとえば議論の叩き台となる事例集。ホルムズ海峡の機雷除去のケースではイラストに米国旗とともに国連旗を並べた。

二つの旗から自衛艦に矢印がのび「機雷掃海活動への参加要請」と記されていた。米国を守るための機雷除去は集団的自衛権だが、国連から要請されると集団安保になる。それを見て集団安保推進派の「ヒゲの隊長」こと佐藤正久参院議員は外務省の仕掛けに気づき、ニヤリとしたという。事例集作成の中心になったのは条約局マフィアの兼原信克副長官補だった。朝日は外務省の狙いを〈1991年の湾岸戦争で国際社会から「カネだけ出した」と批判されて以来、自衛隊の活動範囲を広げて「外交カード」を増やしたい考えがあった〉と説明している。

画策はさらにつづく。

その後の与党協議で配られた「高村(自民党副総裁)試案」では従来の「自衛権発動の3要件」が「武力行使の3要件」に変わった。自衛権を逸脱する集団安保を加える含みを持たせたのである。それと並行して首相の国会答弁も軌道修正された。

決戦場となったのは616日の自民側と政府側の会議だった。集団安保をめぐって推進派と慎重派の意見が対立した。その議論にじっと耳を傾けていた高村正彦副総裁は最終的に推進派に軍配を上げた。朝日はこう締めくくっている。

〈反発する公明党に配慮し、閣議決定文に「集団安全保障」の文字は書き込まれなかった。しかし、国家安全保障局が作った想定問答には、武力行使の3要件を満たせば、「憲法上許容される」と記された。/密室で繰り広げられた集団安保をめぐる暗闘。外務省の悲願であった武力行使への道が開けた〉

法案採決を目前にして私は自衛隊員の心情を思う。外務官僚の「カード」や「ツール」にされてしまったら、彼らの浮かぶ瀬はどこにあるのだろうかと。(引用終わり)

CNNより

「ロシア、シリアで空爆準備か ISISとは別の標的も」

2015.09.29

ワシントン(CNN)シリアで軍備増強の動きを見せているロシアが、近く空爆に踏み切るとの観測が強まっている。シリアでは米軍率いる有志連合も過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」に対する空爆を行っているが、米当局者によれば、ロシアの空爆ではISIS以外の標的が狙われる可能性もある。

2人の米当局者によると、ロシアは27日にかけ、シリアで空爆開始に向けた動きを見せた。同国は公にはISISを標的に据える。しかしロシア軍の動きを見る限り、空爆の狙いは別の所にある様子がうかがえるという。

米国防当局者は先に、ロシアの動きはシリアのアサド政権崩壊に備えて、その後の影響力確保を狙ったものとの分析を示していた。一方、シリアの同盟国であるロシアが、アサド政権支援に乗り出せるよう態勢を整えているとの見方もある。米国はアサド大統領の退陣を要求している。

米情報当局によると、ロシアの港で多段式ロケット発射システムの発射台と思われる物体が確認された。これがシリア行きの船に積み込まれる可能性もある。さらに、少数の長距離爆撃機がロシア南部の飛行場に移動していることも判明。これでシリアに対する長距離爆撃が可能になるという。

プーチンとオバマ

シリアのハマーには、ロシアとの連携のための拠点が設置されたが、用途は分かっていない。南西部のイドリブやハマー、ラタキアにはロシアの偵察用無人機が送り込まれた。しかしいずれもISISの拠点からは離れている。米政府は、ロシアがいつ空爆に踏み切ってもおかしくない状況と見て警戒を強めている。オバマ米大統領は28日に開かれるロシアのプーチン大統領との首脳会談で、ロシアの意図について説明を求める見通し。(引用終わり)

*田中宇氏の国際ニュース解説より

 

「ロシア主導の国連軍が米国製テロ組織を退治する?」

2015年9月24日  田中 宇

 

 9月28日、国連総会で、ロシアのプーチン大統領の演説が予定されている。この演説でプーチンは、シリアとイラクで拡大している「イスラム国(ISIS)」やアルカイダ系の「アルヌスラ戦線」など、スンニ派イスラム教徒のテロ組織を掃討する国際軍を編成することを提案する予定と報じられている。

 ロシアはすでに、8月末からシリアの地中海岸のラタキア周辺に2千人規模の自国軍を派遣し、ラタキアの飛行場を拡大し、迎撃ミサイルを配備して、ロシアの戦闘機や輸送機が離発着できるようにしている。ラタキアには冷戦時代から、ロシア海軍の基地が置かれている。ロシア軍のシリア派遣は、ISISに負けそうになっているアサド大統領のシリア政府軍をテコ入れするためで、アサド政権はロシアの派兵を歓迎している。

 

国連総会でのプーチンの提案は、シリアに派遣されているロシア軍に国連軍としての資格を付与するとともに、ロシア以外の諸国がロシアと同様の立場(親アサド)でシリアに派兵したり補給支援し、国連の多国籍軍としてISISやアルヌスラを退治する戦争を開始することを、国連安保理で決議しようとするものだ。ロシアは現在、輪番制になっている安保理の議長国であり、根回しがやりやすい。毎年9月に行われている国連総会へのプーチンの出席は10年ぶりで、プーチンがこの提案を重視していることがうかがえる。

 プーチンの提案は、安保理で可決されない可能性も高い。米国は以前から、ISISの掃討を目標として掲げる一方で、アサド政権の転覆も目標としてきた。アサド政権のシリア政府軍によるISISとの戦いを支援することでISISを掃討しようとするプーチン案は、アサド政権を強化することであり、米国にとって受け入れがたい。米国が安保理で拒否権を発動し、プーチンの提案を葬り去る可能性がある。この件を分析した記事の中には、米国が拒否権を発動するため、プーチンは国連総会に3日間出席する予定を1日に短縮し、怒って早々に帰国するだろうと予測するものもある。

 とはいえ、米国がこの件で必ず拒否権を発動するとは限らない。私が見るところ、米国が反対(拒否権発動)でなく棄権し、プーチンの提案が安保理で可決される可能性が日に日に高まっている。米国のケリー国務長官は、数日前まで、ロシアのシリア派兵を、アサドの延命に手を貸していると批判していたが、9月22日に態度を転換し、ロシアのシリア派兵はISISと戦う米軍を支援する意味で歓迎だと言い出した。米国は依然、アサド打倒を目標として掲げるが、当面、ISISが掃討されるまでは、ロシアがアサドを支援してISISを退治することを容認しよう、というのがケリーら米政府の新たな態度になっている。事態は流動的だ。米政府は、プーチン提案への賛否について、まだ何も表明していない。

 ISISは、イラク駐留中の米軍によって涵養されたテロ組織だ。米軍は、ISISを空爆する作戦をやりつつも、ISISの拠点だとわかっている場所への空爆を控えたり、イラク軍と戦うISISに米軍機が武器や食料を投下してやったりして、戦うふりをしてISISを強化してきた。米軍は、露軍の駐留に猛反対しても不思議でない。

 

 しかし最近、露軍駐留に対する米軍内の意見が「歓迎」の方向になっている。露軍が空爆するなら、米軍がISISを空爆する(ふりをする)必要がなくなって良いし、露軍がISISとの戦いで苦戦するほど、ソ連崩壊の一因となった1980年代のソ連軍のアフガニスタン占領と同様の重荷をロシアに背負わせ、プーチンのロシアが自滅していく流れになるので歓迎だ、という理由だ。国務省も国防総省も、ロシアにやらせてみたら良いじゃないかという姿勢で、米国がプーチン提案に反対しない可能性も高いと考えられる。

 国連安保理でプーチンの提案が可決されると、それは戦後の国連の創設以来の大転換となる。国連を創設した米国は、もともと米英仏と露中が安保理常任理事国として並び立つ「多極型」の国際秩序を戦後の覇権体制として考えていたが、国連創設後間もなく冷戦が激化し、米英仏と露中が対決して安保理は何も決められない状態になった。安保理で重要な提案をするのは米国だけで、露中は自分たちの利益に反しない場合だけ賛成し、利益に反するときは反対(拒否権発動)する受動的な態度を続けた。

 冷戦終結後も、この態勢が続いたが、01年の911事件後、米国の世界戦略はどんどん好戦的、過激になり、一線を越えて頓珍漢な水準にまで達している。

たとえばシリアに関して米国は、存在しない架空の「穏健派イスラム教スンニ派武装勢力」を支援してISISとシリア政府軍との2正面内戦を戦わせる策をとっている。昨年来、穏健派勢力が存在せず架空であることが露呈すると、米議会は、5億ドルという巨額資金をかけて穏健派勢力を募集して軍事訓練する法律を作って施行したが、集まった穏健派は数十人しかおらず、彼ら(第30部隊)もシリアに入国したらすぐアルヌスラに武器を奪われてしまった。上記の件は以前の記事に書いたが、その後シリアに入国した第2派の第30部隊は、入国直後にアルヌスラにすすんで投降し、米国からもらったばかりの新しい武器も全部渡してしまった。彼らの中の司令官は「米国製の武器を得るため、最初から寝返るつもりで米国の募集に応じた」と言っている。米国の対シリア戦略は完全に破綻している。

 

 米国がこんな無能ないし茶番な策を延々と続けている以上、中東はいつまでも混乱し、何百万人もの難民が発生し、彼らの一部が欧州に押し寄せる事態が続く。このままだと、ISISがアサド政権を倒してシリア全土を乗っ取り、シリアとイラクの一部が、リビアのような無政府状態の恒久内戦に陥りかねない。米国に任せておけないと考えたプーチンのロシアが、シリア政府軍を支援してISISを倒すため、ラタキアの露軍基地を強化して駐留してきたことは、中東の安定に寄与する「良いこと」である。加えてプーチンが、自国軍だけでなく国連軍を組織してISISと戦うことを国連で提案することは、国連の創設以来初めて、ロシア(というより米国以外の国)が、自国の国益を越えた、世界の安定や平和に寄与する方向で、国連軍の組織を提案したものであり、画期的だ。

 シリアではすでにイランが、アサド政権を支援しつつISISと戦っている。ロシアはイランと協調してシリアに進出した。イランは、イラクの政府軍やシーア派民兵、レバノンのシーア派民兵(ヒズボラ)を支援してISISと戦っているが、その担当責任者であるスレイマニ司令官(Qasem Soleimani)が7月にロシアを訪問してプーチンらと会い、シリアでの露イランの協調について話し合っている。米軍筋は、7月のスレイマニ訪露が、ロシアのラタキア進駐にとってとても大事な会合だったと分析している。

 ロシアはその後、米議会がイランとの核協約を阻止できないことが確定的になった8月下旬まで待って、ラタキア進駐を開始した。米議会がイラン協約を阻止し、米国がイランを許さない状態のまま、ロシアがイランを助けることになるラタキア進駐を挙行すると、米国のタカ派にロシアを攻撃する口実を与えることになるので、ロシアは8月末まで待った。

 露軍のラタキア進駐に関して、イランも米国も、事前に察知していなかったと政府が言っているが、両方とも大ウソだ。シリアの外相は、ロシアとイランは軍事的に密接に協調しつつ、シリアを守っていると述べている。ロシアはラタキアがある地中海岸を中心にISISと戦い、イランはシリアの首都ダマスカスや、傘下のヒズボラが守るレバノン国境沿いに展開して戦っており、地域的な分担もできている。

 また、米国のケリー国務長官は、今春から何度もロシアを訪問してシリア問題について話し合っており、ロシアがシリアの内戦終結やISIS退治に貢献することを前から支持している。米国が露軍の進駐計画を事前に知らなかったはずはない。8月末時点で、ロシアはシリア進駐を事前に米政府に通告したと指摘されている。そもそも、露軍のシリア進駐を先に望んだのは、国内の軍産複合体との暗闘で苦戦していたオバマの方だ。 オバマはISISの掃討を望んだが、彼の命令で動くはずの米軍は勝手にこっそりISISを支援し続けていた。自国軍に頼れないオバマは、ロシアに頼るしかなかった。米国がイラン制裁を解くことが、オバマの要請に対するプーチンの条件だったのだろう。オバマがイランとの核協約を急ぎ、軍産に牛耳られた米議会がそれを阻止しようとしたのも、ロシア主導のシリア(中東)安定策を実現するか阻止するかの米国内の政争だったことになる。オバマのこれまでの動きからみて、米国はプーチン提案に拒否権を発動しないのでないかというのが私の見立てだ。

 

米軍(軍産)は、いまだにISISを支援している。露軍がラタキアに進駐を開始した後、ISISの軍勢が露軍基地を襲撃し、露軍の海兵隊と戦闘になった。ロシアのメディアによると、露軍が殺したISIS兵士の遺体を確認したところ、露軍基地を空撮した精密な衛星写真を持っていたという。このような精密写真をISISに提供しうるのは米軍、NATO軍、もしくはイスラエル軍しかいない。軍産がいまだにISISを支援していることが見てとれる。

 ISISがシリア政府軍の攻撃を事前に把握したり、政府軍の拠点を襲撃しやすいよう、米軍がISISに精密な衛星写真をリアルタイムで供給してきたことを、ロシアは以前から知っていた。これに対抗し、ロシアが衛星写真をリアルタイムでシリア政府軍に供給することが、露軍のシリア進駐の目的の一つだったことは、以前の記事に書いた。

 ISISをめぐる軍産との暗闘で、オバマは最近、自分の政権でISIS掃討の外交面の責任者だった元米軍司令官のジョン・アレン(John Allen)の辞任を決めた。昨年秋、アレンをISIS掃討担当にしたのは表向きオバマ自身だったが、アレンはISISをこっそり支援する米軍の「ペトラウス派」の一員で、シリアの穏健派武装勢力を強化するために安全地帯(飛行禁止区域)をシリア国内に作ること(穏健派などいないので実際はISISを強化する安全地帯になる。もともとトルコの発案)を提案したり、ISISと戦うため米軍の地上軍をシリアに派遣す(イラク侵攻と同様の占領の泥沼にはまる)べきだと提唱したりしてきた。いずれの案も、しつこく提案したがオバマに却下されている。

 ペトラウス派とは、元米軍司令官、元CIA長官のデビッド・ペトラウスを頭目とする派閥で、米軍内でこっそりISISを支援する勢力だ。ペトラウス自身、シリアに(ISISが強くなれる)飛行禁止区域を作るべきだと言い続けている。だが、上記のジョン・アレンの辞任は、オバマ政権に対するペトラウス派の影響力の終わりを意味すると指摘されている。オバマは、ペトラウス派を追い出すことで、軍産がISISを支援できないようにして、ロシアをこっそり支援している。

 ペトラウス派やトルコ政府が飛行禁止区域を作りたがったシリアのトルコ国境沿いの地域では今、クルド軍(YPG)がISISを追い出している。ISISは従来、トルコとシリアを自由に行き来することで、トルコの諜報機関から補給を受けて力を維持していたが、両国間の越境ルートは一つをのぞいてすべてクルド軍が押さえ、クルド軍は最後の一つ(Jarabulus)を攻略しようとしている。事態は、ISISの敗北、トルコの窮地、クルドの勝利に向かっている。クルド人が対トルコ国境に自治区(事実上の独立国)を作ることは、アサド政権も認めている。

 トルコの権力者エルドアン大統領は先日、モスクワを訪問し、シリア問題についてプーチンと会談した。エルドアンの訪露は、シリアに対するロシアの影響力の急伸を意味している。米国が安保理で拒否権を発動してシリアに駐留したロシアが孤立するなら、エルドアンが急いで訪露する必要はない。

 もう一人、エルドアンと前後して急いで訪露した権力者がいた。イスラエルのネタニヤフ首相だ。イスラエルは、以前からゴラン高原越しにシリアを砲撃しており、今後も攻撃を続けるとロシアに伝え、相互の戦闘にならないよう連絡網を設けるためにネタニヤフが9月21日に日帰りで訪露してプーチンと3時間会談したと報じられている。だが、その手の話だけなら、首相と大統領の会談でなく、国防相や実務者の会議でいいはずだ。

 オバマの米国が中東で傍観の姿勢を強め、米国の黙認を受けてロシアがシリアに駐留し、イスラエルの仇敵であるイランに味方してアサドをテコ入れし、軍産が涵養したISISを潰そうとしている。ロシアを後見人として、中東におけるイランの影響力が拡大している。ネタニヤフは、プーチンに「イスラエルの安全を守る気はあるのか」と尋ねたに違いない。プーチンは「イスラエルの懸念は理解できる。シリア(やイラン、ヒズボラ)がイスラエルを攻撃することはない」と答えた。ネタニヤフがアサド政権の継続やISISとアルカイダの掃討を容認するなら、ロシアはイランやヒズボラやアサドがイスラエルを攻撃させないよう監視するという密約が結ばれた(もしくは再確認された)のでないかと考えられる。

 ロシアとイスラエルは、シリアでの活動を相互に報告して協力する協議会を設置した。この協議会には、ロシアと並んでシリアで活動するイラン軍の司令官も出席するかもしれない。ISISなどテロ組織が掃討された後、この協議会は、ロシアがイスラエルとイラン、シリア、ヒズボラとの停戦(和解)を仲裁する機関になりうる。イスラエルにとって、自国の安全を維持してくれる国が、米国からロシアにすり替わりつつある。

 

国連安保理で、プーチンの提案に対して米国が拒否権を発動した場合、ロシアは孤独な闘いを強いられそうだが、実はそうでない。露軍のシリア進駐は、コーカサス、中央アジア諸国から中国(新疆ウイグル自治区)にかけての地域でISISやアルカイダがはびこることを防ぐための「テロ戦争」として行われている。ロシア軍は「CSTO軍」としてシリアに駐留している。CSTOは、ロシア、中央アジア(カザフスタン、キルギス、タジキスタン)、ベラルーシ、アルメニアという旧ソ連諸国で構成される軍事同盟体だ。

 

 CSTOの兄弟組織として、CSTOに中国を加えたような構成になっているSCO(上海協力機構)がある。中国の新疆ウイグル自治区からは、数百人のウイグル人が、タイやトルコを経由してシリアに入り、イスラム戦士(テロリスト)としてISISに参加している。トルコ国境近くのシリア国内で、ISISが占領して村人を追い出した村(Jisr-al Shagour)に、ウイグル人を集めて住まわせる計画をISISが進めていると報じられている。この計画が進展すると、中国の新疆ウイグル自治区で、イスラム戦士をこっそり募集する動きが強まる。中国政府は、シリア政府が望むなら、この計画を潰すためにロシア主導のISIS退治に軍事的に参加することを検討すると表明している。

 

(上記の、シリアにISISのウイグル村を作る計画の黒幕は、以前からウイグルの独立運動をこっそり支援してきたトルコの諜報機関だと、イスラエルのメディアが報じている。トルコの諜報機関は、8月にタイのバンコクで起きたヒンドゥ寺院(廟)の爆破テロの実行犯を支援していた疑いもある。トルコのAKP政権は、ISISとの戦いでクルド人が伸張して与党の座をずり落ちかけているので、政権維持のために意図的に混乱を醸成している)

 ロシアだけでなく中国もISIS掃討戦に参加するとなると、これは上海機構のテロ戦争である(もともと上海機構は911後、中国と中央アジアのテロ対策組織として作られた)。中露はBRICSの主導役でもあるので、BRICS(中露印伯南ア)も、このテロ戦争を支持しそうだ。中国が主導する発展途上国の集団「G77」(134カ国)も賛成だろう。G7以外の多くの国が、プーチン提案を支持することになる。

 

ロシア軍のシリア進駐に対しては、欧州諸国も支持し始めている。ドイツのメルケル首相やショイブレ財務相が賛意を表明したし、オーストリアの外相はイランを訪問し、シリアの内戦終結のための交渉にアサド政権も入れてやるべきだと表明した。これらの発言の背景に、シリアに対するこれまでの米国主導の戦略が、200万人のシリア人が難民となり、その一部が欧州に押し寄せるという失敗の状況を生んでおり、好戦的で非現実的な米国でなく、中東の安定を模索する現実的なロシアと組んで、シリア危機の解決に取り組む方が良いという現実がある。欧州は、ISIS掃討に関するプーチンの提案に賛成だろう。

 ロシアは、シリアに軍事駐留するだけでなく、テロリストをのぞくシリアの各派とアサド政権をモスクワに集め、内戦の終結をめざす外交交渉も以前から仲裁している。プーチンは、シリアの内戦を解決したら、次はリビアの内戦終結も手がけるつもりかもしれない。その布石なのか、プーチンは今年、リビアの隣国であるエジプトの(元)軍事政権と仲良くしている。すでに書いたように、ロシアはイスラエルとイランの和解も仲裁し得る。先日は、パレスチナのアッバース大統領もモスクワを訪問しており、イスラエルがその気なら、パレスチナ問題もロシアに仲裁を頼める。

 

 これらのロシアの動きの脇には、経済面中心の伴侶として中国がいる。シリアをめぐるプーチンの国連での提案は、世界が米国覇権体制から多極型覇権体制へと転換していく大きな一つのきっかけとして重要だ。プーチンの提案に対し、米国が拒否権を発動したら多極型への転換がゆっくり進み、発動しなければ早く進む。どちらの場合でも、米国がロシアと立ち並ぶかたちでシリア内戦の解決やISIS退治を進めていくことはないだろう。米国が入ってくると、流れの全体が米国流の過激で好戦的な、失敗する方向に引っ張られる。国内で軍産と暗闘するオバマは、そんな自国の状況をよく知っているはずだ。オバマは、米国を健全な覇権国に戻すのをあきらめ、世界を多極型に転換させることで、世界を安定させようとしている。

 

露中やBRICSにEUが加わり、イスラエルまでがロシアにすり寄って、中東の問題を解決していこうとしている。米国は傍観している。そんな中で日本は、軍隊(自衛隊)をこれまでより自由に海外派兵できるようにした。安倍政権や官僚機構としては、対米従属を強化するため、米国が望む海外派兵の自由化を進めたつもりだろう。しかし、この日本の動きを、世界を多極型に転換していくプーチンのシリア提案と重ねて見ると、全く違う構図が見えてくる。

 


 プーチンが日本に言いそうなことは「せっかく自由に海外派兵して戦闘できるようにしたのだから、日本の自衛隊もシリアに進駐してISISと戦ってくれよ。南スーダンも良いけど、戦闘でなく建設工事が中心だろ。勧善懲悪のテロリスト退治の方が、自衛隊の国際イメージアップになるぞ。昨年、貴国のジャーナリストが無惨に殺されて大騒ぎしてたよね。仇討ちしたいだろ?。ラタキアの滑走路と港を貸してやるよ。日本に派兵を頼みたいってオバマ君に言ったら、そりゃいいねって賛成してたよ。単独派兵が重荷なら、日本と中国と韓国で合同軍を組むとかどう?」といったところか。

 この手のお招きに対し、以前なら「米国にいただいた平和憲法がございますので、残念ながら海外での戦闘に参加できません」とお断りできたのだが、官僚と安倍の努力の結果、それはもうできなくなった。対米従属を強化するはずの安倍政権の海外派兵策は、米国が傍観する中、ロシアや中国に招かれて多極化に貢献する策になろうとしている。今後、世界が多極化するほど、この傾向が強まる。8月の記事「インド洋を隠然と制する中国」の末尾でも、このことを指摘した。


 

 ISISは、米国が涵養した組織だ。ロシアは、ISISと戦う義理がない。それなのにロシアはISISとの戦いを買って出ている。軍港ラタキアの保持とか、シリアや中東を傘下に入れる地政学的な野心とか、ロシアには国際的な強欲さもあるが、シリアに進軍してISISと戦うリスクは、それらの利得を上回っている。シリア人の多くは今、アサド政権を支持しており、ロシアがアサド政権を支援することを歓迎している。ロシアは世界の平和と安定に貢献している。えらいと思う。

 

 反戦派の人々は「戦争をする人に、えらい人などいない。戦争反対。おまえは好戦派だ」と言うだろう。しかし、中東の多くの人々は、リスクをかけてラタキアに進軍してISISと戦い始めたロシアに感謝している。そもそも日本国憲法は、対米従属の国是を暗黙の前提にしている。米国の覇権が衰退している今、護憲派はこの点をもっと議論しないとダメだ。自衛隊がラタキアに行くべきだとは思わないが、ロシアには敬意を表するべきだ。(引用終わり)


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