自己防衛の時代

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2月 232015


普段は本名を出していないブログ、ホームページの記事は原則として紹介しないのだが、今回は興味深い内容なので紹介させていただく。また、光文社の女性誌にも、真摯な記事が掲載されていたので、合わせて紹介させていただく。

Wantonのブログよりhttp://ameblo.jp/64152966/entry-11990043328.html

 

<福島米の6割が県外流通。人口あたりの流通量、1位東京、2位兵庫、3位沖縄、4位新潟、5位和歌山>

naverまとめ~より

http://matome.naver.jp/odai/2141666673861766901

福島県産米の6割が県外で販売されています

米の販売グラフ

県外販売先を県別に見て行きます

人口100万人あたりの福島米流通量

福島米に出会う確率の高い順と言えるでしょうか。
(福島県除く)

米 人口100万に当たりの流通量

順位 都道府県 人口100万人あたりの流通量 [t]

1 東京 4030
2
 兵庫 2735
3
 沖縄 2493
4
 新潟 1371
5
 和歌山 1291
6
 宮城 790
7
 栃木 450
8
 大阪 372
9
 愛知 369
10
 山形 328
11
 埼玉 313
12
 静岡 274
13
 山梨 169
14
 福岡 123
15
 福井 116
16
 神奈川 105
17
 三重 87
18
 北海道 78
19
 京都 73
20
 茨城 35
21
 長崎 26
22
 群馬 21
23
 徳島 18
24
 千葉 10
25
 山口 0.7
26
 広島 0.4
以下、流通無し(福島県除く)

2位は兵庫。さすが、岩手産を8割混ぜといて「神戸育ち」という銘柄で売るJAがいるだけのことはある。

http://www.asyura2.com/12/genpatu22/msg/517.html

兵庫県、米卸最大手の神明ホールディングの本拠地

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E6%98%8E%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0

 

なんで米処の新潟に福島産の米が流通してるの??

pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attac

米穀の生産と流通に関する資料(平成263月)

福島県農林水産部農産物流通課

東京、兵庫、沖縄、大阪で沖縄は3番目

福島県産米の販売地域

人口あたりに換算しなければ、1位東京、2位兵庫、3位沖縄、4位大阪、5位愛知 となります。

 

福島の2012年産米販売先主食用うるち米

東京53593トン、兵庫15201トン、沖縄3528トン、大阪3293トン、愛知2744トン加工用うるち米 新潟6124トン加工用うるち米は、味噌、せんべい用でしょうか。

何度も聞く。この検査は気休めか?誰への気休め?

セシウムだけを計測して、それも数秒の検査で何がわかる?

計測された結果はほとんどが13ベクレル。ふざけてないか?

(new-fukushima.jp/archives/28302 ) pic.twitter.com/mQMv7dFitG

福島県平成26年度産米 初の詳細検査実施。

セシウム含有量は1kg当たり61ベクレルで市場に出荷(FGWfinancegreenwatch.org/jp/?p=48880

福島県の給食で、子供たちが食べているなど恐ろしいpic.twitter.com/71iW54TnaD

乳児用は50ベクレル。乳児用不適の表示はあったのだろうか

スクリーニンングレベルの違い

日本農産情報 週間コメの売れ筋ランキング

http://www.japan-rice.com/nousan/index.htm

福島米、よく売れていますね 

兵庫県立こども病院の【急性白血病】治療数が・・・

http://matome.naver.jp/odai/2141662335598117101

兵庫県立こども病院と、静岡県立こども病院の【急性白血病】治療数が・・・のまとめ

白血病発生ランキング

ここまで組織的に放射能汚染米を国民に食べさせる理由は、福島の農家に補償するお金を払いたくない事もあるとは思いますが、それを中心になってやっているのは官僚組織であることは間違いありません。しかし、それだけでは無いと私は考えています。

人体実験されているのではないでしょうか。 

その理由は、以下の記事から読み取れます。

広島・長崎~福島へと続く壮絶なる生体実験の継承⇒『ふくしま国際医療科学センター』

http://ameblo.jp/64152966/entry-11868757195.html

急性白血病治療数ランキングですが、岡山には、福島や関東・東北からの移住者が一番多く、その次が、大阪、広島と続きます。大阪⇒第2位、岡山⇒第3位、問題の兵庫は、第9位。(”子供専用”病院であることに注意を要します。)栃木⇒第4位

こうして見ると、そのかなりの部分は被爆関連ではないかといった疑念が湧いて来ます。これでは、福島だけの甲状腺異常やガン、白血病の統計では全く不十分であることが理解出来ると思います。

これは、恐ろしい事実です。(終わり)

 

*愛知県東三河有数の米屋さんの話です。以下。 


「このデータは24年産となっていますが福島米の流通は今も変わってないです。基本的には外食産業用にほとんど消費されています。今年は特に西日本の米の品質が悪く福島は出来が良かったので現時点で完売に近いと聞いています。価格も特に安いわけではありません。福島米の放射能汚染状況の情報は最近では米業界からは消えましたね。全量測定していますが測定しているから安心と言うイメージだけで大きく汚染された米は出てこないでしょうが、少量汚染は当然出回っているでしょうね。」 


要するに外食を控えるのが賢明だということでしょう。(特に子供たちは)兎に角、これが日本という国の厳しい現実。自己防衛するしかありません。

次に「女性自身」という雑誌に掲載された記事を紹介します。この雑誌はイスラム国事件でも<後藤さん妻、総選挙12日前に外務省から口止め工作を受けていた-イスラム国事件>という気合いの入った記事を掲載していました。正直、吃驚しました。以下。

 

「放射能は心配ないと専門家が爆弾発言連発!東電支援の福島”洗脳シンポジウム”ルポ」(2015220日)

放射能シンポジウム

『放射能が怖くてきのこを食べないのは健康リスクにつながります』

「汚染きのこを食べるより車の運転のほうが危険」という専門家。耳を疑う言葉が飛び交う会が福島であった。放射能の危険を除去するのもそこそこに安全性を住民に訴える。国や東電は、安心できる生活を取り戻したい福島の人々の気持ちをどこまで踏みにじるのか。

「がんよりも心配なのは、骨。骨を強くする三大要因は、食べ物・運動・日光です。放射線を避けようとすると、これら3つをすべて避けることになります。すると死亡率は1.8倍に。放射線を避けるより、高いリスクを呼び込んでしまうんです」(福島県相馬市の相馬中央病院・越智小枝氏)

「福島の我々には、放射性物質の摂取制限なんてものは取り下げて、好きなものを食べさせて」(放射能健康相談員・半谷輝己氏)

 こんな冗談みたいな発言が「専門家」たちから飛び出し、しまいには参加者からも、「いろんな添加物のほうが危ない。これくらいはたいしたことない」という声が上がる始末。

こんな驚愕のシンポジウムが2月3日、福島県伊達市の山奥で開かれた。記者は地元の母親から、「トンデモないシンポジウムがあるんですよ」と聞き、取材したのだが、内容は予想を超えるものだった。

 雪がちらつく午後7時過ぎ。取材班の車は、凍結した山道を急いでいた。市街地から約20分。ぼんやりとした薄明かりの中に、木造校舎が浮かび上がる。ここが会場の、廃校を再利用した「りょうぜん里山がっこう」だ。
ミシミシときしむ廊下を通って教室に入ると、地元の人と思しき年配の男性を中心に30人くらいが集まっていた。
 教室の前には、このために来日したというポーランド国立原子研究センターの物理学者・ドブジンスキ氏と同時通訳者が並んで座っている。小さなシンポジウムに、いくらお金をかけているのか。

 今回は「出荷制限値100Bqkgは厳守しつつ地元民の目安としての摂取制限値の検討へ(大人1、000Bqkg、子供100Bqkg)」がテーマだ。
なんだかわかりづらいが、事前にシンポジウムのホームページを見ると、「放射能汚染された食品を食べても大丈夫だ」とアピールしたいのだろうと察しがついた。

“地域メディエーター”を名乗る前出の半谷輝己氏が、会の冒頭に趣旨を説明する。
「食品の出荷制限の影響で、本来食べられるはずだった山のきのこや、川魚、イノシシなどが食べられない状態が続いています。お年寄りの中には、『息子夫婦から、そんなもの食べるなと言われるから、気兼ねして食べられない』とか、『死んでもいいから食べたい』という意見が私に届いています。食文化を守る意味でも、出荷制限値は厳守しつつ、これだったら地元の人は食べていいですよ、という摂取制限の目安を設けたらどうかということを、みなさんで話し合っていただきたい」

 福島第一原子力発電所の事故後、政府は一般食品中に含まれる放射性物質の規制値を1kgあたり100Bqまでと定め、それを超えるものについては出荷制限をかけている。加えて、野生のイノシシやきのこなど、極端に規制値を上回る食品が検出された地域には、自分でとって食べることも控えるようにと県知事あてに、摂取制限の通達も出している。

 ところがこの会では、高濃度汚染食品でも、地元の人間なら食べていいことにしたいよう。「山や川の幸を食べたい」という地元民の気持ちをくんでいるように見えるが、リスクを福島県民に押しつけているだけではないか。

 その後、次々と「専門家」が登場。いかに汚染食品が「安全」かを訴えはじめた。
「1kgあたり2、400Bqのイノハナ(山のきのこ)が10g入ったご飯を1合食べた場合、損失余命は7秒。一方で、自動車を10㎞運転する場合に、事故死する確率から計算した損失余命は21秒。イノハナご飯を食べるより、自動車を運転するほうが3倍程度リスクが高いんです。こういう事実を考えることが、合理的な行動に結びつきます」

こう述べたのは、ビデオ出演した福井県立大学経済学部教授の岡敏弘氏。
“損失余命”とは聞き慣れない言葉だが、人間の寿命が特定のリスクに遭遇することで、短くなる平均寿命のことだ。
ちなみに、野生きのこの摂取制限が出ている南相馬市の測定結果を見ると、原町区で採れたイノハナから1万4、140Bqkgという超高濃度の放射性セシウムが検出されている(平成26年9月時点)。
「“損失余命”が理解できたという方は青、わからないという方は赤を上げて!」
半谷氏が参加者に問いかける。参加者には事前に赤と青のカードが配られており、そのつど、カードを上げさせて理解度を測るようだ。
参加者は、ほとんどの方が戸惑いながらも青のカード(理解できた)を上げた。

 さらに、冒頭で登場した越智小枝氏が「放射能が怖くてきのこや山菜を食べなくなったという方がおられますが、野菜やきのこを食べない、これらは全部健康リスクにつながります」と、たたみかける。
放射能安全派の弁はさらに続く。同じくビデオ出演の東京慈恵会医科大学教授で小児科医である浦島充佳氏は、「チェルノブイリ原発事故によって増えたのは子供の甲状腺がん。しかも、亡くなった方はほとんどいません。白血病は増えませんでした」と、キッパリ。さらに、「食品に含まれている放射性セシウムが、子供のがんを引き起こすかというと、それはどうかと思う」とセシウムのリスクを否定。

「大人なら1、000Bqkg、子供でも100Bqkgくらいなら与えても大丈夫。食べたいものも食べられずストレスを抱えているほうが、子供たちの情緒的な発達に影響します。家族で同じものを食べて、夕食には笑いが起こるような時間を過ごしてほしい」笑みを浮かべながらこう語ったのだ。そこまでして、汚染されたきのこやイノシシを子供に食べさせたいのか。正直、背筋がゾッとした。

 浦島氏の「大人1、000Bqkg」とは、食品の国際規格をつくるコーデックスという国際政府間組織が設けた基準を参考にしたもの。子供はその10分の1ならいいだろうというのが浦島氏の持論だ。しかし、原発事故で健康被害が増えたベラルーシなどは、乳幼児向けの食品規制値を37Bqkgに設定している。

記者は後日、3万人のがん患者を治療してきた北海道がんセンター名誉院長・西尾正道氏に意見を聞いた。 

「まきストーブに外側からあたるのが外部被ばくだとすると、燃える“まき”を小さくして口から飲み込んだ状態が内部被ばく。炭が体内にとどまると、周りの組織がベータ線(セシウムなど)で集中的に被ばくし、がん細胞に変わる可能性がある。口から放射性物質を取り込むのは、それくらいリスクが高いので取り込まないほうがいいんです」

さらに、チェルノブイリなどの医療現場を何度も視察している、さがみ生協病院内科部長で島根大学臨床教授の牛山元美医師にも聞いた。

「チェルノブイリ原発事故の後、ウクライナでは統計的有意に小児白血病が増えました。ベラルーシの医師は、『放射性ヨウ素がほぼ消えた時期に生まれ育っている世代にも甲状腺がんが事故前より多く出ている』と話しています。つまり、半減期が放射線ヨウ素より長い放射線セシウムが原因の可能性もあります。因果関係が明確に解明されていなくても、地域の汚染状態と病気の増加は関係しており、現地の医師は、被ばくの影響だと主張していました。臨床医なら、こうした声に耳を傾け、子供の健康リスクを減らす努力をすべきでは」と、浦島氏らを批判した。

 食べる楽しみや、郷土の食文化を失ってしまった地元民の悲しみや憤りは察してあまりある。しかし、その気持ちにつけこんで、わざわざ海外から学者を呼んできてまで、子供に汚染食品を食べるように仕向ける意図は何なのか。

食べて心配な人は、自分で被ばく量を測ればいい

放射能シンポジウム 今日決まったこと

(「大人1,000Bq/kg、子供100Bq/kg」どころか、いつのまにか「摂取制限の取り下げ」提案に) 

後日、半谷氏に、シンポジウムの真意を問うたが、「地域のお年寄りからの要望が強かったから」との回答を繰り返すばかりだった。
福島の母親たちは、こうした動きをどう見ているのか。

「イノハナご飯を食べたら7秒寿命が縮まる? 問題のすり替えをしてごまかさないで! 人間の体は機械じゃないんです。どう寿命が縮まって、どう死に至るんですか。いったい人の命をなんだと思っているんでしょうか」(伊達市在住・岡崎瑛子さん・仮名)

「栄養が偏らないように必死に産地を選び、調理法まで工夫している親の苦労がわかりますか? こんなシンポジウムにお金を使うなら、子供に健康被害がでないように対策を立てろと思います」(いわき市在住・遠藤千香さん・仮名)

「きのこや山菜を食べないのは健康リスクにつながる」と、話していた越智氏にも、母親のコメントを伝え、「それでも子供に食べさせる必要がありますか?」と尋ねた。
「私の持論としては、まだ食文化の確立していない子供には、必ずしも山菜や(野生の)きのこ、イノシシを食べさせる必要はないと思う」と越智氏。あのシンポジウムの発言はなんだったのか。

シンポジウムの終盤。再び半谷氏が聴衆に質問した。

「放射性物質の摂取制限なんてものは取り下げて、自由に食べさせて。心配な人はホールボディカウンターで測って管理すればいい、こう思う人は青!」

医師らの安全神話を聞いた参加者たちは、全員一致で賛成の青のカードを上げた。
「おっ、これ、できるとは思わなかった」と半谷氏は笑う。会として「きのこなどの摂取制限を取り下げてほしい」という要望書を、内閣府の食品安全委員会に提出するそうだ。

国は福島県の「放射線被ばくによる健康不安対策事業費」として、平成27年度に7億8千100万円を計上した。前年度の4千400万円から比べると、15倍以上の増額だ。その中には、住民に対して放射線の安全性を説明する“リスクコミュニケーション”の費用も含まれている。

このシンポジウムのホームページには、「参加する専門家の渡航費・交通費は、東京電力が福島復興およびリスクコミュニケーションの一環として負担しています」と書かれている。かつて国や自治体、東電が一体となって原発安全論をふりまいていたように、今度は放射能安全神話を刷り込もうとしているのか。

原子力賠償の弁護をしている井戸謙一弁護士は言う。

「内部被ばくや低線量被ばくに危険がないという社会的認識を広めることは東電だけでなく原発を推進する勢力にとって好都合。シンポジウムにお金を出しているのは東電でも、背後には原発でお金もうけしたい勢力の意向が働いている可能性もあります」

東電にも真意を聞いたが、「東電の原子力安全改革を監視する原子力改革監視委員会の副委員長バーバラ・ジャッジ氏の意向によるものだ」と、答えるにとどまった。今後も、安全神話をふりまく会が開催されるのだろうか。そんなお金があったら、除染や避難せざるをえない人の補償に回すべきではないのか。

21時を過ぎてようやくシンポジウムが終わり、司会の半谷氏がこう呼びかける。
「みなさん、イノハナご飯を別室に用意しているんで、食べて帰ってくださいね!」
本誌取材班は闇に包まれた山道を、急いで帰路についた。(終わり)

 

 官僚の一部は確信犯としてこういった「愚民化政策」を進めていることを頭に入れておく必要があります。国土の汚染を放置し、国民の命を危険に晒すことは、公僕のするべきことではないことは言うまでもないでしょう。


「イスラム国」騒ぎの本質を考える

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1月 282015

中東情勢を不安定にするための工作の一貫だろうと、何の驚きもなく、今回の日本人人質事件の報道を聞いていたが、どうも本質を突いた報道を意図的に日本のマスコミは報道しないので、一言だけ解説をさせていただきたい。

 

今回の事件のポイントは 


・アルカイダや今回の「イスラム国」は、グローバル・マクロを動かし、世界史を廻し、非公然活動(covert action)(=戦争を創り出す)をするために欧米のエリートが創った組織(=仕掛け)である。具体的には、今回の「イスラム国」は、イスラエルのモサド(イスラエル諜報特務庁)と米国のCIA(:Central Intelligence Agency)、英国のMI6(イギリスの情報機関。国外での情報活動をおもな任務とする。冷戦終焉の状況下で,開かれた政府を目指すイギリスのメージャー首相は,19935月,MI6の実在を初めて公式に認めた。)が戦争経済への布石としてつくった組織である。このことは、欧米のエリートの間では常識のようだが、公に口にするのは大人気ないということだろう。


 *参照、短いので英文そのまま。

 

ISIS Leader Abu Bakr Al Baghdadi Trained by Israeli Mossad, NSA Documents Reveal

 

The former employee at US National Security Agency (NSA), Edward Snowden, has revealed that the British and American intelligence and the Mossad worked together to create the Islamic State of Iraq and Syria (ISIS). Snowden said intelligence services of three countries created a terrorist organisation that is able to attract all extremists of the world to one place, using a strategy called “the hornet’s nest”. NSA documents refer to recent implementation of the hornet’s nest to protect the Zionist entity by creating religious and Islamic slogans. According to documents released by Snowden, “The only solution for the protection of the Jewish state “is to create an enemy near its borders”. Leaks revealed that ISIS leader and cleric Abu Bakr Al Baghdadi took intensive military training for a whole year in the hands of Mossad, besides courses in theology and the art of speech.

http://www.globalresearch.ca/isis-leader-abu-bakr-al-baghdadi-trained-by-israeli-mossad-nsa-documents-reveal/5391593

 

・安倍首相は今回、三菱グループを中心に26社の日本企業を引き連れてイスラエルへ乗り込み、「3000億円!」もの拠出を確約している。これらの企業人たちは、イスラエルで、人脈づくりと商談で超多忙だったと、中東のメディアは報道している。要するに戦争ビジネスで一儲けしようという安易な気持ちで行ったイスラエル訪問である。

 

・おそらく、得体の知れない民間軍事会社?社長、湯川遥菜氏やフリージャーナリスト?後藤健二氏は、戦争気分を盛り上げるための、自衛隊を海外に派遣しやすい雰囲気作りの捨て駒に官房機密費を使って仕立てられた可能性が極めて高い。あの田母神氏がこのことに関わっているのではないか。

 

・一番、重要なポイントは、安倍首相が現在のような深刻な状況(=「安倍首相は大丈夫か。要らぬお節介をして、日本が中東の紛争に、わざわざ巻き込まれに行ったのではないか。安倍首相の行動は軽率だ」になるとは、考えていなかったように思われることである。イスラエル右派とつながっている米国のタカ派議員(ジョン・マケイン上院議員等)から圧力をかけられ、<対米従属を貫き、政権を維持するため>にと考え、イスラエルを軽い気持ちで訪問したように思われる。その結果、米国ネオコン派の思惑通りの展開に引きずり込まれることになった。

Japanese Prime Minister Shinzo Abe visit to Jersualem, Israel - 19 Jan 2015

 

・石油輸入国である日本は1970年代の石油危機以来、基本的に「親アラブ」を貫いてきた。今回の安倍首相の中東歴訪は、日本が親アラブから親イスラエルに転じる転換点になるかもしれない。注視が必要である。

それでは、久しぶりに田中宇氏の解説記事を紹介させていただく。以下。

 

「安倍イスラエル訪問とISIS人質事件」    田中 宇

 

1月20日、日本の安倍首相がちょうど中東のイスラエルを訪問している最中に、同じ中東のイスラム過激派組織ISIS(イスラム国、ISIL)が、昨秋から人質にしている日本人2人の動画を公開し、2億ドルの身代金を日本政府に要求してきた。2億ドルという身代金の額は、安倍首相が今回の中東歴訪のみやげとして、ISISと戦う資金として中東諸国に出すと表明した支援金と同じ額だ。日本が出す2億ドルは軍事支援でなく、国境警備強化や(貧困がイスラム過激派を生んでいるという理屈に基づく)貧困対策など、行政施策に使う資金の支出だと日本政府は釈明している。しかし、日本が出す2億ドルがISISを弱体化するための支援金であることに違いはなく、ISISはこの点を突いて「そのカネをこっちによこせ。さもなくば2人を殺す」と脅してきた。

 イスラエルのハアレツ紙は、安倍がイスラエルにくるたびに人質事件と戦争が起きると皮肉った。安倍が前回首相だった06年にイスラエルを訪問した際には、2人のイスラエル軍兵士がヒズボラに誘拐され、それを機にイスラエルとレバノンの戦争が勃発した。今回は日本人人質事件だけでなく、安倍がイスラエルに到着した日、イスラエル軍機がシリア領内に侵入してヒズボラとイランの要員を空爆し殺害する戦闘も起きた。(For Shinzo Abe in Israel, it’s strictly business)(ヒズボラやイラン要員は、アサド政権を支援してISISと戦うためにシリアにいた。イスラエルの空爆はISISを支援する効果をあげている)(Israel attacks Syria in support of ISIS

 

安倍のイスラエル訪問は、経済関係の強化が主眼だった。「平和憲法」を持つ「経済大国」として、軍事や敵対に首を突っ込まず経済だけに注力する姿勢だ。しかし今のイスラエルは、ガザ戦争や西岸でのパレスチナ人弾圧を国際的に人権侵害(人道の罪、戦争犯罪)と非難され、最大の貿易相手だったEUは経済制裁を強めている。イスラエルは、EUに代わる貿易相手を探すのに必死だ。そこに日本の安倍首相が、おそらく米国のタカ派政治家から頼まれ、経済関係を強化すると言ってイスラエルを訪問した。日本は、戦争犯罪を犯して国際制裁されて罰せられそうなイスラエルに抜け道を用意してやった。

すばらしい平和主義だ。(Netanyahu forced to look for new markets in Asia as the EU rejects Israeli goods in face of Illegal Settlement Policy

 今回の安倍首相の中東歴訪は、エジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ(自治政府、PA)を回った。イスラエルだけに行ったのでない。しかしヨルダンもエジプトもPAも比較的親イスラエルで、これらの国の政権が、日本から資金をもらって守られる(反イスラエルの政権に転じない)ことは、イスラエルの国家安全を守るために不可欠だ。

 安倍のイスラエル訪問は、3月に予定されているイスラエルの総選挙で、負けそうなネタニヤフを応援する効果ももたらした。3月17日に予定されている総選挙では、国際制裁を無視して違法入植地を広げたり和平交渉を潰したりイスラエル国内のアラブ系住民の市民権を剥奪したがる右派を率いるネタニヤフ首相が、和平交渉の必要性を訴える中道派に破れそうになっている。(New polls put center-left bloc ahead of Netanyahu’s Likud

 イスラエル右派の米政治団体(AIPACなど)に牛耳られる傾向が強い米議会は、ネタニヤフの挽回を助けようと、2月11日にネタニヤフを米議会に招待して反イランの演説をしてもらうことに決めた。イランはイスラエルの仇敵だが、オバマ大統領はイランと和解しようとしている。ネタニヤフを呼んで演説させ、オバマを非難するのが米議会の狙いだ。オバマは「3月の選挙に近すぎる日程での訪米であり、選挙に影響を与えたくないので会わない」という口実でネタニヤフとの会談を断った。(Netanyahu’s Iran speech in Congress is a recipe for an explosive U.S.-Israel clash

 オバマとイスラエルの不仲は昨秋から露呈している。米政界は、イスラエル右派に牛耳られ続ける米議会と、イスラエル支配を脱却しようとするオバマとの政争が激化し、一枚岩でなくなっている。日本(権力を握る官僚機構)の国是は対米従属であり、官僚を無力化しようとした民主党政権の反動で官僚の傀儡として成立した安倍政権は特にその傾向が強い。米国の上層部が分裂する中で安倍は、オバマでなく議会を牛耳る軍産イスラエル複合体を従属の対象とみなしているようだ。EUやオバマがネタニヤフを嫌う中で、安倍がイスラエルを訪問したことから、それがうかがえる。

 偶然だろうが、安倍と同時期にマケイン上院議員ら米議会のタカ派議員たちがイスラエルを訪問しており、安倍はイスラエルでマケインらと会って懇談した。マケインは以前、シリアを訪問して反アサド武装勢力と面談して鼓舞し、その中にのちにISISの幹部になる人々が含まれていたことで知られる「隠れISIS支援派」だ。(Angry McCain Admits Meeting With ISIS, Scolds Rand Paul For Not Knowing Terrorists)(John McCain’s Whoops Moment: Photographed Chilling With ISIS

 イスラエルの選挙で中道派が勝つと、パレスチナ和平を再開し、欧州と再和解して国際制裁を避ける策を採りそうだ(右派が全力で妨害するだろうが)。ネタニヤフが勝つと、和平推進を拒否し、国際法廷(ICC)で有罪になったり経済制裁されるのも無視して、西岸やガザを併合した上でゲットー化する「アパルトヘイト方式の解決」を突き進みそうだ。他国の指導者が選挙でネタニヤフを勝たせようとすることは、中東和平を妨害し、戦争や弾圧を広げる動きだ。安倍首相は中東歴訪で中東和平の推進を呼びかけ続けたが、実際の効果としては和平を潰したいネタニヤフを応援してしまっている。(A settler himself, FM Avigdor Liberman drops the A-bomb

 

安倍がその点を自覚してこの時期にイスラエルを訪問したのかどうかわからない。たぶん、イスラエル右派とつながっている米国のタカ派議員から圧力をかけられ、対米従属の観点から言いなりになってイスラエルを訪問したのだろう。

 石油輸入国である日本は1970年代の石油危機以来、親アラブを貫いてきた。今回の安倍の中東歴訪は、日本が親アラブから親イスラエルに転じる転換点になるかもしれない。サウジアラビアなど湾岸産油国は、米国シェール産業を潰す原油安を加速するため、アジア諸国などに原油をどんどん売りたい。日本が親イスラエルに転じても、サウジは日本に原油を売ってくれる。

 日本が米タカ派から圧力を受けて親イスラエルの傾向を強め、その反動としてISISが誘拐した日本人を殺すぞと脅しても、米タカ派やイスラエルが本当にISISやアルカイダの敵であるなら、米イスラエルと協力してISISと戦う安定した構図が存在しうる。しかし実際は、米タカ派やイスラエルが本当にISISやアルカイダの敵であるか、どうか大きな疑問がある。アルカイダや、それがバージョンアップしたISISは、米タカ派やイスラエルが中東支配に好都合な「敵を演じてくれる勢力」として育て、こっそり支援し続けている疑いが濃い。

 正月早々、米軍機がシリアで反ISISの武装勢力に支援する武器を空中から投下したところ「間違って」ISISの駐屯地に武器を投下してしまう事件が起きた。イラクやイランの軍幹部は、米軍が意図してISISに武器を支援したと考えている。(Middle East Officials Question ”Convenient Mistakes” Of US Airdrops To Al-Qaeda

 

ISISと最も効果的に戦っているのは米国でなく、イランと、イランに支援されているシリアやイラクの軍隊だ。米国では、オバマがISISと真剣に戦う気があるようだが、国防総省はISISと戦う気がなく、それに気づいたオバマが現場の司令官に直接攻撃を指揮する傾向を強め、国防総省がオバマを煙たがっている。この対立の余波で昨年、ヘーゲル前国防長官が辞任した。(Iran eclipses US as Iraq’s ally in fight against militants

 NYタイムスの07年の記事によると、国防総省はISISの指導者バグダディが存在しない架空の人物であると知っており、アルカイダがイラクに入り込むために架空の指導者をでっち上げて過激組織(のちのISIS)を作っていると報じている。米当局は、架空の人物とわかっているのに今もバグダディをISISの最高指導者として発表し続けている。(The US Military’s Stunning Conspiracy Theory Emerges From The Archives: “ISIS Leader Does Not Exist”

 

ゴラン高原の国連監視団によると、イスラエルはシリアで負傷したISISの兵士をゴラン高原経由で自国の病院に受け入れて治療している。米軍がヨルダンで訓練したシリアの「穏健派反政府兵士」たちが、イスラエル領のゴラン高原を経由してシリアに入り、ISISに合流している。The ISIS comedy continues…)(UN Details Israeli Military Ties With Syrian Rebels)(Mossad training ISIL terrorists: Putin aide

 ISISやアルカイダが、米・イスラエルによって敵として作られた勢力であっても、ISISやアルカイダの行動のすべてが米かイスラエルの命令によるものということではない。しかし、たとえばISISが米欧や日本人を人質にして身代金を要求したり、処刑する動画を世界に公開したりするのは、欧州諸国や日本をISISとの戦いに参加せざるを得ない状況にして、それを米国が指導する構造を作り、国際軍が中東にずっと駐留してイスラエルを守ってくれる状況を生み出すことにつながる。

(これまでに発表されている、米欧の人質が処刑されている映像の中には、ISISが合成したニセモノが含まれているとの指摘がある。ISISを支持して支配地域に入った米欧人が、ISISの存在を誇示するため、自分が殺される光景を撮して世界に発表する画策に賛成し、ニセモノの動画が作られた可能性がある)Author Naomi Wolf iscondemned for suggesting ISIS hostages are ACTORS and be-headings aren’t real

*そう言った意味では、湯川氏が殺されたと言う報道自体を疑ってみる必要がある。

 フランスでは、仏政府が年末に国連でパレスチナ国家の創設決議案に賛成したり、パレスチナ和平を進めないイスラエルを制裁する態度を強めたところ、年初にパリで反イスラム的な雑誌社やユダヤ教徒向け(コーシェル)のスーパーマーケットが襲撃されるテロが起きた。国際政治の舞台に立って選挙に勝ちたいネタニヤフは、仏大統領に断られたのにパリのデモに参加し、アフリカの大統領を押しのけて最前列に立った(仏政府は彼が最前列に来ることを事前に認めていたが)。パリのテロ事件をめぐる話は改めて書きたい。(Netanyahu’s Paris appearance was a PR disaster

 ISISに捕まった日本人を救出するため、日本政府はISISに関する情報を多く持つ(ISISの生みの親である)イスラエルや米国防総省、米タカ派議員など「軍産イスラエル複合体」に頼る傾向を強めざるを得ない。


日本政府が、米・イスラエルとISISとの裏のつながりを察知した上で、米タカ派やイスラエルと協調するならまだしも、そうでなく米・イスラエルとISISとのつながりを陰謀論扱いして無視して動いているように見えるだけに懸念がつのる。(終わり)

*参考資料YouTube“ジョン・マケイン イスラム国といつも連絡を取っている?”20141124https://www.youtube.com/watch?v=_nwfBQFzlpo


2015年を考える

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1月 082015

2015年がいよいよ始まった。新しい年を考える上でのポイントをまず、はじめに列記しておきたい。

 

・2013年から始まった「アベノミクス」は、日本の為の政策ではない。ロシアや中国が米国債を売却しているので、それを補完するためにやらされている政策である。

 

・日本には、1945年の敗戦以降、国際政治における国家主権:国家の意思というものはない。あったとしても表に出すことはできない。

 

・これから地球には、「太陽活動の大きな変化」によって、大規模な気候変動がもたらされる。その結果、マクロな視点で見れば、<世界経済は、デフレ縮小化>する。1800年~2000年の世界経済の爆発的な経済成長が終焉する時代を迎える。

 

・日本は、「原発再稼働」や「海外への原発売り込み」など、アナクロニズムなことをやらされているが、間違いなく、「エネルギー革命」が水面下で進行している。その結果、長期的な視点で見れば、エネルギーコストが信じられない程、安価になる時代が来ようとしている。

 

・パックスアメリカーナの時代が、もうすぐ終わろうとしている。そのことを冷徹に見通している政治家がロシアのプーチンである。

 

・日本という国は、いい悪いは別にして、天皇を中心とする立憲君主制の国である。天皇家が、日本国内にある米軍基地のように治外法権であることに、気が付かないと日本国の本質を知ることはできない。

 

・天皇家とユダヤ国際金融資本(ロスチャイルド財閥)との結びつきは、明治維新以降、非常に強いものがある。

 

・その結果、「最後の投資先」に日本が選ばれる可能性が極めて高いが、新しい時代に対応するためには、現在、表舞台に出ている人間が一掃されるような事件が起こることが必要になる。

 

・日本人として一番悲しむべきは、フクシマ原発事故による放射線による人体への影響が首都圏を中心に誰の目にも明らかになる時が迫っていることである。

 

・現在、原油価格が安くなっているのは、サウジアラビアを中心とするOPECがアメリカの「シェルガス革命」を潰すためと、米国を中心とする欧米勢力がロシアのプーチンを封じ込めるためにやっていることが重なって起きていることだが、その結果、彼らは自分で自分の首を絞めている。

原油価格の推移

今回は、意味深なことを言っているお二方の言葉を紹介したい。今上天皇陛下と投資家のジム・ロジャースだ。以下。

 

「天皇陛下の新年の感想(2015年)」

 

「昨年は大雪や大雨、さらに御嶽山の噴火による災害で多くの人命が失われ、家族や住む家をなくした人々の気持ちを察しています。

また、東日本大震災からは四度目の冬になり、放射能汚染により、かつて住んだ土地に戻れずにいる人々や仮設住宅で厳しい冬を過ごす人々もいまだ多いことも案じられます。

昨今の状況を思う時、それぞれの地域で人々が防災に関心を寄せ、地域を守っていくことが、いかに重要かということを感じています。本年は終戦から七十年という節目の年に当たります。

多くの人々が亡くなった戦争でした。

各戦場で亡くなった人々、広島、長崎の原爆、東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています。

この一年が、我が国の人々、そして世界の人々にとり、幸せな年となることを心より祈ります。」(終わり)

 日本の指導者のなかで、今、一番適確な言葉を発信しているのが今上天皇陛下であることは間違いない。お時間の余裕のある方には、「満州と自民党」「「日本株式会社」を創った男~宮崎正義の生涯~」いずれも小林英夫著、をご一読いただきたい。A級戦犯だった里見 甫の伝記を併せて読めば、戦前、戦後史が切れ目なく続いていることが、明瞭に浮かび上がってくる。

 

「2014年11月17日、東京テレビ「モーニングサテライト」のジム・ロジャースのインタビューの概要」

 

安倍首相は投資家に対しては、良い仕事をしてくれている。しかし、長期的な視点から見ると、日本の債務は多く、人口も減っており、彼のやっていることは、日本を破滅させる方向に導いている。子供たちへは、他の国に移住するように勧めたい。こんな経済状況で消費税増税はするべきではない。逆に減税して、消費を増やした方が良い。カットしなければ、いけないのは、政府の支出の方だ。人口が減るなか、無駄な公共投資は、やめて債務を減らすべきだろう。 

 投資に関しては、敬遠されて割安、かつ変化の兆しがある市場を見つけることが成功の秘訣だ。他の人が手を出さないところに投資する。他の人にとっては、リスクがあるように見えるだろう。しかし、私にとっては割安に見える。最高値更新が続くアメリカの方が、よほどリスクがある。行く末を考えると恐ろしいし、みんなそのように考えておくべきで、最悪の結末が待っているからだ。2017年か2016年か、状況が変化したとき、リーマン・ショック以上の悲劇が起こりうる。生き抜くためには、その時にそなえておくべきである。 

資産は、いくつかの国に振り分けて保有している。資産は自分の国だけでなく、海外にも持っておくべきだ。それだけでなく、海外の保険に入るのも良い。また、実物資産も持っておくべきだ。今、買い増しているわけではないが、万が一に備え、金と銀を持っている。また、自分で食料を確保することは、これから生き残るためには重要だ。余裕のある人は、自分のための農業をすべきだ。」

 

私たちもアベノミクスという経済政策を彼のように冷徹に見ておくべきなのだろう。

終わりにこの機会にプーチンという政治家の怜悧な戦略を知っていただきたい。日本のマスメディアが全く報道しない視点を是非、読んでいただきたい。以下。

 

「達人プーチンのワナ」20141225ドミトリー・カリニチェンコ(ロシア)

欧米の対プーチン非難は、伝統的に、彼がKGBで働いていたという事実に基づいている。そして、それゆえ、彼は残酷で不道徳な人物なのだ。プーチンはあらゆることで非難される。だが、プーチンは知性が欠如していると非難するものは皆無だ。

この人物に対するあらゆる非難は、素早い分析的思考と、明快で、バランスのとれた政治・経済的判断をする彼の能力を強調するだけだ。

欧米マスコミは、この能力を、公開でチェスの多面打ちをする達人の能力にたとえることが多い。アメリカ経済と欧米全般における最近の進展で、アメリカは、プーチンの人物評価と言う点で、欧米マスコミは全く正しいと結論できそうだ。

フォックス・ニューズやCNN風の無数の成功報道にもかかわらず、現在アメリカ合州国が率いる欧米経済は、欧米の誰一人として脱出方法が分からない、プーチンの罠にはまっている。欧米がこのワナから脱出しようとすればする程、益々深くはまりこんでしまうのだ。

欧米とアメリカ合州国が陥った本当の悲劇的な苦境の実情とは何だろう?そして一体なぜ全ての欧米マスコミと主要欧米エコノミストは、しっかりと護られた軍事秘密の如く、これについて沈黙しているのだろう?現在の経済的出来事の本質を、道徳規範や、倫理や地政学等の側面はさておき、経済という文脈で、理解を試みよう。

 

ウクライナでの失敗を自覚した後、アメリカが率いる欧米は、ロシア経済を破壊する為、石油価格、更には、主要輸出収入源で、ロシア金準備の主要補充源であるガス価格をも押し下げ始めた。ウクライナにおける欧米の主な失敗は、軍事的でも政治的でもないことに留意が必要だ。だが、プーチンは、ロシア連邦予算を出費して、ウクライナでの欧米の計画を支援することを、実質的に拒否したのだ。おかげで、この欧米プロジェクトは、近未来でも、更なる未来でも、実行可能ではなくなってしまった。

前回、レーガン大統領の下で、同様な欧米による石油価格下落活動が、‘成功し’ソ連は崩壊した。だが歴史は常に繰り返すというわけではない。今回、欧米にとって、状況は違っている。欧米に対するプーチンの反撃は、チェスと柔道の両方に似ていて、敵が用いる力は、敵自身に対して使われるが、防御側が使う力と資源とコストは最小だ。プーチンの本当の政策は公開されているわけではない。それゆえ、プーチンの政策は、常に概して、効果ではなく、効率が狙いだ。

 

プーチンが現在行っていることは、ごくわずかの人々しか理解していない。そして、彼が将来何をするかについては、ほぼ誰も知らない。

どれだけ奇妙に見えようと、現在、プーチンは、ロシア石油とガスを金の現物でしか売っていないのだ。

プーチンは、それを声高に世界中に叫んでいるわけではない。そして、もちろん、彼は中間的支払い手段として、アメリカ・ドルを、依然受け取る。だが彼は、石油とガスの販売で得たこうしたドルの全てを、すぐさま金の現物に変えるのだ!

これを理解するには、ロシア金準備高増加の動態を見て、このデータを、ロシアが石油とガスの販売で、同時期に得ている外貨収入と比較するだけで十分だ。

しかも、第三四半期にロシアが購入した金の現物は、史上最高記録水準だ。今年の第三四半期、ロシアは、55トンという信じがたい量の金を購入した。これは全世界の全中央銀行を合計したよりも多い(公式データによれば)!

2014年の第三四半期に、世界中全ての国の中央銀行は、合計93トンの貴金属を購入した。中央銀行による金純仕入れは、連続15期目の四半期だった。この期間に、世界中の中央銀行が購入した金93トンのうち、驚くべき購入量の55トンを、ロシアが保有している。

さほど遠くない過去、イギリス人科学者が、見事に、数年前、公表されたアメリカ地質調査の結果と同じ結論を出した。つまり、ロシアからのエネルギー供給無しでは、ヨーロッパは存続できないというものだ。英語から世界中の他のあらゆる言語にされており、これはこういう意味だ。“もしロシアからの石油とガスが、世界のエネルギー供給バランスから、無くなってしまえば、世界は存続できなくなる”

そこで、オイルダラー覇権の上で成り立っている欧米世界は、破局的な状況にある。彼らはロシアからの石油とガスの供給無しでは生きられないのだ。しかもロシアは今、欧米に、石油とガスを、金現物と引き換えでしか売らないようにする用意ができている!

プーチンのゲームの巧みさは、ロシア・エネルギーを、金でしか、欧米へ輸出しないという仕組みが、欧米が、ロシア石油とガスに、人為的に安くしている金で支払うことに同意しようがしまいが機能することだ。

ロシアは、石油とガス輸出により、ドルを定期的に得るので、いずれにせよ、欧米により、あらゆる手段で押し下げられた現在の金価格で、金に転換することができるのだ。    

つまり、市場操作によって、人為的に押し上げられているドルの購買力で、連邦準備制度とESFによって、人為的かつ、細心の注意を払って、何倍も押し下げられている金価格で。

 

興味深い事実: アメリカ政府の専門部門、ESF(為替安定基金)による、ドルを安定化させる狙いでの金価格押し下げは、アメリカ合州国で法制化されている。

金融業界では、金が反ドルなのは、当然のこととして受け入れられている。


  • 1971年、1944年、ブレトンウッズで、アメリカが保証した、ドルと金の自由交換をやめ、アメリカのリチャード・ニクソン大統領が‘金の窓’を閉じた。
  • 2014年、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ワシントンの許可を得ずに‘金の窓’再度開けたのだ。 

現在欧米は、金と石油の価格を押し下げるのに、努力と資源の大半を費やしている。それにより、一方では、アメリカ・ドルに有利なように、実際の経済的現実を歪曲しながら、その一方で、ロシア経済を破壊し、欧米の忠実な属国役を演じることを拒否している。

現在、金や石油等の資産は、比例的に弱体化されたように見え、アメリカ・ドルに対して、極端に過小評価されている。これは欧米による膨大な経済的努力による結果なのだ。

今やプーチンは、欧米の努力で人為的に押し上げられているアメリカ・ドルと引き換えにロシアのエネルギー資源を売っている。彼はそれで、欧米自身の努力によって、アメリカ・ドルに対し、人為的に低めにされている金を即座に購入するのだ!

プーチンのゲームには面白い要素がもう一つある。ロシアのウランだ。アメリカ電球の6個のうち1個は、ロシアからの供給に依存している。ロシアがアメリカにドルで販売しているのだ。

米国はウランを何処から買っているのか

 そこで、ロシアの石油、ガスとウランと引き換えに、欧米はロシアに、石油と金に対し、その購買力が、欧米の努力で人為的に押し上げられているドルを支払う。しかし、プーチンは、アメリカ・ドルを、まさに同じ欧米によって、人為的に押し下げられているアメリカ・ドル建て価格で、金の現物を欧米から回収する為にだけ使っているのだ。
 プーチンによるこの実に見事な経済政策の組み合わせは、アメリカ合州国が率いる欧米を、自分のしっぽを積極的かつ熱心にむさぼり食う蛇の様な立場に追い込んだのだ。

 欧米に対する、この経済的な金のワナという考えは、恐らく、プーチン自身が発案したものではない。プーチンの経済顧問、セルゲイ・グラジエフ博士の考えである可能性が高い。そうでなくて、一体なぜ、一見事業に関与していない様に見える官僚グラジエフが、多くのロシア人実業家達と共に、ワシントンによって、個人的に制裁リストに含まれているのだろう?経済学者グラジエフ博士の発想が、中国の仲間、習近平から全面的支持を得て、プーチンによって見事に実施されたのだ。

 特にこの文脈で興味深いのは、必要であれば、ロシア中央銀行は、準備金の金を、輸入への支払いに使用することが可能であることを強調した、11月のロシア中央銀行第一副総裁クセニア・ユダエワの声明だ。欧米世界による経済制裁という文脈の中で、この声明は、BRICS諸国、そしてそもそも中国に向けられたものであることは明白だ。中国にとって、ロシアが、商品に対して、進んで欧米の金で支払うというのは、実に好都合だ。理由は下記の通りだ。

 中国は最近、金とアメリカ・ドル建て外貨準備を増やすのをやめる予定だと発表した。アメリカと中国との間の貿易赤字の増大を配慮して(現状では、違いは、中国が五倍優位だ)、この金融語による声明を翻訳すると、“中国は商品をドルで売るのは停止する”ということなのだ。世界中のマスコミは、この最近の通貨制度史上最大の出来事に気がつかないふりをしている。問題は、中国が文字通り、商品を、アメリカ・ドルで売るのを拒否しているということではない。中国は、もちろん、中国商品に対する支払いの中間手段として、アメリカ・ドルの受け取りは継続するだろう。だがドルを得ると、中国は即座に、ドルを処分し、中国の金と外貨準備高構造中で、何か他のものに置き換えるのだ。

 

そうでなければ、中国の通貨当局の声明には意味がない。“我々は、金とアメリカ・ドル建て外貨準備を増やすのをやめる。”つまり中国は、他のあらゆる国との貿易で稼いだドルで、これまでそうしていた様に、アメリカ合州国長期国債を購入することは、もはやしないのだ。

 かくして、中国は、アメリカからのみならず、世界中から、その商品に対して得る全てのドルを、中国の金・アメリカ・ドル建て外貨準備高を増やさない他の何かに置き換えるつもりだ。そこで、興味深い疑問がおきる。中国は、貿易で得た全てのドルを、一体何に置き換えるつもりなのだろう?どの通貨、あるいは資産で?現在の中国通貨政策を分析すると、貿易で得るドル、あるいは、そのかなりの部分を、中国は静かに、置き換える可能性が一番高いが、事実上、既に、金に置き換えつつあることを示している。

我々はドル時代の終焉を目にしているのだろうか?
 

この点で、ロシア-中国関係の二人遊びゲームは、モスクワと北京にとって大成功だ。ロシアは、中国から商品を購入し、時価で直接、金で支払う。一方、中国は、ロシアのエネルギー資源を、金で時価で購入する。このロシア-中国間の命の祭典では、あらゆるものが取引される。中国商品、ロシアのエネルギー資源と金が、相互の支払い手段だ。アメリカ・ドルだけは、この命の祭典に居場所がない。そして、これは驚くべきことではない。アメリカ・ドルは、中国製品でもなければ、ロシアのエネルギー資源でもないからだ。ドルは、中間的な金融決済手段に過ぎず、しかも不必要な仲介者だ。そして、二つの独立したビジネス・パートナー間の取引から、不要な仲介者は排除されるのが普通だ。

 金現物の世界市場は、石油現物供給の世界市場と比較して、極端に小さいことに留意が必要だ。そして、特に金現物の世界市場は、石油、ガス、ウランという商品現物の全世界市場と比べれば、顕微鏡でしか見えないほど小さい。

“金の現物”という言葉を強調したのは、‘紙の’エネルギー資源ではなく、現物のエネルギーと引き換えに、ロシアは現在、欧米から金を回収しているが、紙の上の金ではなく、金の現物だけだからだ。中国も同様に、製品現物の、欧米輸出に対する支払いとして、欧米が人為的に引き下げた金の現物を得ている。

 ロシアと中国が、両国のエネルギー資源や商品への支払いとして“シット・コイン”つまり、様々な種類のいわゆる“紙の上での金”を受け入れるという欧米の願いも実現しなかった。ロシアと中国は最終支払い手段として、金と現物の金属にしか興味はない。

参考: 金先物市場における紙の上の金取引高は、月3600億ドルと推定される。ところが、金現物の引き渡しは、月にわずか、28000万ドルだ。そこで、紙の上の金、対、金現物取引の比率は、10001というわけだ。

 欧米に人為的に押し上げられている別の金融資産(米ドル)と引き換えに、欧米によって人為的に押し下げられている金融資産()を、市場から積極的に回収する仕組みを利用して、プーチンは、オイルダラーの世界覇権を終わらせる秒読みを始めたのだ。 

かくして、プーチンは、欧米を、いかなる前向きな経済見込みも不在の、手詰まり状態に追い込んだのだ。欧米は、人為的にドルの購買力を高め、石油価格を下落させ、金の購買力を人為的に引き下げる為、努力と資源はいくらでも費やせる。欧米にとっての問題は、欧米が所有している金現物の在庫が無限ではないことだ。それゆえ、欧米がアメリカ・ドルに対して、石油と金を押し下げれば押し下げる程、価値を低くしている金を、無限でない準備高から、より急速に失うことになる。プーチンの経済的組み合わせという、この素晴らしい手によって、金の現物は、欧米の準備高から、ロシア、中国、ブラジル、カザフスタンとインド、BRICS諸国へと、急速に移動しつつある。金現物備蓄減少の現在の勢いでは、欧米は、欧米オイルダラー世界全体の崩壊まで、プーチンのロシアに対して何をする時間も、もはやない。チェスでは、プーチンが、アメリカが率いる欧米を追い込んだ状況は、“タイム・トラブル”と呼ばれるものだ。
 欧米世界は、いままさに起きている様な、経済的事態や現象には決して直面したことはない。ソ連は、石油価格下落の際に、金を素早く売却した。ロシアは、石油価格下落に際して、素早く金を購入している。かくしてロシアは、オイルダラーによる世界支配というアメリカ・モデルに対して、本当の脅威を与えているのだ。
 

世界オイルダラー・モデルの基本原理は、世界通貨制度(GMS)で支配的なアメリカ通貨の役割に基づいて、他の国々や人々の労働力と資源を犠牲にして、アメリカ合州国が率いる欧米諸国が暮らせるようにするものだ。GMSにおける、アメリカ・ドルの役割は、それが究極の支払い手段であることだ。これはつまり、GMS構造において、アメリカ合州国の自国通貨は、それを他のあらゆる資産と交換する為の究極的な資産蓄積手段というのが、意味をなさなくなってしまうのだ。ロシアと中国が率いるBRICS諸国が現在行っていることは、実際、世界通貨制度における、アメリカ・ドルの役割と立場を変えつつある。究極的な支払い手段と、資産蓄積から、アメリカの自国通貨は、モスクワと北京の共同行動によって、単なる中間的支払い手段へと変えられてしまうのだ。別の究極の金融資産、つまり金と交換する為に意図された、単なる中間的支払い手段にされてしまうのだ。そこで、アメリカ・ドルは実際、究極的な支払い手段、兼資産蓄積という役割を失い、両方の役割を、別の広く認められて、特定国家のものでなく、政治的要素が取り除かれた金融資産である、金に譲り渡すことになる。

 

伝統的に、欧米には、世界における、オイルダラー・モデル覇権と、結果としての、欧米の極端な特権に対する脅威を抹殺する二つの方法がある。

こうした手法の一つは、カラー革命だ。第二の方法は、通常万一、前者が失敗した際に、欧米によって行われるもので、軍事攻撃と爆撃だ。

だがロシアの場合、この方法のいずれも、欧米にとって、不可能だったり、受け入れ不能だったりする。 

なぜなら、そもそもロシア国民は、他の多くの国々の国民と違い、自らの自由や、孫子の将来を、欧米のソーセージと交換しようと望んではいないからだ。これは主要な欧米格付け機関によって定期的に公表されるプーチンの記録的支持率から明らかだ。ワシントンのお気にいりナヴァルニーと、マケイン上院議員の個人的友情は、彼にとっても、ワシントンにとっても極めて否定的な効果しかなかった。この事実をマスコミで知った98%のロシア国民は、今やナヴァルニーを、単なるワシントンの傀儡で、ロシア国益の裏切り者としか見ていない。従って、まだ正気を失っていない欧米の専門家連中は、ロシアでは、いかなるカラー革命をも夢想することはできない。 

直接軍事攻撃という欧米の二つ目の伝統について言えば、ロシアは確実に、ユーゴスラビアでも、イラクでも、リビアでもないのだ。アメリカが率いる欧米による、ロシア領へのあらゆる対ロシア非核軍事作戦は、失敗する運命にある。またNATO軍指導部を本当に掌握しているペンタゴンの将軍達もこれを理解している。同様に、いわゆる“予防的武装解除核攻撃”という概念も含め、対ロシア核戦争にも見込みはない。NATOは、厳密に言えば、ロシアの様々な形の核能力を完全に武装解除する一撃を加えることはできない。敵に対する大規模核報復攻撃や、敵の遺体の山が不可避だ。しかも、ロシアの総合能力は、生き残った人々が死者をうらやむほど十分ある。つまり、ロシアの様な国との核攻撃の応酬は、迫り来るオイルダラー世界崩壊の問題に対する解決策ではない。最善の場合は、歴史上、核戦争の最後の和音、最終点となるだろう。最悪の場合は、核の冬と、放射能で突然変異したバクテリア以外の地球上のあらゆる生命の絶滅だ。

 

欧米の経済支配層は、状況の本質が見えており、理解している。主要欧米エコノミスト達は、プーチンの金という経済的ワナによって、欧米世界がおかれた状況の、苦境の酷さと絶望感を確実に把握している。結局、ブレトンウッズ合意以来、我々全員が黄金律を知っている。“より金を多く持っている者が、ルールを決める。”だが欧米でこれについて全員が沈黙している。沈黙しているのは、この状況からの脱出法を誰も知らないせいだ。

 

もし欧米大衆に、迫り来る経済的大惨事の詳細全てを説明すれば、大衆は、オイルダラー世界の支持者達に、最も恐ろしい質問をするだろうが、それはこういうものだろう。

ロシアから、金の現物と引き換えに、石油とガスを、欧米は一体どれだけ長期間買い続けられるのか?
そして、ロシアの石油、ガスやウランや、中国商品に対する支払いとして払う金の現物が欧米で尽きた後、アメリカ・オイルダラーに一体何が起きるのか?

現在、欧米では誰一人として、この一見して素朴な質問に答えられる人はいない。

これは“チェックメイト”と呼ばれており、紳士淑女の皆様、勝負はついたのだ。(終わり)

 

*記事原文:http://orientalreview.org/2014/12/25/grandmaster-putins-trap/

 この記事の補足としては、次の事実を紹介しておきたい。

ソ連共産党機関誌だった「プラウダ」に掲載されたわが国に関する不思議な記事が存在する。2005930日付のものだ。

 

「日本は代替エネルギー開発では世界で最も先陣を切っている国の一つである。日本の科学者たちが石油を購入したり、それを使ったりすることから日本を解放することがあり得ないわけではない。軍隊についていうと、日本の国会議員たちは最新鋭の兵器を持った強力な軍隊へと自衛隊を転換することについて既に了承している。現段階で日本が世界最大の金準備を持っていると自慢出来ることは知るに値することである。

 

この記事は、世界のエリートに静かな反響を呼んだようである。

11月 212014

以前、下記のように書いたことがある。 

「これからこの日本で生まれ、日本で、世界で何事かを成し遂げようという大志を秘かに抱いている日本人は、「この国が1945年以降、米国の特別行政自冶区でしかない」ということをしっかり肝に銘じてすべての行動を決め、戦略を練っていく必要があるだろう。もちろん、日本の学校もマスコミも本当の事など教えてくれるはずもない。壮大な嘘とその嘘が創り出す日本社会の空気から自由になり、独立自尊の道を一人でも多くの日本人が歩むことを求められている時代を迎えている。そう言った意味で、残念なことだが、米国の支配層の利益を最大にするために運営されている現在の日本の政治に期待を抱くだけ無駄だということだろう。はっきり言ってしまえば、特別行政自冶区の米国に許容された範囲内の利益配分巡る権力闘争が日本の政治である。国家主権を奪われ、大きな国益が毀損されたなかで、せせこましい利権獲得競争が行われているのである。国政がそのレベルにあるのだから、地方政治は「推して知るべし」ということだろう。

 これからの日本人は、欧米のエリート、特に米国のエリートが日本という国をどういうふうに動かそうとしているかを読み切り、逆にそれを利用して投資、仕事をし、地道に力を蓄えていく努力を積み重ねていくしかないのだろう。また、マスコミに流れない本物情報を得て、健康、体を守るのも一人一人の自助努力にかかっている時代だ。国やマスコミや医者が私たちを守ってくれるという、創られた甘い幻想から少しでも早く目を覚ますことも肝要である。」 

 おそらく、今回の解散劇も米国のジャパンハンドラーの意向が一番強く働いているはずである。戦後から現在まで米国の利益を尊重することによって延命するしか方法がなかった自民党という政党に安定過半数を取らせ、健康問題やタカ派的発言で中国と無用の摩擦を起こして退陣していくことになる安倍政権がやり残すだろう課題:「 TPPの日米合意の実現」「ガイドラインの見直しによる日本の安保負担強化」そして「原発再稼働」という3点セットを着実に実行させるための体制を維持させるための解散総選挙ということなのである。そのために「消費税引き上げを延期することが争点」という訳のわからない衆議院選挙が年末に行われることになったのである。

 

 おそらく、ジャパンハンドラーが集う、この場ですべての流れが決まったのであろう。

以下、日本経済新聞より 

「首相「TPP、激論通じ友情を」 日米政財界交流会」2014/10/31(日本経済新聞)

 

安倍晋三首相は31日、都内で開いた日本経済研究センターと日本国際問題研究所が主催する日米政財界の交流会「富士山会合」の開会記念レセプションであいさつした。日米関係について「今ほど両国間の交わりが求められている時代はない」と強調。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に触れつつ「激しい議論を通じ真の友情は確かなものになる」と述べた。 

 米側からはケネディ駐日大使があいさつに立ち「私たちの課題は日米の同盟関係を力強く後世に引き継ぐことだ」と語った。富士山会合は11月1~2日に神奈川県箱根町で開く。

安倍首相 富士山会合

 「ケネディ大使、関係強化に意欲 日米対話「富士山会合」式典」2014/11/1(日本経済新聞)

 

日本経済研究センターと日本国際問題研究所は31日夜、国際関係や安全保障に関し日米の政府関係者や専門家らが対話する第1回年次大会「富士山会合」の開会記念レセプションを東京都内のホテルで開いた。安倍晋三首相やキャロライン・ケネディ駐日米大使らが出席した。年次大会は11月1~2日の日程で神奈川県箱根町で開催する。 

 レセプションであいさつした安倍首相は「富士山は裾野が広いから美しい。日米関係も裾野を広げることが重要だ」と述べ、政府関係者に加えて学識者や企業経営者らも一堂に会し、安保や経済などを議論する富士山会合へ期待感を示した。 

 ケネディ大使も「日米の協力関係は比類なく広いが、当然と見なし何もしないわけにはいかない」として、関係強化への意欲を示した。 

 レセプションには、自民党から福田康夫元首相や麻生太郎副総理ら、民主党からは玄葉光一郎前外相らが出席した。

 

「日米の輪つなぎ直す」 富士山会合始まる三井住友FG会長2014/11/1(日本経済新聞)

 

国際関係や安全保障について日米の政府関係者、経営者、専門家らが対話する第1回年次大会「富士山会合」(日本経済研究センター、日本国際問題研究所共催)が1日、神奈川県箱根町のホテルで始まった。 

 開会宣言では奥正之・三井住友フィナンシャルグループ会長が「日米の人の輪をつなぎ直し、相互理解を深める」と会合の目的を説明した。そのうえで「戦後70年の節目を迎えるにあたって、両国の望ましい関係を深く考えていきたい」と語った。 

 リチャード・アーミテージ元米国務副長官は「日米同盟を維持し、繁栄させ、(協力の)領域を広げていくための自由でオープンな議論をしたい」と抱負を語った。国分良成防衛大学校長は台頭する中国への対処を巡り「習近平政権がどういう方向に向かうのか、日米や国際社会は中国とどう向き合うべきかなどを話し合いたい」と述べた。 

 日米の経済連携について米国務省経済局のカート・トン筆頭副次官補は「日米が一丸となって、一部の国への富の集中など世界経済が直面する課題に取り組むことができるのかを議論したい」と語った。

 

 会合は2日まで。「日米中関係」「サイバー・セキュリティー問題」「アベノミクス」をテーマとするパネル討論やジョセフ・ナイ・ハーバード大学特別功労教授の講演なども行い、政策提言「富士山宣言」を取りまとめて閉会する。 

 日本経済研究センター(岩田一政理事長)と日本国際問題研究所(野上義二理事長)は2014年度から会員制の新事業「日米知的交流・共同研究プログラム」を立ち上げた。米戦略国際問題研究所(CSIS)など外部のシンクタンクとも協力し、日本の考え方を対外発信する広報外交にも取り組んでいる。 

 富士山会合はこのプログラムの年次大会にあたる。都心から離れ、くつろいだ雰囲気の中で率直かつ真剣な議論を促す狙いがある。

 

元米国家情報長官「中国をTPPに」 富士山会合始まる2014/11/1(日本経済新聞)

 

 国際関係や安全保障について日米の政府関係者、経営者、専門家らが対話する第1回年次大会「富士山会合」(日本経済研究センター、日本国際問題研究所共催)が1日、2日までの日程で神奈川県箱根町のホテルで始まった。 

 デニス・ブレア元米国家情報長官は「日米同盟のビジョン」をテーマに基調講演した。経済、軍事の両面で台頭する中国への対処について「日米は国際的な枠組みに中国を迎え、影響力と責任を共有しなければならない」と協調を促した。 

 具体的には交渉妥結後の環太平洋経済連携協定(TPP)に中国を加えるよう提案し、中国主導で設立をめざすアジアインフラ投資銀行(AIIB)についても「反対すべきではない。不安があるなら中から変えるべきだ」と述べた。

 基調講演に先立ち、奥正之・三井住友フィナンシャルグループ会長が「日米の人の輪をつなぎ直し、相互理解を深める。戦後70年の節目を迎えるにあたって、両国の望ましい関係を考えていきたい」と開会宣言した。 

 リチャード・アーミテージ元米国務副長官は「日米同盟を維持し、繁栄させ、(協力の)領域を広げていくための自由でオープンな議論をしたい」と抱負を語った。 

 日本経済研究センター(岩田一政理事長)と日本国際問題研究所(野上義二理事長)は2014年度から会員制の新事業「日米知的交流・共同研究プログラム」を立ち上げた。富士山会合はこのプログラムの年次大会にあたる。米戦略国際問題研究所(CSIS)など外部のシンクタンクとも協力し、日本の考え方を対外発信する広報外交にも取り組んでいる。 

 会合では「日米中関係」「サイバー・セキュリティー問題」「アベノミクス」をテーマとするパネル討論やジョセフ・ナイ・ハーバード大学特別功労教授の講演なども行い、政策提言「富士山宣言」を取りまとめて閉会する。

 

 都心から離れ、くつろいだ雰囲気の中で率直かつ真剣な議論を促す狙いがある。

(引用終わり)

ところで、このような米国のジャパンハンドラーに対抗するような動きがこれから日本で出てくる可能性はあるのだろうか。元外交官の原田武夫氏が日銀の追加金融緩和について大変興味深い言及をしているので、読んでいただきたい。以下。

 

「日銀が追加緩和を決定:黒田東彦総裁は何も知らない!」            原田武夫

 

先月(10月)31日、日本銀行は金融政策決定会合において「追加緩和」を決定。即日公表され、公式ウェブサイト上でも同日午後144分にプレスリリースが公開された。http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k141031a.pdf

これを受けて東京株式市場は一時、平均株価が800円以上も高騰。他方で円ドル・レートも1ドル=112円台にまで到達し、正に「黒田バズーカ」をマーケットに対して見せつけた結果となった。

日本銀行が今回の施策によって目論んでいる(表向きの)「絵柄」は極めて単純だ。それを描くとこうなる: 

●まずは日本銀行が大量の国債を年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)より買い取る 

GPIFはそれによって得た日本円をもって株式マーケットから日本株を購入する。大半が「外国人」によって保有されているため、この日本円は「外国人」に大半が流れることになる 

●こうして「外国人」らの支持を取り付けつつ、政府サイドでは補正予算の編成とそれをベースとした追加的な景気刺激策を策定。それと合わせ技で「消費増税第2弾」が年内に決定されるように世論形成を行う

 

こうした「追加緩和」の意義と効用については、表向き多くの「アナリスト」「専門家」たちがコメントしているのでここではこれ以上言及するのを差し控えることにしたい。一点だけ言うならば外生的なリスク要因、とりわけ「地政学的リスク」が炸裂するような事態に陥った場合、いかに効果的であることを装った金融政策も無効化するということである。そして米欧勢における本当の問題が「公的債務残高の加速度的な蓄積」であり、その解消手段として「ハイパーインフレへの誘導」が少なくとも米国勢によってさしあたり断念されたことは米連邦準備制度理事会公開市場委員会(FRB FOMC)の量的緩和第3弾(QE3.0)の終了決定http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20141029a.htm

によって明らかになった以上、米欧勢は今後、もう一つの手段である「戦争経済への突入」に速やかに本格突入すると考えるべきなのである。

すなわち「世界カレンダー」を見る限り、早ければ今月(11月)内にもそうした重大な展開が中東地域において見られることになる以上、「あの黒田バズーカ2.0は一体何だったのか」ということに程なくしてなることが想定されるというわけなのだ。

 

無論、ここで述べたいのは「日銀マン」たちがそうした米欧勢の目論見を全く知らず、無邪気にも追加緩和などという手段に手を伸ばしたという批判ではないのである。日本銀行は「認可法人」(財務省所管)であり、株式会社であれば資本にあたるものを集めるべく「出資証券」を発行している。そしてこの出資証券は下記に示すとおり、実にその39.6パーセントが「個人」によって保有されており、更にそれを調べていくと多数の外国人、とりわけ「英国人」の氏名を保有者として見つけることが出来るのである。そうしたルートを辿って日本銀行が米欧の統治エリートらの真意をくみ取った上で対応していることは容易に想像出来るわけであり、日本銀行の決断・行動を分析するにあたってはまずその点がポイントになって来る。

日銀出資金

 それでは今回の決断にあたっても「記者会見」を行った黒田東彦・日銀総裁はこうした全てのストーリーを熟知した上で動いているのであろうか。―――答えは「NO」である。

 

なぜならば我が国の金融通貨当局の「真意」を分析したいのであれば「財務省」「日本銀行」といったハコモノで判断してはならないからである。確かに表向きはそれぞれに意思決定がなされているようにも見え、それらが相互にいがみ合いを演じ、「縦割り構造」があるかのように見える。しかし実際のところそれは完全なるフェイクであり、両者を貫き、更には我が国の「本当の権力の中心」に至る人的ネットワークが存在するのである。そしてそうした人的ネットワークを何が律しているのかといえば、日本国憲法が平等権を定めるべく第14条第1項で排した「門地」である。そして残念ながら黒田東彦総裁はいかに能吏であったとしても、そうした人的ネットワークには登録されていない。

したがってその発言は全て「筋書どおり」と考えるべきなのであって、問題はその「筋書」は一体誰が書いており、しかもこれからの「筋書」には何が書かれているのかという点に絞られて来るのだ(ちなみにこの文脈で注目すべきであった(過去形!)人物の例をあえて挙げるならばこの人物である)。

http://web.archive.org/web/20120326150838/http:/www.boj.or.jp/about/organization/policyboard/dg_yamaguchi.htm

 

この様に述べるとすぐさま「そうした人的ネットワークは国際金融資本と手を組み、悪さをしているに違いない。陰謀は暴かれるべき」などといった議論を大声で展開する向きがいる。しかし私の目から見ると全くもってそうした議論は幼稚過ぎ、もっといえば我が国のことを考えているように見えて、その実、我が国の真の国益を損ねているものなのである。

なぜならば米欧勢の「真意」が閉鎖的な人的ネットワークにある以上、それに対抗するためには我が方にもそうした人的ネットワークがあって然るべきだからである。それはおよそ民主主義的なコントロールとは無縁の世界なのであって(民主主義においては国民の一人一人がかつてで言うと「君主」:主権者であり、したがってその要求にも「君主」においてそうであるべきとされたように自ずから制限があって然るべきなのである。

しかし国民はそうは思わず、統治者でありながら、いつまでも被統治者のふりをしようとし、傍若無人に限りを尽くす。その結果、「民主主義の破産は、民の無制限の要求にはじまることは、プラトンの指導したのデイオンの民主主義革命が失敗して以来、常に起こってきたこと」(山本七平「帝王学 『貞観政要』の読み方」)といった事態に陥ってしまうのだ)、海の向こうの閉鎖的な人的ネットワークとの間で密やかに丁々発止のやり取りを続けながら、かろうじて「我が国」の存立を守っているというのが実情なのである。 

一つだけヒントを申し上げるならば「我が国が抱える本当の問題」とは、先の大戦における「敗戦」の結果、放っておくと今後かなりの長期にわたって我が国が持っている国富(*隠匿している財産も含む)を米国勢の思うがままにしなければならないという点にある。それ以上でも、またそれ以下でもないのである。 

そして上述の閉鎖的な人的ネットワークはといえば、今や手足を縛られてしまった我が国の「本当の権力の中心=天皇家」に成り替わってこの国富収奪のネットワークにおいて我が国の門番の役割をつとめているというわけなのである。「敗戦」から70年近くが経ち、私たち国民はややもすると、「敗戦した」という事実を忘れてしまいがちである。だがそのことは列記とした事実なのであって、私たち国民の意識がどうであろうと、そのことに何ら変わりはないのである。

 

つまり、私たち国民が普段享受している幸せな?生活は結局のところ、そうした根源的な国富の収奪システムの上に立った「砂上の楼閣」に過ぎないのである。そのことを忘れてはならない。

米欧勢、とりわけ我が国から国富を収奪する役割を担わされている米国勢の側からすれば、こうした血族に基づく我が国の人的ネットワークこそ邪魔なものはないのである。なぜならばこれこそ我が国が抱える問題としての「構造(structure)」であり、入り込むことが出来ない高い壁だからだ。そこで米国勢はこうした我が国の人的ネットワークとの関係がうまくいかなくなると、その一部をピックアップし、血祭りにあげていく。何も知らない私たち国民はマスメディアがセットするそうした者へのバッシングに野次馬根性から加担し、人格攻撃を繰り広げる。特に激しく語られることになるのが「売国奴」「対米協力者」といった烙印である。

 

だがこの人的ネットワークからすればそうした「烙印」など全くもって笑止なのである。なぜならば彼らが志していること(無論それは我が国の「本当の権力の中心」の意思に基づいているわけだが)はより高次元であり、かつより根源的な目標だからである。

それはズバリ、1945815日の屈辱的な「敗戦」という厳しい現実を前にしながら始まった「米国への絶対的な隷属」という構造からの脱却である。そしてそれを実現するためにまずは米国の利用できるものは利用すべく、その中に徹底して入り込み、その内奥、とりわけインテリジェンス機関の全てを熟知するところから始めながら、最終的にはそうした相手先すら飲み込んでしまうという高等戦略を着実に、そして何よりも静かに実行してきているのである。それはあたかも「蛇に飲み込まれたはずの小動物がその腹をかき切り、逆に蛇が破裂してしまう」ようなものなのだ。 

我が国の「本当の権力の中心」とそれにつらなり、「門番」としての役割を、体を張って果たしている人的ネットワークが目指しているのはこのことなのである。そして日銀による今回の突然の決定も、そうした文脈から解釈されるべきなのである。つまりそれは表向き極めて愚鈍な様に見えつつも、その実、向う側において本当の獲物をとらえて離さない高等手段なのだ。ただしその最終的な目標が達成される段階において我が国は救われることになるが、そこまでの過程において何も知らない私たち国民の「全て」が救われることをそれは全く意味しないのである。つまりこれから2018年までの間に訪れる最終局面までの間、私たち日本人の一人一人に相応の覚悟が必要であり、我が国を巡る真実に直面することへの勇気も必要ということになってくる。

(終わり)

ここで、原田氏が言っているのは、一般人が知らないスターリング・シーグレーヴの「ヤマト王朝―天皇家の隠れた歴史」に書かれているような支配構造が日本には隠然と存在し続けているということである。ただ、小生には、その人たちが、インナーサークルの利益と国家の存続は考えているだろうが、日本国民全体の利益を考えているかと言えば、フクシマ原発事故による放射線汚染を放置している現状を考えても疑問だと思わざるを得ない。兎も角、原田氏は、米国の意向に沿う形に見せかけながら、どんでん返しを日本の真の支配層が狙っていると言っているわけである。

ここで、日銀の異次元金融緩和は、米国の為だとはっきり明言している米国のエリートの言葉を紹介しよう。日本のマスコミではほとんど取り上げられないので貴重である。以下。

 

「世界的な砂上の楼閣」   ポールCraig Roberts

20141114

 

大半のアメリカ国民は、経済マスコミでない限り、量的緩和(紙幣印刷の遠回しな言い方)が、アメリカ経済を復活させることに失敗したことに気がついている。

すると、日本は一体なぜこの政策を採用したのだろう? 2013年に、大量の紙幣印刷が始まって以来、日本円は、アメリカ・ドルに対して、35%下落したが、エネルギー輸入に依存している国にとっては、大変な負担だ。しかも、日本経済は、輸入品価格の上昇を正当化できるような、量的緩和という刺激策に対する成長を示していないのだ。

経済が刺激策に反応していないのに、先月、日本銀行は、年間、50兆円から80兆円へと、量的緩和を60%増やすと発表した。ソシエテ・ジュネラルの専門家、アルバート・エドワーズは、日本の紙幣印刷機が、円を、一ドル、115円から、145円に押し下げるだろうと予測している。 

これは予測だが、一体なぜ危険なことをするのだろう?通貨価値下落から、日本は一体何が得られるのだろう?この政策の背後にある考え方は一体何だろう?

簡単な説明は、日本は、印刷しすぎたアメリカ・ドルを守るために、自国通貨を破壊するよう命じられているということだ。属国として、日本は、アメリカの政治的、金融的な覇権の下で苦しんでおり、ワシントンの圧力に抵抗することが出来ないのだ。

公式説明では、連邦準備金制度理事会と同様、日本銀行は、経済成長と、インフレを関連付けるフィリップス曲線を信じているのだと公言している。レーガン政権によって実施されたサプライ・サイド・エコノミック政策は、フィリップス曲線信仰を反証し、経済成長は、下落、あるいは安定した率のインフレとの一貫性がないことを示した。ところが体制派経済学者連中はそれに気づくのを拒み、自分達にとって快い定説を奉じ続けている。 

アメリカでは、量的緩和は、生み出された大半の流動性が、消費者のポケットではなく、金融市場に流れ込んだ為に、株価と債券価格インフレを引き起こした。公式インフレ報告より、消費者価格インフレは高い。インフレ率は、生計費調整用の資金を削減すべく、インフレを過少報告するよう加工されているが、量的緩和の主要効果は、非現実的な株価と債券価格だ。 

日本銀行が願っているのは、円交換価値が下落するにつれ、原材料とエネルギー輸入価格が上昇し、こうしたより高いコストが消費者価格に転嫁され、インフレを押し上げ、経済成長を刺激することだ。日本は、自国経済を、信ぴょう性のない理論に賭けている。

興味深い質問は、一体なぜ、金融専門家達は、円が量的緩和の下で、崩壊すると予想しながら、ドルが、量的緩和の下で崩壊するとは予想しないのかだ。日本の経済は世界三番目の規模で、およそ10年前までは、円価値が上昇していたのに大成功をおさめていた。一体なぜ、量的緩和の影響が、円とドルで違うのだろう?

 

答えはおそらく、アメリカ政府と銀行/金融部門との間の極めて強力な同盟と、ワシントンが、属国諸国に対し、世界準備通貨としてのドルを支持するよう強要している義務にある。日本は、通常の経済の力を無力化する能力に欠けている。ワシントンに、市場を操作する能力があるおかげで、ワシントンは、トランプで作った家のような砂上の楼閣経済構造を維持できているのだ。

 

量的緩和を終えるという連邦準備金制度理事会の発表で、アメリカ・ドルの見通しは好転した。ところが、ノミ・プリンスが明らかにしている通り、量的緩和は終わっておらず、変身したに過ぎないのだ。http://www.nomiprins.com/thoughts/2014/11/10/qe-isnt-dying-its-morphing.html

連邦準備金制度理事会の中長期国債の買い上げのおかげで、大手銀行には、連邦準備金制度理事会に預金という形で、2.6兆ドルの過剰準備金がある。銀行は、これからこのお金を、連邦準備金制度理事会の購入になり代わり、中長期国債購入に使うのだ。このお金が底を突いたら、連邦準備金制度理事会は、量的緩和を再開する理屈を考え出すだろう。しかも連邦準備金制度理事会は、手持ち不動産担保証券と財務省証券の4.5兆ドルからの利子・利回りを、中長期国債購入を継続する為に再投資すると発表した。金利スワップも、金利を低くしておくべく、操作される可能性がある。だから、量的緩和終了という発表にもかかわらず、購入して、高い債券価格を維持し続け、高い債券価格が、株購入を奨励し続け、かくして、砂上の楼閣経済構造を持続させるのだ。

デイブ・クランツラーと私(そして確実の他の人々も)が指摘した通り、安定、あるいは上昇するドル交換価値は、トランプで作った家のように不安定な経済構造にとって、必要基盤なのだ。三年前まで、金に対し、ドルは急速に軟化していた。その時以来、金先物市場における、膨大なアンカバード・ショート・セリングが、金価格を押し下げる為に利用されてきた。

金と銀の地金価格が操作されているのは明らかだ。需要は高く、供給は制約されている。ところが価格は低下しつつある。アメリカ造幣局は、イーグル銀貨の需要に追いつけず、販売を中止している。カナダ造幣局はメイプルリーフ銀貨供給を制限している。アジアの金需要、特に中国需要は、記録的水準だ。 

2014年第三四半期は、中央銀行による金純仕入れが、連続15度目の四半期だった。デイブ・クランツラーは、過去8カ月間、SPDRゴールド・シェアから、101トンの金が流出しており、現物購入者に対して引き渡す金が不足している兆候があると報じている。契約が、金でなく、現金で決済される市場で設定されている低下しつつある先物価格は、増加する需要と、制約された供給と辻褄があわず、価格が、アメリカ当局によって操作されていることを如実に示している。

巨大銀行と金融当局の間の共謀による金融腐敗の度合いは、途轍もないものだ。欧米の金融制度は、腐敗という土台上の砂上の楼閣だ。 

砂上の楼閣の不安定構造は、私が思ったより長持ちした。永遠に建っていられるのだろうか、それとも、余りに多くの接合箇所が腐朽して、同時に何らかのまとまった失敗が、インチキ操作を圧倒して、大崩壊を引き起こすのだろうか?時間がたてば分かるだろう。

 

Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the WestHOW AMERICA WAS LOSTが購入可能。

記事原文:http://www.paulcraigroberts.org/2014/11/14/global-house-cards-paul-craig-roberts/

(終わり)

私たち日本人は、実際には、このような激動の世界の中で仕事をし、暮らしている。僥倖に恵まれた冷戦時代、欧米に封じ込まれた「失われた20年」のデフレ時代、今から考えれば、与えられた枠組みのなかで従順にしていれば、それなりに暮らせた「思考放棄が得策だった時代」でもあった。しかし、そんな時代は終わってしまったのである。

そのことを多くの国民に知られたくないのが、1945年以降、日本を占領下に置いている米国のエリート(ジャパンハンドラー)と彼らと共に既得権を築き上げた一部の日本人であることは言うまでもないだろう。

 彼らが仕掛けたのが、今回の解散総選挙である。

 

 最後に、「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」(矢部宏治著)という本が集英社から出版されている。現在、ネットでダウンロードして半分、無料で読める。是非、ダウンロードして読んでみていただきたい。

戦後、国家主権を放棄して漂流している日本という国の姿が浮かび上がってくるはずだ。

「戦後の日本という国が現在、どういう状態にあるのか」を理解するにも、必読の書である。わかりやすい本なので、時間のある方は、選挙前に是非、読んでいただきたい!

 

以下、ダウンロードアドレス:http://www.shueisha-int.co.jp/pdfdata/0236/nihonhanaze.pdf 

 日本はなぜ帰途と原発を止められないか

                                                                                                                                                             

今こそ、必読のインタビューだ!

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10月 292014

今回は、野村大成大阪大学名誉教授のインタービューを紹介します。

<ポイントは>

日本政府は、放射線障害の歴史と事実をまったく無視し続けている。

・来年後半以降、チェルノブイリの例から考えて、多くの日本人が 政府が「直ちに健康に影響がない」と言った本当の意味を理解し始めるようになる:多くの人が体の異変に気が付くようになるのではないか。

・命、健康を守るのは、自己責任である。「食べて応援」などと言って健康を損ねるのは自己責任だが、それを他人に強要するのは犯罪行為に近いと言えるのではないか。

・このままでは、日本の人口は、政府が公式に発表しているよりも急激に縮小していくことになる可能性が高いのではないか。



~野村大成・大阪大学名誉教授に放射能の危険性をインタビュー~


孫以降の世代にもガンを起こす

放射線がマウスにどのようにガンを発生させるのか、 国際的な指標になる実験を行い、世界の専門家から抜群に高く評価されている 野村大成・大阪大学名誉教授に、フクシマと放射能による次世代への 影響についてお聞きしました。

「注意しても、しすぎることはない」と話された 野村先生の偉大な業績と考えを、ぜひお読みください。



野村大成(のむら たいせい) 大阪大学名誉教授。

1942年、名古屋市生まれ。専門は放射線基礎医学。

1986~2005年大阪大医学部教授。現在は医薬基盤研究所・野村プロジェクト・プロジェクトリーダー。



聞き手:月刊『食品と暮らしの安全』小若順一編集長



安全神話で責任感がなくなっていた



野村 原子力の安全神話?(特に省庁再編後)のもとに、安全審査の独立機能をなくした国は、 東大を除き原子力工学を廃止し、また、原子力の人体影響を研究する放射線基礎医学講座も研究費のためなのか、大阪大学医学部を除いて自然消滅しました。 工、医ともに安全性の教育、研究の場を日本はなくしたわけです。

すなわち、目先の利益優先に終始し、安全性の基本理念がなくなっていたところに、今回の事故が起きたのです。

放射線障害の歴史と事実をまったく無視した政府のアナウンスメントに、記者は質問もコメントもできない。

今回の事故が起こるはるか前から、このような状態になっていたので、原子炉の保存が優先し、人命どころか原子炉自体の安全性まで無視し、それが大きな原発事故に結びついてしまいました。

共同通信社にベテランが残っていたので、あまりの状況を見かねて、人は早く避難させなければいけない、放射能汚染は風向き、降雨により離れたところにスポットで起きる、 汚染物の移動厳禁、とこれまでの経験から最低限の常識を書いたメモを送ったら、そのまま配信されたのが昨年3月22日です。



小若 私も遺伝毒性から手を引いてから20年ほどたっていて、毎年、著名な遺伝学者が亡くなり、 遺伝がわかる記者も退職していたので、誰を頼ろうかと思っていたのですが、その記事で「世界のノムラ」先生がご健在だとわかりました。



野村 取材もいっぱい来ました。「君は記者か」と聞くと「ハイ」と。「記者なら、あの発表はどういうことを言っているかわかるはずや。質問したのか」と言うと、 「もう放射線をやっている人は誰もいません」。

大手のテレビ、新聞は「安全と言ってほしい」と言うので、取材は拒否しました。

週刊誌はまだマシでした。過剰に反応しすぎたとも思えない。特に女性記者は、本能的に危機を察しているようでしたので、できるだけ丁寧にお答えしました。

こういうことは過剰に反応してトントンです。2000年の別冊宝島『これから起こる原発事故』に専門家の緊急警告が記載されています。

当時は書きすぎではないかとも思ったのですが、地震、津波、規模、発電所名等々、何もかも今回の事故が当然起こると予想したものでした。



除染で被曝し、放射能が拡散する



小若 除染にも問題がありますね。



野村 除染することの怖さをよくわかっていないのです。除染のためには誰かが汚染地に入らなければなりません。その作業者はどんな格好をしていますか?

除染すれば、その作業者が被曝することは明らかで、膨大な数の被曝者を出すことになります。 汚染した今となっては、いかに放射能を拡散させないかが重要です。



小若 そのとおりのことを、私も体験しています。

昨年6月、福島へ取材に行ったのですが、二本松から伊達市まで30㎞を走りながら、山がすべて汚染されたので、 除染しても山から汚染が下りてくると感じていました。

伊達市で小学校に行くと、今度、原子力規制委員会の委員長の候補になった田中俊一氏が、除染の実践と研究を行っていたのですが、 田中氏は私の防塵マスクを指さして「そんなの意味ないよ」と言ったのです。もちろん、作業している人は誰もマスクを付けていませんでした。

校庭のアスファルトの汚染はグラインダーで削らないと線量が減らないと説明し、校庭の土手とプールを掃除していたのですが、この学校の裏にも山があり、 その後、除染しても元に戻った例がたくさん出てきています。



日本人の良心を完全に否定した政府



野村 1993年に、ソビエト連邦が原子力潜水艦の放射性廃棄物を日本海に投棄したとき、 日本政府は国際問題だと言って、猛烈に非難しました。そのときの調査では、日本海の海底土から最大7ベクレル/㎏の放射性セシウムが検出されています。

福島では4月1~6日の6日間で、セシウム940兆ベクレルを海洋に漏出したと東電は話しています。 6日間でセラフィールド核燃料再処理工場の1年間の海洋漏出量の放射性物質を放出したことになり、ヨウ素を含めると4700兆ベクレルになります。 福島の海底土では、30㎞圏外でも8000ベクレル/㎏を超える放射性セシウムが何度も検出されているのに、 自分のところが放出したら「希釈されて安全になるから、どんどん食べてください」と、政府、メディアは宣伝しました。

国内のみならず、外国に対しても「日本の農産物は安全です」とやりましたから、これで日本人の良心は完膚なきまで、国際的に否定されたのです。

そのことを日本人は思い知らなければいけません。かつて、放射線廃棄物をコンクリート封入、ガラス化などすれば安全だから、フィリピン沖の公海に廃棄したいと日本政府が申し出て、それなら東京湾に捨てたらどうかと言われたことを思い出します。

腐っている。日本人の魂が疑われているのです。



発ガン物質と放射能は、孫にも発ガン



小若 野村先生は30年以上前に、放射線や化学物質が、世代を超えてマウスを発ガンさせることを実証し、 国際的に大反響を呼んだ「大阪レポート」を発表されています。

この実験は、どのように行われたのですか。



発がん物質孫にも影響



野村 まず、ウレタン(カルバミン酸エチル)で確認しました。

ウレタンをオスのマウスに注射し、しばらくしてメスと交配させると、ほとんど元気で生まれますが、 その子たち4千匹余にガンが出るかどうかを見ていくと、有意差が出てきましたので、

1975年1月に「キャンサー・リサーチ(米国癌学会誌)」に発表しました。



小若 1979年に新聞で「発ガン物質・孫にも影響」と出たときは、すごいことが実証されたものだと思いました。

ただ、ウレタンになじみがなかったので、人に注射されているとは知りませんでした。



野村 僕も鎮静剤の一つだったとしか知りませんでした。それが、非経口医薬品の溶剤として大量に使用されていたのです。



小若 記事の中にはウレタンと放射線の実験結果が出ていましたが。



野村 遺伝的な影響を証明するのに一番大切なのは、 確実にDNAをやっつけるものがいいので、 ウレタンに代わって放射線を使いました。

放射線は瞬間的に作用するので、オスに一発当てて、しばらくしてから正常なメスと交配させ、 受精率や流産、奇形を見て、それから、いつになったらガンが発生し、 その頻度がどのくらいかと。



量に応じてガンが出る



小若 ずいぶん詳しく調べられたのですね。



野村 遺伝学者は遺伝子の変化を調べますから、 生まれた直後の形態、機能の違いを調べるところまででした。

突然変異については、膨大なデータがありましたが、人類によく見られる疾病(ガン、形態異常、生活習慣病等)はどうなのかは誰も調べていませんでした。

私は外科医でしたから、すべての疾病に対し、先の世代がどうなるか臨床のかたわら、我慢してやっていました。



小若 だから、国際的な発見をされたのですね。

論文の表を見ると、先生は1970年代から、被曝量の多さと、ガン発生数の関係がわかる実験をされていたことになりますが。



野村 70年代までは、ガンが出るか出ないかしか実験しなかったのですが、 発ガン物質を1000分の1の低量まで投与量を変えて追いかけると、きれいな線になりました。

私の1975年10月のキャンサー・リサーチの論文は、世界で初めて「化学物質で用量効果関係」を描いたもののようです。

実際、この曲線から、注射薬に含まれているウレタンの量を計算できました。

後日、化学的に定量したのと完全に一致していました。



国際的な大反響



小若 そんな前に、今でも通用する精密な発ガン実験を行われていたとは、すごいですね。



野村 1978年にイタリアの古都ペルージアで開かれた国際学会で発表すると、 有名な遺伝学者がすぐに奇形で追試確認をしてくださったので、ガンも含めて「ネイチャー」にまとめの論文を出しました。

ヨーロッパでは、日本と違って遺伝に関して非常にセンシティブです。 何か悪いことをすると三代たたるという考え方があり、だから悪いことをしない方がいいというのです。

最初の論文では、親に放射線を当てて、子どもから孫まで影響したのを出したので、非常に反応が強かったですね。



小若 すごい評価でしたね。



野村 ネイチャーの論文をイギリスの新聞「ガーディアン」もトップ記事で紹介してくれましたし、 多くのテレビ座談会がなされたようです。アメリカの「サイエンスニュース」でも紹介されました。



小若 当時、日本人が「ネイチャー」に出るのはまれでしたね。



人は影響が出やすい



野村 論文審査では何も指摘されず、関連論文が4本載りました。

当時、ネイチャーは1誌しかなく、すべての自然科学分野を含めて週20論文くらいしか載りませんでしたので、多かったのかもしれません。 その中で大事なことがあります。放射線を一度浴びただけで、子や孫にガンが発生しますが、突然変異に比べたら100倍以上高く増加したのですが、 それでも、せいぜい10~20匹に1個ガンが増える程度でした。ところが、生まれた子どもにも微量のウレタンを打つと、子どもはガンだらけになりました。 2回目に有害物質をかけると、影響が数倍に上がりました。多くの追試確認がなされました。放射線も同じです。



小若 それは、福島で被曝した人が、後で放射能や化学物質で汚染されたものを食べたら、ガンが出やすいということですか?



野村 マウスの実験はきれいな状態で行いますが、人間は違います。

放射線を浴びた後、親も子どもも、発ガン物質や放射能を含む食べ物も食べる可能性があります。そうすると、ガンにかかりやすいということです。



小若 シンプルな動物実験の結果よりも、ヒトの方が危ないと考えられるわけですね。



再処理工場の従業員の子どもに白血病



野村 ヒトでは、イギリスの核燃料再処理工場セラフィールドの例があります。

ここは、海洋汚染もあったし、シースケール村など周辺の汚染もありました。住民は、直接被曝している上に、家庭では放射能汚染食品による被曝があります。

それで、全体的に白血病の頻度が高かったのは、間違いないのです。1990年に、ここの男性従業員の子どもに白血病のリスクが7~8倍高いという論文を サザンプトン大学のガードナー教授が出したのです。

これは、まさに私のマウス実験と同じことが、ヒトで調査された結果で、精子被曝が子どもの白血病の原因として大騒ぎになり、すぐに被害者による裁判が起きました。

しかし、患者は4人なので、裁判にはもともと無理なところがあり、夜中の3時頃に、5mものファックスで質問が来るのに閉口しました。

裁判の結論は「統計学的には有意差が出たけど、わずか4例のことなので、すぐに人間には当てはめられない」ということでした。

ところが、珍しく裁判長のコメントが付け加えられたのです。「子孫への影響をみるこの研究は極めて大事であるから、今後、世界中で研究が推進されることを望む」と。



チェルノブイリ原発事故



小若 チェルノブイリの汚染地では、どうなっているのでしょうか。



野村 事故後10年近くたち、国際機関が調査をやめ、国際援助もなくなったころ、 ユネスコと現地の要請で、文部省(旧科技庁は関与せず)と、民間助成金の支援を受け、生態系への汚染と遺伝的影響を調査しました。

地上の放射能は減少しても、動植物には、恐れていた強度の汚染、生物濃縮が起こっていることをいち早く証明しました。事故直後に、放射性ヨウ素で汚染された牧草を食べた乳牛のミルクを飲んだ子どもの甲状腺に、放射性ヨウ素が大量蓄積し、それが原因で甲状腺ガンが高発していました。放射性セシウム等の内部被曝による影響については、ガンが発生するまでの年数が足りないのだと思いますが、徐々に増加しているとの報告があります。

遺伝的影響に関しては、英国のグループが、汚染地域の子どもで、放射線等で変化の起きやすい配列のDNAに突然変異が増加していると1996年に報告しました。

汚染を除去した作業者の子どもでは、突然変異の増加が疑問視されていたので、マウスで確実に検出できている突然変異を、 ルカシェンコ大統領の協力も得て、除染作業者の子どもを調査しました。 陽性にはなりませんでしたが、これは、被曝量が50ミリシーベルト以下と少なかったからだと思います。

ところが、ベラルーシとイタリアを行き来しているツバメの子どもを調べた報告では、反復配列したDNAの突然変異が3.6倍も増加し、有意差が出ています。 ウクライナのツバメとの比較でも2倍くらい増加しています。

これからも調査は必要ですが、放射能が大量に放出されたのですから、ヒトに異常が出ることは確実です。



大きな影響がある内部被曝



野村 私が実験したのは瞬間の外部被曝で、外部被曝でもじわじわ被曝すると、ガンと奇形の頻度は落ちます。

だから、環境から受ける慢性被曝のときは、ガンと奇形が少し出にくい可能性はあります。しかし、食べると放射能が体内に留まって内部被曝になるので、様相は一変すると思います。この内部被曝の実験はほとんどないので、チェルノブイリで影響を調べることが大きな課題なのです。福島は、チェルノブイリのミニコピーです。



小若 福島でも内部被曝の影響が心配です。

1970年代には、病気になりやすくなる「弱有害遺伝子」が増えると言われていましたが、 遺伝子がよくわかるようになった今では、先生の実験結果は、どのような原理だと説明されるのでしょうか。



遺伝子の変化が蓄積



野村 1978年に最初の論文を発表したとき、 なぜガンが、子どもに、通常の突然変異に比べて100倍以上もの高頻度に発生したのか、二つの可能性を書きました。

一つは、たくさんのガン遺伝子があり、そのどれかに変異が起こった可能性です。

例えば、マウス肺腫瘍発生に関与する遺伝子は、免疫関係だけでも当時200以上の遺伝子がわかっており、「それにヒットしたのなら、200倍の高い頻度で出てもおかしくない。1000倍出てもおかしくない。それで十分説明ができる」と、 多くの先生が支持してくれました。

しかし、ガンになり易さの遺伝であること、しかも、親マウスが被曝すると、子どもに何百回もの細胞分裂を経ても伝わる変化があり、 そのマウスが生後に環境の有害物質に曝露すると、ガンが高発、促進されることがわかっていました。

この論文は、1990年代後半になって、生殖細胞で遺伝的不安定性を示した最初の論文と言われたように、 とても、突然変異で説明できるものではありません。

そこで、もう一つの原因として、通常の遺伝子の機能にわずかな変化が起き、その蓄積でガンの頻度が上がった、と書きました。



小若 免疫機構がちょっと弱くなるように、とか。



野村 そうですね。健康状態が一番影響を受けるのは、免疫関係の遺伝子です。

遺伝子は、「有害」でも「生体の正常機能に関与しているもの」でもよく、 その発現のわずかの変化が蓄積し、遺伝したので、何十代にわたってガンが発生しやすくなった、と考えたわけです。

放射線に一度、被曝しただけで、何代にもわたり、肺腫瘍、肝腫瘍、白血病等にかかりやすいマウスになりました。



全身の細胞で変化が起きていた



野村 このことを証明するため、遺伝子の働きと「発現」を調べています。

親に放射線を照射し、子どもが生まれて、その子にガンが出た臓器を調べると、非照射対照群のマウスに較べ、ガン組織で遺伝子の発現が数倍、増減していました。

遺伝子発現を分析してみると、ガン組織だけでなく、その臓器の正常部分の組織にも多かれ少なかれ、同じような変化がすでに存在していました。

子どもの臓器でそういう変化が起きていたので、ガンにかかりやすくなっている、と説明したのが、2000年から2003年ごろのレポートです。



注意しても、しすぎることはない



小若 食品の放射能汚染は減ってきましたが、今でも影響を受けないようにするのがいいのですね。



野村 放射線障害で最も恐れるのは、それが一瞬の被曝であっても、細胞、遺伝子などに起きた傷が残り、将来のガンや遺伝的影響に結び付くことなのです。 ましてや、内部被曝の場合、放射能を出すもの自体が、長期に体内に残存するのですから、 注意しても、しすぎることはありません。

「食品と暮らしの安全」201291日発行 No.281



第10回 大阪科学賞 平成4年度(1992年度)

受賞者氏名: 野村 大成(のむら たいせい)

所属(受賞時): 大阪大学 医学部 教授

業績: 放射線および化学物質の継世代影響、-癌および奇形発生とその子孫への遺伝親が放射線や化学物質に曝露することにより突然変異のみならず、ヒトによくおこる癌や奇形までもが子孫に誘発され、しかも、子孫に癌や奇形をつくる生殖細胞の変異は、次世代に遺伝していくことをマウスを用い証明した。その業績は野村レポートと呼ばれ、国連科学委報告書に詳細に記載されている。本研究は、1978年以降Lyon博士らにより追試確認され、ヒトにおいても、1990年以降、裏付けるような報告が続いた。その発生機構研究は遺伝的不安定性研究のきっかけとなり、現在、最もホットな研究課題となっている。一連の研究成果は、人類の将来起こるであろう障害を指摘した報告(Nature,1990)は、人類の自然破壊を憂えたバーンズの詩にちなん(1785年、Ofmiceand men ?(生き物とし生けるもの?)と名付けられ、国連環境保護標語としても用いられた。



人類は産業革命以降創り出した膨大な数の医薬品、生活用化学物質等は、生命維持、生活の改善に大いに役立っていると同時に、人類の大きな障害をもたらしている。野村は、拒絶反応をなくした重度複合免疫不全マウスを改良し、あらゆる正常ヒト臓器・組織をマウスの体を借りてその形態、機能を数年にわたり継代・維持するシステムを開発し、ヒト臓器の相互作用、人体への直接影響を評価する新しいシステムを確立した。(終わり)



*ロシアが日本語でわざわざ野村教授のインタビューをネットで公開している。日本人が知るべき情報を日本のマスメディアが意図的に封殺していることにもっと多くの人が気が付くべきだろう。

「ロシアの声」より 30分程度なので、時間がある時に見て下さい! 子供たちの「イノチ」を守るのは、身近にいるあなた自身です。

「子供の健康に対する放射線の長期的影響」:

http://japanese.ruvr.ru/2013_10_28/123519492/

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