日米安保条約が破棄される時が迫っている???

Opinion コメントは受け付けていません。
9月 112019

 

本年、6月末日に大阪で行われたG20の直前にトランプ大統領は、日米安保破棄の考えを意図的にマスコミにリークさせた。以下、ブルーバーグより。

トランプ大統領、日米安保破棄の考え側近に漏らしていた-関係者

Jennifer Jacobs

2019年6月25日

トランプ米大統領が最近、日本との安全保障条約を破棄する可能性についての考えを側近に漏らしていたことが分かった。事情に詳しい関係者3人が明らかにした。トランプ大統領は日米安保条約が米国にとって不公平だと考えている。

 関係者によれば、トランプ氏は同条約について、日本が攻撃されれば米国が援助することを約束しているが、米国が攻撃された場合に日本の自衛隊が支援することは義務付けられていないことから、あまりにも一方的だと感じている。旧条約から数えて60年余り前に調印された安保条約は、第二次世界大戦後の日米同盟の基盤となっている。

大統領は条約破棄に向けて実際に措置を取ったわけではなく、政権当局者らもそのような動きは極めてありそうもないことだと話している。トランプ氏の個人的な会話の内容だとして関係者らはいずれも匿名を条件に語った。

 万が一条約破棄となればアジア太平洋地域の安全保障に役立ってきた日米同盟を危うくする。日本が中国および北朝鮮からの脅威に対して防衛するため別の方法を見つける必要が生じ、新たな核軍備競争につながるリスクもある。

 菅義偉官房長官は25日午後の会見で、「報道にあるような日米安保見直しといった話は全くない。米大統領府からも米政府の立場と相いれないものであるとの確認を得ている」と語った。その上で、「日米同盟はわが国の外交安全保障の基軸」であり、「日米安保体制は同盟関係の中核を成すものだ」と指摘した。

関係者によれば、トランプ大統領は沖縄の米軍基地を移転させる日本の取り組みについて、土地の収奪だと考えており、米軍移転について金銭的補償を求める考えにも言及したという。また、トランプ氏が日米条約に注目したことは、世界の他の国々との条約においても米国の義務を見直そうという広範な検討の端緒である可能性もあると関係者2人が述べている。

 ホワイトハウスの報道担当者は24日夜、コメントを控えた。

 大統領はかつて個人的な会話で、日米条約の下での米国の義務を認識していると述べたことがあるが、同時に、他の条約についての立場と同様、より互恵的な関係を望んでいる。

 大統領が米議会の承認なしにいったん批准された条約を破棄できるかどうか、米国の法律では決着していない。

トランプ大統領は5月の訪日時に、横須賀基地で米海軍の強襲揚陸艦「ワスプ」に乗船、乗組員らを前に、「米日の同盟はかつてないほど強固だ」と述べた。同基地について「米海軍の艦隊と同盟国の艦隊が共に司令部を置く世界で唯一の港だ。鉄壁の日米協力関係の証(あか)しだ」と語っていた。

原題:Trump Muses Privately About Ending Postwar Japan Defense Pact(抜粋)

Trump Muses Privately About Ending Postwar Japan Defense Pact(引用終わり)

 アメリカファースト

 例によって日本のマスコミは奇矯な言動を弄ぶトランプが日米貿易交渉を有利にするために過激な物言いをしているに過ぎない程度の受け止めだったが、本当にそうだろうか。

たしかに日米安保を人質にとって貿易交渉を有利に進めようという考えもあるだろうが、大統領選当時からトランプが日米安保について次のように発言していたことを私たちは思い出す必要がある。

「日本は駐留米軍の経費を100%払うべきだ。そうでないなら、米軍は撤退する。その代わり、核武装を許してやろう。」

 

「第二次世界大戦後に国連に加盟させられて、これとセットでサンフランシスコ講和と日米安保にコミット。その結果として太平洋の平和を維持する高コストな役割を背負わされた。」

 

 一般の日本人が政府、マスメディア等に教えられてきた日米安保や米国に対する考えとは全く違う考え方をトランプはしていることをもっと、日本人は知る必要がある。

もちろん、彼の考え方の背景には伝統的な共和党の孤立主義があることも言うまでもない。また、彼が大統領選挙で打ち出した「アメリカファースト」の背景を知り、彼が何をしようとしているのかも考えてみる必要があるだろう。

それでは、トランプ大統領はどうやって、アメリカを再生させよう(MAKE AMERIKA GREAT AGAIN)としているのか、考えてみよう。

彼の真意を理解するためには、第二次世界大戦以降の世界経済の変遷を振り返る必要がある。

大戦後、すべての技術、お金、金(ゴールド)、インフラがアメリカ合衆国に集中していた。そのため、西側諸国の経済は、米国が共産圏であるソ連に対抗するために豊富な資金、技術を、提供をすることによって離陸し、成長してきた。

そして1965年以降、西ドイツ、日本が経済的に頭角をあらわすとともに、米国はベトナム戦争等の巨額の出費もあり、いわゆるドルの垂れ流し状態に陥ったのである。

その結果、起きたのが、1971年のニクソンショックで、彼は金とドルの交換の停止、10%の輸入課徴金の導入等の政策を発表し、第二次世界大戦後の通貨枠組み:ブレトン・ウッズ体制を解体、世界の通貨体制を変動相場制に移行させた。

しかし、その後も米国の赤字基調は変わらず、1985年にはプラザ合意による大幅なドルの切り下げという事態になった。貿易黒字を貯めこむ日本は、内需拡大を迫られ、その後、バブル経済が発生。65年以降、日米貿易摩擦が発生し、製造業間の調整交渉が日米両政府によって重ねられてきたが、80年代後半以降、米国はトヨタの負け(製造業)をソロモン(金融業)で取り返す戦略に転換していった。日本が貯めこんだドルを米国債、株式に投資させることで儲けることにしたわけである。

この方式を新興国に当てはめ、始まったのが、現在のグローバル金融である。そして、そのグローバル金融を支えたのが、IT革命。つまり、賃金の安い新興国に米国企業が工場を作る投資をし、その製品を米国に輸出させた儲けは、米国の金融機関が吸い上げるという仕組みだ。この仕組みを円滑に機能させるためには、米国のルール:新自由主義と新保守主義の思潮から作り出された価値観(ワシントンコンセンサス)をすべての国に受け入れさせる必要があった。

これが現在のグローバリズムである。ここで、軍需産業維持のための戦争と価値観の押し付け外交が密接に結びついていくことになった。ルールを押し付けるためには、米軍が世界展開している必要があるということである。

しかしながら、2008年のリーマンショックでグローバル金融がうまく、機能しないことが露呈し、異常な中央銀行の金融緩和が始まったが、現在、それもすでに限界に達している。そのことを象徴する発言が本年8月23日にあった。英国中央銀行のカーニー総裁が「世界の基軸通貨、準備通貨としてのドルの地位が終わり、リブラなどのグローバルなデジタル通貨がより良い選択肢となる」と発言したのである。

一番のポイントは、湾岸戦争以降、多くのプアホワイトという白人を含むアメリカの若者が戦死しているという事実にある。トランプ氏は米国の設立メンバーの子孫でありながら、貧しい生活に甘んじている、星条旗を愛している、息子たちが戦死した人たちに向けて語っている。要するに彼は、自分を支持する人々に仕事(雇用)を取り戻すためにもう、海外からモノを買わないと宣言し、製造業をアメリカに取り戻そうとしているのである。

簡単に言えば、グローバリズム資本主義のアメリカ労働力からの逃避が、現在のアメリカを雇用が主に低賃金の国内サービス職から成り立つ国、半世紀前のインドに似たものに変えてしまったとトランプは認識しているのである。その代償として、株主、経営者が超過利潤を得たて貧富の差が拡大したわけである。

(*現在の日本もこれと同じ道を邁進している。)

ではどうやって、トランプはこの四半世紀の間に解体されてしまったアメリカの製造業とその製造業を支えたサプライムチェーンを取り戻そうとしているのか。

 トランプがこれからやることは、現在の米中貿易戦争のように中国を激しく締め付けながら、生かさず殺さず、緩やかに米国企業を米国本土に戻すことである。

そのためには米国内にこれら製造業が戻って来ることのできるような法整備、インフラ整備をしていくことになる。たとえば、米国内市場で、米国内労働力で生産する企業には低い税率を、米国市場のために外国人労働者で生産する企業にはより高い税率を課すというようなことが実行されるだろう。

ところで、トランプ大統領に米国企業に戻ってくるように命じる権限はあるのだろうか。

トランプ自身は、1977年に制定された「国際緊急経済権限法」を、米国企業を中国から米国に戻すよう命令する権限を彼に与えているとしている。対テロ戦争で米国大統領は強大な権力を手にしたことも我々は忘れてはならないだろう。

現在でもトランプは、米国の雇用を奪い、第三諸国の経済的地位に米国を引き下げるべく、彼らが中国と共謀していると言う理由で、生産を海外移転した企業のCEOと理事会を逮捕する権限を持っているのである。

ところで、このような形でアメリカの雇用を復活させ、核戦争の脅威を減らそうとしている大統領がなぜ、アメリカの主流メディアや、リベラル派、革新主義者、左翼、民主党や多くのアメリカ人に批判されているのだろうか。

この答えはあまりに簡単で軍産複合体、それと結びついた金融勢力がトランプ批判勢力のバックにいたからである。

しかしながら、長期的な視点に立てば、アメリカが21世紀もずっと、世界の強国なままでいたいなら、非常にこんな道だが、製造業とその生産能力を復活させる必要があるというトランプの考えはきわめて正しいものである。

短期的な利益を優先して長期的な利益を犠牲にしていることに多くの経営者が、気が付くことができれば、この大転換は否応なく進むと見るべきではないか。

そして上記のように米国が動いていくならば、日本が戦後、取ってきた日米安保を基軸に米国覇権に依存して政治・経済を回してきた戦後システムは終焉する方向に進んでいくことは必然だと考えるべきだということになる。

 ところで最近、軍事評論家の田岡俊次氏が実は米軍は日本を守っていないということを改めて記事にされたので読んでいただきたい。以下、「アエラ」より。

米軍は日本を守ってなどいない!

田岡俊次が在日米軍を詳細分析して分かった実態とは

田岡俊次2019.8.23 AERA

米軍は日本を守ってくれている。日本人の多くはそう信じて疑わないだろう。 だが実態は全く違う。在日米軍の分析で驚くべき事実が浮かび上がった。

「もし日本が攻撃されれば米国は私たちの命と財産をかけて日本人を助けるために戦闘に参加する。もし米国が攻撃されても日本は私たちを助ける必要は全くない。米国への攻撃をソニーのテレビで見ることができる」

 トランプ米大統領は6月26日、FOXビジネスネットワークのインタビューで日米安保体制の不公平を強調した。

 この大統領の意向を受け、7月21日に来日したボルトン大統領補佐官(安全保障担当)は、在日米軍駐留経費の日本側の負担を3倍、あるいは5倍に増額することを要求する可能性を示したとの報道もある。

 米国防総省の2004年の報告書では、日本は米軍駐留経費74.5%を負担している。韓国の40%、ドイツの32.6%をはるかに上回っており、それを3倍や5倍にするのはほぼ不可能だ。大幅に増やすには米軍将兵の給与や装備の調達費、維持費を出すしかない。「そうすれば米軍は日本の傭兵になりますな」と防衛省幹部も苦笑する。

 3倍や5倍論は日本を驚かせ、イラン包囲網の「有志連合」に参加させたり、2021年3月に期限切れとなる在日米軍経費負担に関する特別協定の再交渉で増額を迫ったりすることを狙うトランプ流のかけ引きか、とも思われる。だが韓国は昨年の米軍経費負担が9602億ウォンだったのを、今年は1兆389億ウォンと8%余増額させられ、来年さらなる交渉が行われる予定だ。トランプ政権が日本にも大幅な増額を要求する公算は大だ。

「駐留米軍によって日本は守られている」との観念は広く定着している。だが実は、日本防衛に当たっている在日米軍の部隊は無きに等しいのだ。

 

 最も顕著なのは空軍(日本に1万2千人余)だ。1959年に航空自衛隊が防空任務の引き継ぎを受けて以後、米空軍は日本の防空には一切関与せず、約330機の日本の戦闘機や対空ミサイルが防空に当たっている。

米空軍は沖縄県の嘉手納基地にF15戦闘機27機、青森県の三沢基地にF16戦闘攻撃機22機を常駐させ、ステルス戦闘機F22も嘉手納に飛来している。

 72年の沖縄返還後は沖縄の防空も航空自衛隊が担い、嘉手納の米軍戦闘機は交代で約半数が韓国に展開していた。91年の湾岸戦争以後は中東にも出動している。三沢のF16は対空レーダー、対空ミサイル破壊が専門で、これもしばしば中東で活動している。

 ならば、なぜ米空軍は日本にいるのか。日本の米空軍基地は実質上米本土の母基地に似た性格だから、米議会でも「日本にいる空軍機は本土の基地に戻し、そこから中東などに派遣する方が合理的ではないか」との指摘がある。そのたびに米国防当局は「日本が基地の維持費を出しているから、本土に置くより経費の節約になる」と答弁してきた。

空軍だけではない。陸上自衛隊が13万8千人余、戦車670両、ヘリコプター370機であるのに対し、在日米陸軍(2600人余)はほとんどが補給、情報部隊で、地上戦闘部隊は沖縄のトリイ通信所にいる特殊部隊1個大隊(約400人)だけ。これはフィリピンなどに派遣されていることが多い。

 在日の米海兵隊(1万9300人余)の主力は「第3海兵師団」だが「師団」とは名ばかりで補給、病院、司令部の要員が大部分だ。地上戦闘部隊は歩兵1個大隊(約970人)を中心とし、それに短い滑走で離陸可能なF35戦闘機6機や大砲6門、ヘリコプター、オスプレイ計約25機、装甲車約30車両などが付く計2200人余の「第31海兵遠征隊」だけだ。

 この遠征隊は佐世保を母港とする揚陸艦4隻(常時出動可能は3隻)に乗り、米第7艦隊の陸戦隊として、西太平洋、インド洋各地を巡航している。戦車は無く、歩兵970人が主体だから本格的な戦争ができる規模ではない。海外で戦乱や暴動が起きた場合、一時的に飛行場や港を確保し在留米国人を避難させるのが精いっぱいだろう。沖縄の防衛は陸上自衛隊第15旅団(約2600人)の任務だ。

米海軍は横須賀に揚陸戦指揮艦「ブルー・リッジ」(第7艦隊旗艦)、原子力空母「ロナルド・レーガン」、ミサイル巡洋艦3隻、ミサイル駆逐艦7隻を配備している。また、佐世保には空母型の強襲揚陸艦「ワスプ」とドック型揚陸艦3隻、機雷を処理する掃海艦4隻を配備してきた。「ワスプ」はすでに本国に戻り、交代としてより大型の「アメリカ」が来る。ドック型揚陸艦も1隻増強となる。

 米第7艦隊は東経160度以西の太平洋から、インドとパキスタンの国境線までのインド洋にわたる広大な海域を担当している。横須賀、佐世保を母港としている米軍艦がもっぱら日本の防衛をしていないのは当然だ。

 食料の自給率が37%(同じ島国の英国でも70%以上)である日本にとっては海上の通商路「シーレーン」の確保が海上防衛の最大の課題だが、米国は食料も石油も自給自足できるから、商船防護への関心は低い。米海軍の巡洋艦、駆逐艦、フリゲート(小型の駆逐艦)は計101隻。11隻の空母と海兵隊を運ぶ揚陸艦を守るのがやっとの数だ。日本のシーレーンを守るのは海上自衛隊の護衛艦47隻に頼るしかない。(軍事ジャーナリスト・田岡俊次)(引用終わり)

 如何だろうか。

○米軍は実は日本を守っていない。

○トランプは米軍を撤退させたがっている。(=米軍の世界展開を止めようとしている)

○国際金融システムが激変しようとしている。

(=ドルが基軸通貨でなくなろうとしている。)

このなかで1952年につくられたサンフランシスコ講和体制がそのまま続くと考えることは、単なる思考放棄でしかないことは明らかだろう。

その意味で、現安倍政権が行っている<戦後レジームからの脱却>、<枢軸国の名誉回復>も、リベラル派の説く<一国平和主義>も日米安保を前提とした冷戦時代には一見、通用するように見えたファンタジーに過ぎないことを日本人は、冷静に認識すべき時を迎えている。

その意味で、何らかの形で、現在の日米安保条約は早晩、破棄されることになると考えても間違いないのではないだろうか。

まだ、多くの日本人は夢の中にいたいようだが、戦後、四分の三世紀を経過して日本は今、大きな転換点を迎えている。

<参考資料>

 

*ブルバーグよりBrian Swint 2019年8月26日

 

ドル支配終わらせるデジタル基軸通貨体制を提唱-英中銀総裁

 

イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は23日、ドルを基軸通貨とする世界的金融システムの抜本的改革を求める極めて大胆な提言を行った。最終的には米フェイスブックが計画している「リブラ」のような仮想通貨が準備通貨としてドルに代わることになるとの考えだ。

 来年1月末の退任を控えた同総裁は米カンザスシティー連銀がワイオミング州ジャクソンホールで主催したシンポジウムで講演し、「経済政策を巡る不確実性の高まりやあからさまな保護主義、政策余地が限定的でさらなる悪影響を打ち消せないかもしれないとの懸念が組み合わさり、世界経済のディスインフレ的な偏りを悪化させている」と述べた。

カーニー総裁は各国・地域の中銀が短期的にはこうした事態に現状通りに対応する必要があるとする一方で、「現状維持を思慮なく受け入れるのは誤り」であり、最終的には劇的な措置が必要になると明言した。

 同総裁は世界の準備通貨としてのドルの地位が終わり、リブラなどのグローバルなデジタル通貨のような形式がより良い選択肢となるという認識を最も強く主張。基軸通貨がドルから中国人民元といった別の国の通貨に取って代わることを容認するよりは好ましいとの見方を示した。

「より長期的に見て、われわれはゲームを変更する必要がある」と指摘し、「変更に至れば、通貨覇権の入れ替えであってはならない」とカーニー総裁は語った。

リブラは各中銀の直接的な管理から外れた世界的なデジタル通貨として構想されているが、フランスのルメール経済・財務相が「問題外」だと述べるなど、大半の政策当局者から厳しい批判を受けている。

カーニー総裁は新たな「合成覇権通貨(SHC)」は中銀のデジタル通貨ネットワークを通じて公的セクターによって最もうまく提供されるだろうと説明。「このアイデアの初期バージョンは欠陥があると立証されたとしても、このコンセプトは魅力的だ。SHCは世界貿易における米ドルの支配的影響力を弱めるかもしれない」と話した。(引用終わり)

 

 

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約

 日本国及びアメリカ合衆国は、

 両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、

 また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、

 国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、

 両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、

 両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、

 相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、

 よつて、次のとおり協定する。

第一条

 締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。

 締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。

第二条

 締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。

第三条

 締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。

第四条

 締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。

第五条

 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。

 前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。

第六条

 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。

 前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。

第七条

 この条約は、国際連合憲章に基づく締約国の権利及び義務又は国際の平和及び安全を維持する国際連合の責任に対しては、どのような影響も及ぼすものではなく、また、及ぼすものと解釈してはならない。

第八条

 この条約は、日本国及びアメリカ合衆国により各自の憲法上の手続に従つて批准されなければならない。この条約は、両国が東京で批准書を交換した日に効力を生ずる。

第九条

 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約は、この条約の効力発生の時に効力を失う。

第十条

 この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。

 もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。

 以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。

 千九百六十年一月十九日にワシントンで、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。

日本国のために

 岸信介

 藤山愛一郎

 石井光次郎

 足立正

 朝海浩一郎

アメリカ合衆国のために

 クリスチャン・A・ハーター

 ダグラス・マックアーサー二世

 J・グレイアム・パースンズ

© 2011 山本正樹 オフィシャルブログ Suffusion theme by Sayontan Sinha