9月 192007

*元外交官 天木直人のプログより   http://www.amakiblog.com/

なかなか鋭い指摘です。

「国連を利用してテロ特措法延長を画策する外務省」

今日のブログはこれで決まりだ。19日の読売新聞や日経新聞が大きく報じていた。報道のポイントは、急遽外務省が米国と結託して、日本の給油活動に謝意を表するという国連決議を成立させようとしているというニュースである。

これが奏功すればすべて解決する。テロ特措法の延長はおろか、新法なども要らなくなる。明確な国連決議が成立するからだ。米国が動けば安保理主要国は賛成するに違いない。悪知恵ここに極まれりである。

小沢民主党がテロ特措法延長に反対した時、日本は国連中心主義だ、だから国連で承認されていない活動に協力できない、と言った。私はこれを聞いた時、直感的に危ういものを感じた。なぜならば国連決議などと言うものは、所詮は妥協の産物で、曖昧なものだからだ。しかも今の国連は残念ながら理想像に達していない。それどころか国際政治の駆け引きの場となり、外交官や国際官僚の独占物になっている。だから国連決議を政争の具にすれば、政府や官僚に圧倒的に有利となる。実はこのような考えは私もあの時考えていたのだ。国連の仕事に携わったものであれば誰でも考えつくことなのだ。

やはりテロ特措法延長に反対するのなら、「米国のテロとの戦いは間違いだ、それに協力することは誤りだ」と正面から反対すべきだったのだ。

外務官僚たちの悪知恵は巧妙だ。小沢民主党はアフガンに展開する国際治安支援部隊の活動には協力してもいいと言っている。国連決議があるからだ。その国連治安支援部隊を認める国連決議は近く延長される事になっている。だからその延長に際し、決議案の前文に日本の協力に感謝するといった類の文言を挿入する事を認めさせれば、堂々とわが国の補給活動が国連決議で認められることになる、少なくとも政府、外務省はそう言い張ることができる。既存の国連決議の延長に際して微調整することは容易なことだ。

報道によると、はやければ18日に決議案が提出され、19日にも採択される見通しだという。このスピードは驚きだ。

おそらくこの動きは水面下でかなり早い段階でから始まっていたに違いない。それが実現する見通しになったので、政府・外務省は情報を流し始めたのだろう。おりしも山崎拓自民党前副総裁は18日、都内の講演会で、新たな国連決議が無理な場合でも、安保理議長声明か事務総長談話によって、国連の要請する活動にすることが出来る、などと喋っている。

私が見逃さなかったのは、この間まで国連次席大使をやっていた御用学者の北岡伸一が、19日の日経新聞「経済教室」のなかで、ハッキリとつぎのように言及していることである。

「・・・国連決議は融通むげなところであり、後の決議(国連治安支援部隊を設立した国連決議)で言及する形で米国の「不朽の自由作戦」を支持し、正統性を付与(すればいい)・・・」

北岡などもこの悪知恵作成に加担してきた一人なのだろう。どうやらテロ特措法延長問題は、世間が安倍辞任のドタバタ劇にごまかされている隙に、急転直下の展開を見せる雲行きになってきた。

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