3月 172008

*副島隆彦氏のコラムより                                     2008 3/16

「日銀総裁は、黒田東彦氏か、山口泰氏か、歓迎する」

次の日銀総裁が、ようやく決まりそうだ。

次の日銀総裁には、売国奴=アメリカの手先のドンの武藤敏郎が、終に引き摺り下ろされて、黒田東彦か、山口泰で、決まりそうである。実に歓迎すべきことだ。

アメリカの「資本主義の全般的危機」を前にして、日本は、ようやく自力、自立戦略を取れそうである。

黒田東彦は、立派な人だ。さすがに国会議員たちは、よく見ている。山口泰も、前の速水優日銀総裁の肩腕の副総裁で、日銀のアメリカへの屈従に対して、密かな抵抗線を築いてきた人たちだ。このふたりは、なんとか「日本円に金利をつけよう」として、必死で頑張った。日銀=三井(渋沢栄一の第一銀行)ロスチャイルドの生え抜きの人々だ。

このほかに、藤原作弥という立派な副総裁もいた。彼は、「日銀は外債、すなわち、米国債、と米地方債)ばかり買わされている」と公然と発言した人物だ。

私が、この5年間、ずっと、何冊もの本(「エコノ・グローバリスト・シリーズ)で、名指しで、アメリカの手先になった武藤敏郎、財務省の現役代表を糾弾してきた。愛国派大蔵官僚であった、長岡實派は、「1998年2月のノーパンしゃぶしゃぶ事件」をCIAに仕組まれて、失脚していった。私は、ずっとそのように書いてきた。

ついに福田政権は、武藤・日銀副総裁(大蔵省から、日銀を支配されるために送り込まれたグローバリストの尖兵)を、更迭することに決めた。これは、アメリカ帝国の金融場面が、文字通り、瓦解を始めたことに、呼応する、各国連帯(欧州と新興4大国)での動きの一環である。



武藤敏郎は、1998年ノーパンしゃぶしゃぶ事件(その年末の11月に、検察が新聞記者たちと共に大蔵省に捜査・乱入して「大蔵落城」となった)の時に、大蔵省の官房長であった男だ。彼だけは、何の管理責任も問われずに、アメリカに抜擢されて生き延びた。竹中平蔵と気脈と通じて、「アメリカによる大蔵鎮圧、大蔵支配の受け皿」になった官僚の筆頭である。

同じく、トップ人事で、参議院から、武藤と共に副総裁候補として「×印」を付けられた、伊藤隆敏も、IMF理事で出向組の、ニューヨーク金融財界の意向を受けるように育てられた人物の一人だ。竹中平蔵ほどの、恐ろしいまでの尖兵ぶりは、発揮できなかったし、あまりに、血だらけになって、日本の政・官・財の中枢の、抵抗派、愛国派を糾察して、切り殺して回る役目は、苦手の人物なのだろうと、私は、ずっと観察していたが、やはり、この時期のために、温存されていた「実戦将軍(war general ウォー・ジェネラル)」であったかと、判明した。

そして、おそらく、日銀外内部の、若手の生え抜きたちからの、決死の覚悟の、将軍駕籠直訴が、相次いだのだろう、それで、武藤と伊藤隆敏は、日本の国政の表で、ばっさりと正式に、「お役御免」になった。実に目出度いことである。

私が、10年前から、書いているとおり、若手の日銀生え抜き官僚たちの、アメリカとの交渉場面での、苦しい思いと、それにも屈せず、恫喝に脅えながらも立派に抵抗を続けてきた。「私たちは、日本国の金融政策(マネタリー・ポリシー)の実施者として、市場の実勢を無視した、おかしな政策は出来ない。それは国民経済への裏切りである。アメリカへのあまりもの屈服である」と、若手の日銀マンたちは、2.26の叛乱将校たちのように純粋であった。

日銀の建物の中に、怒号が飛び交い、「武藤の野郎。どこまで、アメリカの言いなりになればいいのだ」という、若手の日銀マンたちの、怒りと怨嗟(えんさ)の声が、上がっていた。この事実を、どうして、日本のメディア(テレビ5社、新聞5社)は、一切、国民に伝えないのだ。

武藤の先輩で、長岡派を追放して、新しい「手先・ドン」になったのは、武藤の先輩の斎藤次郎(さいとうじろう)=デンスケ である。

デンスケが、昨年の11月4日(日)の、小沢一郎辞任劇(小沢、逮捕追放の画策)の元凶である。

デンスケは、15年前の、1993年小沢動乱=小沢革命(=「自民党大分裂」)の時は、小沢を支えて、大蔵省をまとめた人物(当時、次官)だったのに、その後、アメリカと、日本のゴロツキ政治家たちに懐柔されて、寝返った人物である。

この3週間、日銀総裁を決める人事(国会承認人事)で、民主党(小沢一郎執行部)が粘り強く、国民を説得して、闘い続けたことの偉大な勝利である。

日本が、私の言う、「ぐちゃぐちゃ戦法(戦略)」あるいは、「ぐずぐず戦法」をとる事で、属国としての、一番、すばらしい闘いを、目下敢行している。 今の福田・町村・伊吹(幹事長)体制は、すばらしい。

この周りにいる、ゴロツキどもは、自分が、アメリカにへこへこして大臣になることしか考えていない、馬鹿野郎ばっかりだ。そうでない、宏池会本流の、重厚な人たちが、支えてはいる。

私、副島隆彦は、今の大臣クラスの、新実力者若手・政治家(大臣適齢、)たちひとりひとりの、おかしな動きも全部、逐一、観察している。

ともあれ、今回の日銀トップ人事の政局は、すばらしい闘いであった。日本が、アメリカの言いなりにならず、自国民の利益を追求すれば、このような、ぐちゃぐちゃ戦法をとるのが、最善である。

あまり、こういうことを私がばらすと、アメリカの手先どもが、福田康夫首相本人に、自分たちが苛立ちを感じるその理由を教えてしまうことになるので、種明かしは、しない方がいいのだが、やっぱり、今が、ひとつの結節点であるので、書いておく。

引用)

「日銀総裁人事、財務官経験者への同意を示唆=鳩山民主幹事長」

2008年3月16日 東京 ロイター

民主党の鳩山由紀夫(はとやまゆきお)幹事長は16日午前のテレビ朝日の番組の中で、19日に任期切れとなる福井俊彦日銀総裁の後任人事に関し、財務官経験者の黒田東彦・アジア開発銀行総裁や渡辺博史・国際金融情報センター顧問らが政府から提示された場合、財務省出身であっても同意する可能性を示唆した。

政府・与党は、参院で不同意となった武藤敏郎日銀副総裁(元財務次官)の昇格など正副総裁案を差し替える方向で検討に入っており、17日に新たな人事案を国会に提示する予定。

次期日銀正副総裁の人事では、2人の副総裁のうち元日銀理事の白川方明・京大大学院教授の就任だけが衆参の同意を得て確定している。

鳩山幹事長は、新たな人事案で正副総裁候補者として黒田氏や渡辺氏など財務省で財務官を務めた人物の名前が取りざたされていることについて、「我々は財務省だから全てだめと言っているわけではない。(黒田氏や渡辺氏は)国際金融に詳しいことは間違いない。それぞれ素晴らしい方と聞いている」と指摘。こうした人選であれば反対はしないのかと問われ、「私はそう思う」と同意の可能性を示唆した。この他の候補では、山口泰・前日銀副総裁などが有力視されている。

また、16日午前のNHKの番組に出演した与謝野馨前官房長官は、政府・与党内で武藤氏昇格案を再提示すべきとの声があることについて「よほど大きな事情の変更がない限り、そういうこと(武藤氏再提示)はやるべきではない。参院で否決されたものをもう一度ぶつけることは国会の法規に照らしてどうか。政治行為としても乱暴過ぎる」と再提示すべきでないとの考えを示した。

(引用終わり

(私のコメント)

副島氏の書いていることは、ほとんどその通りだと考えられる。

現在、米国は第二次世界大戦後、初めてと言うような金融危機に陥ろうとしている。

追い詰められた彼らは日本という国の骨の随までしゃぶるつもりである。現在、そう言った状況下で不思議な人事抗争が、国会で繰り広げられているわけである。

日本銀行の総裁がどの程度、日本という国を考えているかということが大変重要なのである。

むろん、中央銀行の総裁ともなれば、国際金融財閥からの圧力もある。彼らにインサイダー情報を流すような売国奴では日本経済をまたしても米国のために破壊しかねない。その点では竹中平蔵氏や榊原英資氏も国際金融マフィアの一員であり、とても話にはならない。

日本の失われた15年の原因は日銀の金融政策が主因であり、ドルやユーロに対して円はどのようなスタンスで運営するのかはっきりと分かっている人物が望ましい。

さらにはアジアとの通貨外交も重要な課題であり、中国に主導権をとられないように先手を打つべきである。

また、アメリカに対してもドルの買い支えはアメリカの利益にはなっても日本の利益には全くならないので、するべきではない。もちろん、EUはドルの買い支えはしていないし、ユーロも高いままに放置している。金利もアメリカには追随していない。だからドルよりユーロのほうが高い金利となっている。アメリカのドルは3,25%、EUのユーロは4%だ。

日本は80年代、アメリカに脅かされて金利を引き上げる事ができずにバブル経済を作らされてしまった。そして日本からアメリカにマネーが流れるように日本の政策金利はゼロにまで引き下げられて、日本の金利政策は破綻させられたのである。

EUのユーロのように独自の金利政策ができれば、中国のようにドルが暴落していても金利を上げればいいのである。

日本の中央銀行はアメリカに命令されるだけの金融政策であり、金利の上げ下げもEUや中国のように独自のスタンスではできなかった。それが失われた15年の第一の原因なのである。新しい日銀総裁には米国の力が弱くなっていくこの好機を捉えて、独自の金融政策を展開してもらいたいものだ。

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